JP2023107030A - インピーダンス測定システムおよび方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のインピーダンス測定装置の干渉による、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制し、高精度なインピーダンス測定を可能にする。【解決手段】第1のインピーダンス測定装置1および第2のインピーダンス測定装置2のそれぞれは、測定信号供給部と、変調信号により同期検波し低域通過濾波した濾波信号を生成する測定部と、濾波信号の平均に基づいて測定対象のインピーダンスを求める演算部とを備え、第2のインピーダンス測定装置2の測定信号と変調信号とが、測定期間の1/2n(nは自然数)の第1の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、第2のインピーダンス測定装置2の測定信号の位相が変化し、第2のインピーダンス測定装置2の演算部は、平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された濾波信号の大きさの符号を反転する。【選択図】図1
Description
本発明は、インピーダンス測定システムおよび方法に関し、同期検波を利用した複数のインピーダンス測定装置を備えるインピーダンス測定システムおよび方法に関する。
被測定物の内部インピーダンスを測定する装置として、4端子インピーダンス測定装置がある。4端子インピーダンス測定装置は、測定対象に信号源から交流の測定信号を供給し、測定信号によって測定対象に生ずる信号を検出し、測定対象に流れる電流と測定対象の両端子間電圧とから、測定対象の内部インピーダンスを求める。
このとき、検出信号に含まれる測定信号の周波数成分を精度よく抽出するために、特許文献1に記載されているような同期検波が利用されることがある。同期検波を利用した4端子インピーダンス測定は、まず、測定信号によって測定対象に生じる検出信号を、測定信号と同相および位相が90度異なる2つの変調信号で検波する。すると、検出信号に含まれる測定周波数成分は直流に変換されるため、同相の変調信号で検波した検波信号には、測定対象の抵抗成分に比例する直流成分が含まれる。また、検出信号を測定信号と直交する位相で検波した検波信号には、測定対象のリアクタンス成分に比例する直流成分が含まれる。それぞれの検波信号をローパスフィルタ(LFP)で濾波して直流成分を抽出してその大きさを測定し、数値処理を行うことにより、測定対象の内部インピーダンスを求めることができる。
複数のインピーダンス測定装置により、インピーダンス測定を並行して行う場合、インピーダンス測定装置の測定信号に起因して発生するノイズが、他のインピーダンス測定装置の検出回路に入力される相互干渉が生じる。検波信号には、検出信号の周波数と測定信号の周波数との差の周波数成分が含まれるが、各インピーダンス測定装置の測定信号の周波数が近接する場合、特に同一または略同一の周波数である場合には、検出信号に含まれるノイズ信号の周波数が低周波に変調されてしまい、LPFによる除去が困難になるという課題がある。
この干渉の影響を低減するために、信号処理などで干渉の影響を補償する方法が考えられる。しかしながら、干渉の影響量は、測定ケーブルの作るループ形状や周囲の金属との位置関係による磁気結合の状態、干渉相手の測定信号の状態などで変動してしまい、常に一定の影響量を保つことは容易でないため、高精度な補償を行うことは非常に困難である。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、複数のインピーダンス測定装置の干渉による、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制し、高精度なインピーダンス測定を可能にすることを目的とする。
上記課題は、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置を備え、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれに接続される測定対象のインピーダンスを求めるインピーダンス測定システムであって、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれは、所定の測定期間にわたって、測定対象に測定信号を供給する測定信号供給部と、測定期間にわたって、測定信号によって測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成する測定部と、測定期間にわたる、濾波信号の大きさの平均に基づいて、測定対象のインピーダンスを求める演算部とを備え、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置の測定信号は、略同一の周波数を有し、第1のインピーダンス測定装置の測定信号および変調信号は、測定期間にわたって、一定の位相角を有し、第2のインピーダンス測定装置の変調信号は、測定期間にわたって、一定の位相角を有し、第2のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、測定期間の1/2n(nは自然数)の第1の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、第2のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化し、第2のインピーダンス測定装置の演算部は、平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された濾波信号の大きさの符号を反転するインピーダンス測定システムによって、解決することができる。
