JP2023097338A - ガラス、導電ペーストおよび太陽電池 - Google Patents

ガラス、導電ペーストおよび太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、太陽電池等の半導体基板上に絶縁膜を介して電極を形成する際に、耐酸性を維持しつつ、電極と半導体基板との接触抵抗を抑制し、かつ、過剰なファイアスルーを抑制することで、太陽電池の変換効率を向上させることのできるガラスを提供する。【解決手段】酸化物換算のモル%表示で、PbOを30%以上70%以下、Bi2O3を1%以上30%以下、SiO2を4%以上20%以下、Al2O3を2%以上15%以下、TiO2を1%以上20%以下、B2O3を0%以上30%以下、およびGa2O3を0%以上20%以下含むガラス。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス、ガラス粉末、導電ペーストおよび太陽電池に関し、特には太陽電池の電極形成用として好適なガラス、ガラス粉末、これを用いた導電ペースト、および該導電ペーストにより形成された電極を有する太陽電池に関するものである。
従来から、シリコン(Si)等の半導体基板の上に電極となる導電層を形成した電子デバイスが、種々の用途に使用されている。この電極となる導電層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)等の導電性金属粉末とガラス粉末を有機ビヒクル中に分散させた導電ペーストを、半導体基板上に塗布し、電極形成に必要な温度で焼成することにより形成されている。
このようにして半導体基板上に電極を形成する際に、半導体基板の電極が形成される面の全体に絶縁膜が形成され、パターン状の電極が絶縁膜を部分的に貫通して半導体基板に接触するように形成される場合がある。
例えば、太陽電池においては、受光面となる半導体基板上に反射防止膜が設けられ、電極はその上にパターン状に設けられる。反射防止膜は、十分な可視光透過率を保ちつつ表面反射率を低減して受光効率を高めるためのものであって、通常、窒化珪素、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の絶縁材料で構成される。
また、裏面側でも受光できるような両面受光型太陽電池では、裏面にも反射防止膜と同様の絶縁材料からなるパッシベーション膜が全体に設けられ、該パッシベーション膜上に電極が部分的に半導体基板に接触する形で形成されている。
電極は、半導体基板に接触するように形成する必要がある。したがって、電極形成の際には、形成する電極のパターンに応じて絶縁膜が除去され、絶縁膜が除去された部分に電極が形成される。絶縁膜を除去する方法としてレーザー等で物理的に除去する方法が挙げられるが、当該方法は製造工程の増加や、装置導入コストの増加を伴う。したがって、近年では導電性金属粉末とガラス粉末を含有する導電ペースト、すなわちペースト状の電極材料を絶縁膜上に塗布して熱処理を行うことで、該導電ペーストに絶縁膜を貫通させる、ファイアスルーなる方法が採用されている。
半導体基板上に電極を形成する上記技術は、太陽電池におけるpn接合型の半導体基板上への電極形成にも適用されている。
特許文献1には、導電ペーストに用いるガラスにおいて具体的なガラス組成として、質量%で、PbOを60~95%、Bを0~10%、SiO+Alを1~30%含有する組成が開示されている。
特許文献2には、比較的低温で封着可能な封着材料に用いる鉛ガラスに関する記述があり、具体的なガラス組成として、質量%でPbOを69~80%、Biを7.3~12.5%、Bを3.5~11.5%、ZnOを1.7~8.2%、SiOを0~3.5%、CuOを0~4%、Fを1.3~5%、V、Te、Sb及びFeが合計で0.1%以下含有する組成が開示されている。
国際公開第2013/103087号 特許第6650885号公報
特許文献1および2に開示されているように、太陽電池の電極形成に用いるガラスについては、電極の形成性を向上するとともに、電極と半導体基板との接触抵抗を低減させる技術が開発されている。
しかし、特許文献1に記載されているガラスは、焼成時のガラスの流動性が高く、過剰なファイアスルーにより反射防止膜の浸食が進み、開放電圧(Voc)が悪化する問題がある。また、導電性金属(例えば、Al)粉末が表面に酸化被膜を形成することにより、被膜内部における導電性金属による電極と絶縁膜及び半導体基板との界面への移動が抑制され、接触抵抗が増大するという問題がある。また、特許文献2に記載されているガラスは、耐酸性が不十分である。
特にTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)等の太陽電池において、現状では、優れた耐酸性を維持しながら、電極と半導体基板との接触抵抗を低減し、かつ過剰なファイアスルーを抑制することで太陽電池の変換効率を向上させる技術は開発途上である。
本発明は、電極形成に用いられるガラスであって、太陽電池等の半導体基板上に絶縁膜を介して電極を形成する際に、耐酸性を維持しつつ、電極と半導体基板との接触抵抗を抑制し、かつ、過剰なファイアスルーを抑制することで、太陽電池の変換効率を向上し得るガラスの提供を目的とする。本発明は、さらに、該ガラスからなるガラス粉末を含有する導電ペーストおよび該導電ペーストを用いることで変換効率の向上した太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラス組成を特定範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下の構成のガラス、導電ペーストおよび太陽電池を提供する。
[1]酸化物換算のモル%表示で、
PbOを30%以上70%以下、
Biを1%以上30%以下、
SiOを4%以上20%以下、
Alを2%以上15%以下、
TiOを1%以上20%以下、
を0%以上30%以下、および
Gaを0%以上20%以下
含むガラス。
[2]酸化物換算のモル%表示で、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)が50%以上である、[1]に記載のガラス。
