JP2015199788A - インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性及び吐出安定性に優れているとともに、記録ヘッド及びインクの温度が上昇する条件下で継続して印刷した場合であっても優れた吐出安定性が保持されるインクジェット用インクを提供する。さらに、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インクを提供する。
【解決手段】樹脂粒子と、樹脂分散カーボンブラックとを含有するインクジェット用インクである。樹脂粒子が、第1の層を有し、第1の層は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は、記録される画像の画質や記録速度の向上に伴い、商業印刷分野及びオフィス印刷分野等で使用される機会が増加している。これらの分野で使用されるインクジェット記録装置用のインク(インクジェット用インク)に対しては、保存安定性及び吐出安定性に優れているとともに、耐擦過性に優れた画像を記録可能であること等が要求される。そして、このような要求を満足すべく、例えば、樹脂粒子を含有するインクが検討されている。
一方、商業印刷分野及びオフィス印刷分野等で用いられるインクジェット用インクの色材としては、記録される画像の堅牢性を向上させる目的から顔料が好適に用いられている。水に不溶な顔料をインクジェット用インクに用いるために、樹脂分散剤を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基を結合させた自己分散顔料などが開発されている。なかでも、樹脂分散顔料は、記録媒体への顔料の定着性や画像の耐擦過性を向上させるために広く用いられている。
例えば、特許文献1では、樹脂粒子、樹脂分散顔料、保湿剤、及び水を含有する水性インク組成物が提案されている。また、特許文献2では、ガラス転移点(Tg)が30℃以上の樹脂からなる樹脂粒子、樹脂分散顔料、グリセリンエーテル化合物、保湿剤、及び水を含有する水性インク組成物が提案されている。さらに、特許文献3では、樹脂分散カーボンブラック及び溶剤を含有する水性インクジェットインクに、樹脂粒子又はアミン中和型の水溶性樹脂を定着樹脂として添加することが提案されている。
特開2005−232360号公報 特表2006−274024号公報 特開2009−249446号公報
本発明者らは、樹脂粒子及び樹脂分散顔料を含有するインクジェット用インクについて検討した。その結果、カーボンブラックを顔料として用いた場合においては、上述の特許文献1〜3で提案された水性インク組成物等については以下の課題が生ずることが判明した。すなわち、樹脂分散カーボンブラックを含有するインクジェット用インクを用いて高印字率で長時間印刷する等、記録ヘッド及びインクの温度が上昇するような条件下で印刷した場合にはインクの不吐出が生ずることが判明した。このため、長期間にわたって十分な吐出安定性を得ることが困難であることが分かった。
したがって、本発明の目的は、保存安定性及び吐出安定性に優れているとともに、記録ヘッド及びインクの温度が上昇する条件下で継続して印刷した場合であっても優れた吐出安定性が保持されるインクジェット用インクを提供することにある。さらに、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット用インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、樹脂粒子と、樹脂分散カーボンブラックとを含有するインクジェット用インクであって、前記樹脂粒子が、第1の層を有し、前記第1の層は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成されていることを特徴とするインクジェット用インクが提供される。
本発明によれば、保存安定性及び吐出安定性に優れているとともに、記録ヘッド及びインクの温度が上昇する条件下で継続して印刷した場合であっても優れた吐出安定性が保持されるインクジェット用インクを提供することができる。さらに、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット用インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。 ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。
<インクジェット用インク>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のインクジェット用インク(以下、単に「インク」とも記す)は、樹脂粒子と、樹脂分散カーボンブラックとを含有する。そして、この樹脂粒子が、第1の層を有しており、第1の層は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成されている。
まず、インクジェット記録用のヘッド(記録ヘッド)及びインクの温度が上昇する条件下で印刷を継続した場合に、樹脂分散カーボンブラックを用いたインクで不吐出が生ずる推定要因について説明する。カーボンブラックは、一次粒子表面の細孔内部及びストラクチャーの内部に気体を抱え込んでいる。インク中のカーボンブラック内に抱え込まれた気体は、インクの温度上昇とともに膨張し、泡となってインク中に放出される。放出された泡が集まって記録ヘッドの液室内に泡だまりが形成されると、形成された泡だまりとインクの発泡成長が連通してしまい、インクの供給ができなくなって不吐出が生ずると推測される。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成された第1の層を有する樹脂粒子をインクに添加することで、不吐出が改善されることを見出した。さらに、上記の樹脂粒子をインクに添加することで、記録される画像の耐擦過性が向上することを見出した。そして、上記の樹脂粒子を添加したインクは、保存安定性及び吐出安定性が向上することを見出した。不吐出が改善された理由は明らかではないが、カーボンブラックの一次粒子表面の細孔内部及びストラクチャー内部に抱え込まれた気体と、インク中の泡に樹脂粒子が吸着し拡散することで、不吐出を引き起こす泡だまりの発生が抑制されたためと推測される。
また、上記の樹脂粒子と樹脂分散カーボンブラックを含有するインクで記録した画像の耐擦過性が向上した理由については以下のように推測される。本発明のインクに含有させる樹脂粒子を構成する第1の層を形成する第1の樹脂は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、実質的に架橋した樹脂である。このように実質的に架橋した第1の樹脂で形成された第1の層は、イオン性基の配向が抑制されているとともに、イオン性基による静電反発力が発揮される。このため、実質的に架橋した第1の樹脂で形成された第1の層を有する樹脂粒子は、高い分散安定性を有する。このような高い分散安定性を有する樹脂粒子は、記録媒体に付与された際に樹脂分散カーボンブラック同士の間に入り、樹脂分散カーボンブラックが凝集して大きな塊を形成することを抑制する。したがって、均一な連続膜が形成され、画像の耐擦過性が向上すると推測される。また、樹脂粒子が高い分散安定性を有するために、インクの保存安定性及び吐出安定性が向上すると考えられる。
(樹脂粒子)
本発明のインクは、樹脂粒子を含有する。また、本発明のインクは、例えば水性媒体などを含有してもよい。以下、本発明のインクに用いることができる成分について、それぞれ説明する。なお、以下「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」及び「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
