JP2023090534A - 熱安定性に優れた逆転写酵素 - Google Patents

熱安定性に優れた逆転写酵素 Download PDF

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Abstract

【課題】熱安定性に優れた新規の逆転写酵素を提供すること。【解決手段】(a)特定のアミノ酸配列に対して94%以上の同一性を有するアミノ酸配列;又は(b)前記特定のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入、又は付加を有するアミノ酸配列、からなる逆転写酵素。【選択図】なし

Description

本発明は、逆転写酵素に関する。さらに詳しくは、本発明は、熱安定性に優れた逆転写酵素、並びに該逆転写酵素を用いる逆転写方法、該逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド、該逆転写酵素を含むキット等に関する。
逆転写酵素は、一般的に、RNAをテンプレートとしてcDNAを合成する活性(以下、「RNA依存性DNAポリメラーゼ活性」という)と、RNA:DNAハイブリッド中のRNA鎖を分解する活性(以下、「RNase H活性」という)を有している。逆転写酵素は、例えば、生体で発現しているタンパク質のアミノ酸配列を直接反映しているmRNAの塩基配列の解析、cDNAライブラリーの構築、RT-PCRなどの用途に用いられている。このような用途に用いる逆転写酵素としては、従来より、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV)またはトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV)等が知られている。
mRNAが二次構造を形成しやすい塩基配列を有する場合、逆転写酵素によるcDNAの合成が前記二次構造によって妨げられることから、反応温度を高くすることによって二次構造の形成を抑制しながらcDNAを合成することが望まれる。しかしながら、前記モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素およびトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素は、熱安定性が低いことが多く、RNAの二次構造の形成が抑制されるような高い温度では、失活してしまうことがある。そこで、近年では逆転写酵素に複数のアミノ酸変異を導入するなどの工夫により、野生型逆転写酵素よりも高い熱安定性を保有し、通常は安定性に乏しかった42~60℃でも反応性が改善した逆転写酵素等が種々開発されている(特許文献1、2、非特許文献1)。しかしながら、更なる安定性が向上した逆転写酵素は依然として望まれている。
従来の逆転写酵素の改良方法は、1又は数個、多くても十数個のアミノ酸について変異を導入して評価するという手法が一般的であった。しかし、この方法では、変異の組み合わせの選定には膨大な数の実験が必要となる。そのため実際には、研究者の経験や勘などで変異をある程度絞って選定し、評価する場合も多い。そのため、これまでに見出されてきた逆転写酵素の変異体は、野生型の逆転写酵素のアミノ酸配列との相同性が比較的高いものが多かった。また、変異箇所は鋳型と接するヘリックスやシート構造のアミノ酸をターゲットとすることが多く、ループ構造を変異させる場合でも、鋳型に接する部分のアミノ酸残基をターゲットとして変異させることが殆どであった。
特開2000-139457号公報 特許第6180002号公報
Journal of Biotechnology,Vol.150,Issue 3,Pages 299-306,(2010年発刊)
熱安定性の向上した、新規な逆転写酵素を提供することが一つの課題である。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究の結果、逆転写酵素活性(以下、逆転写活性ともいう)を有し、且つ改善された熱安定性を示す逆転写酵素を見出し、本発明に到達した。
[項1] 以下のアミノ酸配列からなる逆転写酵素:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して94%以上の同一性を有するアミノ酸配列;又は
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入、又は付加を有するアミノ酸配列。
[項2] 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(i)~(vi)のアミノ酸残基を有する、項1に記載の逆転写酵素:
(i)67番目に相当する位置のアミノ酸がL又はMである、
(ii)175番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
(iii)229番目に相当する位置のアミノ酸がL又はIである、
(iv)308番目に相当する位置のアミノ酸がAである、
(v)437番目に相当する位置のアミノ酸がA又はTである、及び、
(vi)592番目に相当する位置のアミノ酸がAである。
[項3] 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(1)~(4)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、項1又は2に記載の逆転写酵素:
(1)63番目に相当する位置のアミノ酸がRある、
(2)217番目に相当する位置のアミノ酸がQである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、及び
(4)478番目に相当する位置のアミノ酸がIである。
[項4] 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(3)のアミノ酸残基を有する、項1~3のいずれかに記載の逆転写酵素:
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである。
[項5] 前記(a)及び(b)のアミノ酸配列において、以下の(5)~(10)、(3)、又は(11)~(13)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、項1~4のいずれかに記載の逆転写酵素:
(5)47番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(6)62番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
(7)144番目に相当する位置のアミノ酸がRである、
(8)233番目に相当する位置のアミノ酸がTである、
(9)354番目に相当する位置のアミノ酸がSである、
(10)429番目に相当する位置のアミノ酸がLである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(11)495番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
(12)542番目に相当する位置のアミノ酸がVである、及び
(13)662番目に相当する位置のアミノ酸がLである。
[項6]
配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(1)~(4)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、逆転写酵素:
(1)63番目に相当する位置のアミノ酸がRある、
(2)217番目に相当する位置のアミノ酸がQである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、及び
(4)478番目に相当する位置のアミノ酸がIである。
[項7]
配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(3)のアミノ酸残基を有する、項6に記載の逆転写酵素:
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである。
[項8]
