JP2023094173A - リチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができるリチウム二次電池用添加剤を提供する。【解決手段】本開示のリチウム二次電池用添加剤は、下記式(I)で表される化合物(I)を含む。式(I)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、ベンジル基、若しくはアリール基を表すか、又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基を表す。波線は、トランス体又はシス体であることを表す。JPEG2023094173000036.jpg2765【選択図】なし

Description

本開示は、リチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法に関する。
リチウム二次電池は、高エネルギー密度の電池として、注目されている。
特許文献1は、蓄電デバイス(例えばリチウム二次電池)用の非水電解液を開示している。特許文献1に開示の非水電解液では、非水溶媒に電解質塩が溶解されている。特許文献1に開示の非水電解液は、特定の双性イオンを含有する。特許文献1には、特定の双性イオンとして、2-(トリエチルアンモニオ)エチルサルフェート、2-ドデシルジメチル(カルボキシラトメチル)アンモニウム、トリメチル(カルボキシラトメチル)アンモニウム、又はトリエチル(スルホプロピル)アンモニウムを含む非水電解液が具体的に開示されている。
国際公開第2020/017318号
リチウム二次電池は、温暖な地域(例えば、25℃)だけでなく、寒冷地(例えば、-10℃)でも使用される場合がある。寒冷地では、リチウム二次電池の電池性能は低下するおそれがある。
特許文献1に開示の非水電解液を備えるリチウム二次電池では、高温環境(例えば、60℃)下で長期(例えば、14日間)に保存されると、放電容量が低下し、25℃及び-10℃の環境下での直流抵抗が増加するおそれがある。
本開示は、上記事情に鑑み、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができるリチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 下記式(I)で表される化合物(I)を含む、リチウム二次電池用添加剤。
Figure 2023094173000001
〔式(I)中、R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
波線は、トランス体又はシス体であることを表す。〕
<2> 前記R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表す、前記<1>に記載のリチウム二次電池用添加剤。
<3> 前記化合物(I)は、下記式(I-1)で表される化合物(I-1)又は下記式(I-2)で表される化合物(I-2)である、前記<1>又は<2>に記載のリチウム二次電池用添加剤。
Figure 2023094173000002
<4> 前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用添加剤を含む、非水電解液。
<5> モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方である化合物(II)と、下記式(III)で表される化合物(III)と、下記式(IV)で表される化合物(IV)とからなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、前記<4>に記載の非水電解液。
Figure 2023094173000003
〔式(III)中、
Mは、アルカリ金属であり、
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
bは、1~3の整数であり、
mは、1~4の整数であり、
nは、0~8の整数であり、
qは、0又は1であり、
31は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR31はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
32は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR32はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
、及びQは、それぞれ独立に、酸素原子、又は炭素原子である。
式(IV)中、
41は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
42は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(iv-1)で表される基、又は式(iv-2)で表される基であり、
*は、結合位置を示し、
式(iv-1)中、R43は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
式(iv-2)中、R44は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。〕
<6> 前記化合物(I)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.01質量%以上5質量%以下である、前記<4>又は<5>に記載の非水電解液。
<7> ケースと、
前記ケースに収容された、正極、負極、セパレータ、及び電解液と、
を備え、
前記正極が、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極であり、
前記負極が、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極であり、
前記電解液が、前記<4>~<6>のいずれか1つに記載の非水電解液である、リチウム二次電池前駆体。
<8> 前記正極が、正極活物質として、下記式(P1)で表されるリチウム含有複合酸化物を含む、前記<7>に記載のリチウム二次電池前駆体。
LiNiCoMn … 式(P1)
〔式(P1)中、a、b及びcは、それぞれ独立に、0超1未満であり、かつ、a、b及びcの合計は、0.99以上1.00以下である。〕
<9> 前記<7>又は<8>に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
を含む、リチウム二次電池の製造方法。
<10> 前記<7>又は<8>に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池。
<11> 下記式(I)で表される、アンモニウムスルホネート化合物。
Figure 2023094173000004
〔式(I)中、R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
波線は、トランス体又はシス体であることを表す。
但し、R11及びR12の各々がメチル基である場合を除く。〕
<12> 前記R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表す、前記<11>に記載のアンモニウムスルホネート化合物。
<13> 下記式(I-2)で表される化合物(I-2)と、下記式(I-3)で表される化合物(I-3)と、下記式(I-4)で表される化合物(I-4)と、下記式(I-5)で表される化合物(I-5)と、下記式(I-6)で表される化合物(I-6)とからなる群より選択される1種である、前記<11>又は<12>に記載のアンモニウムスルホネート化合物。
Figure 2023094173000005
本開示によれば、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができるリチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法が提供される。
本開示のリチウム二次電池前駆体の一例であるラミネート型電池を示す概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池前駆体の別の一例であるコイン型電池を示す概略断面図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、図面を参照して、本開示に係るリチウム二次電池用添加剤、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、アンモニウムスルホネート化合物及びリチウム二次電池の製造方法の実施形態について説明する。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
〔リチウム二次電池用添加剤〕
本開示のリチウム二次電池用添加剤(以下、「添加剤」という。)について説明する。
本開示の添加剤は、リチウム二次電池に含まれる非水電解液に添加される添加剤として好適に用いられる。リチウム二次電池の詳細については、図1及び図2を参照して後述する。
本開示の添加剤は、下記式(I)で表される化合物(I)(以下、「アンモニウムスルホネート化合物(I)」という。)を含む。
Figure 2023094173000006
式(I)中、R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
波線は、トランス体又はシス体であることを表す。
本開示の添加剤は、上記構成を有するため、リチウム二次電池が高温環境(例えば、60℃)下で長期(例えば、14日間)に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができる。
この効果は、以下の理由によると推測されるが、これに限定されない。
本開示の添加剤を用いたリチウム二次電池を製造する場合、その製造過程(例えば、後述するエージング工程)において、リチウム二次電池の負極の表面近傍において、反応生成物が生成され、更に、反応生成物の分解物である成分が生成されると考えられる。反応生成物は、アンモニウムスルホネート化合物(I)と、電解質から生じた化合物(例えば、LiF)との反応による生成物を示す。このような反応生成物等は、負極表面に付着してSEI(Solid Electrolyte Interphase)膜(以下、「負極SEI膜」という。)を形成する。この成分は、製造過程において、正極表面近傍に移動し、正極表面に付着して、SEI膜(以下、「正極SEI膜」という。)を形成すると考えられる。これにより、高温環境下でのリチウム二次電池の安定性が高められる。例えば、正極活物質中の金属元素の溶出が抑制される。その結果、リチウム二次電池が高温環境下で保存された場合の、リチウム二次電池の直流抵抗の増加は、抑制されると考えられる。
更に、上述したように、本開示の添加剤を用いたリチウム二次電池の安定性は、高温環境下でも優れる。つまり、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、本来の電池反応ではない副反応は進行しにくくなると考えられる。電池反応は、正極と負極にリチウムイオンが出入り(インターカレート)する反応を示す。副反応は、負極による電解液の還元分解反応、正極による電解液の酸化分解反応、正極活物質中の金属元素の溶出等を含む。これにより、非水電解液の分解反応の進行は抑制される。その結果、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、リチウム二次電池の放電容量は低下しにくくなると考えられる。
以上の理由により、本開示の添加剤は、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができると推測される。
以下、負極SEI膜と正極SEI膜とを区別しない場合、負極SEI膜又は正極SEI膜を単に「SEI膜」という。
式(I)中、R11及びR12のそれぞれ独立に表される「炭素数1~10のアルキル基」は、炭素数1以上10以下である、直鎖、又は分岐鎖のアルキル基である。「炭素数1~10のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、3,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、「炭素数1~10のアルキル基」は、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
「炭素数1~10のアルキル基」の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。「炭素数1~10のアルキル基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
「炭素数1~10のアルキル基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、アルキル基の炭素数に応じて適宜選択され、1個~7個が好ましい。
式(I)中、R11及びR12のそれぞれ独立に表される「炭素数2~10のアルケニル基」は、炭素数2以上10以下である、直鎖、又は分岐鎖のアルケニル基である。「炭素数2~10のアルケニル基」としては、ビニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等が挙げられる。これらの中でも、「炭素数2~10のアルケニル基」は、炭素数2~6のアルケニル基が好ましく、炭素数2~3のアルケニル基がより好ましい。
「炭素数2~10のアルケニル基」の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。「炭素数2~10のアルケニル基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
「炭素数2~10のアルケニル基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、アルケニル基の炭素数に応じて適宜選択され、1個~7個が好ましい。
式(I)中、R11及びR12のそれぞれ独立に表される「炭素数2~10のアルキニル基」は、炭素数2以上10以下である、直鎖、又は分岐鎖のアルキニル基である。「炭素数2~10のアルキニル基」としては、エチニル基、プロパルギル基(2-プロピニル基)、2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、5-ヘキシニル基等が挙げられる。これらの中でも、「炭素数2~10のアルキニル基」は、炭素数2~6のアルキニル基が好ましく、炭素数2~3のアルキニル基がより好ましい。
