JP2023095827A - 更生管用塩化ビニル系樹脂組成物および更生管 - Google Patents

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諒子 尾▲崎▼
Ryoko Ozaki
嘉明 赤井
Yoshiaki Akai
隆良 鎗水
Takayoshi Yarimizu
里香 友國
Rika Tomokuni
和希 清田
Kazuki Kiyota
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Abstract

【課題】安全性に優れ、低いビカット軟化点と高い巻き付き強度、を備えた更生管用塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態に係る更生管用塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤と、塩素化度が33~37%である塩素化ポリエチレンを含む。【選択図】なし

Description

本発明は更生管用塩化ビニル系樹脂組成物および更生管に関する。
老朽化した既設管を修復する方法として様々な管更生を行う方法が提案されている。そのような方法の1つとして、既設管の内側に形状記憶機能を持つ折りたたまれた合成樹脂管(更生管)を挿入し、蒸気で加熱することにより管状へと高速で復元させ、管更生を行う方法がある。
従来、このような合成樹脂管の材料としては、塩化ビニル系樹脂が使用されている。例えば特許文献1には、アクリル系共重合体にビニルモノマーをグラフト共重合して得られる複合塩化ビニル系樹脂に対して、特定量の熱可塑性エラストマーおよび針状または板状無機物が添加されてなる更生管用樹脂組成物が開示されている。
特開2008-013632号公報
しかしながら、特許文献1等に記載されている従来の更生管用樹脂組成物は、安定剤として鉛安定剤を用いているため、成形面では問題は少ないが、材料の毒性と安全性の観点から改善の余地があった。さらに従来の更生管用樹脂組成物は、ビカット軟化点および巻き付き強度の観点からも改善の余地があった。
本発明の一態様は、安全性に優れ、低いビカット軟化点と高い巻き付き強度を備えた更生管用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を鑑み本発明者らは鋭意検討した結果、安定化剤として錫安定剤を用い、強化剤として特定の塩素化度を有する塩素化ポリエチレンを使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を含む。
<1>ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤と、塩素化度が33~37%である塩素化ポリエチレンとを含む更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<2>前記塩素化ポリエチレンの含有量が、1~15重量部である<1>に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<3>さらに滑剤を含む、<1>または<2>に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<4>前記滑剤として、酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの少なくとも一方を含み、かつ、その含有量がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上である、<3>に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<5>前記酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの含有量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上である、<4>に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<6>前記錫系安定剤以外の安定剤として、さらにステアリン酸バリウムを含み、前記滑剤として、エステルワックスを含む、<3>~<5>のいずれかに記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
<7><1>~<5>のいずれかに記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物を含む更生管。
本発明の一態様によれば、安全性に優れ、低いビカット軟化点と高い巻き付き強度を備えた更生管用塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。
本発明の実施例に係る巻き付き強度の試験方法を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。