かかる構成により、第2のインピーダンス測定装置の測定信号は、測定期間の半分の期間が正相、残りの半分の期間が逆相となる。したがって、第1のインピーダンス測定装置の検出回路に入力される、第2のインピーダンス測定装置の測定信号に起因するノイズも、測定期間の半分の期間と残りの半分の期間とで逆相となる。したがって、測定期間にわたって、濾波信号の大きさの平均をとることにより、濾波信号に含まれるノイズ成分を相殺することができる。また、第2のインピーダンス測定装置において、測定信号によって測定対象に生ずる信号に起因する濾波信号の成分は、測定期間の半分の期間と残りの半分の期間とで逆相となる。一方、第2のインピーダンス測定装置の検出回路に入力される、第1のインピーダンス測定装置からのノイズ信号に起因する濾波信号の成分は、測定期間全体にわたって同相となる。したがって、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された濾波信号の大きさの符号を反転した後に、測定期間にわたって濾波信号の大きさの平均をとることによって、濾波信号に含まれるノイズ成分を相殺することができる。そして、ノイズ成分が抑制された濾波信号の大きさに基づいて、測定対象のインピーダンスを求めることにより、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制した高精度なインピーダンス測定が可能となる。
なお、本願において、「同期検波」とは、測定信号と同一周波数の変調信号および該変調信号と位相が90度異なる信号で検波することを意味する。したがって、同期検波により2つの検波信号が生成され、それぞれを低域通過濾波した2つの濾波信号が生成される。
また、インピーダンス測定システムは、測定期間にわたって、測定対象に測定電流を供給する測定信号供給部と、測定期間にわたって、測定信号によって測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成する測定部と、測定期間にわたる、濾波信号の大きさの平均に基づいて、測定対象のインピーダンスを求める演算部とを備える第3のインピーダンス測定装置をさらに備え、第3のインピーダンス測定装置の測定信号は、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置の測定信号と略同一の周波数を有し、第3のインピーダンス測定装置の変調信号は、測定期間にわたって、一定の位相角を有し、第3のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、第1の反転周期の1/2(は自然数)の第2の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、第3のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化し、第3のインピーダンス測定装置の演算部は、平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された濾波信号の大きさの符号を反転することが望ましい。
かかる構成により、第3のインピーダンス測定装置の測定信号は、測定期間の半分の期間が正相、残りの半分の期間が逆相となる。したがって、第1のインピーダンス測定装置と第3のインピーダンス測定装置との間の干渉によるノイズの影響は、上述した第1のインピーダンス測定装置と第2のインピーダンス測定装置との間の干渉と同様の原理により抑制することができる。
また、任意の第1の反転周期(第2のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化する周期)の期間に着目すると、第2のインピーダンス測定装置の位相角は一定で、第3のインピーダンス測定装置の測定信号は、半分の期間が正相、残りの半分の期間が逆相となっている。したがって、着目した期間において、第2のインピーダンス測定装置と第3のインピーダンス測定装置との間の干渉は、上述した第1のインピーダンス測定装置と第2のインピーダンス測定装置の干渉と同様な関係が成立することがわかる。したがって、第2のインピーダンス測定装置と第3のインピーダンス測定装置との間の干渉によるノイズも、上述した第1のインピーダンス測定装置と第2のインピーダンス測定装置との間の干渉と同様の原理により抑制することができる。そして、ノイズ成分が抑制された濾波信号の大きさに基づいて、測定対象のインピーダンスを求めることにより、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制した高精度なインピーダンス測定が可能となる。
さらに、上記課題は、上述したインピーダンス測定装置によって実施されるインピーダンス測定方法、すなわち、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれに接続される測定対象のインピーダンスを求めるためのインピーダンス測定方法であって、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、所定の測定期間にわたって、測定対象に測定信号を供給するステップと、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、測定期間にわたって、測定信号によって測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成するステップと、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、測定期間にわたる、濾波信号の大きさの平均に基づいて、測定対象のインピーダンスを求めるステップとを含み、第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置の測定信号は、略同一の周波数を有し、第1のインピーダンス測定装置の測定信号および変調信号は、測定期間にわたって、一定の位相角を有し、第2のインピーダンス測定装置の変調信号は、測定期間にわたって、一定の位相角を有し、低域通過濾波した濾波信号を生成するステップは、第2のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、測定期間の1/2n(nは自然数)の第1の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、第2のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化するステップを含み、第2のインピーダンス測定装置が、平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された濾波信号の大きさの符号を反転するステップをさらに含むインピーダンス測定方法によっても解決することができる。
