JP2023089358A - 箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法 - Google Patents

箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023089358000001
【課題】互いに板厚が異なる鋼板を組み合わせて構成される箱形断面部材の溶接継手を、比較的簡単な構成で、合理的かつ健全なものとすることができる、箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法を提供する。
【解決手段】板厚tを有する第一の鋼板と、板厚t(<t)を有する第二の鋼板とを矩形状断面となるように組み合わせて構成される箱形断面部材同士の溶接継手において、第一の鋼板同士が接合されるとともに第二の鋼板同士が接合されるようにし、溶接継手で接合されるの一方の鋼板には開先が形成されず、他方の鋼板にはレ形開先が形成されるようにし、第一の鋼板および第二の鋼板に形成するレ形開先の開先角度θおよびルートギャップを等しくする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の鋼板を矩形状断面となるように組み合わせて構成される箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法に関するものである。
建築物等の構造物の柱部材には、冷間ロール成形角形鋼管、冷間プレス成形角形鋼管、溶接組立箱形断面部材等の角形鋼管が用いられることが多い。中低層建築物や高層建築物では、比較的安価な冷間ロール成形角形鋼管および冷間プレス成形角形鋼管が、柱部材に多く用いられている。一方、超高層建築物では、柱部材に要求される剛性および耐力が非常に大きいため、大断面化・厚肉化・高強度化が可能な溶接組立箱形断面部材が、柱部材に多く用いられている。
溶接組立箱形断面部材を構成する4枚の鋼板(スキンプレート)には、設計の簡便さ等から、強度および板厚が同じものが用いられることが一般的である。これに対し、特許文献1および特許文献2には、溶接組立箱形断面部材を構成する4枚の鋼板のうち、向かい合う一対の鋼板の強度や板厚を、他の一対の鋼板の強度および板厚と変える技術も開示されている。このようにすると、溶接組立箱形断面部材の設計の自由度が増えるととともに、鋼板同士を接合する角溶接の溶接量を減らすことができる。
特開平4-366257号公報 特開2017-179723号公報
藤田哲也、他6名、「550N/mm2級及び590N/mm2級鋼材に適用する溶接材料と溶接条件(その3 入熱・パス間温度の管理条件の設定)」、日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道)、2013年8月、pp.1151~1152 石田正法、他7名、「建築構造用高強度780N/mm2級鋼材の溶接施工法に関する研究(その6)溶接部の機械試験結果」、日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)、2019年9月、pp.1099~1100
溶接組立箱形断面部材を用いた柱-柱間の溶接継手は、一般的には、図2に示すようなレ形開先を形成して横向き溶接を行い、溶接材料の強度を母材の強度よりも大きくするオーバーマッチ溶接で、完全溶込み溶接を形成することが多い。溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手の開先加工は、鉄骨製作ファブリケーターで、機械加工やガス切断・プラズマ切断等を用いて行われることが多い。特に、サイズが大きい溶接組立箱形断面部材では、ガス切断・プラズマ切断によって、開先加工が施される。
ここで、板厚および強度が同じ鋼板4枚を組み合わせて構成される溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手では、溶接組立箱形断面部材を構成する各鋼板に形成するレ形開先の形状は同じにすればよい。しかし、特許文献1および特許文献2に開示されるような溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手では、鋼板間で板厚や強度が異なるのに応じて、各鋼板に形成するレ形開先の形状が異なってくる。このため、板厚や強度が異なる鋼板毎に溶接条件や溶接の積層方法等が異なってきて、溶接方法が複雑となる。また、鋼板間で板厚や強度が異なるのに応じて、各鋼板に形成するレ形開先の形状が異なってくると、鉄骨製作ファブリケーターにおける開先加工も複雑になる。
さらに、溶接組立箱形断面部材に用いられる鋼板は、比較的高強度のものが多い。このため、溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手の溶接材料にも、比較的高強度のものを用いる必要があり、溶接欠陥や強度不足を回避するために入熱・パス間温度の管理を厳格に行う必要がある。加えて、溶接組立箱形断面部材を用いた柱-柱間の継手で行われる横向き溶接は、下向き溶接等と比べると難易度が高く、溶接欠陥や強度不足等の問題を生じやすい。
