JP2007077233A - インクジェット記録用水性インクセット、インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 普通紙においてより優れた発色性の画像が得られるインクジェット記録用インクセット及び同インクセットを使用するインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】 カーボンブラック又は有機顔料と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体とを含有してなるインクジェット記録用水性インクと、多価金属塩溶液とからなるインクジェット記録用水性インクセット、同インクセットを使用するインクジェット記録方法及び同インクジェット記録方法で得られた記録物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、被記録媒体として、普通紙発色に優れる記録物、同記録物を提供するインクジェット記録用水性インクセット及び同インクセットを用いるインクジェット記録方法に関する。
従来より、インクジェット記録用インクは、その定着速度と色相互のブリードを考慮して、被記録媒体に対する浸透性の高い物性を有したものが用いられている。そのため、被記録媒体内部にまでインクの色材が浸透してしまい、表面に定着する色材量を十分確保することができず、高発色性の記録物を得ることが困難であった。これに対しては、例えば、記録媒体の表面に各種コート層を設け、色材の浸透を抑え、発色性を高める検討がなされている。この様な各種コート層を有する被記録媒体は、例えば、インクジェット記録用専用紙として販売されている。一方で、インクの側からの対策としては、インク中の着色剤と反応する反応液を用いて、色材を析出や凝集させて固液分離を行い、被記録媒体表面での定着量を増加させる方法が知られている。
この様なインクの側からの対策として、特許文献1及び2には、着色剤と、公知慣用のアクリル酸またはメタクリル酸の様なカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体との共重合体とを含有するインクジェット記録用水性インクと、多価金属塩溶液とからなるインクジェット記録用水性インクセット、同インクセットを使用してインクジェット記録方式で被記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法が記載されている。
しかしながら、インクジェット記録用専用紙でない普通紙に、特許文献1及び2に記載されている様なインクセットでインクジェット記録した記録物の発色性は、依然として不充分であった。
特開平3−240557号公報 特開平5−202328号公報
本発明が解決しようとする課題は、普通紙にインクジェット記録した際の発色に優れる記録物、同記録物が得られるインクジェット記録用水性インクセット及び同インクセットを使用するインクジェット記録方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、従来のインクセットの水性インクにおける共重合体をカルボキシル基含有共重合体から燐酸基含有共重合体とすることで、普通紙の記録物において前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、カーボンブラック又は有機顔料(a)と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)とを含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセットを提供する。
また本発明は、前記した水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に付与するインクジェット記録方法を提供する。
更に本発明は、前記したインクジェット記録方法によって被記録媒体上に記録された記録物を提供する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、カーボンブラック又は有機顔料(a)と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)とを含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるので、共重合体としてカルボキシル基含有共重合体を含有するインクジェット記録用水性インクと多価金属塩溶液とからなる同様のインクセットに比べて、インクジェット記録をおこなった際の普通紙の記録物の発色性がより高いという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、カーボンブラック又は有機顔料(a)と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)とを含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセットである。
本発明におけるインクジェット記録用水性インク(X)は、カーボンブラック又は有機顔料(a)と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)と、塩基性物質、水とを必須成分として調製することが出来る。
水性インク(X)を調製する際には、水不溶性の着色剤、具体的には、カーボンブラック又は有機顔料(a)が用いられる。本発明における有機顔料としては、特に限定されるものではなく、公知慣用の有機顔料がいずれも使用することが出来る。例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、インダンスレン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
