JP5691223B2 - インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5691223B2
JP5691223B2 JP2010081244A JP2010081244A JP5691223B2 JP 5691223 B2 JP5691223 B2 JP 5691223B2 JP 2010081244 A JP2010081244 A JP 2010081244A JP 2010081244 A JP2010081244 A JP 2010081244A JP 5691223 B2 JP5691223 B2 JP 5691223B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
water
carbon black
copolymer
jet recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010081244A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011213785A (ja
Inventor
勇也 榎本
勇也 榎本
安井 健悟
健悟 安井
関 俊大
俊大 関
正光 新居
正光 新居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2010081244A priority Critical patent/JP5691223B2/ja
Publication of JP2011213785A publication Critical patent/JP2011213785A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5691223B2 publication Critical patent/JP5691223B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

本発明は、黒色の高い画像濃度の記録画像が得られるインクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法に関する。
オフィス向けのプリンタ市場は電子写真技術が席巻しているが、近年インクジェット(以下IJと略)技術の参入も増加している。オフィスプリンタに用いられる記録紙としては普通紙が一般的であり、また色材には画像堅牢性の観点から顔料が用いられることが多い。オフィスプリンタでの印刷物には高い画像濃度が要求品質の一つとして掲げられており、特にテキストを扱うことが多いために、黒色の画像濃度はより高いものであることが望まれている。
電子写真プリンタでの印刷物は、顔料が普通紙上に残り易く、容易に高い画像濃度を得ることができる。一方、IJプリンタでは、顔料がインクのビヒクルと共に普通紙内部に浸透してしまい、比較して記録画像の画像濃度が低いという問題があった。IJ印刷で高い画像濃度の記録画像を得るために、インク中の顔料の分散性を紙面上で速やかに不安定化させることがキーテクノロジーとなっている。
このコンセプトに従い、顔料と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体とを含有してなるインクジェット記録用水性インクと、多価金属塩溶液とからなるインクジェット記録用水性インクセットを用いて、水性インクの分散を不安定化させる多価金属塩溶液を予め普通紙上に塗布してから水性インクを普通紙上に吐出する2段階IJ印刷技術が種々開発されている。この様な2段階IJ印刷技術により、電子写真並みの印刷物が得られるようになりつつある。
一方、記録画像の向上のためインクジェット記録用水性インクとして、それの原料であるカーボンブラックに着眼し、DBP吸油量や不揮発分が特定範囲にあるカーボンブラックを用いることで、黒色の高い画像濃度の記録画像が得られることが知られている(例えば、特許文献1〜2)。
インクジェット記録用水性インクと多価金属塩溶液と併用したインクセットを得る場合には、多価金属塩溶液と併用することを想定せずに開発されたインクジェット記録用水性インクに、多価金属塩溶液を組み合わせてインクセットとすることが多く、多価金属塩溶液と併用することを想定せずに開発されたインクジェット記録用水性インクは、そこに含まれる(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率が0.30よりも小さいのが一般的である。何故なら、多価金属塩溶液と併用しない場合は、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率が小さいほど、着色画像の光学濃度が高いからである。
また、一般的にインクジェット記録用水性インク単独で用いた場合の記録画像の画像濃度は、それと多価金属塩溶液と併用した場合のそれに比べて低かった。しかも、多価金属塩溶液を併用しない場合において画像濃度が高かった、従来のカーボンブラックを含むインクジェット記録用水性インクは、多価金属塩溶液と併用した場合においては、画像濃度の改良程度が小さかった。結局、その黒色の画像濃度の水準も、現状では、未だ満足できるものではないため、更なる向上が要求されている。
特開平10−17808号公報
特開2009−144060公報
本発明が解決しようとする課題は、黒色の高い画像濃度の記録画像が得られるインクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、意外にも、多価金属塩溶液を用いない場合において画像濃度がむしろ低い、特定のカーボンブラックを用い、このカーボンブラックと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体との質量割合を特定範囲としたインクジェット記録用水性インクを調製し、それと多価金属塩溶液とを組み合わせたインクセットとすることで、多価金属塩溶液を用いない場合に比べて画像濃度が高いばかりでなく、多価金属塩溶液を用いたインクセットに基づく記録画像のなかでも、より黒色の高い画像濃度の記録画像が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、カーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、ポリウレタン樹脂(C)を含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、
