JP2023087368A - 温熱具 - Google Patents

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Asami Mishiro
圭二 吉井
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【課題】温熱効果に加え、頬への圧迫によるマッサージ効果を得ることが可能な温熱具に関する。【解決手段】着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な上下方向及び横方向の長さを有するマスク本体と、マスク本体に設けられた発熱体と、マスク本体の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、マスク本体により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体を着用者の顔前に保持させる耳掛け部とを備え、マスク本体は、該マスク本体の横方向の中心と各側部との間に、それぞれ横方向に延在するスリットを有し、発熱体は、少なくともスリットよりも顎下側の領域に存在しており、耳掛け部のマスク本体との接続部における上下方向の下端部は、スリットよりも顎下側に位置している。【選択図】図1

Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、肌トラブルの解消等の美容の目的やリラックス効果を得る目的で、顔全体を覆うフェイスマスクが種々提案されている。例えば特許文献1及び2には、顔全面を覆うに足る大きさの接顔部を有するマスク本体と、該マスク本体の横方向の左右側部の位置に、該マスク本体の上下方向に沿って2個ずつ取り付けられた耳掛け部とを備え、マスク本体の接顔部に発熱機能を持たせたフェイスマスクが開示されている。特許文献1及び2のフェイスマスクによれば、接顔部の発熱機能によって着用者の顔を温め、血流促進等の効果を得ることが可能である。
特開2014-97426号公報 特開2010-259654号公報
近年、美容の目的やリラックス効果を得る目的で、顔のコリをほぐすための顔マッサージも行われている。しかしながら、特許文献1及び2のフェイスマスクは、マスク本体の上下方向に沿って2個ずつ取り付けられた耳掛け部によって、着用者の顔に対するマスク本体のフィット性を向上させることができるものの、頬への圧迫を意図した構造とはなっていない。このため、特許文献1及び2のフェイスマスクには、マッサージ効果を付与するという観点において、改善の余地がある。
本発明は、温熱効果に加え、圧迫によるマッサージ効果を得ることが可能な温熱具に関する。
本発明は、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な上下方向及び横方向の長さを有するマスク本体と、前記マスク本体に設けられた発熱体と、前記マスク本体の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、前記マスク本体により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体を着用者の顔前に保持させる耳掛け部とを備え、前記マスク本体は、該マスク本体の横方向の中心と各側部との間に、それぞれ横方向に延在するスリットを有し、前記発熱体は、少なくとも前記スリットよりも顎下側の領域に存在しており、前記耳掛け部の前記マスク本体との接続部における上下方向の下端部は、前記スリットよりも顎下側に位置している温熱具に関する。
本発明に係る温熱具によれば、温熱効果に加え、圧迫によるマッサージ効果を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る温熱具を示す図である。 本実施形態に係る温熱具の折り畳み状態を示す図である。 本実施形態に係る温熱具の開放側端部を拡開させた状態を示す図である。 耳掛け部を折り込んだ状態を示す図である。 発熱体の断面を概略的に示す図である。 水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。 発熱体の位置関係を示す図である。 着用者に対する温熱具の装着過程を示す図である。 着用者に対して温熱具を装着させた状態を示す図である。 第1変形例に係る温熱具を示す図である。 第2変形例に係る温熱具を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
[温熱具の全体構成]
本実施形態に係る温熱具1は、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能なフェイスマスクタイプの温熱具であり、図1に示すように、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な上下方向及び横方向の長さを有するマスク本体2と、マスク本体2に設けられた発熱体20と、マスク本体2の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、マスク本体2により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体2を着用者の顔前に保持させる耳掛け部30とを備えている。
[用語の定義]
なお、本明細書において、「少なくとも頬を覆う」とは、マスク本体2の上下方向において少なくとも下瞼(下眼瞼)の下端部から下唇に至る領域を覆い、かつ、横方向において少なくとも左右の頬間の領域を覆うことを意味する。また、「少なくとも頬を覆う」には、「顔全体を覆う」ことも概念的に含まれており、「顔全体を覆う」とは、上下方向において少なくとも上瞼から顎先に至る領域を覆い、かつ、横方向において少なくとも左右の頬間の領域を覆うことを意味する。さらに、「顎下を覆う」とは、マスク本体2の上下方向において少なくとも顎先から首元、より好ましくは喉頭に至る領域を覆い、かつ、横方向において少なくとも下顎骨における左右の下顎角間の領域を覆うことを意味する。なお、「下顎角」とは、下顎の後縁にある角のことをいい、より具体的には、下顎骨の下縁から下顎枝の後縁に移行する隅角部のことをいう。また、「覆う」とは、マスク本体2の内面が着用者の顔及び顎下の所定領域上に位置することを意味し、マスク本体2の内面が着用者の顔及び顎下と全面的に接触する態様に限定されず、マスク本体2の内面と着用者の顔及び顎下とが局所的に接触する態様も含まれる。
また、本明細書において、後述する第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが結合された側の縁部を「閉塞側端部6」といい、該閉塞側端部6を除く縁部、すなわち、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bの互いに結合されていない縁部を「開放側端部5」という。本実施形態において、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、閉塞側端部6を境として左右対称の形状を有しており、これにより、閉塞側端部6は、マスク本体2の横方向の中心に位置している。すなわち、閉塞側端部6は、マスク本体2を横方向に二分する「上下中心線」を構成している。
また、本明細書において、マスク本体2を上下中心線(閉塞側端部6)を境として二つ折りし、これを平面方向から見た状態(すなわち、図2の状態)における上下方向上側を「目側」といい、同状態における上下方向下側を「顎下側」という。ここで、「目側」は、着用時において目側に配置される側であり、「顎下側」は、同状態において顎下側に配置される側である。さらに、本明細書では、着用者の顔にマスク本体2を着用させた状態における上下方向は体軸に沿う方向であり、同状態における着用者の顔の幅方向を「横方向」という。
[マスク本体の構成]
マスク本体2は、図1に示すように、該マスク本体2の半周面を形成する第1パネル部10Aと、残りの半周面を形成する第2パネル部10Bとを備えている。第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、それぞれ同形同大のシート状部材からなり、図2に示すように、第1パネル部10Aの横方向の一方の縁部と、第2パネル部10Bの横方向の一方の縁部とが、後述する呼吸孔8を除いて互いに結合される。これにより、第1パネル部10Aの開放側端部5と第2パネル部10Bの開放側端部5とを互いに離間する方向に拡開させ、マスク本体2を舟状に変形させることが可能となる。
本明細書において、このようにマスク本体2を立体的に変形させた状態における形状を「立体状」といい、変形させる前の折り畳まれた状態(すなわち、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが互いに重ね合わされた状態(図2参照))を「折り畳み状」という。なお、「舟状」とは、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bの拡開された開放側端部5により、環状の開口が形成され、かつ、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bにより、拡開された環状の開放側端部5から閉塞側端部6に向けて収束する周面が形成された形状を意味する。この場合における「環状」には、円形状だけではなく多角形状も含まれ、また、上下方向又は横方向に長手方向を有する縦長又は横長の形状も含まれる。また、閉塞側端部6が線状の構成に限定されず、閉塞側端部6が平面状の底部を有する構成としても良い。
第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを結合させる手段は、両パネル部10A,10Bが分離しないよう結合可能な手段であれば特に制限されず、例えば圧着、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着及び接着剤等の任意の手段を採用することができる。また、各結合部は、図示の例では、形成領域においてストライプ模様を形成するように配置された構成(ストライプパターン)であるが、これに限定されず、例えば、形成領域全面が圧着された構成(連続シール状)等の種々の構成を採用することが可能である。なお、別体として形成された第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを機械的に結合させる構成に代えて、例えば第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが当初から一体として形成された構成であっても良い。
また、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、図3に示すように、開放側端部5の開口を拡開させることで立体状に変形可能に構成されている。すなわち、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、開放側端部5の開口を拡開させることにより、互いに離間する方向に凸となるよう円曲面状に湾曲し、閉塞側端部6を底部、開放側端部5を開口縁部とする形状に変形するよう構成されている。このように第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが変形することにより、マスク本体2は、拡開された開放側端部5が顔側に向き、閉塞された閉塞側端部6が顔とは反対側に向いた状態、すなわち、横向きに開口した舟状となる。マスク本体2は、立体状に保形させた状態における横方向の中央部に、該横方向と直交する方向に延びる上下中心線を有しており、該上下中心線を境とした横方向の一方側が第1パネル部10Aを構成し、横方向の他方側が第2パネル部10Bを構成している。すなわち、第1パネル部10Aは、開放側端部5から閉塞側端部6に至る周面の半分(左右いずれかの半周面)を形成し、第2パネル部10Bは、開放側端部5から閉塞側端部6に至る周面の残部(残りの半周面)を形成している。