「炭素数2~10のアルキニル基」の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。「炭素数2~10のアルキニル基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
「炭素数2~10のアルキニル基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、アルキニル基の炭素数に応じて適宜選択され、1個~7個が好ましい。
式(I)中、R11及びR12のそれぞれ独立に表される「ベンジル基」の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。
「ベンジル基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。「ベンジル基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~7個が好ましい。
「ベンジル基」における炭素数1~6のアルコキシ基は、このアルコキシ基におけるアルキル基が直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。「ベンジル基」における炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、「ベンジル基」における炭素数1~6のアルコキシ基は、炭素数1~3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。「ベンジル基」において、炭素数1~6のアルコキシ基に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~3個が好ましい。
「ベンジル基」における炭素数1~6のアルキル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。「ベンジル基」における炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、「ベンジル基」における炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。「ベンジル基」において、炭素数1~6のアルキル基に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~3個が好ましい。
式(I)中、R11及びR12のそれぞれ独立に表される「アリール基」の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。
「アリール基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。「アリール基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~5個が好ましい。
「アリール基」における炭素数1~6のアルコキシ基は、このアルコキシ基におけるアルキル基が直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。「アリール基」における炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、「アリール基」における炭素数1~6のアルコキシ基は、炭素数1~3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。「アリール基」において、炭素数1~6のアルコキシ基に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~3個が好ましい。
「アリール基」における炭素数1~6のアルキル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよい。「アリール基」における炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、「アリール基」における炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。「アリール基」において、炭素数1~6のアルキル基に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~3個が好ましい。
式(I)中、R11及びR12が一体となって表される「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」は、式(I)中の窒素原子を入れた環員数が3以上8以下である、環状構造を形成するアルキレン基である。これらの中でも、「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」は、式(I)中の窒素原子を入れた環員数が5~6の環状構造を形成するアルキレン基が好ましい。
「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。
「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子がより好ましく、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、フッ素原子が特に好ましい。「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」において、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、環員数に応じて適宜選択される。式(I)中の窒素原子を入れた環員数が5である場合、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~8個が好ましい。
「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」における炭素数1~10のアルキル基は、炭素数1以上10以下である、直鎖、又は分岐鎖のアルキル基である。「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」における炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、3,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」における炭素数1~10のアルキル基は、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。「窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基」において、炭素数1~10のアルキル基に置換される水素原子の数は、環員数に応じて適宜選択される。式(I)中の窒素原子を入れた環員数が5である場合、炭素数1~10のアルキル基に置換される水素原子の数は、特に限定されず、1個~3個が好ましい。
波線は、シス体であることが好ましい。
式(I)中、R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表すことが好ましい。
これにより、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加をより抑制することができる。
アンモニウムスルホネート化合物(I)の具体例としては、下記式(I-1)~(I-6)で表される化合物が挙げられる。
以下、式(I-1)で表される化合物(I-1)を「(Z)-3-(ジメチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)」という場合がある。式(I-2)で表される化合物(I-2)を「(Z)-3-(ジエチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-2)」という場合がある。式(I-3)で表される化合物(I-3)を「(Z)-3-(ジプロピル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-3)」という場合がある。式(I-4)で表される化合物(I-4)を「(Z)-3-(1λ-ピペリジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-4)」という場合がある。式(I-5)で表される化合物(I-5)を「(Z)-3-(ピロリジン-1-イウム-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-5)」という場合がある。式(I-6)で表される化合物(I-6)を「(Z)-3-(ジベンジルアンモニオ) プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-6)」という場合がある。
Figure 2023094173000007
アンモニウムスルホネート化合物(I)は、下記式(I-1)で表される化合物(I-1)又は下記式(I-2)で表される化合物(I-2)であることが好ましい。これにより、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加をより一層抑制することができる。
Figure 2023094173000008
〔非水電解液〕
本開示の非水電解液について説明する。
本開示の非水電解液は、リチウム二次電池の電解液として好適に用いられる。
本開示の非水電解液は、本開示の添加剤を含む。
本開示の非水電解液は、本開示の添加剤を含むので、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加を抑制することができる。
なお、実際にリチウム二次電池を解体して採取した非水電解液を分析した際、アンモニウムスルホネート化合物(I)の量が、非水電解液への添加量と比較して減少している場合がある。この場合であっても、リチウム二次電池から取り出した非水電解液中に少量でもアンモニウムスルホネート化合物(I)が検出されれば、そのリチウム二次電池の電解液は、本開示の非水電解液の範囲に含まれる。
アンモニウムスルホネート化合物(I)の含有量は、特に限定されず、非水電解液の全量に対し、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、SEI膜がリチウムカチオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。SEI膜はアンモニウムスルホネート化合物(I)由来の構造を十分量含む。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は、形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜の耐久性を損なうSEI膜の成分の溶出、及びSEI膜の変質などは起こりにくくなる。その結果、SEI膜の耐久性及びリチウム二次電池の高温保存後特性は向上する。
アンモニウムスルホネート化合物(I)の含有量の上限は、非水電解液の全量に対し、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
アンモニウムスルホネート化合物(I)の含有量の下限は、非水電解液の全量に対し、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上、特に好ましくは0.20質量%以上、一層好ましくは0.40質量%以上である。
<化合物(A)>
非水電解液は、化合物(II)(以下、「フルオロリン酸リチウム化合物(II)」という。)と、化合物(III)(以下、「環状ジカルボニル化合物(III)」という。)と、化合物(IV)(以下、「環状スルホン酸エステル化合物(IV)」という。)とからなる群より選択される少なくとも1種(以下、「化合物(A)」という。)を更に含むことが好ましい。
フルオロリン酸リチウム化合物(II)は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方である。環状ジカルボニル化合物(III)は、下記式(III)で表される。環状スルホン酸エステル化合物(IV)は、下記式(IV)で表される。フルオロリン酸リチウム化合物(II)、環状ジカルボニル化合物(III)及び環状スルホン酸エステル化合物(IV)の詳細については、後述する。
Figure 2023094173000009
非水電解液は、アンモニウムスルホネート化合物(I)に加えて、化合物(A)を更に含むことで、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加をより抑制することができる。
非水電解液が化合物(A)を含む場合、化合物(A)の含有量は、リチウム二次電池の高温保存後特性を向上させる観点から、下記の範囲であることが好ましい。
化合物(A)の含有量の上限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。
化合物(A)の含有量の下限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上、さらに好ましくは0.30質量%以上である。
以下、フルオロリン酸リチウム化合物(II)、環状ジカルボニル化合物(III)及び環状スルホン酸エステル化合物(IV)の各々について説明する。
(フルオロリン酸リチウム化合物(II))
非水電解液は、フルオロリン酸リチウム化合物(II)を含むことが好ましい。フルオロリン酸リチウム化合物(II)は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方である。ジフルオロリン酸リチウムは、下記式(II-1)で表され、モノフルオロリン酸リチウムは、下記式(II-2)で表される。
以下、式(II-1)で表される化合物を「フルオロリン酸リチウム化合物(II-1)」という場合がある。式(II-2)で表される化合物を「フルオロリン酸リチウム化合物(II-2)」という場合がある。
Figure 2023094173000010
非水電解液は、アンモニウムスルホネート化合物(I)に加えて、フルオロリン酸リチウム化合物(II)を含むことで、高温環境下で保存された後の充放電サイクルにおいても、リチウム二次電池の容量の低下及び直流抵抗の増加は、より抑制される。
非水電解液は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの一方のみを含んでもよいし、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムを含んでもよい。
非水電解液がフルオロリン酸リチウム化合物(II)を含む場合、フルオロリン酸リチウム化合物(II)の含有量は、下記の範囲であることが好ましい。
