JP2023111805A - 合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体 - Google Patents

合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体 Download PDF

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慶 吉野
Kei Yoshino
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Abstract

【課題】リサイクル性を向上させた合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体を提供する。【解決手段】本開示の合成樹脂製容器1は、外層体2と外層体2の内面に分離可能に積層された内層体3とを有する容器本体10と、容器本体10に装着される装着キャップ20とを備える合成樹脂製容器1であって、容器本体10は、装着キャップ20が装着される筒状の口部4と、口部4の下方に位置し、内容物の収容空間Sを形成する胴部5と、胴部5の下端部を閉塞する底部9とを備え、外層体2の上端部は、内層体3の上端部よりも下方に位置し、外層体2は、上端部から下方に向かって延在するスリット6を有することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本開示は、外層体と該外層体の内面に分離可能に積層された内層体とを備えた合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体に関する。
従来から、醤油等の食品調味料や飲料、あるいは化粧水などの化粧料、シャンプーやリンス、液体石鹸などのトイレタリーを内容液として収納する容器として、積層容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
このような積層容器は、筒状の口部、口部に連なる胴部及び胴部の下端を閉塞する底部を有して容器の外殻を形成する外層体の内面に内容液の収容空間を備えた内層体が積層された二重構造を有している。
また、上記の積層容器は、例えば内層体を構成する内プリフォームと、外層体を構成する外プリフォームとを組み合わせた二重プリフォームを延伸ブロー成形することによって製造することができる。
特開2020-121540号公報
ところで、上述の積層容器では、内層体に収容する内容物が油成分を含む場合、内容物が付着した容器はそのままの状態ではリサイクルし難くなる為、この点において改善の余地があった。
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リサイクル性を向上させた合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本開示の合成樹脂製容器は、
[1]
外層体と該外層体の内面に分離可能に積層された内層体とを有する容器本体と、
前記容器本体に装着される装着キャップと
を備える合成樹脂製容器であって、
前記容器本体は、
前記装着キャップが装着される筒状の口部と、
前記口部の下方に位置し、内容物の収容空間を形成する胴部と、
前記胴部の下端部を閉塞する底部と
を備え、
前記外層体の上端部は、前記内層体の上端部よりも下方に位置し、
前記外層体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有することを特徴とする。
また、本開示の合成樹脂製容器は、
[2]
上記[1]の構成において、前記スリットは、周方向に複数設けられていることが好ましい。
また、本開示の合成樹脂製容器は、
[3]
上記[1]又は[2]の構成において、前記内層体の口部及び前記装着キャップは、係合によって両者を固定する第1係合部を有し、前記外層体の上端部及び前記装着キャップは、係合によって両者を固定する第2係合部を有することが好ましい。
また、本開示の合成樹脂製容器は、
[4]
上記[3]の構成において、前記装着キャップの下部には、弱化部により分離可能な離脱片が設けられ、前記装着キャップ側の前記第2係合部は、前記離脱片に設けられていることが好ましい。
また、本開示の合成樹脂製容器は、
[5]
上記[1]から[4]のいずれかの構成において、前記容器本体は、前記口部の下端部から下方に向けて拡径する肩部をさらに備え、前記スリットは、前記外層体の上端部から少なくとも前記肩部の一部まで延在することが好ましい。
また、上記課題を解決するため、本開示のプリフォームは、
[6]
外体と該外体の内面に積層された内体とを有し、延伸ブロー成形に用いられる合成樹脂製のプリフォームであって、
筒状の口部と、
前記口部の下方に位置する胴部と、
前記胴部の下端部を閉塞する底部と
を備え、
前記外体の上端部は、前記内体の上端部よりも下方に位置し、
前記外体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本開示の合成樹脂製容器の製造方法は、
[7]
プリフォームの延伸ブロー成形による合成樹脂製容器の製造方法であって、
前記プリフォームは、外体と該外体の内面に積層された内体とを有するプリフォームであって、
筒状の口部と、
前記口部の下方に位置する胴部と、
前記胴部の下端を閉塞する底部と
を備え、
前記外体の上端部は、前記内体の上端部よりも下方に位置し、
前記外体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有し、
前記外体、及び前記内体を成形するステップと、
前記外体の内周面に、前記内体を嵌合させてプリフォームを形成するステップと、
前記プリフォームを延伸ブロー成形して容器本体を形成するステップと
を含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本開示の容器本体は、
[8]
外層体と該外層体の内面に分離可能に積層された内層体とを有する容器本体であって、
筒状の口部と、
前記口部の下端部から下方に向かって拡径する肩部と、
前記肩部の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部と、
前記胴部の下端部を閉塞する底部と
を備え、
前記外層体の上端部は、前記内層体の上端部よりも下方に位置し、
前記外層体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有することを特徴とする。
また、本開示の容器本体は、
[9]
上記[8]の構成において、前記スリットは、下端部において周方向に拡幅する拡幅部を有することが好ましい。
また、本開示の容器本体は、
[10]
上記[8]又は[9]の構成において、前記スリットの下端部は、前記肩部において終端し、前記スリットの下端部外面の中心軸線からの径方向距離Bと、前記口部の下端部外面の中心軸線からの径方向距離Aとは、 1.0<B/A≦1.4 の関係を有することが好ましい。
