JP2023085094A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐擦過性及び密着性に優れた画像を非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット用の水性インク、並びにこの水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクである。樹脂粒子が、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成され、樹脂粒子中の樹脂の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
従来、インクジェット記録方法は、個人向けやビジネス向けを中心に、普通紙やインクジェット専用紙などの記録媒体に画像を記録する用途で広く用いられてきた。近年では、商業印刷・産業印刷の分野にも用途が展開されるようになってきた。これらの分野においては、プラスチック材料で形成された記録媒体やアルミニウムでコーティングされたプラスチック材料で形成された記録媒体などの、シートやフィルムに代表される非吸収性の記録媒体が、画像を記録するための記録媒体として用いられている。インクジェット記録方法で用いる水性インクは、普通紙やインクジェット専用紙のように液体の浸透性を有する記録媒体には適している。しかし、浸透性を有しない非吸収性の記録媒体にインクジェット記録方法で一般的に用いられるインクを付与すると、記録される画像の密着性及び耐擦過性が低いといった課題があった。
このような課題を解決すべく、例えば、非水溶性樹脂を添加した、耐エタノール性などの特性が向上した画像を記録しうる水性インクが提案されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1で提案された水性インクに用いられる非水溶性樹脂は、その製造過程で乳化剤として界面活性剤を用いている。このため、この非水溶性樹脂を含有するインクを用いて画像を記録しても、記録媒体において樹脂同士の絡み合いを界面活性剤が阻害しやすく、画像の強度を十分に向上させることが困難であることがわかった。
したがって、本発明の目的は、耐擦過性及び密着性に優れた画像を非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記樹脂粒子が、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成され、前記樹脂粒子中の前記樹脂の占める割合(質量%)が、前記樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、耐擦過性及び密着性に優れた画像を非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)、常圧(1気圧=101,325Pa)、常湿(相対湿度50%)における値である。また、「ユニット」とは、特に断りのない限り、1の単量体に対応する単位構造を意味する。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表するものとする。
本明細書における「樹脂粒子」とは、樹脂粒子を製造する際に用いた界面活性剤などの樹脂以外の成分や、主成分となる樹脂(占める割合の最も多い樹脂)以外に用いた樹脂がある場合、それらの成分をすべて含めた粒子全体を意味する。また、「自己乳化した樹脂粒子」とは、樹脂、及び液媒体(有機溶剤、水)以外の成分(乳化剤、界面活性剤)を添加せずに、樹脂を乳化して製造した樹脂粒子を意味する。
本発明者らは、耐擦過性及び密着性に優れた画像を非吸収性の記録媒体に記録しうるインクについて検討した。その結果、以下の(i)及び(ii)の要件を満たすことが重要であることを見出し、本発明に至った。
(i)塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成された樹脂粒子を含有する。
(ii)樹脂粒子中の樹脂の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。
ここで、非吸収性の記録媒体について説明する。本明細書における「非吸収性の記録媒体」とは、プラスチック材料で形成された記録媒体であり、インクの吸収性を有しないものである。具体的には、シート状、フィルム状などの形状を有する記録媒体を挙げることができる。このような記録媒体としては、プラスチック材料で形成された記録媒体や、プラスチック材料に金属材料を付着させて形成された記録媒体などを好適に用いることができる。
(i)塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成された樹脂粒子を含有する。
(ii)樹脂粒子中の樹脂の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。
ここで、非吸収性の記録媒体について説明する。本明細書における「非吸収性の記録媒体」とは、プラスチック材料で形成された記録媒体であり、インクの吸収性を有しないものである。具体的には、シート状、フィルム状などの形状を有する記録媒体を挙げることができる。このような記録媒体としては、プラスチック材料で形成された記録媒体や、プラスチック材料に金属材料を付着させて形成された記録媒体などを好適に用いることができる。
塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニットを有する樹脂を含んで形成された樹脂粒子を用いることで、耐擦過性及びプラスチック材料で形成されたものなどの非吸収性の記録媒体への密着性に優れた画像を記録することができると考えられる。また、酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成された樹脂粒子を用いることで、アルミニウムなどの金属が蒸着されたプラスチック材料で形成されたものなどの非吸収性の記録媒体への密着性に優れた画像を記録することができると考えられる。以下、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を、単に「ビニル樹脂」と記載することがある。