本発明における「樹脂粒子」は、粒径を有する状態で存在する樹脂を意味する。樹脂粒子はインク中に分散した状態で存在する、いわゆる樹脂エマルションであることが好ましい。樹脂粒子の体積平均粒子径(D50)は、25nm以上600nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂粒子の体積平均粒子径は、純水で希釈した樹脂粒子を含有する試料液について、動的光散乱式の粒径・粒度分布測定装置(商品名「ナノトラックUPA−EX150」(日機装製))を使用して、以下に示す測定条件で測定することができる。
[測定条件]
SetZero:30s
測定回数:3回
測定時間:180秒
形状:真球形
屈折率:1.59
樹脂粒子を構成する樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上1,000,000以下であることが好ましい。
樹脂粒子を構成する樹脂のテトラヒドロフラン不溶分率(以下、「THF不溶分率」とも記す)は、80質量%以下であることが好ましい。THF不溶分率が80質量%より大きいと、記録される画像の耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。なお、樹脂のTHF不溶分率は、以下に示す手順にしたがって測定及び算出することができる。まず、樹脂粒子を乾燥させて得た固形分を、その含有量が0.5質量%となるようにTHFに含浸させ、24時間撹拌する。次いで、溶解せずに残存した樹脂粒子の質量を測定し、下記式よりTHF不溶分率(%)を算出することができる。
THF不溶分率(質量%)
={(残存した樹脂粒子の質量)/(含浸させた樹脂粒子の質量)}×100
樹脂粒子の表面電荷量は、1μmol/m2以上500μmol/m2以下であることが好ましく、1μmol/m2以上50μmol/m2以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の表面電荷量は、以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。まず、塩酸を用いて樹脂粒子を含有する試料液のpHを2に調整して24時間撹拌した後、遠心分離して固形物を沈殿回収して粉砕する。粉砕した固形物1gに0.1mol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液30gを加えて15時間撹拌した後、遠心分離して得られた上澄み1gを純水で15gに希釈する。得られた希釈液を、電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用して0.1mol/Lの塩酸で滴定し、樹脂粒子の電荷量を測定する。そして、測定した電荷量を体積平均粒子径から算出した表面積で除することで、樹脂粒子の表面電荷量を算出することができる。
樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点は、0℃以上200℃以下であることが好ましい。また、本発明のインクを用いて画像を記録する際に、加熱定着工程を設ける場合には、樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点は、加熱定着工程における加熱温度以下であることが好ましい。なお、加熱定着工程における加熱温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて測定することができる。
ガラス転移点の具体的な測定方法は、以下に示す通りである。先ず、樹脂粒子を60℃で乾固させて得た乾固物2mgをアルミ容器に封管する。そして、この乾固物について、示差走査熱量測定装置(DSC、商品名「Q1000」、TA instruments製)を使用すれば、樹脂のガラス転移点を測定することができる。なお、ガラス転移点を測定する際の温度プログラムは、例えば、以下に示す(1)及び(2)の手順とすればよい。
(1)200℃まで10℃/分で加熱した後、200℃から−50℃まで5℃/分で降温させる。
(2)次いで、−50℃から200℃まで10℃/分で昇温させながら熱分析する。
[第1の層]
本発明のインクに含まれる樹脂粒子は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成された第1の層を有する。なお、本発明における「THF不溶分率が25質量%より大きい」とは、その樹脂(第1の樹脂)が実質的に架橋していることを意味する。
架橋している樹脂は、例えば、架橋性のモノマーを重合することで得られる。架橋性のモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマーを挙げることができる。架橋性のモノマーの具体例としては、ブタジエン、イソプレンなどのジエン;アセチレンなどのアルキン;1,4−ブタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、プロポシキ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチルグリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレートなどの2官能性アルキル(メタ)アクリレート;トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポシキ化グリセリルトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの3官能性アルキル(メタ)アクリレート;ジトリメエチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの4官能性アルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの架橋性のモノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチルグリコールジメタクリレートが好ましく、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートがさらに好ましい。
また、イオン性基を有する樹脂は、例えば、アニオン性基やカチオン性基などのイオン性基を有するモノマーを重合することで得られる。なかでも、イオン性基としてアニオン性基を有するモノマーを用いることが好ましい。イオン性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸;2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリドを挙げることができる。これらのイオン性基を有するモノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
樹脂粒子の第1の層を形成する第1の樹脂は、架橋性のモノマーとイオン性基を有するモノマーとの共重合体であることが好ましい。すなわち、第1の樹脂は、架橋性のモノマーに由来するユニットと、イオン性基を有するモノマーに由来するユニットとを有する樹脂であることが好ましい。第1の樹脂中のイオン性基を有するモノマーに由来するユニットの含有量(質量%)に対する、架橋性のモノマーに由来するユニットの含有量(質量%)は、0.20倍以上50倍以下であることが好ましい。
[第2の層]