本開示によれば、リサイクル性を向上させた合成樹脂製容器、プリフォーム、合成樹脂製容器の製造方法、及び容器本体を提供することができる。
本開示の第1実施形態である合成樹脂製容器の正面一部断面図である。 図1における容器本体の口部及び装着キャップ部分の正面一部拡大断面図である。 本開示の第1実施形態である合成樹脂製容器を構成する容器本体の正面図である。 図1の状態から装着キャップの離脱片を分離して、装着キャップ及び内層体を分別する準備を行っている状態を示す正面一部断面図である。 図4の状態から装着キャップ及び内層体を外層体から引き抜いて分別している状態を示す正面一部断面図である。 本開示の第1実施形態であるプリフォームの正面半断面図である。 本開示の第1実施形態である合成樹脂製容器の製造方法の実施手順を示すフローチャートである。 本開示の第2実施形態である容器本体の正面一部断面図である。 図8における容器本体の口部及び肩部部分の正面一部拡大断面図である。 本開示の第2実施形態であるプリフォームの正面半断面図である。 図10における外体のA-A断面による断面図である。
以下、図面を参照して、本開示をより具体的に例示説明する。
図1に示す本開示の第1実施形態である合成樹脂製容器1は、外層体2と内層体3とを備えた二重構造の容器本体10と、容器本体10の口部4に装着する装着キャップ20とを備えている。容器本体10の外形形状は、円筒状の口部4と、この口部4の下方に位置すると共に口部4の下端部から下方に向けて拡径する肩部7と、肩部7の下方に連なり内容物の収容空間Sを形成する円筒状の胴部5と、この胴部5の下端部を閉塞する底部9とを有するボトル形状となっている。
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面においては、上下方向は、図1に示すように合成樹脂製容器1を正立姿勢とした状態における上方、下方を意味するものとする。また、径方向外側とは、図1における合成樹脂製容器1の中心軸線O1を通り中心軸線O1に垂直な直線に沿って中心軸線O1から離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線O1に向かう方向を意味するものとする。
本実施形態において、容器本体10は、胴部5の外郭を形成する外層体2と、外層体2の内面に分離可能に積層された内層体3とを備えている。図2に示すように、外層体2の上端部は、内層体3の上端部よりも下方に位置しており、口部4の上部は、内層体3のみによって形成されている。
内層体3における口部4は、図2に示すように、筒状の口部内壁4cと、口部内壁4cの上部において径方向外側に突出する環状突部4aと、口部内壁4cにおける環状突部4aの下方において径方向外側に向かって略水平方向に延びる係止フランジ4bとを備えている。
内層体3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(ナイロン)又はエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)などの合成樹脂材料によって外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成することができ、外層体2の内面に分離可能に積層されている。本実施形態では、内層体3は、外層体2と同じポリエチレンテレフタレートによって形成されている。なお、外層体2より内層体3の厚みを厚く構成してもよい。内層体3の内部は口部4の開口に連なる収容空間Sとなっており、この収容空間Sには、例えば、食用油、醤油等の食品調味料や飲料、あるいは化粧水などの化粧料、シャンプーやリンス、液体石鹸などのトイレタリーを内容物として収納することができる。なお、外層体2の内面に対する内層体3の分離は、接着状態からの分離、相溶性のない樹脂積層物の場合における擬似接着状態からの分離、密着状態からの離隔、の何れであってもよい。
一方、容器本体10を構成する外層体2は、図2に示すように、口部外壁4dと、口部外壁4dの上部において径方向外側に突出する環状突部4eと、環状突部4eの下方において径方向外側に向かって略水平方向に延びるネックリング8とを備えている。また、図2に示すように、口部外壁4dの上端部が係止フランジ4bの下面に当接し係止されることにより内層体3に対する外層体2の上下方向位置が定まっている。
外層体2は、図3に示すように、上端部から下方に向かって延在する複数のスリット6を備えている。スリット6は、口部4における外層体2の上端部に配置された環状突部4eからネックリング8を越えて肩部7の下部まで延びている。本実施形態では、スリット6は、周方向の8箇所に等間隔で設けられている。
スリット6の本数や長さ等は種々変更可能である。スリット6は、肩部7を越えて胴部5の一部まで達していてもよいし、肩部7の下端部で終端していてもよい。また、スリット6は、肩部7の途中で終端していてもよい。スリット6は、少なくとも口部4の下端部を越えて肩部7の一部まで延在していればよく、この構成によって、後述するようにスリット6が周方向に開くことで外層体2の上端部を拡径して内層体3を外層体2の外側に引き出し易くすることができる。なお、スリット6は、後述する第2実施形態のように、下端部が周方向に拡幅されていてもよい。
本実施形態では、スリット6が周方向に複数並べられて配置されている。この構成によって、外層体2の上端部が大きく且つ周方向に均等に拡径して内層体3を外層体2の外側にさらに引き出し易くすることができる。
ネックリング8は、例えば後述するプリフォーム11(図6参照)の延伸ブロー成形により容器本体10を成形する際に、ブロー成形用の金型の基準面にネックリング18の下面を当接させることによって、プリフォーム11が傾くことなく金型に装着することができる。
本実施形態において、外層体2の上端部から肩部7に亘ってスリット6が設けられているため、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に開いて肩部7の水平方向に対する傾斜が大きくなる方向に変形し、外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。
本実施形態では、スリット6が外層体2と内層体3を分離する際に外気導入溝の役割を果たしている。内層体3内の内容物の使用を終了すると、利用者は、合成樹脂製容器1をリサイクルするために、図5に示すように、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2内から上方に引き出すことによって分別する。このとき、外気導入溝として機能するスリット6を通じて外気が外層体2と内層体3との間の空間に導入されることで、内層体3が外層体2から容易に分離して、内層体3を外層体2の外側に容易に引き出すことができる。なお、スリット6以外に外部導入溝を更に設けるようにしてもよい。例えば、胴部5や底部9に更なる外気導入溝を設けてもよい。
