JP2023097836A - 吐出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボール弁の張り付きを抑制して安定して流路を開閉できる吐出器を提供する。【解決手段】トリガー式噴出器1は、シリンダ23の内部の加圧及び減圧に応じて、縦供給筒部10と噴出孔4との連通及び遮断を切り替える切替弁40を備え、切替弁40は、縦供給筒部10と噴出孔4とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられた弁座41と、弁座41に対して離反可能に着座するボール弁42と、ボール弁42と連通孔17の開口方向に対向する壁部43と、壁部43からボール弁42に向かって突出する少なくとも3つの突起45を含み、且つ弁座41から離反したボール弁42によって、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向に弾性変形する弾性突起群44と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、吐出器に関する。
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような吐出器が知られている。この吐出器は、容器の内容物を吸引、加圧及び圧送するポンプを有し容器の口部に装着されるボディと、ポンプに通じる開孔を有しボディの先端に固定される連結部材と、この連結部材からの内容物を調圧する調圧弁と、この調圧弁からの内容物を噴出させる開孔を有し連結部材に保持されるノズルとを備える。ボディの内部には、インテーク(縦供給筒部)が嵌合保持されている。インテークの内周面には、径方向内側に向けて円環状の弁座が突設されており、この弁座に着座及び離反可能に球状の逆止弁(ボール弁)が設けられている。
ところで、前記従来の吐出器では、内容物の種類によっては、弁座から離反したボール弁が流路の内壁面などに張り付いてしまい、弁座に戻らないことがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ボール弁の張り付きを抑制して安定して流路を開閉できる吐出器を提供することである。
(1)本発明に係る吐出器は、容器体から内容物を吸い上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部が吸い上げた前記内容物を吐出する吐出孔を有するノズル部材と、ピストンの移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部が前記縦供給筒部の内部に連通するシリンダと、前記シリンダの内部の加圧及び減圧に応じて、前記縦供給筒部と前記吐出孔との連通及び遮断を切り替える切替弁と、を備え、前記切替弁は、前記縦供給筒部と前記吐出孔とを連通させる連通孔の開口周縁部に設けられた弁座と、前記弁座に対して離反可能に着座するボール弁と、前記ボール弁と前記連通孔の開口方向に対向する壁部と、前記壁部から前記ボール弁に向かって突出する少なくとも3つの突起を含み、且つ前記弁座から離反した前記ボール弁によって、少なくとも前記連通孔の開口方向と交差する径方向に弾性変形する弾性突起群と、を備える、ことを特徴とする。
本発明に係る吐出器によれば、ピストンの移動に伴ってシリンダ内が加圧または減圧すると、縦供給筒部と吐出孔とを連通させる連通孔の開口周縁部に設けられた弁座からボール弁が離反する。弁座から離反したボール弁は、少なくとも3つの突起を含む弾性突起群と接触し、当該弾性突起群を、少なくとも連通孔の開口方向と交差する径方向に弾性変形させる。シリンダ内の加圧または減圧が解除されると、ボール弁との接触によって弾性変形していた弾性突起群が復元変形し、ボール弁が押し返される。これにより、ボール弁が弁座に向かって付勢され、流路の内壁面に張り付くことなくボール弁が弁座に着座する。
(2)前記弾性突起群は、前記壁部から前記ボール弁に向かうに従って、前記連通孔の中心軸線回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状に形成されていても良い。
この場合には、弾性突起群が連通孔の開口方向と交差する径方向だけでなく、連通孔の中心軸線回りに沿う周方向の一方から他方にも弾性変形するため、ボール弁との接触によって弾性突起群が弾性変形し易くなる。また、弾性突起群が、径方向だけでなく周方向にも変形するため、ボール弁との接触によって弾性突起群が径方向に広がりすぎないようにすることができ、弾性突起群を配置する流路の内径の大型化を抑制できる。
(3)前記弾性突起群は、前記ボール弁の前記壁部側の半分の領域に接触しても良い。
この場合には、弾性突起群の少なくとも3つの突起が、ボール弁の壁部側の半分の領域(半球面)を摘まむように弾性変形するため、弾性突起群が復元変形するときに、弾性突起群からボール弁をリリースし易くなる。
(4)前記弾性突起群は、前記ボール弁に接触する少なくとも3つの接点を有し、前記3つの接点を通る円の直径は、前記ボール弁の直径よりも小さくても良い。