配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(5)~(10)、(3)、及び(11)~(13)から成る群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、項6又は7に記載の逆転写酵素:
(5)47番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(6)62番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
(7)144番目に相当する位置のアミノ酸がRである、
(8)233番目に相当する位置のアミノ酸がTである、
(9)354番目に相当する位置のアミノ酸がSである、
(10)429番目に相当する位置のアミノ酸がLである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(11)495番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
(12)542番目に相当する位置のアミノ酸がVである、及び
(13)662番目に相当する位置のアミノ酸がLである。
[項9] 配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列の(A)91番目~105番目に相当する領域、(B)109番目~120番目に相当する領域、(C)125番目~138番目に相当する領域、(D)146番目~157番目に相当する領域、(E)182番目~205番目に相当する領域、(F)220番目~228番目に相当する領域、(G)251番目~263番目に相当する領域、(H)302番目~319番目に相当する領域、(I)351番目~358番目に相当するv、及び(J)391番目~404番目に相当する領域から成る群から選択される1個以上に相当する領域のアミノ酸配列が、配列番号1又は2のアミノ酸配列において対応する領域のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、項1~8のいずれかに記載の逆転写酵素。
[項10] 前記(a)のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列である、項1~9のいずれかに記載の逆転写酵素。
[項11] RNaseH活性を欠く、項1~10のいずれかに記載の逆転写酵素。
[項12] 50℃で10分間熱処理を行った場合に70%以上の残存活性率を示す、項1~11のいずれかに記載の逆転写酵素。
[項13]項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド。
[項14] 項13に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[項15] 項14に記載のベクターで形質転換された細胞。
[項16] 項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素、項13に記載のポリヌクレオチド、項14に記載のベクター、及び/又は項15に記載の細胞を含む試薬。
[項17] 項13に記載のポリヌクレオチド、項14に記載のベクター、項15に記載の細胞、及び/又は項16に記載の試薬を用いて、項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を製造する方法。
[項18] 項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を用いて、RNAのテンプレートからcDNAを合成する方法。
[項19] 項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を含むキット。
[項20] RNAをテンプレートとしてcDNAを合成するために用いられる、項19に記載のキット。
本発明により、熱安定性の向上した新規の有用な逆転写酵素が提供される。熱安定性の向上した逆転写酵素は高次構造を組むRNAから逆転写反応をする場合であっても、野生型逆転写酵素と比較してcDNA合成量が増大し、様々な鋳型からcDNA合成を行うことができる。
実施例5において電気泳動を行った結果を示す図である。 変異型逆転写酵素G7のアミノ酸配列と野生型逆転写酵素(MMLV及びHIV)のアミノ酸配列とをアラインメントした結果を示す図である。 実施例7において電気泳動を行った結果を示す図である。 変異型逆転写酵素G7、G2、及びG6のアミノ酸配列と野生型逆転写酵素(MMLV)のアミノ酸配列とのアライメントにおいて、保存性が高い領域を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、熱安定性が向上した新規の逆転写酵素を提供する。
本明細書において「逆転写酵素」とは、RNAをテンプレートとしてcDNAを合成する活性(以下、「RNA依存性DNAポリメラーゼ活性」、又は「逆転写活性」「逆転写酵素活性」などともいう)を有する酵素をいい、RNase H活性は有していても有していなくてもよい。RNA依存性DNAポリメラーゼ活性の有無は、後述の逆転写活性の測定方法により確認することができる。逆転写酵素には、野生型逆転写酵素、及び野生型逆転写酵素のアミノ酸配列に人為的に変異が導入された変異型逆転写酵素などが含まれ得る。
本明細書において、「野生型逆転写酵素」(以下、「WT」ともいう。)とは、人為的に変異が導入されていない逆転写酵素をいう。このような野生型逆転写酵素としては、配列番号1に記載するアミノ酸配列からなる逆転写酵素があげられる。ここで、「配列番号1に記載のアミノ酸配列」とは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列(モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素のアミノ酸配列)をいう。さらに、「モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素」を「MMLV逆転写酵素」と表すこともある。
本発明の新規逆転写酵素は、従来知られた野生型逆転写酵素とは異なるアミノ酸配列を有する。従って、本明細書では、本発明の逆転写酵素を、変異型逆転写酵素又は改変型逆転写酵素ということがある。本明細書において「変異型逆転写酵素」又は「改変型逆転写酵素」という場合の「変異型」又は「改変型」は互換可能に用いられ、従来知られた逆転写酵素とは異なるアミノ酸配列を備えることを意味するものであり、人為的変異によるか自然界における変異によるかを区別するものではない。従って、本発明の変異型逆転写酵素は、野生型の逆転写酵素配列を示す配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が改変されて、配列番号1とは異なるアミノ酸配列を有する逆転写酵素であり、当該変異型逆転写酵素が、人為的変異により得られた逆転写酵素であるか、自然界における変異により得られた逆転写酵素であるかを問わない。
本明細書においては、塩基配列、アミノ酸配列およびその個々の構成因子については、アルファベット表記による簡略化した記号を用いる場合があるが、いずれも分子生物学・遺伝子工学分野における慣行に従う。また、本明細書においては、アミノ酸配列の変異を簡潔に示すため、例えば「K63R」などの表記を用いる。「K63R」は、第63番目のリシン(K)のアルギニン(R)にへの置換を示しす。すなわち、置換前のアミノ酸残基の種類、その場所、置換後のアミノ酸残基の種類を示す。また、配列番号は、特に断らない限り、配列表に記載された配列番号に対応する。また、多重変異体の場合は、上記の表記を「/」でつなげて表すことができる(例えば、K63R/D217Q/V476P/A478Iのように表記できる)。なお、本明細書において、配列番号2に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列おける、配列番号2上のある位置(X番目)に相当する位置とは、配列の一次構造を比較(アラインメント)したときに、配列番号2の当該位置と対応する位置をいうものとする。