〔1.更生管用塩化ビニル系樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係る更生管用塩化ビニル系樹脂組成物(以下、本樹脂組成物とも称する。)は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤と、塩素化度が33~37%である塩素化ポリエチレンとを含む。
(ポリ塩化ビニル系樹脂)
塩化ビニル系樹脂は、一般的な管材の材料として使用されており、汎用性および経済性に優れている。本明細書において、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルに由来する単位を主成分とする樹脂を意図する。一実施形態において、塩化ビニル系樹脂分子のうち、塩化ビニルに由来する単位が占める割合は、50重量%以上、70重量%以上または90重量%以上である。塩化ビニル系樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
塩化ビニル系樹脂の具体例としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体、重合体に塩化ビニル単量体をグラフト共重合したグラフト共重合体が挙げられる。また、これらの重合体に含まれる塩化ビニル単位が塩素化された重合体も、塩化ビニル系樹脂の例に含まれる(塩素化ポリ塩化ビニルなど)。
塩化ビニルと共重合させる単量体の例としては、α-オレフィン(エチレン、プロピレン、ブチレンなど);ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ビニルエーテル(ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなど);メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレートなど);芳香族ビニル(スチレン、α-メチルスチレンなど);N-置換マレイミド(N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなど)が挙げられる。塩化ビニルと共重合させる単量体は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
塩化ビニル単量体をグラフト共重合させる重合体の例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンが挙げられる。塩化ビニル単量体をグラフト共重合させる重合体は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
本樹脂組成物に含まれる塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは750~1350であり、より好ましくは850~1250、さらに好ましくは950~1150である。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が850以上であれば、得られる更生管の巻き付き強度と外観が共に向上し、1250以下であれば製造時の取り扱い性が向上する。塩化ビニル系樹脂の重合方法は特に限定されず、例えば乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等によって重合されたものを使用することができる。また、平均重合度が異なる塩化ビニル系樹脂を混合して用いてもよい。なお、「平均重合度」とは、JIS K 6720-2「プラスチック-塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー(PVC)-第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
(錫系安定剤)
本樹脂組成物は錫系安定剤を含む。錫系安定剤は従来使用されていた鉛系安定剤よりも安全性に優れ、かつ樹脂組成物のビカット軟化点を低下させることができる。錫系安定剤を使用することにより、鉛系安定剤による汚染等の問題が解消されるだけでなく、ビカット軟化点が低下することにより、樹脂組成物が加熱により柔軟化しやすくなるため、施工性が向上する。なお、本樹脂組成物において、錫系安定剤は熱安定剤として作用し得る。
錫系安定剤としては、錫を含み、安定剤として使用可能な化合物であれば特に限定されない。錫系安定剤としては例えば、ジアルキル錫メルカプト、ジアルキル錫マレート、ジアルキル錫カルボキシレート、ジアルキル錫ラウレート等の有機錫系安定剤が挙げられる。より具体的には、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫メルカプト等が挙げられる。これらの安定剤は単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。錫系安定剤の市販品としては、商品名TN-870、商品名TN-871、商品名TN-876(全て堺化学工業製)等が挙げられる。
錫系安定剤の形状は特に限定されず、粉体、液体等であってもよいが、取り扱い性等の観点から液体の錫系安定剤を使用することが好ましい。液体の錫系安定剤としては、ジアルキル錫メルカプト系の安定剤、例えばジメチル錫メルカプト、およびジオクチル錫メルカプト等が挙げられる。