本発明のインクに用いる樹脂粒子は、さらに、第1の層の外側に配置される第2の層を有し、この第2の層が、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成されていることが好ましい。「親水性部位」の具体例としては、ヒドロキシル基、イオン性基、メチレンオキサイド基、及びエチレンオキサイド基などを挙げることができる。「疎水性部位」の具体例としては、アルキル基、アリール基、及び炭素数が3以上のアルキレンオキサイド基などを挙げることができる。また、樹脂粒子中の親水性部位及び疎水性部位を持ったユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、0.5μmol/m2以上であることが好ましい。親水性部位及び疎水性部位を持ったユニットの含有量が、樹脂粒子の単位表面積当たり0.5μmol/m2以上であると、不吐出の要因となる気体や泡を吸着させやすくなり、吐出耐久性をさらに改善することができる。
さらに、「親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット」は、反応性界面活性剤に由来するユニットであることが好ましい。本発明における反応性界面活性剤とは、分子内に親水性部位、疎水性部位、及びエチレン性不飽和結合を、それぞれ少なくとも1つ有する化合物を意味する。反応性界面活性剤は、エチレン性不飽和結合によって内側の層を構成する樹脂と化学結合し、樹脂粒子の表面層を形成する。すなわち、反応性界面活性剤に由来するユニットは、内側の層と化学結合していることが好ましい。内側の層と化学結合した反応性界面活性剤に由来するユニットは、樹脂粒子から剥れにくいため、樹脂粒子が泡を吸着して拡散させる効果がより有効に発揮される。
なお、樹脂粒子の単位表面積当たりの「親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット」の含有量は、例えば、樹脂粒子を1H−NMR測定することによって得られる反応性界面活性剤の量と、樹脂粒子の体積平均粒子径とから算出することができる。また、樹脂粒子を製造する際の反応性界面活性剤の仕込み量と、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径から算出することもできる。
反応性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの分子内又は分子末端に、メタクリロイル基、アクリロイル基、マレイル基、ビニル基、又はアリル基が結合している化合物を用いることが好ましい。反応性界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルであるアクアロン:RN−20、RN−30、RN−50;ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウムであるアクアロン:HS−10、BC−0515、BC−10、BC−20;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウムであるアクアロン:KH−05、KH−10(以上、第一工業製薬製);α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))であるアデカリアソープ:ER−10、ER−20、ER−30、ER−40;α−[1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレンであるアデカリアソープ:NE−10、NE−20、NE−30、NE−40、NE−50;α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩であるアデカリアソープ:SR−10S、SR−10、SR−20、SR−3025、SE−10N、SE−20N(以上、ADEKA製);2−ソジウムスルホエチルメタクリレートであるAntox:MS−2N;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩であるAntox:MS−60;アルコキシポリエチレングリコールメタクリレートであるAntox:LMA−10、LMA−20、LMA−27;アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステルであるAntox:SMH−20、LMH−20、EMH−20(以上、日本乳化剤製);ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルであるラテムル:PD−420、PD−430、PD−450;ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウムであるラテムル:PD−105(以上、花王製);ビニルエーテルアルコキシレートであるEmulsogen:R208、R307(以上、クラリアント製);アルキルアリルスルホコハク酸塩であるエレミノール:JS−20、ポリオキシアルキレンメタクリレート硫酸エステル塩であるエレミノール:RS−3000(以上、三洋化成製);不飽和リン酸エステルであるMaxemul:6106、6112(以上、クローダ製)を挙げることができる。
不吐出の要因となる気体や泡を吸着して拡散させる効果をより高めるためには、親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット中の親水性部位は、エチレンオキサイドの付加数が5以上50以下のポリオキシエチレン鎖を有することが好ましい。さらに、親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット中の疎水性部位は、炭素数が5以上20以下のアルキル基を有することが好ましい。樹脂粒子に占める第2の層の含有割合は、樹脂粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
[第3の層]
本発明のインクに用いる樹脂粒子は、さらに、第1の層の内側に配置される第3の層を有し、この第3の層が、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%以下である第2の樹脂で形成されていることが好ましい。さらに、第3の層の内側に配置されるコア粒子を有していてもよい。なお、本発明における「THF不溶分率が25質量%以下である」とは、その樹脂(第2の樹脂)が実質的に架橋していないことを意味する。
第2の樹脂のTHF不溶分率は、例えば、定法にしたがって樹脂粒子から分離した第3の層を試料とし、前述の方法にしたがって測定及び算出することができる。架橋していない樹脂は、例えば、非架橋性のモノマーを重合することで得られる。非架橋性のモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を1つだけ有するモノマーを用いることができる。非架橋性モノマーの具体例としては、エチレンやプロピレンなどのアルケン;(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、アリルベンゼンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらの非架橋性モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、炭素数が22以下のアルケン、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が22以下のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、アルキル基の炭素数が12以下のアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
第2の樹脂は、THF不溶分率が25質量%以下であれば、非架橋性のモノマーをさらに重合させて得られたものであってもよい。架橋性のモノマーの具体例としては、前述の第1の樹脂を得る際に用いる架橋性のモノマーと同様のものを挙げることができる。架橋性のモノマーの使用量は、第2の樹脂を製造するために用いる全てのモノマーの使用量を基準として、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。特に、0質量%であること、すなわち、第2の樹脂は、架橋性のモノマーに由来するユニットを含まないことが好ましい。