一実施形態において変異型逆転写酵素は、配列番号2に示すアミノ酸配列と一定以上のアミノ酸配列同一性を有することが好ましい。そのような変異型逆転写酵素は、逆転写活性を有しながら、改善された熱安定性を示す。
一実施形態において変異型逆転写酵素は、以下の(a)及び/又は(b)のアミノ酸配列を有する:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して94%以上の同一性を有するアミノ酸配列;又は
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を有するアミノ酸配列。
一実施形態において、変異型逆転写酵素は、上記のようなアミノ酸配列を有し、且つ、逆転写酵素活性と熱安定性(例えば、50℃で10分間熱処理を行った場合に70%以上の残存活性率を示す)を示す。
配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する逆転写酵素は、野生型逆転写酵素(MMLV)に対するアミノ酸配列同一性が93%である。このように野生型逆転写酵素と比較的高いアミノ酸配列同一性を有するが、野生型逆転写酵素には無い高い熱安定性を示すことが後述の試験例の結果より明らかとなっている。本発明の逆転写酵素は、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるものに限定されず、このアミノ酸配列を更に改変したものであってもよい。
一つの実施形態において、変異型逆転写酵素は、配列番号2に記載のアミノ酸配列において一定の割合で改変を有するものであり得る。一実施形態において、変異型逆転写酵素は、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有することが好ましい。変異型逆転写酵素は、逆転写活性及び/又は熱安定性が失われていない限り特に制限されない。例えば、配列番号1のアミノ酸との同一性が85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のアミノ酸配列を有するもの、又は配列番号2に記載のアミノ酸配列との同一性が94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上であるアミノ酸配列から構成されるものが好適である。ここで、アミノ酸配列の同一性は、当該分野で公知の任意の手段で評価することができる。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、一例として、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出することが可能である。さらに、改変型逆転写酵素のアミノ酸配列は、配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。ここで「1又は数個」とは、逆転写活性及び/又は熱安定性が失われていない限り特に制限されないが、例えば、1~30個、さらには1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個、更に好ましくは1~3個である。前記のようなアミノ酸配列は、例えば、遺伝子工学的な手法により人為的に作製するものであってもよいし、天然に由来するタンパク質のアミノ酸配列であってもよい。
一実施形態において、変異型逆転写酵素が、配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列において置換を有する場合、その置換は、構造的及び/又は化学的に類似するアミノ酸間での置換(いわゆる保存的置換)であることが好ましい。保存的置換の例としては、例えば、塩基性アミノ酸(H,K,R)間での置換、酸性アミノ酸(D、E)間での置換、中性の非極性アミノ酸(A,V,L,I,P,F,M,W)間での置換、中性の極性アミノ酸(G,N,Q,S,T,V,C)間での置換、芳香族アミノ酸(W,F,H,Y)間での置換、含窒素アミノ酸(K,R,N,Q,P)間での置換、含硫黄アミノ酸(C、M)間での置換、含酸素アミノ酸(S,T)間での置換、β分岐鎖アミノ酸(V,L,I)間での置換、直鎖アルキル又は水素の側鎖を有するアミノ酸(A,G)間での置換が挙げられるが、これらに限定されない。
一つの実施形態において、変異型逆転写酵素は、逆転写酵素を特徴づけるアミノ酸残基として後述の実施例で特定されたアミノ酸残基を有することが好ましい。このようなアミノ酸残基としては、具体的に、下記の(i)~(vi)のアミノ酸残基を挙げることができる。本発明の逆転写酵素は、下記(i)~(vi)のいずれか1つのアミノ酸残基を有するものであり得るが、好ましくは、(i)~(vi)のうち2以上、3以上、4以上、5以上、特に好ましくは6つ全てのアミノ酸残基を有するものが好ましい。
[逆転写酵素を特徴づけるアミノ酸残基の例]
(i)67番目に相当する位置のアミノ酸がL又はMである、
(ii)175番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
(iii)229番目に相当する位置のアミノ酸がL又はIである、
(iv)308番目に相当する位置のアミノ酸がAである、
(v)437番目に相当する位置のアミノ酸がA又はTである、
(vi)592番目に相当する位置のアミノ酸がAである。
特定の好ましい実施形態では、変異型逆転写酵素は、上記のような逆転写酵素を特徴づけるアミノ酸残基として、67番目、175番目、229番目、308番目、437番目、及び592番目の順に6つのアミノ酸残基がLDLAAA、MDIAAA、MDIATA、MDLAAA、又はMDLATAのいずれかのアミノ酸残基を有するものであり得る。これらのなかでも、LDLAAA、MDIATA、又はMDLAAAのいずれかのアミノ酸残基を有するものが好ましく、とりわけMDLAAAのアミノ酸残基を有するものが好ましい。このような6つのアミノ酸残基を有することによって、より確実に逆転写活性を有する酵素となり得る。
一つの実施形態において、変異型逆転写酵素は、配列番号2で示される逆転写酵素のアミノ酸配列に特徴的なアミノ酸残基を有することが好ましい。このようなアミノ酸残基としては、野生型の逆転写酵素(MMLV、HIV)のアミノ酸配列において共通して認められるにもかかわらず、配列番号2で示されるアミノ酸配列では異なるアミノ酸残基が挙げられる。このような配列番号2のアミノ酸配列に特徴的なアミノ酸残基を有することで、野生型逆転写酵素とは異なる優れた熱安定性がより確実に発揮され得る。このようなアミノ酸残基としては、例えば、下記の(1)~(4)のアミノ酸残基を挙げることができる。
[配列番号2で示される逆転写酵素に特徴的なアミノ酸残基]
(1)63番目に相当する位置のアミノ酸がRある、
(2)217番目に相当する位置のアミノ酸がQである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(4)478番目に相当する位置のアミノ酸がIである。
変異型逆転写酵素は上記(1)~(4)のいずれかの1つのアミノ酸残基を有することが好ましく、より好ましくは、(1)~(4)のうち2以上、3以上を有するものであり、特に上記4個の全てのアミノ酸残基を有するものが好ましい。
逆転写酵素(MMLV)は一般に、αヘリックス、βシート、ループなどのタンパク質の二次元構造が複雑に絡み合って三次元立体構造をとり、5つのドメイン(Fingers、Palm、Thumb、Connection、RNaseHドメイン)を構成することが知られている。配列番号2で示される逆転写酵素に特徴的な上記(1)~(4)のアミノ酸残基は、ループ領域に偏在していることが分かっている。従来の変異型逆転写酵素は、鋳型と接するヘリックスやシート構造のアミノ酸を変異させることが多く、ループ領域の変異体はあまり知られていない。本発明の逆転写酵素は、ループ領域において立体構造の柔軟性や化学的性質を変え、鋳型RNAへの結合力を維持又は向上させながら、構造安定性を高めて、高い耐熱性を示していることが推察される。
一実施形態において、変異型逆転写酵素は、配列番号1又は2のアミノ酸配列のうち下記(A)~(J)の領域の保存性が高いことが好ましい。
(A):91位~105位 (Thumb上部)
(B):109位~120位 (Thumb上部2)