上記課題に鑑み、本発明は、互いに板厚が異なる鋼板を組み合わせて構成される箱形断面部材の溶接継手を、比較的簡単な構成で、合理的かつ健全なものとすることができる、箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 板厚tを有する第一の鋼板と、前記板厚tよりも小さい板厚tを有する第二の鋼板とを、向かい合う一対の面に前記第一の鋼板を配置し、向かい合う他の一対の面に前記第二の鋼板を配置して矩形状断面となるように組み合わせて構成される箱形断面部材同士を、該箱形断面部材の長さ方向に接合する箱形断面部材の溶接継手であって、前記溶接継手では、前記第一の鋼板同士が接合されるとともに前記第二の鋼板同士が接合され、前記溶接継手により接合される一方の前記箱形断面部材の前記第一の鋼板および前記第二の鋼板には開先が形成されず、前記溶接継手により接合される他方の前記箱形断面部材の前記第一の鋼板および前記第二の鋼板にはレ形開先が形成され、前記第一の鋼板に形成される前記レ形開先の開先角度θ、前記第一の鋼板同士の接合のルートギャップr、前記第二の鋼板に形成される前記レ形開先の開先角度θ、および前記第二の鋼板同士の接合のルートギャップrが、θ=θの関係およびr=rの関係を満たす、箱形断面部材の溶接継手。
[2] 前記第一の鋼板の降伏強度σy1および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1≠σy2の関係を満たす、[1]に記載の箱形断面部材の溶接継手。
[3] 前記第一の鋼板の降伏強度σy1および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たす、[1]に記載の箱形断面部材の溶接継手。
[4] 前記第一の鋼板同士の接合のうち前記箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分の接合、および前記第二の鋼板同士の接合は、第一の溶接材料を用いて行われ、前記第一の鋼板同士の接合のうち前記箱形断面部材の断面の外側から厚さ(t-t)の部分の接合は、第二の溶接材料を用いて行われ、前記第一の溶接材料の降伏強度σywa、前記第二の溶接材料の降伏強度σywb、前記第一の鋼板の降伏強度σy1、および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1≦σywb≦σy2≦σywaの関係を満たす、請求項3に記載の箱形断面部材の溶接継手。
[5] [4]に記載の箱形断面部材の溶接継手を形成する溶接方法であって、前記第一の鋼板のうち前記箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分から前記第二の鋼板にかけて連続的に、前記第一の溶接材料を用いて廻し溶接する、箱形断面部材の溶接継手の溶接方法。
本発明の箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法によれば、第一の鋼板および第二の鋼板に形成されるレ形開先の開先角度θ、θが互いに等しく、第一の鋼板同士の接合のルートギャップrが第二の鋼板同士の接合のルートギャップrと等しい。よって、第一の鋼板および第二の鋼板の板厚が互いに異なっていても、第一の鋼板および第二の鋼板への開先加工を容易に行うことができる。
そして、第一の鋼板に形成されるレ形開先のうち箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分の断面形状が、第二の鋼板に形成されるレ形開先の断面形状と共通しているので、これら両者を連続して廻し溶接できる。よって、溶接組立箱形断面部材を用いた柱-柱間の溶接継手を横向き溶接で形成する場合に、溶接の難易度が下がり、入熱・パス間温度の管理も容易となる。この結果、比較的簡単な構成で、合理的かつ溶接欠陥や強度不足等の問題を防止し、健全な溶接継手を形成できる。
図1は、溶接組立箱形断面部材の断面を示す模式図である。 図2(a)および図2(b)は、本発明の箱形断面部材の溶接継手における開先形状を示す図である。 図3(a)および図3(b)は、本発明の箱形断面部材の溶接継手の要部を示す図である。 図4(a)~図4(d)は、本発明の箱形断面部材の溶接継手の溶接が行われる前の状態を示す図である。 図5(a)~図5(d)は、本発明の箱形断面部材の溶接継手の溶接の初期段階を示す図である。 図6(a)~図6(d)は、本発明の箱形断面部材の溶接継手の溶接が終了に近づいた段階を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の箱形断面部材の溶接継手およびその溶接方法の実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態の箱形断面部材の溶接継手は、図1に示すような溶接組立箱形断面部材1同士を長さ方向に接合するものである。図1に示すように、箱形断面部材1は、板厚tを有する第一の鋼板と、板厚tよりも小さい板厚tを有する第二の鋼板とが、矩形状断面となるように組み合わせて、角溶接13により互いに接合されて構成されている。具体的には、向かい合う一対の面に第一の鋼板11が配置され、向かい合う他の一対の面に第二の鋼板12が配置されている。
