JP2023100362A - 包装袋用積層体、包装袋、スパウト付き包装袋及び内容物入りスパウト付き包装袋 - Google Patents

包装袋用積層体、包装袋、スパウト付き包装袋及び内容物入りスパウト付き包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】マテリアルリサイクルが容易であり、且つ、包装袋の安定的な製造を可能とする包装袋用積層体、前記包装袋用積層体を用いた包装袋及びスパウト付き包装袋を提供する。【解決手段】包装袋、スパウト付き包装袋及び内容物入りスパウト付き包装袋に用いる包装袋用積層体として、基材層10と中間層20とシーラント層30とがこの順に積層され、基材層10がポリプロピレンからなる延伸フィルムであり、中間層20が、ポリオレフィンを主成分とする支持層22,23がガスバリア樹脂層21の両側に積層された多層共押出フィルムであり、シーラント層30がエチレンの単独重合体又は共重合体から選ばれる1種以上からなるフィルムである包装袋用積層体1を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、包装袋用積層体、包装袋、スパウト付き包装袋及び内容物入りスパウト付き包装袋に関する。
従来より、清涼飲料やジュース等の液状体、アイスクリーム、ゼリー、化粧品、シャンプー、リンス、液状石鹸等の流動体、あるいはペースト状体等、流動性のある内容物を収容する包装袋には、保存性や流通に耐える強度を付与する目的で、プラスチックフィルムや金属箔を複合的に組み合わせた積層体が用いられてきた。このような複数の材料を組み合わせた積層体は材料毎に分離することが現実的には難しく、マテリアルリサイクルには不向きであり、サーマルリサイクルされている。
近年、地球環境保護の必要性から、サーマルリサイクルからマテリアルリサイクルへ移行する気運が高まっている。そのため、異種材料の組み合わせからなる積層体ではなく、単一素材の組み合わせからなるモノマテリアルの積層体が注目を浴びるようになっている。
特許文献1には、延伸処理及び電子線照射処理の少なくとも一方が施された基材と、シーラント層とが、ポリエチレン又はポリプロピレンの同一の材料により構成されているスパウト付き包装袋用積層体が提案されている。
特開2020-157517号公報
しかし、特許文献1の包装袋用積層体では、マテリアルリサイクルは容易であるものの、基材とシーラント層とが同一材料により構成されているためそれぞれの融点が近く、包装袋を製造する製袋工程等で熱収縮による不具合が発生する場合があり、包装袋の安定的な生産のための改善が望まれていた。
本発明は、マテリアルリサイクルが容易であり、且つ、包装袋の安定的な製造を可能とする包装袋用積層体、前記包装袋用積層体を用いた包装袋及びスパウト付き包装袋の提供を目的とする。
本発明は、以下の構成を含む。
[1]基材層と中間層とシーラント層とがこの順に積層された包装袋用積層体であって、
前記基材層は、ポリプロピレンからなる延伸フィルムであり、
前記中間層は、ガスバリア樹脂層と、前記ガスバリア樹脂層の両側に積層されたポリオレフィンを主成分とする支持層と、を含む多層共押出フィルムであり、
前記シーラント層は、エチレンの単独重合体又は共重合体から選ばれる1種以上からなるフィルムである、包装袋用積層体。
[2]前記ガスバリア樹脂層がエチレン-ビニルアルコール共重合体を含有する、[1]に記載の包装袋用積層体。
[3]前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレン単位の含有率が20モル%以上70モル%以下である、[2]に記載の包装袋用積層体。
[4]前記多層共押出フィルムのポリオレフィンモノマテリアル率が質量換算で75%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の包装袋用積層体。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の包装袋用積層体により構成された包装袋。
[6][5]に記載の包装袋にスパウトが取り付けられたスパウト付き包装袋。
[7]前記スパウトがガスバリア層を含む、[6]に記載のスパウト付き包装袋。
[8][6]又は[7]に記載のスパウト付き包装袋に内容物が収容されている内容物入りスパウト付き包装袋。
本発明によれば、マテリアルリサイクルが容易であり、且つ、包装袋の安定的な製造を可能とする包装袋用積層体、前記包装袋用積層体を用いた包装袋及びスパウト付き包装袋の提供が可能となる。
実施形態の一例の包装袋用積層体を示した断面図である。 中間層の他の例の積層構成を示した断面図である。 実施形態の一例のスパウト付き包装袋を示した正面図である。 スパウトの一例を示した正面図である。 ガスバリア性を有するスパウトの一例を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
また、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[包装袋用積層体]
図1に示すように、本実施形態の包装袋用積層体1は、プラスチックフィルムで構成されており、基材層10と中間層20とシーラント層30とがこの順に積層されている。
包装袋用積層体1を用いた包装袋においては、基材層10が包装袋の外表面を形成し、熱融着性を有するシーラント層30が包装袋の内表面を形成する。また、中間層20は、基材層10とシーラント層30との間に設けられる層である。
図1に示す一例では、包装袋用積層体1は、基材層10と中間層20とが接着層41を介して積層され、中間層20とシーラント層30とが接着層42を介して積層されている。すなわち、包装袋用積層体1は、基材層10、接着層41、中間層20、接着層42、シーラント層30の順に積層された積層構成を有している。