しかし、上記のビニル樹脂とともに、界面活性剤やアクリル系樹脂をさらに含んで形成された樹脂粒子を用いたところ、画像の密着性及び耐擦過性を十分に高めることが困難になることがわかった。界面活性剤やアクリル系樹脂が樹脂粒子中に多く存在すると、ビニル樹脂同士の絡み合いや、ビニル樹脂と記録媒体との絡み合いが阻害されやすくなり、画像の強度や、画像と記録媒体との密着性を十分に向上させることが困難になると考えられる。
そこで、本発明者らは、塩化ビニル、酢酸ビニル、及び酸モノマーを重合して得た樹脂により形成した(自己乳化した)樹脂粒子をインクに添加してさらに検討した。その結果、耐擦過性及び密着性が向上した画像を非吸収性の記録媒体に記録可能となることがわかった。さらなる検討の結果、上記ビニル樹脂の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として95質量%以上の樹脂粒子を用いることで、耐擦過性及び密着性に優れた画像を非吸収性の記録媒体に記録可能となることが判明した。
<インク>
本発明のインクは、樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクである。樹脂粒子は、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂(ビニル樹脂)を含んで形成されている。そして、樹脂粒子中の樹脂(ビニル樹脂)の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
本発明のインクは、樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクである。樹脂粒子は、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂(ビニル樹脂)を含んで形成されている。そして、樹脂粒子中の樹脂(ビニル樹脂)の占める割合(質量%)が、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上である。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
(樹脂粒子)
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上5.00質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子は、インク中に分散された状態、すなわち、樹脂エマルションの形態でインク中に存在する。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上5.00質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子は、インク中に分散された状態、すなわち、樹脂エマルションの形態でインク中に存在する。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
[樹脂の組成]
樹脂粒子を形成する樹脂は、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニットを有する。樹脂中の塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)は、塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)と酢酸ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)の合計に対する質量比率で0.10倍以上0.90倍以下であることが好ましい。また、0.50倍以上0.90倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率が0.10倍未満であると、膜強度が低下しやすく、画像の耐擦過性の向上効果が低下する場合がある。一方、上記の質量比率が0.90倍超であると、酢酸ビニルに由来するユニットの量が少ないため、プラスチック材料で形成されたものなどの非吸収性の記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。
樹脂粒子を形成する樹脂は、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニットを有する。樹脂中の塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)は、塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)と酢酸ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)の合計に対する質量比率で0.10倍以上0.90倍以下であることが好ましい。また、0.50倍以上0.90倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率が0.10倍未満であると、膜強度が低下しやすく、画像の耐擦過性の向上効果が低下する場合がある。一方、上記の質量比率が0.90倍超であると、酢酸ビニルに由来するユニットの量が少ないため、プラスチック材料で形成されたものなどの非吸収性の記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。
樹脂粒子を形成する樹脂は、酸モノマーに由来するユニットを有する。酸モノマーは塩型であってもよい。酸モノマーとしては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などを挙げることができる。酸モノマーの塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩;アンモニウム塩;有機アンモニウム塩;などを挙げることができる。なかでも、酸モノマーの酸基は、カルボン酸基が好ましい。カルボン酸基を有する酸モノマーに由来するユニットに代えて、カルボン酸基以外の酸基を有する酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を用いると、樹脂を構成する分子内で酸の偏りが生じやすくなる。このため、プラスチック材料に金属材料を付着させて形成された記録媒体への密着性が低下することがある。