前記インクジェット記録用水性インク(X)におけるカーボンブラック(A)が、炭酸ガス発生量350〜450ml/g、DBP吸油量145〜170ml/100g、かつBET比表面積200〜255m/gのカーボンブラックであり、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30〜0.55であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセットを提供する。
また本発明は、上記水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを用いて各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に吐出し、画像記録するインクジェット記録方法を提供する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、特定のカーボンブラックを用い、このカーボンブラックと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体との質量割合を特定範囲としたインクジェット記録用水性インクを調製し、それと多価金属塩溶液とを組み合わせたインクセットなので、インクセットに基づく記録画像のなかでも、より黒色の高い画像濃度の記録画像が得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
また本発明のインクジェット記録方法は、前記したインクセットを用いるので、インクセットに基づく記録画像のなかでも、より黒色の高い画像濃度の記録画像が得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、カーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)とを含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、
前記インクジェット記録用水性インク(X)におけるカーボンブラック(A)が、
炭酸ガス発生量350〜450ml/g、DBP吸油量145〜170ml/100g、かつBET比表面積200〜255m/gのカーボンブラックであり、
(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30〜0.55であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセットである。
本発明におけるインクジェット記録用水性インク(X)は、上記した特定のカーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)とを必須成分として調製することが出来る。
水性インク(X)を調製する際には、炭酸ガス発生量350〜450ml/g、DBP吸油量145〜170ml/100g、かつBET比表面積200〜255m/gのカーボンブラック(以下、特殊カーボンブラックという。)、なかでも好ましくは、DBP吸油量150〜170ml/100g、かつBET比表面積240〜255m/gのカーボンブラックが用いられる。この様なカーボンブラックは、パウダーやグラニュールの粉(粒)体状のものを用いることも出来るが、作業環境を悪化させないために、ペレット状の造粒品を用いることが好ましい。
ここでDBP吸油量は、日本工業規格JIS K6221 A法に規定される、カーボンブラック100gが吸収するジブチルフタレート量を意味し、BET比表面積は、ASTM D3037 D法に規定される、窒素ガス用いた際のカーボンブラックの比表面積を意味する。尚、炭酸ガス発生量については、後に詳記する。
本発明で用いる特殊カーボンブラックは、インクジェット記録用水性インク(X)単体での着色画像系においては、光学濃度が、従来のカーボンブラックを用いた場合より低いにもかかわらず、多価金属塩溶液(Y)と組み合わせによる着色画像系においては、上記単体での着色画像系の結果と反対になるという特異な傾向を示す。即ち、本発明で用いる特定カーボンブラックを用いた場合の特異な効果は、インク単体系だけで光学画像を評価しただけでは予見できないものである。
カーボンブラックは、多価金属塩溶液(Y)と組み合わせによる着色画像系においては、DBP吸油量が145未満であると、着色画像の光学濃度が低くなる傾向があり、一方、BET比表面積が200m/g未満であると、水性インク(A)の分散安定性が不充分となり沈降が起こるので好ましくない。
なかでも、上記炭酸ガス発生量、DBP吸油量及びBET比表面積を満足した上で、pHが5〜9のカーボンブラックは、絶対値として、最も高い着色画像の光学濃度が達成できる。また、このpH範囲にあるカーボンブラックは、本発明のようなアニオン系樹脂を用いる際、塩基性で分散体を作製し易いため、好ましい。このpHは、カーボンブラックと蒸留水と撹拌した後に、その抽出水をガラス電極を有するpHメーターで測定した水素イオン濃度を意味する。
さらに、ファーネス法で得られるカーボンブラックの多くが、エームズテスト等の変異原性試験で陰性となるため、用いるカーボンブラックはファーネス法で得られるものが好ましい。
これら全ての特性を満足する特殊カーボンブラックとしては、例えば、三菱化学株式会社製#5820などが挙げられる。
水性インク(X)を調製する際には、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)が用いられる。
以下、本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を意味するものとする。
共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の重合単位を含有していれば良いが、共重合体(B)は、酸価40〜220mgKOH/g、中でもより水に分散させた際の分散性や分散安定性等により優れる点で、酸価140〜200mgKOH/gあることが好ましい。ここで酸価とは、共重合体の不揮発分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を言う。理論酸価は、用いた(メタ)アクリル酸とその使用量に基づいて算術的に求めることも出来る。酸価が低すぎる場合には顔料分散や保存安定性が低下し、またインクジェット記録用水性インクを調製した場合に、印字安定性が悪くなるので好ましくない。酸価が高すぎる場合には、着色画像の耐水性が低下するのでやはり好ましくない。共重合体(B)を該酸価の範囲内とするには、(メタ)アクリル酸を、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
