JP2023108813A - 神経障害性疼痛治療薬 - Google Patents

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寛子 宮岸
Hiroko MIYAGISHI
愛 高橋
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Abstract

【課題】副作用がなく、安全性が確立された、新規な作用機序の神経障害性疼痛治療薬または予防薬を提供することを目的とする。【解決手段】センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛治療薬または予防薬。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な神経障害性疼痛治療薬に関する。
痛み刺激は、末梢から脊髄を介して大脳皮質に至る痛覚伝導路で伝達され、痛みとして感知される。痛みは、組織損傷などが生じるような有害な刺激から身を守るために必要な生体の警告信号であるが、その痛みが長期化した慢性疼痛は治療の対象となる。なかでも、神経障害性疼痛は重症度が高く難治性の疾患である。
現在、我が国における神経障害性疼痛の治療は、薬物療法が中心であり、第一選択薬としてN型Ca2+チャネルα2δサブユニットリガンドのプレガバリン、セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害薬のデュロキセチンあるいは三環系抗うつ薬のアミトリプチリンが用いられている(非特許文献1)。これらの薬物治療で有益な効果が得られるのは一部の患者に留まるため、近年では抗てんかん薬のカルバマゼピンあるいはラモトリギンが用いられることもある。しかしながら、これら薬物は、眠気、眩暈あるいは悪心等の中枢性副作用を誘発することが知られている。さらに、第二選択薬としてμオピオイド受容体の作動作用とノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害作用を併せ持つトラマドール、第三選択薬としてオピオイド鎮痛薬のモルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、ブプレノフィンなどが用いられる(非特許文献1)が、オピオイド鎮痛薬も効果を示さない例も散見する。鎮痛薬として汎用されている非ステロイド性抗炎症薬は、神経障害性疼痛には無効とされている(非特許文献1)。
このように既存薬では、その治療効果は限定されており、神経障害性疼痛は現在もなおアンメットメディカルニーズの高い疾患である。そのため、新たな病態メカニズムの解明とそれに基づく新規治療法あるいは新規治療剤の開発が渇望されている。
一方、沖縄県宮古島で栽培されたキク科のセンダングサ属植物である、ビデンス・ピローサを加工した宮古ビデンス・ピローサエキス末(MBPともいう)には、これまでに、抗酸化作用(非特許文献2)、抗炎症作用(非特許文献3)、抗アレルギー作用(非特許文献3)、さらに筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスにおいて治療効果を示すことが報告されている(例えば特許文献1、非特許文献4参照)。しかし、上述の神経障害性疼痛に対するMBPの影響については知られていない。
特開2017-132739号公報
神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版(2016年7月30日発行) Kusano et al., Natural Medicines, 2003;57(3):100-104. Horiuchi et al., Journal of Health Science, 2006;52(6):711-717. Kosuge et al., Oxid Med Cell Longev. 2020 Jan 29;2020:1020673.