この場合には、ボール弁が弾性突起群と接触した際に、弾性突起群は、少なくとも3つの突起の間が押し広げられるように弾性変形する。これにより、弾性突起群の先端部が径方向に反るように撓り、ボール弁を弁座に向かって付勢する力が強くなる。
(5)前記弾性突起群は、前記連通孔の開口方向と交差する径方向内側を向く内面が、前記連通孔の中心軸線を中心とする円の接線方向に延びる平面状、若しくは前記連通孔の開口方向と交差する径方向外側に窪む曲面状に形成されていても良い。
この場合には、弾性突起群が少なくとも3つの平面若しくは3つの曲面を備えるため、安定してボール弁と接触することができる。
本発明に係る吐出器によれば、ボール弁の張り付きを抑制して安定して流路を開閉できる。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る吐出器は、トリガー式噴出器1である。トリガー式噴出器1は、内容物を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、内容物を噴出する噴出孔4(吐出孔)が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、噴出器本体2及びノズル部材3を覆うカバー部材5と、を備えている。容器体Aに収容される内容物としては、例えば、住居用や食器用の洗剤、空間や衣類などに用いる消臭・芳香剤、除菌用アルコールなど等が挙げられる。
なお、トリガー式噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
図1に示すように、第1実施形態に係る吐出器は、トリガー式噴出器1である。トリガー式噴出器1は、内容物を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、内容物を噴出する噴出孔4(吐出孔)が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、噴出器本体2及びノズル部材3を覆うカバー部材5と、を備えている。容器体Aに収容される内容物としては、例えば、住居用や食器用の洗剤、空間や衣類などに用いる消臭・芳香剤、除菌用アルコールなど等が挙げられる。
なお、トリガー式噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、トリガー機構20と、射出筒部30と、切替弁40と、を主に備えている。
以下の説明では、縦供給筒部10の中心軸線Oに沿った容器体A側を下側、その反対側を上側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向という。また、この上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
以下の説明では、縦供給筒部10の中心軸線Oに沿った容器体A側を下側、その反対側を上側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向という。また、この上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の内容物を吸い上げる。縦供給筒部10は、容器体Aの口部の上端開口縁上にパッキンを介して配置されるフランジ11を備えている。フランジ11は、容器体Aの口部に装着(螺着)された装着キャップ12によって上方から押え付けられている。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから内容物を吸い上げるパイプ13の上部が嵌合している。
縦供給筒部10の前側には、シリンダ用筒部14が設けられている。シリンダ用筒部14は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。シリンダ用筒部14内には、シリンダ23が嵌合している。シリンダ23は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。シリンダ23は、その後壁部の一部において、縦供給筒部10の内部に連通している。
トリガー機構20は、トリガー部21と、ピストン22と、シリンダ23と、付勢部材24と、を備えている。トリガー機構20は、トリガー部21の後方への移動によって、内容物を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
トリガー部21は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部21は、射出筒部30の左右側方において、ノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支されている。トリガー部21は、ノズル部材3による軸支位置から下方に延び、ピストン22及びシリンダ23の前方に位置している。