本樹脂組成物における前記錫系安定剤の含有量は、更生管の成形時および加熱膨張時に必要な熱安定性を確保できるように、ポリ塩化ビニル系樹脂の組成、安定剤の種類等に応じて適宜設定可能である。例えば、本樹脂組成物において錫系安定剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5~5重量部、より好ましくは1~4重量部、さらに好ましくは1.5~3.5重量部含まれる。錫系安定剤の含有量が0.5重量部以上であれば、本樹脂組成物の熱安定性が向上し、特に1.5重量部以上であれば優れた熱安定性を得られる。また、錫系安定剤の含有量が5重量部以下であれば、本樹脂組成物の強度が向上し、特に3.5重量部以下であれば優れた引張強度を得られる。
本樹脂組成物は錫系安定剤に加えて、他の鉛系以外の安定剤を含んでいてもよい。そのような安定剤として例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸系安定剤;ハイドロタルサイト、ゼオライト等の無機系安定剤等が挙げられる。これらの中でも、引張強さを向上させる観点から、加熱時の減量(加熱減量)が少ないステアリン酸バリウムであることが好ましい。加熱減量が少ない安定剤を用いた場合、更生管においてボイドが抑制され、その結果、引張強さの改善に寄与すると推測される。これらの安定剤は、熱安定剤としても作用し得る。
また、本樹脂組成物には必要に応じて、錫系安定剤に加えて安定助剤を含有していてもよい。本樹脂組成物に使用される安定助剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、リン酸エステル等が挙げられる。これらの安定助剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。本樹脂組成物における前記安定助剤の含有量は、前記安定剤の種類、含有量等に応じて適宜変更することができる。
(塩素化ポリエチレン)
本樹脂組成物は、塩素化度が33~37%である塩素化ポリエチレンを強化剤として含む。塩素化ポリエチレンの塩素化度は、33~36%が好ましく、34~36%がより好ましい。本樹脂組成物が、上述した範囲の塩素化度の塩素化ポリエチレンを含むことにより、本樹脂組成物から得られる更生管の伸びおよび強度が向上し、高い巻き付き強度を実現することが可能となる。なお、「塩素化度」とはJIS K 7229:1995に準拠して測定した塩素化ポリエチレン中の塩素含有量を意味する。
本樹脂組成物における塩素化ポリエチレンの含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは1~15重量部、より好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。塩素化ポリエチレンの含有量が1重量部以上であれば、本樹脂組成物が十分な強度を得られ、靭性(実施例における巻き付き強度)が向上する。また塩素化ポリエチレンの含有量が15重量部以下であれば、本樹脂組成物の靭性が向上する。特に、5重量部以下であれば、本樹脂組成物の外観が向上する。
塩素化ポリエチレンの性質は特に限定されず、非晶性、半結晶性、結晶性等のいずれであってもよい。また、塩素化ポリエチレンの形状も特に限定されず、粉末状、ゴム状等のいずれであってもよい。塩素化ポリエチレンとしては、例えば市販品である商品名エラスレン(登録商標)351A(株式会社昭和電工製)、商品名WEIPREN(登録商標)3135(Weifung Yaxing Chemical製)、商品名ADDSTRENGTH CPE3516(Weihai Jinghong Polymer製)等を使用することもできる。
塩素化ポリエチレンの重合度は特に限定されないが、より高い方が好ましい。塩素化ポリエチレンの重合度は、MFR(g/10min)に基づいて推定することができる。MFRの値が低い程、塩素化ポリエチレンの重合度は高いと言える。MFRは、例えば2.0g/10min以下であってもよく、1.0g/10min以下であってもよい。MFRの下限値は特に限定されないが、例えば0.3g/10min以上であってもよい。MFRは、JIS K7210-1に記載の方法によって測定することができる。
本樹脂組成物は塩素化ポリエチレンに加えて、MMA系、MBS系等の強化剤をさらに含んでいてもよい。MMA系の改質剤は、アクリル酸エステルを主体とする共重合ゴムにメチルメタアクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させた多成分系樹脂等が挙げられる。また、MBS系の改質剤は、ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。外観の安定性と耐衝撃性とを向上させる観点から、塩素化ポリエチレンと、塩素化ポリエチレン以外の強化剤との含有量の合計が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1~6重量部であることが好ましい。
(滑剤)
本樹脂組成物は、好ましくは滑剤を含む。本樹脂組成物が滑剤を含むことにより、本樹脂組成物から得られる更生管の内側に生じる凹凸が少なくなり、水流量が向上し、更生管中に沈殿が生じる等の不具合が発生しにくくなる。