樹脂粒子を構成する樹脂の種類や組成は、例えば、以下の方法で分析することができる。まず、テトラヒドロフランなどの樹脂粒子を溶解しうる有機溶剤に樹脂粒子を溶解させて試料を調製する。用いる樹脂粒子は、水分散液の状態であってもよく、乾燥した状態であってもよい。調製した試料を、核磁気共鳴(NMR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)などで分析する。これにより、樹脂を構成するユニット(モノマー)の種類や割合を知ることができる。また、樹脂粒子そのものを熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、樹脂を構成するユニット(モノマー)を検出することもできる。試料を調製する際に、有機溶剤に溶解しない不溶分が生ずる場合、生じた不溶分を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、樹脂を構成するユニット(モノマー)を検出することもできる。
[樹脂の重量平均分子量]
樹脂の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、10,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量が10,000未満であると、樹脂同士が絡まりにくくなり、画像の密着性及び耐擦過性の向上効果が低下する場合がある。本明細書における「樹脂の重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値を意味する。
樹脂の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、10,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量が10,000未満であると、樹脂同士が絡まりにくくなり、画像の密着性及び耐擦過性の向上効果が低下する場合がある。本明細書における「樹脂の重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値を意味する。
[樹脂の酸価]
樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価が5mgKOH/g未満であると、プラスチック材料に金属材料を付着させて形成された記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。一方、樹脂の酸価が60mgKOH/g超であると、塩化ビニルや酢酸ビニルに由来するユニットの割合が相対的に減少する。このため、プラスチック材料で形成された記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。樹脂の酸価は、電位差を利用した中和滴定により測定することができる。
樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価が5mgKOH/g未満であると、プラスチック材料に金属材料を付着させて形成された記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。一方、樹脂の酸価が60mgKOH/g超であると、塩化ビニルや酢酸ビニルに由来するユニットの割合が相対的に減少する。このため、プラスチック材料で形成された記録媒体への密着性向上効果が低下する場合がある。樹脂の酸価は、電位差を利用した中和滴定により測定することができる。
[樹脂粒子の製造方法]
樹脂を粒子化して樹脂粒子を形成する方法としては、例えば、分散法や転相(乳化)法などを挙げることができる。分散法には、以下に示す(1)及び(2)の方法などがある。
(1)樹脂を有機溶剤に溶解させて得た溶液を水性の液媒体に添加して、樹脂を分散させる方法
(2)樹脂を有機溶剤に添加し、さらに水性の液媒体を添加して混合し、樹脂を分散させる方法
樹脂を粒子化して樹脂粒子を形成する方法としては、例えば、分散法や転相(乳化)法などを挙げることができる。分散法には、以下に示す(1)及び(2)の方法などがある。
(1)樹脂を有機溶剤に溶解させて得た溶液を水性の液媒体に添加して、樹脂を分散させる方法
(2)樹脂を有機溶剤に添加し、さらに水性の液媒体を添加して混合し、樹脂を分散させる方法
転相(乳化)法としては、樹脂を有機溶剤に溶解させて得た溶液に水性の液媒体を添加して溶剤系から水系に転相する過程で、樹脂を粒子の形態として析出させる方法などがある。いずれの方法においても、公知の分散機を利用し、適度な剪断力をかけながら粒子化して、得られる樹脂粒子の粒子径を調整することが好ましい。
[樹脂粒子中、ビニル樹脂の占める割合]
樹脂粒子中の上記の樹脂(ビニル樹脂)の占める割合(質量%)は、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上であり、好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析し、示差屈折率(RI)検出器により測定されるピークの面積比から算出することができる。樹脂粒子を形成する材料に複数の樹脂が含まれていると、複数のピークが検出される。樹脂に由来するすべてのピーク面積の積算値と、ビニル樹脂に由来するピーク面積との比率から、樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合を算出することができる。
樹脂粒子中の上記の樹脂(ビニル樹脂)の占める割合(質量%)は、樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上であり、好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析し、示差屈折率(RI)検出器により測定されるピークの面積比から算出することができる。樹脂粒子を形成する材料に複数の樹脂が含まれていると、複数のピークが検出される。樹脂に由来するすべてのピーク面積の積算値と、ビニル樹脂に由来するピーク面積との比率から、樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合を算出することができる。
[樹脂粒子の粒径]