ピストン22は、シリンダ23の内部に前後方向に移動可能に配置されている。ピストン22は、トリガー部21の移動に連動して前後方向に移動可能とされている。シリンダ23の内部は、ピストン22の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。ピストン22は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
ピストン22は、トリガー部21と共に付勢部材24の付勢力によって前方に付勢されている。ピストン22は、トリガー部21の後方への移動に伴って後退してシリンダ23内に押し込まれる。ピストン22は、トリガー部21が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
付勢部材24は、射出筒部30の後端部を閉塞する閉塞部材32に一体に形成された一対の弾性アームである。一対の弾性アームは、閉塞部材32の左右両側から前方に延び、且つ前方に向かうに従って下方に反るように弾性変形し、トリガー部21を前方に付勢している。このように付勢部材24が閉塞部材32に形成されることで、一対の弾性アームを射出筒部30の後端部から前方に向かって長く形成するとともに、その湾曲部分を大きく緩やかに設けることが可能になる。なお、付勢部材24は、ピストン22の頂壁とシリンダ23の底壁との間に配置されたスプリング部材等であっても構わない。
射出筒部30は、シリンダ用筒部14の上方に配置され、縦供給筒部10の上端部から前方に向けて延びている。射出筒部30内は、縦供給筒部10内の上端部に連通している。射出筒部30内には、蓄圧弁31が配置されている。蓄圧弁31は、射出筒部30内に前後方向に移動可能に配置され、且つ射出筒部30の後端開口部を後方から開放可能に閉塞している。蓄圧弁31は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
射出筒部30の後端部は、蓄圧弁31の後方から組み付けられた閉塞部材32によって閉塞されている。閉塞部材32は、上述した付勢部材24を構成する一対の弾性アームと、蓄圧弁31に対して後方から接触して、蓄圧弁31を位置決めする複数の弾性突部33と、を備えている。
複数の弾性突部33は、蓄圧弁31の後端開口縁のテーパ面に対して後方から接触している。複数の弾性突部33は、縦供給筒部10の上端部に連通する蓄圧室S内の圧力が所定値を超えたときに後方に移動する蓄圧弁31のテーパ面によって、互いの先端部が近接するように弾性変形して、蓄圧室Sを射出筒部30の前端開口部に連通させる。
射出筒部30には、ノズル部材3が前方から外嵌している。ノズル部材3は、射出筒部30の前端部に装着される筒状の中継部材3aと、中継部材3aに対して前方に抜け止めがされた状態で回転可能に装着された有頂筒状のノズル本体3bと、を備えている。ノズル本体3bの前側頂壁には、前方に開口し、内容物を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
カバー部材5は、ノズル部材3のうちのノズル本体3bを除く全体、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、及び射出筒部30の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
切替弁40は、縦供給筒部10の内側に設けられている。縦供給筒部10は、外筒部15と、外筒部15内に嵌合された内筒部16と、を備えている。切替弁40は、内筒部16内に嵌合されたパイプ13の上端位置と、当該パイプ13の上端位置よりも上方において外筒部15とシリンダ23とが接続される接続位置との間に設けられた流路内に設けられている。当該流路内には、縦供給筒部10と噴出孔4とを連通させる連通孔17が形成されている。
切替弁40は、シリンダ23の内部の加圧及び減圧に応じて、縦供給筒部10と噴出孔4との連通及び遮断を切り替える。切替弁40は、弁座41と、ボール弁42と、壁部43と、弾性突起群44と、を備えている。弁座41は、縦供給筒部10と噴出孔4とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられている。弁座41は、内筒部16の上端部の内壁面から径方向に向けて突出すると共に、その上面は、下方に向かうに従って漸次縮径している。
ボール弁42は、弁座41に対して離反可能に着座する球体である。ボール弁42は、例えば、容器体Aに収容した内容物よりも比重の重い金属等から形成されている。壁部43は、ボール弁42と連通孔17の開口方向に対向している。つまり、壁部43は、連通孔17の開口方向において、ボール弁42を挟んで、弁座41と隙間をあけて対向している。壁部43は、外筒部15と一体的に形成されている。具体的に、壁部43は、有頂筒状の外筒部15の頂壁を形成している。壁部43からは上方に延びる側壁が一体的に形成され、当該側壁を介して射出筒部30と外筒部15とが一体的に形成されている。そして、射出筒部30の下側部分と当該側壁との間に、射出筒部30内の蓄圧室Sとシリンダ23とを接続する流路が形成されている。