なお、以下の説明においては、図1に示す例の積層構成を「基材層10/接着層41/中間層20/接着層42/シーラント層30」とも示し、他の積層構成についても同様に示す。
(基材層)
基材層10は、ポリプロピレンからなる延伸フィルム(以下、「延伸PPフィルム」ともいう。)で構成されている。
延伸処理によって、引張強度や剛性等のフィルムとしての強度が向上する。特に剛性が向上することにより、基材層10に張力(テンション)や熱が作用した際の伸びが抑制されるので、印刷適性や製袋適性等の加工適性がより優れたものになる。
延伸処理には、フィルム製造工程で縦方向又は横方向のいずれか一方向にフィルムを引き延ばす一軸延伸と、フィルム製造工程で縦方向及び横方向の両方にフィルムを引き延ばす二軸延伸とがある。
基材層10に用いる延伸PPフィルムにおける延伸処理は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。また、二軸延伸の場合、逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であってもよい。
また、基材層10に用いる延伸PPフィルムには、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、又は着色剤などが添加されてもよい。
生産性向上の観点では、基材層10の厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。加工適性向上の観点では、基材層10の厚みは、70μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。基材層10の厚みの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~70μmが好ましい。
基材層10の融点は、少なくともシーラント層30の融点よりも高いことが好ましい。基材層10の融点がシーラント層30の融点よりも高いことにより、ヒートシール装置を使用する製袋工程又はスパウト装着工程において、基材層10よりも先にシーラント層30が溶融する。そのため、各シール部の熱収縮に起因するカール(反り)やシワがなく、耐圧縮強度や耐衝撃性に優れた高品質な包装袋及びスパウト付き包装袋を製造することが可能となる。
具体的には、基材層10の融点は、155~175℃が好ましい。
基材層10の融点とシーラント層30の融点との差は、20℃~85℃が好ましい。
(インキ層)
基材層10の外側又は内側には、必要に応じてインキ層を設けてもよい。
インキ層を形成する方法として、グラビア印刷法、オフセット印刷法またはフレキソ印刷法等が挙げられる。これらの印刷方法の中でも色の再現性に優れるグラビア印刷法が好ましい。
インキ層は、収容物に関する文字や図形、装飾、管理のための符号等を印刷することによって形成される。隠蔽性が必要な場合は、例えば灰色(グレー)の隠蔽用インキ層を設けることによって、包装袋に内容物を充填した際の内容物の色の透過を防ぐことが可能となる。この隠蔽用インキ層は上記したグレーの他、隠蔽できる色であれば他の色でも構わない。また、隠蔽用インキ層は必要に応じて2層以上設けてもよい。
(中間層)
中間層20は、ガスバリア樹脂層と、ガスバリア樹脂層の両側に積層されたポリオレフィンを主成分とする支持層と、を含む多層共押出フィルム(以下、「多層共押出フィルム(A)」ともいう。)で構成される。すなわち、中間層20は、ガスバリア樹脂層の両側に支持層がそれぞれ積層された未延伸フィルムで構成されている。ただし、支持層において「ポリオレフィンを主成分とする」とは、支持層の総質量に対するポリオレフィンの含有割合が50質量%以上であることを意味する。
支持層とガスバリア樹脂層との間には接着樹脂層を設けてもよい。
図1に示す一例では、中間層20は、支持層22/接着樹脂層24/ガスバリア樹脂層21/接着樹脂層25/支持層23の積層構成の多層共押出フィルム(A)で構成されている。なお、中間層20を構成する多層共押出フィルム(A)は、図1に示す5層構成には限定されず、例えば、図2に示す支持層22/ガスバリア樹脂層21/支持層23の3層構成であってもよい。
プラスチックフィルムは、前述のとおり延伸処理を施すことによって引張強度や剛性等のフィルムとしての強度が向上するが、その反面、フィルムとしての柔軟性が低下するため、衝撃吸収性は損なわれる。
中間層20に未延伸フィルムである多層共押出フィルム(A)を用いた包装袋用積層体は、中間層20に延伸フィルムを用いた包装袋用積層体と比較して、衝撃吸収性に富んでいる。そのため、本発明の包装袋用積層体は、例えば落下衝撃のような瞬間的な応力が包装袋用積層体に作用した際に、その応力を分散する効果を有しており、耐衝撃性に優れている。また、本発明の包装袋用積層体は、中間層20に多層共押出フィルム(A)が用いられていることで耐圧縮強度も高い。
ガスバリア樹脂層21は、包装袋用積層体1を透過する、主に酸素等の気体を遮断する層として機能する。
ガスバリア樹脂層21を構成する材料としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ビニルアルコール重合体(PVA)、メタキシレンジアミンを用いたポリアミドを例示できる。これらの中でも、加工適性、ガスバリア性及び汎用性の観点から、ガスバリア樹脂層21を構成する材料としてはEVOHが好ましい。ガスバリア樹脂層21を構成する材料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