水性インク(X)を調製する際には、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)が用いられる。
燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とは、燐酸基PO32と、重合性エチレン性不飽和二重結合の一つとを含有する単量体である。この様な燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸や、下記一般式で表されるものである(以下、あわせて燐酸モノマーと略記する。)。本発明において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とは、それぞれ順にアクリレートとメタクリレート、アクリル酸とメタクリル酸を意味するものとする。
Figure 2007077233
(上記式中、aは0または1であり、aが1のときXは炭素原子数1〜9のアルキレン基であり、b及びcは独立して0〜10であり、同時に0ではなくなる様に選択され、R3は水素原子またはメチル基である。)
この様な燐酸モノマーとしては、例えば、アシッドホスホシキエチルモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホシキプロピルモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合制御の容易さの観点から、本発明における好適な燐酸モノマーは、アシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートであり、これに該当するモノマーとしては、例えば、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。親水性を高める観点からは、アシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートに含有されるポリオキシアルキレン骨格は、ポリオキシエチレン骨格のみ又はポリオキシエチレンを主体としたポリオキシアルキレン骨格であることが好ましい。燐酸モノマーとしては、ユニケミカル株式会社のPhosmer(ホスマー)M、同PE、同PP等や、米国デュポン社製のモノマーが挙げられる。
本発明の共重合体(b)は、燐酸基とポリオキシアルキレン基の機能を分離させて、燐酸モノマーとしてのアシッドホスホシキアルキルモノ(メタ)アクリレートと、後記するその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としてのアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとを組合せて用いたこれらの重合単位を含有する共重合体であっても良いが、各官能基の機能が統合された、燐酸基とポリオキシアルキレン基とを一分子中に含有する燐酸モノマーであるアシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いたこれの重合単位を含有する共重合体であることが、専用紙における光沢性をより高められる点で好ましい。
共重合体(b)は、燐酸モノマーの重合単位を含有していれば良いが、共重合体(b)は、酸価40〜220mgKOH/g、中でもより水に分散させた際の分散性や分散安定性及び印字の光沢性により優れる点で、酸価140〜200mgKOH/gあることが好ましい。ここで酸価とは、共重合体の不揮発分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を言う。理論酸価は、用いた燐酸モノマーとその使用量に基づいて算術的に求めることも出来る。酸価が低すぎる場合には顔料分散や保存安定性が低下し、またインクジェット記録用水性顔料インクを調製した場合に、印字安定性が悪くなるので好ましくない。酸価が高すぎる場合には、着色画像の耐水性が低下するのでやはり好ましくない。共重合体(B)を該酸価の範囲内とするには、燐酸モノマーを、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
燐酸モノマーに併用可能な、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
同一酸価対比においてより共重合体の疎水性を高め、共重合体の顔料表面への吸着がより強固と出来る点で、前記したその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のベンゼン環を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いることが好ましく、中でも、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン等のスチレン系単量体を用いることが特に好ましい。
即ち共重合体(b)としては、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とスチレン系単量体とを必須成分として重合した共重合体が特に好ましい。
この特に好ましい共重合体(b)におけるスチレン系単量体は、質量換算で共重合体を構成する全単量体の合計を100部とした時、30〜70部となる様にすることが、同一共重合量において、ベンゼン環とエステル結合とを含有する単量体を用いた場合より共重合体の疎水性を高め、共重合体の顔料表面への吸着がより強固となることから好ましい。
本発明における共重合体(b)は、燐酸モノマーの重合単位とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の重合単位を必須の重合単位として含有する共重合体であれば良く、それらの二元共重合体であっても更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との三元以上の多元共重合体であっても良い。