外層体2は、この合成樹脂製容器1の容器本体10の外殻を構成するものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂材料により形成することができる。本実施形態では、外層体2はポリエチレンテレフタレートによって形成されている。外層体2の胴部5に相当する部分は可撓性を有しており、スクイズ(圧搾)されて凹むことができるとともに、凹んだ状態から元の形状に復元することができる。
容器本体10の口部4には、図2に示すように装着キャップ20が装着されている。本実施形態において装着キャップ20は、キャップ本体21と、キャップ本体21の図示しない注出孔を上方から覆う蓋体25とを備えている。
キャップ本体21は、図2に示すように、容器本体10の口部4を径方向外側から囲む外周壁21aと、外周壁21aの上端部に連なる天壁22と、外周壁21aの下端部に弱化部28cにより分離可能に設けられた離脱片28と、外周壁21aの径方向内側において天壁22から垂下するシール壁23と、シール壁23の径方向内側において天壁22から垂下し、シール壁23との間で口部内壁4cを挟持し液密にシールする内周壁24と、内周壁24の径方向内側において天壁22に設けられた注出孔とを備えている。
シール壁23の下端部内側には、口部内壁4cに設けられた環状突部4aとアンダーカット係合して装着キャップ20を容器本体10の内層体3に固定するための係合突部23aが設けられている。この環状突部4a及び係合突部23aは、内層体3の口部4(口部内壁4c)と装着キャップ20とを固定する第1係合部を構成している。
離脱片28は、装着キャップ20のキャップ本体21の外周壁21aの下端部に弱化部28cを介して設けられた円環状の部位である。離脱片28は、周壁28aと、周壁28aの径方向外側において周壁28aと一体に設けられた摘み部28bとを備えている。
摘み部28bは、周方向に延びる帯状の部位であり、利用者が摘み部28bを摘まんで径方向外側に引っ張ることで弱化部28cを引きちぎって周壁28aをキャップ本体21の外周壁21aから離脱させることができる。
離脱片28の周壁28aの下端部内側には、口部外壁4dに設けられた環状突部4eとアンダーカット係合して離脱片28を容器本体10の外層体2に固定するための係合突部28a1が設けられている。この環状突部4e及び係合突部28a1は、外層体2の上端部と装着キャップ20の離脱片28とを固定する第2係合部を構成している。
なお、本実施形態では、第1係合部及び第2係合部は、それぞれアンダーカット係合によって部材同士を固定する一対の係合部として構成したが、この態様には限定されない。例えば、第1係合部は、環状突部4a及び係合突部23aからなる構成に代えて、口部内壁4cの外面に設けた雄ねじ部に、シール壁23の内面に設けた雌ねじ部がねじ係合するように構成してもよい。
また、離脱片28を設ける代わりに、口部外壁4dの環状突部4eをキャップ本体21の外周壁21aと係合させて第2係合部を構成してもよい。この場合、第2係合部は、第1係合部よりも係合を解除し易く構成することが好ましい。
蓋体25は、図示しないヒンジ部によりキャップ本体21に一体形成されている。蓋体25は、外周壁21aの上方に外周壁21aと略同一径で設けられた蓋体周壁26と、蓋体周壁26の上端部を閉塞する頂壁27とを備えている。
蓋体周壁26の下部内面には、係合突部26aが設けられている。この係合突部26aが、キャップ本体21側の天壁22の外縁部の段部22bに設けられた環状突起22aにアンダーカット係合することによって、蓋体25はキャップ本体21に装着可能とされている。なお、係合突部26aと環状突起22aとの係合に代えて、蓋体25がキャップ本体21に対してねじ係合により装着されてもよい。
このような構成の合成樹脂製容器1は、例えば口部4が底部9よりも下方に位置するように傾倒させることで内容物を収容空間Sから外部に注出することができる。また、本実施形態の合成樹脂製容器1では、外層体2の上端部から肩部7にわたってスリット6を設けているため、このスリット6が設けられた領域近傍において内層体3が外層体2から分離し易くなっている。そのため、収容空間S内の内容物の使用を終了したとき、利用者は、このスリット6を起点として内層体3を外層体2から分離して、外層体2の外へと引き出すことが容易となる。
上述のような合成樹脂製容器1において、収容空間S内の内容物の使用を終え、容器をリサイクルするに際しては、利用者は、離脱片28の摘み部28bを摘まんで径方向外側に引っ張ることで弱化部28cを引きちぎって周壁28aをキャップ本体21から離脱させる(図4参照)。これによって、外層体2の環状突部4eと装着キャップ20の離脱片28の係合突部28a1との係合(第2係合部)が外れるので、利用者は、外層体2を片手で把持しながらもう一方の手で装着キャップ20を把持して上方に持ち上げることによって、装着キャップ20及び装着キャップ20と第1係合部により固定された内層体3を上方に引き上げることができる(図5参照)。
外層体2内部から内層体3を上方に引き出すと、図5に示すように引き出された内層体3が肩部7の外層体2を内側から押圧して径方向外側に押し広げるため、肩部7に設けたスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部が径方向外側に変位する。この外層体2の上端部の径方向外側への変形によって開口部が拡径するため、図4の状態と比較して内層体3を容易に外層体2の外側に取り出すことができる。
この合成樹脂製容器1を構成する容器本体10は、例えば図6に示す本開示の第1実施形態である合成樹脂製のプリフォーム11を延伸ブロー成形することにより形成することができる。
プリフォーム11は、外層体2を形成する合成樹脂製の外体12と、内層体3を形成する合成樹脂製の内体13とを備えた二重構造となっており、その外形形状は、円筒状の口部14と、この口部14の下方に連なる円筒状の胴部15と、この胴部15の下端を閉塞する底部19とを有する有底筒状(略試験管状)となっている。なお、口部14は、合成樹脂製容器1の口部4に対応した形状に形成されている。すなわち、プリフォーム11の口部内壁14c、口部外壁14d、環状突部14a,14e、係止フランジ14b及びネックリング18は、合成樹脂製容器1の口部内壁4c、口部外壁4d、環状突部4a,4e、係止フランジ4b及びネックリング8と略同一形状を備えている。つまり、プリフォーム11において、ネックリング18より上方は、延伸ブロー成形によってほとんど変形しない非延伸領域であり、合成樹脂製容器1の口部4と概ね同一形状となっている。プリフォーム11は、口部14のネックリング18から胴部15に向けて縮径する縮径部17を備えており、この縮径部17の領域では、図6に示すように、外体12と内体13とが径方向に離隔している。また、底部19は湾曲形状(半球形状)に形成されている。なお、符号O2は、口部14、胴部15及び底部19に共通の中心軸線を示している。