樹脂粒子に占める第3の層の含有割合は、樹脂粒子全体に対して、30質量%以上90質量%以下であることが好ましい。また、第1の層は第3の層の表面を全て被覆していることが好ましいが、完全に被覆していなくてもよい。より具体的には、第1の層が第3の層の表面積の20%以上を被覆していることが好ましく、50%以上を被覆していることがさらに好ましく、70%以上を被覆していることが特に好ましい。
第1の層の膜厚は、1nm以上であることが好ましい。また、第3の層の膜厚は、第1の層の膜厚に対して、5倍以上1,000倍以下であることが好ましく、5倍以上60倍以下であることがさらに好ましい。なお、第3の層が樹脂粒子の中心、すなわち、コア粒子である場合は、コア粒子の粒径を第3の層の膜厚とする。第1の層の膜厚は、例えば、第3の層を有する樹脂粒子の粒径を測定した後に、第1の層で被覆した樹脂粒子の粒径を測定し、その差分から算出することができる。また、樹脂粒子を製造する際に用いるモノマーの仕込み量から間接的に算出することもできる。
(樹脂粒子の製造方法)
本発明のインクに用いる樹脂粒子は、従来公知の重合方法によって製造することができる。例えば、乳化重合法、プレエマルション重合法、シード重合法、転相乳化法などによって本発明のインクに用いる樹脂粒子を製造することができる。
代表例として、第3の層、第1の層、及び第2の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子を製造する方法について説明する。すなわち、3層構造の樹脂粒子は、例えば、以下に示す工程(1)及び(2)を有する製造方法によって製造することができる。
工程(1):非架橋性のモノマーを乳化重合して、実質的に架橋していない樹脂からなる粒子を含有する分散体を得る工程
工程(2):得られた分散体に、イオン性基を有するモノマー、架橋性のモノマー、及び反応性界面活性剤を加えて重合する工程
(樹脂分散カーボンブラック)
本発明のインクは、着色成分(色材)として樹脂分散カーボンブラックを含有する。この樹脂分散カーボンブラックは、通常、カーボンブラックと、このカーボンブラックを水性媒体中に分散させる樹脂分散剤とを含有する。本発明のインクにおいては、樹脂分散カーボンブラック中のカーボンブラックの含有量(質量%)に対する樹脂分散剤の含有量(質量%)が、0.2倍以上1.5倍以下であることが好ましい。カーボンブラックの含有量(質量%)に対する樹脂分散剤の含有量(質量%)を上記の範囲内とすることで、インクジェット用のインクとしてのより好ましい保存安定性及び吐出安定性を発揮させることができる。
また、インク中のカーボンブラックの含有量(質量%)に対する樹脂粒子の含有量(質量%)は、1倍以上5倍以下であることが好ましい。カーボンブラックの含有量に対する樹脂粒子の含有量が1倍未満であると、樹脂粒子の量が少なすぎるために、不吐出の要因となる気体や泡を十分に吸着することができない場合がある。一方、カーボンブラックの含有量に対する樹脂粒子の含有量が5倍超であると、インクの粘度が上昇してしまい、吐出安定性が低下する場合がある。
[カーボンブラック]
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどの従来公知のカーボンブラックをいずれも用いることができる。また、複数種のカーボンブラックを組み合わせて用いることもできる。
カーボンブラックのBET比表面積は、100m2/g以上400m2/g以下であることが好ましく、200m2/g以上350m2/g以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックのBET比表面積が100m2/g以上、特に200m2/g以上であると、画像濃度が良好であるとともに、より優れた耐擦過性を有する画像を記録することができる。また、カーボンブラックのBET比表面積が400m2/g以下であると、分散性が良好になるため、インクの保存安定性及び吐出安定性がさらに向上する。さらに、カーボンブラックのBET比表面積が350m2/g以下であると、一次粒子の細孔の数が多すぎないため、樹脂粒子による気体の吸着効果を容易に得ることができる。なお、本発明における「BET比表面積」は、JIS−K−6217に準拠した窒素吸着法により測定及び算出される値である。
カーボンブラックのDBP吸油量は、40mL/100g以上150mL/100g以下であることが好ましく、50mL/100g以上145mL/100g以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックのDBP吸油量が40mL/100g以上、より好ましくは50mL/100g以上であると、画像濃度が良好であるとともに、より優れた耐擦過性を有する画像を記録することができる。また、カーボンブラックのDBP吸油量が150mL/100g以下であると、分散性が良好になるため、インクの保存安定性及び吐出安定性がさらに向上する。さらに、カーボンブラックのDBP吸油量が145mL/100g以下であると、ストラクチャーが発達しすぎないために、樹脂粒子による気体の吸着効果を容易に得ることができる。なお、本発明における「DBP吸油量」は、JIS−K−6221に準拠して測定される値である。
カーボンブラックの一次粒子径は、10nm以上30nm以下であることが好ましく、13nm以上18nm以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックの一次粒子径が10nm以上、より好ましくは13nm以上であると、分散性が良好になるため、インクの保存安定性及び吐出安定性がさらに向上する。また、カーボンブラックの一次粒子径が30nm以下、より好ましくは18nm以下であると、画像濃度が良好であるとともに、より優れた耐擦過性を有する画像を記録することができる。
なお、本発明における「(カーボンブラックの)一次粒子径」は、以下に示す手順にしたがって測定及び算出される値である。まず、クロロホルム中にカーボンブラックを十分に希釈分散させて分散液を調製する。この際、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した画像において、カーボンブラックの一次粒子同士が重なり合わない程度の濃度に希釈分散させる。次いで、コロジオン膜付メッシュ上に上記の分散液を展開した後に乾燥させ、TEMで撮影する。撮影したTEM写真(引き延ばし後の倍率3万倍)をスキャナーに入力してデジタル化した後、コンピュータ画像解析を行う。そして、抽出された各一次粒子の投影面積と等しい面積の円の直径(等面積円径)の分布より求めた算術平均径(数平均値)を「一次粒子径」とする。
[樹脂分散剤]
樹脂分散剤として用いる樹脂は、親水性部位と疎水性部位を有するものが好ましい。樹脂分散剤の具体例としては、アクリル酸やメタクリル酸などカルボキシ基を有するモノマーを用いて重合したアクリル樹脂;ジメチロールプロピオン酸などアニオン性基を有するジオールを用いて重合したウレタン樹脂などを挙げることができる。樹脂分散剤は、その酸価が50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の水溶性樹脂であることが好ましい。また、樹脂分散剤のGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂分散カーボンブラックの製造方法)