(C):125位~138位 (Thumb-Palm)
(D):146位~157位 (Palm活性中心)
(E):182位~205位 (Thumb 中部)
(F):220位~228位 (Palm 活性中心横)
(G):251位~263位 (Palm 活性中心横)
(H):302位~319位 (Finger)
(I):351位~358位 (Finger)
(J):391位~404位 (Finger-RNaseH)
これらの領域は、野生型逆転写酵素(配列番号1)と変異型逆転写酵素(配列番号2~4)とで共通したアミノ酸配列を有する領域である(図4)。一実施形態において、変異型逆転写酵素は、配列番号1又は2のアミノ酸配列と一定以上の同一性を有し、(A)~(J)から成る群から選択される1個以上に相当する領域のアミノ酸配列は、配列番号1又は2のアミノ酸配列と90%以上、95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、又は100%の同一性を有することが好ましい。ここで、1個以上とは、好ましくは、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、又は10個である。
更に特定の実施形態では、変異型逆転写酵素は、配列番号2で示される逆転写酵素のアミノ酸配列に特徴的な上記(1)~(4)のアミノ酸残基のうち、野生型逆転写酵素において対応する位置のアミノ酸残基と構造的及び/又は化学的性質が大きく異なるアミノ酸残基を有することが好ましい。このように野生型逆転写酵素におけるアミノ酸残基と性質が大きく異なるアミノ酸残基は、野生型逆転写酵素では見られなかった本発明の逆転写酵素の高い熱安定性に大きく寄与していると推察される。このようなアミノ酸残基としては、以下の(3)であり得る。
[配列番号2で示される逆転写酵素に特徴的で野生型と性質の異なるアミノ酸残基]
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである。
更に後述の実施例に示すように、本発明の逆転写酵素と同様の熱安定性を有することが示された逆転写酵素(配列番号3、4のアミノ酸配列を有する逆転写酵素)のアミノ酸配列と、配列番号2に示されるアミノ酸配列とは、野生型のMMLV逆転写酵素にはない特徴的なアミノ酸残基を共通して有していることが確認されている。従って、特定の実施形態では、本発明の逆転写酵素はこの配列番号2、3、4で共通しているアミノ酸残基を有することが好ましい。このようなアミノ酸残基としては、以下の(5)~(10)、(3)、又は(11)~(13)のいずれかであり得る。
[配列番号2、3、4で示される逆転写酵素に特徴的なアミノ酸残基]
(5)47番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(6)62番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
(7)144番目に相当する位置のアミノ酸がRである、
(8)233番目に相当する位置のアミノ酸がTである、
(9)354番目に相当する位置のアミノ酸がSである、
(10)429番目に相当する位置のアミノ酸がLである、
(3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
(11)495番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
(12)542番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
(13)662番目に相当する位置のアミノ酸がLである。
一つの好ましい実施形態では、本発明の逆転写酵素は、配列番号1又は2のアミノ酸配列と一定以上の同一性を有するアミノ酸配列において、上記(5)~(10)、(3)、(11)~(13)の10つのアミノ酸残基のうち、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、特に好ましくは10個の全てのアミノ酸残基を有するものとすればよい。なかでも、上記アミノ酸残基のうちFingersドメイン、Palmドメイン又はそれらの近傍のループ領域にある上記(5)、(6)、(7)、(8)から選択される1以上のアミノ酸残基を有することが好ましい。
本発明の逆転写酵素は、上記のようなアミノ酸残基を含むアミノ酸配列で構成され得る。当業者は、当該分野で公知の任意の遺伝子工学的手法により、例えば、目的のアミノ酸配列をコードする塩基配列を適宜設計し、それを任意の発現ベクター等に組み込んだものを宿主細胞に形質転換して発現させる等の手順により、目的のアミノ酸配列の逆転写酵素タンパク質を製造することができる。
特定の実施形態において、本発明の逆転写酵素は、RNase活性を欠くものであってもよい。RNase活性を欠く逆転写酵素の一例として、524位のアスパラギン酸をアラニンに置換したもの及び/又は583位のアスパラギン酸をアスパラギンに置換したものが挙げられるが、これに限定するものではない。野生型逆転写酵素が一般に有するRNase活性は、逆転写反応のテンプレートであるRNAを分解する場合があり、特に、長鎖RNA(例えば、完全長RNA)をテンプレートとしてcDNAを合成する際に問題となり得る。RNase活性を欠くように改変した逆転写酵素であれば、長鎖RNAをテンプレートとする逆転写反応において、その反応途中にRNA鎖のテンプレートが分解されてしまうのを抑制することができるので好ましい。
本発明の逆転写酵素は、逆転写活性と高い熱安定性を併せ持つことを特徴としている。ここで逆転写活性及び熱安定性は、具体的に、以下の測定方法により確認することができる。当業者は、配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列と所定の関係にある変異型逆転写酵素について、下記の方法に従って逆転写活性及び熱安定性の有無を評価でき、取得することができる。
[逆転写活性の測定方法]
本明細書において、逆転写酵素の逆転写活性は、以下の操作により測定することができる。本測定方法において、酵素活性が高い場合は、測定対象を含むサンプルを適宜希釈して測定を行えばよい。
先ず、予め調製した下記のA液10μL、B液22μL、C液1μL、及び滅菌水12μLを、マイクロチューブ等の反応容器に加えて攪拌混合後、測定対象を含むサンプル液又はその希釈液5μLを加えて、42℃で10分間反応させる。その後、冷却し、下記のD液150μLを加えて、攪拌後さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)でろ過し、0.1N塩酸及び100%エタノールで十分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製Tri-Carb2810 TR)を用いて計測し、ヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で10分当たり1nmoleのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
(逆転写酵素活性測定用試薬)
・A液:250mM Tris-HCl(pH8.3)、375mM 塩化カリウム、15mM 塩化マグネシウム、50mM ジチオスレイトール、
・B液:1mg/mL polyA、1pmol/μL dT20、10mM dTTP、
・C液:[3H]-dTTP、
・D液:0.07M ピロリン酸ナトリウム、0.7M トリクロロ酢酸。
[熱安定性(熱処理後の逆転写活性の残存活性率)の測定]
測定対象となる各変異型逆転写酵素を、保存緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、50% glycerol、0.1mM EDTA)により100U/μLに希釈した後、前記逆転写活性の測定方法に記載の手順に従い、保存前の逆転写活性値を測定する。次いで、上記の保存緩衝液に希釈した測定対象の各変異型逆転写酵素を、所定の保存条件下(例えば、45℃~55℃のインキュベータ内で5~15分間保存する条件下、好ましい実施形態では50℃のインキュベータ内で10分間保存する条件下)に置いて保存する。保存開始から所定時間経過後(例えば5~15分後、好ましい実施形態では10分後)に、保存前と同様に前記逆転写活性の測定方法に記載の手順に従い、保存後の逆転写活性値を測定する。次いで、以下の式Iに記載のように、保存後の逆転写活性値を保存前の逆転写活性値で除算することにより、残存活性率を算出できる。