マスク本体2の開放側端部5は、図3に示すように、立体状に保形させた状態において、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な大きさの開口を形成するよう構成されている。具体的には、マスク本体2の開放側端部5の開口の周長は、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆う観点から、400mm以上であることが好ましく、500mm以上であることがより好ましく、600mm以上であることが更に好ましく、650mm以上であることがより更に好ましい。また、マスク本体2の開放側端部5の開口の周長は、着用者の顔との隙間を抑え、蒸気の漏れを抑える観点から、900mm以下であることが好ましく、800mm以下であることがより好ましく、750mm以下であることが更に好ましく、700mm以下であることがより更に好ましい。ここで、「開放側端部5の開口の周長」とは、開放側端部5の開口縁の合計長さを意味し、本実施形態においては、第1パネル部10Aの開放側端部5の後述する目側縁部5a、顎下側縁部5b及び耳掛け接合部5cの長さと、第2パネル部10Bの開放側端部5の後述する目側縁部5a、顎下側縁部5b及び耳掛け接合部5cの長さとの合計値を意味する。
なお、本実施形態に係るマスク本体2は、使用前から開口部分が開口されている構成に限定されず、使用時に開口できるように構成されていてもよい。具体的には、使用時には開口部分はなく、開口縁となる部分にミシン目が入っており、使用時に開口させるように形成されていてもよい。
また、マスク本体2は、開放側端部5の目側の頂点(後述する交点IPt)が少なくとも鼻先、好ましくは鼻元に位置し、開放側端部5の顎下側の頂点(後述する交点IPb)が首元、好ましくは喉頭に位置することが可能な上下方向の長さを有することが好ましい。このような観点から、マスク本体2は、図2に示すように、マスク本体2が上下中心線(閉塞側端部6)を境として折り畳まれた状態の平面視において、該上下中心線の上下方向上端部と上下方向下端部とを直線的に結ぶ仮想線VLの長さLが、110mm以上であることが好ましく、130mm以上であることがより好ましく、150mm以上であることが更に好ましく、170mm以上であることがより更に好ましい。また、この仮想線VLの長さLは、着用者の顔の大きさの範囲内に設定し、着用時に顔と温熱具との間に大きな隙間を生じさせないことが好ましい。かかる観点から、仮想線VLの長さLは、250mm以下であることが好ましく、230mm以下であることがより好ましく、210mm以下であることが更に好ましく、190mm以下であることがより更に好ましい。
ここで、「上下中心線の上下方向上端部」とは、開放側端部5の後述する目側縁部5aと、閉塞側端部6の目側の端部(上端部)との交点IPtをいい、「上下中心線の上下方向下端部」とは、開放側端部5の後述する顎下側縁部5bと、閉塞側端部6の顎下側の端部(下端部)との交点IPbをいう。なお、閉塞側端部6の目側の端部(上端部)及び/又は閉塞側端部6の顎下側の端部(下端部)が円弧状に形成されている場合など、交点IPt,IPbを明確に特定することが困難な場合には、開放側端部5と閉塞側端部6とが交わる部分において曲率半径が最小となる部分を交点IPt,IPbと認定しても良い。また、図2に示すように、閉塞側端部6に結合部(シール部)が形成されている場合には、「仮想線VLの長さL」は、結合部(シール部)を含む寸法(すなわち、外寸)をいうものとする。
さらに、マスク本体2は、第1パネル部10Aの開放側端部5の後述する耳掛け接合部5cが一方の頬及び下顎角よりも一方の耳側に位置し、第2パネル部10Bの開放側端部5の後述する耳掛け接合部5cが他方の頬及び下顎角よりも他方の耳側に位置することが可能な奥行方向の長さを有することが好ましい。このような観点から、マスク本体2は、図2に示すように、マスク本体2が上下中心線(閉塞側端部6)を境として折り畳まれた状態の平面視において、開放側端部5から閉塞側端部6までの奥行PDが、70mm以上であることが好ましく、80mm以上であることがより好ましく、90mm以上であることが更に好ましく、100mm以上であることがより更に好ましい。また、この奥行PDは、着用者の顔の大きさの範囲内に設定し、着用時に顔と温熱具との間に大きな隙間を生じさせないことが好ましい。かかる観点から、奥行PDは、140mm以下であることが好ましく、130mm以下であることがより好ましく、120mm以下であることが更に好ましく、110mm以下であることがより更に好ましい。ここで、「奥行PD」は、マスク本体2の最も奥行の大きい部位における奥行を意味し、本実施形態においては、折り畳み状のマスク本体2における閉塞側端部6の最も膨張した点(膨張点)Pmaxから開放側端部5に亘って水平(上下方向と直交する横方向)に延びる直線距離をいう。
また、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、図2に示すように、それぞれ、開放側端部5から閉塞側端部6に向けて先太りとなる形状、本実施形態では略扇状に形成されている。具体的には、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bの各開放側端部5は、図2に示すように、耳掛け部30が接合される耳掛け接合部5cと、該耳掛け接合部5cの目側の端部(上端部)から閉塞側端部6の目側の端部(上端部)に亘って延びる目側縁部5aと、耳掛け接合部5cの顎下側の端部(下端部)5cbから閉塞側端部6の顎下側の端部(下端部)に亘って延びる顎下側縁部5bとを有している。また、閉塞側端部6は、耳掛け接合部5cとは離れる方向に凸となる円弧状に形成されている。
目側縁部5a、顎下側縁部5b及び耳掛け接合部5cの形状は、着用者の顔(特に、鼻、頬、顎先及び顎下)にフィットしやすくなるよう適宜調整されるものであり、それぞれ、直線、円弧状、局所的に凸部や曲線部を有する形状等の種々の任意の形状を採用することが可能である。例えば、本実施形態においては、耳掛け接合部5cは、上下方向に沿って延びる直線状に形成されており、顎下側縁部5bは、横方向に沿って延びる直線状に形成されている。また、目側縁部5aは、耳掛け接合部5cの目側の端部から横方向に沿って直線状に延出した後、上下方向上方に向けて円弧状に湾曲した形状に形成されている。また、閉塞側端部6は、円弧状に限定されず、直線、屈曲線及び円弧等を任意に組み合わせた種々の形状を採用可能である。
[呼吸孔の構成]
また、マスク本体2は、図2に示すように、着用者の鼻及び口元に対応する領域に呼吸孔8を有する。呼吸孔8は、マスク本体2の着用者の鼻及び口元に対応する領域に形成された開口であり、鼻及び口元を露出させることが可能な大きさを有している。なお、呼吸孔8は、開口に限定されず、着用者の鼻及び口元に対応する領域に形成された切り込み等の任意の構成を採用可能である。また、着用者の鼻及び口元の双方を露出させる構成に限定されず、着用者の鼻のみを露出させる構成であっても良いし、着用者の口元のみを露出させる構成であっても良い。
[スリットの構成]
さらに、マスク本体2は、図2に示すように、該マスク本体2の横方向の中心(上下中心線)と各側部(各耳掛け接合部5c)との間にそれぞれスリット7を有している。すなわち、スリット7は、第1パネル部10Aと第2パネル部10Bとの双方に形成されている。
スリット7は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図2に示すように、横方向に沿って延在するよう形成されている。ここで、「横方向に沿って延在」とは、スリット7を「向き」と「大きさ」を有する二次元ベクトルと見立て、該スリット7の「向き」及び「大きさ」をベクトル成分表示(x,y)で表した場合において、スリット7のマスク本体2の横方向に沿う横方向成分(x方向の移動量)が、該マスク本体2の上下方向に沿う上下方向成分(y方向の移動量)よりも大きいことをいう。なお、スリット7が直線状以外の形状、例えば波状等の曲線状である場合には、スリット7の閉塞側端部6側の端部と開放側端部5(耳掛け接合部5c)側の端部7aとを結ぶ仮想的な直線をスリット7の延在方向とみなしてもよい。
また、スリット7は、連続的な線が一つないし複数あってもよい。また、使用前は、ミシン目で断続的に結合しており、使用時に連続的な線になるようなものであってもよい。
具体的には、スリット7は、該スリット7と、上下中心線の上下方向上端部と上下方向下端部とを直線的に結ぶ仮想線VLとのなす角θが、図2に示すように、着用時に顎部と温熱具との間に大きな隙間を生じさせず、かつ、着用時に上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが重なり合い、着用者の頬への圧度を高めてマッサージ刺激を与える観点から、80°以上であることが好ましく、85°以上であることがより好ましく、90°以上であることが更に好ましい。また、当該角度θは、着用時に鼻部と温熱具1との間に大きな隙間を生じさせず、かつ、着用時に顎や頬を含む顔への過度な圧迫を防ぐ観点から、120°以下であることが好ましく、110°以下であることがより好ましく、100°以下であることが更に好ましい。なお、スリット7が直線状以外の形状である場合には、上記のとおり延在方向を特定し、該延在方向を基準として角度θを特定してもよい。
なお、スリット7の角度は、上記仮想線VLではなく、水平線(マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視における水平線)を基準として特定することも可能である。具体的には、スリット7は、マスク本体2を上下中心線を境として折り畳み、顎下側縁部5bが水平線と並行になるよう配置した状態(図2の状態)の平面視において、該水平線に対する該スリット7の角度θ´(図示せず)が、着用時に顎部と温熱具との間に大きな隙間を生じさせず、かつ、着用時に上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが重なり合い、着用者の頬への圧度を高めてマッサージ刺激を与える観点から、マイナス20°以上であることが好ましく、マイナス15°以上であることがより好ましく、マイナス10°以上であることが更に好ましい。また、当該角度θ´は、着用時に鼻部と温熱具1との間に大きな隙間を生じさせず、かつ、着用時に顎や頬を含む顔への過度な圧迫を防ぐ観点から、20°以下であることが好ましく、15°以下であることがより好ましく10°以下であることが更に好ましい。適度な頬へのマッサージ刺激と着用時の快適さを両立させる観点から、θ´は0°であることが最適である。
スリット7は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図2に示すように、着用時に上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが大きな隙間を生じさせずに重なり合い、また、スリット7の閉塞側端部6側の端部の浮きを減らす観点から、上記仮想線VLの長さLの20%以上の長さSLを有することが好ましく、30%以上の長さSLを有することがより好ましく、35%以上の長さSLを有することが更に好ましい。また、スリット7の延在方向の長さSL(図2参照)は、頬への圧とマッサージ効果をだす観点から、上記仮想線VLの長さLの80%以下の長さを有することが好ましく、50%以下の長さを有することがより好ましく、40%以下の長さを有することが更に好ましい。
このような観点から、スリット7の延在方向の長さSL(図2参照)は、40mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく、60mm以上であることが更に好ましく、また、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることが更に好ましい。なお、スリット7が直線状以外の形状である場合には、スリット7の閉塞側端部6側の端部と開放側端部5(耳掛け接合部5c)側の端部7aとを結ぶ仮想的な直線の長さをスリット7の長さSLとみなしてもよい。