本発明に係るインピーダンス測定システムおよび方法によれば、複数のインピーダンス測定装置の干渉による、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制し、高精度なインピーダンス測定を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施形態の具体例について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の一例であるインピーダンス測定システム4を、測定対象61、62、63に接続した状態の概略構成図である。インピーダンス測定システム4は、3台のインピーダンス測定装置1、2、3を備え、各インピーダンス測定装置1、2、3には、それぞれの測定対象61、62、63が接続されている。インピーダンス測定装置1は、他の2台のインピーダンス測定装置2、3に接続され、インピーダンス測定システム4全体の動作を制御している。インピーダンス測定装置1、2、3間の接続は、有線接続であっても、無線接続であっても、ネットワークを介した接続であってもよい。インピーダンス測定装置1、2、3は、互いに近接して配置されているため、相互干渉が生ずる。
次に、各インピーダンス測定装置1、2、3の構成について説明する。図2は、インピーダンス測定装置1を、測定対象61に接続した状態の概略構成図であり、図3は、インピーダンス測定装置2、3を、それぞれの測定対象62、63に接続した状態の概略構成図である。図2、3において、同様な機能を有する構成要素には、同一の参照番号を付した。
インピーダンス測定装置1は、測定信号供給部10と、測定部20と、信号発生部35と、演算部41とを備える。インピーダンス測定装置1は、測定期間Mにわたって、測定信号供給部10から測定用の測定信号Imを、測定対象61の両端子のそれぞれに接触する接触端子51、53を介して、測定対象61に供給し、測定部20で、測定信号Imによって測定対象61の両端子のそれぞれに接触する接触端子52、54間に生ずる信号Vmを検出し、検出信号Vmを変調信号Vmod1により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号Vi、Vqを生成し、測定期間Mにわたる、濾波信号Vi、Vqの大きさの平均に基づいて、測定対象61の内部インピーダンスZおよび位相角θを求める装置である。測定信号Imの基準となる参照信号Vr2と、検出信号Vmを同期検波するための変調信号Vmod1の基準となる参照信号Vr1とは、信号発生部35で発生される。
なお、前述のとおり、同期検波は、測定信号Imと同一周波数の変調信号Vmod1および該変調信号と位相が90度異なる信号Vmod2で検波することを意味する。説明の便宜上、変調信号Vmod1と位相が90度異なる信号Vmod2を変調信号Vmod2と呼ぶが、本願発明において、各インピーダンス測定装置の変調信号の位相角とは、各インピーダンス測定装置の変調信号Vmod1の位相角を意味する。
測定信号供給部10は、信号発生部35および接触端子51、53に接続され、信号発生部35から入力された参照信号Vr2と同一周波数かつ同相の測定信号Imを生成する信号源を備える。生成された測定信号Imは、接触端子51、53を介して、接触端子51、53に接続された測定対象61に供給される。
測定部20は、信号発生部35、演算部41および接触端子52、54に接続され、検出回路21と、90度移相器26と、2つのローパスフィルタ(LPF)24、25と、2つの乗算器22、23とを備える。
検出回路21は、入力が接触端子52、54に、出力が乗算器22、23に接続されている。検出回路21は、測定信号Imによって測定対象61の両端子のそれぞれに接触する接触端子52、54間に生ずる信号を検出して、検出信号Vmを出力する。
90度移相器26は、入力が信号発生部35に、出力が乗算器23に接続されている。90度移相器26は、信号発生部35から受信した参照信号Vr1の位相を90度移相して、変調信号Vmod2を生成する。
乗算器22、23は、同期検波を行う検波器である。乗算器22は、入力が検出回路21および信号発生部35に、出力がLPF24に接続されている。乗算器22は、信号発生部35から受信した参照信号Vr1と同一周波数かつ同相の変調信号Vmod1で、検出回路21から受信した検出信号Vmを検波し、検波信号Vd1を出力する。乗算器23は、入力が検出回路21および90度移相器26に、出力がLPF25に接続されている。乗算器23は、90度移相器26から受信した、参照信号Vr1と同一周波数かつ位相が直交する変調信号Vmod2で、検出回路21から受信した検出信号Vmを検波し、検波信号Vd2を出力する。
LPF24、25は、入力がそれぞれ対応する乗算器22、23に接続され、出力が演算部41に接続されている。LPF24は、乗算器22から出力された検波信号Vd1を低域通過濾波して直流成分を抽出した濾波信号Viを生成する。LPF25は、乗算器23から出力された検波信号Vd2を低域通過濾波して直流成分を抽出した濾波信号Vqを生成する。
信号発生部35は、入力が演算部41に、出力が測定信号供給部10および測定部20に接続され、参照信号発生器33とを備える。参照信号発生器33は、入力が演算部41に、出力が、測定信号供給部10と、測定部20の乗算器22および90度移相器26とに接続されている。参照信号発生器33は、演算部41からの制御信号によって指示された周期および位相角の参照信号Vr1を発生する。
演算部41は、測定部20から入力された濾波信号Vi、Vqの大きさを、検出時刻とともにメモリに記録する。記録された濾波信号Vi、Vqの大きさを、測定期間Mにわたって加算平均して、測定対象61の内部インピーダンスZおよび位相角θを求める。また、演算部41は、参照信号発生器33が発生する参照信号Vr1の周期および位相角を制御する信号や、インピーダンス測定システム4全体の制御信号、例えば、インピーダンス測定装置2、3の測定期間Mの設定や、測定信号や変調信号の周波数や位相角の設定、反転周期Tの設定、測定開始の指示などのを行うための制御信号を生成する。