なお、連通孔17の開口方向とは、連通孔17の中心を通る中心軸線が延びる方向である。第1実施形態において、連通孔17の中心軸線は、縦供給筒部10の中心軸線Oと一致している。つまり、第1実施形態において連通孔17の開口方向とは上下方向である。なお、縦供給筒部10に対して屈曲した流路内に切替弁40がある場合は、その屈曲した流路が延びる方向が、連通孔17の開口方向となる場合もある。
弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かって突出する複数の突起45を備えている。複数の突起45は、弁座41に着座した状態のボール弁42に対し、ボール弁42の壁部43側の半分の領域(上半分の領域)に接触している。なお、複数の突起45は、弁座41に着座した状態のボール弁42に対して、上下方向に離間して配置されていても構わない。
弾性突起群44は、図2の斜視図に示すように、壁部43からボール弁42に向かって突出する3つの突起45を備えている。なお、突起45は、4つ以上あっても構わない。弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かうに従って、連通孔17の中心軸線O回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状(例えば平面視で中心軸線Oを中心とする反時計回りの螺旋状)に形成されている。つまり、突起45の壁部43側の根本部45bに対し、突起45のボール弁42側の先端部45aは、周方向の他方側に位置している。
弾性突起群44は、図3の底面図に示すように、連通孔17の開口方向と交差する径方向内側を向く内面46が、連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に窪む曲面状に形成されている。3つの突起45のそれぞれの内面46は、全体で、連通孔17の中心軸線Oを中心とする円形を成している。なお、弾性突起群44の内面46は、連通孔17の中心軸線Oを中心とする円の接線方向に延びる平面状であっても構わない。
突起45の根本部45bから先端部45aの手前までは、略半円柱状に形成されている。突起45の先端部45aは、略半球状に形成されている。つまり、突起45の先端部45aの球面の一点が、ボール弁42に対する初期の接点Pとなっている。弾性突起群44は、ボール弁42に接触する少なくとも3つの接点Pを有し、3つの接点Pを通る円の直径D2は、ボール弁42の直径D1よりも小さくなっている。これにより、ボール弁42が弁座41から離反したときに、ボール弁42によって弾性突起群44は、3つの突起45の間が押し広げられるように弾性変形する。
弾性突起群44は、弁座41から離反したボール弁42によって、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形する。さらに、弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かうに従って、連通孔17の中心軸線O回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状に形成されているため、図4に示すように、周方向に捩じるように弾性変形する。これらの弾性変形により、弁座41とボール弁42との間に上下方向の隙間が生じ、縦供給筒部10と噴出孔4とが連通する。
次に、上述のように構成されたトリガー式噴出器1を使用する場合について説明する。なお、前提として、トリガー式噴出器1の各部内に内容物が充填され、縦供給筒部10内に内容物を吸い上げることができる状態になっているものとする。
図1に示すように、トリガー部21を後方に引くように操作すると、ピストン22が最前方位置から後方に移動し、シリンダ23内が加圧される。シリンダ23内が加圧されると、シリンダ23内の内容物が縦供給筒部10内に流出すると共に、流出した内容物によってボール弁42が弁座41に押し付けられることで、連通孔17が遮断される。
これにより、縦供給筒部10内に流出した内容物を、縦供給筒部10の上端部を通じて、射出筒部30内に供給することができる。射出筒部30内に内容物が供給されると、蓄圧室Sの圧力を上昇し、蓄圧室S内の圧力が所定値を超えると、弾性突部33が弾性変形し、蓄圧弁31が開放される。蓄圧弁31が開放されると、圧力が高まった内容物を、射出筒部30から中継部材3aに向けて勢い良く射出させることができると共に、ノズル本体3bの噴出孔4から外部に向けて噴出させることができる。
なお、内容物の噴出後、トリガー部21が付勢部材24によって前方に復元移動すると、トリガー部21に連動して、ピストン22がシリンダ23内で前方に向けて復元移動する。これによって、シリンダ23内が減圧され、容器体A内の圧力よりも低い圧力になる。このように、ピストン22の移動に伴ってシリンダ23内が減圧すると、縦供給筒部10と噴出孔4とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられた弁座41からボール弁42が離反する。