外体12の上端部から縮径部17の一部に至るまでスリット16が設けられている。本実施形態において、スリット16におけるネックリング18より下方は延伸部であり、延伸ブロー成形後の肩部7の一部を構成する。他方、スリット16の上部(ネックリング18及びその上方)は非延伸部であり、延伸ブロー成形後にも概ねそのままの形状が維持される。
外体12は、外層体2と同様の合成樹脂材料、つまりポリエチレンテレフタレート(PET)により形成されている。内体13も、内層体3と同様の合成樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成されている。内体13は外体12よりも厚みが薄く形成されており、外体12の内面に当該内面の全体を覆うように、隙間を空けて積層されている。この積層状態は、全体又は部分的に密着するように構成してもよい。なお、外体12より内体13の厚みを厚く構成してもよい。また、内体13(内層体3)は外体12(外層体2)との分離をしやすくするために外体12と異なる合成樹脂を使用してもよい。例えば外体12をPETとし、内体13をPPとすると、容易に分離し易くなる。また、内体13は単一の合成樹脂のみで形成される単層構造でもよいが、バリア性や耐内容物適正を向上させる為に複数の合成樹脂で形成される構造でもよい。
次に、本開示の第1実施形態に係る合成樹脂製容器1の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る合成樹脂製容器1の製造方法を実施する手順を示すフローチャートである。
最初に、容器本体10を延伸ブロー成形により製造するためのプリフォーム11の形成方法について説明する。まず、図6に示す上端部にスリット16を設けた外体12を射出成形によって成形する(ステップS101)。また、外体12の成形と並行して、内体13を別の射出成形工程によって成形する(ステップS102)。なお、図7では、外体12の成形に続いて内体13を成形するように記載しているが、両者の成形は独立して行うことができるため、成形順序は問わない。また、外体12及び内体13の成形は、射出成形に限定されず、圧縮成形等の他の成形方法を採用してもよい。
次に、ステップS102で形成された内体13の外周面を外体12の内周面に嵌合させることによって、プリフォーム11を形成する(ステップS103)。このプリフォーム11の形成に際しては、図6に示すように、内体13の口部14における口部内壁14cから径方向外側に突出する円環状の係止フランジ14bの下面に外体12の口部外壁14dの上端部が当接することによって、内体13が外体12に対して上下方向に位置決めされる。また、例えば内体13の外周面における周方向の一部に形成された凸部が外体12の内周面における周方向の一部に形成された凹部に嵌合するようにして両者の周方向位置を位置合わせするように構成してもよい。
次に、ステップS103で形成されたプリフォーム11を延伸ブロー成形することにより、積層容器である容器本体10を作成する(ステップS104)。この延伸ブロー成形に際しては、まず、プリフォーム11の延伸部を加熱炉で加熱する。このとき、非延伸部となる口部14については、断熱材等で被覆してもよい。次に、プリフォーム11の加熱状態からプリフォーム11のネックリング18をブロー成形用金型の基準面に突き当てて固定し延伸ブロー成形すると、外体12及び内体13が延伸ロッドにより下方に延伸しつつ高圧空気により径方向外側へとブロー成形される。
本実施形態では、口部4や胴部5を略円筒状に形成するようにしているが、これに限らず、例えば角筒状や楕円筒状とすることもできる。同様に、本実施形態のプリフォーム11では、口部14や胴部15を略円筒状に形成するようにしているが、これに限らず、例えば角筒状や楕円筒状とすることもできる。
次に、ステップS104で形成された容器本体10の内層体3内に内容物を充填した後、容器本体10の内層体3に、別工程で射出成形などにより形成された装着キャップ20を固定する(図7のステップS105)。装着キャップ20の固定には、容器本体10の口部内壁4cの上端部に設けられている環状突部4a(第1係合部の一方)を、装着キャップ20のシール壁23に設けられている係合突部23a(第1係合部の他方)にアンダーカット係合させる。このとき、容器本体10の口部外壁4dの上端部に設けられている環状突部4e(第2係合部の一方)も、装着キャップ20の離脱片28の周壁28aの下端部に設けられている係合突部28a1(第2係合部の他方)にアンダーカット係合する。ステップS105の実行により合成樹脂製容器1の製造が終了する。
以上述べたように、本実施形態に係る合成樹脂製容器1は、外層体2と外層体2の内面に分離可能に積層された内層体3とを有する容器本体10と、容器本体10に装着される装着キャップ20とを備える合成樹脂製容器1であって、容器本体10は、装着キャップ20が装着される筒状の口部4と、口部4の下方に位置し、内容物の収容空間Sを形成する胴部5と、胴部5の下端部を閉塞する底部9とを備え、外層体2の上端部は、内層体3の上端部よりも下方に位置し、外層体2は、上端部から下方に向かって延在するスリット6を有するように構成した。このような構成の採用によって、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。そして、内容物が付着した内層体3及び装着キャップ20と、内容物が付着していない外層体2とを容易に分別して合成樹脂製容器1をリサイクルすることができる。また、スリット6が外気導入溝の役割を果たすことによって、内層体3を外層体2から分離する際に、スリット6を通じて外層体2と内層体3との間に空気が導入されるため、スリット6が起点となって内層体3を外層体2から容易に分離させることができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂製容器1では、スリット6は、周方向に複数設けられるように構成した。このような構成の採用によって、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に大きく且つ均等に開いて外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を大きく且つ周方向に均等に拡径された外層体2の上端部を通してさらに容易に外部に取り出すことができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂製容器1では、内層体3の口部4及び装着キャップ20は、係合によって両者を固定する第1係合部を有し、外層体2の上端部及び装着キャップ20は、係合によって両者を固定する第2係合部を有するように構成した。