JP2023094842A - 塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤 Download PDF

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畑柊平
Shuhei Hata
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Yuriko Naito
岸本雅史
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Abstract

【課題】塩化ビニル系樹脂組成物の成形品に優れた耐熱性、耐寒性を付与することができ、かつ、バイオマス由来原料から得られるバイオマス可塑剤構成にすることで、二酸化炭素排出量を抑制することができる塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を提供すること。【解決手段】塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤が、(A)成分:一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物、及び(B)成分:エポキシ化植物油を含有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤であって、(A)成分のバイオマス度が50~100%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の質量比が50~99質量%:1~50質量%とする。TIFF2023094842000007.tif2848[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ炭素数8~14のバイオマス由来直鎖状アルキル基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤に関する。
塩化ビニル樹脂(PVC)は代表的なプラスチックの1つであり、安価で耐熱性に優れるなどの物性を有するため、その用途は多岐にわたる。塩化ビニル樹脂の使用の際は、塩化ビニル樹脂は固く脆い性質を有するため、通常は可塑剤を添加して塩化ビニル樹脂を柔軟にしてから用いられる。
塩化ビニル樹脂に用いられる可塑剤としては、石油由来のフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル等の多塩基酸の高級アルキルエステルが知られており、価格及び性能バランスの観点からフタル酸エステルが使われるケースが多かった。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においても石油由来材料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな材料である。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマス化学製品の実用化が急速に進んでおり、汎用化学品をこれらバイオマス原料から製造する試みも行われている。
特許文献1は塩化ビニル樹脂の可塑剤としてイソソルビドエポキシジエステルを開示している。当該可塑剤は、原料にバイオマス由来のイソソルビド及び不飽和脂肪酸を用いた可塑剤である。しかしながら、当該可塑剤は、塩化ビニル樹脂用可塑剤としての性能は不十分であった。
国際公開第2016/046490号
本発明が解決しようとする課題は、塩化ビニル系樹脂組成物の成形品に優れた耐熱性、耐寒性を付与することができ、かつ、バイオマス由来原料から得られるバイオマス可塑剤構成にすることで、二酸化炭素排出量を抑制することができる塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を提供することを目的にするものである。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、バイオマス由来原料から得られる特定構造を有するジカルボン酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物と、エポキシ化植物油と、を含有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤が、塩化ビニル系樹脂組成物の成形品に優れた耐熱性、耐寒性を付与できる、特定のバイオマス度を有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、以下の項目を要旨とする、塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を提供するものである。
[項1]
(A)成分:
一般式(1)
Figure 2023094842000001
[式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数8~14のバイオマス由来直鎖状アルキル基を示す。]
で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物、及び
(B)成分:エポキシ化植物油
を含有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤であって、
(A)成分のバイオマス度が50~100%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の質量比が50~99質量%:1~50質量%であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項2]
(A)成分が、フタル酸ジn-オクチルである、[項1]に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項3]
(A)成分が、(a)フタル酸ジn-オクチル、(b)フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、(c)フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、(d)フタル酸ジn-ドデシル、(e)フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及び(f)フタル酸ジn-テトラデシルである、[項1]に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項4]
(A)成分:(a)~(f)の合計が100mol%で、かつ、
(a):(b):(c):(d):(e):(f)=3.2~67.2mol%:19.8~26.3mol%:5.6~7.6mol%:1.9~40.5mol%:1.1~23.4mol%、:0.1~3.5mol%の範囲である、[項3]に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項5]
(A)成分:(a)~(f)の合計が100mol%で、かつ、
(a):(b):(c):(d):(e):(f)=4.0~64.0mol%:24.8~25.0mol%:7.0~7.2mol%:2.4~38.5mol%:1.4~22.3mol%、:0.2~3.2mol%の範囲である、[項3]又は[項4]に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項6]
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度が60~100%である、[項1]~[項5]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項7]
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度が65~100%である、[項1]~[項6]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項8]