(メタ)アクリル酸に併用可能な、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノエチレン性不飽和単量体が挙げられる。本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートを意味するものとする。
同一酸価対比においてより共重合体の疎水性を高め、共重合体の顔料表面への吸着がより強固と出来る点で、前記したその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のベンゼン環を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いることが好ましく、中でも、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン等のスチレン系単量体を用いることが特に好ましい。
即ち共重合体(B)としては、(メタ)アクリル酸とスチレン系単量体とを必須成分として重合した共重合体が特に好ましい。
この特に好ましい共重合体(B)におけるスチレン系単量体は、質量換算で共重合体を構成する全単量体の合計を100部とした時、30〜70部となる様にすることが、同一共重合量において、ベンゼン環とエステル結合とを含有する単量体を用いた場合より共重合体の疎水性を高め、共重合体の顔料表面への吸着がより強固となることから好ましい。
本発明における共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸の重合単位とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の重合単位を必須の重合単位として含有する共重合体であれば良く、それらの二元共重合体であっても更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との三元以上の多元共重合体であっても良い。
本発明で用いる共重合体(B)は、モノエチレン性不飽和単量体の重合単位のみの線状(リニアー)共重合体であっても、各種の架橋性を有するエチレン性不飽和単量体を極少量共重合させ、一部架橋した部分を含有する共重合体であっても良い。
この様な架橋性を有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレートや、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明における共重合体(B)の分子量としては特に制限されないが、例えば、皮膜形成性の観点から、重量平均分子量5,000〜1000,000、中でも、低粘度で取り扱いが容易な点で、5,000〜20,000であることが好ましい。
本発明においては、用いる各単量体の反応率等は略同一と考えて、各単量体の仕込割合を、各単量体の重合単位の質量換算の含有割合と見なすものとする。本発明における共重合体(B)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することが出来る。この際には、公知慣用の重合開始剤、連鎖移動剤(重合度調整剤)、界面活性剤及び消泡剤を併用することも出来る。
実質的に線状(リニアー)の共重合体(B)は、熱履歴のかからないピエゾ方式ノズルのインクジェット記録装置用の水性インクの調製に好適であり、一方、架橋した部分を含有する共重合体(B)は、熱履歴のかかるサーマル方式ノズルのインクジェット記録装置用の水性インクの調製に好適である。
本発明における水性インク(X)は、共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30〜0.55である。この比率が低すぎても高すぎても、着色画像の光学濃度が低下する。
上記カーボンブラック(A)と共重合体(B)とを安定的に水中に分散させるためには、これらに、通常は塩基性物質が併用される。カルボキシル基を有する共重合体(B)を中和する塩基性物質としては、公知慣用のものがいずれも使用出来、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの様な無機塩基性物質や、トリエチルアミン、アルカノールアミンの様な有機塩基性物質を用いることが出来る。
本発明における水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等、pH6.5〜7.5かつ遊離イオンを含有しない水が好ましい。
本発明における水性インク(X)は、公知慣用の方法に従って調製することが出来るが、カーボンブラック(A)と、共重合体(B)と、塩基性物質と、水とを必須成分として混合することで調製することが出来る。この混合においては、既に公知の種々の方式による装置がいずれも使用出来る。
水性インク(X)に含まれる、カーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)とは、それらが、別個に、水に分散していても良いが、当該共重合体(B)で被覆されたカーボンブラック(A)粒子として、水に分散していることが好ましい。
この様な状態の複合粒子を生成させる手法としては、転相乳化法や酸析法などを採用することが出来る。特に、カーボンブラック(A)と共重合体(B)を水に、一旦、均一分散させた後に、酸性物質を加えて両者を沈降させ、カーボンブラック(A)粒子を共重合体(B)で充分に被覆した上で、再度、塩基性物質を加えて、当該共重合体(B)で被覆されたカーボンブラック(A)粒子を水分散させる工程を含む、上記酸析法は、得られる水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)のインクセットによる着色画像の光学濃度をより高いものとすることができる点で、水性インク(X)を調製するのに最適な方法である。
本発明における水性インク(X)には、更に、共重合体(B)以外の公知慣用のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはその水溶液や水分散液を含めることも出来る。