なお、本実施例のインピーダンス測定装置1では、測定部20の乗算器22、23、LPF24、25および90度移相器26、ならびに演算部41は、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータで構成されている。すなわち、プロセッサで実行すると上述した測定部20の各要素および演算部41の各機能を実現する命令が記載されたプログラムがメモリに格納され、各プログラムをプロセッサで実行することにより、上述した測定部20の各要素および演算部41の機能を実現している。ただし、上述した測定部20の各要素および演算部41の一部及び全てを電子回路や装置などのハードウェアで実現してもよい。上述したインピーダンス測定装置1の各要素間の接続関係の説明は、ハードウェア構成に対しては電気的・機械的な接続を、ソフトウェア構成に対しては処理の流れを意味する。
次に、図3を参照しながら、インピーダンス測定装置2、3の構成について説明する。インピーダンス測定装置2、3は、測定信号供給部10と、測定部20と、信号発生部30と、演算部40とを備える。インピーダンス測定装置2、3は、測定期間Mにわたって、測定信号供給部10から測定用の測定信号Imを、測定対象62、63の両端子のそれぞれに接触する接触端子51、53を介して、測定対象62、63に供給し、測定部20で、測定信号Imによって測定対象62、63の両端子のそれぞれに接触する接触端子52、54間に生ずる信号Vmを検出し、検出信号Vmを変調信号Vmod1により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号Vi、Vqを生成し、測定信号Imと変調信号Vmod1とが逆相のときに生成された濾波信号Vi、Vqの大きさの符号を反転した後に、測定期間Mにわたる、濾波信号Vi、Vqの大きさの平均に基づいて、測定対象62、63の内部インピーダンスZおよび位相角θを求める装置である。測定信号Imの基準となる参照信号Vr2と、変調信号Vmod1の基準となる参照信号Vr1とは、信号発生部30で発生される。
インピーダンス測定装置2、3の構成のうち、測定信号供給部10および測定部20の構成は、インピーダンス測定装置1の測定信号供給部10および測定部20と同様である。信号発生部30は、入力が演算部40に、出力が測定信号供給部10および測定部20に接続され、参照信号発生器33と、位相反転器31と、スイッチ32とを備える。
参照信号発生器33は、入力が演算部40に、出力が位相反転器31と、スイッチ32と、測定部20の乗算器22および90度移相器26とに接続されている。参照信号発生器33は、演算部40からの制御信号によって指示された周期および位相角の参照信号Vr1を発生する。
位相反転器31は、入力が参照信号発生器33に、出力がスイッチ32に接続されている。位相反転器31は、参照信号発生器33から受信した参照信号Vr1の位相を180度移相(反転)した参照信号を生成する。
スイッチ32は、入力の一端が参照信号発生器33に、他端が位相反転器31に、制御端子が演算部40に、出力が測定信号供給部10に接続されている。スイッチ32は、演算部40で生成された制御信号Vsに基づいて、参照信号Vr1と同相の信号(正相)と、位相反転器31が生成した参照信号Vr1と逆相の信号とを選択して、参照信号Vr2として出力する。
演算部40は、測定部20から入力された濾波信号Vi、Vqの大きさを、検出時刻とともにメモリに記録する。そして、参照信号Vr1、Vr2が正相のときの濾波信号Vi、Vqの大きさと、逆相のときの濾波信号Vi、Vqを符号反転した大きさとを、測定期間Mにわたって加算平均して、測定対象61の内部インピーダンスZおよび位相角θを求める。また、演算部40は、参照信号発生器33が発生する参照信号Vr1の周期および位相角を制御する信号を生成し、スイッチ32を反転周期Tごとに切り替える制御信号Vsを生成する。さらに、インピーダンス測定装置2、3の演算部40は、インピーダンス測定装置1の演算部41と接続され、インピーダンス測定装置1から受信した制御信号に応じて、各インピーダンス測定装置2、3の測定期間Mの設定や、測定信号や変調信号の周波数や位相角の設定、反転周期Tの設定、測定開始などを行う。本実施例における演算部40が、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータで構成されている点は、上述した演算部41と同様である。
続いて、インピーダンス測定システム4の動作説明に先立って、本発明のインピーダンス測定システムおよび方法により、複数のインピーダンス測定装置の相互干渉による、測定周波数近傍のノイズの影響を抑制する原理について説明する。
測定対象61、62、63に測定信号Im=Isin2πft(Iは定数、fは測定周波数、tは時間)を流すと、各測定対象61、62、63の両端子間には、測定対象61のインピーダンスZと位相角θに応じた信号Vm=ZIsin(2πft+θ)が生ずる。この信号を検出信号Vmとして検出し、測定信号Imと同一周波数かつ同相の変調信号Vmod1=sin2πftで変調すると、(1)式で示すように、測定対象61、62、63のインピーダンスZの抵抗成分R=Zcosθに対応する直流成分と、周波数2fの交流成分とが重畳された検波信号Vd1が得られる。
また、検出信号Vmを、測定信号Imと位相が90度異なる変調信号Vmod2=cos2πftで変調すると、(2)式で示すように、測定対象61、62、63のインピーダンスZのリアクタンス成分X=Zsinθに対応する直流成分と、周波数2fの交流成分とが重畳された検波信号Vd2が得られる。
検波信号Vd1、Vd2を低域通過濾波して、(3)式に示すような、直流成分を抽出した濾波信号Vi、Vqを生成する。インピーダンス測定装置1の外部からのノイズが無い場合には、濾波信号Vi、Vqの電圧の瞬時値から測定対象61のインピーダンスZ(RおよびX)および位相角θを求めることができる。なお、測定信号Imの値が既知でなくとも、同期検波による方法で測定信号の振幅・位相を測定すれば、電圧・電流それぞれの値に基づいて、インピーダンスZ(RおよびX)および位相角θを求めることができる。