このような構成の採用によって、第2係合部における外層体2の上端部と装着キャップ20との係合を解除することによって、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から上方に引き出し、スリット6が周方向に開くことで外層体2の上端部を拡径させて、内層体3を容易に外部に取り出すことができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂製容器1では、装着キャップ20の下部には、弱化部28cにより分離可能な離脱片28が設けられ、装着キャップ20側の第2係合部は、離脱片28に設けられるように構成した。このような構成の採用によって、利用者が内容物の使用を終えて容器を分別する際に、弱化部28cを引きちぎって離脱片28を装着キャップ20から離脱させることによって、第2係合部における外層体2の上端部と装着キャップ20との係合が自動的に解除される。これによって、利用者は、容易に装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から上方に引き出して外部に取り出すことができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂製容器1では、容器本体10は、口部4の下端部から下方に向けて拡径する肩部7をさらに備え、スリット6は、外層体2の上端部から少なくとも肩部7の一部まで延在するように構成した。このような構成の採用によって、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に開いて肩部7の水平方向に対する傾斜が大きくなる方向に変形し、外層体2の上端部を効果的に拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を肩部7まで拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。
また、本実施形態に係るプリフォーム11は、外体12と外体12の内面に積層された内体13とを有し、延伸ブロー成形に用いられる合成樹脂製のプリフォーム11であって、筒状の口部14と、口部14の下方に位置する胴部15と、胴部15の下端部を閉塞する底部19とを備え、外体12の上端部は、内体13の上端部よりも下方に位置し、外体12は、上端部から下方に向かって延在するスリット16を有するように構成した。このような構成の採用によって、上記構成を有するプリフォーム11を延伸ブロー成形して得られた容器本体10の内層体3に装着キャップ20を装着した合成樹脂製容器1において、装着キャップ20が装着された内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、スリット16のブロー成形により形成されたスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。そして、内容物が付着した内層体3及び装着キャップ20と、内容物が付着していない外層体2とを容易に分別して合成樹脂製容器1をリサイクルすることができる。また、スリット6が外気導入溝の役割を果たすことによって、内層体3を外層体2から分離する際に、スリット6を通じて外層体2と内層体3との間に空気が導入されるため、スリット6が起点となって内層体3を外層体2から容易に分離させることができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂製容器1の製造方法は、プリフォーム11の延伸ブロー成形による合成樹脂製容器1の製造方法であって、プリフォーム11は、外体12と外体12の内面に積層された内体13とを有するプリフォーム11であって、筒状の口部14と、口部14の下方に位置する胴部15と、胴部15の下端を閉塞する底部19とを備え、外体12の上端部は、内体13の上端部よりも下方に位置し、外体12は、上端部から下方に向かって延在するスリット16を有し、外体12及び内体13を成形するステップと、外体12の内周面に、内体13を嵌合させてプリフォーム11を形成するステップと、プリフォーム11を延伸ブロー成形して容器本体10を形成するステップとを含むように構成した。このような構成の採用によって、内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、スリット16のブロー成形により形成されたスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。そして、内容物が付着した内層体3及び装着キャップ20と、内容物が付着していない外層体2とを容易に分別して合成樹脂製容器1をリサイクルすることができる。また、スリット6が外気導入溝の役割を果たすことによって、内層体3を外層体2から分離する際に、スリット6を通じて外層体2と内層体3との間に空気が導入されるため、スリット6が起点となって内層体3を外層体2から容易に分離させることができる。
次に、本開示の第2実施形態にかかる容器本体110について、図面を参照して、具体的に例示説明する。
図8に示す本開示の第2実施形態である容器本体110は、外層体2と内層体3とを有する二重構造を備えている。容器本体110の外形形状は、円筒状の口部4と、この口部4の下方に位置すると共に口部4の下端部から下方に向けて拡径する肩部7と、肩部7の下方に連なり内容物の収容空間Sを形成する円筒状の胴部5と、この胴部5の下端部を閉塞する底部9とを有するボトル形状となっている。
容器本体110は、胴部5の外郭を形成する外層体2と、外層体2の内面に分離可能に積層された内層体3とを備えている。図8及び図9に示すように、外層体2の上端部は、内層体3の上端部よりも下方に位置しており、内層体3の上端に設けられた環状の係止フランジ4bが、外層体2の上端面に載置されている。
内層体3における口部4は、図9に示すように、筒状の口部内壁4cと、口部内壁4cの上端部から径方向外側に向かって略水平方向に延びる係止フランジ4bとを備えている。本実施形態の前記係止フランジ4bは円環状とされているが、複数の係止片で構成する等、その形状は限定されない。
内層体3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(ナイロン)又はエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)などの合成樹脂材料によって外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成することができ、外層体2の内面に分離可能に積層されている。本実施形態では、内層体3は、外層体2と同じポリエチレンテレフタレートによって形成されている。なお、内層体3と外層体2とは異なる合成樹脂材料とされてもよく、外層体2より内層体3の厚みを厚く構成してもよい。内層体3の内部は口部4の開口に連なる収容空間Sとなっており、この収容空間Sには、例えば、食用油、醤油等の食品調味料や飲料、あるいは化粧水などの化粧料、シャンプーやリンス、液体石鹸などのトイレタリーを内容物として収納することができる。なお、外層体2の内面に対する内層体3の分離は、接着状態からの分離、相溶性のない樹脂積層物の場合における擬似接着状態からの分離、密着状態からの離隔、の何れであってもよい。