本実施形態において、スリット7は、マスク本体2の上下中心線(閉塞側端部6)と開放側端部5との間の領域内に収まるよう配置されている。すなわち、本実施形態に係るスリット7は、開放側端部5側の端部7aが開放側端部5まで至っておらず、また、上下中心線側の端部が閉塞側端部6又は呼吸孔8まで至っていない。ただし、これに限定されず、スリット7は、開放側端部5側の端部7aが開放側端部5に至っていても良い(開放側端部5側が切りっ放しの構成であっても良い)。
スリット7は、図2及び図3に示すように、各パネル部10A,10Bにおいて、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとの間に形成されている。また、スリット7は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図2に示すように、上部耳掛け部301A,301Bと下部耳掛け部302A,302Bとの境界部分と略同じ上下方向の高さ位置に形成されている。より好適には、スリット7は、着用者の耳に対して上部耳掛け部301A,301Bが装着された際に、着用者の耳の下部側の付け根(すなわち、耳たぶの根元)よりもやや上下方向下部側に位置するよう形成されている。
スリット7は、着用時におけるマスク本体2の歪みを効率良く吸収する観点から、後述する外面シート16及び内面シート14の双方を貫通することが好ましいが、これに限定されず、外面シート16のみを貫通する構成であっても良いし、内面シート14のみを貫通する構成であっても良い。
[第1パネル部及び第2パネル部のシート構成]
第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、シート状であり、さらに具体的には、それぞれ一枚のシートから形成されている。第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを形成する一枚のシートとは、単一の構造(単層構造)でもよく、或いは複数枚のシートが積層された一体的な多層構造でもよい。第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを形成するシート状部材は、複数枚のシートに別個の機能を付与することで、マスク本体2に種々の機能を付与することが可能となることから、多層構造とすることが好ましい。複数枚のシートを用いる場合には、各シート同士は、エンボスやラミネート状態でもよく、全面が接合されていても、シート間が離間した状態でもよい。また、各シート間が離間した状態の場合の各シート同士の接合は、マスク本体2の形状に沿って各シートの縁をシールしてもよく、縁の一部をポイントシールにより結合するのみでもよい。
以下、本実施形態の説明では、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが多層構造の一枚のシートにより形成されるものとして説明する。具体的には、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、図1に示すように、それぞれ、立体状となった際の内面を形成する内面シート14と、立体状となった際の外面を形成する外面シート16とを備えている。内面シート14及び外面シート16は、同形同大に形成されており、これら内面シート14及び外面シート16が積層された多層構造の一枚のシートとなっている。なお、既述のとおり、それぞれ一枚のシートからなる第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを機械的に結合させる構成に代えて、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが当初から一体として一枚のシートを形成する構成であっても良い。
本実施形態に係るマスク本体2においては、内面シート14と外面シート16との間に、発熱体20が配されている。すなわち、内面シート14及び外面シート16の双方が後述するように単層又は多層の不織布からなる場合には、発熱体20は、2枚以上の不織布に挟まれることとなる。ただし、これに限定されず、マスク本体2の内面にポケット状の収納部を設け、該収納部に発熱体20を着脱させる構成としても良いし、粘着剤等の固定手段を用いてマスク本体2の内面に発熱体20を固定する構成としても良い。また、外面シート16と内面シート14とを局所的に非接着とすることにより、外面シート16と内面シート14との間に発熱体20を挿脱可能な開口及び収納空間を形成する構成としても良い。
外面シート16には、接着剤(図示せず)が塗布されており、該接着剤を介して発熱体20及び内面シート14が接着されている。接着剤としては、ホットメルト型接着剤を用いることが好ましいが、これに限定されず、種々の公知の固定手段を用いることができる。なお、外面シート16に接着剤を塗布する構成に代えて、又はこれに加えて、内面シート14に接着剤を塗布する構成を採用することも可能である。
内面シート14及び外面シート16の材料は、フェイスマスクの技術分野において従来から用いられているものを用いることができ、一定の通気性を有するものであれば特にその種類に制限はない。例えば不織布、織布、紙などの繊維シート、樹脂発泡シート、金属シート又はこれらの組み合わせ等が用いられる。なかでも、加工のしやすさや経済性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布の繊維素材としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル;PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン;レーヨン;コットン等から選択される1種又は2種以上の繊維で構成されるものが好ましい。また、不織布としては、前記の1種又は2種以上の素材の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法等により製造されたものを用いることができ、単層でも多層構造でもよい。なお、不織布は、目的に応じ化学処理を行ってもよい。
内面シート14は、通気性であることが、放散される蒸気の作用を着用者の顔に効率よく作用させる観点から好ましい。一方、外面シート16は、製品の設計に応じて任意の材料を用いることができ、通気性シートでも非通気性シートでもよく、また、伸縮性を有していてもよく、非伸縮性であってもよい。伸縮性を有するシートとしては、構成繊維として弾性繊維を含むシート、弾性フィラメントを含むシート、ゴム編等の構造により伸縮性を発現するシート等が挙げられる。
また、内面シート14及び外面シート16は、着用時において着用者の輪郭に沿って変形可能な柔軟性を有しつつ、マスク本体2の形状を安定に保ち、発熱体20を安定に保持することが可能な剛性を発揮可能な坪量を有するものであれば良い。内面シート14は、肌あたり改善を目的とした構成材料を選択することが好ましく、外面シート16は、マスク本体2に上記剛性を与える上で適した構成材料を選択することが好ましい。
具体的には、内面シート14の坪量は、使用中に心地よい触感を与える観点から、35g/m以上であることが好ましく、40g/m以上であることがより好ましく、45g/m以上であることが更に好ましく、50g/m以上であることがより更に好ましい。また、内面シート14の坪量は、着用者に蒸気を効率よく供給する観点から、85g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることがより好ましく、75g/m以下であることが更に好ましく、70g/m以下であることがより更に好ましい。
内面シート14の厚みは、200μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることが更に好ましい。また、内面シート14の厚みは、1mm以下であることが好ましく、900μm以下であることがより好ましく、800μm以下であることが更に好ましい。
また、外面シート16の坪量は、マスク本体2の形状を安定に保ち、発熱体20を安定に保持する観点から決定される。かかる観点から、5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることがより好ましく、15g/m以上であることが更に好ましく、20g/m以上であることがより更に好ましい。また、外面シート16の坪量は、マスクの重みによるズレを防止し、心地よいつけ心地を持たせる観点から、70g/m以下であることが好ましく、60g/m以下であることがより好ましく、50g/m以下であることが更に好ましく、40g/m以下であることがより更に好ましい。
また、内面シート14の透気度は、蒸気を効率良く付与する観点から、300秒/100mL以下であることが好ましく、200秒/100mL以下であることがより好ましく、100秒/100mL以下であることが更に好ましく、5秒/100mL以下であることがより更に好ましく、また、0秒/100mLであることが最も好ましい。こうした透気度を満足すれば、内面シート14は、その一部が透気性を有しない非透気性シートであってもよい。透気度が100秒/100mL以下の内面シート14を用いる場合には、発熱体20からの水蒸気を、内面シート14から効率よく排出させることができる。
ここで、透気度は、以下のようにして計測することができる。透気度はJIS P8117(2009年改正版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.42cmの面積を通過する時間として定義される。したがって、透気度の数値が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。逆に、透気度の数値が小さいことは通気性が高いことを意味している。このように、透気度の数値の大小と通気性の高低とは逆の関係を示す。透気度は、王研式透気度計で計測することができる。なお、本明細書中において、この透気度が30000秒/100ml以上となるものを「難通気」、80000秒/100ml以上となるものを「非通気」であるものとして扱う。
以上の構成を備えるマスク本体2は、使用前においては、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが上下中心線(閉塞側端部6)に沿って二つ折りされることで、平面状に折り畳まれている。なお、この状態において、後述するように耳掛け部30をマスク本体2の内側に折り込んで収納することで(図4参照)、コンパクト化することが可能である。一方、マスク本体2は、使用時に上下中心線(閉塞側端部6)とは反対側の縁部(開放側端部5)から開かれ、マスク本体2が折り畳まれていた内側の面が着用者側の面となるようにして、着用される。すなわち、マスク本体2は、使用時に第1パネル部10Aの開放側端部5と第2パネル部10Bの開放側端部5とが互いに引き離されることにより、上下中心線を中心として閉塞側端部6がマスク本体2の前方へ突出し、立体状となるよう構成されている。このような立体状に形成されたマスク本体2では、拡開された開放側端部5の開口が着用者の顔面に沿って密接するため、着用者の顔面とマスク本体2との間に隙間が生じにくくなるという利点がある。
[耳掛け部の構成]
耳掛け部30は、マスク本体2の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、マスク本体2により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体2を着用者の顔前に保持させるものである。以下、耳掛け部30の一例について、説明する。