上記した水性インク(X)に含有させることができる、共重合体(B)以外の樹脂としては、ポリウレタン樹脂(C)が好ましく、ポリエステルポリオール系ポリウレタンに比べて加水分解を起こしにくく、着色画像の耐擦過性に特に優れる点でポリエーテルポリオール系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。この様なポリエーテルポリオール系ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグルコール(PTMG)とポリイソシアネートとを必須成分として反応させたポリウレタン樹脂が挙げられる。
本発明で用いる水性インク(X)として、ポリウレタン樹脂(C)を併用する場合には、共重合体(B)で被覆されたカーボンブラック(A)粒子と、カーボンブラック(A)粒子を被覆しないポリウレタン樹脂とを含有するものとすることが、上記した着色画像の耐擦過性を効果的に高める上では好ましい。
水性インク(X)に含有させることができる、共重合体(B)以外の樹脂不揮発分量は、特に制限されるものではないが、不揮発分換算で、ポリウレタン樹脂(C)より(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)を不揮発分として多く含有してなるインクジェット記録用水性インクとすることが、インクセットでの着色画像の光学濃度を高くすることができる点で好ましい。
水性インク(X)は、共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30〜0.55かつ、ポリウレタン(C)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(C)/(A)〕≧0.03となる様にすることがインクセットでの、着色画像の高い光学濃度と高い耐擦過性を兼備できる点で好ましい。後者の比率が低すぎると、耐擦過性が低下する傾向にある。
更に、ポリウレタン(C)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(C)/(A)〕=0.15〜0.3となる様にすることが普通紙におけるインクセットでの、着色画像の高い光学濃度と高い耐擦過性だけでなく、着色画像のヨレが起こり難く、しかも吐出量が低下し難い点でより好ましい。
本発明における水性インク(X)は、カーボンブラック(A)と、共重合体(B)とを必須成分として、これらと、インクジェット記録用水性顔料インクの技術分野で公知慣用となっている各種添加剤、液媒体とを混合することにより調製出来る。具体的には、質量基準で、カーボンブラック(A)固形分1〜10%となる様に水や、水溶性有機溶剤の様なその他の液媒体、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の各種添加剤を併用することで、水性インク(X)とすることが出来る。また、得られた水性インク(X)は、必要に応じて、超遠心分離やミクロフィルターによる濾過を行うことにより、粗大粒子や過小粒子の除去、分散粒子の粒子径分布の調整が出来、ノズル目詰まり等を極めて少なくすることが出来る。
本発明の水性インク(X)は、ブラック(K)からなるものであるが、必要であれば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)から選ばれる少なくとも1色の水性インクと組み合わせて用いることも出来る。
本発明のインクセットは、前記した水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなる。この多価金属塩溶液(Y)は、多価金属塩が液媒体に溶解した溶液である。
この多価金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、CaCl、Ca(NO、CaI、CaBr、Ca(ClO、Ca(C、Ca(C、CuCl、Cu(NO、CuBr、Cu(ClO、Cu(C、NiCl、Ni(NO、NiI、NiBr、Ni(C、MgCl、Mg(NO、MgI、MgBr、Mg(ClO、Mg(C、ZnCl、Zn(NO、ZnI、ZnBr、Zn(ClO、Zn(C、BaCl、BaI、BaBr、Ba(ClO、Ba(C、Al(NO、Cr(NO、Cr(C、FeCl、Fe(NO、FeI、FeBr等が挙げられる。多価金属塩としては、液媒体に溶解させた際の溶液色が無色か淡色であるものを用いることが好ましい。なかでも、上記したカルシウム塩が安価で安全性に富む点で好ましい。
本発明における多価金属塩溶液(Y)は、その多価金属塩の含有量が質量換算で0.5〜20%の範囲にあることが好ましく、なかでも1〜10%の範囲にあることがより好ましい。この範囲であると、着色画像の光学濃度等の画質面での改善効果が認められ、保存安定性や吐出安定性の低下、記録ヘッドの構成部品の腐食等を招く恐れも少ないことから好ましい。
多価金属塩溶液(Y)は、例えば、所定の水溶性の多価金属塩を水、温水、水系の液媒体等に溶解することにより、調製することができる。水系の液媒体として、水及び水溶性有機溶剤からなる混合溶媒を使用することができる。
本発明では、水性インク(X)中の共重合体(B)のカルボキシル基と、多価金属塩溶液(Y)中の多価金属イオンとの反応を利用することで、記録画像の光学画像濃度を向上させる。この様な観点からも、水としては、水性インク(X)の調製時と同様の水を使用することが好ましい。
本発明における多価金属塩溶液(Y)には、必要に応じて、前記した水性インク(X)の調製に使用することが出来る公知慣用の添加剤を適宜含有させることが出来る。有機顔料(a)と共重合体(b)に代えて必要量の多価金属塩を用いて、水性インク(X)を調製する要領で、多価金属塩溶液(Y)を調製することも出来る。水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)に、共通の液媒体や添加剤等を含有させる様にすることも出来る。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、多価金属塩溶液(Y)の表面張力が前記水性インク(X)の表面張力の平均値よりも大きくなる様に両者を調製することが、本発明の効果をより大きく引き出すことが出来るので好ましい。