一方、容器本体110を構成する外層体2は、図9に示すように、口部外壁4dと、口部外壁4dの上部において径方向外側に突出する環状突部4eと、環状突部4eの下方において径方向外側に向かって略水平方向に延びるネックリング8とを備えている。また、図9に示すように、口部外壁4dの上端部が係止フランジ4bの下面に当接し係止されることにより内層体3に対する外層体2の上下方向位置が定まっている。
外層体2は、図9に示すように、上端部から下方に向かって延在する複数のスリット6を備えている。スリット6は、口部4における外層体2の上端部に配置された環状突部4eからネックリング8を越えて肩部7の一部まで延びている。本実施形態では、スリット6は、周方向の4箇所に等間隔で設けられている。
本実施形態において、スリット6は、図9に示すように、外層体2の上端部から下方に向かって直線状に等幅で延在する等幅部6aと、スリット6の下端部において周方向に拡幅する拡幅部6bとを備えている。つまり、スリット6は上方に開口するとともに、径方向に貫通している。拡幅部6bは、図9に示すように、したたり落ちる液体が形成するかのような滴(しずく)状となっている。なお、拡幅部6bは、等幅部6aと比べて周方向に拡幅されていればよく、滴状形状のほか、三角形状、台形状、真円状、楕円状であってもよく、その形状は問わない。ただし、スリット6の下端部はR形状を備えていることが好ましい。本実施形態において、ネックリング8の下端部から拡幅部6bの下端部までの上下方向距離Hcは約8mmとされており、スリット6の下端部は肩部7において終端している。
上述のように、スリット6の下端部に形成された拡幅部6bがR面を有する滴状となることによって、スリット6を周方向に開きながら内層体3を外層体2から取り出す際にスリット6の下端部に応力集中が発生しにくく、スリット6が裂け難く構成されている。また、スリット6の下端部に滴状のR面を有する拡幅部6bが形成されることによって、外層体2の周方向におけるスリット6の間の口部外壁4dが径方向外側に開き易くなっており、内層体3を外層体2から取り出し易くなっている。
本実施形態において、このスリット6の拡幅部6bは、後述するプリフォーム111(図10参照)が2軸延伸ブロー成形される際にスリット16の下端部が周方向に延伸されて形成されるものである。ここで、スリット6の下端部外面の中心軸線O1からの径方向距離Bと、口部4の下端部外面の中心軸線O1からの径方向距離Aとは、 1.0<B/A≦1.4 の関係を有することが好ましく、 1.0<B/A≦1.2 の関係を有することがさらに好ましい。なお、径方向距離Aの基準となる口部4の下端部は、非延伸領域でありブロー成形の前後で実質的に大きさが変化しない部分である。本実施形態の口部4は、ネックリング8の直下にストレート部を有しており、当該ストレート部のうちの非延伸領域における外面と中心軸線Oとの径方向距離がAとなる。このような構成によって、プリフォーム111のスリット16の下端部における2軸延伸ブロー成形時の延伸量が所定以下とされるので、スリット6の下端部が裂けたり外層体2の口部4から肩部7にかけての剛性低下や外観不良の発生を抑制することができる。なお、プリフォーム111の形状にも関係するが、「B/A」はスリット16の下端部における延伸割合(延伸後の周方向長さ/延伸前の周方向長さ)となるように設計することがより好ましい。
スリット6の本数や長さ等は種々変更可能である。スリット6は、本実施形態のように肩部7の途中で終端する構成のほか、肩部7を越えて胴部5の一部まで達していてもよいし、肩部7の下端部で終端していてもよい。スリット6は、少なくとも口部4の下端部を越えて肩部7の一部まで延在していればよく、この構成によって、スリット6が周方向に開くことで外層体2の上端部を拡径して内層体3を外層体2の外側に引き出し易くすることができる。なお、口部4の範囲(下限)は、図9におけるネックリング8の下方において口部外壁4dの外径が変化していない範囲を指すものとする。
本実施形態では、スリット6が周方向に等間隔で複数並べられて配置されている。この構成によって、外層体2の上端部が大きく且つ周方向に均等に拡径して内層体3を外層体2の外側にさらに引き出し易くすることができる。
ネックリング8は、例えば後述するプリフォーム111(図10及び図11参照)の延伸ブロー成形により容器本体110を成形する際に、ブロー成形用の金型の基準面にネックリング18の下面を当接させることによって、プリフォーム111が傾くことなく金型に装着することができる。
本実施形態では、内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に開いて肩部7の水平方向に対する傾斜が大きくなる方向に変形し、外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、スリット6が外層体2と内層体3を分離する際に外気導入溝の役割を果たしている。内層体3内の内容物の使用を終了すると、利用者は、容器本体110をリサイクルするために、内層体3の係止フランジ4b(図9参照)を摘んで外層体2内から上方に引き出すことによって分別する。このとき、外気導入溝として機能するスリット6を通じて外気が外層体2と内層体3との間の空間に導入されることで、内層体3が外層体2から容易に分離して、内層体3を外層体2の外側に容易に引き出すことができる。なお、スリット6以外に外部導入溝を更に設けるようにしてもよい。例えば、胴部5や底部9に更なる外気導入溝を設けてもよい。
なお、外層体2を形成する材料については、第1実施形態と同様であり、ここでの更なる説明は省略する。外層体2の胴部5に相当する部分は可撓性を有しており、スクイズ(圧搾)されて凹むことができるとともに、凹んだ状態から元の形状に復元することができる。
容器本体110の口部4には、第1実施形態と同様に、装着キャップを装着してもよい。この場合、例えば内層体3の上端部に設けられた係止フランジ4bをさらに径方向外側まで延在させることによって、内層体3の係止フランジ4bを装着キャップに係合させるように構成することもできる。この構成によって、第1実施形態と同様に装着キャップを上方に引き上げることで装着キャップと係合した内層体3を外層体2内から外部に取り出すことができる。
このような構成の容器本体110は、例えば口部4が底部9よりも下方に位置するように傾倒させることで内容物を収容空間Sから外部に注出することができる。また、本実施形態の容器本体110では、外層体2の上端部から肩部7にわたってスリット6を設けているため、このスリット6が設けられた領域において外層体2が外側に拡径して内層体3が外層体2から分離し易くなっている。そのため、収容空間S内の内容物の使用を終了したとき、利用者は、このスリット6を起点として内層体3を外層体2から分離して、外層体2の外へと引き出すことが容易となる。