弁座41から離反したボール弁42は、3つの突起45を含む弾性突起群44と接触し、当該弾性突起群44を、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形させる。シリンダ23内の減圧が解除されると、ボール弁42との接触によって弾性変形していた弾性突起群44が復元変形し、ボール弁42が押し返される。これにより、ボール弁42が弁座41に向かって付勢され、縦供給筒部10の流路の内壁面に張り付くことなくボール弁42が弁座41に着座する。
従って、容器体A内の内容物を、連通孔17を介して縦供給筒部10内に吸い上げ、シリンダ23内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
従って、容器体A内の内容物を、連通孔17を介して縦供給筒部10内に吸い上げ、シリンダ23内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
このように、第1実施形態のトリガー式噴出器1は、容器体Aから内容物を吸い上げる縦供給筒部10と、縦供給筒部10が吸い上げた内容物を吐出する噴出孔4を有するノズル部材3と、ピストン22の移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部が縦供給筒部10の内部に連通するシリンダ23と、シリンダ23の内部の加圧及び減圧に応じて、縦供給筒部10と噴出孔4との連通及び遮断を切り替える切替弁40と、を備え、切替弁40は、縦供給筒部10と噴出孔4とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられた弁座41と、弁座41に対して離反可能に着座するボール弁42と、ボール弁42と連通孔17の開口方向に対向する壁部43と、壁部43からボール弁42に向かって突出する少なくとも3つの突起45を含み、且つ弁座41から離反したボール弁42によって、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形する弾性突起群44と、を備える。この構成によれば、ボール弁42の張り付きを抑制して安定して流路を開閉できる。
また、第1実施形態では、弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かうに従って、連通孔17の中心軸線O回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状に形成されている。この構成によれば、弾性突起群44が連通孔17の開口方向と交差する径方向外側だけでなく、連通孔17の中心軸線O回りに沿う周方向の一方から他方にも弾性変形するため、ボール弁42との接触によって弾性突起群44が弾性変形し易くなる。また、弾性突起群44が、径方向だけでなく周方向にも変形するため、ボール弁42との接触によって弾性突起群44が径方向外側に広がりすぎないようにすることができ、弾性突起群44を配置する流路の内径の大型化を抑制できる。
また、第1実施形態では、弾性突起群44は、ボール弁42の壁部43側の半分の領域に接触する。この構成によれば、弾性突起群44の少なくとも3つの突起45が、ボール弁42の壁部43側の半分の領域(半球面)を摘まむように弾性変形するため、弾性突起群44が復元変形するときに、弾性突起群44からボール弁42をリリースし易くなる。
また、第1実施形態では、弾性突起群44は、ボール弁42に接触する少なくとも3つの接点Pを有し、3つの接点Pを通る円の直径D2は、ボール弁42の直径D1よりも小さい。この構成によれば、ボール弁42が弾性突起群44と接触した際に、弾性突起群44は、少なくとも3つの突起45の間が押し広げられるように弾性変形する。これにより、弾性突起群44の先端部が径方向外側に反るように撓り、ボール弁42を弁座41に向かって付勢する力が強くなる。
また、第1実施形態では、弾性突起群44は、連通孔17の開口方向と交差する径方向内側を向く内面46が、連通孔17の中心軸線Oを中心とする円の接線方向に延びる平面状、若しくは連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に窪む曲面状に形成されている。この構成によれば、弾性突起群44が少なくとも3つの平面若しくは3つの曲面を備えるため、安定してボール弁42と接触することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図5に示すように、第2実施形態に係る吐出器は、プッシュ式吐出器100である。プッシュ式吐出器100は、図示しない容器体に充填された内容物を押下ヘッド103の吐出孔104から吐出する。なお、容器体に充填する内容物として、例えば、トリートメント、ボディソープ、ハンドソープ、シャンプー、リンス、およびコンディショナー等が挙げられる。