ここで、検出信号Vmに周波数fnの外部ノイズVnsin(2πfnt+φ)が含まれると、外部ノイズVnの検波信号には(4)式に示す信号成分が含まれる。
(4)式の右辺第1項から明らかなとおり、検波信号には、外部ノイズの周波数fnと変調信号Vmod1の周波数fとの差の周波数成分が含まれる。複数のインピーダンス測定装置1、2、3を並行して用いて、互いに測定周波数が近い、特に同一又は略同一の測定周波数により、インピーダンス測定を行う場合に生じ得る測定装置間の相互干渉は、外部ノイズVnの周波数fnが変調信号Vmod1に近いため、低域通過濾波によって外部ノイズVnを十分に除去することが困難である。このため、各インピーダンス測定装置1、2、3の濾波信号には、(4)式の右辺第1項の低域成分が含まれる。このような濾波信号Vi、Vqの測定値から測定対象61、62、63のインピーダンスZ(RおよびX)および位相角θを求めると、測定誤差が大きくなってしまう。
上述したような外部ノイズの影響を抑制するためには、(4)式の右辺第1項と逆相の濾波信号を取得して、平均をとって相殺してやればよい。このような逆相の濾波信号を取得するためには、外部ノイズの原因となる他の測定装置の測定信号Imを逆相とするか、自身の測定信号Imの位相角を反転させ、かつ、濾波信号Vi、Vqの符号を反転させればよい。本発明では、インピーダンス測定装置2、3の測定信号Imを測定期間Mの半分の期間で正相、残りの半分の期間で逆相に変化させることにより、測定期間Mの間にインピーダンス測定装置1の入力される外部ノイズVnの位相を反転させる。そして、インピーダンス測定装置1が、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの平均をとることにより、(4)式の低域成分を相殺して、外部ノイズVnによる影響を抑制する。
また、インピーダンス測定装置2、3のインピーダンス測定装置では、自身の測定信号Imの位相を変化させて、測定期間Mの半分の期間で変調信号Vmod1と同相、残りの半分の期間で変調信号Vmod1と逆相にする。すると、濾波信号Vi、Vqのうち、測定信号Imによって測定対象62、63に生ずる信号に起因する成分は、測定電流Imと変調信号Vmod1とが同相のときと逆相のときとで逆相となる。一方、濾波信号Vi、Vqのうち、他のインピーダンス測定装置からのノイズ信号に起因する成分は、第2のインピーダンス測定装置の測定電流Imと変調信号Vmod1とが同相のときと逆相のときとで同相となる。したがって、測定信号Imの位相と変調信号Vmod1とが逆相の期間の濾波信号Vi、Vqの符号を反転させて、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの平均をとることによって、濾波信号に含まれるノイズ成分を相殺することができる。その後、ノイズ成分が抑制された濾波信号の大きさに基づいて、測定対象のインピーダンスおよび位相角を求めることにより、相互干渉により生ずる測定周波数近傍のノイズの影響を抑制した高精度なインピーダンス測定が可能となる。
次に、本実施例のインピーダンス測定システム4の動作、すなわち本発明のインピーダンス測定方法の実施態様の一例について、図4~6のフローチャートおよび図7の信号図を参照しながら説明する。図4は、インピーダンス測定システム4全体の動作を示すフローチャートである。本実施例のインピーダンス測定システム4では、インピーダンス測定装置1の演算部41が、インピーダンス測定システム4全体の制御も行っているため、各インピーダンス測定装置1、2、3個別のインピーダンス測定(ステップ205)を除く動作は、インピーダンス測定装置1の演算部41のコンピュータにより実施している。
図5は、インピーダンス測定装置1による、測定対象61のインピーダンス測定の動作のフローチャート、図6は、インピーダンス測定装置2、3による、測定対象62、63のインピーダンス測定の動作のフローチャートである。図5、6において、同様な機能を奏するステップには、同一の参照番号を付した。図7は、各インピーダンス測定装置1、2、3の測定信号Imと変調信号Vmod1の時間的変化を示す信号図である。
はじめに、インピーダンス測定装置1の演算部41が、インピーダンス測定装置2、3の演算部40と通信して、各インピーダンス測定装置1、2、3の測定期間を同一の測定期間Mに設定する(ステップ201)。また、インピーダンス測定装置1の演算部41が、インピーダンス測定装置2、3の演算部40と通信して、各インピーダンス測定装置1、2、3の参照信号発生器33が同一の周波数fの参照信号Vr1を発生するように設定する。参照信号Vr1は、参照信号Vr2、測定信号Imおよび変調信号Vmod1、Vmod2の基準となる信号であるため、上記設定により、各インピーダンス測定装置1、2、3の測定信号Imと変調信号Vmod1とは、同一の周波数に設定される(ステップ202)。なお、各インピーダンス測定装置1、2、3の測定信号Im・変調信号Vmod1は、すべて同一である必要はなく、略同一であればよい。
次に、インピーダンス測定装置1の演算部41が、インピーダンス測定装置2の演算部40と通信して、インピーダンス測定装置2の反転期間T1を、測定期間Mの1/2n(nは自然数)に設定する(ステップ203)。これにより、インピーダンス測定装置2の参照信号Vr2の位相角が、反転期間T1ごとに反転する。すると、参照信号Vr2と同相の測定信号Imの位相角も、反転期間T1ごとに反転する。この結果、測定期間Mの間に、インピーダンス測定装置2の測定信号Imが正相である期間の合計と、逆相である期間の合計は、ともに測定期間Mの半分の期間となる。本実施態様では、n=1、すなわち反転期間T1を測定期間Mの1/2に設定した。
次に、インピーダンス測定装置1の演算部41が、インピーダンス測定装置3の演算部40と通信して、インピーダンス測定装置3の反転期間T2を、インピーダンス測定装置3の反転期間T1の1/2m(mは自然数)に設定する(ステップ204)。これにより、インピーダンス測定装置3の参照信号Vr2の位相角が、反転期間T2ごとに反転する。すると、参照信号Vr2と同相の測定信号Imの位相角も、反転期間T2ごとに反転する。この結果、反転期間T1、インピーダンス測定装置2の測定信号Imが正相または逆相の期間の間に、インピーダンス測定装置3の測定信号Imが正相である期間の合計と、逆相である期間の合計は、ともに反転期間T1の半分の期間となる。本実施態様では、m=1、すなわち反転期間T2を反転期間T1の1/2、すなわち測定期間Mの1/4に設定した。