フルオロリン酸リチウム化合物(II)の含有量の上限は、非水電解液の全量に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。フルオロリン酸リチウム化合物(II)の含有量の上限が上記範囲内であれば、フルオロリン酸リチウム化合物(II)の非水溶媒への溶解性を確保することができる。
フルオロリン酸リチウム化合物(II)の含有量の下限は、非水電解液の全量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。フルオロリン酸リチウム化合物(II)の含有量の下限が上記範囲内であれば、リチウム二次電池の直流抵抗をさらに下げることができる。
(環状ジカルボニル化合物(III))
本開示の非水電解液は、下記式(III)で表される環状ジカルボニル化合物(III)を含むことが好ましい。
Figure 2023094173000011
式(III)中、
Mは、アルカリ金属であり、
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
bは、1~3の整数であり、
mは、1~4の整数であり、
nは、0~8の整数であり、
qは、0又は1であり、
31は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR31はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
32は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR32はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
、及びQは、それぞれ独立に、酸素原子、又は炭素原子である。
本開示の非水電解液がアンモニウムスルホネート化合物(I)に加えて環状ジカルボニル化合物(III)を含むことで、高温環境下で保存された後の充放電サイクルにおいても、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加をより抑制することができる。
この効果は、以下の理由によると推測される。
非水電解液は、アンモニウムスルホネート化合物(I)に加えて、環状ジカルボニル化合物(III)を含むことにより、SEI膜等は、その内部に、上述した反応生成物等に加えて、環状ジカルボニル化合物(III)由来の結合を含み得る。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は、形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜等の耐久性を損なうSEI膜等の成分の溶出、及びSEI膜等の変質などは、起こりにくい。その結果、高温環境下で長期に保存された後の充放電サイクルにおいても、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加は、より抑制される。
Mは、アルカリ金属である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。中でも、Mは、リチウムであることが好ましい。
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素である。Yとしては、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、B又はPであることがより好ましい。YがAl、B又はPの場合、アニオン化合物の合成が比較的容易になり、製造コストを抑えることができる。
bは、アニオンの価数及びカチオンの個数を表す。bは、1~3の整数であり、1であることが好ましい。bが3以下であれば、アニオン化合物の塩が混合有機溶媒に溶解しやすい。
m及びnの各々は、配位子の数に関係する値である。m及びnの各々は、Mの種類によって決まる。mは、1~4の整数である。nは、0~8の整数である。
qは、0又は1である。qが0の場合、キレートリングが五員環となり、qが1の場合、キレートリングが六員環となる。
31は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基を表す。これらのアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基又はハロゲン化アリーレン基は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、R31は、これらの基の水素原子の代わりに、置換基を含んでもよい。置換基としては、ハロゲン原子、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、又は水酸基が挙げられる。これらの基の炭素元素の代わりに、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が導入された構造であってもよい。qが1でmが2~4である場合、m個のR31はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
32は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基を表す。これらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はハロゲン化アリール基は、R31と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8のときにはn個のR32は、それぞれ結合して環を形成してもよい。R32としては、電子吸引性の基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
、及びQは、それぞれ独立に、O、又はCを表す。つまり、配位子はこれらヘテロ原子を介してYに結合することになる。
環状ジカルボニル化合物(III)の具体例としては、下記式(III-1)~(III-2)で表される化合物が挙げられる。
以下、以下、式(III-1)で表される化合物を「環状ジカルボニル化合物(III-1)」という場合がある。
Figure 2023094173000012
非水電解液が環状ジカルボニル化合物(III)を含む場合、環状ジカルボニル化合物(III)の含有量は下記の範囲であることが好ましい。
環状ジカルボニル化合物(III)の含有量の上限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。環状ジカルボニル化合物(III)の含有量の上限が上記範囲内であれば、SEI膜等がリチウムカチオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。さらにSEI膜等が環状ジカルボニル構造を含むことに伴い、リチウム二次電池の電池特性は、向上する。
環状ジカルボニル化合物(III)の含有量の下限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上である。環状ジカルボニル化合物(III)の含有量の下限が上記範囲内であれば、SEI膜等は、環状ジカルボニル構造を主体とする構造を十分量含む。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜等の耐久性を損なうSEI膜等の成分の溶出、及びSEI膜等の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜等の耐久性、及びリチウム二次電池の高温保存後特性は、向上する。
(環状スルホン酸エステル化合物(IV))
本開示の非水電解液は、下記式(IV)で表される環状スルホン酸エステル化合物(IV)を含むことが好ましい。
Figure 2023094173000013
式(IV)中、
41は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
42は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(iv-1)で表される基、又は式(iv-2)で表される基であり、
*は、結合位置を示し、
式(iv-1)中、R43は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
式(iv-2)中、R44は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。
本開示の非水電解液がアンモニウムスルホネート化合物(I)に加えて環状スルホン酸エステル化合物(IV)を含むことで、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加をより抑制することができる。
この効果は、以下の理由によると推測される。
本開示の非水電解液を用いてリチウム二次電池を製造する場合、その製造過程(例えば、後述するエージング工程)において、反応生成物は、環状スルホン酸エステル化合物(IV)と、電解質から生じた化合物(例えば、LiF)との反応による生成物を含む。これにより、高温環境下でのリチウム二次電池の安定性がより高められる。その結果、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加は、より抑制されると考えられる。更に、非水電解液の分解反応の進行はより抑制される。その結果、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、リチウム二次電池の放電容量はより低下しにくくなると考えられる。
式(IV)中、R41は、炭素数2~3のアルキレン基、ビニレン基、又は酸素原子であることが好ましく、トリメチレン基、ビニレン基、又は酸素原子であることがより好ましく、酸素原子であることが特に好ましい。
環状スルホン酸エステル化合物(IV)では、R41が、酸素原子であることが好ましい。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩構造が形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜等の耐久性を損なうSEI膜等の成分の溶出、及びSEI膜等の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜等の耐久性、及びリチウム二次電池の電池特性は向上する。
式(IV)中、R42は、式(iv-1)で表される基又は式(iv-2)で表される基であることが好ましい。
式(iv-1)中、R43は、炭素数1~3のアルキレン基、炭素数1~3のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であることが好ましく、オキシメチレン基であることがより好ましい。
式(iv-2)中、R44は、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数2~3のアルケニル基であることが好ましく、プロピル基であることがより好ましい。
環状スルホン酸エステル化合物(IV)の具体例としては、式(IV-1)~(IV-8)で表される化合物が挙げられる。
以下、式(IV-1)で表される化合物を「環状スルホン酸エステル化合物(IV-1)」という場合がある。
Figure 2023094173000014
非水電解液は、環状スルホン酸エステル化合物(IV)を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
非水電解液が環状スルホン酸エステル化合物(IV)を含む場合、環状スルホン酸エステル化合物(IV)の含有量は下記の範囲であることが好ましい。
環状スルホン酸エステル化合物(IV)の含有量の上限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。環状スルホン酸エステル化合物(IV)の含有量の上限が上記範囲内であれば、SEI膜等がリチウムイオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。さらに、SEI膜等が環状含硫黄エステル構造を含むことに伴い、リチウム二次電池の電池特性は向上する。
環状スルホン酸エステル化合物(IV)の含有量の下限は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上である。環状スルホン酸エステル化合物(IV)の含有量の下限が上記範囲内であれば、SEI膜等は、十分量の環状含硫黄エステル構造を含む。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜等の耐久性を損なうSEI膜等の成分の溶出、及びSEI膜等の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜等の耐久性、及びリチウム二次電池の電池特性は向上する。
<その他の添加剤>
本開示の非水電解液は、その他の添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
その他の添加剤としては、例えば、特開2019-153443号公報の段落0042~0055に記載の添加剤を用いることができる。
<非水溶媒>
非水電解液は、一般的に、非水溶媒を含む。非水溶媒としては種々公知のものを適宜選択することができる。非水溶媒は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、例えば、環状カーボネート類、含フッ素環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、含フッ素鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、含フッ素脂肪族カルボン酸エステル類、γ-ラクトン類、含フッ素γ-ラクトン類、環状エーテル類、含フッ素環状エーテル類、鎖状エーテル類、含フッ素鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類、ラクタム類、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド燐酸、などが挙げられる。
環状カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、などが挙げられる。
含フッ素環状カーボネート類としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、などが挙げられる。
鎖状カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酪酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、トリメチル酪酸エチル、などが挙げられる。
γ-ラクトン類としては、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、などが挙げられる。