本実施形態の箱形断面部材の溶接継手では、第一の鋼板11同士が接合されるとともに第二の鋼板12同士が接合されるように、箱形断面部材1同士が長さ方向に接合されている。図1に示すように、箱形断面部材1の端部にはエレクションピース18が設けられ、このエレクションピース18により、箱形断面部材1同士が位置決めされた状態で、突き合わせ溶接されている。
図2(a)および図2(b)に、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手における開先形状を示す。図2(a)および図2(b)に示すように、溶接継手により接合される一方(図2(a)および図2(b)の下側)の箱形断面部材1の第一の鋼板11および第二の鋼板12には開先が形成されていない。これに対し、溶接継手により接合される他方(図2(a)および図2(b)の上側)の箱形断面部材1の第一の鋼板11および第二の鋼板12には、それぞれ開先角度θのレ形開先11a、開先角度θの12aが形成されている。
また、第一の鋼板11のレ形開先11aおよび第二の鋼板12のレ形開先12aの最奥部には、それぞれルートギャップr、rが設けられることで、完全溶け込み溶接が確実に形成されるようにしている。ルートギャップr、rの裏側は、裏当て金16によって塞がれている。裏当て金16は、溶接継手により接合される一方(図2(a)および図2(b)の下側)の箱形断面部材1の端部を塞ぐエンドプレート17の上に載置された状態で、第一の鋼板11または第二の鋼板12の裏面に溶接されて、取り付けられている。
図2(a)および図2(b)に示すように、第一の鋼板11同士の溶接部分の開先幅はr+t・tanθとなり、第二の鋼板12同士の溶接部分の開先幅はr+t・tanθとなる。
本実施形態の箱形断面部材の溶接継手では、第一の鋼板11に形成されるレ形開先11aの開先角度θと、第二の鋼板12に形成されるレ形開先12aの開先角度θとが、θ=θの関係を満たしている。また、第一の鋼板11同士の接合のルートギャップrと、第二の鋼板12同士の接合のルートギャップrとが、r=rの関係を満たしている。このようにすると、箱形断面部材1の端部全体で、ルートギャップが一定かつ開先角度が一定となるように、開先加工を施すことができる。この開先加工は、通常のガス切断やプラズマ切断で行うことが可能である。
図3(a)および図3(b)に、本実施形態の箱形断面部材1の溶接継手の要部を示す。本実施形態の箱形断面部材1では、第一の鋼板11の降伏強度σy1および第二の鋼板12の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たしている。
ここで、溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手では、溶接材料の強度を母材の強度よりも大きくするオーバーマッチ溶接とするのが一般的である。このようにするには、本実施形態の第一の鋼板11同士を接合する溶接材料の強度を第一の鋼板11の強度よりも大きくし、第二の鋼板12同士を接合する溶接材料の強度を第二の鋼板12の強度よりも大きくする必要がある。
ここで、本実施形態の箱形断面部材1の溶接継手では、図3(a)および図3(b)に示すように、第一の鋼板11同士の接合のうち箱形断面部材1の断面の内側から厚さtの部分の接合は、σy2よりも大きい降伏強度σywaを有する第一の溶接材料14を用いて行われている。また、第二の鋼板12同士の接合も、第一の溶接材料14を用いて行われている。また、第一の鋼板11同士の接合のうち箱形断面部材1の断面の外側から厚さ(t-t)の部分の接合は、σy1よりも大きくσywaよりも小さい降伏強度をσywbを有する第二の溶接材料15を用いて行われている。すなわち、第一の溶接材料14の降伏強度σywa、第二の溶接材料15の降伏強度σywb、第一の鋼板11の降伏強度σy1、および第二の鋼板12の降伏強度σy2は、σy1<σywb<σy2<σywaの関係を満たしている。
入熱・パス間温度の管理は、高強度の第一の溶接材料14を用いた溶接の方が、第二の溶接材料15を用いた溶接よりも、厳格に行う必要がある。換言すると、第一の溶接材料14を用いた溶接よりも、第二の溶接材料15を用いた溶接の方が、施工性が良い。このため、第一の溶接材料14を用いた溶接量をできるだけ少なくし、第二の溶接材料15を用いた溶接量を増やした方が、入熱・パス間温度の管理が容易となる。