外層体2内部から内層体3を上方に引き出すと、引き出された内層体3が肩部7の外層体2を内側から押圧して径方向外側に押し広げるため、肩部7に設けたスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部が径方向外側に変位する。この外層体2の上端部の径方向外側への変形によって開口部が拡径するため、内層体3を容易に外層体2の外側に取り出すことができる。なお、スリット6の下端部に拡幅部6bが設けられているため、スリット6が周方向に開いてもスリット6の下端部に応力集中が発生しづらくなっている。
この容器本体110は、例えば図10及び図11に示す本開示の第2実施形態である合成樹脂製のプリフォーム111を延伸ブロー成形することにより形成することができる。
プリフォーム111は、外層体2を形成する合成樹脂製の外体12と、内層体3を形成する合成樹脂製の内体13とを備えた二重構造となっており、その外形形状は、円筒状の口部14と、この口部14の下方に連なる円筒状の胴部15と、この胴部15の下端を閉塞する底部19とを有する有底筒状(略試験管状)となっている。なお、口部14は、容器本体110の口部4に対応した形状に形成されている。すなわち、プリフォーム111の口部内壁14c、口部外壁14d、環状突部14e、係止フランジ14b及びネックリング18は、容器本体110の口部内壁4c、口部外壁4d、環状突部4e、係止フランジ4b及びネックリング8と略同一形状を備えている。つまり、プリフォーム111において、ネックリング18より上方は、非延伸領域であり、容器本体110の口部4と概ね同一形状となっている。なお、本明細書において、非延伸領域とは延伸ブロー成形の前後で実質的に大きさが変化しない領域である。また、ネックリング18の下方のストレート部についても、少なくともその上部が非延伸領域となっている。
外体12の上端部から下方に向けてスリット16が設けられている。そして、本実施形態では、スリット16の下端部がストレート部における延伸領域において終端しており、延伸ブロー成形後の肩部7の一部を構成する。他方、スリット16の上部は非延伸領域に配置されており、延伸ブロー成形後にも概ねそのままの形状が維持される。
プリフォーム111は、ストレート部の下端部から胴部15に向けて縮径する縮径部17を備えている。この縮径部17の領域は延伸領域となっており、図10に示すように、外体12と内体13とが径方向に離隔している。また、底部19は湾曲形状(半球形状)に形成されている。なお、符号O2は、口部14、胴部15及び底部19に共通の中心軸線を示している。
本実施形態において、プリフォーム111のスリット16は、上端部からネックリング18を越えてスリット16の下端部まで拡幅することなく、平面視で図11に示す形状を備えている。なお、図11は、図10に示すA-A断面による外体12のみを描いている。スリット16は、図11の上下方向に沿う第1面16aと、径方向に沿う第2面16bとを備えており、第1面16aを設けることでスリット16を形成する割型を図11の上下方向に容易に抜くことができるように構成されている。
本実施形態では、ネックリング18の下端部からスリット16の下端部までの上下方向距離Hpは約5mmとされており、スリット16の下端部は縮径部17の上端近傍において終端している。なお、上下方向距離Hpは、延伸ブロー成形後において 1.0<B/A≦1.4 の関係を満たすように解析やテスト成形等の結果を参考に設計されている。このようにプリフォーム111においてスリット16に拡幅部は設けておらず、図9に示す容器本体110の拡幅部6bは、あくまでプリフォーム111の2軸延伸ブロー成形時のスリット16下端部の周方向への延伸によって形成されている。スリット16は、射出成型時の金型により一体成形されてもよいし、射出成型されたプリフォーム111に後加工で形成してもよい。また、プリフォーム111にはスリット16を設けず、延伸ブロー成形後の容器本体110に後加工で設けてもよい。これは、上述の第1実施形態に係るプリフォーム11及び容器本体10についても同様である。
外体12は、外層体2と同様の合成樹脂材料、つまりポリエチレンテレフタレート(PET)により形成されている。内体13も、内層体3と同様の合成樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成されている。内体13は外体12よりも厚みが薄く形成されており、外体12の内面に当該内面の全体を覆うように、隙間を空けて積層されている。この積層状態は、全体又は部分的に密着するように構成してもよい。なお、外体12より内体13の厚みを厚く構成してもよい。また、内体13(内層体3)は外体12(外層体2)との分離をしやすくするために外体12と異なる合成樹脂を使用してもよい。例えば外体12をPETとし、内体13をPPとすると、容易に分離し易くなる。また、外体12及び内体13は単一の合成樹脂のみで形成される単層構造でもよいが、バリア性や耐内容物適正を向上させる為に複数の合成樹脂で形成される構造でもよい。
本実施形態に係る容器本体110の製造方法を実施する手順については、図7に示すステップS101からS104までの実行により第1実施形態の容器本体10を製造する手順と近似しているため、ここでの更なる説明は省略する。
以上述べたように、本実施形態に係る容器本体110は、外層体2と外層体2の内面に分離可能に積層された内層体3とを有する容器本体110であって、筒状の口部4と、口部4の下端部から下方に向かって拡径する肩部7と、肩部7の下方に連なり、内容物の収容空間Sを形成する胴部5と、胴部5の下端部を閉塞する底部9とを備え、外層体2の上端部は、内層体3の上端部よりも下方に位置し、外層体2は、上端部から下方に向かって延在するスリット6を有するように構成した。このような構成の採用によって、内層体3を外層体2から外部に取り出す際に、このスリット6が周方向に開いて外層体2の上端部を拡径させることができる。したがって、外層体2内に収容された内層体3を拡径された外層体2の上端部を通して容易に外部に取り出すことができる。そして、内容物が付着した内層体3と、内容物が付着していない外層体2とを容易に分別して容器本体110をリサイクルすることができる。また、スリット6が外気導入溝の役割を果たすことによって、内層体3を外層体2から分離する際に、スリット6を通じて外層体2と内層体3との間に空気が導入されるため、スリット6が起点となって内層体3を外層体2から容易に分離させることができる。
また、本実施形態に係る容器本体110では、スリット6は、下端部において周方向に拡幅する拡幅部6bを有するように構成した。このような構成の採用によって、スリット6を周方向に開きながら内層体3を外層体2から取り出す際にスリット6の下端部に応力集中が発生しにくく、したがってスリット6が裂け難く構成されている。また、スリット6の下端部に拡幅部6bが形成されることによって、外層体2の周方向におけるスリット6の間の口部外壁4dが径方向外側に開き易くなっており、内層体3を外層体2から取り出し易くすることができる。