プッシュ式吐出器100は、容器体の口部に装着される装着キャップ101と、装着キャップ101に、上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム110(縦供給筒部)を有するポンプ102と、ステム110の上端部に装着されるとともに、内容物を吐出する吐出孔104が形成された押下ヘッド103(ノズル部材)と、下降端位置に位置する押下ヘッド103が着脱可能に装着され、押下ヘッド103およびステム110の上方移動を規制する規制筒105と、を備える。
装着キャップ101は、環状の天壁部を備える有頂筒状に形成されている。装着キャップ101の内周面には、容器体の口部に螺着される雌ねじ部が形成されている。
ポンプ102は、上下方向に延びる筒状のステム110と、ステム110の上下動に連係するピストン111と、ピストン111が上下摺動可能に嵌合されたシリンダ112と、ステム110の上下動に連係し、シリンダ112の下端部内に嵌合された嵌合部材113と、シリンダ112の下端開口を開閉する下部弁体114と、を備える。
装着キャップ101、ステム110、規制筒105、ピストン111、およびシリンダ112の中心軸線Oはそれぞれ、同軸に配設されている。以下、この中心軸線Oに沿った容器体側を下側、その反対側を上側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向という。また、この上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
ピストン111は、ステム110の下端部から径方向外側に延在し、シリンダ112の内壁面に上下動可能に摺接している。シリンダ112は、上方が開口する有底筒状に形成されている。シリンダ112の底部中央には、容器体の底部にまで延在し、内容物を吸い上げるパイプ115が嵌合される開口部が形成されている。
シリンダ112の上端部の外周面には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部116が全周にわたって形成されている。フランジ部116は、容器体の口部の上端開口縁上に配置される。シリンダ112のうち、フランジ部116より上方に位置する部分は、装着キャップ101の天壁部の内側に挿通されている。フランジ部116は、装着キャップ101の天壁部によって、容器体の口部の上端開口縁に押し付けられる。
ピストン111の内側には、ピストン付勢部材117の上端部が配設されている。ピストン付勢部材117は、内容物の吐出後、ステム110を上方に復元移動させる。下部弁体114は、シリンダ112内において、嵌合部133との下方に位置する部分に配設されている。嵌合部133は、ピストン付勢部材117の下端部が受ける上方に凸状のばね受け部と、ばね受け部の周縁部からシリンダ112の底壁に向かって延びる脚部と、を備えている。当該脚部は、周方向に断続的に延びており、内容物が通過できる隙間が形成されている。
下部弁体114は、上下方向から見て円形状に形成されている。下部弁体114は、下部弁体114は、シリンダ112の底面における下端開口の周縁部に、上方に向けて離反可能に載置されている。下部弁体114は、嵌合部133の脚部の内側に配設されている。下部弁体114は、嵌合部133の脚部の内周面に、弾性変形可能な連結片を介してヒンジ連結されている。
下部弁体114は、シリンダ112内の加圧時に、シリンダ112の下端開口を閉塞したままに維持し、シリンダ112内の減圧時に、シリンダ112の下端開口を開放する逆止弁となっている。これにより、シリンダ112内の加圧時に、シリンダ112内の内容物がシリンダ112の下端開口から容器体内に戻ることが阻止され、シリンダ112内の減圧時に、容器体内の内容物がシリンダ112の下端開口からてシリンダ112内に流入する。
押下ヘッド103は、ステム110の上端部に嵌合された嵌合筒120と、嵌合筒120から径方向の外側に向けて突出し、その先端に吐出孔104が形成された吐出筒121と、嵌合筒120を径方向の外側から囲う螺着筒122と、を備える。吐出筒121は、螺着筒122を径方向に貫いている。嵌合筒120の上部は、ステム110の上端部から上方に突出している。規制筒105は、シリンダ112の上端部に外嵌された外嵌筒131と、下降端位置に位置する押下ヘッド103の螺着筒122が螺着される雄ねじ筒132と、を備える。
ここで、切替弁40は、ステム110及び嵌合筒120の内側に設けられている。ステム110の上端部は、ステム110と吐出孔104とを連通させる連通孔17が形成されている。切替弁40は、シリンダ112の内部の加圧及び減圧に応じて、ステム110と吐出孔104との連通及び遮断を切り替える。切替弁40は、上述したように、弁座41と、ボール弁42と、壁部43と、弾性突起群44と、を備えている。弁座41は、ステム110と吐出孔104とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられている。弁座41は、内筒部16の上端部の内壁面から径方向に向けて突出すると共に、その上面は、下方に向かうに従って漸次縮径している。