樹脂分散カーボンブラックは、例えば、アルカリ性化合物を含有するアルカリ水溶液に樹脂分散剤を溶解させた液と、カーボンブラックとを混合した後、分散機によって分散させることにより製造することができる。分散機としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ビーズミル、ペイントシェイカー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量に対して、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、従来、一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤の具体例としては、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量に対して、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体など、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記樹脂粒子以外の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。特に、pH調整剤を用いてインクのpHを6以上10以下に調整することが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されるインクが、上述の本発明のインクジェット用インクである。インクカートリッジの構造としては、例えば、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものを挙げることができる。また、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。そして、インクが、前述の本発明のインクジェット用インクである。なお、本発明における「記録」には、一般的な記録媒体にインクを付与して画像を記録する態様だけでなく、ガラス、プラスチック、又はフィルム等の非浸透性の基材にインクを付与してプリントする態様が含まれる。記録媒体としては、普通紙の他、例えば、透気性支持体(紙など)と、この透気性支持体上に形成された無機顔料及びバインダーを含有する多孔質性インク受容層とを備えた、いわゆる光沢紙等を挙げることができる。
図1は、インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。給紙を行う際には、まず給紙トレイを含む給紙部において所定枚数の記録媒体が、給紙ローラと分離ローラから構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーに案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータの駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
画像を記録する際には、キャリッジ部は記録ヘッドを目的の画像形成位置に配置させ、電気基板からの信号に従って、記録媒体に対してインクを吐出する。インクジェット記録装置においては、記録ヘッドにより記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。最後に、画像が形成された記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイに排出される。
図2は、ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。図2には、複数のインクに対応したインクカートリッジH1900が独立に用意された状態が示されている。そして、それぞれのインクカートリッジH1900は、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<樹脂粒子分散液の調製>
(樹脂粒子分散液1)
ブチルメタクリレート35.0部、ハイドロホーブであるn−ヘキサデカン2.0部、及び2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2.0部を混合し、30分間撹拌して混合溶液を得た。得られた混合溶液をポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「Nikkol BC15」、日光ケミカルズ製)の5.0%水溶液61.0部に滴下した後、30分間撹拌した。超音波照射機(商品名「S−150Dデジタルソニファイアー」、ブランソン製)を使用し、400W、20kHz、3時間の条件で分散させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行って樹脂粒子の分散体(1)を得た。得られた樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水5.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬製)2.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液1を得た。得られた樹脂粒子分散液1中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液1中の樹脂粒子の体積平均粒子径は120nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、1.2μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は10であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液2)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水6.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「アクアロンKH−05」(第一工業製薬製)1.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液2を得た。得られた樹脂粒子分散液2中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液2中の樹脂粒子の体積平均粒子径は140nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、1.0μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は5であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液3)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水6.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「エレミノールJS−20」(三洋化成製)1.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液3を得た。得られた樹脂粒子分散液3中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液3中の樹脂粒子の体積平均粒子径は130nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、1.2μmol/m2であった。さらに、親水性部位はエチレンオキサイド基を有しておらず、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液4)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水4.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「Emulsogen R−208」(クラリアント製)3.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液4を得た。得られた樹脂粒子分散液4中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液4中の樹脂粒子の体積平均粒子径は180nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、0.9μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は20であり、疎水性部位はアルキル基を有していなかった。