本発明は、副作用が少なく、安全性が確立された、新規な神経障害性疼痛治療薬または予防薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、難治性の神経障害性疼痛の新たな治療薬を開発するため、治療薬候補について試験したところ、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む組成物が、神経障害性疼痛の治療薬あるいは予防薬として有効であることを見いだし、上記目的を達成した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
〔2〕神経障害性疼痛が、術後痛、外傷後慢性疼痛、慢性内蔵痛、及び慢性筋骨格系疼痛からなる群より選択される、前記〔1〕記載の神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
〔3〕センダングサ属植物が、ビデンス・ピローサである、前記〔1〕若しくは〔2〕記載の神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
〔4〕センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛を緩和するための食品組成物。
本発明によれば、従来なかった、難治性の症例にも有効で、副作用が少なく、安全性が確立された、新規な神経障害性疼痛治療薬または予防薬が提供される。神経障害性疼痛の既存の治療薬は、眠気、眩暈あるいは悪心等の中枢性副作用を誘発するという副作用を有していること、難治性の症例ではオピオイド系鎮痛薬でも効果を示さないこと、鎮痛薬として汎用されている非ステロイド性抗炎症薬は神経障害性疼痛には無効とされていることから、本発明の神経障害性疼痛治療薬または予防薬は極めて有用性が高いといえる。
右肢坐骨神経を半周結紮した坐骨神経部分結紮モデルマウス(n=10~11)の右足にMBPを投与した後の痛みをアロディニア反応により測定した結果を示すグラフである。 右肢坐骨神経を半周結紮した坐骨神経部分結紮モデルマウス(n=10~11)の左足にMBPを投与した後の痛みをアロディニア反応により測定した結果を示すグラフである。 右肢坐骨神経を半周結紮した坐骨神経部分結紮モデルマウス(n=10~11))の体重変化を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の1つの実施態様は、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛治療薬または予防薬である。
(センダングサ属植物)
本発明に使用されるセンダングサ属植物は、特開2001-178390号公報及び特開2001-233727号公報に記載されるように、学名ではビデンス(Bidens)属と言われる一群の植物である。種類も多岐に亘り互いに交配するので変種も多く、植物学上も混乱が見られ、学名、和名、漢名、の対応も交錯していて同定することは極めて困難であるが、本発明で用いられるセンダングサ属植物は以下に掲げるものを包含する。
Bidens pilosa L.(コセンダングサ、コシロノセンダングサ、咸豊草)
Bidens pilosa L. var. minor (Blume)Sherff(シロバナセンダングサ、シロノセンダングサ、コシロノセンダングサ、コセンダングサ、咸豊草)
Bidens pilosa L. var. bisetosa Ohtani et S.Suzuki(アワユキセンダングサ)
Bidens pilosa L. f. decumbens Scherff(ハイアワユキセンダングサ)
Bidens pilosa L. var. radiata Scherff(タチアワユキセンダングサ、ハイアワユキセンダングサを含むこともある)
Bidens pilosa L. var. radiata Schultz Bipontinus (シロノセンダングサ、オオバナノセンダングサ)
Bidens biternata Lour. Merrill et Sherff(センダングサ)
Bidens bipinnata L.(コバノセンダングサ、センダングサ)
Bidens cernua L.(ヤナギタウコギ)
Bidens frondosa L.(アメリカセンダングサ、セイタカタウコギ)
Bidens maximowicziana Oett(羽叶鬼針草)
Bidens parviflora Willd(ホソバノセンダングサ)
Bidens radiata Thuill. var. pinnatifida(Turcz.)Kitamura(エゾノタウコギ)
Bidens tripartita L.(タウコギ)
上記センダングサ属植物の中で、特にビデンス・ピローサ(Bidens pilosa)類が、効果の観点から好ましい。
上記センダングサ属植物の使用部位は、根、地上部(茎、葉、花等)または全草いずれの部位を用いてもよい。特に、葉及び茎の部分を使用することが効力の点において好ましい。