前記エポキシ化植物油が、エポキシ化大豆油、及び/又はエポキシ化アマニ油である、[項1]~[項7]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
[項9]
塩化ビニル系樹脂と[項1]~[項8]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
[項10]
塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、[項1]~[項8]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を5~200質量部含有することを特徴とする[項9]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
[項11]
塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、[項1]~[項8]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を10~100質量部含有することを特徴とする[項9]又は[項10]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
[項12]
[項9]~[項11]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物から得られた成形体。
塩化ビニル系樹脂用可塑剤の構成を、全て石油由来の塩化ビニル系樹脂用可塑剤に依存する状態から、植物由来原料から得られる塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤に置き換えることで、石油資源の使用量を削減するとともに、塩化ビニル系樹脂用可塑剤製造時の二酸化炭素排出量を抑制することで環境負荷を低減できる。本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤は、塩化ビニル系樹脂との相溶性に優れるため、可塑化効率や柔軟性に優れ、優れた耐熱性、及び耐寒性を付与でき、かつ特定のバイオマス度を有する可塑剤として好適に使用することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤は、
(A)成分:
一般式(1)
Figure 2023094842000002
[式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数8~14のバイオマス由来直鎖状アルキル基を示す。]
で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物、及び
(B)成分:エポキシ化植物油
を含有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤であって、
(A)成分のバイオマス度が50~100%であり、かつ(A)成分と(B)成分の質量比が50~99質量%:1~50質量%であることを特徴とする。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの、R及びRの具体例としては、同一又は異なって、それぞれバイオマス由来のn-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基が挙げられ、好ましくは、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基であり、特に好ましくは、n-オクチル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基である。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの、R及びRは、同一又は異なって、それぞれバイオマス由来の炭素数1~7の直鎖状アルキル基の場合は、耐熱性(揮発減量)が悪化し好ましくない。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの、R及びRは、同一又は異なって、それぞれバイオマス由来の炭素数15以上の直鎖状アルキル基の場合は、耐寒性(柔軟温度)が悪化し好ましくない。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの、RとRが異なる混基エステルの記載方法は、下記式(2)に例示したRがn-オクチル基、Rがn-ドデシル基の場合は、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシルと本明細書及び請求の範囲において記載するものとする。
Figure 2023094842000003
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種の具体例としては、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸ジn-テトラデシルなどが挙げられ、好ましくは、フタル酸ジn-オクチルである。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの2種以上の混合物の具体例としては、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-デシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジn-デシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-デシル、及びフタル酸ジn-デシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、及びフタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸=n-デシル=n-ドデシル、及びフタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸=n-デシル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-デシル、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、フタル酸ジn-デシル、フタル酸=n-デシル=n-ドデシル、及びフタル酸ジn-ドデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-デシル、フタル酸=n-デシル=n-ドデシル、フタル酸=n-デシル=n-テトラデシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸=n-オクチル=n-デシル、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、フタル酸ジn-デシル、フタル酸=n-デシル=n-ドデシル、フタル酸=n-デシル=n-テトラデシル、フタル酸ジn-ドデシル、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及びフタル酸ジn-テトラデシルの混合物などが挙げられる。
上記フタル酸ジエステルの2種以上の混合物の具体例のなかで、好ましくは(a)フタル酸ジn-オクチル、(b)フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、(c)フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、(d)フタル酸ジn-ドデシル、(e)フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及び(f)フタル酸ジn-テトラデシルの混合物である。