そこで、本実施形態の箱形断面部材1の溶接継手では、第一の鋼板11に形成されるレ形開先11aのうち、箱形断面部材1の断面の内側から厚さtの部分のみ、第一の溶接材料14を用いて溶接している。そして、第一の鋼板11に形成されるレ形開先11aの残りの部分、すなわち箱形断面部材1の断面の外側から厚さ(t-t)の部分は、第二の溶接材料15を用いて溶接している。
このようにすると、後述するように、第一の鋼板に形成されるレ形開先11aのうち箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分と、第二の鋼板に形成されるレ形開先12aとを、同じ第一の溶接材料14を用いて連続的に廻し溶接できる。よって、溶接組立箱形断面部材を用いた柱-柱間の溶接継手を横向き溶接で形成する場合にも、溶接の難易度が下がり、入熱・パス間温度の管理も容易となるので好ましい。
本実施形態の箱形断面部材1の溶接継手の溶接方法は、上述の箱形断面部材1の溶接継手を形成する溶接方法であって、様々な手順により行うことができるが、例えば以下のような手順で行うことが好ましい。
図4(a)~図4(d)に、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手の溶接が行われる前の状態を示す。図4(a)は、第二の鋼板12部分の縦断面図、図4(b)は箱形断面部材1の角部を外側から見た斜視図、図4(c)は、第一の鋼板11部分の縦断面図、図4(d)は、箱形断面部材1の溶接継手部分の横断面図である。図4(a)~図4(d)には、各図間の向きの関係を分かりやすくするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を併せて図示している。
図5(a)~図5(d)に、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手の溶接の初期段階の状態を示す。図5(a)~図5(d)はそれぞれ、図4(a)~図4(d)に対応する図である。
図5(a)~図5(d)に示すように、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手の溶接の初期段階では、降伏強度σywaを有する第一の溶接材料14を用いて、第一の鋼板11のうち箱形断面部材1の断面の内側から厚さtの部分から第二の鋼板12にかけて連続的に、第一の溶接材料14を用いて廻し溶接を行う。具体的には、第一の鋼板11の平板部から溶接を開始して、第一の鋼板11と第二の鋼板12とが直交している角部で90°廻し溶接を行い、第二の鋼板12の平板部の途中で終了するようにする。
このとき、降伏強度σywaを有する第一の溶接材料14を用いることにより、第一の鋼板11および第二の鋼板12の両方の降伏強度σy1、σy2に対してオーバーマッチ溶接となる。そして、第一の鋼板11に形成されるレ形開先11aのうち箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分は、第二の鋼板12に形成されるレ形開先12aと、断面形状が同じであるので、同じ第一の溶接材料14を用いて、第一の鋼板11から第二の鋼板12にかけて溶接条件を変えることなく同じ形状の積層を行うことができる。よって、溶接組立箱形断面部材を用いた柱-柱間の溶接継手を横向き溶接で形成する場合にも、溶接の難易度が下がり、入熱・パス間温度の管理も容易となる。このような積層を続けると、第一の鋼板11よりも板厚が小さい第二の鋼板12の全断面の溶接が先に終了する。
図6(a)~図6(d)に、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手の溶接が終了に近づいた段階を示す。図6(a)~図6(d)はそれぞれ、図4(a)~図4(d)に対応する図である。
図6(a)~図6(d)に示すように、第二の鋼板12の全断面の溶接が終了した後は、まだ溶接が完了していない第一の鋼板11の平板部のみを、降伏強度σywbを有する第二の溶接材料15を用いて溶接を続ける。これにより、最終的に、箱形断面部材1の全断面で、完全溶込溶接の溶接継手が完成する。このとき、降伏強度σywbを有する第一の溶接材料14を用いることにより、第一の鋼板11の降伏強度σy1に対してオーバーマッチ溶接となる。
なお、上記実施形態では、第一の溶接材料14の降伏強度σywa、第二の溶接材料15の降伏強度σywb、第一の鋼板11の降伏強度σy1、および第二の鋼板12の降伏強度σy2は、σy1<σywb<σy2<σywaの関係を満たすようにした。しかし、本発明の溶接組立箱形断面部材同士の溶接継手は、このような構成に限られない。例えば、第一の溶接材料14の降伏強度σywa、第二の溶接材料15の降伏強度σywb、第一の鋼板11の降伏強度σy1、および第二の鋼板12の降伏強度σy2の一部またはすべてが、互いに等しくても良い。