上記センダングサ属植物は、生で用いても良いが、乾燥物、あるいは加工乾燥物でもよい。通常、生の植物を天日乾燥または熱風(例えば70~80℃)乾燥したもの、または蒸気で、例えば1時間~1時間半程度蒸した後、乾燥したものを使用する。また、特開2001-178390の方法により加工乾燥した物を用いてもよい。
さらに、常温または加温下に水または含水溶媒を添加して抽出したものを用いてもよい。抽出方法としては例えば、浸漬して静置、またはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出物を得ることもできる。
抽出若しくは固液分離後に、濃縮物として使用する場合、濃度を調整した後そのまま用いてもよい。また、抽出物は、脱色、不要物除去のため活性炭処理、HP20等の樹脂処理、低温放置、瀘過等の処理を施してから用いてもよい。さらに当該抽出物を適当な分離手段、例えばゲル瀘過法やシリカゲルカラムクロマト法、または逆相若しくは順相の高速液体クロマト法により活性の高い画分を分画して用いることもできる。本発明においてセンダングサ属植物にはこのような分画物も含むものとする。また使用目的に応じて他の成分を混合してもよい。
上記のように得られた加工乾燥物を抽出前または後に酵素により処理を行ってもよい。
酵素処理は酵素の種類によって異なるが、通常20~90℃の温度範囲で、1~50時間程度行うことが好ましい。また、反応液のpHは酵素の種類にもよるが、通常3.5~9.0程度、好ましくは3.5~6.0の範囲に調整して処理することが好ましい。加工乾燥物をそのまま用いる場合には、加工乾燥物1kgに対して、1~30Lの水または30%以上含水の親水性有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール等)を添加して酵素処理を行ってもよい。
酵素の種類は、多糖類加水分解酵素が特に好ましく、セルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、マンナーゼ、マセレイティングエンザイム、アミラーゼ、グルコシダーゼ、プルラナーゼがより好ましい。セルラーゼとペクチナーゼを組み合わせて使用することが最も好ましい。
本発明において酵素はAsp.nigerなどの菌類由来のものを初めとして様々な由来のものを使用することができる。また、酵素を含有する微生物の培養液、麹などの培養物そのもの、あるいはそれらの抽出物を用いてもよい。
使用する酵素の量は、基質の全質量(乾燥質量)に対して、0.001~10質量%程度添加することが好ましい。2種類以上使用する場合には合計がこの範囲となればよい。
酵素処理終了後、酵素を高温(90~120℃)で失活させることが好ましい。失活後、フィルタープレスまたは遠心分離等の工程を加えて固液分離し、清澄な液相を使用することが好ましい。
また酵素処理後、抽出溶媒によりさらに抽出処理を行ってもよい。
酵素を作用させる前またはさせた後、抽出に使用される溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン等のアルコール類、並びにこれらの含水物、アセトン、エチルメチルケトン、クロロホルム、塩化メチレン及び酢酸エチル、並びにそれらの含水物を用いてもよい。また、上記溶媒を二種以上含む混合物であってもよい。溶媒の添加量は、例えば用いる植物の合計乾燥重量1kgに対して1L~100L程度使用することができる。本発明において特に水(熱水を含む)抽出が好ましい。
抽出時の温度は、通常、室温~沸点程度で行うことができる。また、抽出時間は、温度や溶媒にもよるが、室温~沸点程度で抽出を行う場合には、1~300時間程度の範囲にわたって行うことができる。
抽出液は必要により溶媒を留去濃縮して濃縮物または固形物(乾燥物)としてもよい。
濾液または抽出液を濃縮し、乾燥することにより、本発明のセンダングサ属植物の抽出物を得ることができる。
(神経障害性疼痛)
神経障害性疼痛とは、神経、脊髄、または脳の損傷や機能障害によって起こる痛みであり、末梢神経系あるいは中枢神経系における損傷又は機能障害に起因する疼痛である。神経障害性疼痛は重症度が高く難治性の疾患である。
具体例としては、術後痛および外傷後慢性疼痛、慢性内蔵痛、慢性筋骨格系疼痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害に伴う痛み・しびれ、坐骨神経痛、三叉(さんさ)神経痛、脳卒中後疼痛や脊髄損傷後疼痛等、薬物療法、放射線療法による神経障害性疼痛、癌性疼痛、さらには、ギランバレー症候群、ハンセン病、多発性硬化症が挙げられる。
特に、本発明においては、坐骨神経痛、三叉(さんさ)神経痛、術後痛および外傷後慢性疼痛に対する効果が高いことが予想される。
神経障害性疼痛の症状としては、灼熱痛、チクチク感等があり、深部痛と言われる、奥のほうの疼くような痛みを伴う事もある。触覚が非常に敏感になり、軽く触れられただけで痛みを感じる場合もある。