残存活性率(%)=(保存後の逆転写活性値/保存前の逆転写活性値)×100・・・(式I)
本発明の逆転写酵素は、野生型の逆転写酵素よりも高い熱安定性を示す。好ましい実施形態では、本発明の逆転写酵素は、例えば50℃で10分間熱処理した場合に、50%以上の残存活性を示す逆転写酵素であり得、更には60%以上の残存活性を率を示す逆転写酵素であり得、70%以上の残存活性率を示す逆転写酵素であることが好ましい。
更に別の観点から、本発明の逆転写酵素は、例えば、50℃で10分間にわたり熱処理した場合に、野生型逆転写酵素の残存活性率と比較して高い残存活性率を示す変異型逆転写酵素であり得る。具体的には、例えば、50℃で10分間熱処理した場合に、野生型逆転写酵素の残存活性率と比較して約1.5倍以上、好ましくは約2.0倍以上高い残存活性率を示す逆転写酵素であり得る。
更なる実施形態において、本発明は、前記のような本発明の逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドを提供する。ここで、逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドとは、例えばそれを常法により発現させた場合に、本発明の逆転写酵素のタンパク質が得られるポリヌクレオチドをいう。即ち、本発明の逆転写酵素のタンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列から構成されるポリヌクレオチドを指す。当業者は、当該分野で周知のコドン表などに従って、所定のアミノ酸配列に対応する塩基配列を容易に決定することができる。また、本発明の逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドは、コドンの縮重により相違するポリヌクレオチドも包含する。ポリヌクレオチドとしては、DNA、RNA等の任意の核酸ポリマーであり得る。
更なる実施形態において、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。具体的には、上記逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドを必要に応じてベクター(例えば、発現ベクター、クローニングベクター等)に移し替える。該ベクターは、本発明の逆転写酵素のクローニング及び/又は発現等を可能とするものであればいかなるものでもよく、例えばプラスミドが挙げられる。プラスミドとしてはpUC118、pUC18、pBR322、pBluescript、pLED-M1、p73、pGW7、pET3a、pET8c、pET23bなどが挙げられるがこれに限定するものではない。
更なる実施形態において、本発明は、前記ベクターで形質転換された細胞を提供する。このような細胞は、本発明の逆転写酵素をコードするタンパク質を発現させるために好適に使用され得る。特定の好ましい実施形態において、本発明の組換え宿主細胞は、上記発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られるものである。該宿主細胞としては、大腸菌、酵母などが挙げられるが、特に大腸菌が好ましい。大腸菌としては、例えばエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α、JM109、HB101、XL1Blue、PR1、HS641(DE3)、BL21(DE3)などが挙げられる。すなわち、本発明においては、上記の逆転写酵素をコードする遺伝子を上記ベクターに挿入して発現ベクターとし、さらに該発現ベクターにて宿主細胞を形質転換することが好ましい。
一つの実施形態において、本発明の発現ベクターは、逆転写酵素の精製をより容易にするためのエレメント、例えば、細胞外分泌シグナル、Hisタグなどを含有していてもよい。
更なる実施形態では、前記ポリヌクレオチド、前記ベクター、前記形質転換細胞、及び/又はこれらの1つ以上を含む試薬を用いて、前記逆転写酵素を製造する方法をも提供する。例えば、該発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12~20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。菌体を破砕する方法としては公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理、フレンチプレスやガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。得られた粗酵素液から精製逆転写酵素を取得する方法は、いかなる手法を用いてもよいが、例えば、遠心分離、超遠心分離、限外濾過、塩析、透析、イオン交換カラムクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーなどに供することにより、本発明の逆転写酵素を単離することができる。
本発明は更に、前記の本発明の逆転写酵素を用いることを特徴とする逆転写方法を提供する。本発明の逆転写方法は、本発明の逆転写酵素を用いてRNAのテンプレートからcDNAを合成することを特徴としている。本発明の逆転写酵素は、野生型逆転写酵素と比べて高い熱安定性を有している。そのため、本発明の逆転写方法によれば、RNAの二次構造の形成を抑制するのに十分な高い温度を含む幅広い温度範囲(例えば、~50℃付近まで)で逆転写反応を行なうことができる。したがって、本発明の逆転写方法は、RNAの種類によらず、例えば、二次構造を形成しやすいRNAを鋳型とした逆転写反応を効率よく行なうことができ、汎用性が高い。
一つの好ましい実施形態において、本発明の逆転写方法では、前記逆転写酵素と、テンプレートとなるRNAと、前記RNAの一部に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーと、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートとを、逆転写反応用緩衝液中でインキュベーションすることにより逆転写反応を行なうことができる。
逆転写反応における反応温度は、用いられるRNAの種類、用いられる逆転写酵素の種類などによって異なるため、用いられるRNAの種類、用いられる逆転写酵素の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。前記反応温度は、例えば、用いられるRNAが二次構造を形成しにくいRNAである場合、37~42℃となるように設定することができる。また、前記反応温度は、例えば、用いられるRNAが二次構造を形成しやすいRNAである場合、野生型逆転写酵素に適した反応温度よりも高い温度、例えば、42~50℃となるように設定することができる。本発明の逆転写酵素は高い熱安定性を有しているため、このように反応温度が高い条件であっても、十分に逆転写反応を行うことができるというメリットがある。前記反応時間は、例えば、1分間~1時間程度、好ましくは3分間~30分間程度、より好ましくは5分~10分間程度とすることができるが、限定されない。
本発明の逆転写方法に用いられる前記逆転写反応用緩衝液は、2価の陽イオン、例えば、マグネシウムイオン、マンガンイオンなどを含有してもよい。2価の陽イオンの濃度は、逆転写酵素の種類や逆転写反応緩衝液に含まれる他の成分などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、逆転写反応用緩衝液中における2価の陽イオン濃度は、1~30mMで設定される。また、前記逆転写反応用緩衝液は、本発明の目的を妨げない範囲で、必要に応じて、還元剤(例えば、ジチオスレイトールなど)、安定化剤(例えば、グリセロール、トレハロースなど)、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ホルムアミドなど)などの成分を含有していてもよい。