樹脂粒子の体積基準の粒度分布の累積50%粒径(D50)は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。樹脂粒子のD50が50nm未満であると、記録媒体の表面の凹部に樹脂粒子が入り込みやすくなることがある。これにより、耐擦過性及び密着性の向上効果が低下する場合がある。このような課題は、表面に凹凸を有する記録媒体(平滑性の低い記録媒体)においてより生じやすい。樹脂粒子のD50が300nm超であると、同一体積で考えた場合、粒子数が相対的に少なくなり、樹脂粒子が偏在しやすくなることがある。これにより、耐擦過性及び密着性の向上効果が低下する場合がある。樹脂粒子の体積基準の粒度分布の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径を意味する。樹脂粒子のD50は、動的光散乱法により測定することができる。
樹脂粒子の体積基準の粒度分布の累積50%粒径(D50)は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。樹脂粒子のD50が50nm未満であると、記録媒体の表面の凹部に樹脂粒子が入り込みやすくなることがある。これにより、耐擦過性及び密着性の向上効果が低下する場合がある。このような課題は、表面に凹凸を有する記録媒体(平滑性の低い記録媒体)においてより生じやすい。樹脂粒子のD50が300nm超であると、同一体積で考えた場合、粒子数が相対的に少なくなり、樹脂粒子が偏在しやすくなることがある。これにより、耐擦過性及び密着性の向上効果が低下する場合がある。樹脂粒子の体積基準の粒度分布の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径を意味する。樹脂粒子のD50は、動的光散乱法により測定することができる。
(色材)
本発明のインクは、さらに顔料を含有してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、さらに顔料を含有してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上であることが好ましく、1.0倍以上であることがさらに好ましい。樹脂の量が、顔料の量に対して相対的に少なすぎると、耐擦過性及び密着性の向上効果が低下する場合がある。樹脂粒子の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、5.0倍以下であることが好ましく、4.0倍以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イミダゾロン顔料などの有機顔料;を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、自己分散顔料、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。樹脂分散顔料の分散剤としては、上記したビニル樹脂で形成される樹脂粒子などの水不溶性樹脂ではなく、水溶性樹脂を用いることがさらに好ましい。
自己分散顔料としては、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合したものを挙げることができる。アニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基などを挙げることができる。アニオン性基のカウンターイオンとしては、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。他の原子団は、顔料の粒子表面とイオン性基とのスペーサの機能を有する基であり、分子量が1,000以下であることが好ましい。他の原子団としては、炭素数1乃至6程度のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基、エステル基、イミノ基、アミド基、スルホニル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうる樹脂を用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましく、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するアクリル系樹脂がさらに好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、脂肪族基又は芳香族基を有するモノマーに由来する疎水性ユニットとを有するアクリル系樹脂が好ましい。
親水性ユニットは、アニオン性基、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸などのカルボン酸基を有する酸モノマー;これらの酸モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有するモノマー;などを挙げることができる。酸モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニットは、アニオン性基、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、親水性基を有しない疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族基を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(iso-)プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー;などを挙げることができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲外であると、インクジェット用の水性インクとしての耐固着性などの信頼性がやや低下する場合がある。
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲外であると、インクジェット用の水性インクとしての耐固着性などの信頼性がやや低下する場合がある。
(その他の成分)
インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、25℃で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。界面活性剤を用いる場合、インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、25℃で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。界面活性剤を用いる場合、インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(インクの物性)
本発明のインクは、インクジェット方式に適用する水性インクである。したがって、信頼性の観点から、その物性値を適切に制御することが好ましい。25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上50mN/m以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、インクジェット方式に適用する水性インクである。したがって、信頼性の観点から、その物性値を適切に制御することが好ましい。25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上50mN/m以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクを用いれば、非吸収性の記録媒体に対しても、耐擦過性及び密着性に優れた画像を記録することができる。非吸収性の記録媒体は、プラスチック材料で形成された記録媒体であり、インクの吸収性を有しないものである。具体的には、シート状、フィルム状などの形状を有する記録媒体を挙げることができる。ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET、透明性を有するものが好ましい)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、及び塩化ビニルなどのプラスチック材料で形成された記録媒体;これらの記録媒体にアルミニウムなどの金属材料を蒸着などにより付着させた記録媒体;などを挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<物性値の測定方法>
(樹脂の重量平均分子量)
樹脂をテトラヒドロフランに添加し、45℃で24時間かけて溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過して試料を調製した。試料中の樹脂含有量は、約0.3%となるように調整した。調製した試料について、以下に示す条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行った。そして、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線から樹脂の重量平均分子量を算出した。なお、標準ポリスチレン樹脂としては、PS-1及びPS-2(Polymer Laboratories製、分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)を用いた。
HPLC装置:商品名「2695 Separations Module」(Waters製)
示差屈折率(RI)検出器:商品名「2414 detector」(Waters製)
カラム:商品名「GPC KF-806M」(昭和電工製)の4連カラム
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:100μL
(樹脂の重量平均分子量)
樹脂をテトラヒドロフランに添加し、45℃で24時間かけて溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過して試料を調製した。試料中の樹脂含有量は、約0.3%となるように調整した。調製した試料について、以下に示す条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行った。そして、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線から樹脂の重量平均分子量を算出した。なお、標準ポリスチレン樹脂としては、PS-1及びPS-2(Polymer Laboratories製、分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)を用いた。
HPLC装置:商品名「2695 Separations Module」(Waters製)
示差屈折率(RI)検出器:商品名「2414 detector」(Waters製)
カラム:商品名「GPC KF-806M」(昭和電工製)の4連カラム
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:100μL
(樹脂の酸価)
樹脂粒子を含む液体から分取した樹脂粒子をテトラヒドロフラン60mLに添加し、45℃で樹脂を溶解させて測定用試料を調製した。調製した測定試料を中和滴定して、樹脂の酸価を測定した。中和滴定には、複合ガラス電極(商品名「C-171」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用した。滴定試薬としては、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を用いた。
樹脂粒子を含む液体から分取した樹脂粒子をテトラヒドロフラン60mLに添加し、45℃で樹脂を溶解させて測定用試料を調製した。調製した測定試料を中和滴定して、樹脂の酸価を測定した。中和滴定には、複合ガラス電極(商品名「C-171」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用した。滴定試薬としては、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を用いた。
(樹脂中に占める塩化ビニルに由来するユニットの割合)