本実施形態において、耳掛け部30は、着用者の耳に取り付け可能な耳掛けであり、マスク本体2の横方向の両側部(左右端部)に上下方向に沿って2個ずつ、計4個設けられている。すなわち、第1パネル部10Aの耳掛け接合部5cに設けられた耳掛け部30は、上部耳掛け部301Aと、該上部耳掛け部301Aよりも顎下側に配置された下部耳掛け部302Aとを備えている。また、第2パネル部10Bの耳掛け接合部5cに設けられた耳掛け部30は、上部耳掛け部301Bと、該上部耳掛け部301Bよりも顎下側に配置された下部耳掛け部302Bとを備えている。
以下、全ての耳掛け部30(上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302B)を総称して、「耳掛け部30」又は「2組の耳掛け部30」という。2組の耳掛け部30は、第1パネル部10A側の2個の耳掛け部30(上部耳掛け部301A及び下部耳掛け部302A)を1組とし、第2パネル部10B側の2個の耳掛け部30(上部耳掛け部301B及び下部耳掛け部302B)を1組とする。
第1パネル部10A側の上部耳掛け部301Aと、第2パネル部10B側の上部耳掛け部301Bとは、同形同大に形成されており、上下中心線(閉塞側端部6)を中心として対称の位置に設けられている。また、第1パネル部10A側の下部耳掛け部302Aと、第2パネル部10B側の下部耳掛け部302Bとは、同形同大に形成されており、上下中心線(閉塞側端部6)を中心として対称の位置に設けられている。一方、上部耳掛け部301A,301Bと下部耳掛け部302A,302Bとは、異なる形状に形成されている。ただし、上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302Bの形状は、具体的な用途に応じて任意に変更可能であり、上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302Bを同形同大に形成しても良い。
耳掛け部30は、図2に示すように、それぞれ、耳掛け部本体31と、着用者の耳が挿通可能な耳掛け孔32と、マスク本体2と耳掛け部本体31を接合するシール部39(図4参照)とを有している。
耳掛け部本体31は、上辺と、下辺と、マスク本体2に接合されていない耳掛け部30の開放側の開放縁と、マスク本体2の開放側端部5の耳掛け接合部5cに接合されている接合縁とを有している。本実施形態において、耳掛け部本体31は平面状であり、角丸略四角形状をしている。具体的には、上辺と下辺は、接合縁から開放縁に向かうに従って先細りとなっており、開放縁は、円弧状に形成されている。なお、耳掛け部本体31の形状は、角丸略四角形状に限定されず、種々の形状を採用可能である。
本実施形態において、各耳掛け部30のマスク本体2の横方向に平行な長さ(mm)が、マスク本体2の横方向の長さ(mm)の半分以下、すなわち、各パネル部10A,10Bの横方向の長さ(mm)以下であることが好ましい。これにより、温熱具1を上下中心線で二つ折りにした際に、耳掛け部30がマスク本体2と重なり、マスク本体2の内部で不自然に折りたたまれ、厚みが増したり、耳掛け部30どうしが絡まったりすることを抑制し、温熱具1をよりコンパクトにまとめることができる。また、図4に示すように、耳掛け部30がマスク本体2の内側に折り畳まれる場合は、耳掛け部30が汚染されにくくなり、さらに衛生面を向上できる。なお、耳掛け部30のマスク本体2の横方向に平行な長さとは、耳掛け部30が伸長されていない状態(温熱具1の使用前の状態)における長さ(以下、「初期の長さ」という)を意図する。
上部耳掛け部301A,301Bの長さED1(図2参照)は、着用者の耳に装着された際に上部耳掛けが長時間着用してもズレず保たれる観点から、30mm以上であることが好ましく、35mm以上であることがより好ましく、40mm以上であることが更に好ましく、また、中心線から折りたたんだ時にマスク本体2の内部で不自然に折りたたまれない観点から、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることが更に好ましい。なお、「上部耳掛け部301A,301Bの長さED1」とは、図2に示すように、上部耳掛け部301A,301Bの接合縁の中央点から開放縁の中央点を結んだ直線の初期の長さをいう。
また、下部耳掛け部302A,302Bの長さED2(図2参照)は、下部耳掛けの圧が頬に掛かりつつ、且つ耳への負担を低減させる観点から、40mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく、60mm以上であることが更に好ましく、また、中心線から折りたたんだ時にマスク本体2の内部で不自然に折りたたまれない観点から、100mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることが更に好ましい。なお、「下部耳掛け部302A,302Bの長さED2」とは、図2に示すように、下部耳掛け部302A,302Bの接合縁の中央点から開放縁の中央点を結んだ直線の初期の長さをいう。
2組の耳掛け部30は、それぞれ、マスク本体2との接続部における上下方向の下端部が、スリット7よりも顎下側に位置している。本実施形態においては、下部耳掛け部302A,302Bの接合縁の下端部30aが、マスク本体2に形成されたスリット7よりも上下方向の下方(顎下側)に位置している。具体的には、スリット7の耳掛け接合部5c側の端部7aと、下部耳掛け部302A,302Bの接合縁の下端部30aとの間の距離ΔHは、耳掛けをかけた時にちぎれるリスクを軽減する観点から、30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることが更に好ましく、また、良い見た目を保持する観点から、100mm以下であることが好ましく、90mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることが更に好ましい。ここで、距離ΔHは、スリット7の耳掛け接合部5c側の端部7aから下部耳掛け部302A,302Bの接合縁の下端部30aまでの上下方向(鉛直方向)に沿った直線距離をいう。このような構成により、マスク本体2を顎下側から頬側に向けて持ち上げながら着用者の顔に圧接させることが可能となる。特に、後述するよう、スリット7よりも顎下側の領域に発熱体20が存在することにより、マスク本体2よりも剛性の高い発熱体20により着用者の顔を圧迫することが可能となり、優れたマッサージ効果を発揮することができる。
耳掛け部30は、マスク本体2と同様な材料であってもよく、異なる材料であってもよいが、着用者の顔に対するマスク本体2の圧度を良好にする観点から、伸縮性を有する材料であることが好ましく、マスク本体2の横方向に伸長しやすいものがよい。本実施形態においては、耳掛け部30は不織布からなることが好ましく、伸縮性を有する不織布であることがより好ましい。マスク本体2との結合性の観点から、構成繊維として熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。更に、加工のし易さの観点から、ポリプロピレンを含むことがより好ましい。なお、耳掛け部30は、ポリプロピレン以外の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを更に含んでも良く、例えば、ウレタン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる一種以上を更に含むことが好ましく、ウレタンからなる合成繊維を用いることがより好ましい。このような構成となっていることによって、耳掛け部30の柔軟性及びフィット性を効率良く発現させることができるとともに、温熱具1の使用時に十分な強度を発現できる。
本実施形態において、耳掛け孔32は、着用者の耳を挿入可能な耳挿通孔部32aと、該耳挿通孔部32aから枝分かれして形成された補助切り込み32bとを有している。本実施形態において、耳挿通孔部32aは、耳を挿通することで拡開される切り込みであるが、これに限定されず、耳を挿通可能な大きさからなる開口であっても良いし、他の任意の構成であっても良い。また、補助切り込み32bは、耳掛け部30の柔軟性及びフィット性を効率良く発現させる役割を果たすが、所望の形態により、図示の個数や場所以外の個数や場所に変更しても良いし、図示の形状以外の形状を採用しても良い。さらに、補助切り込み32bは、設けられなくても良い。
また、シール部39は、例えば、熱融着によってマスク本体2の開放側端部5の耳掛け接合部5cに接合されている。融着させる観点から、耳掛け部30と、内面シート14及び外面シート16は、同種の材料(ポリプロピレン)を含有していることが好ましい。なお、シール部39は、加熱による融着に限定されず、例えば接着剤を用いた接着、縫着等の種々の任意の手段を適宜採用することができる。また、シール部39は、直線状に限定されず、曲線状や破線状等の種々の任意の形状を採用することが可能である。
ここで、耳掛け部30が上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302Bを有する形態の場合につき、頬へ圧を与えつつ耳裏への痛み軽減のため、耳掛け部の応力について説明をする。なお、耳掛け部30の上部耳掛け部301A,301Bの応力は、下部耳掛け部302A,302Bと併用した際、耳裏へ痛みが無い限り、適宜調整してよい。
下部耳掛け部302A(302B)は、引張時に指に対して付与される引張時荷重が、男性や力の強い着用者でも破断せず使用できるよう、0.1N以上であることが好ましく、0.5N以上であることがより好ましく、0.7N以上であることが更に好ましく、1.0N以上であることがより更に好ましい。また、この引張時荷重の合計は、子供や力の弱い着用者でも簡単に装着できるよう、9.0N以下であることが好ましく、5.0N以下であることがより好ましく、4.0N以下であることが更に好ましく、2.0N以下であることがより更に好ましい。ここで、引張時荷重とは、温熱具1を装着する際に着用者が上部耳掛け部301A(301B)及び下部耳掛け部302A(302B)を引っ張る荷重を意味し、以下の方法で測定される。
[下部耳掛け部の引張時荷重の測定方法]
本実施形態において、耳掛け部30における引張時の応力(N)は、JIS L1913を参考にした方法により測定することができる。
具体的には、下部耳掛け部302A(302B)の初期の長さを55±10mmとし、当該試料を引張り試験器での引張り長さを40±10mmに設定し、引張速度300mm/minにて、開放縁側に引張り長さ(40±10mm)を伸長させた際の引張強さを測定し、これを下部耳掛け部302A,302Bの引張時荷重(下部側引張時荷重)とする。ここで、「引張り長さ」とは、伸長させた際の全長から、初期の長さを引いた長さのことをいう。
また、下部耳掛け部302A(302B)は、装着時に耳に対して付与される装着時荷重が、着用者の顔に対するマスク本体2の圧度を良好にする観点から、0.10N以上であることが好ましく、0.12N以上であることがより好ましく、0.18N以上であることが更に好ましい。また、この装荷重の合計は、着用者の耳裏に付与される応力を抑え、耳裏への痛みを緩和させる観点から、0.4N以下であることが好ましく、0.3N以下であることがより好ましく、0.20N以下であることが更に好ましい。ここで、装着時荷重とは、着用者の顔に温熱具1を装着した直後に耳裏にかかる荷重を意味し、以下の方法で測定される。
[下部耳掛け部の装着時荷重の測定方法]
本実施形態において、耳掛け部30における装着時の応力(N)は、JIS L1913を参考にした方法により測定することができる。
具体的には、下部耳掛け部302A(302B)の初期の長さを55±10mmとし、当該試料を引張り試験器での引張り長さを40±10mmに設定し、引張速度300mm/minにて、開放縁側に引張り長さ(40±10mm)を伸長させる。その後、引張り試験器で15±10mm戻し、当該試料が25±10mmとなるようにする。その際の戻り時の応力(N)を測定し、これを下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重(下部側装着時荷重)とする。