滑剤としては例えば、ステアリン酸等の脂肪酸類、脂肪酸エステルワックス等(ブチルステアレート等)のエステルワックス、酸化ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、高分子アクリル系ワックス、パラフィン等の炭化水素系ワックス、等が挙げられる。これらの中でも、更生管の外観が向上しやすい観点から、オレフィン系ワックス、脂肪酸エステルワックスが好ましく、加熱減量が少なく、引張強さが向上しやすい観点から、脂肪酸エステルワックスの中でもグリセリンと長鎖脂肪酸のエステルが特に好ましい。
本樹脂組成物は、滑剤としてエステルワックス、安定剤としてステアリン酸バリウムを含むことが特に好ましい。上記の滑剤および安定剤の組み合わせであれば、得られる更生管の引張強さが向上する傾向にある。
本樹脂組成物における滑剤の含有量は、樹脂組成物を成形する押出機、金型の大きさにより適宜決定される。一般的には滑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1~2.4重量部、より好ましくは0.3~2.2重量部、さらに好ましくは0.5~2.0重量部である。滑剤の含有量が0.1重量部以上であれば、本樹脂組成物から得られる更生管の外観が向上する。また、滑剤の含有量が2.0重量部以下であれば、本樹脂組成物から得られる更生管の強度低下が起こりにくい。
更生管の外観を向上させる観点から、前記滑剤が酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、前記滑剤が酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの少なくとも一方を含む場合、更生管の外観を向上させる観点から、その含有量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上が好ましく、0.3~0.7重量部がより好ましく、0.3~0.5重量部がさらに好ましい。
滑剤は、1種類のみ使用してもよいし、同じ効果を有するものであれば2種類以上を組み合わせて使用してもよい。滑剤としては、例えば市販品であるKB-200、PH-18(全て理研ビタミン製)、ロキシオールG32、ロキシオールG21(全てエメリーオレオケミカルズジャパン製)、AC-6A、AC-316A(全てハネウェル製)、HIWAX-220MP、NP055(全て三井化学製)、L-1000(三菱ケミカル製)等を使用してもよい。
(添加剤)
本樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、顔料、加工助剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤(老化防止剤)、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていてもよい。これらの添加剤の添加方法や添加順序は、特に限定されるものではなく、任意の方法や任意の順序であってよい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、酸化チタン等の無機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
充填材として炭酸カルシウムを添加することにより、強化剤の分散性を向上させることができる。炭酸カルシウムを添加する場合、上述した強化剤と、炭酸カルシウムとの重量部比は、好ましくは1:0.1~1、より好ましくは1:0.1~0.5である。
炭酸カルシウムとしては、白艶華CCR(白石工業製)、μ-POWDER 3S(備北粉化工業製)、AFF95(ファイマテック製)等を使用してもよい。
上記顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;クロム酸モリブデン系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーの単独重合体もしくは共重合体;上記(メタ)アクリレート系モノマーとスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの加工助剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
また、これらの添加剤の配合量については特に限定されるものではなく、更生管の製造の常法に従うものとすればよい。例えば、上記の充填剤は、必要に応じて、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6.0重量部以下の範囲で配合され得る。
〔2.更生管〕
本発明の一実施形態に係る更生管(以下、本更生管とも称する。)は、本樹脂組成物を含む。本更生管は既設管の内部に折りたたまれた状態で挿入された後、蒸気加熱することにより、既設管の内面に本更生管を密着させ、補強することができる。本更生管が本樹脂組成物を含むことにより、本更生管は安全性に優れ、低いビカット軟化点と高い巻き付き強度を備える。本更生管は加熱して折り畳み、巻き取って保管するため、高い巻き付き強度が要求される。