樹脂粒子を含む液体から分取した樹脂粒子をテトラヒドロフラン-d8に添加し、樹脂を溶解させて測定用試料を調製した。試料中の樹脂含有量は、約10%となるように調整した。調製した測定試料について核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)を測定し、塩化ビニル及び酢酸ビニルに共通するユニットに由来するピークの面積(Vc+Va)と、酢酸ビニルのみに由来するピークの面積(Va)とを求めた。得られた2つの面積から、Vc/(Vc+Va)の値(倍)を算出した。
樹脂粒子を含む液体から分取した樹脂粒子をテトラヒドロフラン-d8に添加し、樹脂を溶解させて測定用試料を調製した。試料中の樹脂含有量は、約10%となるように調整した。調製した測定試料について核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)を測定し、塩化ビニル及び酢酸ビニルに共通するユニットに由来するピークの面積(Vc+Va)と、酢酸ビニルのみに由来するピークの面積(Va)とを求めた。得られた2つの面積から、Vc/(Vc+Va)の値(倍)を算出した。
(樹脂粒子の粒子径)
樹脂粒子を含む液体を純水で希釈して、樹脂粒子の含有量を約1.0%に調整した測定試料を得た。そして、粒度測定装置を使用して測定試料中の樹脂粒子の粒子径(D50)を測定した。この際の測定条件を以下に示す。粒度測定装置としては、動的光散乱法による粒度分布計(商品名「ナノトラックWAVEII-Q」、マイクロトラック・ベル製)を使用した。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:10回
測定時間:120秒
形状:真球形
屈折率:1.5
密度:1.0
樹脂粒子を含む液体を純水で希釈して、樹脂粒子の含有量を約1.0%に調整した測定試料を得た。そして、粒度測定装置を使用して測定試料中の樹脂粒子の粒子径(D50)を測定した。この際の測定条件を以下に示す。粒度測定装置としては、動的光散乱法による粒度分布計(商品名「ナノトラックWAVEII-Q」、マイクロトラック・ベル製)を使用した。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:10回
測定時間:120秒
形状:真球形
屈折率:1.5
密度:1.0
(樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合)
前述の「樹脂の重量平均分子量」の測定方法と同様の方法で、示差屈折率(RI)検出器により検出される樹脂粒子に由来するすべてのピーク面積の積算値を算出した。さらに、ビニル樹脂に由来するピーク面積を算出し、これらのピーク面積の比から、樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合を算出した。
前述の「樹脂の重量平均分子量」の測定方法と同様の方法で、示差屈折率(RI)検出器により検出される樹脂粒子に由来するすべてのピーク面積の積算値を算出した。さらに、ビニル樹脂に由来するピーク面積を算出し、これらのピーク面積の比から、樹脂粒子中のビニル樹脂の占める割合を算出した。
<樹脂及び樹脂粒子の製造>
撹拌機を備えたステンレス製のオートクレーブに、部分ケン化ポリビニルアルコール0.3g及びイオン交換水1,000gを仕込み、撹拌して部分ケン化ポリビニルアルコールを溶解させた。系内を窒素置換した後、表1に示す量の重合開始剤を溶解した、表1に示す量のモノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル、及び酸モノマー)を圧入した。重合開始剤としては、商品名「ルペロックス10」(アルケマ吉富製、分子量244.4)を用いた。内温を57℃とし、撹拌しながら7時間重合した後、内容物をろ過及び洗浄して固形物を得た。得られた固形物を40℃で真空乾燥して、樹脂1~22を得た。得られた樹脂1~22の特性を表1に示す。表1中、「ライトエステルP-1M」は、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートの商品名(共栄社化学製)である。
撹拌機を備えたステンレス製のオートクレーブに、部分ケン化ポリビニルアルコール0.3g及びイオン交換水1,000gを仕込み、撹拌して部分ケン化ポリビニルアルコールを溶解させた。系内を窒素置換した後、表1に示す量の重合開始剤を溶解した、表1に示す量のモノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル、及び酸モノマー)を圧入した。重合開始剤としては、商品名「ルペロックス10」(アルケマ吉富製、分子量244.4)を用いた。内温を57℃とし、撹拌しながら7時間重合した後、内容物をろ過及び洗浄して固形物を得た。得られた固形物を40℃で真空乾燥して、樹脂1~22を得た。得られた樹脂1~22の特性を表1に示す。表1中、「ライトエステルP-1M」は、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートの商品名(共栄社化学製)である。
撹拌機(商品名「トルネード撹拌機スタンダードSM-104」、アズワン製)をセットした容積2Lのビーカーを用意した。表2に示す種類及び量の樹脂、アセトン900gを入れ、45℃で撹拌して樹脂を溶解させた。樹脂の酸価を基準とする中和率100モル%に相当する使用量の5%水酸化カリウム水溶液を添加して、30分間撹拌した。さらに、表2に示す滴下時の温度及び回転数の条件で撹拌しながら、脱イオン水900gを20mL/minの速度でビーカー内に滴下した。樹脂粒子2及び樹脂粒子26については、脱イオン水に代えて、表2に示す量の界面活性剤を予め脱イオン水に添加して調製した液体をビーカー内に滴下した。60℃に昇温及び減圧して有機溶剤及び一部の水を留去した後、150メッシュの金網(1インチ平方に縦横それぞれ150本のステンレス線が編み込まれたフィルタ)を用いて、ビーカーの内容物をろ過した。適量の脱イオン水を添加して樹脂粒子の含有量を調整し、樹脂粒子の含有量が25.0%である、各樹脂粒子を含む液体を得た。得られた樹脂粒子の特性を表2に示す。表2中、「アクリル樹脂」は商品名「ジョンクリル815」(BASF製)であり、「界面活性剤」は商品名「ニューコール3240」(日本乳化剤製)である。
<顔料分散剤>
(顔料分散液1)
顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)16.0部、スチレン-アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和して得た水溶液(樹脂の含有量20.0%)50.0部、及びイオン交換水35.0部を混合して混合物を得た。スチレン-アクリル酸共重合体としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のものを用いた。バッチ式縦型サンドミルを用いて、得られた混合物を2時間分散処理した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液1)
顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)16.0部、スチレン-アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和して得た水溶液(樹脂の含有量20.0%)50.0部、及びイオン交換水35.0部を混合して混合物を得た。スチレン-アクリル酸共重合体としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のものを用いた。バッチ式縦型サンドミルを用いて、得られた混合物を2時間分散処理した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液2)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液2を得た。顔料分散液2中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液2を得た。顔料分散液2中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液3を得た。顔料分散液3中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液3を得た。顔料分散液3中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液4)
顔料をカーボンブラックに変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液4を得た。顔料分散液4中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料をカーボンブラックに変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液4を得た。顔料分散液4中の顔料の含有量は16.0%、樹脂の含有量は10.0%であった。
<インクの調製>
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.45μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過してインクを調製した。以下に示す成分のうち、「アセチレノールE100」は、ノニオン性界面活性剤の商品名(川研ファインケミカル製)である。インクの特性を表3に示す。
・顔料分散液:表3に示す使用量(%)
・樹脂粒子を含む液体:表3に示す使用量(%)
・グリセリン:10.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:1.0%
・イオン交換水:成分の合計が100.0%となる残量
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.45μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過してインクを調製した。以下に示す成分のうち、「アセチレノールE100」は、ノニオン性界面活性剤の商品名(川研ファインケミカル製)である。インクの特性を表3に示す。
・顔料分散液:表3に示す使用量(%)
・樹脂粒子を含む液体:表3に示す使用量(%)
・グリセリン:10.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:1.0%
・イオン交換水:成分の合計が100.0%となる残量
<評価>
調製した各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に、1滴当たり5pLのインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。このインクジェット記録装置を使用し、コロナ放電処理したPETフィルム及びアルミニウムを蒸着させたPETフィルム(表4中「アルミ蒸着PET」と表記)に、記録デューティが100%である、200mm×200mmのベタ画像をそれぞれ記録した。コロナ放電処理したPETフィルムとしては、商品名「E5100」(東洋紡製、厚さ12μm)をA4サイズにカットしたものを用いた。アルミニウムを蒸着させたPETフィルムとしては、商品名「VM-PET1510」(東レフィルム加工製、厚さ12μm)をA4サイズにカットしたものを用いた。
調製した各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に、1滴当たり5pLのインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。このインクジェット記録装置を使用し、コロナ放電処理したPETフィルム及びアルミニウムを蒸着させたPETフィルム(表4中「アルミ蒸着PET」と表記)に、記録デューティが100%である、200mm×200mmのベタ画像をそれぞれ記録した。コロナ放電処理したPETフィルムとしては、商品名「E5100」(東洋紡製、厚さ12μm)をA4サイズにカットしたものを用いた。アルミニウムを蒸着させたPETフィルムとしては、商品名「VM-PET1510」(東レフィルム加工製、厚さ12μm)をA4サイズにカットしたものを用いた。
但し、インク31は顔料を含有しないインクである。このため、インク36を用いて記録デューティが20%であるベタ画像を記録して1日放置した後、この画像に重なる位置にインク31を記録デューティ100%の条件で付与して記録した画像について、インク31の耐擦過性及び密着性を評価した。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「A」を優れているレベルとし、「B」及び「B-」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(耐擦過性)