環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、などが挙げられる。
鎖状エーテル類としては、例えば、1,2-エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、などが挙げられる。
ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
ラクタム類としては、例えば、N-メチルピロリジノン、N-メチルオキサゾリジノン、N,N'-ジメチルイミダゾリジノン、などが挙げられる。
非水溶媒は、環状カーボネート類、含フッ素環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、及び含フッ素鎖状カーボネート類からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
この場合、環状カーボネート類、含フッ素環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、及び含フッ素鎖状カーボネート類の合計の割合は、非水溶媒の全量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
非水溶媒は、環状カーボネート類及び鎖状カーボネート類からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
この場合、非水溶媒中に占める、環状カーボネート類及び鎖状カーボネート類の合計の割合は、非水溶媒の全量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
非水溶媒の含有量の上限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。非水溶媒の含有量の下限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
非水溶媒の固有粘度は、電解質の解離性及びイオンの移動度をより向上させる観点から、25℃において10.0mPa・s以下であることが好ましい。
<電解質>
非水電解液は、一般的に、電解質を含む。
電解質は、フッ素を含むリチウム塩(以下、「含フッ素リチウム塩」という場合がある。)、及びフッ素を含まないリチウム塩の少なくとも1種を含むことが好ましい。
含フッ素リチウム塩としては、例えば、無機酸陰イオン塩、有機酸陰イオン塩などが挙げられる。
無機酸陰イオン塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、六フッ化タンタル酸リチウム(LiTaF)、などが挙げられる。
有機酸陰イオン塩としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Li(FSON)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CFSON)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(Li(CSON)などが挙げられる。
中でも、含フッ素リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)が特に好ましい。
フッ素を含まないリチウム塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl)、リチウムデカクロロデカホウ素酸(Li10Cl10)などが挙げられる。
電解質が含フッ素リチウム塩を含む場合、含フッ素リチウム塩の含有割合は、電解質の全量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
含フッ素リチウム塩が六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含む場合、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)の含有割合は、電解質の全量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
非水電解液が電解質を含む場合、非水電解液における電解質の濃度は、好ましくは0.1mol/L以上3mol/L以下、より好ましくは0.5mol/L以上2mol/L以下である。
非水電解液が六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含む場合、非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF)の濃度は、好ましくは0.1mol/L以上3mol/L以下、より好ましくは0.5mol/L以上2mol/L以下である。
<その他の成分>
非水電解液は、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、酸無水物などが挙げられる。
〔リチウム二次電池前駆体〕
次に、本開示のリチウム二次電池前駆体について、説明する。
本開示のリチウム二次電池前駆体は、ケースと、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、を備える。正極、負極、セパレータ、及び電解液は、ケースの収容されている。正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極である。負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極である。電解液は、本開示の非水電解液である。
リチウム二次電池前駆体は、充電及び放電が施される前のリチウム二次電池を示す。つまり、リチウム二次電池前駆体において、負極は負極SEI膜を含まず、正極は正極SEI膜を含まない。
<ケース>
ケースの形状などは、特に限定はなく、本開示のリチウム二次電池前駆体の用途などに応じて、適宜選択される。ケースとしては、ラミネートフィルムを含むケース、電池缶と電池缶蓋とからなるケース、などが挙げられる。
<正極>
正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極である。正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を少なくとも1種含むことが好ましい。
正極は、正極集電体と、正極合材層とを備える。正極合材層は、正極集電体の表面の少なくとも一部に設けられる。
正極集電体の材質としては、例えば、金属又は合金が挙げられる。詳しくは、正極集電体の材質として、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼材(SUS)、銅などが挙げられる。中でも、導電性の高さとコストとのバランスの観点から、アルミニウムが好ましい。ここで、「アルミニウム」は、純アルミニウム又はアルミニウム合金を意味する。正極集電体として、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔の材質は、特に限定されず、A1085材、A3003材、などが挙げられる。
正極合材層は、正極活物質及びバインダーを含む。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な物質であれば特に限定されず、リチウム二次電池前駆体の用途などに応じて、適宜調整され得る。
正極活物質としては、例えば、第1酸化物、第2酸化物などが挙げられる。第1酸化物は、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする。第2酸化物は、Liと、Niと、Li及びNi以外の金属元素の少なくとも1種と、を構成金属元素として含む。Li及びNi以外の金属元素としては、例えば、遷移金属元素、典型金属元素などが挙げられる。第2酸化物は、Li及びNi以外の金属元素として、好ましくは、原子数換算で、Niと同程度、又は、Niよりも少ない割合で含むことが好ましい。Li及びNi以外の金属元素は、例えば、Co、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ca、Na、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La及びCeからなる群からなる群から選択される少なくとも1種であり得る。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極活物質は、下記式(P1)で表されるリチウム含有複合酸化物(以下、「NCM」という場合がある。)を含むことが好ましい。リチウム含有複合酸化物(P1)は、単位体積当たりのエネルギー密度が高く、熱安定性にも優れるという利点を有する。
LiNiCoMn … 式(P1)
式(P1)中、a、b及びcは、それぞれ独立に、0超1未満であり、a、b及びcの合計は、0.99以上1.00以下である。
NCMの具体例としては、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1などが挙げられる。
正極活物質は、下記式(P2)で表されるリチウム含有複合酸化物(以下、「NCA」という場合がある。)を含んでもよい。
LiNi1-x-yCoAl … 式(P2)
式(P2)中、tは、0.95以上1.15以下であり、xは、0以上0.3以下であり、yは、0.1以上0.2以下であり、x及びyの合計は、0.5未満である。)
NCAの具体例としては、LiNi0.8Co0.15Al0.05などが挙げられる。
本開示のリチウム二次電池前駆体における正極が、正極集電体と、正極活物質及びバインダーを含む正極合材層と、を備える場合、正極合材層中の正極活物質の含有量は、正極合材層の全量に対し、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。正極合材層中の正極活物質の含有量は、正極合材層の全量に対して、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子などが挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン-ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子などが挙げられる。これらの中でも、正極合材層の耐酸化性を向上させる観点から、フッ素樹脂が好ましい。バインダーは1種を単独で使用でき、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
正極合材層中におけるバインダーの含有量は、正極合材層の物性(例えば、電解液浸透性、剥離強度、など)と電池性能との両立の観点から、正極合材層の全量に対し、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下である。バインダーの含有量が0.1質量%以上であると、正極集電体に対する正極合材層の接着性、及び、正極活物質同士の結着性がより向上する。バインダーの含有量が4質量%以下であると、正極合材層中における正極活物質の量をより多くすることができるので、放電容量がより向上する。
正極合材層は、導電助剤を含むことが好ましい。
導電助剤の材質としては、公知の導電助剤を用いることができる。公知の導電助剤としては、導電性を有する炭素材料が好ましい。導電性を有する炭素材料としては、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維、フラーレンなどが挙げられる。これらは、単独で、もしくは2種類以上を併せて使用することができる。導電性炭素繊維としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバーなどが挙げられる。グラファイトとしては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛などが挙げられる。天然黒鉛としては、例えば、燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などが挙げられる。
導電助剤の材質は、市販品であってもよい。カーボンブラックの市販品としては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500など(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスLなど(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRAなど、Conductex SC ULTRA、Conductex 975ULTRAなど、PUER BLACK100、115、205など(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400Bなど(三菱ケミカル社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000、LITX-50、LITX-200など(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、Super-P(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC-300J、EC-600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35(デンカ社製、アセチレンブラック)などが挙げられる。
正極合材層は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、増粘剤、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、消泡剤などが挙げられる。
<負極>
負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極である。負極は、好ましくは、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を少なくとも1種含む。
負極は、より好ましくは、負極集電体と、負極合材層と、を備える。負極合材層は、負極集電体の表面の少なくとも一部に設けられる。
負極集電体の材質としては、特に制限はなく公知の物を任意に用いることができ、例えば、金属又は合金が挙げられる。詳しくは、負極集電体の材質として、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼材(SUS)、ニッケルメッキ鋼材、銅などが挙げられる。中でも、負極集電体の材質として、加工性の観点から、銅が好ましい。負極集電体として、銅箔が好ましい。