本発明で用いる共重合体(b)は、モノエチレン性不飽和単量体の重合単位のみの線状(リニアー)共重合体であっても、各種の架橋性を有するエチレン性不飽和単量体を極少量共重合させ、一部架橋した部分を含有する共重合体であっても良い。
この様な架橋性を有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレートや、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明における共重合体(b)の分子量としては特に制限されないが、例えば、皮膜形成性の観点から、重量平均分子量5,000〜1000,000、中でも、低粘度で取り扱いが容易な点で、5,000〜20,000であることが好ましい。
本発明においては、用いる各単量体の反応率等は略同一と考えて、各単量体の仕込割合を、各単量体の重合単位の質量換算の含有割合と見なすものとする。本発明における共重合体(b)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することが出来る。この際には、公知慣用の重合開始剤、連鎖移動剤(重合度調整剤)、界面活性剤及び消泡剤を併用することも出来る。
実質的に線状(リニアー)の共重合体(b)は、熱履歴のかからないピエゾ方式ノズルのインクジェット記録装置用の水性インクの調製に好適であり、一方、部架橋した部分を含有する共重合体(b)は、熱履歴のかかるサーマル方式ノズルのインクジェット記録装置用の水性インクの調製に好適である。
共重合体(b)を中和する塩基性物質としては、公知慣用のものがいずれも使用出来、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの様な無機塩基性物質や、トリエチルアミン、アルカノールアミンの様な有機塩基性物質を用いることが出来る。共重合体(b)中に含まれる燐酸基は二塩基酸であるため、中和のための塩基性物質は、従来の様な、カルボキシル基を中和する場合に比べてより多くを必要とする。
本発明における水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等、pH6.5〜7.5かつ遊離イオンを含有しない水が好ましい。
本発明における水性インク(X)は、質量基準で、共重合体(b)不揮発分/有機顔料(a)は、0.2を越えて〜2.0以下であることが好ましく、中でも0.2を越えて〜1.0以下であることがより好ましく、特に0.20を越えて〜0.65以下であることが最も好ましい。この比率が低すぎる場合には、着色画像の耐擦過性と水性インク自体の分散安定性が低下し、逆に高すぎる場合には水性インクの粘度が高くなり、その吐出安定性が損なわれる傾向があり好ましくない。共重合体(B)合計不揮発分/有機顔料(A)は、0.2以下では分散安定性が不充分となりやすいので好ましくない。
本発明における水性インク(X)は、共重合体(b)を用いる以外は公知慣用の方法に従って調製することが出来るが、有機顔料(a)と、共重合体(b)と、塩基性物質と、水とを必須成分として混合することで調製することが出来る。この混合においては、既に公知の種々の方式による装置がいずれも使用出来る。
本発明における水性インク(X)には、更に、共重合体(b)以外の公知慣用のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはその水溶液や水分散液を含めることも出来る。
本発明における水性インク(X)は、有機顔料(a)と、共重合体(b)と、塩基性物質と、水とを必須成分として、これらと、インクジェット記録用水性顔料インクの技術分野で公知慣用となっている各種添加剤、液媒体とを混合することにより調製出来る。具体的には、質量基準で、有機顔料(a)固形分1〜10%となる様に水や、水溶性有機溶剤の様なその他の液媒体、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の各種添加剤を併用することで、水性インク(X)とすることが出来る。また、得られた水性インク(X)は、必要に応じて、超遠心分離やミクロフィルターによる濾過を行うことにより、粗大粒子や過小粒子の除去、分散粒子の粒子径分布の調整が出来、ノズル目詰まり等を極めて少なくすることが出来る。
本発明の水性インク(X)は、そのインク色数の点で特に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)からなる群から選ばれる少なくとも1色の水性インクである。1色でもよいし、2色以上でもよい。
本発明のインクセットは、前記した水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなる。この多価金属塩溶液(Y)は、多価金属塩が液媒体に溶解した溶液である。
この多価金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、CaCl、Ca(NO、CaI、CaBr、Ca(ClO、Ca(C、Ca(C、CuCl、Cu(NO、CuBr、Cu(ClO、Cu(C、NiCl、Ni(NO、NiI、NiBr、Ni(C、MgCl、Mg(NO、MgI、MgBr、Mg(ClO、Mg(C、ZnCl、Zn(NO、ZnI、ZnBr、Zn(ClO、Zn(C、BaCl、BaI、BaBr、Ba(ClO、Ba(C、Al(NO、Cr(NO、Cr(C、FeCl、Fe(NO、FeI、FeBr等が挙げられる。多価金属塩としては、液媒体に溶解させた際の溶液色が無色か淡色であるものを用いることが好ましい。多価金属塩としては、同一質量%濃度の溶液の同一定着量対比では、Ca塩よりもMg塩の方がより発色性を得やすいので、好ましい。
本発明における多価金属塩溶液(Y)は、その多価金属塩の含有量が質量換算で0.5〜20%の範囲にあることが好ましく、なかでも1〜10%の範囲にあることがより好ましい。この範囲であると、発色性等の画質面での改善効果が認められ、保存安定性や吐出安定性の低下、記録ヘッドの構成部品の腐食等を招く恐れも少ないことから好ましい。