EVOHは、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られる重合体である。EVOHの酸素透過度はポリエチレンの酸素透過度よりも小さいため、EVOHを用いたガスバリア樹脂層21は主に酸素等の気体の透過を抑制する層として機能する。
EVOHは、エチレン単位の含有率が低いほど、構造がPVAに近いために水素結合による分子凝集力が働き、優れた酸素バリア性を示す。なお、「エチレン単位」とは、重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位を意味する。
EVOHのエチレン単位の含有率は、EVOHの全単位に対し、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。前記エチレン単位の含有率が20モル%以上であれば、熱安定性が良好で成形性に優れ、押出溶融成形においてゲル等の異物が発生しにくくなり、また延伸成形においてフィルムが破れにくくなる傾向がある。EVOHのエチレン単位の含有率は、70モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。前記エチレン単位の含有率が70モル%以下であれば、十分なガスバリア性が得られやすい傾向がある。EVOHのエチレン単位の含有率の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば20~70モル%が好ましく、25~50モル%がより好ましい。
EVOHの具体例としては、クラレ製の商品名「エバール」、三菱ケミカル製の商品名「ソアノール」等を例示することができる。
酸素等のガスバリア性向上の観点では、ガスバリア樹脂層21の厚みは、3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましい。マテリアルリサイクル性の観点では、ガスバリア樹脂層21の厚みは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。ガスバリア樹脂層21の厚みの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば3~30μmが好ましい。
支持層22,23を構成するポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:0.940~0.970g/cm)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレンを例示できる。ポリプロピレン(密度:0.890~0.910g/cm)には、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン及びブロックポロプロピレンが含まれる。
これらの中でも、支持層22,23としては、融点が高いHDPE又はポリプロピレンが好ましい。支持層22,23を構成するポリオレフィンは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
支持層22,23にHDPE又はポリプロピレンを用いると、例えば、支持層22,23にLLDPEを用いる場合と比較して、耐熱性及び剛性が高くなる。これにより、製袋する際に熱や張力の影響を受けて包装袋用積層体1に寸法変動が生じることが抑制されるため、包装袋の製袋時における柄ずれ等のトラブルが生じにくくなる。また、支持層22,23にHDPE又はポリプロピレンを用いることにより、HDPE以外のポリエチレンを用いた場合と比較して、より優れた水蒸気バリア性を発現する。そのため、内容物に含まれる水分が保存期間中に包装袋の外に透過して失われることが抑制されることで、内容物の品質をより良い状態でより長期間保つことができる。さらに、包装袋用積層体1を用いた包装袋をボイルする場合でもガスバリア樹脂層21を蒸気から保護することができる。
支持層22,23には、ポリオレフィン以外の樹脂が含有されていてもよい。ポリオレフィン以外の樹脂としては、例えば、エチレン-1-ブテンランダム共重合体やエチレン-プロピレンランダム共重合体等のエラストマーを例示できる。支持層22,23にポリオレフィン以外の樹脂が含まれる場合、そのポリオレフィン以外の樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、支持層22,23には、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、又は着色剤などが添加されてもよい。
支持層22中のポリオレフィンの含有量は、支持層22の総質量に対して、50質量%以上であり、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。前記ポリオレフィンの含有量が前記下限値以上であれば、マテリアルリサイクルが容易になる。支持層22中のポリオレフィンの含有量の上限は、特に限定されず、例えば100質量%とすることもできる。
支持層23中のポリオレフィンの含有量も支持層22中のポリオレフィンの含有量と同様である。支持層23中のポリオレフィンの含有量と支持層22中のポリオレフィンの含有量は、同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
生産性の向上という観点では、支持層22の厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。加工適性の向上という観点では、支持層22の厚みは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。支持層22の厚みの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~50μmが好ましい。