上記フタル酸ジエステルの2種以上の混合物の具体例のなかで、好ましくは、(a)~(f)のジエステル混合物の合計が100mol%で、かつ(a):(b):(c):(d):(e):(f)=3.2~67.2mol%:19.8~26.3mol%:5.6~7.6mol%:1.9~40.5mol%:1.1~23.4mol%、:0.1~3.5mol%の範囲である混合物であり、特に好ましくは、(a)~(f)のジエステル混合物の合計が100mol%で、かつ(a):(b):(c):(d):(e):(f)=4.0~64.0mol%:24.8~25.0mol%:7.0~7.2mol%:2.4~38.5mol%:1.4~22.3mol%、:0.2~3.2mol%の範囲である混合物である。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物は、可塑剤としての性能を満たすものであれば、特にその製造方法により限定されるものではないが、例えば、石油由来、及び/又はバイオマス原料由来のフタル酸若しくはその無水物と、炭素数8~14のバイオマス由来直鎖状脂肪族飽和アルコールを、1種又は2種以上加えて公知の方法によってエステル化反応することで容易に得られる。
エステル化においては、反応により生成する水の留出を促進するために、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの水同伴剤を使用することが可能である。
また、エステル化反応時にジエステル化合物及び有機溶媒(水同伴剤)の酸化劣化により酸化物、過酸化物、カルボニル化合物などの含酸素有機化合物を生成すると耐熱性、耐候性等に悪影響を与えるため、系内を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下又は不活性ガス気流下で、常圧ないし減圧下にて反応を行うことが望ましい。エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下または常圧下にて留去することが推奨される。
上記エステル化方法により得られた本発明に係るジエステル化合物は、引き続き、必要に応じて塩基処理(中和処理)した後に水洗処理、液液抽出、蒸留(減圧、脱水処理)、吸着精製処理等により精製してもよい。
塩基処理に用いる塩基としては、塩基性の化合物であれば特に制約はなく、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが例示される。
吸着精製に用いる吸着剤としては、活性炭、活性白土、活性アルミナ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、カルシア、珪藻土などが例示される。それらを1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
上記処理は、常温で行なっても良いが、40~90℃程度に加温して行なうこともできる。
ジエステルのバイオマス度の測定は、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。この測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)を標準試料とした。
石油資源の使用量の削減、及び環境負荷低減の観点から、一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度は高ければ高いほど好ましく、塩化ビニル系樹脂用可塑剤製造時の二酸化炭素排出量を抑制することで環境負荷を低減できる。簡便性等、実用性の観点から、一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度は、好ましくは50~100%であり、さらに好ましくは60~100%であり、特に好ましくは65~100%である。一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度が50%未満では、塩化ビニル系樹脂用可塑剤製造時の二酸化炭素排出量抑制に対する寄与が小さく好ましくない。
バイオマス由来のフタル酸若しくはその無水物の製造方法は、例えば、Y.Tachibana,S.Kimura,K.Kasuya,Sci.Rep.,5,8249(2015)に記載された公知の方法によって、バイオマス由来のフルフラールからフタル酸若しくはその無水物を製造することができる。このようにして得られたフタル酸若しくはその無水物のバイオマス度は99%以上である。
バイオマス原料由来フタル酸若しくはその無水物と、炭素数8~14のバイオマス原料由来直鎖状脂肪族飽和アルコールとの1種、又は2種以上を公知の方法でエステル化反応をおこなうことで、本発明に係るフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物を得ることができる。このようにして得られたフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物のバイオマス度は99%以上である。
また、バイオマス原料由来フタル酸若しくはその無水物を用いる代わりに、例えば、石油由来フタル酸若しくはその無水物を原料として用いることもできる。石油由来フタル酸若しくはその無水物のバイオマス度は1%未満である。
炭素数8~14のバイオマス原料由来直鎖状脂肪族飽和アルコールは、ヤシ油、パーム核油等の天然油脂から誘導される脂肪酸メチルを水素化還元するなどして得られたアルコール混合物を、一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物の原料としてとして用いることができ、さらに前記アルコール混合物を蒸留等によって分離、精製して得られたアルコールを一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物の原料として使用することもできる。
炭素数8~14のバイオマス原料由来直鎖状脂肪族飽和アルコールを、一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物の原料として、1種又は2種以上用いることができる。炭素数8~14のバイオマス原料由来直鎖状脂肪族飽和アルコールのバイオマス度は99%以上である。
バイオマス原料由来フタル酸若しくはその無水物を用いる代わりに、石油由来フタル酸若しくはその無水物と、炭素数8~14のバイオマス原料由来直鎖状脂肪族飽和アルコールとを公知の方法でエステル化反応をおこなうことで、本発明に係るフタル酸ジエステルを製造することができる。このようにして得られたフタル酸ジエステルのバイオマス度は67%~78%である。
一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物の酸価としては、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下、特に好ましくは0.01mgKOH/g以下である。酸価が0.1mgKOH/g以下のときには一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物自身の耐熱性がより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤の熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。
本発明に係るエポキシ化植物油としては、例えば、植物油をエポキシ化したエポキシ化植物油を用いることができ、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油類が挙げられ、好ましくは、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油であり、特に好ましくは、エポキシ化大豆油である。本発明に係るエポキシ化植物油のバイオマス度は99%以上である。本発明に係るエポキシ化植物油として、1種又は2種以上を混合して用いても良い。