(樹脂粒子分散液5)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水6.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬製)1.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液5を得た。得られた樹脂粒子分散液5中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液5中の樹脂粒子の体積平均粒子径は120nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、0.6μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は10であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液6)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水7.4部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「アクアロンKH−10」0.5部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液6を得た。得られた樹脂粒子分散液6中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液6中の樹脂粒子の体積平均粒子径は120nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、0.3μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は10であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液7)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水4.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート10.0部、メタクリル酸3.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「Nikkol BC15」(日光ケミカルズ製)3.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液7を得た。得られた樹脂粒子分散液7中の樹脂粒子は、以下に示す(i)及び(ii)の層を内側から順に有する2層構造の樹脂粒子であった。また、樹脂粒子分散液2中の樹脂粒子の体積平均粒子径は150nmであった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(樹脂粒子分散液8)
ブチルメタクリレート39.3部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート3.0部、商品名「アクアロンKH−05」(第一工業製薬製)3.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。イオン交換水51.6部及び過硫酸カリウム0.1部を混合して得た溶液に調製した乳化物を3時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下、80℃で撹拌して重合反応を行った。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液8を得た。得られた樹脂粒子分散液8中の樹脂粒子は、カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された単層の樹脂粒子であり、その体積平均粒子径は180nmであった。
(樹脂粒子分散液9)
ブチルメタクリレート35.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート1.0部、メタクリル酸1.0部、商品名「アクアロンKH−05」(第一工業製薬製)2.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。イオン交換水57.9部及び過硫酸カリウム0.1部を混合して得た溶液に調製した乳化物を3時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下、80℃で撹拌して重合反応を行った。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液9を得た。得られた樹脂粒子分散液9中の樹脂粒子は、カルボキシ基を有するTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された単層の樹脂粒子であり、その体積平均粒子径は170nmであった。
(樹脂粒子分散液10)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水5.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート13.0部、メタクリル酸3.0部、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬製)2.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液10を得た。得られた樹脂粒子分散液10中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)カルボキシ基を有するTHF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液10中の樹脂粒子の体積平均粒子径は120nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、1.2μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は10であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
(樹脂粒子分散液11)
「樹脂粒子分散液1」を調製する途中で得た樹脂粒子の分散体(1)73.0部を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、イオン交換水5.9部及び過硫酸カリウム0.1部を加えた。ブチルメタクリレート11.0部、1,4−ブタンジオールジメタクリレート5.0部、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬製)2.0部、及びイオン交換水3.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物を樹脂粒子の分散体(1)に1時間かけて滴下した。滴下後、85℃に加熱して2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却してイオン交換水、水酸化カリウム(KOH)水溶液を添加し、樹脂の含有量が20%、pH8.5の樹脂粒子分散液11を得た。得られた樹脂粒子分散液11中の樹脂粒子は、以下に示す(i)〜(iii)の層を内側から順に有する3層構造の樹脂粒子であった。