以下では、本実施形態の箱形断面部材の溶接継手の具体的な実施例について説明する。本実施例では、溶接組立箱形断面部材1の外形を800mm×800mmとしている。第一の鋼板11には、550N/mm級鋼板(設計強度385N/mm)を用い、板厚tを80mmとしている。また、第二の鋼板12には、780N/mm級鋼板(設計強度630N/mm)を用い、板厚tを50mmとしている。この場合、例えば、第一の鋼板11および第二の鋼板12に形成されるレ形開先11a、12aの開先角度θ、θを、θ=θ=30°に設定することができる。また、第一の鋼板11同士の接合のルートギャップrおよび第二の鋼板12同士の接合のルートギャップrを、r=r=7mmに設定することができる。裏当て金16には、例えば断面サイズが9mm×25mmの鋼板を用いることができる。
第一の鋼板11を構成する550N/mm級鋼板に対する横向きCO溶接では、550N/mm級の溶接材料、例えば日本産業規格JISZ3312「軟鋼、高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ」に規定されるYGW18等を用いることができる。そこで、第二の溶接材料15として、YGW18等の550N/mm級の溶接材料を用いることができる。550N/mm級の第二の溶接材料15を用いる溶接は、例えば非特許文献1に記載されるように、予熱なし、入熱を30kJ/cmまたは20kJ/cm以下、パス間温度を250℃以下として行うことができる。
また、第二の鋼板12を構成する780N/mm級鋼板に対する横向きCO溶接では、780N/mm級の溶接材料、例えば日本産業規格JISZに規定されるG78A2UCN4M4T等を用いることができる。そこで、第一の溶接材料14として、G78A2UCN4M4T等の780N/mm級の溶接材料を用いることができる。780N/mm級の第一の溶接材料14を用いる溶接は、例えば非特許文献2に記載されるように、予熱を75℃以上、入熱を20kJ/cm以下、パス間温度を200℃以下とし行うことができる。
1 箱形断面部材
11 第一の鋼板
12 第二の鋼板
11a、12a レ形開先
13 角溶接
14 第一の溶接材料
15 第二の溶接材料
16 裏当て金
17 エンドプレート
18 エレクションピース
第一の鋼板の板厚
第二の鋼板の板厚
θ 第一の鋼板に形成されるレ形開先の開先角度
θ 第二の鋼板に形成されるレ形開先の開先角度
第一の鋼板同士の接合のルートギャップ
第二の鋼板同士の接合のルートギャップ

Claims (5)

  1. 板厚tを有する第一の鋼板と、前記板厚tよりも小さい板厚tを有する第二の鋼板とを、向かい合う一対の面に前記第一の鋼板を配置し、向かい合う他の一対の面に前記第二の鋼板を配置して矩形状断面となるように組み合わせて構成される箱形断面部材同士を、該箱形断面部材の長さ方向に接合する箱形断面部材の溶接継手であって、
    前記溶接継手では、前記第一の鋼板同士が接合されるとともに前記第二の鋼板同士が接合され、
    前記溶接継手により接合される一方の前記箱形断面部材の前記第一の鋼板および前記第二の鋼板には開先が形成されず、前記溶接継手により接合される他方の前記箱形断面部材の前記第一の鋼板および前記第二の鋼板にはレ形開先が形成され、
    前記第一の鋼板に形成される前記レ形開先の開先角度θ、前記第一の鋼板同士の接合のルートギャップr、前記第二の鋼板に形成される前記レ形開先の開先角度θ、および前記第二の鋼板同士の接合のルートギャップrが、θ=θの関係およびr=rの関係を満たす、箱形断面部材の溶接継手。
  2. 前記第一の鋼板の降伏強度σy1および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1≠σy2の関係を満たす、請求項1に記載の箱形断面部材の溶接継手。
  3. 前記第一の鋼板の降伏強度σy1および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たす、請求項1に記載の箱形断面部材の溶接継手。
  4. 前記第一の鋼板同士の接合のうち前記箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分の接合、および前記第二の鋼板同士の接合は、第一の溶接材料を用いて行われ、前記第一の鋼板同士の接合のうち前記箱形断面部材の断面の外側から厚さ(t-t)の部分の接合は、第二の溶接材料を用いて行われ、
    前記第一の溶接材料の降伏強度σywa、前記第二の溶接材料の降伏強度σywb、前記第一の鋼板の降伏強度σy1、および前記第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1≦σywb≦σy2≦σywaの関係を満たす、請求項3に記載の箱形断面部材の溶接継手。
  5. 請求項4に記載の箱形断面部材の溶接継手を形成する溶接方法であって、前記第一の鋼板のうち前記箱形断面部材の断面の内側から厚さtの部分から前記第二の鋼板にかけて連続的に、前記第一の溶接材料を用いて廻し溶接する、箱形断面部材の溶接継手の溶接方法。
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