本発明で使用する水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とは、いずれもインクジェット記録に用いられる。従って、これらは、いずれもインクジェット記録装置のノズル方式に応じて吐出させることが可能な適切な粘度となる様に調製することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、上記カーボンブラック(A)1色の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良いし、前記したYMCKの4色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良いし、前記したYMCKの各水性インク(X)とそれ以外の色の水性インク(X)からなる5色〜7色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良い。
本発明は、前記した水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に吐出することで、画像記録することが出来る。こうすることで被記録媒体上に着色画像が記録された記録物が得られる。
水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に付与するインクジェット記録方法は、特に限定されるものではないが、例えば、水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを同時に吐出させ被記録媒体に到達する前にそれらを混合(接触)して、これらの混合物を被記録媒体上に定着させる方法や、多価金属塩溶液(Y)を吐出させ被記録媒体上に定着させた後、この上に水性インク(Y)を吐出させて定着させる方法等が挙げられる。なかでも、インクジェット記録時間を短縮出来る上、着色画像の光学濃度をより高められる点で、前者の方法を選択するのが好ましい。
また、前記した後者の方法において、多価金属塩溶液(Y)を吐出させてから水性インク(X)を吐出するまでの時間については、吐出量や被記録媒体の種類等により変わってはくるが、5ms〜60秒であることが好ましく、50ms〜500msであることがより好ましい(msは1/1000秒を意味する)。このタイムラグが5msより短いと、先に吐出された多価金属塩溶液(Y)の液滴が被記録媒体内部に浸透する前に、水性インク(X)の液滴と接触する場合が出てくるため、それらが被記録媒体上に溢れて画質や乾燥性に悪影響を及ぼす恐れがある。逆に、タイムラグが60秒を超えると、多価金属塩溶液(Y)の液滴が被記録媒体内部に完全に浸透した後に水性インク(X)の液滴が接触することになるため、所望する画質の向上効果が得られなくなる恐れがある。
尚、多価金属塩溶液(Y)は、被記録媒体の全面に均一な付与量で定着させてもよく、水性インク(X)を定着させる箇所にのみ選択的に定着させてもよい。
多価金属塩溶液(Y)と水性インク(X)とを、接触反応させて凝集膜を形成させるためには、着色画像を形成する水性インク(X)の液滴中のカルボキシル基絶対量と多価金属塩溶液の液滴中の多価金属イオン絶対量とが少なくとも等量となる様に、両者をインクジェット記録方式で、被記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において被記録媒体上にインクジェット記録を行うことで、着色画像が被記録媒体上に形成された記録物を得ることが出来る。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、公知慣用の被記録媒体へのインクジェット記録方法に使用することが出来る。この際の被記録媒体としては、例えば、PPC紙の様な普通紙、写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)等の様なインクジェット記録用専用紙、OHPフィルムの様な合成樹脂フィルム、アルミニウム箔の様な金属箔等の各種フィルム・シートが挙げられる。なかでも本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、普通紙における着色画像の光学濃度の向上に効果的である。針葉樹パルプを原料とした太い繊維を抄紙した普通紙が、この着色画像の光学濃度の改良効果が最も大きい。
この様なことから、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、例えば、被記録媒体としての普通紙へのインクジェット記録においては、水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを用いて着色画像を形成し、一方で、被記録媒体としての専用紙へのインクジェット記録においては、水性インク(X)だけを用いて着色画像を形成する様にすることで、安価である普通紙における着色画像の光学濃度水準を、専用紙のそれに近づけることが出来る。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
<合成例1>(分散樹脂合成例)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン(MEK)550部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸ベンジル115部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル38部、メタクリル酸82部、スチレン250部、メタクリル酸グリシジル15部、および「パーブチル(登録商標)O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)30.0部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させた後、MEKの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整し、酸価150のメタクリル系共重合体(M−1)のMEK溶液を得た。
<調製例1>(分散体作製例D−1)