(i)THF不溶分率25%以下の樹脂で形成された層
(ii)イオン性基を有しないTHF不溶分率が25%より大きい樹脂で形成された層
(iii)親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成された層
また、樹脂粒子分散液11中の樹脂粒子の体積平均粒子径は120nmであり、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットの含有量は、樹脂粒子の単位表面積当たり、1.2μmol/m2であった。さらに、親水性部位のエチレンオキサイドの付加数は10であり、疎水性部位のアルキル基の炭素数は12であった。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
酸価が130mgKOH/gであり、重量平均分子量が8,000であるスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を、10.0%水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が30.0%の樹脂水溶液を得た。この樹脂水溶液20.0部、カーボンブラック(商品名「MONARCH800」、キャボット製、BET比表面積:210m2/g、DBP吸油量:74mL/100g、一次粒子径:17nm)10.0部、及びイオン交換水70部を混合して混合物を得た。得られた混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ200.0部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)を用いて5時間分散処理した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去した。次いで、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行って、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された顔料分散液1(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液2)
カーボンブラックとして、商品名「MONARCH1100」(キャボット製、BET比表面積:240m2/g、DBP吸油量:65mL/100g、一次粒子径:14nm)を用いた。それ以外は前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液2(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液3)
カーボンブラックとして、商品名「VULCAN XC72R」(キャボット製、BET比表面積:254m2/g、DBP吸油量:192mL/100g、一次粒子径:30nm)を用いた。それ以外は前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液3(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液4)
カーボンブラックとして、商品名「MONARCH1300」(キャボット製、BET比表面積:560m2/g、DBP吸油量:100mL/100g、一次粒子径:13nm)を用いた。それ以外は前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液4(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液5)
カーボンブラックとして、商品名「#85」(三菱化学製、BET比表面積:60m2/g、DBP吸油量:48mL/100g、一次粒子径:40nm)を用いた。それ以外は前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液5(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液6)
樹脂水溶液を10.0部、及びイオン交換水を80.0部に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液6(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:3.0%)を得た。
(顔料分散液7)
樹脂水溶液を34.0部、及びイオン交換水を56.0部に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液7(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:10.2%)を得た。
(顔料分散液8)
樹脂水溶液を3.3部、及びイオン交換水を86.7部に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液8(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:1.0%)を得た。
(顔料分散液9)
樹脂水溶液を60.0部、及びイオン交換水を30.0部に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液9(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:18.0%)を得た。
(顔料分散液10)
酸価が250mgKOH/gであり、重量平均分子量が14,000であるスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を用いた。それ以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液10(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液11)
酸価が40mgKOH/gであり、重量平均分子量が700であるスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を用いた。それ以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液11(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
(顔料分散液12)
酸価が330mgKOH/gであり、重量平均分子量が18,000であるスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を用いた。それ以外は、前述の顔料分散液1の場合と同様にして、顔料分散液12(顔料の含有量:10.0%、樹脂の含有量:6.0%)を得た。
<インクの調製>
調製した樹脂粒子分散液及び顔料分散液を表1に示す組み合わせ(単位:部)で混合して混合物を得た。以下に示す各成分を得られた混合物に加えて(合計:100部)十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。
・グリセリン 10.0部
・ジエチレングリコール 4.0部
・アセチレノールE100(界面活性剤、川研ファインケミカル製) 1.0部
・イオン交換水 残部
Figure 2015199788
<評価>