多価金属塩溶液(Y)は、例えば、所定の水溶性の多価金属塩を水、温水、水系の液媒体等に溶解することにより、調製することができる。水系の液媒体として、水及び水溶性有機溶剤からなる混合溶媒を使用することができる。
本発明では、水性インク(X)中の共重合体(b)の燐酸基と、多価金属塩溶液(Y)中の多価金属イオンとの反応を利用することで、普通紙における記録画像の発色性を向上させる。この様な観点からも、水としては、水性インク(X)の調製時と同様の水を使用することが好ましい。
本発明における多価金属塩溶液(Y)には、必要に応じて、前記した水性インク(X)の調製に使用することが出来る公知慣用の添加剤を適宜含有させることが出来る。有機顔料(a)と共重合体(b)に代えて必要量の多価金属塩を用いて、水性インク(X)を調製する要領で、多価金属塩溶液(Y)を調製することも出来る。水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)に、共通の液媒体や添加剤等を含有させる様にすることも出来る。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、多価金属塩溶液(Y)の表面張力が前記水性インク(X)の表面張力の平均値よりも大きくなる様に両者を調製することが、本発明の効果をより大きく引き出すことが出来るので好ましい。
本発明で使用する水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とは、いずれもインクジェット記録に用いられる。従って、これらは、いずれもインクジェット記録装置のノズル方式に応じて吐出させることが可能な適切な粘度となる様に調製することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、1色の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良いし、前記したYMCKの4色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良いし、前記したYMCKの各水性インク(X)とそれ以外の色の水性インク(X)からなる5色〜7色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものであっても良い。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、キナクリドン系顔料を含有する1色の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものである場合、不溶性アゾ系顔料を含有する1色の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものである場合、これらのうち少なくとも一つの色の水性インクを含む前記したYMCKの4色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものである場合、これらのうち少なくとも一つの色の水性インクを含む前記したYMCKの各水性インク(X)とそれ以外の色の水性インク(X)からなる5色〜7色の各水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とからなるものである場合が、本発明の効果が最も顕著に現れる点で好ましい。
本発明は、前記した水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に付与することで、インクジェット記録を行うことが出来る。こうすることで被記録媒体上に着色画像が記録された記録物が得られる。
水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に付与するインクジェット記録方法は、特に限定されるものではないが、例えば、水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを同時に吐出させ被記録媒体に到達する前にそれらを混合(接触)して、これらの混合物を被記録媒体上に定着させる方法や、多価金属塩溶液(Y)を吐出させ被記録媒体上に定着させた後、この上に水性インク(Y)を吐出させて定着させる方法等が挙げられる。なかでも、インクジェット記録時間を短縮出来る上、着色画像の発色性をより高められる点で、前者の方法を選択するのが好ましい。
また、前記した後者の方法において、多価金属塩溶液(Y)を吐出させてから水性インク(X)を吐出するまでの時間については、吐出量や被記録媒体の種類等により変わってはくるが、5ms〜60秒であることが好ましく、50ms〜500msであることがより好ましい(msは1/1000秒を意味する)。このタイムラグが5msより短いと、先に吐出された多価金属塩溶液(Y)の液滴が被記録媒体内部に浸透する前に、水性インク(X)の液滴と接触する場合が出てくるため、それらが被記録媒体上に溢れて画質や乾燥性に悪影響を及ぼす恐れがある。逆に、タイムラグが60秒を超えると、多価金属塩溶液(Y)の液滴が被記録媒体内部に完全に浸透した後に水性インク(X)の液滴が接触することになるため、所望する画質の向上効果が得られなくなる恐れがある。
尚、多価金属塩溶液(Y)は、被記録媒体の全面に均一な付与量で定着させてもよく、水性インク(X)を定着させる箇所にのみ選択的に定着させてもよい。