負極合材層は、負極活物質及びバインダーを含む。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な物質であれば特に制限はない。負極活物質は、例えば、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、負極活物質は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープすることが可能な炭素材料(以下、「炭素材料」という。)が好ましい。
炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料、非晶質炭素材料、などが挙げられる。これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。炭素材料の形態は、特に限定されず、例えば、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状などが挙げられる。炭素材料の粒径は、特に限定されず、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは20μm以上30μm以下である。
非晶質炭素材料として、例えば、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが挙げられる。
黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが挙げられる。黒鉛材料は、ホウ素を含んでもよい。黒鉛材料は、金属又は非晶質炭素で被覆されていてもよい。黒鉛材料を被覆する金属の材質としては、金、白金、銀、銅、スズなどが挙げられる。黒鉛材料は、非晶質炭素と黒鉛との混合物であってもよい。
負極合材層は、導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤としては、正極合材層に含まれ得る導電助剤として例示した導電助剤と同様の導電助剤が挙げられる。
負極合材層は、上記各成分に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、増粘剤、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、消泡剤などが挙げられる。
<セパレータ>
セパレータとしては、例えば、多孔質の樹脂平板が挙げられる。多孔質の樹脂平板の材質としては、樹脂、この樹脂を含む不織布などが挙げられる。樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミドなどが挙げられる。
なかでも、セパレータは、単層又は多層構造の多孔性樹脂シートであることが好ましい。多孔性樹脂シートの材質は、一種又は二種以上のポリオレフィン樹脂を主体とする。セパレータの厚みは、好ましくは5μm以上30μm以下である。セパレータは、好ましくは、正極と負極との間に配置される。
〔リチウム二次電池前駆体の一例〕
図1を参照して、本開示の実施形態に係るリチウム二次電池前駆体1の一例について具体的に説明する。図1は、本開示の実施形態に係るリチウム二次電池前駆体1の断面図である。
リチウム二次電池前駆体1は、積層型である。図1に示すように、リチウム二次電池前駆体1では、電池素子10は、外装体30の内部に封入されている。外装体30は、ラミネートフィルムで形成されている。電池素子10には、正極リード21及び負極リード22の各々が取り付けられている。正極リード21及び負極リード22の各々は、外装体30の内部から外部に向かって、反対方向に導出されている。
電池素子10は、図1に示すように、正極11と、セパレータ13と、負極12と、が積層されてなる。正極11は、正極集電体11Aの両方の主面上に正極合材層11Bが形成されてなる。負極12は、負極集電体12Aの両方の主面上に負極合材層12Bが形成されてなる。正極11の正極集電体11Aの片方の主面上に形成された正極合材層11Bと、正極11に隣接する負極12の負極集電体12Aの片方の主面上に形成された負極合材層12Bとは、セパレータ13を介して向き合っている。
リチウム二次電池前駆体1の外装体30の内部には、本開示の非水電解液が注入されている。本開示の非水電解液は、正極合材層11B、セパレータ13、及び負極合材層12Bに浸透している。リチウム二次電池前駆体1では、隣接する正極合材層11B、セパレータ13及び負極合材層12Bによって、1つの単電池層14が形成されている。なお、正極及び負極は、各集電体の片面上に各活物質層が形成されているものであってもよい。
なお、本実施形態では、リチウム二次電池前駆体1は、積層型であるが、本開示はこれに限定されず、例えば、捲回型であってもよい。捲回型は、正極、セパレータ、負極、及びセパレータをこの順の配置で重ねて層状に巻いてなる。捲回型は、円筒型、又は角形を含む。
本実施形態では、図1に示すように、正極リード及び負極リードの各々が外装体30の内部から外部に向けて突出する方向は、外装体30に対して反対方向であるが、本開示はこれに限定されない。例えば、正極リード及び負極リードの各々が外装体30の内部から外部に向けて突出する方法は、外装体30に対して同一方向であってもよい。
以下で説明する本開示の実施形態に係るリチウム二次電池の一例としては、リチウム二次電池前駆体1における正極合材層11B及び負極合材層12Bの各々の表面に、リチウム二次電池前駆体1に対する充電及び放電によってSEI膜が形成されている態様のリチウム二次電池が挙げられる。
本開示のリチウム二次電池前駆体の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図2は、本開示のリチウム二次電池前駆体の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図2に示すコイン型電池では、円盤状負極42、非水電解液を注入したセパレータ45、円盤状正極41、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板47、48が、この順序に積層された状態で、正極缶43(以下、「電池缶」ともいう)と封口板44(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶43と封口板44とはガスケット46を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ45に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
〔リチウム二次電池〕
次に、本開示のリチウム二次電池について説明する。
本開示のリチウム二次電池は、ケースと、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを備える。正極、負極、セパレータ、及び電解液は、ケースに収容されている。正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極である。負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極である。電解液は、本開示の非水電解液である。負極は、負極SEI膜を含む。正極は、正極SEIを含む。
本開示のリチウム二次電池は、主として、負極が負極SEI膜を含む第1点、及び正極が正極SEI膜を含む第2点で、本開示のリチウム二次電池前駆体と異なる。つまり、本開示のリチウム二次電池は、第1点及び第2点の他は、本開示のリチウム二次電池前駆体と同様である。そのため、以下、本開示のリチウム二次電池について、第1点及び第2点以外の構成部材の説明は省略する。
第1点について、「負極は、負極SEI膜を含む」とは、負極が負極集電体及び負極合材層を備える場合、第1負極形態及び第2負極形態を含む。第1負極形態は、負極合材層の表面の少なくとも一部に負極SEI膜が形成された形態を示す。第2負極形態は、負極合材層の構成材料である負極活物質の表面に負極SEI膜が形成される形態を示す。
第2点について、「正極は、正極SEI膜を含む」とは、正極が正極集電体及び正極合材層を備える場合、第1正極形態及び第2正極形態を含む。第1正極形態は、正極合材層の表面の少なくとも一部に正極SEI膜が形成された形態を示す。第2正極形態は、正極合材層の構成材料である正極活物質の表面に正極SEI膜が形成される形態を示す。
SEI膜は、例えば、アンモニウムスルホネート化合物(I)の分解物、アンモニウムスルホネート化合物(I)と電解質との反応物、及び当該反応物の分解物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
負極SEI膜の成分と正極SEI膜の成分とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。負極SEI膜の膜厚と正極SEI膜の膜厚とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本開示のリチウム二次電池は、本開示のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られる。換言すると、本開示のリチウム二次電池は、後述するエージング工程が施されることによって得られる。
〔アンモニウムスルホネート化合物〕
本開示のアンモニウムスルホネート化合物は、下記式(I)で表される。
Figure 2023094173000015
式(I)中、
11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
波線は、トランス体又はシス体であることを表す。
但し、R11及びR12の各々がメチル基である場合を除く。
本開示のアンモニウムスルホネート化合物は、上記構成を有するため、非水電解液に添加されて使用される場合、高温環境下でリチウム二次電池が長期保存されても、直流抵抗の増加、及び放電容量の低下を抑制することができる。
本開示のアンモニウムスルホネート化合物としては、上記式(I-1)で表される化合物(I-1)が除かれている他は、アンモニウムスルホネート化合物(I)として例示したものと同様のものが挙げられる。
式(I)中、前記R11及びR12は、
それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表すことが好ましい。
これにより、本開示のアンモニウムスルホネート化合物が非水電解液に添加されて使用されると、高温環境下でリチウム二次電池が長期保存されても、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加はより抑制され得る。
本開示のアンモニウムスルホネート化合物は、下記式(I-2)で表される化合物(I-2)と、下記式(I-3)で表される化合物(I-3)と、下記式(I-4)で表される化合物(I-4)と、下記式(I-5)で表される化合物(I-5)と、下記式(I-6)で表される化合物(I-6)とからなる群より選択される1種であることが好ましい。
Figure 2023094173000016
本開示のアンモニウムスルホネート化合物が、化合物(I-2)、化合物(I-3)、化合物(I-4)、化合物(I-5)、及び化合物(I-6)からなる群より選択される1種であれば、本開示のアンモニウムスルホネート化合物が非水電解液に添加されて使用される場合、リチウム二次電池が高温環境下で長期に保存されても、放電容量の低下及び直流抵抗の増加をより抑制することができる。
〔アンモニウムスルホネート化合物の製造方法〕
次に、本開示のアンモニウムスルホネート化合物(I)の製造方法について説明する。
アンモニウムスルホネート化合物(I)の製造方法は、特に限定されず、例えば、下記式(IV-4)で表される5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシドと、特定のアミン化合物とを有機溶媒中で反応させ、洗浄する工程を含む。これにより、アンモニウムスルホネート化合物(I)が得られる。
Figure 2023094173000017
特定のアミン化合物は、第二級アミン及び環式アミンの一方であり、生成物であるアンモニウムスルホネート化合物(I)の種類に応じて適宜選択される。
第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-i-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-i-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジアリルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチル-n-プロピルアミン、メチル-i-プロピルアミン、メチル-n-ブチルアミン、メチル-i-ブチルアミン、メチル-sec-ブチルアミン、メチル-tert-ブチルアミン、エチル-n-プロピルアミン、エチル-i-プロピルアミン、エチル-n-ブチルアミン、エチル-i-ブチルアミン、エチル-sec-ブチルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、n-プロピル-i-プロピルアミン、n-プロピル-n-ブチルアミン、n-プロピル-i-ブチルアミン、n-プロピル-sec-ブチルアミン、n-プロピル-tert-ブチルアミン、i-プロピル-n-ブチルアミン、i-プロピル-i-ブチルアミン、i-プロピル-sec-ブチルアミン、i-プロピル-tert-ブチルアミン、n-ブチル-i-ブチルアミン、n-ブチル-sec-ブチルアミン、n-ブチル-tert-ブチルアミン、i-ブチル-sec-ブチルアミン、i-ブチル-tert-ブチルアミン、sec-ブチル-tert-ブチルアミン等が挙げられる。
環式アミンとしては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピロール、モルホリン等が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン(例えば、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン等)、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン(別名:キュメン)、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、メシチレン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシドと、特定のアミン化合物との反応は、常圧下、減圧下のいずれでも行える。
反応温度は、好ましくは-20℃以上60℃以下、より好ましくは0℃以上40℃以下、さらに好ましくは10℃以上30℃以下である。
反応時間は、反応を効率よく進行させる観点から、好ましくは3時間以上30時間以内、より好ましくは10時間以上20時間以内である。