本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤とは、特定のバイオマス度を有する一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物、及びエポキシ化植物油を、それぞれ特定の質量比で含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂用可塑剤のことである。なお、本明細書及び請求の範囲においてバイオマス度とは、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤に含まれる(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)成分:(B)成分=50~99質量%:1~50質量%である。
<塩化ビニル系樹脂>
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの単独重合体及び塩化ビニルあるいは塩化ビニリデンの共重合体であり、その製造方法は、従来公知の重合方法で行われ、汎用塩化ビニル樹脂の場合、油溶性重合触媒の存在下に懸濁重合する方法が挙げられ、また、塩化ビニルペースト樹脂では水性媒体中で水溶性重合触媒の存在下に乳化重合する方法が挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂の重合度は、通常300~5000であり、好ましくは400~3500、さらに好ましくは700~3000である。この重合度が低すぎると耐熱性等が低下し、高すぎると成形加工性が低下する傾向がある。
共重合体の場合、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等の炭素数2~30のα-オレフィン類、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、マレイン酸およびそのエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル等のビニル化合物、ジアリルフタレート等の多官能性モノマー及びこれらの混合物と塩化ビニルモノマーとの共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体等のエチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩素化ポリエチレン、ブチルゴム、架橋アクリルゴム、ポリウレタン、ブタジエン-スチレン-メチルメタクリレート共重合体(MBS)、ブタジエン-アクリロニトリル-(α-メチル)スチレン共重合体(ABS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート及びこれらの混合物へ塩化ビニルモノマーをグラフトしたグラフト共重合体等が例示される。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物における塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤の含有量としては、その用途に応じて適宜選択されるが、通常、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、5~200質量部であり、好ましくは10~100質量部である。5質量部未満では所定の可塑化効果が得られにくく、200質量部を越えて配合した場合には、成形品表面へのブリードが激しく、いずれの場合も好ましくない。但し、上記の塩化ビニル系樹脂組成物に対して充填剤などを添加する場合は、充填剤自身が吸油するために上記の範囲を超えて当該可塑剤を配合することができる。例えば、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムを100質量部配合した場合には、当該可塑剤を1~500質量部程度配合することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤と共に他の公知の可塑剤を併用することができる。又、必要に応じて安定剤、安定化助剤、酸化防止剤(老化防止剤)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、充填剤、希釈剤、減粘剤、増粘剤、加工助剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、接着剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
上記、本発明に係る塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤以外の他の可塑剤、添加剤は、1種または2種以上適宜組み合わせて塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤と共に配合してもよい。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤と併用することができる公知の可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル類、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOTP)、イソフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOIP)等のフタル酸エステル類(本発明に係る一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物を除く)、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOS)、セバシン酸ジイソノニル(DINS)等の脂肪族二塩基酸エステル類、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)、トリメリット酸トリイソデシル(TIDTM)等のトリメリット酸エステル類、ピロメリット酸テトラ-2-エチルヘキシル(TOPM)等のピロメリット酸エステル類、リン酸トリ-2-エチルヘキシル(TOP)、リン酸トリクレジル(TCP)等のリン酸エステル類、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアルキルエステル、アジピン酸等の二塩基酸とグリコールとのポリエステル化によって合成された分子量800~4000のポリエステル類、4,5-エポキシ-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジ-2-エチルヘキシルエステル等のエポキシエステル類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(DINCH)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルエステル等の脂環式二塩基酸エステル類、ジカプリン酸1.4-ブタンジオール等の脂肪酸グリコールエステル類、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)類、アセチルクエン酸トリヘキシル(ATHC)、アセチルクエン酸トリエチルヘキシル(ATEHC)、ブチリルクエン酸トリヘキシル(BTHC)等のクエン酸エステル類、イソソルビドジエステル類、パラフィンワックスやn-パラフィンを塩素化した塩素化パラフィン類、塩素化ステアリン酸エステル等の塩素化脂肪酸エステル類、オレイン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル類等が例示される。上記併用できる可塑剤を配合する場合、その配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、1~100質量部程度が推奨される。
安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸化合物、ジメチルスズビス-2-エチルヘキシルチオグリコレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズビスブチルマレエート、ジブチルスズジラウレート等の有機錫系化合物、アンチモンメルカプタイド化合物等が例示される。又、安定剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する安定剤の配合量は0.1~20質量部程度が推奨される。