また、上部耳掛け部301A(301B)及び下部耳掛け部302A(302B)の引張時荷重の合計は、男性や力の強い着用者でも破断せず使用できるよう、0.2N以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.4N以上であることが更に好ましく、2.0以上であることがより更に好ましい。また、この引張時荷重の合計は、子供や力の弱い着用者でも簡単に装着できるよう、20.0N以下であることが好ましく、10.0N以下であることがより好ましく、8.0N以下であることが更に好ましく、4.0以下であることがより更に好ましい。
なお、上部耳掛け部301A(301B)の引張時荷重は、下部耳掛け部302A(302B)の引張時荷重と同様の方法により測定することができる。すなわち、上部耳掛け部301A(301B)の初期の長さを55±10mmとし、当該試料を引張り試験器での引張り長さを40±10mmに設定し、引張速度300mm/minにて、開放縁側に引張り長さ(40±10mm)を伸長させた際の引張強さを測定し、これを上部耳掛け部301A(301B)の引張時荷重(上部側引張時荷重)とする。
そして、このようにして測定された上部側引張時荷重と下部側引張時荷重とを合算し、これにより求められた荷重を1組の耳掛け部30の引張時荷重(上部耳掛け部301A(301B)及び下部耳掛け部302A(302B)の引張時荷重の合計)とする。
さらに、上部耳掛け部301A(301B)及び下部耳掛け部302A(302B)の装着時荷重の合計は、着用者の顔に対するマスク本体2の圧度を良好にする観点から、0.2N以上であることが好ましく、0.24N以上であることがより好ましく、3.5N以上であることが更に好ましい。また、この装着時荷重の合計は、着用者の耳裏に付与される応力を抑え、耳裏への痛みを緩和させる観点から、0.8N以下であることが好ましく、0.6N以下であることがより好ましく、0.41N以下であることが更に好ましい。
なお、上部耳掛け部301A(301B)の装着時荷重は、下部耳掛け部302A(302B)の装着時荷重と同様の方法により測定することができる。すなわち、上部耳掛け部301A(301B)の初期の長さを55±10mmとし、当該試料を引張り試験器での引張り長さを40±10mmに設定し、引張速度300mm/minにて、開放縁側に引張り長さ(40±10mm)を伸長させる。その後、引張り試験器で15±10mm戻し、当該試料が25±10mmとなるようにする。その際の戻り時の応力(N)を測定し、これを上部耳掛け部301A(301B)の装着時荷重(上部側装着時荷重)とする。
そして、このようにして測定された上部側装着時荷重と下部側装着時荷重とを合算し、これにより求められた荷重を1組の耳掛け部30の装着時荷重(上部耳掛け部301A(301B)及び下部耳掛け部302A(302B)の装着時荷重の合計)とする。
これらの荷重は、例えば、以下の(1)~(3)の方法によって実現することができる。
(1)耳掛け部30の物性を調整する方法。
(2)耳掛け部30に対する機械的加工により調整する方法。
(3)上記(1)及び上記(2)を組み合わせた方法。
[(1)耳掛け部30の物性を調整する方法]
上記(1)耳掛け部30の物性を調整する方法としては、例えば、耳掛け部30に用いる不織布の坪量や長さ(ED1,ED2)等の物性を調整することで、各引張時荷重及び各装着時荷重を所望の荷重とする方法が例示される。なお、耳掛け部30に用いる不織布の好適な長さED1,ED2は、上述のとおりである。
耳掛け部30の坪量は、頬部に圧を与える観点から、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることがより好ましく、30g/m以上であることが更に好ましく、また、二つの耳掛け部30を快適に装着させる観点から、90g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることがより好ましく、70g/m以下であることが更に好ましい。
[(2)耳掛け部30に対する機械的加工により調整する方法]
上記(2)耳掛け部30に対する機械的加工により調整する方法としては、例えば、耳掛け部30に対する補助切り込み32bの有無並びにその数及び形状を変更すること等が例示される。これにより、着用者の耳に対して負荷される応力を分散させ、荷重を調整することができる。また、その他の方法として、耳掛け部30に用いる不織布に対して凹凸加工を施す方法や、該不織布に対して微細な開口を多数形成する方法等が例示される。これらの加工によれば、不織布の伸縮性を向上させることができるため、各装着時荷重を所望の荷重とすることができる。
[(3)上記(1)及び上記(2)を組み合わせた方法]
上記(1)耳掛け部30の物性を調整する方法と、上記(2)耳掛け部30に対する機械的加工により調整する方法とを任意に組み合わせることにより、各装着時荷重を所望の荷重に調整することも可能である。
[発熱体の構成]
発熱体20は、熱を発することにより、マスク本体2に発熱機能を発揮させることが可能に構成されている。発熱体20は、各パネル部10A,10B内に1個乃至2個以上を設置することが好ましい。本実施形態において、発熱体20は、図3に示すように、マスク本体2の横方向の両側部(左右端部)に上下方向に沿って2個ずつ、計4個設けられている。すなわち、第1パネル部10Aに設けられた発熱体20は、上側発熱体201Aと、該上側発熱体201Aよりも顎下側に配置された下側発熱体202Aとを備えている。また、第2パネル部10Bに設けられた発熱体20は、上側発熱体201Bと、該上側発熱体201Bよりも顎下側に配置された下側発熱体202Bとを備えている。これら4つの発熱体20の発熱特性は、同じであっても、異なってもよいが、同じであることがより好ましい。
以下、全ての発熱体20(上側発熱体201A,201B及び下側発熱体202A,202B)を総称して、「発熱体20」又は「2組の発熱体20」という。2組の発熱体20は、第1パネル部10A側の2個の発熱体20(上側発熱体201A及び下側発熱体202A)を1組とし、第2パネル部10B側の2個の発熱体20(上側発熱体201B及び下側発熱体202B)を1組とする。
第1パネル部10A側の上側発熱体201Aと、第2パネル部10B側の上側発熱体201Bとは、図3に示すように、上下中心線(閉塞側端部6)を中心として対称の位置に設けられている。また、第1パネル部10A側の下側発熱体202Aと、第2パネル部10B側の下側発熱体202Bも同様に、上下中心線(閉塞側端部6)を中心として対称の位置に設けられている。さらに、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとは、マスク本体2のスリット7を境として、マスク本体2の上下方向に沿って離間して配置されている。
本実施形態に係る温熱具1は、少なくともマスク本体2のスリット7よりも顎下側の領域に発熱体20が存在するよう構成されている。ここで、「少なくとも…存在する」とは、発熱体20の全部又は一部が該領域に位置していることをいう。本実施形態においては、下側発熱体202A,202Bは、該下側発熱体202A,202Bの全体がマスク本体2のスリット7よりも顎下側の領域に収まるように配置されている。一方、上側発熱体201A,201Bは、該上側発熱体201A,201Bの全体がマスク本体2のスリット7よりも目側の領域に収まるように配置されている。
また、各発熱体20は、温熱具1を着用者の顔前に装着させた際に、着用者の主に頬と直接的又は間接的に接触するよう、上下中心線(閉塞側端部6)から所定の距離をおいて配されている。具体的には、各発熱体20は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図7に示すように、各発熱体20の上下中心線側の端部と上下中心線との間の距離D1が、5mm以上となるよう配されることが好ましく、10mm以上となるよう配されることがより好ましく、15mm以上となるよう配されることが更に好ましく、25mm以上となるよう配されることがより更に好ましい。また、該距離D1は、着用者の頬を重点的に温めつつ、着用者の顔に対する圧度を高める観点から、60mm以下となるように配されるのが好ましく、55mm以下となるよう配されることがより好ましく、50mm以下となるよう配されることが更に好ましく、40mm以下となるよう配されることがより更に好ましい。該距離D1が大きい場合、各発熱体20(特に上側発熱体201A,201B)がこめかみ側へ配置されることとなり、頬への温熱効果が下がると共に、着用者の顔に圧がかかりにくくなるため、上記数値範囲内となるよう距離D1を設定することが好ましい。ここで、当該距離D1とは、各発熱体20における上下中心線に最も近い端部と、上下中心線(閉塞側端部6)の最も膨張した点(膨張点)Pmaxとの間における、横方向に沿った直線距離をいうものとする。
さらに、各発熱体20は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図7に示すように、各発熱体20の開放側端部5側の端部と、開放側端部5との間の距離D2が、40mm以下となるよう配されることが好ましく、30mm以下となるよう配されることがより好ましく、20mm以下となるよう配されることが更に好ましい。ここで、当該距離D2とは、各発熱体20における開放側端部5に最も近い端部と、開放側端部5との間における、横方向に沿った直線距離をいうものとする。なお、各発熱体20の開放側端部5側の端部と開放側端部5とが互いに平行ではない場合には、最も離れた部分における直線距離を距離D2とすることができる。
該距離D2は、着用者の頬を重点的に温める観点から、各発熱体20が第1パネル部10A及び第2パネル部10B内に収まる範囲内において、できる限り小さい方が好ましいが、各耳掛け部30を各パネル部10A,10Bに接合させるための領域を確実に確保する観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましい。具体的には、該距離D2は、各パネル部10A,10Bの奥行PDの20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、また、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上が更に好ましい。
また、各発熱体20は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、図7に示すように、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとの離間距離D3が、スリット7の入れやすさの観点から、3mm以上となるよう配されることが好ましく、5mm以上となるよう配されることがより好ましく、8mm以上となるよう配されることが更に好ましい。さらに、各発熱体20は、頬周りに各発熱体20を配置させる観点から、該離間距離D3が、40mm以下となるよう配されることが好ましく、30mm以下となるよう配されることがより好ましく、20mm以下となるよう配されることが更に好ましい。ここで、該離間距離D3とは、上側発熱体201A,201Bの顎下側の端部と、下側発熱体202A,202Bの目側の端部との間における、上下方向に沿った直線距離をいうものとする。なお、上側発熱体201A,201Bの顎下側の端部と下側発熱体202A,202Bの目側の端部とが互いに平行ではない場合には、最も接近した部分における直線距離を離間距離D3とすることができる。