[3]酸化物換算のモル%表示で、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)に対するBiの含有量の割合が5%以上50%以下である、[1]または[2]に記載のガラス。
[4]酸化物換算のモル%表示で、TiO、ZrO、LaおよびNbの含有量の合計(TiO+ZrO+La+Nb)が2%以上15%以下である、[1]~[3]のいずれか1に記載のガラス。
[5]ガラス転移温度が330℃以上430℃以下である、[1]~[4]のいずれか1に記載のガラス。
[6]結晶化温度が450℃以上600℃以下である、[1]~[5]のいずれか1に記載のガラス。
[7][1]~[6]のいずれか1に記載のガラスからなるガラス粉末、導電性金属粉末、および有機ビヒクルを含有する導電ペースト。
[8][7]に記載の導電ペーストを用いて形成された電極を備える太陽電池。
[9]太陽光受光面を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記太陽光受光面に設けられた第1絶縁膜と、
前記シリコン基板の前記太陽光受光面の反対側の面に設けられた第2絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の一部を貫通して前記シリコン基板に接触する第1電極と、
前記第2絶縁膜の一部を貫通して前記シリコン基板に接触する第2電極と、
を備える太陽電池であって、
前記第1電極は、Al、Ag、Cu、Au、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属と、酸化物換算のモル%表示で、PbOを30%以上70%以下、Biを1%以上30%以下、SiOを4%以上20%以下、Alを2%以上15%以下、TiOを1%以上20%以下、Bを0%以上30%以下およびGaを0%以上20%以下のガラスと、を含む太陽電池。
本発明のガラスは特定の組成範囲を有し、特に、ファイアスルーを促進する効果の高いPbOとともに、Biを特定量含有する。BiはPbOと同様にガラスの軟化流動性を向上させる機能を有しながら、PbOよりもファイアスルーする力が弱いため、ガラス組成中でPbOの一部をBiに置き換えることで、過剰なファイアスルーを抑制し、電極と絶縁膜並びに半導体基板との接触性を向上させる。また、還元力に優れたBiを特定量含有することで、焼成時に形成される酸化被膜を厚く成長させて導電性金属との熱膨張係数の差により該酸化被膜に亀裂を生じさせる。これにより、該酸化被膜内部に存在する導電性金属による電極と絶縁膜及び半導体基板との界面への移動が促進され、接触抵抗を低減できる。さらに、結晶化を促進するTiOをPbOとともに特定量含有することにより、結晶化を促進し、耐酸性を向上できる。
したがって、本発明のガラスは、導電性成分とともに導電ペーストに用いることで、優れたファイアスルー性および耐酸性を示し、さらに電極と半導体基板との接触を十分に確保して、太陽電池の変換効率を向上できる。
図1は、本実施形態に係る導電ペーストを用いて電極形成されたn型Si基板両面受光型太陽電池の一例の断面を模式的に示した図である。 図2は、接触抵抗Rc[Ω]を評価する際に使用したSi基板に形成した電極パターンを示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<ガラス>
本実施形態に係るガラスは、酸化物換算のモル%表示で、PbOを30%以上70%以下、Biを1%以上30%以下、SiOを4%以上20%以下、Alを2%以上15%以下、TiOを1%以上20%以下、Bを0%以上30%以下、およびGaを0%以上20%以下含む。以下の説明において、特に断りのない限り、ガラスの各成分の含有量における「%」の表示は、酸化物換算のモル%表示である。本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。また、本明細書において、「0%含有する」とは含有しないことを表す。
本実施形態に係るガラスにおける各成分の含有量は、得られたガラスの誘導結合プラズマ(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy)分析若しくは電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)分析の結果から求められる。
以下、ガラス成分の説明において、「導電ペースト」は「本発明のガラスを含有する導電ペースト」を意味する。また、「電極」は「本発明のガラスを含有する導電ペーストを用いて得られる電極」を意味する。
PbOは絶縁膜やシリコン基板との反応性を有し、かつ、ガラスの軟化流動性を向上させる機能を有する。これにより、例えば本実施形態に係るガラスを含有する導電ペーストを用いて半導体基板等に電極を形成した場合、電極と基板等との接触抵抗を低減し、接合強度を向上できる。
本実施形態に係るガラスは、PbOを30%以上70%以下の割合で含有する。PbOの含有量を30%以上とすることにより、ファイアスルーが進行しやすく、電極と絶縁膜並びに半導体基板との十分な接触を確保できる。PbOの含有量は、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上である。また、PbOの含有量を70%以下とすることにより、過剰なファイアスルーを防ぎ、絶縁膜の浸食を抑制できる。PbOの含有量は、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは57%以下である。
Biは、PbOと同様にガラスの軟化流動性を向上させる機能を有しながら、PbOよりもファイアスルーする力が弱いため、ガラス組成中でPbOの一部をBiに置き換えることで、過剰なファイアスルーを抑制し、電極と絶縁膜並びに半導体基板との接触性を向上させる機能を有する。また、Biは還元力が大きいため、導電性金属(例えば、Al)の酸化被膜の形成を促進する。導電性金属の酸化被膜が十分に厚くなることで、焼成後に導電性金属と酸化被膜との熱膨張係数の差によって酸化被膜に亀裂が生じ、酸化被膜内部に存在する導電性金属による電極と絶縁膜及び半導体基板との界面への移動が促進される。その結果、電極と半導体基板との接触抵抗が低減し、電気特性が向上する。