前記安定剤のうち、安全性等の面より、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛の組み合わせが、最も好ましく使用される。又、その配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する合計量で、0.1~10質量部、好ましくは、0.2~6質量部低度が推奨され、その配合比率は、安定化の効果を示す範囲であれば、特に制限はないが、通常、5:1~1:5の範囲で使われることが多い。
安定化助剤としては、トリフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリデシルフォスファイト等のホスファイト系化合物、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等のベータジケトン化合物、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物、過塩素酸バリウム塩、過塩素酸ナトリウム塩等の過塩素酸塩化合物、ハイドロタルサイト化合物、ゼオライトなどが例示される。又、安定化助剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する安定化助剤の配合量は0.1~20質量部程度が推奨される。
酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]メタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどのフェノール系化合物、アルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン酸系化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などの有機金属系化合物などが例示される。又、酸化防止剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する酸化防止剤の配合量は0.2~20質量部程度が推奨される。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレートなどのサリシレート系化合物、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、1-ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物の他、シアノアクリレート系化合物などが例示される。又、紫外線吸収剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の配合量は0.1~10質量部程度が推奨される。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート(混合物)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル及び1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールと高級脂肪酸のエステル混合物、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重縮合物、ポリ[{(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}}、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N',N'',N'''-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が例示される。又、光安定剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する光安定剤の配合量は0.1~10質量部程度が推奨される。
充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、珪藻土、フェライトなどの金属酸化物、ガラス、炭素、金属などの繊維及び粉末、ガラス球、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムなどが例示される。又、充填剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する充填剤の配合量は1~100質量部程度が推奨される。
希釈剤としては、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレートや低沸点の脂肪族系、芳香族系の炭化水素などが例示される。又、希釈剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する希釈剤の配合量は1~50質量部程度が推奨される。
減粘剤としては、各種非イオン系界面活性剤、スルフォサクシネート系アニオン界面活性剤、界面活性をもったシリコーン系化合物、大豆油レシチン、一価アルコール類、グリコールエーテル類、ポリエチレングリコール類などが例示される。又、減粘剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する減粘剤の配合量は0.1~20質量部程度が推奨される。
増粘剤としては、合成微粉シリカ系、ベントナイト系、極微細沈降炭酸カルシウム、金属石鹸系、水素添加ひまし油、ポリアミドワックス、酸化ポリエチレン系、植物油系、粒酸エステル系界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが例示される。又、増粘剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する増粘剤の配合量は1~50質量部程度が推奨される。
加工助剤としては、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、ブチルステアレート、ステアリン酸カルシウムなどが例示される。又、加工助剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する加工助剤の配合量は0.1~20質量部程度が推奨される。
滑剤としては、シリコーン、流動パラフィン、バラフィンワックス、ステアリン酸金属やラウリン酸金属塩などの脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド類、脂肪酸ワックス、高級脂肪酸ワックス等が例示される。又、滑剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する滑剤の配合量は0.1~10質量部程度が推奨される。
帯電防止剤としては、アルキルスルホネート型、アルキルエーテルカルボン酸型又はジアルキルスルホサクシネート型のアニオン性帯電防止剤、ポリエチレングリコール誘導体、ソルビタン誘導体、ジエタノールアミン誘導体などのノニオン性帯電防止剤、アルキルアミドアミン型、アルキルジメチルベンジル型などの第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム型の有機酸塩又は塩酸塩などのカチオン性帯電防止剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型などの両性帯電防止剤などが例示される。又、帯電防止剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する帯電防止剤の配合量は0.1~10質量部程度が推奨される。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の無機系化合物、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート等のリン系化合物、塩素化パラフィン等のハロゲン系化合物等が例示される。又、難燃剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する難燃剤の配合量は0.1~20質量部程度が推奨される。