〔非水電解液の製造方法〕
次に、本開示の非水電解液の製造方法について説明する。
本開示の非水電解液の製造方法は、合成工程と、溶解工程と、混合工程とを含む。溶解工程、及び混合工程は、この順で実行される。合成工程は、混合工程の前に実行されればよい。
合成工程では、アンモニウムスルホネート化合物(I)を合成する。
合成工程は、上述したアンモニウムスルホネート化合物(I)の製造方法と同様にして実行され得る。
溶解工程では、非水溶媒に電解質を溶解させて溶液を得る。アンモニウムスルホネート化合物(I)を添加する前の溶液の電気伝導度に対し、得られる非水電解液の電気伝導度は低減されていることが好ましい。
混合工程では、アンモニウムスルホネート化合物(I)と、必要に応じてその他の添加剤とを、溶液に添加して、混合する。これにより、非水電解液が得られる。本実施形態に係る非水電解液の製造方法で得られる非水電解液は、リチウム二次電池において、直流抵抗を低減させる効果がより効果的に発揮される。
なお、本開示の非水電解液の製造方法は、合成工程と、溶解工程と、混合工程とを含むが、本開示はこれに限定されない。
〔リチウム二次電池前駆体の製造方法〕
次に、本開示のリチウム二次電池前駆体の製造方法について、説明する。
本開示のリチウム二次電池前駆体の製造方法は、第1準備工程と、第2準備工程と、第3準備工程と、収容工程と、注入工程とを含む。収容工程、及び注入工程は、この順で実行される。第1準備工程、第2準備工程、及び第3準備工程の各々は、収容工程の前に実行される。
第1準備工程では、正極を準備する。
正極を準備する方法としては、例えば、正極合材スラリーを正極集電体の表面に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。正極合材スラリーは、正極活物質及びバインダーを含む。
正極合材スラリーに含まれる溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などが挙げられる。
正極合材スラリーの塗布方法は、特に限定されず、例えば、スロットダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティングなどが挙げられる。正極合材スラリーの乾燥方法は、特に限定されず、温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;赤外線(例えば遠赤外線)照射による乾燥;などが挙げられる。乾燥時間は、特に限定されず、好ましくは1分以上30分以内である。乾燥温度は、特に限定されず、好ましくは40℃以上80℃以下である。
正極集電体上に正極合材スラリーを塗布し、乾燥させた乾燥物は、加圧処理が施されることが好ましい。これにより、正極活物質層の空隙率は低減する。加圧処理の方法としては、例えば、金型プレス、ロールプレスなどが挙げられる。
第2準備工程では、負極を準備する。
負極を準備する方法としては、例えば、負極合材スラリーを負極集電体の表面に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。負極合材スラリーは、負極活物質及びバインダーを含む。
負極合材スラリーに含まれる溶媒としては、例えば、水、水と相溶する液状媒体などが挙げられる。負極合材スラリーに含まれる溶媒が水と相溶する液状媒体を含むと、負極集電体への塗工性向上させることができる。水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類などが挙げられる。
負極合材スラリーの塗布方法、乾燥方法、及び加圧処理は、正極合材スラリーの塗布方法、乾燥方法、及び加圧処理として例示した方法と同様の方法が挙げられる。
第3準備工程では、非水電解液を準備する。非水電解液を準備する方法は、上述した非水電解液の製造方法で説明した方法と同様である。
収容工程では、ケースに、正極、負極、及びセパレータを収容する。
例えば、収容工程では、正極、負極、及びセパレータで電池素子を作成する。次いで、正極の正極集電体と正極リードとを電気的に接続するとともに、負極の負極集電体と負極リードとを電気的に接続する。次いで、電池素子をケース内に収容して、固定する。
正極集電体と正極リードとを電気的に接続する方法は、特に限定されず、例えば、超音波溶接、抵抗溶接などが挙げられる。負極集電体と負極リードとを電気的に接続する方法は、特に限定されず、例えば、超音波溶接や抵抗溶接などが挙げられる。
以下、ケースに、正極、負極、及びセパレータが収容された状態を「組立体」という。
注入工程では、本開示の非水電解液を組立体の内部に注入する。これにより、非水電解液を、正極合材層、セパレータ、及び負極合材層に浸透させる。その結果、リチウム二次電池前駆体が得られる。
〔リチウム二次電池の製造方法〕
次に、本開示のリチウム二次電池の製造方法について説明する。
本開示のリチウム二次電池の製造方法は、第4準備工程と、エージング工程とを含む。第4準備工程、及びエージング工程は、この順で実行される。
第4準備工程では、リチウム二次電池前駆体を準備する。リチウム二次電池前駆体を準備する方法は、リチウム二次電池前駆体の製造方法で説明した方法と同様である。
エージング工程では、リチウム二次電池前駆体に対してエージング処理を施す。これにより、負極SEI膜及び正極SEI膜が形成される。つまり、リチウム二次電池が得られる。
エージング処理は、リチウム二次電池前駆体に対し、25℃以上70℃以下の環境下で、充電及び放電を施すことを含む。詳しくは、エージング処理は、第1充電フェーズと、第1保持フェーズと、第2充電フェーズと、第2保持フェーズと、充放電フェーズとを含む。
第1充電フェーズでは、リチウム二次電池前駆体を、25℃以上70℃以下の環境下で充電する。第1保持フェーズでは、第1充電フェーズ後のリチウム二次電池前駆体を、25℃以上70℃以下の環境下で保持する。第2充電フェーズでは、第1保持フェーズ後のリチウム二次電池前駆体を、25℃以上70℃以下の環境下で充電する。第2保持フェーズでは、第2充電フェーズ後のリチウム二次電池前駆体を、25℃以上70℃以下の環境下で保持する。充放電フェーズでは、第2保持フェーズ後のリチウム二次電池前駆体に対し、25℃以上70℃以下の環境下で、充電及び放電の組み合わせを1回以上施す。
本開示のリチウム二次電池の製造方法で得られるリチウム二次電池は、高温環境下で保存されても、直流抵抗の増加及び放電容量の低下を抑制する効果がより効果的に発揮される。
以下、本開示に係る実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
〔アンモニウムスルホネート化合物(I)の合成〕
化合物(I-1)~化合物(I-6)、化合物(C-1)、及び化合物(C-2)を、以下のようにして合成した。
〔合成例1〕
下記式(I-1)で表される(Z)-3-(ジメチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000018
窒素置換した200mLの四つ口フラスコに、5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(5.0g、41.6mmol)、溶媒としてテトラヒドロフラン(100mL)を装入し、0℃に保ち、ジメチルアミン溶液(2M テトラヒドロフラン溶液、25mL、49.9mmol)を加え、ジメチルアミン溶液の添加完了後に昇温し、室温(25℃)にて撹拌反応させた。撹拌反応を開始した時点から16時間経過後、n-ヘキサン(50mL)を加え、2時間撹拌後、反応を止めて、反応液を得た。
得られた反応液を濾過した後、n-ヘキサン(50mL)で、濾物(すなわち、白色固体)を2回洗浄した。これにより、白色固体の(Z)-3-(ジメチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)(6.02g、36.4mmol、収率88%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ2.76(s,6H)、4.15(dd, J=7.0Hz, 1.4Hz, 2H)、5.68(dt, J=11.4Hz, 7.2Hz, 1H)、6.51(dt, J=11.2Hz, 1.4Hz, 1H)
以上のように、合成例1の結果により、下記の反応スキームで、(Z)-3-(ジメチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)が得られた。
Figure 2023094173000019
〔合成例2〕
下記式(I-2)で表される(Z)-3-(ジエチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-2)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000020
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(10.0g、83mmol)を用い、ジメチルアミン溶液をジエチルアミン(6.09g、83mmol)に代えたこと以外は、合成例1と同じ方法で合成した。
これにより、白色固体の(Z)-3-(ジエチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-2)(6.12g、31.7mmol、収率38.0%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ1.20(t,J=7.2Hz,6H)、3.11(q,J=7.2Hz,4H)、4.21(dd, J=7.0Hz, 1.4Hz, 2H)、5.69(dt, J=11.6Hz, 7.0Hz, 1H)、6.50(dt, J=11.4Hz, 1.4Hz, 1H)、9.15(br,1H)
〔合成例3〕
下記式(I-3)で表される(Z)-3-(ジプロピル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-3)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000021
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(3.0g、25mmol)を用い、ジメチルアミン溶液をジ-n-プロピルアミン(2.53g、25mmol)に代えたこと以外は、合成例1と同じ方法で合成した。
これにより、白色固体の(Z)-3-(ジプロピル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-3)(3.63g、16.4mmol、収率65.7%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ0.90(t,J=7.2Hz,6H)、1.58-1.72(m,4H)、2.98-3.05(m,4H)、4.22(dd,J=7.0Hz, 1.4Hz, 2H)、5.73(dt, J=11.4Hz, 7.0Hz, 1H)、6.52(dt, J=11.4Hz, 1.4Hz, 1H)、9.20(br,1H)
〔合成例4〕
下記式(I-4)で表される(Z)-3-(1λ-ピペリジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-4)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000022
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(2.0g、16.7mmol)を用い、ジメチルアミン溶液をピペリジン(1.70g、20mmol)に代えたこと以外は、合成例1と同じ方法で合成した。
これにより、白色固体の(Z)-3-(1λ-ピペリジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-4)(1.87g、9.11mmol、収率54.7%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ1.30-1.90(m,6H)、2.80-3.05(m,2H)、3.28-3.45(m,2H)、4.18(d,J=7.0Hz, 2H)、5.68(dt, J=11.4Hz, 7.0Hz, 1H)、6.50(dt, J=11.4Hz, 1.4Hz, 1H)、9.15(br,1H)
〔合成例5〕
下記式(I-5)で表される(Z)-3-(ピロリジン-1-イウム-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-5)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000023
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(2.0g、16.7mmol)を用い、ジメチルアミン溶液をピロリジン(1.42g、20mmol)に代えたこと以外は、合成例1と同じ方法で合成した。
これにより、白色固体の(Z)-3-(ピロリジン-1-イウム-1-イル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-5)(0.56g、2.9mmol、収率17.6%、純度96%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ1.87-1.97(m,4H)、3.20-3.33(m,4H)、4.22(dd,J=6.8Hz, 1.2Hz, 2H)、5.68(dt, J=11.6Hz, 7.0Hz, 1H)、6.48(dt, J=11.6Hz, 1.4Hz, 1H)
〔合成例6〕
下記式(I-6)で表される(Z)-3-(ジベンジルアンモニオ) プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-6)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000024
5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(2.0g、16.7mmol)を用い、ジメチルアミン溶液をジベンジルアミン(3.28g、16.7mmol)に代えたこと以外は、合成例1と同じ方法で合成した。
これにより、白色固体の(Z)-3-(ジベンジルアンモニオ) プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-6)(1.82g、5.7mmol、収率34%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ4.07-4.20(m,2H)、4.28(dd,J=13.4Hz, 5.2Hz, 2H)、4.38(dd, J=13.4Hz, 5.2Hz, 2H)、5.84(dt, J=11.6Hz, 6.4Hz, 1H)、6.53(d, J=11.6Hz, 1H)、7.42-7.46(m,10H)、10.20(br,1H)