本更生管のビカット軟化点は、施工性の観点から好ましくは80℃以下である。ビカット軟化点の下限値は特に限定されないが、例えば50℃以上であってもよい。また、本更生管の巻き付き強度は後述する実施例の方法にて巻き取った際に、破損が生じない程度であることが好ましい。ビカット軟化点は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。なお、本明細書において、JIS K 7206の「ビカット軟化温度」を「ビカット軟化点」と称する。
本更生管は、例えば押出成形機を用いて、本樹脂組成物を溶融混錬し、押出成形を行うことによって、所望の断面形状の管状体に成形することによって製造できる。本更生管の形状は特に限定されず、既設管に挿入可能であり、かつ既設管の内面に密着し得る形状であれば特に限定されない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において使用した成分は、以下の通りである。
[ポリ塩化ビニル系樹脂]
ポリ塩化ビニル系樹脂A:商品名PVC S1008、カネカ製、平均重合度800
ポリ塩化ビニル系樹脂B:商品名PVC S1001、カネカ製、平均重合度1050
[安定剤]
二塩基性亜硫酸鉛:商品名BS-HGM、NIケミテック製(鉛含有率83%)
ステアリン酸鉛:商品名NS-PG、NIケミテック製
ジオクチル錫メルカプト:商品名TN-870、堺化学工業製
ステアリン酸カルシウム:商品名NS-A、NIケミテック製
ステアリン酸バリウム:商品名NS-B、NIケミテック製
金属石鹸系安定剤:商品名AD-1336、堺化学工業製
[滑剤]
エステルワックス:商品名KB-200、理研ビタミン製
脂肪酸エステルワックス:商品名EW-100、理研ビタミン製
脂肪酸:商品名ロキシオールG21、エメリーオレオ製
高分子アクリル系ワックス:商品名L-1000、三菱ケミカル製
オレフィン系ワックス:商品名AC-6A、ハネウェル製
酸化ポリエチレンワックス:商品名HIWAX-220MP、三井化学製
[強化剤]
(塩素化ポリエチレン)
塩素化ポリエチレンA:商品名WEIPREN(登録商標)3135、Weifung Yaxing Chemical製、塩素化度34~36%、MFR2.28g/10min
塩素化ポリエチレンB:商品名ADDSTRENGTH CPE3516、Weihai Jinghong Polymer製、塩素化度35%、MFR0.68g/10min
(その他強化剤)
アクリル系ゴム共重合体:商品名カネエースFM(登録商標)、カネカ製
[その他の成分]
加工助剤:商品名P-551A、三菱ケミカル製
無機顔料:大日精化工業製
炭酸カルシウム:商品名白艶華CCR、白石工業製
〔比較例1〕
平均重合度800のポリ塩化ビニル樹脂Aを主樹脂成分として用いた。当該主樹脂成分100重量部に対して、安定剤として二塩基性亜硫酸鉛を7重量部、ステアリン酸鉛を2.2重量部、滑剤としてエステルワックスを0.2重量部、オレフィン系ワックス0.13重量部、強化剤として塩素化ポリエチレンAを0.4重量部、アクリル系ゴム共重合体を12重量部、加工助剤を3重量部、添加剤として炭酸カルシウムと無機顔料を計1.1重量部の割合で配合し、樹脂組成物を製造した。
得られた樹脂組成物を、管押出成形法により押出成形を行い、外径235mm、肉厚9.8mmの更生管を作製した。
〔比較例2〕
平均重合度800のポリ塩化ビニル樹脂Aを主樹脂成分として用いた。当該主樹脂成分100重量部に対して、安定剤としてジオクチル錫メルカプトを2重量部、ステアリン酸カルシウムを0.5重量部、金属石鹸系安定剤を2重量部、滑剤としてエステルワックスを1.2重量部、脂肪酸を0.2重量部、オレフィン系ワックスを0.1重量部、酸化ポリエチレンワックスを0.1重量部、強化剤としてアクリル系ゴム共重合体を6重量部、加工助剤を3重量部、無機顔料を0.9重量部の割合で配合し、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を比較例1と同様にして、更生管を得た。
〔比較例3〕
平均重合度が1050のポリ塩化ビニル樹脂Bを主樹脂成分として用いたこと以外は比較例2と同様にして、更生管を得た。
〔比較例4〕
滑剤として高分子アクリル系ワックスを0.5重量部さらに使用し、さらにエステルワックスの使用量を1.4重量部として、脂肪酸およびオレフィン系ワックスを使用しなかったこと以外は比較例3と同様にして、更生管を得た。
〔実施例1〕
滑剤としてエステルワックスの使用量を1.5重量部とし、脂肪酸を使用せず、強化剤として、塩素化ポリエチレンBを3重量部使用し、アクリル系ゴム共重合体の使用量を3重量部とし、添加剤として無機顔料と、炭酸カルシウムとを2.4重量部の割合で配合したこと以外は比較例3と同様にして、更生管を得た。
〔実施例2〕
酸化ポリエチレンワックスの使用量を0.3重量部としたこと以外は実施例1と同様にして更生管を得た。
〔実施例3〕
滑剤としてさらに脂肪酸エステルワックスを0.2重量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして更生管を得た。
〔実施例4〕
安定剤としてステアリン酸カルシウムの代わりにステアリン酸バリウムを0.5重量部使用し、滑剤であるエステルワックスの使用量を1.7重量部として、さらに酸化ポリエチレンワックスの使用量を0.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして更生管を得た。