発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機発泡剤、重曹等の無機発泡剤などが例示される。又、発泡剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する発泡剤の配合量は0.1~30質量部程度が推奨される。
着色剤としては、カーボンブラック、硫化鉛、ホワイトカーボン、チタン白、リトポン、べにがら、硫化アンチモン、クロム黄、クロム緑、フタロシアニン緑、コバルト青、フタロシアニン青、モリブデン橙などが例示される。又、着色剤を配合する場合、塩化ビニル系樹脂100質量部に対する着色剤の配合量は1~100質量部程度が推奨される。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤、塩化ビニル系樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を例えばハンドリング混合や、ポニーミキサ、バタフライミキサ、プラネタリミキサ、ディゾルバ、二軸ミキサー、三本ロールミル、モルタルミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダー等の攪拌・混合機やコニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により攪拌混合・溶融混合を行い、粉状、ペレット状またはペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物とすることができる。
<塩化ビニル系樹脂成形体>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、真空成形、圧縮成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形、ブロー成形、粉体成形、スプレッドコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、紙キャスティング、押出コーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スラッシュ成形、回転成形、注型、ディップ成形、溶着等の従来公知の方法を用いて成形加工することにより、所望の形状に成形することができる。
成形体の形状としては、特に限定されないが、例えば、ロッド状、シート状、フィルム状、板状、円筒状、円形、楕円形等あるいは玩具、装飾品等特殊な形状のもの、例えば星形、多角形形状が例示される。
<塩化ビニル系樹脂成形体の評価>
(a)柔軟温度
塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有する塩化ビニルシートの柔軟温度は、好ましくは-20℃以下であり、さらに好ましくは-30℃以下である。なお、本明細書において柔軟温度とは、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
(b)揮発減量
塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有する塩化ビニルシートの揮発減量は、好ましくは15%未満であり、さらに好ましくは13%未満である。なお、本明細書において揮発減量とは、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
(c)耐熱性(シート着色)評価
塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有する塩化ビニルシートの耐熱性(シート着色)評価(170℃、60分)は、好ましくはやや着色であり、さらに好ましくは着色なしである。なお、本明細書において耐熱性(シート着色)とは、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
(d)塩化ビニルシートの評価
塩化ビニル系樹脂用可塑剤を含有する塩化ビニルシートの評価が、
柔軟温度-20℃以下、揮発減量13%未満、シート着色がなし;
柔軟温度-30℃以下、揮発減量15%未満、シート着色がなし;
柔軟温度-30℃以下、揮発減量13%未満、シート着色がやや着色;
の場合には良好であり、
柔軟温度-30℃以下、揮発減量13%未満、シート着色なし;
の場合には特に良好と評価される。
本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を含有する塩化ビニルシートは、柔軟温度が低く、揮発減量(170℃、120分)が低く、及びシート着色が着色なしであり、かつ特定のバイオマス度を有するので、塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤として有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例や比較例中の化合物の略号、及び各特性の測定は以下の通りである。
<使用化合物>
・無水フタル酸:JFEケミカル株式会社製 製品名「無水フタル酸」(バイオマス度:1%未満)
・n-オクタノール:新日本理化株式会社製、製品名「コノール10WS」(バイオマス度:99%以上)
・n-ドデカノール:新日本理化株式会社製、製品名「コノール20P」(バイオマス度:99%以上)
・n-テトラデカノール:新日本理化株式会社製、製品名「コノール1495」(バイオマス度:99%以上)
・エポキシ化大豆油:新日本理化株式会社製、製品名「サンソサイザーE-2000H」(バイオマス度:99%以上)
・塩化ビニル樹脂:新第一塩ビ株式会社製、製品名「Zest1000Z」(ストレート、重合度1050)
・DOP:新日本理化株式会社製、製品名「サンソサイザーDOP」(フタル酸ジ2-エチルヘキシル)(バイオマス度:1%未満)
・DINP:新日本理化株式会社製、製品名「サンソサイザーDINP」(フタル酸ジイソノニル)(バイオマス度:1%未満)
(1)ジエステルの物性評価
下記の製造例で得られた本発明に係る一般式(1)で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物は、次の方法で分析を行った。
酸価:JISK-0070(1992)に準拠して測定した。
色相:JISK-4101(Hazen)(1995)に準拠して測定した。
(2)ガスクロマトグラフィー分析(以下、GC分析と略す)
機種: ガスクロマトグラフ GC-2025(島津製作所製)
検出器:FID
カラム:キャピラリーカラム ZB-130m
カラム温度:60℃ から290℃まで昇温、昇温速度=13℃/分、23分ホールド
キャリアガス:ヘリウム
スプリット比:1:80
試料:50 % アセトン溶液
注入量:0.5μl
定量:DOPを内部標準物質として用いて定量した。
(3)塩化ビニルプレスシートの作製
塩化ビニル樹脂(ストレート、重合度1050、商品名「Zest1000Z」、新第一塩ビ(株)製)100質量部に、安定剤としてカルシウムステアレート(ナカライテスク(株)製)及びジンクステアレート(ナカライテスク(株)製)を各々0.3及び0.2質量部を配合し、モルタルミキサーで攪拌混合した後、可塑剤50質量部を加え、均一になるまでハンドリング混合し塩化ビニル樹脂組成物とした。この樹脂組成物を5×12インチの二本ロールを用いて160~166℃で4分間溶融混練しロールシートを作成した。続いて162~168℃×10分間プレス成形を行い、厚さ約1mmのプレスシートを作製した。
<塩化ビニル系樹脂成形体の物性評価>
(4)引張特性:JISK-6723(1995)に準拠し、プレスシートの100%モジュラス、破断強度、破断伸びを測定した。100%モジュラスの値が小さいほど柔軟性が良好であることを示し、破断強度、破断伸びはその材料の実用的な強度の目安であり、一般的にはその値が大きいほど実用的な強度に優れると言うことができる。