〔合成例7〕
下記式(C-1)で表される3-(トリメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート (C-1)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000025
窒素置換した200mLの四つ口フラスコに、5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(5.91g、48.4mmol)、溶媒としてエタノール(100mL)を装入し、0℃に保ち、30%トリメチルアミン水溶液(9.53g、48.4mmol)を加え、トリメチルアミン水溶液の添加完了後に昇温し、80℃にて撹拌反応させた。撹拌反応を開始した時点から8時間経過後、室温に戻し、アセトン(50mL)を加え、1時間撹拌後、反応を止めて、反応液を得た。
得られた反応液を濾過した後、アセトン(50mL)で、濾物(すなわち、白色固体)を2回洗浄した。これにより、白色固体の3-(トリメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート (C-1)(7.65g、42.2mmol、収率87%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ1.95-2.03(m, 2H)、2.45(t, J=7.0Hz, 2H)、3.04(s, 9H)、3.37-3.44(m, 2H)
以上のように、合成例7の結果により、下記の反応スキームで、3-(トリメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート (C-1)が得られた。
Figure 2023094173000026
〔合成例8〕
下記式(C-2)で表される3-(トリエチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート (C-2)を、下記のようにして合成した。
Figure 2023094173000027
窒素置換した200mLの四つ口フラスコに、5H-1,2-オキサチオール 2,2-ジオキシド(2.0g、16.4mmol)、溶媒としてエタノール(50mL)を装入し、0℃に保ち、トリエチルアミン(1.66g、16.4mmol)を加え、トリエチルアミンの添加完了後に昇温し、80℃にて撹拌反応させた。撹拌反応を開始した時点から6時間経過後、室温に戻し、アセトン(50mL)を加え、1時間撹拌後、反応を止めて、反応液を得た。
得られた反応液を濾過した後、アセトン(50mL)で、濾物(すなわち、白色固体)を2回洗浄した。
これにより、白色固体の3-(トリエチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(C-2)(1.77g、7.93mmol、収率48%)を得た。
白色固体のH-NMR(DMSO-d6)による測定結果を以下に示す。
H-NMR:δ1.18(tt, J=7.2Hz, 1.8Hz,9H)、1.84-1.93(m, 2H)、2.48-2.52(m, 2H)、3.21(q, J=7.2Hz, 6H)、3.30-3.40(m, 2H)
〔実施例1〕
下記のようにして、非水電解液を得た。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(以下、「EC」という。)と、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」という。)と、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」という。)とを、EC:DMC:EMC=30:35:35(体積比)で混合した。これにより、非水溶媒として混合溶媒を得た。
電解質としてのLiPFを、得られた混合溶媒に対し、最終的に得られる非水電解液中の濃度が1モル/リットルとなるように溶解させ、電解液を得た。
以下、得られた電解液を「基本電解液」という。
添加剤として、合成例1で合成した下記式(I-1)で表される(Z)-3-(ジメチル-λ-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)を、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量が、表1に記載の含有量(質量%)となるように、基本電解液に添加した。これにより、非水電解液を得た。
Figure 2023094173000028
以下のようにして、リチウム二次電池前駆体としてのコイン型電池(以下、単に「電池」ともいう)を作製した。
<正極の作製>
正極活物質としてLi(Ni0.5Co0.2Mn0.3)(94質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(3質量%)、及び結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(3質量%)を添加した混合物を得た。得られた混合物を、N-メチルピロリドン溶媒中に分散させ、正極合材スラリーを得た。
正極集電体として厚さ20μmのアルミニウム箔を準備した。
得られた正極合材スラリーをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の正極を得た。正極は、正極集電体と、正極活物質層とからなる。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト(96質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(1質量%)、増粘剤として純水中で分散したカルボキシメチルセルロースナトリウムを固形分で1質量%、及び結着材として純水中で分散したスチレンーブタジエンゴムの(SBR)を固形分で2質量%を混合し、負極合材スラリーを得た。
負極集電体として厚さ10μmの銅箔を準備した。
得られたスラリーを銅箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の負極を得た。負極は、負極集電体と、負極活物質層とからなる。
上述した非水電解液の製造で得られた非水電解液を準備した。
セパレータとして、多孔性ポリエチレンフィルムを準備した。
<コイン型電池の作製>
負極を直径14mmで、正極を直径13mmで、セパレータを直径17mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いた。これにより、コイン状の負極、コイン状の正極、及びコイン状のセパレータをそれぞれ得た。
得られたコイン状の負極、コイン状のセパレータ、及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(サイズ:2032サイズ)内に積層した。次いで、この電池缶内に非水電解液20μLを注入し、セパレータと正極と負極とを非水電解液に含漬させた。
次に、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより、電池を密封した。
以上により、図2で示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池前駆体を得た。リチウム二次電池前駆体のサイズは、直径20mm、高さ3.2mmであった。
〔比較例1~比較例3、実施例2~実施例8〕
下記式で表される化合物(I-1)と、化合物(I-2)と、3-(トリメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(C-1)と、3-(トリエチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(C-2)と、フルオロリン酸リチウム化合物(II-1)と、環状ジカルボニル化合物(III-1)と、環状スルホン酸エステル化合物(IV-1)とを最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量が、表1に記載の含有量(質量%)となるように添加した他は、実施例1と同様にして、リチウム二次電池前駆体を得た。
Figure 2023094173000029
〔評価試験〕
得られたリチウム二次電池前駆体に、下記のエージング処理を施し、第1電池を得た。得られた第1電池に、下記の初期充放電処理を施し、第2電池を得た。得られた第2電池に、下記の第1直流抵抗評価用処理(25℃)を施し、第3電池を得た。得られた第3電池に、下記の第2直流抵抗評価用処理(-10℃)を施し、第4電池を得た。得られた第4電池に、下記の高温保存処理を施し、第5電池を得た。得られた第5電池に、下記の後期充放電処理を施し、第6電池を得た。得られた第6電池に、下記の第1直流抵抗評価用処理(25℃)を施し、第7電池を得た。得られた第7電池に、下記の第2直流抵抗評価用処理(-10℃)を施し、第8電池を得た。
得られた第1電池~第8電池を用いて、下記の測定方法により、高温保存後放電容量、高温保存後抵抗(25℃)、及び高温保存後抵抗(-10℃)の各々を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
<エージング処理>
リチウム二次電池前駆体に、25℃の温度環境において、下記のエージング処理を施し、第1電池を得た。
詳しくは、リチウム二次電池前駆体を、25℃~70℃の温度範囲下、終止電圧1.5V~3.5Vの範囲で充電した後、5時間~50時間の範囲で休止させた。次に、25℃~70℃の温度範囲下、終止電圧3.5V~4.2Vの範囲で電池前駆体を充電し、5~50時間の範囲で保持した。次に、25℃~70℃の温度範囲下で電池前駆体を4.2Vまで充電し、その後2.5Vまで放電させた。これにより、第1電池を得た。
<初期充放電処理>
第1電池に、25℃の温度環境において、下記の初期充放電処理を施し、第2電池を得た。
詳しくは、第1電池を、25℃の温度環境にて12時間保持した。次いで、第1電池を充電レート0.2Cにて4.2V(SOC(State Of Charge)100%)まで定電流定電圧充電(0.2C-CCCV)し、次いで30分間休止させ、次いで放電レート0.2Cにて2.5Vまで定電流放電(0.2C-CC)させた。これを3サイクル行って電池を安定させた。
その後、充電レート0.2Cにて4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C-CCCV)し、次いで30分間休止させ、次いで放電レート1Cにて2.5Vまで定電流放電(1C-CC)させた。これにより、第2電池を得た。
<第1直流抵抗評価用処理>
第2電池に、25℃の温度環境において、下記の第1直流抵抗評価用処理を施して、第3電池を得た。
詳しくは、第2電池を放電レート0.2Cにて2.5VまでCC放電させ、充電レート0.2Cにて3.7VまでCCCV充電した。「CCCV充電」とは、定電流定電圧(Constant Current Constant Voltage)で充電することを意味する。
次いで、第2電池に対し、放電レート0.2CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC10s充電を施した。「CC10s放電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。「CC10s充電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間充電することを意味する。
次いで、第2電池に対し、放電レート0.5CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC25s充電を施した。
次いで、第2電池に対し、放電レート1CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC50s充電を施した。
次いで、第2電池に対し、放電レート2CにてCC10s放電を行い、充電レート0.2CにてCC100s充電を施した。これにより、第3電池を得た。
<第2直流抵抗評価用処理>
第3電池に、-10℃の温度環境において、下記の第2直流抵抗評価用処理を施して、第4電池を得た。
詳しくは、第3電池を-10℃の温度環境下で3時間以上静置させた。
次いで、第3電池に対し、放電レート0.1CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC10s充電を施した。
次いで、第3電池に対し、放電レート0.2CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC20s充電を施した。
次いで、第3電池に対し、放電レート0.4CにてCC10s放電を行い、充電レート0.1CにてCC40s充電を施した。
次いで、第3電池に対し、放電レート0.6CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC60s充電を施した。これにより、第4電池を得た。
<高温保存処理>
第4電池に、下記の高温保存処理を施し、第5電池を得た。
詳しくは、第4電池を、25℃の温度環境にて、充電レート0.2Cにて4.2Vまで定電流充電した。次いで、充電状態の電池を60℃の雰囲気下で14日間静置した。これにより、第5電池を得た。
<後期充放電処理>
第5電池に、25℃の温度環境において、下記の後期充放電処理を施し、第6電池を得た。
詳しくは、第5電池を25℃の温度環境で放熱し、第1放電をした後、第1充電をし、第2放電をした。第1放電は、放電レート1Cにて2.5Vまで定電流放電(1C-CC)したことを示す。第1充電は、充電レート0.2Cにて4.2Vまで定電流定電圧充電(0.2C-CCCV)したことを示す。第2放電は、放電レート1Cにて2.5Vまで定電流放電(1C-CC)したことを示す。これにより、第6電池を得た。
<高温保存後の第1直流抵抗評価用処理>
第6電池に、25℃の温度環境において、下記の第1直流抵抗評価用処理を施して、第7電池を得た。
詳しくは、第6電池を放電レート0.2Cにて2.5VまでCC放電させ、充電レート0.2Cにて3.7VまでCCCV充電した。「CCCV充電」とは、定電流定電圧(Constant Current Constant Voltage)で充電することを意味する。
次いで、第6電池に対し、放電レート0.2CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC10s充電を施した。「CC10s放電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。「CC10s充電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間充電することを意味する。