以上の設定による各インピーダンス測定装置1、2、3の測定信号Imと変調信号Vmod1の時間的変化を、図7に示す。各インピーダンス測定装置1、2、3の変調信号Vmod1およびインピーダンス測定装置1の測定信号Imの位相角は、測定期間Mにわたって一定である。インピーダンス測定装置2の測定信号Imは、測定期間Mの前半(時間0~T1)と測定期間Mの後半(時間T1~2T1)とで位相角が変わる。すなわち、インピーダンス測定装置2の測定信号Imと変調信号Vmod1とが、測定期間Mの1/2n(nは自然数)の反転周期T1ごとに交互に同相または逆相となるように、インピーダンス測定装置2の測定信号Imの位相角が変化する。
インピーダンス測定装置3の測定信号Imは、反転周期T1(時間0~T1、T1~2T1)の前半(時間0~T2、2T2~3T2)と反転周期T1の後半(時間T2~2T2、3T2~4T2)とで位相角が変わる。すなわち、インピーダンス測定装置3の測定信号Imと変調信号Vmod1とが、反転周期T1の1/2m(mは自然数)の反転周期T2ごとに交互に同相または逆相となるように、インピーダンス測定装置3の測定信号Imの位相角が変化する。
再び図4のフローチャートの説明に戻る。上述した設定に基づいて、各インピーダンス測定装置1、2、3が、並行してインピーダンス測定を実行する(ステップ205)。
次に、各インピーダンス測定装置1、2、3におけるインピーダンス測定(ステップ205)の詳細について説明する。図5は、本実施例のインピーダンス測定装置1の動作である。まず、信号発生部35が同相の参照信号Vr1、Vr2を発生する(ステップ101)。より具体的には、演算部41からの制御信号に基づいて、参照信号発生器33が、周波数fの参照信号Vr1を発生する。発生した参照信号Vr1は、測定信号供給部10に参照信号Vr2として供給される。図2から明らかなとおり、インピーダンス測定装置1の参照信号Vr1、Vr2は常に同相である。
測定信号供給部10が、信号発生部35から受信した参照信号Vr2と同一周波数かつ同相の測定信号Imを生成して、測定対象61に供給する(ステップ102)。参照信号Vr2の位相角は常に一定であることから、測定信号Imは測定期間Mにわたって、一定の位相角を有する。測定信号Imにより測定対象61の両端子間には、測定対象61のインピーダンスZと位相角θに応じた電圧が生じる。検出回路21により、測定対象61の両端子のそれぞれに接触する接触端子52、54間に生ずる検出信号Vmを検出する(ステップ103)。
次に、乗算器22、23により、検出信号Vmを変調信号Vmod1で同期検波する(ステップ104)。より具体的には、乗算器22により、検出信号Vmを、参照信号Vr1と同相の変調信号Vmod1で検波する。参照信号Vr1の位相角は常に一定であることから、変調信号Vmod1は測定期間Mにわたって、一定の位相角を有する。また、測定信号Imと変調信号Vmod1とは、測定期間Mにわたって同相である。検出信号Vmを変調信号Vmod1で変調することにより、測定対象61のインピーダンスZの抵抗成分Rに対応する直流成分と、周波数2fの交流成分とが重畳された検波信号Vd1が得られる。また、乗算器23により、検出信号Vmを、90度移相器26で生成された、参照信号Vr1と位相が90度異なる信号Vmod2で変調すると、測定対象61のインピーダンスZのリアクタンス成分Xに対応する直流成分と、周波数2fの交流成分とが重畳された検波信号Vd2が得られる。
次に、LPF24、25により、検波信号Vd1、Vd2を低域通過濾波して、それぞれの直流成分を抽出した濾波信号Vi、Vqを生成する(ステップ105)。次に、演算部41が、濾波信号Vi、Vqの大きさを検出時刻とともにメモリに格納する(ステップ106)。以上で、当該検出時刻における濾波信号Vi、Vqの瞬時値の測定が完了する。
上述したように本願発明では、測定期間Mにわたって濾波信号Vi、Vqの大きさを測定し、その平均を求めることよって、ノイズ成分が抑制された濾波信号の大きさを求める。具体的には、まず、前述したステップ102からステップ106までの動作を、所定のサンプリング周期ごとに、測定期間Mにわたって繰り返し実施する(ステップ109)。測定期間Mが終了すると、メモリ内には、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの大きさの時間的変化が記録される。
次に、演算部41のプロセッサは、メモリ内から測定期間Mの全ての濾波信号Viの大きさを読み出して平均をとる。同様に、演算部41のプロセッサは、メモリ内から測定期間Mの全ての濾波信号Vqの大きさを読み出して平均をとる(ステップ110)。インピーダンス測定装置2、3の測定信号Imは、測定期間Mの半分の期間で正相、残りの半分の期間で逆相であるため、インピーダンス測定装置1の検出回路21に入力されるノイズ信号も、測定期間Mの半分の期間で正相、残りの半分の期間で逆相となる。したがって、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの平均をとることにより、外部ノイズVnによる影響を抑制することができる。
最後に、演算部41のプロセッサは、ステップ110で求められた平均、すなわち外部ノイズVnが相殺された濾波信号Vi、Vqの大きさから、(3)式を用いて、測定対象61のインピーダンスZ(RおよびX)および位相角θを算出する(ステップ111)。
次に、図6を参照しながら、インピーダンス測定装置2、3のインピーダンス測定(ステップ205)の詳細について説明する。はじめに、信号発生部30が同相の参照信号Vr1、Vr2を発生する(ステップ101)。インピーダンス測定装置2、3では、信号発生部30が参照信号発生器33と、位相反転器31と、スイッチ32とを備えることから、まず、演算部40からの制御信号に基づいて、参照信号発生器33が、周波数fの参照信号Vr1を発生し、スイッチ32は正相入力を選択的に出力する。この結果、スイッチ32からは参照信号Vr1と同相の参照信号Vr2が出力される。