本発明者らは、難治性の神経障害性疼痛の治療薬候補のスクリーニングのため、坐骨神経半結紮(partial sciatic nerve ligation, PSL)マウスを神経障害性疼痛モデルとして、疼痛行動に及ぼす影響を検討した。臨床ではモルヒネに抵抗性であることが多く、PSLマウスはモルヒネに無効または軽度の効果しか示さないという理由から、難治性あるいは抵抗性の神経障害性疼痛の治療薬候補のスクリーニング用マウスとして有用であると考えられる(J Pharmacol Exp Ther., 2004;309:380-387、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)2006;127:151-15)。
(治療薬あるいは予防薬の形態/投与量/投与方法)
本発明の治療薬あるいは予防薬の投与経路は、特に限定されず、経口投与、髄腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下または皮内等への注射、吸入、直腸内、鼻腔内投与及び点鼻、点耳、点眼、経皮投与等が挙げられる。なかでも、本発明の医薬は経口投与するのが好ましい。
本発明の治療薬あるいは予防薬の投与量は、神経障害性疼痛の症状の程度、患者の年齢や体重などの諸条件に応じて適宜選択可能である。経口で投与する場合には、センダングサ属植物エキス固形分に換算して、0.001~5g/kg体重/日程度投与することが好ましく、0.01~2g/kg体重/日程度投与することがさらに好ましい。
経口で投与する場合には、センダングサ属植物エキスの乾固物をそのまま、あるいはデキストリン等の賦形剤を添加して、粉末、錠剤顆粒剤、ハードカプセル等の剤形に形成して投与してもよい。また、上述のとおり、水または湯に植物乾燥物を添加してその場で抽出して飲用することも可能である。錠剤等に成型する場合には従来知られている担体、倍散剤、崩壊剤、滑沢剤等を用いることができる。
経皮投与する場合には、例えば、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、溶液、チック剤等の剤形に形成して皮膚に適用してもよい。
本発明の、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛治療薬または予防薬は、さらに、既存の神経障害性疼痛治療薬または予防薬と併用してもよい。
本発明の治療薬あるいは予防薬と併用しうる既存の神経障害性疼痛治療薬または予防薬としては、N型Ca2+チャネルα2δサブユニットリガンドのプレガバリン、セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害薬のデュロキセチンあるいは三環系抗うつ薬のアミトリプチリン、トラマドール、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、ブプレノフィン等が挙げられる。
(食品組成物あるいは食品形態)
本発明は、さらにセンダングサ属植物の乾燥物若しくは抽出物を有効成分として含む、上述した神経障害性疼痛を緩和するための食品組成物を提供する。
食品の形態は特に限定されず、いずれの食品であってもよい。例えば、センダングサ属植物の抽出物の乾固物をそのまま、あるいはデキストリン等の賦形剤を添加して、粉末、錠剤顆粒剤、ハードカプセル等の剤形に形成してサプリメント食品としてもよい。また、お茶、ジュースなどの飲料品であってもよい。
(モデル動物)
モデル動物として、1990年にSeltzerらによって報告された(Selzer Z. et al, Pain, 43, 205-218 (1990))ラット坐骨神経半周結紮モデルをマウスに応用し、イソフルラン(導入4%,維持2%)麻酔下において、ICRマウス(6週齢、オス)のいくいk皮膚を切開後、右後肢坐骨神経を手術用縫合糸ネスコスーチャー(アルフレッサファーマ)で半周結紮し、皮膚を縫合することで作製した坐骨神経部分結紮モデルマウス(partial sciatic nerve ligated mice: PSLマウスを用いた。なお、本研究は、動物実験委員会の審議を経て承認を受けている(AP20PHA004-1)。
(MBPの製造)
宮古島で栽培されたビデンス・ピローサ(Bidens pilosa L. var. radiate Sch)の加工乾燥物(特開2001-178390の方法により加工した乾燥物)100kgを1800Lの熱水に2時間浸漬後、pH4.5、50℃に調整してセルラーゼ(阪急バイオインダストリー(株)のセルロシンAC-40)とペクチナーゼ(セルロシンPE-60)各200gを添加して攪拌後、一夜置いた。その後、90℃で1時間加熱して酵素を失活させ、濾過して固形物を除去し、濾液を減圧濃縮した。減圧濃縮物に、デキストリン8kgを添加混合し、噴霧乾燥した。得られた乾燥粉末物(MBP(乾燥物))は40kgであった。なお、以下の実験において、MBPの量を述べる場合には、乾燥粉末中のビデンス・ピローサの固形物量に換算した値を述べる。例えば、「MBP1g」とは、「デキストリンを含まないビデンス・ピローサエキスの乾燥固形物に換算した1g」を意味し、これはデキストリンを含む粉末の1.25gに相当する。