本発明においては、下記に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。なお、「吐出安定性」、「長期の吐出安定性」、及び「耐擦過性」の評価は、インクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)を用いて行った。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。
(保存安定性)
各インクをテフロン(登録商標)製の密閉容器に詰め、室温で1ヶ月間放置する保存試験を行った。保存試験前後のインクの粘度を測定し、下記式からインクの粘度の変化率を算出した。そして、以下に示す基準にしたがってインクの保存安定性を評価した。評価結果を表2に示す。なお、インクの粘度の変化率が1.0に近い程、インクの保存安定性が高いことを意味する。
粘度変化率=(保存試験後のインクの粘度)/(保存試験前のインクの粘度)
AA:インクの粘度の変化率が1.1未満であった。
A:インクの粘度の変化率が1.1以上1.2未満であった。
B:インクの粘度の変化率が1.2以上2.0未満であった。
C:インクの粘度の変化率が2.0以上であった、又は保存試験後のインクの粘度を測定することが不可能であった。
(吐出安定性)
各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置に装着した。3枚の記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド GL−101」、キヤノン製)に記録デューティ100%のベタ画像を記録した後、インクジェット記録装置のノズルチェックパターンを1枚記録した。記録したノズルチェックパターンを目視で観察し、以下に示す基準にしたがってインクの吐出安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
AA:ノズルチェックパターンに乱れがなく正常に記録できた。
A:ノズルチェックパターンに若干の乱れがあったが、不吐はなかった。
B:ノズルチェックパターンに乱れがあったが、不吐はなかった。
C:ノズルチェックパターンに乱れがあり、不吐が生じていた。
(長期の吐出安定性)
各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置に装着した。インクジェット記録装置の記録ヘッドを50℃に昇温し、10,000Hzの吐出周波数でインクを連続吐出させた。このときの吐出状態をストロボ発光式の観察装置で観察し、以下に示す基準にしたがってインクの長期の吐出安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
AA:連続で10時間吐出させた場合でも、不吐が生じなかった。
A:連続で8時間吐出させた場合でも、不吐が生じなかった。
B:連続で8時間吐出させた場合に、若干の不吐が生じた。
C:連続で6時間吐出させた場合に、不吐が生じた。
(耐擦過性)
各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置に装着した。記録媒体(商品名「OKトップコート」、王子製紙製、坪量:127.9g/m2)に記録デューティ100%のベタ画像(200mm×200mm)を記録した。JIS L 0849に準拠した学振型試験機である耐摩耗試験機(井元製作所製)を使用し、記録したベタ画像を荷重500gで10往復する摩擦試験を行った。そして、摩擦試験後のベタ画像を目視観察し、以下に示す基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。評価結果を表2に示す。
AA:画像に擦過痕がついていなかった。
A:画像にわずかに擦過痕がついていた。
B:画像に擦過痕がついており、わずかに記録媒体の白地が見えてはいたが、目立たないレベルであった。
C:画像に擦過痕がついており、記録媒体の白地が見えていた。
Figure 2015199788

Claims (13)

  1. 樹脂粒子と、樹脂分散カーボンブラックとを含有するインクジェット用インクであって、
    前記樹脂粒子が、第1の層を有し、
    前記第1の層は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%より大きく、かつ、イオン性基を有する第1の樹脂で形成されていることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記樹脂粒子が、さらに、前記第1の層の外側に配置される第2の層を有し、
    前記第2の層は、親水性部位及び疎水性部位を有するユニットで形成されている請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記樹脂粒子が、さらに、前記第1の層の内側に配置される第3の層を有し、
    前記第3の層は、テトラヒドロフラン不溶分率が25質量%以下である第2の樹脂で形成されている請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記樹脂分散カーボンブラックが、カーボンブラックと、前記カーボンブラックを分散させる樹脂分散剤とを含有し、
    前記カーボンブラックの含有量(質量%)に対する前記樹脂粒子の含有量(質量%)が、1倍以上5倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記カーボンブラックの、BET比表面積が100m2/g以上400m2/g以下であり、DBP吸油量が40mL/100g以上150mL/100g以下であり、一次粒子径が10nm以上30nm以下である請求項4に記載のインクジェット用インク。
  6. 前記樹脂分散カーボンブラック中の前記カーボンブラックの含有量(質量%)に対する前記樹脂分散剤の含有量(質量%)が、0.2倍以上1.5倍以下である請求項4又は5に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記樹脂分散剤が、その酸価が50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の水溶性樹脂である請求項4乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  8. 前記樹脂分散剤の重量平均分子量が、1,000以上15,000以下である請求項4乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  9. 前記樹脂粒子中の前記親水性部位及び疎水性部位を持ったユニットの含有量が、前記樹脂粒子の単位表面積当たり、0.5μmol/m2以上である請求項2乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  10. 前記親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット中の前記親水性部位が、エチレンオキサイドの付加数が5以上50以下のポリオキシエチレン鎖を有する請求項2乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  11. 前記親水性部位及び疎水性部位を持ったユニット中の前記疎水性部位が、炭素数が5以上20以下のアルキル基を有する請求項2乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  12. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  13. 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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