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、カーボンブラック#5820(lot.No.A。パウダー品。三菱化学(株)製のフアーネス法で得られたカーボンブラック)250部と、合成で得たメタクリル系共重合体(M−1)のMEK溶液75部、20%水酸化カリウム水溶液21部、MEK87部、およびイオン交換水923部を仕込み、ディスパー(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)で2時間攪拌し混合した。得られた混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により分散した。分散工程中は、冷却用ジャケットに冷水を通して分散液温度を40℃以下に保つよう制御した。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水2,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。
ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで放冷後、攪拌しながら2%塩酸を滴下してpH4.5に調整したのち、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ウェットケーキを容器に採り、20%水酸化カリウム水溶液を加えてpH9.5に調製し、前記ディスパーにて再分散した。その後、遠心分離工程(6000G、30分間)を経て、さらにイオン交
換水を加え顔料濃度調整して、顔料分13%の水性顔料分散体(D−1)を得た。
これは、共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.40であった。
<調製例2>(分散体作製例D−2)
共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30となるよう、カーボンブラック#5820を用いる以外は上記調製例1と同様の操作を行い、顔料分13%の水性顔料分散体(D−2)を得た。
<調製例3>(分散体作製例D−3)
カーボンブラック#5820を、同量のカーボンブラック#5820造粒品(三菱化学(株)製のフアーネス法で得られたカーボンブラック)とする以外は上記調製例1と同様の操作を行い、顔料分13%の水性顔料分散体(D−3)を得た。
<調製例4>(分散体作製例D−4)
カーボンブラック#5820を、同量のカーボンブラック#5820(lot.No.B。パウダー品。三菱化学(株)製のフアーネス法で得られたカーボンブラック)とする以外は上記調製例1と同様の操作を行い、顔料分13%の水性顔料分散体(D−3)を得た。
<調製例5>(分散体作製例D−5)
カーボンブラック#5820を、同量の#44(三菱化学(株)製)とする以外は上記調製例1と同様の操作を行い、顔料分13%の水性顔料分散体(D−5)を得た。
<調製例6>(分散体作製例D−6)
カーボンブラック#5820を、同量の#960(三菱化学(株)製)とする以外は上記調製例1と同様の操作を行い、顔料分13%の水性顔料分散体(D−5)を得た。
上記各水性顔料分散体の調製に用いたカーボンブラックの特性を下表に示した。
Figure 0005691223
上表中の炭酸ガス発生量は、以下の様にして、熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析法(TD-GC/MS)により実施した。尚、TD-GC/MS測定システムは、ダブルショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ,PY-2010iD)を、GC/MS(島津製作所,GCMS-QP2010)のスプリット注入口に直結して構成した。
(カーボンブラックCO2発生量の測定)
不活性化試料カップ(内径4mm,高さ8mm)に約0.2mgを0.01mgの単位まで精秤した試料(カーボンブラック)を300℃で0.5分間加熱して、1/30のスプリット比で分離カラム(VARIAN,CP-PoraBOND Q FUSED SILICA,長さ25m,内径0.32mm,膜厚5μm)に加熱により発生したガスを導入後、マイクロジェット・クライオトラップ(フロンティア・ラボ,MJT-1030E)による捕集・急速脱着を行い、GC/MS分析を行った。
CO2検出条件は、カラム温度;40℃で5分間保持後20℃/分で200℃まで昇温し、2分間保持,気化室温度;200℃,検出器温度;200℃,イオン源温度;200℃,キャリアガスHe,線速度制御(67.0cm/sec),カラム入口圧;50kPa,SIM法(設定m/z44.1)である。
(検量線の作成)
標準CO2ガス(ジャパンファインプロダクツ,純二酸化炭素99.9%)を、アルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス,1L)にガスタイトシリンジ(HAMILTON,5mL)を用いて1,2,5mL注入し、Heで1Lに定容し、希釈標準ガス3点を調製した。
ガスタイトシリンジにより、上記希釈標準ガス0.5mLを熱脱着GC/MSに導入し、検量線を作成した。
CO2導入量とCO2ピーク面積値の相関係数は0.9966であり、良好な相関性を示した。この検量線を用いて、試料(カーボンブラック)1g当たりのCO2発生量[mL]を換算した。
定量値のばらつきは、3回繰返し測定の変動係数が5%未満であった。上記の通りスプリット法での測定であるから、得られた定量値は試料(カーボンブラック)より発生したガスと標準ガスの気化室内における内圧が等しいと仮定した場合の値となる。
尚、上表中のDBP吸油量はJIS K6221 A法、BET比表面積はASTM D3037 D 法、pHは、試料10g に蒸留水100mL を加え、ホットプレート上で10 分間煮沸し室温までに冷却した後、上澄みを分離して得られた泥状物のpH をガラス電極pH メーターにて、それぞれ測定した値である。
<インク調製例1>(インク作製例I−1)
上記水性顔料分散体(D−1)を使用し、下記の組成比に従い、カーボンブラックを含有するインクを作製して水性インク(I−1)とした。
水性顔料分散体(D−1)カーボンブラック換算で3.0 部になる量
グリセリン 10 部
トリエチレングリコール 10 部
2−ピロリドン 5 部
サーフィノール465(エアープロダクツジャパン社)0.5 部
イオン交換水 51.5 部
<インク調製例2〜6>(インク作製例I−2〜6)
上記水性顔料分散体(D−1)に代えて、同量の水性顔料分散体(D−2)〜(D−6)をぞれぞれ用いる以外はインク調製例1に従い、カーボンブラックを含有するインクを作製して水性インク(I−2)〜(I−6)とした。
多価金属塩溶液として、カルシウムを多価金属イオンとして含有する無色透明のカルシウム塩溶液(PGI-2Clear インク、キヤノン(株)製)を準備した。