更なる実施形態において、本発明は、前記逆転写酵素、前記ポリヌクレオチド、前記ベクター、及び/又は前記細胞を含む試薬を提供する。これらの試薬は使用目的等に応じて他に任意の成分(例えば、安定化剤、防腐剤等の任意の添加剤)を含むことができる。例えば、前記逆転写酵素を含む試薬は、前記逆転写反応用緩衝液等を更に含むものであってもよい。本発明の前記試薬の用途は特に限定されず、例えば、RNAをテンプレートとしてcDNA合成を行う逆転写反応に好適に使用することができる。更には、本発明の前記試薬は、本発明の逆転写酵素を製造するために好適に使用することができる。
更なる実施形態において、本発明は、前記逆転写酵素、前記ポリヌクレオチド、前記ベクター、前記細胞、及び/又はこれらの1つ以上を含む試薬で構成されたキットを提供する。本発明の前記キットは、例えば、RNAをテンプレートとしてcDNA合成を行う逆転写反応を行うためのキット、本発明の逆転写酵素を製造するためのキット等であり得るが、好ましくは、RNAをテンプレートとしてcDNAを合成するために用いられるキット(これを、逆転写反応キット等ともいう)である。
一つの実施形態において、本発明の逆転写反応キットは、逆転写反応を行なうためのキットであって、本発明の逆転写酵素(当該逆転写酵素を含む試薬として提供される場合も含む)を含有することを一つの特徴としている。本発明の逆転写反応キットは、高い熱安定性を有する本発明の逆転写酵素を含有しているため、RNAの二次構造の形成を抑制するのに十分な高い温度を含む幅広い温度範囲での逆転写反応であっても好適に使用され得る。また、熱安定性が向上しているため、低濃度の鋳型も検出可能であることから、利便性が高い。本発明の前記キットは更に、本発明の逆転写酵素を使用して逆転写反応を行う場合の使用説明書等を含み得る。本発明のキットは、前記逆転写酵素等を例えば一つの包装体に梱包し、当該キットの使用方法に関する情報を含む態様で提供することができる。
特定の実施態様において、例えば、逆転写反応キットにおいて、前記逆転写反応を行なうのに必要な試薬は、逆転写酵素が入った容器とは異なる容器中に封入されていてもよく、また、前記試薬の保存中における逆転写反応の進行が停止されているのであれば、前記逆転写酵素と同じ容器に封入されていてもよい。前記試薬は、逆転写反応を行なうのに適した量となるように容器に封入されていてもよい。これにより、各試薬を逆転写反応に適した量となるように混合する必要がなくなるので、取り扱いを容易にすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例に特に限定されるものではない。
実施例1 バイオインフォマティクスによる逆転写酵素遺伝子のスクリーニング
本実施例では、既知の膨大な数のタンパク質群のビッグデータから、バイオインフォマティクス技術を利用して酵素の遺伝子設計を試みた。詳細には、タンパク質のアミノ酸配列のシークエンスアラインメントを用いて、既存のデータベースの中から、目的酵素活性を有する既知のタンパク質のアミノ酸配列と類似するアミノ酸配列を有する複数のタンパク質からなるライブラリーを作成し、それらの間で少なくとも2つの相関残基を特定し、当該相関残基を有するタンパク質を選択し、評価することによって、新規逆転写酵素のスクリーニングを行った。
本実施例では、配列番号1に示される野生型逆転写酵素のアミノ酸配列を指標として、BLASTpにおいて類似配列を5000個選別した。そのうち極端に長い配列又は短い配列のものを除去するキュレーションを行い450配列まで絞り込みを行った。次いで、選別されたアミノ酸配列について特開2018-88864号公報(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の統計学手法を用いて解析を行った。得られた結果から分類を行い、逆転写酵素を分類できる6つのアミノ酸残基(配列番号1の67、175、229、308、437及び529位)が、LDLAAA、MDIAAA、MDIATA、MDLAAA、MDLATAであることを特定した。そして、これら6つのアミノ酸残基を有する類似配列のみ選別し、それらの配列において野生型逆転写酵素のアミノ酸配列として比較的保存されたアミノ酸に一部を置換して、複数の候補アミノ酸配列を得た。
実施例2 逆転写酵素遺伝子のタンパク質発現用ベクター作成
上記実施例1において取得したアミノ酸配列のうち1つを選択し、タンパク質発現用ベクターを作成した。具体的には、1種(G7)の候補アミノ酸配列からEscherichia coliのコドンユーセージに基づきDNA配列を得た(配列番号5)。これらをpET-23b(+)にクローニングし、候補逆転写酵素配列を組み込んだプラスミド(pG7)を作成した。得られたプラスミドはBL21-Gold Competent Cells(Agilent Technologies製)に形質転換し、酵素調製に用いた。
実施例3 逆転写酵素の取得
実施例2で得られた菌体の培養は、以下の通り実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition,p.A.2)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に、あらかじめ100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム)で37℃、16時間培養したプラスミド形質転換株を播種し、30℃で16時間通気培養した。その後、IPTG(ナカライテスク製)を終濃度0.1mMになるように添加し、30℃でさらに4時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(10mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、5%glycerol)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に、細胞破砕液をHis GraviTrap(GEヘルスケア製)によって精製した。洗浄条件は10mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、5%glycerol、50mM imidazole、溶出条件は10mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、5%glycerol、300mM imidazoleで実施した。最後に保存緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、50%glycerol、0.1mM EDTA)に置換し、逆転写酵素を得た。
上記で精製した逆転写酵素の活性測定は、以下の操作で行った。また、酵素活性が高い場合はサンプルを希釈して測定を行った。
(逆転写酵素活性測定用試薬)
A液:250mM Tris-HCl(pH8.3)、375mM 塩化カリウム、15mM 塩化マグネシウム、50mM ジチオスレイトール
B液:1mg/mL polyA、1pmol/μL dT20、10mM dTTP、
C液:[3H]-dTTP
D液:0.07M ピロリン酸ナトリウム、0.7M トリクロロ酢酸
(逆転写酵素活性測定方法)
A液10μL、B液22μL、C液1μL、および滅菌水12μLを、マイクロチューブに加えて攪拌混合後、上記精製酵素希釈液5μLを加えて、42℃で10分間反応する。その後、冷却し、D液150μLを加えて、攪拌後さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)でろ過し、0.1N塩酸及びエタノールで十分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製Tri-Carb2810 TR)を用いて計測し、ヌクレオチドの取り込みを測定した。酵素活性の1単位はこの条件下で10分当たり1nmoleのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とした。
上記測定の結果、本実施例で調製した本候補逆転写酵素(G7)は、十分な逆転写活性を有することが確認された。
実施例4 逆転写酵素の熱安定性試験