さらに、発熱体20は、マスク本体2に設けられる全ての発熱体20の総面積が、マスク本体2の着用者側の面全体の面積に対して所定の占有率を有することが好ましい。具体的には、マスク本体2の着用者側の面全体の面積に対する、発熱体20の占める総面積の割合は、着用者の顔を広範囲に亘って温める観点から、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。また、この割合は、マスク本体2をマスクとして適した形状に保つ観点から、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、マスク本体2の着用者側の面全体の面積とは、立体状に保形された状態におけるマスク本体2の内面の表面積(裏面表面積)のことをいう。このような裏面表面積は、立体状に保形された状態において内面を形成するシート(すなわち、内面シート14)の重量(g)を測定し、該測定された重量(g)と、該内面シート14の予め定められた坪量(g/m)とに基づいて算出することが可能である。
これら発熱体20は、互いに同形同大に形成されており、本実施形態ではいずれも扁平な四角形状に形成されている。ただし、発熱体20の平面形状は、特に限定されず、円形、多角形等であってもよい。製造効率、取り扱い易さ、加温加湿効果の観点から、長方形、略正方形等の四角形が好ましく、取り扱いやすさの観点から略正方形がより好ましい。
また、各発熱体20は、空気中の酸素と反応することにより、発熱すると共に水蒸気を発生し、温められた水蒸気を使用者に供給することが可能な水蒸気発生体(温熱蒸気発生体)であることが好ましい。
具体的には、本実施形態に係る発熱体20は、被酸化性金属の酸化反応により温熱蒸気を発生するよう構成されている。このような発熱体20の形態としては、例えば、粉体の混合物(例えば特開2004-16753号公報(特願2002-180501)等の記載参照)、抄造シート等のシート状(例えば特開2005-058744号公報(特願2004-31360)等の記載参照)、又は基材に分散液等を塗布した塗工シート(例えば特開2013-146555号公報(特願2012-279804)等の記載参照)等を採用可能である。また、発熱体20は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含んでいることが好ましい。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。中でも、取扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄が好ましく、特に鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉などが挙げられる。被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1μm以上300μm以下程度とすることができる。
炭素成分は、保水能、酸素供給能及び触媒能の少なくとも1つの機能を有するものであり、この3つを兼ね備えているものが好ましい。炭素成分として、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、湿潤時に酸素を吸着しやすいことや、発熱体中の水分を一定に保つ観点から、活性炭がより好ましく用いられる。
発熱体20は、更に保水材を含んでおり、保水材しては、水の保持が可能なものであればその種類に特に制限はないが、蒸気放散性に優れたものであることが好ましい。保水材としては、例えば、炭素成分、繊維状物、高吸収性ポリマー(SAP)、でんぷん、ゼオライト、パーライト、バーミュキュライト等吸水性の粉体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。吸水剤は発熱体20の形態に応じて適切なものが用いられる
ここで、発熱体20の構造について、詳しく、説明する。図5に示すように、発熱体20は、矩形状の扁平体であり、基材層50と保水層60との間に、発熱層70を有している。保水層側の第1シート27と基材層側の第2シート80は2枚のシートの周縁部が接合されることによって、閉じられた空間内に封入された状態となっている。このように保水層側の第1シート27と基材層側の第2シート80が袋体状になっていることで熱や蒸気の量を適宜調整することが出来る。なお、第1シート27が通気性を有していると、蒸気が使用者側に効率よく排出することができる。なお、発熱層70は、保水層60の一方の面に設けられてもよいし、保水層60及び基材層50に挟まれた形で設けられていてもよい。図5には、発熱層70が保水層60及び基材層50に挟まれた形で設けられている例を示す。
発熱体20は、水蒸気発生開始から10分間に放出される累積水蒸気発生量(以下、「10分間蒸気発生量」という)の合計が、着用者の顔に十分な蒸気を供給させる観点から、160mg以上であることが好ましく、300mg以上であることがより好ましく、1000mg以上であることが更に好ましく、1600mg以上であることがより更に好ましい。また、10分間蒸気発生量は、心地よい温度に保つ観点から、2400mg以下であることが好ましく、2200mg以下であることがより好ましく、2000mg以下であることが更に好ましく、1800mg以下であることがより更に好ましい。なお、この10分間蒸気発生量は、マスク本体2に設置される全ての発熱体20の総量(合計)を意図している。
なお、本実施形態に係る発熱体20においては、1セルからの10分間蒸気発生量が80mg以上であることが好ましく、200mg以上であることが更に好ましく、400mg以上であることがより更に好ましい。また、1セルからの10分間蒸気発生量が600mg以下であることが好ましく、550mg以下であることがより好ましく、500mg以下であることが更に好ましく、450mg以下であることがより更に好ましい。この様な形態にすることで、各セルから発生する蒸気量を適宜調整が可能となり、またセルから発せられる蒸気が熱くなりすぎず、使用者の肌へ適度な蒸気と熱を供給することが出来る。
[水蒸気発生量測定法]
本開示において「蒸気が発生する」とは、以下の方法で測定される発熱体20の1セルから発生する、10分間での水蒸気の総発生量が10mg/10分以上であることをいう。この水蒸気発生量は、発熱部体20として例えば被酸化性金属、炭素材料及び水を含有させたペースト状物を用いることによって容易に達成することができる。ここで、発熱体20の10分間蒸気発生量は、図6に示す装置40を用いて、次のように測定される数値である。なお、以下の説明では、酸素遮断袋等に封入されて密封状態となっている未発熱の発熱体20を対象とし、該酸素遮断袋等の開封を開始して、発熱体20を空気等の酸素含有雰囲気に触れさせ且つ開封開始から図6に示す測定装置40に設置するまでに要する時間、つまり開封開始から5秒後の時点を「発熱開始時点」と定義する。図6に示す装置40は、アルミニウム製の測定室(容積4.2L)41と、測定室41の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路42と、測定室41の上部から空気を流出させる流出路43と、流入路42に設けられた入口温湿度計44及び入口流量計45と、流出路43に設けられた出口温湿度計46及び出口流量計47と、測定室41内に設けられた温度計(サーミスタ)48とを備えている。温度計48としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。なお、本明細書における蒸気発生量とは、発熱体20の「発熱開始時点」を起点とし、10分後までに測定された総量をいう。
なお、発熱体20は、例えば「合成香料化学と商品知識」(印藤元一著 化学工業日報社)に記載の香料成分を、本発明の効果を妨げない範囲で配合することもできる。具体的には、ミルセン、ファルネセン、ピネン、リモネン、カンフェン、フェランドレン、ターピネン、ターピノレン、p‐サイメン、セドレン、カリオフィレン等のテルペン系炭化水素;ヘキシルシンナミックアルデヒド、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、バニリン等のアルデヒド類;ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、パンプルフルール(2-メチル-4-フェニルペンタノール)、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルヘキサノール(3-メチル-5-フェニルペンタノール)等の芳香族アルコール類;アネトール、オイゲノール等のフェノール類;γ-ノナラクトン、γ-ウンデカラクトン等のラクトン類が挙げられる。
[温熱具の使用方法]
次に、本実施形態に係る温熱具1の使用方法について、説明する。
本実施形態においては、発熱体20がマスク本体2と一体となっているため、温熱具1全体が酸素遮断袋に封入された状態で保管されている。この保管状態において、マスク本体2は、耳掛け部30が内側に折り込まれた状態において、上下中心線を中心として折り畳まれている。
まず、着用者は、装着時に包装袋を開封し、温熱具1を酸素遮断袋から取り出す。これにより、発熱体20が空気と接触し、発熱体20に含まれている被酸化性金属の酸化反応により、発熱体20が発熱を開始する。
酸素遮断袋から温熱具1を取り出した後、着用者は、二つ折りになっているマスク本体2を開放側端部5側から開き、マスク本体2の内側から二対の耳掛け部30(上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302B)を取り出す。そして、まず、マスク本体2を顔面に当てた状態において一方の上部耳掛け部301Aを指で引張り、耳掛け孔32に耳を挿通させることで着用者の一方の耳に引っ掛ける。また、同様に、他方の上部耳掛け部301Bを指で引張り、耳掛け孔32に耳を挿通させることで着用者の他方の耳に引っ掛ける。このようにして、まずは上部側の一対の耳掛け部30(上部耳掛け部301A,301B)を着用者の左右の耳に引っ掛けることにより、図8に示すように、温熱具1を着用者の顔前に仮装着させる。
そして、このように温熱具1が着用者の顔前に仮装着された状態において、図8に示すように、一方の下部耳掛け部302Aを指で引張り、耳掛け孔32に耳を挿通させることで、既に上部耳掛け部301Aが引っ掛けられている着用者の一方の耳に更に引っ掛ける。また、同様に、他方の下部耳掛け部302Bを指で引張り、耳掛け孔32に耳を挿通させることで、既に上部耳掛け部301Bが引っ掛けられている着用者の他方の耳に更に引っ掛ける。このようにして、下部側の一対の耳掛け部30(下部耳掛け部302A,302B)を着用者の左右の耳に更に引っ掛けることにより、図9に示すように、マスク本体2によって着用者の少なくとも頬及び顎下が包み込まれた状態で、温熱具1を着用者の顔に保持させることができる。
なお、通常は、下部側の一対の耳掛け部30(下部耳掛け部302A,302B)を着用者の左右の耳に引っ掛ける際に、マスク本体2に歪みが生じ、マスク本体2と着用者の顔との間に大きな隙間が生じてしまう。すなわち、平面形状を立体状にするには、どうしても、平面形状を破壊する必要があり、それが歪みとなって現れる。このような歪みは、剛性の高い発熱体20が配置される場合には、特に顕著となる。これに対し、本実施形態に係る温熱具1は、横方向に延びるスリット7が、マスク本体2における下部側の耳掛け部30(下部耳掛け部302A,302B)よりも上部の位置に形成されているため、該スリット7によってマスク本体2に生じる歪みを吸収し、マスク本体2を着用者の顔にフィットさせることが可能となる。また、本実施形態に係る温熱具1は、該スリット7よりも下部(顎下側の領域)に発熱体20が存在しているため、該発熱体20によって着用者の頬を持ち上げるように圧迫することができ、優れたマッサージ効果を発現させることができる。