ボール弁42は、弁座41に対して離反可能に着座する球体である。ボール弁42は、例えば、容器体Aに収容した内容物よりも比重の重い金属等から形成されている。壁部43は、押下ヘッド103の天面から下方に垂設され、ボール弁42と連通孔17の開口方向に対向している。つまり、壁部43は、連通孔17の開口方向において、ボール弁42を挟んで、弁座41と隙間をあけて対向している。壁部43は、押下ヘッド103と一体的に形成されている。
弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かって突出する少なくとも3つの突起45を備えている。弾性突起群44は、弁座41に着座した状態のボール弁42に対し、ボール弁42の壁部43側の半分の領域(上半分の領域)に接触している。なお、弾性突起群44は、弁座41に着座した状態のボール弁42に対して、上下方向に離間して配置されていても構わない。なお、弾性突起群44の詳細な構造は、上述した第1実施形態の通りである。
以上のように構成されたプッシュ式吐出器100の使用方法について説明する。
押下ヘッド103を押下して、ステム110を下降移動させると、ピストン111も下降移動し、シリンダ112内の内容物が加圧される。これにより、シリンダ112内の内容物がステム110内に流入し、連通孔17を遮蔽するボール弁42が弁座41から離反し、内容物が吐出孔104から吐出される。
このように、ピストン111の移動に伴ってシリンダ112内が加圧すると、ステム110と吐出孔104とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられた弁座41からボール弁42が離反する。弁座41から離反したボール弁42は、3つの突起45を含む弾性突起群44と接触し、当該弾性突起群44を、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形させる。シリンダ112内の加圧が解除されると、ボール弁42との接触によって弾性変形していた弾性突起群44が復元変形し、ボール弁42が押し返される。これにより、ボール弁42が弁座41に向かって付勢され、ステム110や嵌合筒120の流路の内壁面に張り付くことなくボール弁42が弁座41に着座する。
次に、押下ヘッド103の押下が解除されると、ピストン付勢部材117の上方付勢力によって、ステム110、ピストン111および押下ヘッド103が一体に上昇する。これにより、シリンダ112内が減圧する。シリンダ112内が減圧すると、下部弁体114がシリンダ112の下端開口を開放し、容器体内の内容物が、パイプ115を通してシリンダ112内に流入する。
従って、容器体内の内容物を、連通孔17を介してステム110内に吸い上げ、シリンダ112内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
従って、容器体内の内容物を、連通孔17を介してステム110内に吸い上げ、シリンダ112内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
このように、第2実施形態のプッシュ式吐出器100は、容器体から内容物を吸い上げるステム110と、ステム110が吸い上げた内容物を吐出する吐出孔104を有する押下ヘッド103と、ピストン111の移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部がステム110の内部に連通するシリンダ112と、シリンダ112の内部の加圧及び減圧に応じて、ステム110と吐出孔104との連通及び遮断を切り替える切替弁40と、を備え、切替弁40は、ステム110と吐出孔104とを連通させる連通孔17の開口周縁部に設けられた弁座41と、弁座41に対して離反可能に着座するボール弁42と、ボール弁42と連通孔17の開口方向に対向する壁部43と、壁部43からボール弁42に向かって突出する少なくとも3つの突起45を含み、且つ弁座41から離反したボール弁42によって、少なくとも連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形する弾性突起群44と、を備える。この構成によれば、ボール弁42の張り付きを抑制して安定して流路を開閉できる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、弾性突起群44が、壁部43からボール弁42に向かうに従って、連通孔17の中心軸線O回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状に形成されている構成について説明したが、弾性突起群44は、壁部43からボール弁42に向かってストレートに延びていても構わない。