G7の逆転写酵素を保存緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM KCl、50% glycerol、0.1mM EDTA)にて10U/μLに希釈し、50℃に10分間保存した。その後、逆転写活性測定を行い、本発明の変異型逆転写酵素の保存後の残存活性率求めた。残存活性率は、以下の式Iに記載のように、保存後の逆転写活性値を保存前の逆転写活性値で除算することにより、残存活性率を算出できる。
残存活性率(%)=(保存後の逆転写活性値/保存前の逆転写活性値)×100・・・(式I)
Figure 2023090534000001
表1から、WTでは50℃10分間の熱処理によって、残存活性率が32%であったが、変異型逆転写酵素G7は70%程度の非常に高い残存活性率を示した。このことから、変異型逆転写酵素G7は耐熱性が著しく向上していることが分かった。
実施例5 逆転写酵素のcDNA合成能試験
逆転写酵素(G7)を保存緩衝液(20mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、50%glycerol、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.01%NP-40)で10U/μLに希釈し、各1μLと、逆転写反応液5×Buffer(Toyobo製)4μLと、10mM dNTPs 2μLと、Human Total RNA 10ngと、下記に示すプライマー10μMを1μLと滅菌水を11μL混合し、37℃、42℃、50℃、55℃の各温度で20分間逆転写反応を行った。
逆転写プライマー:gttcgaccgtcttctcagcgctcc(配列番号6)
得られたcDNAを95℃5分間熱処理して逆転写酵素を失活させた後、cDNA 1μLをKOD-Plus-(Toyobo製)の取扱説明書に準じてPCRを行った。プライマーセットを10μM 0.6μL添加した。配列を以下に示す。
順方向:gccatgcatgtctgagtacgcacgg(配列番号7)
逆方向:tctagaattaccacagttatccaag(配列番号8)
増幅産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動を行い、増幅の有無を確認した。
図1に示す通り、WTでは逆転写温度が50℃以上となると増幅がみられない。一方、変異型逆転写酵素G7は逆転写温度が50℃になっても明瞭なバンドが認められ、十分に逆転写反応が行われたことが分かる。また、42℃の場合を比較しても、WTに比べて明らかに変異型逆転写酵素G7の方が高い増幅活性を維持していることが確認された。
実施例6 変異型逆転写酵素と野生型逆転写酵素(MMLV、HIV)の配列比較
上記実施例において逆転写活性と高い熱安定性を併せ持つことが確認された変異型逆転写酵素(G7)のアミノ酸配列と、野生型逆転写酵素のアミノ酸配列との比較を行い、本発明の逆転写酵素を特徴づけるアミノ酸残基の特定を行った。ここで、野生型逆転写酵素としては、野生型MMLV逆転写酵素及び野生型HIV逆転写酵素を比較対象として選定した。野生型MMLV逆転写酵素と野生型HIV逆転写酵素は、共に逆転写活性を有し、且つモチーフ等に類似性があることが知られている。従って、野生型MMLV逆転写酵素及び野生型HIV逆転写酵素で共通しており、且つ、変異型逆転写酵素G7において異なるアミノ酸残基は、確認された熱安定性に寄与していると推測できる。このアラインメント結果を図2に示す。図2に示されるように、変異型逆転写酵素は、野生型逆転写酵素とのアミノ酸配列同一性が比較的高いものの、特にアミノ酸相同性が高い野生型MMLV逆転写酵素配列と比較しても約40残基程度アミノ酸が異なることが分かる。そして、野生型MMLV逆転写酵素及び野生型HIV逆転写酵素が共通している一方で、変異型逆転写酵素(G7)が異なっているアミノ酸残基を特定した。その結果、本発明の逆転写酵素を特徴づける4個のアミノ酸残基(K63R、D217Q、V476P、A478I:配列番号2のアミノ酸配列に相当する位置における、野生型逆転写酵素のアミノ酸残基からのアミノ酸変異を示す)が、MMLVのループ領域に相当する位置に見出された。これらのアミノ酸残基のなかでも、1つのアミノ酸残基(V476P)は、野生型逆転写酵素におけるアミノ酸残基と構造的・化学的性質が異なるアミノ酸残基に置換されており、熱安定性の向上に寄与していることが推察された。
実施例7 更なる逆転写酵素の取得と配列比較
上記実施例1のスクリーニングで得られた複数の候補アミノ酸配列の中から、更に別の候補アミノ酸配列(G2(配列番号3),G6(配列番号4))を選択し、上記実施例2~3と同様にして逆転写酵素を取得した。具体的には、G2,G6の候補アミノ酸配列からEscherichia coliのコドンユーセージに基づきDNA配列をそれぞれ設計し(配列番号9、10)、これらを各々pET-23b(+)にクローニングし、候補逆転写酵素配列を組み込んだプラスミド(pG2、pG6)を作成した。得られたプラスミドはBL21-Gold Competent Cells(Agilent Technologies製)に形質転換した。この菌体を実施例3と同じ条件で培養し、培養液から回収した菌体の細胞破砕液から精製により逆転写酵素を取得した。取得した逆転写酵素(G2、G6)について、実施例4と同様にして50℃で10分間保存後の逆転写活性測定を行った結果を以下の表2に示す。また、実施例5と同様にして、37℃、42℃、50℃、55℃の各温度で20分間逆転写反応を行い、PCRを行った後の増幅産物の有無を確認した結果を図3に示す。
Figure 2023090534000002
上記表2及び図3の結果に示されるように、本実施例において取得した逆転写酵素G2、G6は、変異型逆転写酵素G7と同様の熱安定性を示すことが確認された。逆転写酵素G2及びG6と、逆転写酵素G7と、野生型逆転写酵素とをアラインメントした結果を図4に示す。この逆転写酵素G2、G6のアミノ酸配列を確認したところ、逆転写酵素を特徴づける67番目、175番目、229番目、308番目、437番目、及び592番目の6つのアミノ酸残基としてLDLAAA又はMDIATAを有していた。また、配列番号2で示される逆転写酵素は、このG2、G6の逆転写酵素のアミノ酸配列と共通していて野生型MMLV逆転写酵素とは異なる、以下:(2)47番目に相当する位置にP、(5)62番目に相当する位置にV、(10)144番目に相当する位置にR、(14)233番目に相当する位置にT、(20)354番目に相当する位置にS、(25)429番目に相当する位置にL、(27)476番目に相当する位置にP、(29)495番目に相当する位置にD、(33)542番目に相当する位置にV、(43)662番目に相当する位置にLのアミノ酸を有することが確認された。これらのアミノ酸残基は、野生型MMLV逆転写酵素においては認められず、同様の熱安定性を示す逆転写酵素G2、G6、及びG7において共通で認められたことから、熱安定性向上に寄与している可能性が高いことが推察された。
一方、配列番号2~4に示されるアミノ酸配列のうち、(A)91番目~105番目に相当する領域、(B)109番目~120番目に相当する領域、(C)125番目~138番目に相当する領域、(D)146番目~157番目に相当する領域、(E)182番目~205番目に相当する領域、(F)220番目~228番目に相当する領域、(G)251番目~263番目に相当する領域、(H)302番目~319番目に相当する領域、(I)351番目~358番目に相当する領域、及び(J)391番目~404番目に相当する領域のアミノ酸配列(図4において(A)~(J)として囲った部分)は、配列番号1に示される野生型の逆転写酵素における対応する領域のアミノ酸配列と高い保存性を示すことが確認された。この結果から、これらの領域における変異は少ない方が望ましいと考えられる。
本発明により、分子生物学分野において有用な熱安定性に優れる新規逆転写酵素、及びその逆転写酵素を含む試薬、キット等が提供される。本発明は、遺伝子発現解析に際して特に有用であり、汎用性が高く利便性も高いことから、研究用とのみならず、臨床診断や環境検査等にも利用できる。

Claims (20)

  1. 以下のアミノ酸配列からなる逆転写酵素:
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して94%以上の同一性を有するアミノ酸配列;又は
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入、又は付加を有するアミノ酸配列。
  2. 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(i)~(vi)のアミノ酸残基を有する、請求項1に記載の逆転写酵素:
    (i)67番目に相当する位置のアミノ酸がL又はMである、
    (ii)175番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
    (iii)229番目に相当する位置のアミノ酸がL又はIである、
    (iv)308番目に相当する位置のアミノ酸がAである、
    (v)437番目に相当する位置のアミノ酸がA又はTである、及び、
    (vi)592番目に相当する位置のアミノ酸がAである。
  3. 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(1)~(4)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、請求項1又は2に記載の逆転写酵素:
    (1)63番目に相当する位置のアミノ酸がRある、
    (2)217番目に相当する位置のアミノ酸がQである、
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、及び
    (4)478番目に相当する位置のアミノ酸がIである。
  4. 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(3)のアミノ酸残基を有する、請求項1~3のいずれかに記載の逆転写酵素:
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである。
  5. 前記(a)又は(b)のアミノ酸配列において、以下の(5)~(10)、(3)、及び(11)~(13)から成る群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、請求項1~4のいずれかに記載の逆転写酵素:
    (5)47番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
    (6)62番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
    (7)144番目に相当する位置のアミノ酸がRである、
    (8)233番目に相当する位置のアミノ酸がTである、
    (9)354番目に相当する位置のアミノ酸がSである、
    (10)429番目に相当する位置のアミノ酸がLである、
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
    (11)495番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
    (12)542番目に相当する位置のアミノ酸がVである、及び
    (13)662番目に相当する位置のアミノ酸がLである。
  6. 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(1)~(4)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、逆転写酵素:
    (1)63番目に相当する位置のアミノ酸がRある、
    (2)217番目に相当する位置のアミノ酸がQである、
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、及び
    (4)478番目に相当する位置のアミノ酸がIである。
  7. 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(3)のアミノ酸残基を有する、請求項6に記載の逆転写酵素:
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである。
  8. 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有し、以下の(5)~(10)、(3)、及び(11)~(13)から成る群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を有する、請求項6又は7に記載の逆転写酵素:
    (5)47番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
    (6)62番目に相当する位置のアミノ酸がVである、
    (7)144番目に相当する位置のアミノ酸がRである、
    (8)233番目に相当する位置のアミノ酸がTである、
    (9)354番目に相当する位置のアミノ酸がSである、
    (10)429番目に相当する位置のアミノ酸がLである、
    (3)476番目に相当する位置のアミノ酸がPである、
    (11)495番目に相当する位置のアミノ酸がDである、
    (12)542番目に相当する位置のアミノ酸がVである、及び
    (13)662番目に相当する位置のアミノ酸がLである。
  9. 配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列の(A)91番目~105番目に相当する領域、(B)109番目~120番目に相当する領域、(C)125番目~138番目に相当する領域、(D)146番目~157番目に相当する領域、(E)182番目~205番目に相当する領域、(F)220番目~228番目に相当する領域、(G)251番目~263番目に相当する領域、(H)302番目~319番目に相当する領域、(I)351番目~358番目に相当する領域、及び(J)391番目~404番目に相当する領域から成る群から選択される1個以上の領域のアミノ酸配列が、配列番号1又は2のアミノ酸配列における対応する領域のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、請求項1~8のいずれかに記載の逆転写酵素。
  10. 前記(a)のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列である、請求項1~9のいずれかに記載の逆転写酵素。
  11. RNaseH活性を欠く、請求項1~10のいずれかに記載の逆転写酵素。
  12. 50℃で10分間熱処理を行った場合に70%以上の残存活性率を示す、請求項1~11のいずれかに記載の逆転写酵素。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド。
  14. 請求項13に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターで形質転換された細胞。
  16. 請求項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素、請求項13に記載のポリヌクレオチド、請求項14に記載のベクター、及び/又は請求項15に記載の細胞を含む試薬。
  17. 請求項13に記載のポリヌクレオチド、請求項14に記載のベクター、請求項15に記載の細胞、及び/又は請求項16に記載の試薬を用いて、請求項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を製造する方法。
  18. 請求項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を用いて、RNAのテンプレートからcDNAを合成する方法。
  19. 請求項1~12のいずれかに記載の逆転写酵素を含むキット。
  20. RNAをテンプレートとしてcDNAを合成するために用いられる、請求項19に記載のキット。
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