本実施形態のガラスは、Biを1%以上30%以下の割合で含有する。Biの含有量が1%以上であると、ガラスの軟化流動性を向上させ、また過剰なファイアスルーを抑制しつつ半導体基板に対して十分な反応性を示す。また、耐酸性を向上し得る。Biの含有量は、好ましくは2%以上であり、より好ましくは4%以上である。また、Biの含有量は30%以下であることにより、十分なファイアスルー性を確保できる。Biの含有量は好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
SiOは、ガラスの耐候性及び安定性を向上させる成分であり、絶縁膜やシリコン基板との反応性を調整する成分でもある。本実施形態のガラスは、SiOを4%以上20%以下の割合で含有する。SiOの含有量を4%以上とすることにより、ガラス化しやすくなり電極形成が容易となる。SiOの含有量は好ましくは6%以上であり、より好ましくは8%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。また、SiOの含有量が20%以下であることにより、ガラス転移点の上昇を抑制し、焼成時にガラスが優れた流動性を示し、絶縁膜やシリコン基板との反応性が向上する。SiOの含有量は好ましくは18%以下であり、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下である。
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。本実施形態に係るガラスは、Alを2%以上15%以下の割合で含有する。Alの含有量を2%以上とすることにより、耐候性を向上するとともに、ガラスを安定化し得る。Alの含有量は、好ましくは2.5%以上であり、より好ましくは3%以上である。また、Alの含有量が15%以下であることにより、ガラス転移点の上昇を抑制し、軟化時に優れた流動性を示す。Alの含有量は好ましくは13%以下、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは8%以下である。
TiOは、焼成時の結晶化を促進し、ファイアスルーの過剰な進行を抑制する成分である。本実施形態に係るガラスは、TiOを1%以上20%以下の割合で含有する。TiOの含有量を1%以上とすることにより、ファイアスルーの過剰な進行が抑制される。TiOの含有量は好ましくは2%以上であり、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは7%以上である。また、軟化時のガラスの流動性を担保する観点から、TiOの含有量は20%以下であり、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは11%以下である。
は、ガラスの軟化時の流動性を向上させ、半導体基板との接合強度を向上させる成分である。また、Bはガラスの網目構造形成成分であり、ガラスの安定化に寄与する。本実施形態に係るガラスは、Bを0%以上30%以下の割合で含有する。Bを含有する場合、その含有量は4%以上が好ましく、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは10%以上である。また、Bの含有量を30%以下とすることにより、耐候性が向上し得る。Bの含有量は好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。
Gaは、ガラスがパッシベーション膜に使用される窒化珪素と過剰に反応することを抑制し、さらにGaがSi基板へ拡散することで接触抵抗を下げる機能を有する成分である。本実施形態に係るガラスは、Gaを0%以上20%以下の割合で含有する。Gaを含有する場合、その含有量は2.0%以上が好ましく、より好ましくは2.5%以上である。また、ガラスの安定化の観点から、Gaの含有量は20%以下であり、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
ZrOは、焼成時の結晶化を促進し、ファイアスルーの過剰な進行を抑制する成分である。本実施形態のガラスにおいて、ZrOを含有する場合、その含有量はファイアスルーの過剰な進行を抑制する観点から、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。また、ファイアスルー性を確保する観点から、ZrOの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
Laは、焼成時の結晶化を促進し、ファイアスルーの過剰な進行を抑制する成分である。本実施形態のガラスにおいて、Laを含有する場合、その含有量はファイアスルーの過剰な進行を抑制する観点から、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。また、ファイアスルー性を確保する観点から、Laの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
Nbは、ガラスの耐候性を向上させるとともに流動性と反応性を向上させる成分である。本実施形態のガラスにおいて、Nbを含有する場合、その含有量は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上である。また、反応性を高め、太陽電池の電気特性を向上させるために、Nbの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るガラスは、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)が50%以上であることが好ましい。(PbO+Bi)が前記範囲であることで、ガラス転移点を低下させて十分な流動性を確保しながら、安定なガラスが得られる。(PbO+Bi)は、より好ましくは54%以上、さらに好ましくは58%以上である。また、耐酸性向上の観点から、(PbO+Bi)は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るガラスは、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)に対するBiの含有量の割合が5%以上50%以下であることが好ましい。該割合が5%以上であることにより、耐酸性を向上させながら、電極と半導体基板との接触抵抗を低減できる。該割合は、より好ましくは6%以上である。また、ファイアスルー性を確保する観点から、該割合は50%以下であることが好ましく、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは30%以下である。PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)に対するBiの含有量の割合とは、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)を100%としたときの、Biの含有量の割合をさす。