また、例えば、上述した実施形態では、弾性突起群44は、連通孔17の開口方向と交差する径方向内側を向く内面46が、連通孔17の中心軸線Oを中心とする円の接線方向に延びる平面状、若しくは連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に窪む曲面状に形成されている構成について説明したが、弾性突起群44の内面46は、連通孔17の中心軸線Oに向かって凸状にならなければよい。
また、例えば、上述した実施形態では、弾性突起群44は、弁座41から離反したボール弁42によって、連通孔17の開口方向と交差する径方向外側に弾性変形する構成について説明したが、径方向内側に弾性変形する一部の突起があっても構わない。
また、例えば、本発明の吐出器として、第1実施形態ではトリガー式噴出器1、第2実施形態では内容物が液滴状に吐出されるプッシュ式吐出器100を例示しているが、この構成に限定されない。本発明の吐出器としては、例えば、内容物を霧状に噴霧するプッシュ式吐出器(スプレータイプ)や内容物を泡状に吐出するプッシュ式フォーマーポンプなどであっても構わない。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1…トリガー式噴出器、2…噴出器本体、3…ノズル部材、3a…中継部材、3b…ノズル本体、4…噴出孔、5…カバー部材、10…縦供給筒部、11…フランジ、12…装着キャップ、13…パイプ、14…シリンダ用筒部、15…外筒部、16…内筒部、17…連通孔、20…トリガー機構、21…トリガー部、22…ピストン、23…シリンダ、24…付勢部材、30…射出筒部、31…蓄圧弁、32…閉塞部材、33…弾性突部、40…切替弁、41…弁座、42…ボール弁、43…壁部、44…弾性突起群、45…突起、45a…先端部、45b…根本部、46…内面、100…プッシュ式吐出器、101…装着キャップ、102…ポンプ、103…押下ヘッド、104…吐出孔、105…規制筒、110…ステム、111…ピストン、112…シリンダ、113…嵌合部材、114…下部弁体、115…パイプ、116…フランジ部、117…ピストン付勢部材、120…嵌合筒、121…吐出筒、122…螺着筒、131…外嵌筒、132…雄ねじ筒、133…嵌合部、A…容器体、D1…直径、D2…直径、O…中心軸線、P…接点、S…蓄圧室
Claims (5)
- 容器体から内容物を吸い上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部が吸い上げた前記内容物を吐出する吐出孔を有するノズル部材と、
ピストンの移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部が前記縦供給筒部の内部に連通するシリンダと、
前記シリンダの内部の加圧及び減圧に応じて、前記縦供給筒部と前記吐出孔との連通及び遮断を切り替える切替弁と、を備え、
前記切替弁は、
前記縦供給筒部と前記吐出孔とを連通させる連通孔の開口周縁部に設けられた弁座と、
前記弁座に対して離反可能に着座するボール弁と、
前記ボール弁と前記連通孔の開口方向に対向する壁部と、
前記壁部から前記ボール弁に向かって突出する少なくとも3つの突起を含み、且つ前記弁座から離反した前記ボール弁によって、少なくとも前記連通孔の開口方向と交差する径方向に弾性変形する弾性突起群と、を備える、ことを特徴とする吐出器。 - 前記弾性突起群は、前記壁部から前記ボール弁に向かうに従って、前記連通孔の中心軸線回りに沿う周方向の一方から他方に向けて延びる螺旋状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
- 前記弾性突起群は、前記ボール弁の前記壁部側の半分の領域に接触する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の吐出器。
- 前記弾性突起群は、前記ボール弁に接触する少なくとも3つの接点を有し、
前記3つの接点を通る円の直径は、前記ボール弁の直径よりも小さい、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の吐出器。 - 前記弾性突起群は、前記連通孔の開口方向と交差する径方向内側を向く内面が、前記連通孔の中心軸線を中心とする円の接線方向に延びる平面状、若しくは前記連通孔の開口方向と交差する径方向外側に窪む曲面状に形成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の吐出器。
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JP2021214173A Pending JP2023097836A (ja) | 2021-12-28 | 2021-12-28 | 吐出器 |
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