支持層23の厚みも支持層22の厚みと同様である。支持層23の厚みと支持層22の厚みは、同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
接着樹脂層24,25を構成する接着性樹脂としては、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂に、一塩基性不飽和脂肪酸、一塩基性不飽和脂肪酸のエステル化合物、二塩基性脂肪酸の無水物等を化学的に結合させたポリオレフィン系接着性樹脂が好ましい。
エチレン系樹脂としては、LLDPE、LDPE、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を例示できる。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体を例示できる。一塩基性不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタアクリル酸を例示できる。一塩基性不飽和脂肪酸のエステル化合物としては、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸グリシジルを例示できる。二塩基性脂肪酸の無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の無水物を例示できる。
接着性樹脂の具体例としては、三井化学製の商品名「アドマー」や三菱ケミカル製の商品名「モディック」等を例示することができる。
接着樹脂層24,25を構成する接着性樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
接着樹脂層24の厚みは、1~10μmが好ましく、3~7μmがより好ましい。接着樹脂層25の厚みも接着樹脂層24の厚みと同様である。接着樹脂層25の厚みと接着樹脂層24の厚みは、同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
マテリアルリサイクル性の観点から、中間層20のポリオレフィンモノマテリアル率、すなわち多層共押出フィルム(A)のポリオレフィンモノマテリアル率は、質量換算で、75%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。ただし、「モノマテリアル率」とは、全体質量に対する、ある単一材料の占める質量割合のことをいう。「中間層のポリオレフィンモノマテリアル率」は、中間層に使用する多層共押出フィルム(A)(樹脂材料)のうち、質量換算でオレフィンが占める割合である。
生産性の向上という観点では、中間層20の厚みは、25μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。加工適性の向上という観点では、中間層20の厚みは、150μm以下が好ましく、114μm以下がより好ましい。中間層20の厚みの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば25~150μmが好ましい。
シーラント層30は、エチレンの単独重合体又は共重合体から選ばれる1種以上からなるフィルムからなる層である。
エチレンと共重合可能な単量体としては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のエチレン以外のα-オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メタアクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のビニルエステルを例示できる。
エチレン共重合体中のα-オレフィン単位の含有率は、エチレン共重合体の全単位に対して、2~10モル%が好ましく、4~6モル%がより好ましい。また、エチレン共重合体中のビニルエステル単位の含有率は、エチレン共重合体の全単位に対して、2~12モル%が好ましく、4~10モル%がより好ましい。
シーラント層30としては、LDPE、MDPE、LLDPE、HDPE、アイオノマー樹脂、EVA、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体及びエチレン-メタクリル酸共重合体等で構成される群から選ばれる1種以上からなる材料を用いた未延伸フィルムを例示できる。
シーラント層30を構成する未延伸フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
シーラント層30には、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
生産性の向上という観点では、シーラント層30の厚みは、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。加工適性の向上という観点では、シーラント層30の厚みは、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。シーラント層30の厚みの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば20~200μmが好ましい。
シーラント層30の融点は、90~135℃が好ましい。
接着層41,42は、接着剤を用いて積層するドライラミネート法やノンソルベントラミネート法、又はTダイから溶融したポリエチレンをフィルム状に押出して積層する押出ラミネート法等により形成することができる。これらの中でも、基材層10と中間層20の接着強度、中間層20とシーラント層30の接着強度の観点から、接着層41,42を形成する方法としては、ドライラミネート法が最も好ましい。