本実施形態に係るガラスは、ファイアスルー性が高いPbOを一部Biに置換することにより、過剰なファイアスルーが抑制されるため、反射防止膜といった絶縁膜の侵食を抑えつつ電極が形成でき、Vocを向上し得る。さらに、PbOを一部Biに置換することで、ガラス構造が強化されて耐酸性が向上する。
本実施形態に係るガラスは、PbO、Bi、SiOおよびBの含有量の合計(PbO+Bi+SiO+B)が75%以上であることが好ましい。(PbO+Bi+SiO+B)が前記範囲であることにより、ガラスが安定化し得る。より好ましくは78%以上、さらに好ましくは80%以上である。また、ガラスが結晶化することによるファイアスルーの過剰な進行を抑制するため、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
本実施形態に係るガラスは、TiO、ZrO、LaおよびNbの含有量の合計(TiO+ZrO+La+Nb)が2%以上15%以下であることが好ましい。(TiO+ZrO+La+Nb)が2%以上であることにより、優れた耐酸性を示し、更に、焼成時にガラスの結晶化が促進されるため、ファイアスルーの過剰な進行が抑制される。より好ましくは4%以上、さらに好ましくは6%以上である。また、ガラスを安定化する観点から、(TiO+ZrO+La+Nb)を15%以下とすることが好ましく、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは10%以下である。
本実施形態に係るガラスは、これら以外のその他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分として、具体的には、P、As、Sb、NaO、KO、Fe、CuO、Sb、SnO、MnO、MnO、CeO等の通常ガラスに用いられる各種酸化物成分が挙げられる。
他の成分は、目的に応じて、1種または2種以上を組み合せて用いられる。
その他の任意成分の含有量は、各成分について20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が一層好ましい。さらに、他の成分の合計含有量は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
本実施形態に係るガラスは、ガラス転移温度(Tg)が330℃以上430℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が330℃以上であることにより、過剰なファイアスルーを抑制でき、Vocが改善する。ガラス転移温度は、より好ましくは335℃以上、さらに好ましくは340℃以上である。また、ガラス転移温度が430℃以下であることにより、軟化時に優れた流動性を示すため、電極と半導体基板との反応が進み、接触抵抗を下げるとともに、電極と絶縁膜との接触性を向上できる。ガラス転移温度は、420℃以下がより好ましく、410℃以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るガラスは、結晶化温度(Tc)が450℃以上600℃以下であることが好ましい。結晶化温度が450℃以上であることにより、焼成時に結晶化が起こり、過剰なファイアスルーが抑制され、Vocが改善する。結晶化温度は、より好ましくは460℃以上、さらに好ましくは470℃以上である。また、結晶化温度が600℃以下であることにより、ファイアスルー性が担保され、接触抵抗を低減できる。結晶化温度は、580℃以下がより好ましく、570℃以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)及び結晶化温度(Tc)は、リガク社製、示差熱分析(DTA)装置TG8110にて昇温速度;10℃/分で測定して得られたDTAチャートの第1屈曲点をTg、発熱ピークをTcとして求めることにより得られる。
本明細書において、ガラスが耐酸性を示す、とは、酢酸や塩酸などの酸性物質が存在する条件下における耐性を意味する。
本実施形態に係るガラスは、耐酸性を示すことが好ましい。具体的には例えば、本実施形態に係るガラスは、下記条件にて質量減少率が50%未満であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
条件:薄板状ガラスの質量W0を測定し、バイアル瓶に該薄板状ガラスと、6%酢酸水溶液を入れて密封し、室温下で60分保持後、該薄板状ガラスを酢酸水溶液から取り出し、試料を乾燥させ質量Wを測定する。ここから質量減少率を算出する。
本実施形態に係るガラスの製造方法は、特に限定されない。具体的には例えば、以下に示す方法で製造できる。
まず、原料混合物を準備する。原料は、通常の酸化物系のガラスの製造に用いる原料であれば特に限定されず、酸化物や炭酸塩等を使用できる。得られるガラスにおいて、上記組成範囲となるように原料の種類および割合を適宜調整して原料混合物とする。
次に、原料混合物を公知の方法で加熱して溶融物を得る。加熱溶融する温度(溶融温度)は、800~1400℃が好ましく、900~1300℃がより好ましい。加熱溶融する時間は、30~300分が好ましい。
その後、溶融物を冷却し固化することにより、本実施形態に係るガラスが得られる。冷却方法は特に限定されない。例えば、ロールアウトマシン、プレスマシン、冷却液体への滴下等により急冷する方法が挙げられる。得られるガラスは完全に非晶質である、すなわち結晶化度が0%であることが好ましい。ただし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、結晶化した部分を含んでいてもよい。