そして、このようにマスク本体2によって着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われた状態において発熱体20が発熱することで、この熱によって発熱体20に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気(温熱蒸気)となり、マスク本体2の内面シート14を介して該温熱蒸気が放出され、着用者の顔面に供給される。このように、本実施形態に係る温熱具1によれば、簡便な方法で温熱蒸気を着用者に供給し、肌トラブルの解消等の美容効果やリラックス効果を得ることができる。また、各耳掛け部30によってマスク本体2及び発熱体20が着用者の顔に所定圧で引き付けられることにより、着用者の顔を圧迫し、優れたマッサージ効果を得ることができる。
[本実施形態に係る温熱具の利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係る温熱具1は、着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な上下方向及び横方向の長さを有するマスク本体2と、マスク本体2に設けられた発熱体20と、マスク本体2の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、マスク本体2により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体2を着用者の顔前に保持させる耳掛け部30とを備え、マスク本体2は、該マスク本体2の横方向の中心と各側部との間にそれぞれスリット7を有し、スリット7は、マスク本体2の横方向に沿う横方向成分が、該マスク本体2の上下方向に沿う上下方向成分よりも大きい方向に沿って延在しており、発熱体20は、少なくともスリット7よりも顎下側の領域に存在しており、耳掛け部30のマスク本体2との接続部における上下方向の下端部30aは、スリット7よりも顎下側に位置している。
そして、このような構成を備える温熱具1によれば、上述のとおり、発熱体20の熱によって着用者の顔に温熱効果を付与することが可能となるため、肌トラブルの解消等の美容効果やリラックス効果を得ることができる。また、本実施形態に係る温熱具1は、上述のとおり、スリット7によってマスク本体2に生じる歪みを吸収し、スリット7よりも下部(顎下側の領域)に存在する発熱体20によって着用者の頬を持ち上げるように圧迫することが可能となるため、優れたマッサージ効果も同時に得ることができるという顕著な利点を有する。
また、本実施形態に係る温熱具1は、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、該上下中心線の上下方向上端部(交点IPt)と上下方向下端部(交点IPb)とを直線的に結ぶ仮想線VLの長さLが、110mm以上250mm以下である。このような構成を備えることにより、本実施形態に係る温熱具1は、着用者の頬と顎下を含む広範囲を覆うことができるという更なる利点を有する。
さらに、本実施形態に係る温熱具1は、スリット7が、マスク本体2が上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、仮想線VLの長さLの20%以上の長さを有することにより、着用時に上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが大きな隙間を生じさせずに重なり合い、かつ、スリット7の閉塞側端部6側の端部の浮きを減らすことができるという更なる利点を有する。
また、本実施形態に係る温熱具1は、仮想線VLとスリット7とのなす角が、80°以上120°以下であることにより、着用時の顔とマスク本体2との間に隙間を生じさせにくいという更なる利点を有する。
さらに、本実施形態に係る温熱具1は、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bに上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとがそれぞれ設けられており、これら上側発熱体201A,201B及び下側発熱体202A,202Bが、マスク本体2の上下方向に沿って離間して配置されており、スリット7が、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとの間に形成されている。このような構成を備えることにより、本実施形態に係る温熱具1は、着用者の顔に対する広い範囲に温熱効果を付与することができると共に、着用者の顔を広い範囲に亘ってマッサージ効果を付与することができるという更なる利点を有する。
また、このような温熱具1において、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとの間隔を調整することにより、スリット7によってマスク本体2の歪みか吸収された際に、上側発熱体201A,201Bの上層に下側発熱体202A,202Bの一部が乗り上げられる構成とすることができる。このような構成によれば、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが重なり合うことにより着用者の顔に対する圧度を全体的に高めつつ、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとが重なり合った領域の圧度を局所的に高めることが可能となるため、圧度にメリハリを与え、ツボ押し効果を得ることができるという顕著な利点がある。
さらに、本実施形態に係る温熱具1は、耳掛け部30が、それぞれ、上部耳掛け部301A,301Bと、該上部耳掛け部301A,301Bよりも顎下側に配置された下部耳掛け部302A,302Bとを備え、下部耳掛け部302A,302Bのマスク本体2との接続部における上下方向の下端部30aが、スリット7よりも顎下側に位置している。このような構成を備えることにより、本実施形態に係る温熱具1は、耳掛け部30が左右に一つずつ設けられる場合と比較して、着用者の顔に対する圧度を高めることが可能となると共に、着用者の頬の持ち上げ効果を高めることが可能となるため、より優れたマッサージ効果を付与することができるという更なる利点を有する。
また、本実施形態に係る温熱具1は、装着時に耳に対して付与される下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重が0.10N以上0.4N以下であることにより、着用者の顔に対する圧度を維持しつつ、着用者の耳裏に付与される応力を抑え、耳裏への痛みを緩和させることができる。すなわち、このような構成を備える温熱具1によれば、着用者の顔に付与される圧迫感(マッサージ効果)と耳裏に掛かる負荷(耳裏の痛み)との良好なバランスを実現することができ、より一層快適に使用することが可能となるという更なる利点を有する。
さらに、本実施形態に係る温熱具1は、マスク本体2における着用者の鼻及び口元に対応する領域に呼吸孔8を有することにより、息苦しさを緩和させることができると共に、マスク本体2に鼻や口元が触れることによる不快感を避けることが可能となるという更なる利点を有する。
また、本実施形態に係る温熱具1は、発熱体20が被酸化性金属の酸化反応により温熱蒸気を発生することにより、発熱体20により発生された蒸気を着用者の顔に供給することが可能となるため、優れた美容効果及びリラックス効果を得ることができるという更なる利点を有する。
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、頬及び顎下を覆うことが可能なフェイスマスクタイプの温熱具であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、顔全体を覆うタイプの温熱具としても利用可能である。
上述した実施形態では、マスク本体2が第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを備え、折り畳み状から立体状に変形可能な構成であるものとして説明したが、これに限定されず、予め保形されていても良い。
上述した実施形態では、マスク本体2が、互いに分離された第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを重ね合わせ、閉塞側端部6において事後的に結合することにより形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが上下中心線において一体的に連続した一枚物のシート状部材を折り畳み、非連続部を局所的に結合することにより形成される構成としても良い。
上述した実施形態では、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bに、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとがそれぞれ設けられるものとして説明したが、これに限定されず、発熱体20が少なくともスリット7よりも顎下側の領域に存在する構成であれば、種々の任意の構成を採用することが可能である。例えば、下側発熱体202A,202Bのみが設けられる構成であっても良いし、上側発熱体201A(201B)と下側発熱体202A(202B)とが上下方向に連続して1つの発熱体20を形成する構成であっても良い。後者の場合には、スリット7は、上下一体の発熱体20を避けるように形成されることが好ましい。
上述した実施形態では、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとがマスク本体2の上下方向に沿って離間して配置され、この間にスリット7が形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとは、互いに接触して配置されても良い。また、スリット7は、上側発熱体201A,201Bと下側発熱体202A,202Bとの間から外れた位置、例えば、上側発熱体201A,201B及び下側発熱体202A,202Bの横方向位置と異なる横方向位置に形成されても良い。
上述した実施形態では、耳掛け部30が、上部耳掛け部301Bと、下部耳掛け部302Bとを備えるものとして説明したが、これに限定されず、マスク本体2を着用者の顔前に保持することが可能で、かつ、マスク本体2との接続部における上下方向の下端部30aがスリット7よりも顎下側に位置する構成であれば、種々の任意の構成を採用することが可能である。例えば、図10に示すように、マスク本体2の横方向の両側部(左右端部)に1個ずつ、計2個設けられる単一の耳掛け部30´としても良いし、図11に示すように、ゴム紐状の単一の耳掛け部30´´としても良い。また、ゴム紐状の耳掛け部を上下方向に沿って2個ずつ、計4個設けても良い。さらに、耳掛け部は、上下方向に沿って3個以上設けられても良い。なお、図10に示す第1変形例及び図11に示す第2変形例おいて、本実施形態に係る温熱具1と共通する構成については、本実施形態に係る温熱具1と同じ符号を用いている。
上述した実施形態では、着用者の鼻及び口元に対応する領域に呼吸孔8を有するものとして説明したが、これに限定されず、既述のとおり、着用者の鼻のみを露出させる構成であっても良いし、着用者の口元のみを露出させる構成であっても良い。また、呼吸孔8が設けられない構成としても良い。
上述した実施形態では、発熱体20が被酸化性金属の酸化反応により温熱蒸気を発生するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、水分を保持したフィルターを、使用前に電子レンジ等による加熱によって加湿可能とする構成等の種々の任意の構成を採用することが可能である。
上述した実施形態では、発熱体20が第1パネル部10A及び第2パネル部10Bのそれぞれに2つずつ設けられるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bのそれぞれに1つ又は3つ以上設けられる構成としても良い。また、既述のとおり、発熱体20が第1パネル部10A及び第2パネル部10Bに内包される構成に限定されず、マスク本体2の内面にポケット状の収納部を設け、該収納部に発熱体20を着脱させる構成としても良いし、粘着剤等の固定手段を用いてマスク本体2の内面に発熱体20を固定する構成としても良い。さらに、このように、発熱体20をマスク本体2に対して後付けするタイプにおいては、発熱体20のみを酸素遮断袋に封入させた状態で保管しても良い。発熱体20が複数設けられる場合、それぞれの蒸気特性や形状は同じであっても異なってもよいが、着用者に対して蒸気や香りを均一に供給する観点から、同一形状で同一の蒸気特性を有することが好ましい。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