接着層41の厚みは、2~20μmが好ましい。接着層42の厚みも接着層41の厚みと同様である。接着層42の厚みと接着層41の厚みは、同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
マテリアルリサイクル性の観点から、包装袋用積層体1のポリオレフィンモノマテリアル率は、高ければ高いほどよく、80%以上が好ましい。なお、「ポリオレフィンモノマテリアル率が高い」とは、マテリアルリサイクル時における残渣が少なく、効率的なリサイクルが可能であることを意味する。
[包装袋、スパウト付き包装袋、内容物入りスパウト付き包装袋]
本発明の包装袋は、本発明の包装袋用積層体により構成されている。
包装袋の構成は、内容物を液密に収容することができ、また後述のスパウトが接着できれば特に限定されない。例えば、包装袋は、側部にガゼット(襠)を有するサイドガゼット袋、底部にガゼットを有する底ガゼット袋(スタンディング袋)、側部及び底部にガゼットを有する角底袋、ピロー袋、包装袋用積層体を3方シール或いは4方シールした平袋等とすることができる。
包装袋の製造には、製袋機を用いる。製袋機における各シール部の接着方法は、ヒートシール法、インパルスシール法、又は超音波シール法等を用いることができる。
本発明の包装袋では、基材層が延伸PPフィルムであり、シーラント層がエチレンの単独重合体又は共重合体から選ばれる1種以上からなるフィルムである。基材層の融点とシーラント層の融点の差が十分に大きい包装袋用積層体を用いているため、製袋工程等で熱収縮による不具合が発生しにくい。さらに、敢えて包装袋用積層体の中間層に未延伸フィルムである多層共押出フィルム(A)を用いているため、包装袋に落下衝撃等の瞬間的な応力が作用した際に、包装袋用積層体自体がその応力を吸収する。そのため、包装袋周縁部のシール部に掛かる応力が軽減され、瞬間的な応力によって包装袋が破裂するといったトラブルを抑制することができる。
包装袋に収容される内容物としては、流動性のあるものであれば特に限定されず、例えば、清涼飲料やジュース等の液状体、アイスクリーム、ゼリー、化粧品、シャンプー、リンス、液状石鹸等の流動体あるいはペースト状体等を例示できる。
包装袋は、例えば30g~1500g程度の重量を収容可能に設計されることが好ましい。
本発明のスパウト付き包装袋は、本発明の包装袋にスパウトが取り付けられたものであり、内容物を収容する包装袋と、包装袋に固定されたスパウトとを備えている。
例えば、一例として、図3に示すようなスパウト付き包装袋100を例示できる。スパウト付き包装袋100は、包装袋110と、スパウト120と、を備える。
スパウト120はスパウト本体121とキャップ122とを備えており、スパウト本体121が包装袋110の上部に取り付けられている。スパウト本体121は内容物を通過させ、キャップ122はスパウト本体121の先端の口部を塞ぐようになっている。
図3に示す例の包装袋110はサイドガゼット袋である。すなわち、包装袋110は、前面フィルム111と、前面フィルム111と重なる後面フィルム112との間に、折り目部Vにて2つ折りに折りたたまれた2枚の側面フィルム113,114が挟まれて構成されている。前面フィルム111、後面フィルム112、及び側面フィルム113,114としては、本発明の包装袋用積層体を用いることができる。例えば、前面フィルム111、後面フィルム112、及び側面フィルム113,114として包装袋用積層体1を用いることができる。
包装袋110の下端部に重ねられた前面フィルム111、後面フィルム112、及び側面フィルム113,114は、底部シール110aによって互いに接着されている。
包装袋110の両側部における前面フィルム111の両端部と、前面フィルム111の両端部に重ねられた側面フィルム113,114の各端部とは、側部シール110b,110cによって互いに接着されている。同様に、包装袋110の両側部における後面フィルム112の両端部と、後面フィルム112の両端部に重ねられた側面フィルム113,114の各端部とは、図示略の側部シールによって互いに接着されている。これにより、前面フィルム111と後面フィルム112との間に接着される側面フィルム113,114によって、包装袋110の側面部が構成される。
包装袋110の上端部には、幅方向の中央部にスパウト120が挟まれた状態で、前面フィルム111、後面フィルム112、及び側面フィルム113,114を互いに接着する上部シール110dが形成されている。
なお、本発明のスパウト付き包装袋は、スパウト付き包装袋100には限定されない。
スパウト付き包装袋は、製袋機で製造した包装袋の開口部からスパウトを挿入し、スパウト装着機により包装袋にスパウトを接着することによって製造することができる。スパウト装着機におけるスパウトの接着方法は、ヒートシール法、インパルスシール法又は超音波シール法等を用いることができる。
包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率は、高ければ高いほどよく、80%以上であることが好ましい。また、スパウト付き包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率は、高ければ高いほどよく、90%以上であることが好ましい。
なお、包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率は、包装袋に使用する材料のうち、質量換算でオレフィンが占める割合である。また、スパウト付き包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率は、スパウト付き包装袋に使用する材料のうち、質量換算でポリオレフィンが占める割合である。つまり、スパウト付き包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率にはスパウトも含まれる。