次いで、第6電池に対し、放電レート0.5CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC25s充電を施した。
次いで、第6電池に対し、放電レート1CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC50s充電を施した。
次いで、第6電池に対し、放電レート2CにてCC10s放電を行い、充電レート0.2CにてCC100s充電を施した。これにより、第7電池を得た。
<高温保存後の第2直流抵抗評価用処理>
第7電池に、-10℃の温度環境において、下記の第2直流抵抗評価用処理を施して、第8電池を得た。
詳しくは、第7電池を-10℃の温度環境下で3時間以上静置させた。
次いで、第7電池に対し、放電レート0.1CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC10s充電を施した。
次いで、第7電池に対し、放電レート0.2CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC20s充電を施した。
次いで、第7電池に対し、放電レート0.4CにてCC10s放電を行い、充電レート0.1CにてCC40s充電を施した。
次いで、第7電池に対し、放電レート0.6CにてCC10s放電を施し、充電レート0.1CにてCC60s充電を施した。これにより、第8電池を得た。
[高温保存後放電容量の測定方法]
下記式(X1)に示すように、比較例1の第5電池の放電容量に対する、各実施例の第5電池の放電容量の相対値を、「高温保存後放電容量[%]」とした。高温保存後放電容量は、上述した後期充放電処理において、第2放電をした際に、得られた容量を示す。
高温保存後放電容量(25℃)[相対値;%]=(第5電池の放電容量[mAh/g]/比較例1の第5電池の放電容量[mAh/g])×100…(X1)
[高温保存後抵抗(25℃)の測定方法]
下記式(X2)に示すように、比較例1の第6電池の直流抵抗(DCIR:Direct current internal resistance)に対する第6電池の直流抵抗の相対値を、「高温保存後抵抗(25℃)[%]」とした。
高温保存後抵抗(25℃)[相対値;%]=(第6電池の直流抵抗[Ω]/比較例1の第6電池の直流抵抗[Ω])×100…(X2)
第6電池の直流抵抗は、下記方法により測定した。
放電レート0.2C~2Cの各々における「CC10s放電」による各電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、各電流値(即ち、放電レート0.2C~2Cに相当する各電流値)と、に基づき、第6電池の直流抵抗(Ω)を求めた。
[高温保存後抵抗(-10℃)の測定方法]
下記式(X3)に示すように、比較例1の第7電池の直流抵抗(DCIR)に対する第7電池の直流抵抗の相対値を、「高温保存後抵抗(-10℃)[%]」とした。
高温保存後抵抗(-10℃)[相対値;%]=(第7電池の直流抵抗[Ω]/比較例1の第7電池の直流抵抗[Ω])×100…(X3)
第7電池の直流抵抗は、下記方法により測定した。
放電レート0.1C~0.6Cの各々における「CC10s放電」による各電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、各電流値(即ち、放電レート0.1C~0.6Cに相当する各電流値)と、に基づき、第7電池の直流抵抗(Ω)を求めた。
Figure 2023094173000030
表1中、「-」は、該当する成分を含まないことを意味する。「各添加剤の含有量」は、非水電解液の全量に対する添加剤の含有量(質量%)を示す。「(I)」は、アンモニウムスルホネート(I)を示す。「(II)」は、フルオロリン酸リチウム化合物(II)を示す。「(III)」は、環状ジカルボニル化合物(III)を示す。「(IV)」は、環状スルホン酸エステル化合物(IV)を示す。「(I-1)」は、「(Z)-3-(ジメチル-λ4-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-1)を示す。「(I-2)」は、(Z)-3-(ジエチル-λ4-アザネイル)プロプ-1-エン-1-スルホネート(I-2)を示す。「(C-1)」は、3-(トリメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(C-1)を示す。「(C-2)」は、3-(トリエチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(C-2)を示す。「(II-1)」は、フルオロリン酸リチウム化合物(II-1)を示す。「(III-1)」は、環状ジカルボニル化合物(III-1)を示す。「(IV-1)」は、環状スルホン酸エステル化合物(IV-1)を示す。
比較例2及び比較例3の添加剤は、アンモニウムスルホネート化合物(I)を含まなかった。
そのため、比較例2のリチウム二次電池では、高温保存後放電容量が103%であったが、高温保存後抵抗(25℃測定)が114%、高温保存後抵抗(-10℃測定)が111%であった。すなわち、比較例2のリチウム二次電池では、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の直流抵抗の増加は抑制されていなかった。
比較例3のリチウム二次電池では、高温保存後放電容量が92%、高温保存後抵抗(25℃測定)が116%、高温保存後抵抗(-10℃測定)が111%であった。すなわち、比較例3のリチウム二次電池では、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加は抑制されていなかった。
その結果、比較例2及び比較例3の添加剤は、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加を抑制することができないことがわかった。
実施例1~実施例8の添加剤は、アンモニウムスルホネート化合物(I)を含む。そのため、実施例1~実施例8のリチウム二次電池では、高温保存後放電容量が100%以上、高温保存後抵抗(25℃測定)が89%以下、高温保存後抵抗(-10℃測定)が96%以下であった。すなわち、実施例1~実施例8のリチウム二次電池では、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加は抑制されていた。その結果、実施例1~実施例8の添加剤は、高温環境下においてリチウム二次電池が長期保存された場合の、放電容量の低下、及び直流抵抗の増加を抑制することができることがわかった。
1 リチウム二次電池前駆体
10 電池素子
11 正極
11A 正極集電体
11B 正極合材層
12 負極
12A 負極集電体
12B 負極合材層
13 セパレータ
14 単電池層
21 正極リード
22 負極リード
30 外装体
41 正極
42 負極
43 正極缶
44 封口板
45 セパレータ
46 ガスケット
47、48 スペーサー板

Claims (13)

  1. 下記式(I)で表される化合物(I)を含む、リチウム二次電池用添加剤。
    Figure 2023094173000031

    〔式(I)中、
    11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
    又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
    波線は、トランス体又はシス体であることを表す。〕
  2. 前記R11及びR12は、
    それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
    又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表す、請求項1に記載のリチウム二次電池用添加剤。
  3. 前記化合物(I)は、下記式(I-1)で表される化合物(I-1)又は下記式(I-2)で表される化合物(I-2)である、請求項1又は請求項2に記載のリチウム二次電池用添加剤。
    Figure 2023094173000032
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用添加剤を含む、非水電解液。
  5. モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方である化合物(II)と、下記式(III)で表される化合物(III)と、下記式(IV)で表される化合物(IV)とからなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、請求項4に記載の非水電解液。
    Figure 2023094173000033

    〔式(III)中、
    Mは、アルカリ金属であり、
    Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
    bは、1~3の整数であり、
    mは、1~4の整数であり、
    nは、0~8の整数であり、
    qは、0又は1であり、
    31は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR31はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
    32は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR32はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
    、及びQは、それぞれ独立に、酸素原子、又は炭素原子である。
    式(IV)中、
    41は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
    42は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(iv-1)で表される基、又は式(iv-2)で表される基であり、
    *は、結合位置を示し、
    式(iv-1)中、R43は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
    式(iv-2)中、R44は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。〕
  6. 前記化合物(I)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.01質量%以上5質量%以下である、請求項4又は請求項5に記載の非水電解液。
  7. ケースと、
    前記ケースに収容された、正極、負極、セパレータ、及び電解液と、
    を備え、
    前記正極が、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極であり、
    前記負極が、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極であり、
    前記電解液が、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の非水電解液である、リチウム二次電池前駆体。
  8. 前記正極が、正極活物質として、下記式(P1)で表されるリチウム含有複合酸化物を含む、請求項7に記載のリチウム二次電池前駆体。
    LiNiCoMn … 式(P1)
    〔式(P1)中、a、b及びcは、それぞれ独立に、0超1未満であり、かつ、a、b及びcの合計は、0.99以上1.00以下である。〕
  9. 請求項7又は請求項8に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
    前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
    を含む、リチウム二次電池の製造方法。
  10. 請求項7又は請求項8に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られた、リチウム二次電池。
  11. 下記式(I)で表される、アンモニウムスルホネート化合物。
    Figure 2023094173000034

    〔式(I)中、
    11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基(前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルケニル基(前記アルケニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、炭素数2~10のアルキニル基(前記アルキニル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。)、ベンジル基(前記ベンジル基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)、若しくはアリール基(前記アリール基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキル基で置換されてもよい。)を表すか、
    又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに3~8員環の環状構造を形成するアルキレン基(前記アルキレン基中の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基で置換されてもよい。)を表す。
    波線は、トランス体又はシス体であることを表す。
    但し、R11及びR12の各々がメチル基である場合を除く。〕
  12. 前記R11及びR12は、
    それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、若しくはベンジル基を表すか、
    又は、一体となって、前記式(I)中の窒素原子とともに5~6員環の環状構造を形成するアルキレン基を表す、請求項11に記載のアンモニウムスルホネート化合物。
  13. 下記式(I-2)で表される化合物(I-2)と、下記式(I-3)で表される化合物(I-3)と、下記式(I-4)で表される化合物(I-4)と、下記式(I-5)で表される化合物(I-5)と、下記式(I-6)で表される化合物(I-6)とからなる群より選択される1種である、請求項11又は請求項12に記載のアンモニウムスルホネート化合物。
    Figure 2023094173000035
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