上記で得られるガラスの形状は特に限定されず、例えばブロック状、板状、薄い板状(フレーク状)、粉末状等であってもよい。
本実施形態に係るガラスは、結合剤としての機能を有するとともに、導電性を有しており導電ペーストに用いることが好ましい。本実施形態に係るガラスを含有する導電ペーストは導電性が高く、例えば、太陽電池の電極形成に好適に用いられる。本実施形態に係るガラスを導電ペーストに含有させる場合、ガラスはガラス粉末として含まれることが好ましい。
<ガラス粉末>
本実施形態に係るガラス粉末は、本実施形態に係るガラスからなり、D50が0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましい。D50が0.3μm以上であることで、導電ペーストとした際の分散性がより向上する。また、D50が3.0μm以下であることで、導電性金属粉末の周りにガラス粉末が存在しない個所が発生しにくいため、電極と半導体基板等との接着性がより向上する。D50は、より好ましくは0.5μm以上である。また、より好ましくは2.7μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。
なお、本明細書において「D50」は、累積粒度分布における体積基準の50%粒径を示し、具体的には、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径分布の累積粒度曲線において、その積算量が体積基準で50%を占めるときの粒径を表す。
本実施形態に係るガラス粉末は、上記のようにして製造されたガラスを、例えば、乾式粉砕法や湿式粉砕法によって上記特定の粒度分布を有するように粉砕することにより得られる。
本実施形態に係るガラス粉末を得るためのガラスの粉砕方法は、例えば、適当な形状のガラスを乾式粉砕した後、湿式粉砕する方法が好ましい。乾式粉砕および湿式粉砕は、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて実施できる。粒度分布は、例えば、各粉砕における粉砕時間や、ボールミルのボールの大きさ等粉砕機の調整によって調整し得る。湿式粉砕法の場合、溶媒として水を用いることが好ましい。湿式粉砕の後、乾燥等により水分を除去して、ガラス粉末が得られる。ガラス粉末の粒径を調整するために、ガラスの粉砕に加えて、必要に応じて分級を行ってもよい。
<導電ペースト>
本実施形態に係るガラスは、ガラス粉末として導電ペーストに適用できる。本実施形態に係るガラスによる導電ペーストは、上記本実施形態に係るガラス粉末、導電性金属粉末および有機ビヒクルを含有する。
本実施形態に係る導電ペーストが含有する導電性金属粉末は、半導体基板や絶縁性基板等の回路基板(積層電子部品を含む)上に形成される電極に通常用いられる金属の粉末が特に制限なく用いられる。導電性金属粉末として、具体的には、Ag、Al、Cu、Au、Pd、Pt等の粉末が挙げられ、これらの中でも、生産性の点からAg粉末、Al粉末が好ましい。凝集が抑制され、かつ、均一な分散性が得られる観点から導電性金属粉末の粒子径はD50が、0.3μm以上10μm以下が好ましい。
導電ペーストにおける導電性金属粉末の含有量は、導電ペーストの全質量に対して63.0質量%以上97.9質量%以下とすることが好ましい。導電性金属粉末の含有量が63.0質量%以上であると、導電性金属粉末のさらなる焼結を抑制し、ガラス浮き等の発生を抑制できる。また、導電性金属粉末の含有量を97.9質量%以下とすることにより、導電性金属粉末の周りをガラス析出物で十分に覆い易い。また、電極と半導体基板や絶縁性基板等の回路基板との接着性を向上できる。導電ペーストの全質量に対する導電性金属粉末の含有量は、より好ましくは95.0質量%以下である。
導電ペーストにおけるガラスの含有量は、例えば、導電性金属粉末100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。ガラスの含有量を0.1質量部以上とすることにより、導電性金属粉末の周りをガラス析出物により十分に覆い易い。
また、電極と半導体基板や絶縁性基板等の回路基板との接着性を向上できる。また、ガラス粉末の含有量を10質量部以下であることにより、導電性金属粉末のさらなる焼結を抑制し、ガラス浮き等の発生を抑制できる。導電性金属粉末100質量部に対するガラス粉末の含有量は、より好ましくは0.5質量部以上8質量部以下である。
有機ビヒクルに用いる有機樹脂バインダーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂が挙げられる。
有機ビヒクルに用いる溶媒としては、例えば、セルロース系樹脂の場合はターピネオール、ブチルジグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールジアセテート等の溶媒が好ましく挙げられる。また、例えば、アクリル系樹脂の場合はメチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルジグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールジアセテート等の溶媒が好ましく挙げられる。
有機ビヒクルにおける有機樹脂バインダーと溶媒の割合は、特に制限されないが、得られる有機樹脂バインダー溶液が導電ペーストの粘度を調整できる粘度となるように選択される。具体的には、有機樹脂バインダー:溶媒で示す質量比として、3:97~15:85程度が好ましい。
導電ペーストにおける有機ビヒクルの含有量は、導電ペースト全量に対して2質量%以上30質量%以下であることが好ましい。有機ビヒクルの含有量を2質量%以上とすることにより、導電ペーストの粘度が上昇するのを抑制し、導電ペーストの印刷等の塗布性を向上し、良好な導電層(電極)を形成し易い。また、有機ビヒクルの含有量を30質量%以下とすることにより、導電ペーストの固形分の含有割合が低くなるのを防ぎ、十分な塗布膜厚が得られる。