[実施例1]
実施例1に係る温熱具を以下の手順に従い作製した。
〔発熱体の作製〕
まず、以下の方法により、発熱体20を得た。
具体的には、まず、電解質として塩と、増粘剤(ラボールガムGS-C:DSP五協フード&ケミカル株式会社製)とを水(水道水)に溶解した水溶液に、被酸化性金属として鉄粉(還元鉄粉:DOWA IP クリエイション株式会社製)を投入して攪拌し、更に反応促進剤として活性炭(カルボラフィン:大阪ガスケミカル株式会社製)を入れて均一分散するまで十分に攪拌して、ペースト状の発熱組成物を得た。塩としては、塩化ナトリウム(日本薬局方 塩化ナトリウム:富田製薬株式会社製)と、リン酸三カリウム(食品添加物 リン酸三カリウム:米山化学工業株式会社製)と、水酸化カリウム(液体苛性カリ(48%):旭硝子株式会社製)を用いた。これらの配合比率は、鉄粉55.2%、水34.2%、活性炭4.4%、増粘剤(キサンタンガム)0.1%、リン酸三カリウム1.0%、水酸化カリウム0.1%、塩化ナトリウム5.0%とした。
その後、ポリエチレンをラミネートした薄葉紙に、上述のペースト状の発熱組成物を坪量745g/mで塗布し、次いで、発熱組成物上に、木材パルプ製の紙(坪量20g/m、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(球状、平均粒子径300μm、アクアリックCA、株式会社日本触媒製、坪量70g/m)と木材パルプ製の紙(坪量30g/m、伊野紙株式会社製)を積層して一体化したポリマーシート(最大吸水量の10~45質量%の水を吸収した状態での通気度2秒/100ml)を積層して、発熱層70及び保水層60の積層体を得た。この積層体(発熱層70及び保水層60)を49mm×49mmの大きさにカットした。次いで、63mm×63mmにカットした透湿シート(第1シート27及び第2シート80の一方)と、非透湿シート(第1シート27及び第2シート80の他方)とで積層体(発熱層70及び保水層60)を挟み、これらのシートの四方をヒートシールして、第1シート27及び第2シート80からなる袋体内に発熱層70及び保水層60が収容された発熱体20を得た。
〔温熱具の作製〕
次いで、内面シート14と外面シート16とを積層させて、マスク本体2を作製した。内面シート14は、ポリプロピレンとポリエチレン製不織布(スパンレース法、坪量60g/m)を使用し、外面シート16は、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレート製不織布(エアスルー法、坪量30g/m)を使用した。このマスク本体2の作製は、酸素雰囲気下において行った。
次に、酸素が存在しない雰囲気下において、内面シート14と外面シート16との間に、温熱蒸気を発生させる発熱体20(坪量470g/m)を、マスク本体2の横方向の両側部(左右端部)に上下方向に沿って2個ずつ、計4つ挟んだ。その後、下記表1のとおり、上下方向に沿って配置された2個の発熱体20の間に、それぞれスリット7を形成した。
次いで、同じく酸素が存在しない雰囲気下において、内面シート14及び外面シート16を周縁部及び上下中心線近傍において接合した。さらに、内面シート14の外側面に、ポリプロピレン製不織布とエラスティックフィルム(スパンボンド法、坪量45g/m)を用いた耳掛け部30を取り付け、実施例1に係る温熱具を得た。
実施例1に係る温熱具1におけるスリット7の本数(スリット数)と、スリット7の延在方向の長さSL(スリット長)と、仮想線VL(上下中心線の上下方向上端部と上下方向下端部とを直線的に結ぶ仮想線)に対するスリット7の角度θ(スリット角度)と、仮想線VLの長さLに対するスリット長SLの割合(SL/L)とは、下記表1に示すとおりであった。なお、下記表1におけるスリット数の「1本」とは、マスク本体2の上下中心線を境とした両側(両パネル部10A,10B)にそれぞれ1本ずつスリット7が形成されることを意味する。
また、実施例1に係る温熱具1における下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重(下部側装着時荷重)と、発熱体20の枚数(発熱体枚数)と、耳掛け部の数(耳掛け数)とは、下記表1に示すとおりであった。なお、下記表1において、発熱体枚数の「2」とは、マスク本体2の上下中心線を境とした両側(両パネル部10A,10B)にそれぞれ2つずつ発熱体20が形成されることを意味する。一方、耳掛け数の「4」とは、マスク本体2の両側に上下2つずつ耳掛け部(上部耳掛け部301A,301B及び下部耳掛け部302A,302B)が設けられることを意味する。
[実施例2及び3]
スリット7の延在方向の長さSL及び仮想線VLの長さLに対するスリット長SLの割合(SL/L)を変更した点及び下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重(下部側装着時荷重)を変更した点以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る温熱具を得た。
また、下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重(下部側装着時荷重)を変更した点以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る温熱具を得た。
[比較例]
スリット7を形成しない点及び下部耳掛け部302A,302Bの装着時荷重(下部側装着時荷重)を変更した点以外は実施例1と同様にして、比較例に係る温熱具を得た。
[機能の評価]
実施例1~3及び比較例のそれぞれについて、装着時における温まり感と、頬への圧迫感と、耳掛け部による耳裏の痛みについて、下記1~5の5段階で評価した。この評価にあたっては、成人女性3名の平均値を第二小数点以下を四捨五入し、各項目における評価値とした。「温まり感」は、評価が高いほど、蒸気と温熱のバランスが良く、心地よくリラックスできる温かさを感じたことを意味しており、「頬への圧迫感」は、評価が高いほど、顔への圧迫感が許容範囲内において強く、使用後が使用前に比べすっきりすることを意味している。一方、「耳裏の痛み」は、評価が高いほど、耳裏の痛みがなく、しっかり耳裏にフィットすることを意味している。これらの結果を表1に示す。
<温まり感>
5点:とても温熱と蒸気による温まりを感じ、熱すぎず、ぬるくなく、とても心地よくリラックスできる。
4点:適度に温熱と蒸気による温まりを感じ、熱すぎず、ぬるくなく、リラックスできる。
3点:使用に問題無く温熱と蒸気による温まりを感じ、リラックスできる
2点:若干熱いもしくはぬるいが、問題無く使用できる。
1点:熱いもしくはぬるく、着用中リラックスできない。
<頬への圧迫>
5点:しっかりと頬への圧迫感を感じられ、使用後は使用前に比べ頬がとてもすっきりする。
4点:しっかりと頬への圧迫感を感じられ、使用後は使用前に比べ頬がすっきりする。
3点:ある程度頬への圧迫感を感じられ、使用後は使用前に比べすっきりする。
2点:わずかに圧迫感を感じられ、使用後も若干すっきりし問題無く使用できる。
1点:ほとんど圧迫感が感じらないか、圧迫が強すぎ不快感を感じる。
<耳裏の痛み>
5点:着用直後、着用中及び着用終了時においてもまったく痛みを感じず、耳に最後までとてもフィットしズレない。
4点:着用直後、着用中及び着用終了時において、ほぼ痛みを感じず、最後まで耳にフィットしズレない。
3点:着用直後、着用中及び着用終了時において、ほぼ痛みを感じないが、着用終了時には多少のずれが生じるが、問題無く使用できる。
2点:着用直後若干痛みを感じるか、もしくは着用終了時において緩くなってしまうが、問題無く使用できる。
1点:着用直後、着用中及び着用終了時において、痛みを感じるか、緩すぎて外れてしまう。
Figure 2023087368000002
表1の結果より、実施例1~3の温熱具は、比較例と比較して、着用者の顔に対する温熱効果が高く、また、圧迫によるマッサージ効果が高いことが明らかとなった。また、実施例1~3の温熱具は、比較例と比較して、高いマッサージ効果が得られるにもかかわらず、耳裏への痛みが緩和されることが明らかとなった。
1 :温熱具
2 :マスク本体
5 :開放側端部
5a :目側縁部
5b :顎下側縁部
5c :耳掛け接合部
6 :閉塞側端部
7 :スリット
7a :端部
8 :呼吸孔
10A :第1パネル部
10B :第2パネル部
14 :内面シート
16 :外面シート
20 :発熱体
201A:上側発熱体
201B:上側発熱体
202A:下側発熱体
202B:下側発熱体
30 :耳掛け部
301A:上部耳掛け部
301B:上部耳掛け部
302A:下部耳掛け部
302B:下部耳掛け部
30a :下端部
31 :耳掛け部本体
32 :耳掛け孔
32a :耳挿通孔部
32b :補助切り込み
39 :シール部
30´ :耳掛け部(第1変形例)
30´´ :耳掛け部(第2変形例)

Claims (7)

  1. 着用者の少なくとも頬及び顎下を覆うことが可能な上下方向及び横方向の長さを有するマスク本体と、
    前記マスク本体に設けられた発熱体と、
    前記マスク本体の横方向の両側部にそれぞれ設けられ、前記マスク本体により着用者の少なくとも頬及び顎下が覆われるように該マスク本体を着用者の顔前に保持させる耳掛け部と
    を備え、
    前記マスク本体は、該マスク本体の横方向の中心と各側部との間に、それぞれ横方向に延在するスリットを有し、
    前記発熱体は、少なくとも前記スリットよりも顎下側の領域に存在しており、
    前記耳掛け部の前記マスク本体との接続部における上下方向の下端部は、前記スリットよりも顎下側に位置している
    温熱具。
  2. 前記マスク本体は、該マスク本体を横方向に二分する上下中心線を有し、
    前記マスク本体が前記上下中心線を境として折り畳まれた状態の平面視において、前記スリットは、該上下中心線の上下方向上端部と上下方向下端部とを直線的に結ぶ仮想線の長さの20%以上の長さを有する
    請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記仮想線と前記スリットとのなす角が、80°以上120°以下である
    請求項1又は2に記載の温熱具。
  4. 前記マスク本体は、該マスク本体の半周面を形成する第1パネル部と、残りの半周面を形成する第2パネル部とを備え、
    前記第1パネル部及び前記第2パネル部には、それぞれ前記発熱体が設けられている
    請求項1~3のいずれか1項に記載の温熱具。
  5. 前記第1パネル部及び前記第2パネル部には、上側発熱体と、下側発熱体とがそれぞれ設けられており、
    前記上側発熱体と前記下側発熱体とは、前記マスク本体の上下方向に沿って離間して配置されており、
    前記スリットは、前記上側発熱体と前記下側発熱体との間に形成されている
    請求項4に記載の温熱具。
  6. 前記耳掛け部は、それぞれ、上部耳掛け部と、該上部耳掛け部よりも顎下側に配置された下部耳掛け部とを備え、
    前記下部耳掛け部の前記マスク本体との接続部における上下方向の下端部は、前記スリットよりも顎下側に位置している
    請求項1~5のいずれか1項に記載の温熱具。
  7. 前記下部耳掛け部は、装着時に耳に対して付与される装着時荷重が0.10N以上0.4N以下である
    請求項6に記載の温熱具。
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