(5)耐寒性:クラッシュベルグ試験機を用いて、JISK-6773(1999)に準拠して測定した。柔軟温度(℃)が低いほど耐寒性に優れる。ここで言う柔軟温度とは、前記測定においてJIS記載のねじり剛性率(3.17×103kg/cm2)を示す低温限界の温度を指す。
<柔軟温度の評価>
[I]:-30℃以下
[II]:-20℃以下-30℃を越える
[III]:-20℃を越える
(6)耐熱性:揮発減量及びシート着色の評価による。
a)揮発減量:ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で60分、120分加熱した後のロールシートの質量変化を測定し、下記式より質量減少率(質量%)を算出した。
数値が小さいほど、耐熱性が高い。
揮発減量(%)=((試験前の質量-試験後の質量)/試験前の質量)×100
<揮発減量(170℃、120分)の評価>
[I]:13%未満
[II]:13%以上15%未満
[III]:15%以上
b)シート着色:ギヤーオーブン中、ロールシートを170℃で30分、60分間加熱した後の着色度の強弱を目視により3段階で評価した。
<シート着色の評価>
[I]:○着色なし
[II]:△やや着色
[III]:×着色あり
(7)塩化ビニル系樹脂成形体の性能評価
塩化ビニル系樹脂成形体の性能評価としては、柔軟温度の評価、揮発減量(170℃、120分)の評価、及びシート着色の評価の結果において、[III]が1以上あれば不適と、[II]が1以下(他の評価は[I])であれば良好と、全ての評価が[I]であれば特に良好と評価される。
(8)バイオマス度
ジエステルのバイオマス度の測定は、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。この測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)を標準試料とした。
[製造例1]
温度計、デカンター、攪拌羽、還流冷却管を備えた2L四ツ口フラスコに、無水フタル酸(2.00モル)、n-オクタノール(4.80モル)、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート(日本曹達(株)製)0.4gを加え、反応温度を200℃としてエステル化反応を実施した。減圧下アルコールを還流させて生成水を系外へ除去しながら、反応溶液の酸価が0.2mgKOH/gになるまで反応を行った。反応終了後、未反応アルコールを減圧下で系外へ留去した後、常法に従って2%NaOH水溶液で中和、水洗、脱水して本発明に係るフタル酸ジn-オクチル(以下、「エステル1」という。)685.2gを得た。
得られたエステル1は、酸価:0.01mgKOH/g、色相:15、バイオマス度:66.7%であった。
[製造例2]
n-オクタノールの代わりに、n-オクタノール(3.84モル)、n-ドデカノール(0.77モル)、及びn-テトラデカノール(0.19モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明に係るフタル酸ジエステル混合物(以下、「エステル2」という。)718.8gを得た。
DOPを標準物質として各成分をGC分析によって定量し、それぞれフタル酸ジn-オクチルが64.0mol%、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシルが25.0mol%、フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシルが7.0mol%、フタル酸ジn-ドデシルが2.4mol%、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシルが1.4mol%、フタル酸ジn-テトラデシルが0.2mol%であった。
得られたエステル2は、酸価:0.01mgKOH/g、色相:15、バイオマス度:69.0%であった。
[製造例3]
n-オクタノールの代わりに、n-オクタノール(0.96モル)、n-ドデカノール(2.98モル)、及びn-テトラデカノール(0.86モル)を加えた以外は製造例1と同様に実施して、本発明に係るフタル酸ジエステル混合物(以下、「エステル3」という。)887.2gを得た。
DOPを標準物質として各成分をGC分析によって定量し、それぞれフタル酸ジn-オクチルが4.0mol%、フタル酸=n-オクチル=n-ドデシルが24.8mol%、フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシルが7.2mol%、フタル酸ジn-ドデシルが38.5mol%、フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシルが22.3mol%、フタル酸ジn-テトラデシルが3.2mol%であった。
得られたエステル3は、酸価:0.01mgKOH/g、色相:20、バイオマス度:74.1%であった。
[実施例1]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例1で得られたエステル1を95質量%と、エポキシ化大豆油を質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤1を得た。バイオマス可塑剤1のバイオマス度は、68.3%であった。
上記「(2)塩化ビニルプレスシートの作製」に記載した通り、バイオマス可塑剤1を用いて塩化ビニル樹脂組成物を作製した。続いて、得られた塩化ビニル樹脂組成物より塩化ビニルシートを作製し、引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例2]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例1で得られたエステル1を80質量%と、エポキシ化大豆油を20質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤2を得た。バイオマス可塑剤2のバイオマス度は、73.2%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤2を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例3]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例1で得られたエステル1を75質量%と、エポキシ化大豆油を25質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤3を得た。バイオマス可塑剤3のバイオマス度は、74.8%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤3を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例4]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例1で得られたエステル1を50質量%と、エポキシ化大豆油を50質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤4を得た。バイオマス可塑剤4のバイオマス度は、83.1%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤4を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例5]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例2で得られたエステル2を80質量%と、エポキシ化大豆油を20質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤5を得た。