その後、インピーダンス測定装置1のステップ102~106と同様な動作を、所定のサンプリング周期ごとに、反転周期T1、T2にわたって繰り返し実施する(ステップ107)。図3から明らかなように、インピーダンス測定装置2、3の変調信号Vmod1の基準となる参照信号Vr1は、常に一定の位相角を有することから、インピーダンス測定装置2、3の変調信号Vmod1は、測定期間Mにわたって、一定の位相角を有する。
反転周期T1、T2が経過すると、演算部40は、スイッチ32を切り替える制御信号Vsを送信する。すると、スイッチ32は逆相入力を選択的に出力する。この結果、スイッチ32からは、参照信号Vr1とは逆相の参照信号Vr2が出力される(ステップ108)。その後、所定の測定期間Mが終了するまでステップ102~108を繰り返す(ステップ109)。
この結果、インピーダンス測定装置2の測定信号Imと変調信号Vmod1とが、反転周期T1、すなわち測定期間Mの1/2n(nは自然数)ごとに交互に同相または逆相となるように、測定信号Imの位相角が変化する。また、インピーダンス測定装置3の測定信号Imと変調信号Vmod1とが、反転周期T2、すなわち反転周期T1の1/2m(mは自然数)ごとに交互に同相または逆相となるように、測定信号Imの位相角が変化する。
また、測定期間Mの終了後には、メモリ内には、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの電圧の時間的変化が記録される。ただし、記録された濾波信号Vi、Vqの半分は、測定信号Imと変調信号Vmod1とが同相のときの濾波信号Vi、Vqの電圧であり、残りの半分は、測定信号Imと変調信号Vmod1とが逆相のときの濾波信号Vi、Vqの電圧である。
次に、演算部41のプロセッサは、メモリ内から測定期間Mの全ての濾波信号Viの大きさを読み出して、測定信号Imと変調信号Vmod1とが逆相のときに生成された濾波信号Viの大きさの符号を反転した後に平均をとる。同様に、演算部41のプロセッサは、メモリ内から測定期間Mの全ての濾波信号Vqの大きさを読み出して、測定信号Imと変調信号Vmod1とが逆相のときに生成された濾波信号Vqの大きさの符号を反転した後に平均をとる(ステップ110)。インピーダンス測定装置1の測定信号Imに起因するノイズ信号は、測定期間Mにわたって位相角が一定であり、インピーダンス測定装置2、3の変調信号Vmod1も、測定期間Mにわたって位相角が一定であるため、濾波信号Vi、Vqに含まれる外部ノイズVnによる成分は、測定期間Mにわたって同相である。一方、インピーダンス測定装置2、3の測定信号Imは、測定期間Mの半分の期間で変調信号Vmod1と同相、残りの半分の期間で変調信号Vmod1と逆相となるため、濾波信号Vi、Vqに含まれる、測定信号Imによって測定対象62、63に生ずる信号に起因する成分は、測定期間Mの半分の期間と残りの半分の期間とで、逆相となる。したがって、測定信号Imと変調信号Vmod1とが逆相のときに生成された濾波信号Vi,Vqの大きさの符号を反転した後に、測定期間Mにわたる濾波信号Vi、Vqの平均をとることにより、外部ノイズVnによる影響を抑制することができる。
最後に、演算部40のプロセッサは、ステップ110で求められた平均、すなわち外部ノイズVnが相殺された濾波信号Vi、Vqの大きさから、測定対象62、63のインピーダンスZ(RおよびX)および位相角θを算出する(ステップ111)。
以上、本願発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であるでことは言うまでもない。例えば、上述した実施態様で説明したインピーダンス測定システム4は、インピーダンス測定装置1の演算部41が、システム全体の制御装置としての役割を果たしているが、インピーダンス測定装置1、2、3に接続された中央制御装置を設けて、中央制御装置が図4のステップ201~204に示したシステム全体の制御を行ってもよい。
また、上述した実施態様では、各インピーダンス測定装置2,3がインピーダンス測定を開始する前に、反転周期を設定している(ステップ203、204)が、事前設定する代わりに、位相角の変更を行うタイミング(ステップ108)で、インピーダンス測定装置1や中央制御装置から、位相角の変更を行うように制御してもよい。さらに、インピーダンス測定装置2、3では、演算部41で規定した周波数と位相角に基づいて、信号発生部35が参照信号を発生しているが、正相と逆相が変化する参照信号波形のデジタルデータを演算部41内部で生成し、参照信号を発生するように構成してもよい。また、上述したインピーダンス測定装置1、2、3の測定信号Imは参照信号Vr2と同相であり、変調信号Vmod1は参照信号Vr1と同相であるが、それぞれの参照信号を基準に同量の位相オフセットがあってもよい。ただし、位相オフセットがある場合でも、測定信号Imと変調信号Vmod1とが同相または逆相の関係を維持しなければならない。
1、2、3 インピーダンス測定装置
4 インピーダンス測定システム
10 測定信号供給部
20 測定部
21 検出回路
22、23 乗算器
24、25 ローパスフィルタ(LPF)
26 90度移相器
30、35 信号発生部
31 位相反転器
32 スイッチ
33 参照信号発生器
40 41 演算部
51、52、53、54 接触端子
61、62、63 測定対象
4 インピーダンス測定システム
10 測定信号供給部
20 測定部
21 検出回路
22、23 乗算器
24、25 ローパスフィルタ(LPF)
26 90度移相器
30、35 信号発生部
31 位相反転器
32 スイッチ
33 参照信号発生器
40 41 演算部
51、52、53、54 接触端子
61、62、63 測定対象
演算部41は、測定部20から入力された濾波信号Vi、Vqの大きさを、検出時刻とともにメモリに記録する。記録された濾波信号Vi、Vqの大きさを、測定期間Mにわたって加算平均して、測定対象61の内部インピーダンスZおよび位相角θを求める。また、演算部41は、参照信号発生器33が発生する参照信号Vr1の周期および位相角を制御する信号や、インピーダンス測定システム4全体の制御信号、例えば、インピーダンス測定装置2、3の測定期間Mの設定や、測定信号や変調信号の周波数や位相角の設定、反転周期Tの設定、測定開始の指示などを行うための制御信号を生成する。