(投与方法)
PSLマウスに対して、神経結紮直後から21日後まで、原則、午前中(10:00~12:00)にマウス用経口ゾンデを用いて一日一回経口投与を行った。なお、初日Day0は、マウスが麻酔から覚醒した後に投与した。具体的には、MBPを0.1g/mLの濃度で注射用水(大塚製薬)に溶解し、体重10gあたり0.2mL経口投与した(2g/kg/day)(PSL-MBP)(n=11)。対照群には、注射用水(大塚製薬)を同様に経口投与した(PSL-Water)(n=11)。また、皮膚の切開、縫合のみを行った偽処置群にも、注射用水(大塚製薬)を同様に経口投与した(Sham-Water)(n=10)。
(体重測定)
試験したマウスについて毎日体重を計測して記録した(図2)。
(疼痛評価方法)
触刺激に対するアロディニア反応は、神経結紮1日、3日、5日、7日、10日、14日、17日、および21日日後に測定した。機械的アロディニアは、マウスの両足底にvon Frey filament(North Coast Medical, Inc.)刺激を与えて逃避反応が出現する最小圧力をup-down法(Horiguchi, N et al., Pharmacol. Biochem. Behav., 113, 46-52.(2013))にて評価した。なお、各測定前にはポリプロピレン製の網上に設置したアクリル製円筒(直径9cm、高さ20cm)内でマウスを最低1時間馴させ、無拘束下にて測定を行った。
データは、平均値±標準誤差で示した。有意差判定は、Two-way repeated measures ANOVAを行い、post-hocにはTukey's multiple comparisons testを用いた。
(結果及び考察)
MBPを経口投与したPSLマウスでは、未治療のマウスと比較して、神経結紮側後肢(右肢)における逃避閾値の低下が有意に抑制された。より詳細には以下のとおりである。
結紮側後肢(右肢)では、PSL-Water群はSham-water群と比較して疼痛閾値が時間依存的に低下、その低下は7日目以降も維持された(神経結紮1日後p<0.001、3日後p<0.001、7日後p<0.05、10日後p<0.01、14日後p<0.001、17日後p<0.001、21日後p<0.01 vs Sham-Water)(図1A)。このように、PSL-Water群では、通常では痛みを感じない触刺激においてアロディニア反応を示した。一方、PSL-MBP群では、PSL-Water群と比較して、疼痛閾値の低下が、神経結紮7日後より抑制され(神経結紮7日後p<0.01、10日後p<0.001、14日後p<0.01、17日後p<0.01、21日後p<0.001 vs PSL-Water)(図1A)、PSL-MBP群ではPSL-Water群と比較してアロディニア反応が改善した。
これに対して、非結紮側後肢(左肢)では、Sham-Water群、PSL-Water群、PSL-MBP群のいずれの群においても疼痛閾値に差は認められなかった(図1B)。
以上のように、MBPは神経障害性疼痛の疼痛維持期で、一部ではあるもののアロディニア改善作用または悪化抑制作用を有することが明らかとなった。また、MBPは、反対側肢での正常な痛覚閾値に対しては影響をあたえないため、急性侵害性刺激などによる生理的な疼痛は阻害しないことが示唆される。
マウスの体重の経時変化について検討した(図2)。溶媒である注射用水を投与したSham群およびPSL群においては、体重に有意な差はなく、MBP投与による体重変化も認められなかった。いずれの群の体重も、時間依存的なゆるやかな増加傾向を示した。したがって、PSL手術は体重の変化に影響を及ぼさず、鎮痛閾値以外には影響を及ぼさない侵襲性の低い処置であることが明らかである。同様に、MBP投与も侵襲性が低いことが示唆される。

Claims (4)

  1. センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
  2. 神経障害性疼痛が、術後痛、外傷後慢性疼痛、慢性内蔵痛、及び慢性筋骨格系疼痛からなる群より選択される、請求項1記載の神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
  3. センダングサ属植物が、ビデンス・ピローサである、請求項1若しくは2記載の神経障害性疼痛治療薬または予防薬。
  4. センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分として含む、神経障害性疼痛を緩和するための食品組成物。
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