本実施形態に係る導電ペーストの一態様として、Ag、Al、Cu、Au、PdおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む金属を導電ペーストの全質量に対して63.0~97.9質量%含み、酸化物換算のモル%表示で、PbOを30%以上70%以下、Biを1%以上30%以下、SiOを4%以上20%以下、Alを2%以上15%以下、TiOを1%以上20%以下、Bを0%以上30%以下、およびGaを0%以上20%以下含むガラスを上記金属100質量部に対して0.1~10質量部含み、有機ビヒクルを導電ペーストの全質量に対して2~30質量%含む導電ペーストが挙げられる。
本実施形態に係る導電ペーストには、上記したガラス、導電性金属粉末、および有機ビヒクルに加え、必要に応じて、かつ、本実施形態に係る目的に反しない限度において公知の添加剤を配合できる。
このような添加剤としては、例えば、各種無機酸化物が挙げられる。無機酸化物として、具体的には例えば、B、ZnO、SiO、Al3、TiO、MgO、ZrOおよびSb、並びにこれらの複合酸化物等が挙げられる。これらの無機酸化物は、導電ペーストの焼成に際し、導電性金属粉末の焼結を和らげる効果があり、それにより、焼成後の接合強度を調整する作用を有する。これらの無機酸化物からなる添加剤の大きさは特に限定されるものではないが、例えば、D50が10μm以下のものを好適に使用できる。
導電ペーストにおける、無機酸化物の含有量は目的に応じて適宜に設定されるものであるが、ガラス粉末に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。ガラス粉末に対する無機酸化物の含有量が10質量%以下であることにより、電極形成時における導電ペーストの流動性が低下するのを抑制し、電極と半導体基板や絶縁性基板等の回路基板との十分な接合強度が確保できる。また、実用的な配合効果(焼成後の接合強度の調整)を得るためには、上記含有量の下限値は好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。
導電ペーストには、消泡剤や分散剤のように導電ペーストで公知の添加物を加えてもよい。なお、上記有機ビヒクルおよびこれらの添加物は、通常、電極形成の過程で消失する成分である。導電ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機や擂潰機、ロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用できる。
半導体基板や絶縁性基板等の回路基板上への導電ペーストの塗布、および焼成は、従来の電極形成における塗布、焼成と同様の方法により実施できる。塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンス法等が挙げられる。焼成温度は、含有する導電性金属粉末の種類、表面状態等によるが、概ね500~1000℃の温度が例示できる。焼成時間は、形成しようとする電極の形状、厚さ等に応じて適宜調整される。また、導電ペーストの塗布と焼成の間に、80~200℃程度での乾燥処理を設けてもよい。
<太陽電池>
本実施形態に係る太陽電池は、上記<導電ペースト>に記載の導電ペーストを用いて形成した電極、具体的には、半導体基板上に焼付けられた電極を備える。本実施形態に係る太陽電池においては、電極の少なくとも1つが、上記導電ペーストを用いて、ファイアスルーにより、絶縁膜を部分的に貫通して半導体基板に接触する形に設けられた電極であることが好ましい。
太陽電池が有するこのような絶縁膜を貫通する電極としては、例えば、pn接合型の半導体基板を用いた太陽電池の受光面の電極として反射防止膜である絶縁膜を部分的に貫通して半導体基板に接触する形に設けられた電極が挙げられる。反射防止膜である絶縁膜を構成する絶縁材料としては窒化珪素、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられ、絶縁材料は2層からなることが好ましい。この場合、受光面は半導体基板の片面であっても両面であってもよく、半導体基板はn型、p型のいずれであってもよいが、より太陽電池の効率を上げるためには、両面であることが好ましく、半導体基板はn型であることが好ましい。このような太陽電池の受光面に設けられる電極は、上記導電ペーストを用いてファイアスルーにより形成できる。
本実施形態に係る太陽電池の構成例について以下に説明するが、本実施形態に係る太陽電池の構成は当該構成例に限定されない。当該構成例に係る太陽電池は、太陽光受光面(以下単に「受光面」または「表面」ともいう)を有するシリコン基板と、シリコン基板の受光面に設けられた第1の絶縁膜と、シリコン基板の受光面とは反対側の面(以下単に「裏面」ともいう)に設けられた第2の絶縁膜と、第1の絶縁膜の一部を貫通してシリコン基板に接触する第1の電極と、シリコン基板に前記第2の絶縁膜の前記開口部を介して部分的に接触する第2の電極と、を備える。
より具体的には、例えば図1に示すように、太陽電池10は、n型Si半導体基板1の受光面S1にp層1bが設けられている。その表面にはさらに反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)2bが形成されているが、一部の領域では、反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)2bを貫通してp層1bに接触する形でAg-Al電極3bが形成されている。
n型Si半導体基板1の非受光面S2でも同様に、n層1aが設けられ、その表面にはさらに反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)2aが形成されているが、一部の領域では、反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)2aを貫通してn層1aに接触する形でAg電極3aが形成されている。
このAg-Al電極3b及びAg電極3aは、反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)2b,2aの表面上の一部の領域にAg-Al電極3b又はAg電極3aを、上記導電ペーストを介して塗布、焼成して形成できる。