バイオマス可塑剤5のバイオマス度は、75.0%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤5を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例6]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例2で得られたエステル2を50質量%と、エポキシ化大豆油を50質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤6を得た。バイオマス可塑剤6のバイオマス度は、84.2%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤6を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例7]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例3で得られたエステル3を80質量%と、エポキシ化大豆油を20質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤7を得た。バイオマス可塑剤7のバイオマス度は、85.7%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤7を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[実施例8]
本発明のバイオマス可塑剤として、製造例3で得られたエステル3を50質量%と、エポキシ化大豆油を50質量%の割合で混合することで本発明のバイオマス可塑剤8を得た。バイオマス可塑剤8のバイオマス度は、86.8%であった。
バイオマス可塑剤1の代わりにバイオマス可塑剤8を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例1]
可塑剤9として、製造例1で得られたエステル1を用いて、上記「(2)塩化ビニルプレスシートの作製」に記載した通り、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例2]
可塑剤9の代わりに、可塑剤10として製造例2で得られたエステル2を用いた以外は比較例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物を作製した。得られた塩化ビニル樹脂組成物より塩化ビニルシートを作製し、引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例3]
可塑剤9の代わりに、可塑剤11として製造例3で得られたエステル3を用いた以外は比較例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例4]
可塑剤9の代わりにDOPを用いた以外は比較例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表2に示した。
[比較例5]
可塑剤9の代わりにDINPを用いた以外は比較例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表2に示した。
[比較例6]
可塑剤9の代わりにエポキシ化大豆油を用いた以外は比較例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物及び塩化ビニルシートを作製して引張試験、耐寒性試験及び耐熱性試験を行なった。得られた結果をまとめて表2に示した。
Figure 2023094842000004
Figure 2023094842000005
表1から、実施例1~8に記載の本発明の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤は、柔軟温度が-22℃以下と低く、揮発減量(170℃、120分)が6.3%以下と低く、及びシート着色が着色なしであり、かつバイオマス度が66.7%以上であることがわかる。
塩化ビニル系樹脂用可塑剤の構成を、全て石油由来の塩化ビニル系樹脂用可塑剤に依存する状態から、本発明に係る植物由来の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤に置き換えることで、石油資源の使用量を削減するとともに、塩化ビニル系樹脂用可塑剤製造時の二酸化炭素排出量を抑制することで環境負荷を低減できる。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤は、塩化ビニル系樹脂との相溶性に優れるため、可塑化効率や柔軟性に優れ、優れた耐熱性、及び耐寒性を付与でき、かつ特定のバイオマス度を有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤として好適に使用することができる。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物、及び塩化ビニル系樹脂成形体は、耐寒性及び耐熱性に優れ、かつ柔軟性が良好な塩化ビニル系樹脂用可塑剤として使用することができ、その可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂組成物より得られる成形加工品は、高度な耐寒性、耐熱性、柔軟性の要求される電線被覆用途や自動車用部材用途、一般フィルムシート(ラミネート、包装、車両、雑貨等)用途、農業用フィルム用途、レザー用途、コンパウンド用途、床材用途、壁紙用途、履物用途、シーリング材用途、繊維用途、ホース用途、ガスケット用途、建築資材用途、塗料用途、接着剤用途、ペースト用途、医療用途に非常に有用である。

Claims (6)

  1. (A)成分:
    一般式(1)
    Figure 2023094842000006
    [式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数8~14のバイオマス由来直鎖状アルキル基を示す。]
    で表されるフタル酸ジエステルの1種、又は2種以上の混合物、及び
    (B)成分:エポキシ化植物油
    を含有する塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤であって、
    (A)成分のバイオマス度が50~100%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の質量比が50~99質量%:1~50質量%であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
  2. (A)成分が、フタル酸ジn-オクチルである、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
  3. (A)成分が、(a)フタル酸ジn-オクチル、(b)フタル酸=n-オクチル=n-ドデシル、(c)フタル酸=n-オクチル=n-テトラデシル、(d)フタル酸ジn-ドデシル、(e)フタル酸=n-ドデシル=n-テトラデシル、及び(f)フタル酸ジn-テトラデシルである、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
  4. (A)成分:(a)~(f)の合計が100mol%で、かつ、
    (a):(b):(c):(d):(e):(f)=3.2~67.2mol%:19.8~26.3mol%:5.6~7.6mol%:1.9~40.5mol%:1.1~23.4mol%、:0.1~3.5mol%の範囲である、請求項3に記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤。
  5. 塩化ビニル系樹脂と請求項1~4のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂用バイオマス可塑剤を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の塩化ビニル系樹脂組成物から得られた成形体。
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