以上、本願発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施態様で説明したインピーダンス測定システム4は、インピーダンス測定装置1の演算部41が、システム全体の制御装置としての役割を果たしているが、インピーダンス測定装置1、2、3に接続された中央制御装置を設けて、中央制御装置が図4のステップ201~204に示したシステム全体の制御を行ってもよい。
Claims (3)
- 第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置を備え、前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置のそれぞれに接続される測定対象のインピーダンスを求めるインピーダンス測定システムであって、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置のそれぞれは、
所定の測定期間にわたって、前記測定対象に測定信号を供給する測定信号供給部と、
前記測定期間にわたって、前記測定信号によって前記測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成する測定部と、
前記測定期間にわたる、前記濾波信号の大きさの平均に基づいて、前記測定対象のインピーダンスを求める演算部と、
を備え、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号は、略同一の周波数を有し、
前記第1のインピーダンス測定装置の測定信号および変調信号は、前記測定期間にわたって、一定の位相角を有し、
前記第2のインピーダンス測定装置の変調信号は、前記測定期間にわたって、一定の位相角を有し、
前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、前記測定期間の1/2n(nは自然数)の第1の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化し、
前記第2のインピーダンス測定装置の前記演算部は、前記平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された前記濾波信号の大きさの符号を反転する、
インピーダンス測定システム。 - 前記測定期間にわたって、前記測定対象に測定信号を供給する測定信号供給部と、
前記測定期間にわたって、前記測定信号によって前記測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成する測定部と、
前記測定期間にわたる、前記濾波信号の大きさの平均に基づいて、前記測定対象のインピーダンスを求める演算部と、
を備える第3のインピーダンス測定装置をさらに備え、
前記第3のインピーダンス測定装置の測定信号は、前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号と略同一の周波数を有し、
前記第3のインピーダンス測定装置の変調信号は、前記測定期間にわたって、一定の位相角を有し、
前記第3のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、前記第1の反転周期の1/2m(mは自然数)の第2の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、前記第3のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化し、
前記第3のインピーダンス測定装置の前記演算部は、前記平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された前記濾波信号の大きさの符号を反転する、
請求項1に記載のインピーダンス測定システム。 - 第1のインピーダンス測定装置および第2のインピーダンス測定装置のそれぞれに接続される測定対象のインピーダンスを求めるためのインピーダンス測定方法であって、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、所定の測定期間にわたって、前記測定対象に測定信号を供給するステップと、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、前記測定期間にわたって、前記測定信号によって前記測定対象に生ずる信号を、変調信号により同期検波し、さらに低域通過濾波した濾波信号を生成するステップと、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置のそれぞれが、前記測定期間にわたる、前記濾波信号の大きさの平均に基づいて、前記測定対象のインピーダンスを求めるステップと、
を含み、
前記第1のインピーダンス測定装置および前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号は、略同一の周波数を有し、
前記第1のインピーダンス測定装置の測定信号および変調信号は、前記測定期間にわたって、一定の位相角を有し、
前記第2のインピーダンス測定装置の変調信号は、前記測定期間にわたって、一定の位相角を有し、
前記低域通過濾波した濾波信号を生成するステップは、前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号と変調信号とが、前記測定期間の1/2n(nは自然数)の第1の反転周期ごとに交互に同相または逆相となるように、前記第2のインピーダンス測定装置の測定信号の位相角が変化するステップを含み、
前記第2のインピーダンス測定装置が、前記平均を算出する前に、測定信号と変調信号とが逆相のときに生成された前記濾波信号の大きさの符号を反転するステップをさらに含む、
インピーダンス測定方法。
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