当該構成例において、第1の電極は本実施形態に係る導電ペーストを用いてファイアスルーにより形成された電極であり、Al、Ag、Cu、Au、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属と、本実施形態に係るガラスとを含むことが好ましい。
第1の電極は当該金属を90質量%以上99.9質量%以下含み、本実施形態に係るガラスを0.1質量%以上10質量%以下含むことがより好ましい。また、第1の電極は少なくともAgを含むことがより好ましい。
また、当該構成例において、第1の電極と第2の絶縁膜は、シリコン基板の両面に接する酸化金属膜と、酸化金属膜上にさらに窒化珪素膜とを備えることがより好ましい。酸化金属膜は、酸化アルミニウム又は二酸化珪素からなることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。例1~15は実施例であり、例16~24は比較例である。
(例1~24)
以下の方法でガラスを薄板状ガラスとして製造し、薄板状ガラスからガラス粉末を製造した。ガラス粉末の粒度分布を測定するとともに、ガラス粉末を用いてガラスのガラス転移温度を測定した。
<ガラス(薄板状ガラス)の製造>
酸化物基準のモル%表示で、表1及び2に示す組成となるように原料粉末を配合、混合し、1000~1600℃の電気炉中でルツボを用いて30分から1時間溶融し、表1及び2に示す組成のガラスからなる薄板状ガラスを成形した。
<ガラス粉末の製造>
各例において、得られた薄板状ガラスを乾式粉砕と湿式粉砕を組み合せて以下のとおり粉砕して粒度分布を調整した。得られたガラス粉末の粒度分布を測定するとともに、ガラス粉末を用いてガラス転移温度を測定した。
ボールミルで6時間乾式粉砕し、150メッシュの篩にて粗粒を除去した。次いで、上記で得られた乾式粉砕後、粗粒を除去したガラス粉末を、D50が所定の範囲となるように、ボールミルで水を用いて湿式粉砕することで、所望の粒度分布のガラス粉末を製造した。この湿式粉砕の際に、所定のD50を得るために直径5mmのアルミナ製のボールを用いた。その後、湿式粉砕で得られたスラリーを濾過して、水分を除去するために乾燥機により130℃で乾燥して、ガラス粉末を製造した。
<評価>
各例のガラスについて以下の方法でガラス粉末のD50、ガラス転移温度、結晶化温度および耐酸性を評価した。結果を組成とともに表1及び2に示す。
(ガラス転移温度)
得られたガラス粉末をアルミニウム製のパンにつめ、リガク社製、示差熱分析装置TG8110にて昇温速度を10℃/分にて測定した。測定で得られたDTAチャートの第1屈曲点をガラス転移温度(表1及び2中、「Tg」と示す。)とした。
(結晶化温度)
得られたガラス粉末をアルミニウム製のパンにつめ、リガク社製、示差熱分析装置TG8110にて10℃/分の昇温速度で、0~1000℃の範囲のDTAを測定し、得られたDTA曲線において、結晶化の発熱ピークの温度をTcとした。表1及び2中、「N/D」は結晶化しなかったため結晶化温度が測定できなかったことを示す。
(D50
イソプロピルアルコール(IPA)60ccに対してガラス粉末0.02gを混ぜ、超音波分散により1分間分散させた。マイクロトラック測定機(レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置)に試料投入し、D50の値を得た。
(耐酸性)
得られた薄板状ガラスの質量W0を測定した。次に、バイアル瓶にガラス試料と、6%酢酸水溶液を入れて密封し、室温下で60分保持後、ガラス試料を酢酸水溶液から取り出し、試料を乾燥させ質量Wを測定した。ここから質量減少率を算出し、以下の基準で各ガラスの耐酸性を評価した。
〇:質量減少率が50%未満であった。
×:質量減少率が50%超であった。
<導電ペーストの製造>
例1~24のガラス粉末をそれぞれ含有するAg-Al電極形成用導電ペーストを以下の方法で作製した。
まず、エチルセルロース15質量部にブチルジグリコールアセテート85質量部を混合し、85℃で2時間撹拌して有機ビヒクルを調製した。次に、得られた有機ビヒクル15質量部を、Ag粉末(DOWAエレクトロニクス社製、球状銀粉:AG-4-8F)84.5質量部とAl粉末(ミナルコ社製アトマイズアルミ粉:#600F)0.5質量部に混合した後、擂潰機により10分間混練した。その後、例1~24のガラス粉末を、金属粉末(Ag粉末およびAl粉末)100質量部に対して2質量部の割合で配合し、さらに擂潰機により90分間混練することで、Ag-Al電極形成用導電ペーストを得た。
<評価>
(接触抵抗Rcの測定)
上記で作製したAg-Al電極形成用導電ペーストをそれぞれ用いて、以下のようにして半導体基板上に絶縁膜(窒化珪素層および酸化アルミナ層から成る2層膜)を介してAg-Al電極を形成し、その際の接触抵抗について評価した。
接触抵抗の測定方法について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る導電ペーストを用いて電極形成されたn型Si基板両面受光型太陽電池の一例の断面を模式的に示した図である。図2は、接触抵抗Rc[Ω]を評価する際に使用したSi基板に形成した電極パターンを示した図である。
160μmの厚みにスライスされたn型の結晶系Si半導体基板を用いて、まず、Si半導体基板のスライス面を洗浄するために、表面および裏面をフッ酸でごく微量程度エッチング処理した。その後、Si半導体基板の受光面にウエットエッチング法を用いて、光反射率を低減させるような凹凸構造を形成した。
次に、Si半導体基板の受光面にp層を拡散にて形成した。p型化のドーピング元素としてはB(ボロン)を用いた。このようにしてp層を有するn型Si半導体基板を得た。次に、n型Si半導体基板の受光面(p層の表面)に反射防止膜を形成した。反射防止膜の材料としては、おもに、窒化珪素と酸化アルミニウムを用い、ALD(Atomic Layer Deposition)にて酸化アルミニウム層を10nmの厚さに形成した後に、その上層にプラズマCVDにて窒化珪素層を80nmの厚さに形成した。次に、半導体基板のp層に対して裏面(n型Si基板の裏)に絶縁膜を形成した。反射防止膜の材料としては、おもに、窒化珪素を用い、プラズマCVDにて80nmの厚さに形成した。