本発明のスパウト付き包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率を90%以上とした場合、欧州において軟包装分野の循環型社会の実現を目指すコンソーシアム(共同事業体)であるCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)が好ましいとする「軟包装容器が含有するポリオレフィンの比率90%以上」とのガイドラインを満たすこともでき、マテリアルリサイクルが容易な軟包装容器の提供が可能となる。
(スパウト)
以下、スパウトについて詳述する。図3及び図4に示す一例のスパウト120は、スパウト本体121と、キャップ122と、を備える。
スパウト本体121は、その上部に形成され一端が開口123aを成す筒状の注出部123と、長細い筒状のストロー部124とを有している。この注出部123とストロー部124との間には、注出部123の外周部から外側に向けて水平に張り出す2段の台座125が設けられている。また、下段の台座125よりも下側のストロー部124には、包装袋110の上端に接着される取付部126が設けられている。
スパウト本体121の下部に形成されたストロー部124は、細長い円筒状に形成されており、包装袋110の内部に挿入される。このストロー部124は、その下端に開口部を有する。
取付部126は、包装袋の幅方向に沿って左右に向けて張り出すように形成されている。この取付部126には、その外面に包装袋110の上端が接着され、両者の間に隙間が形成されないようヒートシール手段等により液密に接着される。
スパウト本体121の上部に位置する注出部123は円筒状に形成されており、その外周面には、螺旋状の雄ネジ127が形成されている。この雄ネジ127は、キャップ122に形成された雌ネジと噛み合い、注出部123にキャップ122を螺合させる。これにより、キャップ122は注出部123に着脱自在に取り付けられ、注出部123を閉栓することができる。
キャップ122は、筒状に形成されたキャップ本体128と、キャップ本体128の下端にてキャップ本体128の外周から外側に張り出し、キャップ122の周方向に延びるようにして設けられているバンド129とから構成されている。
キャップ本体128は、中心軸に沿った一方の端部である上面が閉塞され、他方の端部である下部が開口として開放された、注出部123を被覆可能な筒状に形成されている。また、キャップ本体128は、内周面に螺旋状の雌ねじが形成されており、注出部123の外周面に形成された雄ネジ127と螺合させることができるように構成されている。
キャップ本体128の上面の内側には、内周面より半径方向内側にて円筒状に形成されたシール体が下方に向けて突出している。このシール体は、注出部にキャップを螺合させた際に、注出部123の内周面をシール体の外面に密着させて、内容物が洩れ出すことを防止する。
スパウト120のスパウト本体121及びキャップ122を構成する材料としては、マテリアルリサイクル性の観点から、ポリエチレンが好ましい。
スパウト本体121及びキャップ122を構成するポリエチレンとしては、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPEを例示でき、強度等の観点からHDPEが特に好ましい。
スパウト120は、射出成形、圧縮成形などの公知の成形方法により形成することができる。
ガスバリア性の観点では、スパウトはガスバリア層を含むことが好ましい。より詳細には、スパウト本体がガスバリア層を含むことが好ましい。
例えば、図5に示す一例のスパウト本体121には、外側から順に外側層131/接着剤層(図示略)/ガスバリア層132/接着剤層(図示略)/内側層133の積層構成の筒状体130が内装されている。このような筒状体130をスパウト本体121に内装することにより、スパウト120にガスバリア性を付与することができる。
スパウト本体121がガスバリア性を有することにより、保存期間中における内容物の酸化等の劣化や、内容物に含まれる水分が蒸発することにより生じる内容物の濃度変化や重量変化を防止できる。特に、包装袋に粘性の高い液状の内容物を収容している場合は、注出部123に内容物が留まってしまうことがある。このような場合であっても、スパウト本体121がガスバリア性を有するので、注出部123に留まった内容物に酸化や褐変が生じることを防止できる。
ガスバリア層132を構成する材料としては、EVOH、PVA、メタキシレンジアミンを用いたポリアミドを例示できる。これらの中でも、加工適性、ガスバリア性及び汎用性の観点から、ガスバリア層132を構成する材料としてはEVOHが好ましい。ガスバリア層132を構成する材料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
外側層131及び内側層133を構成する材料としては、マテリアルリサイクル性の観点から、ポリエチレンが好ましい。外側層131及び内側層133を構成するポリエチレンとしては、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPEを例示でき、水蒸気透過度や剛性の観点から、HDPEが好ましい。HDPEを選択することによって筒状体130の水蒸気透過度が低くなるため、内容物に含まれる水分や外気に含まれる水分の影響によってガスバリア層132のガスバリア性が低下することを抑制できる。外側層131及び内側層133を構成する材料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