〔評価方法〕
(ビカット軟化点)
樹脂組成物から試験片を作製し、JIS K 7206に基づいてビカット軟化温度を測定した。試験機には、商品名:ヒートデストーションテスター・荷重たわみ温度(HDT・DTUL)試験機(安田精機製作所製)を使用した。
(外観)
得られた更生管の内面の凹凸を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:凹凸はない。
○:凹凸はあるが目立たない。
△:凹凸はあるが、平滑部もある。
×:凹凸ばかりで、平滑部はない。
(巻き付き強度)
巻き付き強度の試験方法を図1に示す。得られた更生管を、幅10mmで更生管の長手方向に沿って切断し、巻き付き試験の試験片を得た。すなわち、更生管から、断面が幅10mm×厚み9.8mmの長尺の直方体を試験片として切り出した。試験片の一方の端を外径15mmの鉄棒に固定し、試験片を鉄棒に螺旋状に密着させて、試験片の巻き付け試験を行った。図1に示されるように、試験片の全体が鉄棒に密着した時点で試験を終了した。各更生管について、少なくとも3本の試験片を用いて試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
○:全ての試験片において割れが生じなかった。
×:1本でも割れが生じた。
(引張強さ)
樹脂組成物から厚みが9.8mm、13.4mm、15.3mmである試験片をそれぞれ作製し、JIS K 7161に基づいて引張強さを測定した。
〔結果〕
比較例1~4の組成および試験結果を表1に示す。また、実施例1~4の組成および試験結果を表2に示す。なお、表1、2中の組成の数値単位は全て重量部である。
Figure 2023095827000001
Figure 2023095827000002
表1の結果より、比較例1は巻き付き強度は高いが、鉛安定剤を含むため環境への負荷が大きく、また、ビカット軟化点が高いことがわかる。また、比較例2~4は、錫系安定剤を含むため安全性が向上し、ビカット軟化点が低くなったが、巻き付き強度は不十分であった。一方で、表2の結果より、錫系安定剤と塩素化ポリエチレンを含有する実施例1~4は、十分に低いビカット軟化点、良好な巻き付き強度を有した。したがって、ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤と、塩素化ポリエチレンを含む更生管は、安全性に優れ、ビカット軟化点が低く、巻き付き強度に優れることが示された。また、実施例2~4より、滑剤として脂肪酸エステルワックス、および/または酸化ポリエチレンワックスを0.3重量部以上含むことにより外観が向上することがわかった。
実施例2~4の引張強さ(単位:MPa)の測定結果を表3に示す。
Figure 2023095827000003
表3の結果より、特に、実施例4は実施例2と比べて、9.8mmで引張強さ45MPa以上とより高い引張強さを有していた。したがって、エステルワックス、および加熱減量が少ないステアリン酸バリウムを含有する実施例4の更生管は、エステルワックス、および加熱減量が大きいステアリン酸カルシウムを含有する実施例2の更生管よりも引張強さに優れていることがわかった。
本発明は、更生管用塩化ビニル系樹脂組成物および更生管として好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫系安定剤と、塩素化度が33~37%である塩素化ポリエチレンとを含む更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記塩素化ポリエチレンの含有量が、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1~15重量部である請求項1に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. さらに滑剤を含む、請求項1に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 前記滑剤として、酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの少なくとも一方を含む、請求項3に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 前記酸化ポリエチレンワックスおよび脂肪酸エステルワックスの含有量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3重量部以上である、請求項4に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 前記錫系安定剤以外の安定剤として、さらにステアリン酸バリウムを含み、前記滑剤として、エステルワックスを含む、請求項3に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の更生管用塩化ビニル系樹脂組成物を含む更生管。
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