また、本実施形態に係る容器本体110では、スリット6の下端部は、肩部7において終端し、スリット6の下端部外面の中心軸線O1からの径方向距離Bと、口部4の下端部外面の中心軸線O1からの径方向距離Aとは、 1.0<B/A≦1.4 の関係を有するように構成した。このような構成の採用によって、プリフォーム111のスリット16の下端部における2軸延伸ブロー成形時の延伸量が所定以下とされるので、スリット6の下端部が裂けたり外層体2の口部4から肩部7にかけての剛性低下や外観不良の発生を抑制することができる。
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、第1実施形態では、装着キャップ20が注出孔を備え、容器を傾けることにより内容物を外部に吐出させるものとして構成したが、この態様には限定されず、外層体2の胴部5を押圧により内容物を外部に吐出させる構成としてもよい。また、合成樹脂製容器1をポンプ付容器として用いてもよく、その場合には、装着キャップ20にポンプを装着するように構成してもよい。
また、第2実施形態では、スリット6の下端部に形成された拡幅部6bが滴状となるように構成したが、この態様には限定されない。等幅部6aに対して拡幅部6bの周方向幅が拡幅されていればよい。したがって、容器本体110の製造時におけるスリット6の下端部の延伸量を変えたり、プリフォーム111におけるスリット16の形状を見直したり、容器本体110を他の方法で形成するなどによって、滴状以外の形状を備えるようにしてもよい。拡幅部6bは、滴状形状のほか、三角形状、台形状、真円状、楕円状であってもよく、その形状は問わない。ただし、スリット6の下端部はR形状を備えていることが好ましい。
1 合成樹脂製容器
2 外層体
3 内層体
4 口部
4a 環状突部(第1係合部)
4b 係止フランジ
4c 口部内壁
4d 口部外壁
4e 環状突部(第2係合部)
5 胴部
6 スリット
6a 等幅部
6b 拡幅部
7 肩部
8 ネックリング
9 底部
10 容器本体
11 プリフォーム
12 外体
13 内体
14 口部
14a 環状突部
14b 係止フランジ
14c 口部内壁
14d 口部外壁
14e 環状突部
15 胴部
16 スリット
16a 第1面
16b 第2面
17 縮径部
18 ネックリング
19 底部
20 装着キャップ
21 キャップ本体
21a 外周壁
22 天壁
22a 環状突起
22b 段部
23 シール壁
23a 係合突部(第1係合部)
24 内周壁
25 蓋体
26 蓋体周壁
26a 係合突部
27 頂壁
28 離脱片
28a 周壁
28a1 係合突部(第2係合部)
28b 摘み部
28c 弱化部
110 容器本体
111 プリフォーム
O1,O2 中心軸線
S 収容空間

Claims (10)

  1. 外層体と該外層体の内面に分離可能に積層された内層体とを有する容器本体と、
    前記容器本体に装着される装着キャップと
    を備える合成樹脂製容器であって、
    前記容器本体は、
    前記装着キャップが装着される筒状の口部と、
    前記口部の下方に位置し、内容物の収容空間を形成する胴部と、
    前記胴部の下端部を閉塞する底部と
    を備え、
    前記外層体の上端部は、前記内層体の上端部よりも下方に位置し、
    前記外層体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有する、合成樹脂製容器。
  2. 前記スリットは、周方向に複数設けられている、請求項1に記載の合成樹脂製容器。
  3. 前記内層体の口部及び前記装着キャップは、係合によって両者を固定する第1係合部を有し、
    前記外層体の上端部及び前記装着キャップは、係合によって両者を固定する第2係合部を有する、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
  4. 前記装着キャップの下部には、弱化部により分離可能な離脱片が設けられ、
    前記装着キャップ側の前記第2係合部は、前記離脱片に設けられている、請求項3に記載の合成樹脂製容器。
  5. 前記容器本体は、前記口部の下端部から下方に向けて拡径する肩部をさらに備え、
    前記スリットは、前記外層体の上端部から少なくとも前記肩部の一部まで延在する、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
  6. 外体と該外体の内面に積層された内体とを有し、延伸ブロー成形に用いられる合成樹脂製のプリフォームであって、
    筒状の口部と、
    前記口部の下方に位置する胴部と、
    前記胴部の下端部を閉塞する底部と
    を備え、
    前記外体の上端部は、前記内体の上端部よりも下方に位置し、
    前記外体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有する、プリフォーム。
  7. プリフォームの延伸ブロー成形による合成樹脂製容器の製造方法であって、
    前記プリフォームは、外体と該外体の内面に積層された内体とを有するプリフォームであって、
    筒状の口部と、
    前記口部の下方に位置する胴部と、
    前記胴部の下端を閉塞する底部と
    を備え、
    前記外体の上端部は、前記内体の上端部よりも下方に位置し、
    前記外体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有し、
    前記外体、及び前記内体を成形するステップと、
    前記外体の内周面に、前記内体を嵌合させてプリフォームを形成するステップと、
    前記プリフォームを延伸ブロー成形して容器本体を形成するステップと
    を含む、合成樹脂製容器の製造方法。
  8. 外層体と該外層体の内面に分離可能に積層された内層体とを有する容器本体であって、
    筒状の口部と、
    前記口部の下端部から下方に向かって拡径する肩部と、
    前記肩部の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部と、
    前記胴部の下端部を閉塞する底部と
    を備え、
    前記外層体の上端部は、前記内層体の上端部よりも下方に位置し、
    前記外層体は、上端部から下方に向かって延在するスリットを有する、容器本体。
  9. 前記スリットは、下端部において周方向に拡幅する拡幅部を有する、請求項8に記載の容器本体。
  10. 前記スリットの下端部は、前記肩部において終端し、
    前記スリットの下端部外面の中心軸線からの径方向距離Bと、前記口部の下端部外面の中心軸線からの径方向距離Aとは、 1.0<B/A≦1.4 の関係を有する、請求項8又は9に記載の容器本体。
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