筒状体130においては、内側層133の厚みを、少なくとも筒状体130を形成する層の中で最も厚くする必要がある。内側層133が厚ければ、内側層133の水蒸気透過度が低くなり、ガスバリア層132が内容物の湿度の影響を受けにくくなるため、ガスバリア層132のガスバリア性が低下することが抑制される。また、ガスバリア層132が筒状体130の外周面130a側に寄せられて配置されることで、筒状体130の内周面130b側に寄せられて配置されている場合に比べて内容物の影響を受けにくくなる。
さらに、ガスバリア層132の厚みを大きくせず、外側層131や内側層133の厚みが大きい状態にあると、ガスバリア層132へ水分が達しにくくなり、ガスバリア層132の性能が維持されやすくなる。また、ガスバリア性のみならず、マテリアルリサイクル性の観点でも、ガスバリア層132の厚みよりも外側層131や内側層133の厚みを厚くしておくことが好ましい。
ガスバリア層132の厚みは、10~300μmが好ましく、20~250μmがより好ましい。
外側層131の厚みは、50~300μmが好ましく、100~250μmがより好ましい。
内側層133の厚みは、150~500μmが好ましく、200~400μmがより好ましい。
内側層133の厚みは、外側層131の厚みに対して、少なくとも1.3倍以上あることが好ましい。
外側層131とガスバリア層132を接着する接着剤層、及び、ガスバリア層132と内側層133を接着する接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、接着樹脂層24,25を構成する接着性樹脂として例示したものと同じものを例示できる。
接着剤層の厚みは、10~50μmが好ましく、15~40μmがより好ましい。
筒状体130は、例えば押し出し成形により形成できる。より具体的には、押し出し成形により形成した長尺状の部材を予め定められた長さに切断することで、筒状体130を形成する。
なお、本発明は、前述した実施形態には限定されない。
例えば、包装袋用積層体1において5層構成の中間層を図2に例示した3層構成の中間層20に変更した包装袋用積層体としてもよく、当該包装袋用積層体を用いた包装袋、スパウト付き包装袋、及び内容物入りスパウト付き包装袋としてもよい。
また、例えば、包装袋110の形態はサイドガゼット袋とする代わりに、底ガゼット袋等の他の形態の包装袋、スパウト付き包装袋、及び内容物入りスパウト付き包装袋としてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
(多層共押出フィルム(A))
本実施例で使用した多層共押出フィルム(A)を以下に示す。
多層共押出フィルムA-1:HDPE層(厚み25μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/EVOH層(厚み10μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/HDPE層(厚み25μm)の積層構成である総厚み70μmの多層共押出フィルム。
多層共押出フィルムA-2:LLDPE層(厚み25μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/EVOH層(厚み8μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/LLDPE層(厚み25μm)の積層構成である総厚み68μmの多層共押出フィルム。
多層共押出フィルムA-3:PP層(厚み25μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/EVOH層(厚み8μm)/接着樹脂層(厚み5μm)/PP層(厚み25μm)の積層構成である総厚み68μmの多層共押出フィルム。
[実施例1]
(1)包装袋用積層体の作製
基材層として、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚み30μm)を用意し、グラビア印刷機を用いてOPPのコロナ処理面に印刷を行った。タンデムドライラミネート機を用い、OPPの印刷面に汎用の脂肪族エステル系接着剤を塗工し、中間層として用いる多層共押出フィルムA-1(厚み68μm)と貼合し、さらに汎用の脂肪族エステル系接着剤を塗工し、シーラント層としてLLDPEフィルム(厚み70μm)を貼合した。所定条件でエージングを行った後、スリッター機で所定の幅にスリットし、巻取り状の包装袋用積層体を得た。
(2)スパウト付き包装袋の作製
得られた包装袋用積層体を用い、スタンディング袋用製袋機により、底ガゼットを有するスタンディング袋型の包装袋を作製した。包装袋の寸法は、扁平状態において、縦方向(高さ方向)の長さを140mm、幅を85mm、底ガゼットの縦方向の長さ(下端から折り目部までの長さ)を25mmとした。その後、スタンディング袋の開口部からスパウトを挿入し、スパウト装着機を用いてスパウトを取り付け、スパウト付き包装袋を得た。
なお、製袋機及びスパウト装着機の各ヒートシール装置の温度設定は、シーラント層が熱融着可能な条件に設定した。
[実施例2、3及び比較例1]
包装袋用積層体の積層構成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして包装袋用積層体を得た。また、得られた包装袋用積層体を用いる以外は、実施例1と同様にしてスパウト付き包装袋を得た。
各例の包装袋用積層体の積層構成と、包装袋用積層体のポリオレフィンモノマテリアル率を表1に示す。また、各例の包装袋、及びスパウト付き包装袋のポリオレフィンモノマテリアル率を表2に示す。
なお、表1中の「//」は、ドライラミネート法における貼合時に塗工した脂肪族エステル系接着剤からなる接着層を意味する。「OPP」は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを意味する。「CPP」は、キャスト法で製造された未延伸ポリプロピレンフィルムを意味する。