また、上記水性インク(I−1)〜(I−6)の個々とPGI-2Clear インクとを組み合わせ本発明のインクセットを構成した。
(多価金属塩溶液を塗布した記録用紙の作製)
インクジェットプリンタ(PIXUS−MX7600、キヤノン(株)製)を用いて普通紙(GF500、キヤノン(株)製)上に、上記PGI-2Clear インクを塗布して記録用紙を得た。
上記にて調製したインクジェット記録用水性インク(I−1)を、市販のサーマル方式インクジェットプリンタ(BJ−F360、キヤノン(株)製)のカートリッジに充填し、上記にて作製した、PGI-2Clear インクを塗布した記録用紙、及びPGI-2Clear インクを塗布していない普通紙(GF-500、キヤノン(株))にDuty100%にて印字した。
水性インク(I−1)を水性インク(I−2)に代える以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
水性インク(I−1)を水性インク(I−3)に代える以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
水性インク(I−1)を水性インク(I−4)に代える以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
比較例1
水性インク(I−1)を水性インク(I−5)に代える以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
比較例2
水性インク(I−1)を水性インク(I−6)に代える以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
(水性インクの画像濃度評価方法)
上記水性インク(I−1)〜(I−6)とPGI-2Clear インクとの組み合わせにおいて、分光光度計SpectroEyeを用いて、PGI-2Clear インクの塗布の有無で、それぞれ、Duty100%で印字された画像の光学反射濃度(OD)を測定した。その結果を下表に示した。
Figure 0005691223
<調製例7>(後添加樹脂含有分散体作製例A−1)
前記にて作製した水性顔料分散体(D−1)76.9部とポリエーテル系ポリウレタン水溶液(DIC(株)社製ハイドランAP−5010、有効成分20%)を5部とイオン交換水18.1部を攪拌混合して、顔料分10%の後添加樹脂含有分散体(A−1)を得た。
<インク調製例7>(インク作製例I−7)
上記水性顔料分散体(D−1)に代えて、同量の水性顔料分散体(A−1)を用いる以外はインク調製例1に従い、カーボンブラックを含有するインクを作製して水性インク(I−7)とした。
上記水性インク(I−7)とPGI-2Clear インクとの組み合わせて、上記(水性インクの画像濃度評価方法)と同様にして、普通紙上に着色画像を設けた印字物を得た。この印字物について以下の評価を行った。その結果を下表に示した。
参考値として、水性インク(I−1)とPGI-2Clear インクとの組み合わせた場合(実施例1)の印字物についての同様の評価結果も併記した。
耐擦過性評価
上記にて作製された印字物に対して、印字1 日後に株式会社トンボ鉛筆製黄色水性マーカーでラインを引き、印字されたブラックインクの滲み・尾引きを確認した。
吐出性能の確認
ベタ印刷500 枚あたりのインク消費量(「吐出量」)及び得られた印字物のヨレ(「画像ヨレ」)を測定した。
Figure 0005691223
実施例5と実施例1との対比からわかる通り、ポリウレタン樹脂を含む水性インクを含むインクセットで得た印字物(実施例3)は、それを含有しない水性インクを含むインクセットからの印字物(実施例1)に比べて、耐擦過性に優れ、吐出量も多く、画像ヨレも少ないことが明白である。
本発明のインクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法は、従来に比べて黒色の高い画像濃度の記録画像が得られるので、電子写真並みの印刷物がインクジェット記録方法で簡便に得られる。

Claims (6)

  1. カーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、ポリウレタン樹脂(C)を含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、
    前記インクジェット記録用水性インク(X)におけるカーボンブラック(A)が、炭酸ガス発生量350〜450ml/g、DBP吸油量145〜170ml/100g、かつBET比表面積200〜255m/gのカーボンブラックであり、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)不揮発分換算とカーボンブラック(A)との比率〔(B)/(A)〕=0.30〜0.55であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
  2. カーボンブラック(A)が、更にpH5〜9をも満たすカーボンブラックである請求項1記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  3. カーボンブラック(A)と、(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)とが、当該共重合体(B)で被覆されたカーボンブラック(A)粒子として含有されたインクジェット記録用水性インク(X)である請求項1または2記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  4. インクジェット記録用水性インク(X)が、ポリウレタン樹脂(C)より(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)を不揮発分として多く含有してなるインクジェット記録用水性インクである請求項1〜3のいずれか一項記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  5. 多価金属塩溶液(Y)が、カルシウム塩水溶液である請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを用いて各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に吐出し、画像記録するインクジェット記録方法。