記録したベタ画像を1日放置した後、学振型試験機(商品名「耐摩耗試験機」、井元製作所製)を使用し、JIS L 0849:2013に準拠した摩擦試験を行った。具体的には、荷重500gで10往復する条件で摩擦試験を行った。摩擦試験後の画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
A:画像に擦過痕がついていなかった。
B:画像に擦過痕がついていたが、記録媒体は見えなかった。
B-:画像に擦過痕がついており、記録媒体の一部が見えていた。
C:画像に擦過痕がついており、記録媒体が広い範囲で見えていた。
記録したベタ画像を1日放置した後、学振型試験機(商品名「耐摩耗試験機」、井元製作所製)を使用し、JIS L 0849:2013に準拠した摩擦試験を行った。具体的には、荷重500gで10往復する条件で摩擦試験を行った。摩擦試験後の画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
A:画像に擦過痕がついていなかった。
B:画像に擦過痕がついていたが、記録媒体は見えなかった。
B-:画像に擦過痕がついており、記録媒体の一部が見えていた。
C:画像に擦過痕がついており、記録媒体が広い範囲で見えていた。
実施例31については、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
A:インク36のベタ画像に擦過痕がついていなかった。
B:インク36のベタ画像に擦過痕がついていたが、記録媒体は見えなかった。
C:インク36のベタ画像に擦過痕がついており、記録媒体が見えていた。
A:インク36のベタ画像に擦過痕がついていなかった。
B:インク36のベタ画像に擦過痕がついていたが、記録媒体は見えなかった。
C:インク36のベタ画像に擦過痕がついており、記録媒体が見えていた。
(密着性)
記録したベタ画像を1日放置した後、商品名「セロテープ(登録商標)」(ニチバン製)を貼り付けて剥離し、以下に示す評価基準にしたがって画像の密着性を評価した。
A:剥離しなかった。
B:一部のみが剥離した。
B-:広い範囲で剥離した。
C:全体が剥離した。
記録したベタ画像を1日放置した後、商品名「セロテープ(登録商標)」(ニチバン製)を貼り付けて剥離し、以下に示す評価基準にしたがって画像の密着性を評価した。
A:剥離しなかった。
B:一部のみが剥離した。
B-:広い範囲で剥離した。
C:全体が剥離した。
実施例31については、以下に示す評価基準にしたがって画像の密着性を評価した。なお、インク36のベタ画像は記録デューティが20%であるので、ベタ画像内にはインクに覆われていない領域が面積基準で80%程度存在する。このインク36のベタ画像に重ねてインク31のベタ画像を記録デューティ100%として付与すると、インク36のベタ画像内におけるインクで覆われていない領域では、記録媒体にインク31が直接付与された状態となる。そして、画像の表面側にはインク31の樹脂粒子による樹脂層が全体的に形成されている。インク31のベタ画像に「セロテープ(登録商標)」を貼り付けて剥離した場合に、樹脂層に引きずられて顔料まで剥離するかを確認することで、インク31の密着性を評価することができる。
A:インク36のベタ画像が剥離しなかった。
B:インク36のベタ画像が一部のみ剥離した。
C:インク36のベタ画像の全体が剥離していた。
A:インク36のベタ画像が剥離しなかった。
B:インク36のベタ画像が一部のみ剥離した。
C:インク36のベタ画像の全体が剥離していた。
Claims (9)
- 樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記樹脂粒子が、塩化ビニル及び酢酸ビニルの少なくとも一方に由来するユニット、並びに酸モノマーに由来するユニットを有する樹脂を含んで形成され、
前記樹脂粒子中の前記樹脂の占める割合(質量%)が、前記樹脂粒子の全質量を基準として、95質量%以上であることを特徴とする水性インク。 - 前記樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量が、10,000以上である請求項1に記載の水性インク。
- 前記樹脂の酸価が、5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記樹脂中の前記塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)が、前記塩化ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)と前記酢酸ビニルに由来するユニットの占める割合(質量%)の合計に対する質量比率で、0.10倍以上0.90倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記酸モノマーの酸基が、カルボン酸基である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記樹脂粒子の体積基準の粒度分布の累積50%粒子径が、50nm以上300nm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
- さらに顔料を含有し、
前記樹脂粒子の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。 - インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021199590A Pending JP2023085094A (ja) | 2021-12-08 | 2021-12-08 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023085094A (ja) |
-
2021
- 2021-12-08 JP JP2021199590A patent/JP2023085094A/ja active Pending
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