Figure 2023100362000002
Figure 2023100362000003
[製袋及びスパウト装着の加工適性]
実施例1~3では、基材層の融点とシーラント層の融点との差が大きく、いずれもシール性が良好であった。特に実施例1では、製袋機及びスパウト装着機のシール装置の熱の影響によるシール部の熱収縮が実施例2と比較して小さく、包装袋及びスパウト付き包装袋の外観が良く、加工適性が良好であり、製袋時の製品ロスが実施例2との比較においてやや少なかった。
一方、比較例1では、シーラント層がポリプロピレンであり、実施例1~3のシーラント層と比較すると融点が高いため、シール装置の温度設定を相対的に10~20℃高くする必要があり、また、基材層とシーラント層の融点が近いため、結果として各シール部の熱収縮により包装袋に反りが生じる等、包装袋の外観が悪く、加工適性に難があった。
[強度の評価]
(1)実験用サンプルの準備
スパウト付き包装袋に水道水140mLを充填し、キャップで密封し、90℃で30分間ボイルした後、5℃環境下で一昼夜保管した。
(2)耐圧縮試験
以下のようにスパウト付き包装袋の耐荷重強度(耐圧縮強度)を示す耐圧縮試験を行った。
実験用サンプルをスパウト付き包装袋の平面部が下になるようにして置き、上から所定の荷重を1分間加え、漏れ、破袋の有無を目視にて確認した。荷重条件は70kg、80kg、100kg、120kgの4種類とし、荷重が小さい条件から順に試験して、漏れ及び破袋が見られた実験用サンプルはそこで試験を終了した。同様の試験を計10個のスパウト付包装袋について行った。
この耐圧縮試験は、保管や輸送等の流通過程において包装袋に加わる様々な負荷に対して耐性があるかを確認する試験である。すなわち、この耐圧縮試験は、流通過程の負荷として想定される圧縮荷重をスパウト付包装袋に加え、それに対してスパウト付包装袋のシール部からの漏れ、破袋の有無を確認する試験である。
(3)落袋試験
実験用サンプルをその縦方向を水平方向とした状態で1.5mの高さから落下させる面落下を1回行った後、実験用サンプルをその縦方向を鉛直方向とした状態で落下させる縦落下を1回行うことを1セットの落袋試験とし、最大5セットまで落袋試験を行った。面落下ではスパウト付き包装袋の平面部が接地し、縦落下ではスパウト付き包装袋の底シール部が接地する。1セット毎に漏れの有無を確認し、漏れが確認された場合はそこで試験を終了した。同様の試験を計10個のスパウト付包装袋について行った。
各例の耐圧縮試験の結果を表3に示す。表3においては、試験したサンプルの総数を「/」の右側、漏れ及び破袋が見られたサンプル数を[/]の左側に示す。例えば、「0/10」は、10個のサンプルのうち、漏れ及び破袋が見られたサンプル数が0個であることを意味する。
Figure 2023100362000004
各例の落袋試験の結果を表4に示す。表4においては、試験したサンプルの総数を「/」の右側、漏れが見られたサンプル数を[/]の左側に示す。例えば、「0/10」は、10個のサンプルのうち、漏れが見られたサンプル数が0個であることを意味する。
Figure 2023100362000005
表3及び表4に示すように、実施例1及び実施例2のスパウト付き包装袋は、申し分ない耐圧縮強度及落袋強度を有していることが確認された。
一方、比較例1のスパウト付き包装袋は、1セット目の時点で破袋が確認され、液状物を内包する包装容器としての実用上の耐性という意味において、十分とは言い難い結果となった。
1…包装袋用積層体、10…基材層、20…中間層、21…ガスバリア樹脂層、22,23…支持層、24,25…接着樹脂層、30…シーラント層、100…スパウト付き包装袋、110…包装袋、111…前面フィルム、112…後面フィルム、113,114…側面フィルム、120…スパウト、121…スパウト本体、122…キャップ、123…注出部、124…ストロー部、125…台座、126…取付部、127…雄ネジ、128…キャップ本体、129…バンド、130…筒状体、131…外側層、132…ガスバリア層、133…内側層。

Claims (8)

  1. 基材層と中間層とシーラント層とがこの順に積層された包装袋用積層体であって、
    前記基材層は、ポリプロピレンからなる延伸フィルムであり、
    前記中間層は、ガスバリア樹脂層と、前記ガスバリア樹脂層の両側に積層されたポリオレフィンを主成分とする支持層と、を含む多層共押出フィルムであり、
    前記シーラント層は、エチレンの単独重合体又は共重合体から選ばれる1種以上からなるフィルムである、包装袋用積層体。
  2. 前記ガスバリア樹脂層がエチレン-ビニルアルコール共重合体を含有する、請求項1に記載の包装袋用積層体。
  3. 前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレン単位の含有率が20モル%以上70モル%以下である、請求項2に記載の包装袋用積層体。
  4. 前記多層共押出フィルムのポリオレフィンモノマテリアル率が質量換算で75%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋用積層体。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋用積層体により構成された包装袋。
  6. 請求項5に記載の包装袋にスパウトが取り付けられたスパウト付き包装袋。
  7. 前記スパウトがガスバリア層を含む、請求項6に記載のスパウト付き包装袋。
  8. 請求項6又は7に記載のスパウト付き包装袋に内容物が収容されている内容物入りスパウト付き包装袋。
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