JP2010081244A 2010-03-31 2010-03-31 インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法 Active JP5691223B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010081244A JP5691223B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010081244A JP5691223B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011213785A JP2011213785A (ja) 2011-10-27
JP5691223B2 true JP5691223B2 (ja) 2015-04-01

Family

ID=44943875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010081244A Active JP5691223B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5691223B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4428929B2 (ja) * 2003-02-19 2010-03-10 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法
US20090219330A1 (en) * 2008-02-28 2009-09-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Inkjet printing method, pretreatment liquid for inkjet printing and ink composition
JP5311850B2 (ja) * 2008-03-13 2013-10-09 富士フイルム株式会社 インクジェット記録用インクセット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011213785A (ja) 2011-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9028056B1 (en) Ink for inkjet recording, ink container, inkjet recorder and recorded matter
US9321926B2 (en) Ink for inkjet recording, ink cartridge, and ink-recorded matter
US9752037B2 (en) Inkjet recording ink, ink cartridge, inkjet recording method, inkjet recording device and ink recorded matter
JP6115110B2 (ja) 顔料分散剤、顔料分散体、インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
WO2006001547A1 (ja) シアンインク及びインクセット
WO2006001538A1 (ja) 水性インク、水性インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び画像形成方法
US20090163646A1 (en) Self-dispersible polymer, water-based dispersion, water-based ink composition, ink set and image forming method
JP6838266B2 (ja) 新規共重合体、水性インク、及びインクカートリッジ
JP6255922B2 (ja) インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法、インク収容容器、インクジェット記録装置、記録物の製造方法及び記録物
JP6512443B2 (ja) キナクリドン混合物、それを含むインク、インク収容容器、インクジェット記録物の製造方法、インクジェット記録装置、および記録物
JP2017101160A (ja) 共重合体、色材分散体、インク、及びインク収容容器
JP6032071B2 (ja) インクジェット記録用インク、インク収容容器、インクジェット記録装置、記録物の製造方法、記録物
JP2007217508A (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP2010202773A (ja) インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP6146700B2 (ja) インクジェット記録用インク、インク収容容器、インクジェット記録装置、記録物の製造方法、及び記録物
JP2007077233A (ja) インクジェット記録用水性インクセット、インクジェット記録方法及び記録物
JPWO2020054290A1 (ja) インク組成物、インクセット及び画像記録方法
JP2006008797A (ja) 水性顔料記録液およびインクジェット記録方法
JP5691223B2 (ja) インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法
JP6701572B2 (ja) インク、収容容器、画像形成方法及び画像形成装置
JP6197628B2 (ja) インクジェットインク及びその製造方法
JP4705777B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP2011240537A (ja) 画像形成方法
JP6197636B2 (ja) インクジェットインク及びその製造方法
JP6197634B2 (ja) インクジェットインク及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5691223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250