次に、得られた反射防止膜付きSi半導体基板の受光面側の表面に上記例1~24のガラス粉末を用いて得られたAg-Al電極形成用導電ペーストをスクリーン印刷によりライン状に塗布して、120℃で乾燥させた。
次いで、赤外光加熱式炉を用いてピーク温度が740℃で100秒間焼成を行い、表面Ag-Al電極を形成させて、接触抵抗測定用片面セルを完成させた。なお、焼成によりAg-Al電極は反射防止膜を貫通してSi半導体基板のp層に接触する形に形成された。
上記各例のガラス粉末をそれぞれ含有するAg-Al電極形成用導電ペーストを用いて製造した片面セルの接触抵抗を、TLM法(Transfer length Method)により測定した。上記で得られた、p層側に絶縁膜(窒化珪素層および酸化アルミナ層から成る2層膜)を介して形成されたAg-Al電極を有するn型Si半導体基板とAg-Al電極との接触抵抗Rc[Ω]を評価した。接触抵抗Rc[Ω]は、図2のパターンP1にテスターの陽極側を固定させて、パターンP2、P3、P4、P5のそれぞれの位置にテスターの陰極側を当てて電気抵抗を測定し、接触抵抗Rc[Ω]を求めた。結果を表1及び2示す。なお、表1及び2中のN/Dは、ペーストが増粘して印刷ができなかった、あるいは抵抗値が大きかったため接触抵抗Rc[Ω]が測定できなかったことを示す。
(窒化珪素層の残存率(SiN残存率))
接触抵抗Rcを測定した後のn型Si半導体基板を用いて、各ペーストと絶縁膜の一つである窒化珪素層との反応性を評価するため、窒化珪素層の残存率を測定した。
n型Si半導体基板からAg-Al電極を除去するために、50%硝酸水溶液に基板を2時間浸漬後、バイアル瓶に基板と1%フッ酸水溶液を入れて密閉し、超音波をかけながら5分間浸漬した。次に、イオン交換水で基板を洗浄した。分析走査型電子顕微鏡法(SEM―EDS)によって、電極上の窒素(N1)と電極外の窒素(N2)を定量し、窒化珪素層の残存率として、電極上の窒素と電極外の窒素の割合(N1/N2)を算出した。なお、表1及び2中のN/Dは、ペーストが増粘して印刷ができなかったことを示す。
Figure 2023097338000002
Figure 2023097338000003
表1及び2に示すように、実施例である例1~15は、比較例に対して、SiN残存率が高く、結晶化を促進させて高温焼成時のガラスの流動を抑制し、過剰なファイアスルーを抑制できることが分かった。例16はTiO及びBiを含有しない例、例17及び18はBiを含有しない例、例19はTiOを含有しない例、例20はAl、SiO、TiO及びBiを含有せず、Bの含有量が30%超である例、例21はAl、TiO及びBiを含有せず、PbOの含有量が70%超である例、例22はTiO及びBiを含有せず、SiOの含有量が20%超である例、例23はPbOの含有量が30%未満である例、例24はBiの含有量が30%超である例である。
また、実施例である例1~15は、比較例に対して接触抵抗Rcが低く、絶縁膜貫通性、すなわちファイアスルー性に優れていた。さらに、実施例である例1~15は、優れた耐酸性を示した。この結果から、太陽電池の形成に本発明のガラスを用いることで、耐酸性を維持しつつ、過剰なファイアスルーを抑制してVocを高め、さらに電極と半導体基板との接触抵抗を下げて変換効率を向上し得ることが分かった。
10…太陽電池、1…n型Si半導体基板、1a…n層、1b…p層、2a…反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)、2b…反射防止膜(窒化ケイ素/酸化アルミニウム)、3a…Ag電極、3b…Ag-Al電極、S1…受光面、S2…非受光面。

Claims (9)

  1. 酸化物換算のモル%表示で、
    PbOを30%以上70%以下、
    Biを1%以上30%以下、
    SiOを4%以上20%以下、
    Alを2%以上15%以下、
    TiOを1%以上20%以下、
    を0%以上30%以下、および
    Gaを0%以上20%以下
    含むガラス。
  2. 酸化物換算のモル%表示で、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)が50%以上である、請求項1に記載のガラス。
  3. 酸化物換算のモル%表示で、PbOとBiの含有量の合計(PbO+Bi)に対するBiの含有量の割合が5%以上50%以下である、請求項1に記載のガラス。
  4. 酸化物換算のモル%表示で、TiO、ZrO、LaおよびNbの含有量の合計(TiO+ZrO+La+Nb)が2%以上15%以下である、請求項1に記載のガラス。
  5. ガラス転移温度が330℃以上430℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 結晶化温度が450℃以上600℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
  7. 請求項1~4のいずれか1項に記載のガラスからなるガラス粉末、導電性金属粉末、および有機ビヒクルを含有する導電ペースト。
  8. 請求項7に記載の導電ペーストを用いて形成された電極を備える太陽電池。
  9. 太陽光受光面を有するシリコン基板と、
    前記シリコン基板の前記太陽光受光面に設けられた第1絶縁膜と、
    前記シリコン基板の前記太陽光受光面の反対側の面に設けられた第2絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜の一部を貫通して前記シリコン基板に接触する第1電極と、
    前記第2絶縁膜の一部を貫通して前記シリコン基板に接触する第2電極と、
    を備える太陽電池であって、
    前記第1電極は、Al、Ag、Cu、Au、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属と、酸化物換算のモル%表示で、PbOを30%以上70%以下、Biを1%以上30%以下、SiOを4%以上20%以下、Alを2%以上15%以下、TiOを1%以上20%以下、Bを0%以上30%以下およびGaを0%以上20%以下のガラスと、を含む太陽電池。
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