多価金属塩溶液(Y)と水性インク(X)とを、接触反応させて凝集膜を形成させるためには、着色画像を形成する水性インク(X)の液滴中の燐酸基絶対量と多価金属塩溶液の液滴中の多価金属イオン絶対量とが少なくとも等量となる様に、両者をインクジェット記録方式で、被記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において被記録媒体上にインクジェット記録を行うことで、着色画像が被記録媒体上に形成された記録物を得ることが出来る。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、公知慣用の被記録媒体へのインクジェット記録方法に使用することが出来る。この際の被記録媒体としては、例えば、PPC紙の様な普通紙、写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)等の様なインクジェット記録用専用紙、OHPフィルムの様な合成樹脂フィルム、アルミニウム箔の様な金属箔等の各種フィルム・シートが挙げられる。なかでも本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、普通紙における着色画像の発色性の向上に効果的である。針葉樹パルプを原料とした太い繊維を抄紙した普通紙が、この発色性の改良効果が最も大きい。
この様なことから、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、例えば、被記録媒体としての普通紙へのインクジェット記録においては、水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを用いて着色画像を形成し、一方で、被記録媒体としての専用紙へのインクジェット記録においては、水性インク(X)だけを用いて着色画像を形成する様にすることで、安価である普通紙における着色画像の発色水準を、専用紙のそれに近づけることが出来る。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
<合成例1>
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にIPA 500部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸2−ヒドロキシエチル 37.5部、スチレン 208.3部、ホスマーPE(一般式において、R=メチル基、a=c=0、b=4〜5である、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノメタクリレート。ユニケミカル(株)製) 239.2部、ブレンマーTGL(重合度調整剤) 20.0部およびパーブチル(登録商標)O(重合開始剤。いずれも日本油脂(株)製) 40.0部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で7時間反応を継続させて、酸価150、重量平均分子量8,400、不揮発分43.48%の共重合体B−1のIPA溶液を得た。
比較合成例1
IPA500.0部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 37.5部、メタクリル酸−n−ブチル 251.3部、アクリル酸−n−ブチル 11.5部、スチレン 100.0部、メタクリル酸 99.7部、パーブチル(登録商標)O 30.0部を用いる以外は合成例1と同様にして、酸価130、重量平均分子量20,400、不揮発分48.67%の共重合体B−2のIPA溶液を得た。
<合成例2>
500mlガラスビーカーにマグネチックスターラーバーを入れ、イオン交換水180部を加えて攪拌する。塩化カルシウム(和光純薬工業(株)製)20部をゆっくりと投入し、そのまま10分間攪拌を続け完全に溶解させて、10%塩化カルシウム水溶液C−1を得た。
<調製例1>
合成例1で得た共重合体B−1、5%水酸化カリウム水溶液、Fastgen(登録商標)Blue 5310SD(大日本インキ化学工業(株)社製銅フタロシアニン系顔料)を仕込み、混合した。ここでそれぞれの仕込量は、銅フタロシアニン系顔料が1000部、共重合体B−1は顔料に対して不揮発分で30質量%の比率となる量、5%水酸化カリウム水溶液は共重合体B−1の酸価が95%中和される量、水は混合液の不揮発分を26.60%とするのに必要な量とした。
上記の混合液をペイントコンディショナー(直径0.5mmのジルコニアビーズ使用)で2時間分散した。分散終了後、水を5000部追加し、ジルコニアビーズを除いて得られた液を遠心分離処理(6000G、30分間)して粗大粒子を除くことにより、不揮発分12.79%の水性顔料分散体B−1を得た。
<調製例2>
比較合成例1で得た共重合体B−2を用いる以外は、調製例1と同様の操作を行って、不揮発分12.25%の水性顔料分散体B−2を得た。
(ピエゾ方式インクジェット記録用水性顔料インクの適性評価)
特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、上記調製例1〜6の水性顔料分散体を用いて、顔料分換算4%のピエゾ方式インクジェット記録用水性インクを調製した。インク組成を以下に示す。
水性顔料分散体(調製例1) 40.7部(顔料分換算で4%となる量)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部(インク全体の10%相当量)
ジエチレングリコール 15.0部(インク全体の15%相当量)
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部(インク全体の0.8%相当量)
水 33.5部
(全体で100%となる様に加える)
<調製例3>
同様に、合成例2で得られた水溶液C−1を用いて、塩濃度が5%となるピエゾ方式インクジェット記録用カルシウム塩溶液を調製した。インク組成を以下に示す。
10%溶液(合成例2) 50.0部(塩換算で5%となる量)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部(インク全体の10%相当量)
ジエチレングリコール 15.0部(インク全体の15%相当量)
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部(インク全体の0.8%相当量)
水 24.2部
(全体で100%となる様に加える)
上記調製例1にて調製したインクジェット記録用水性インクと、調製例3にて調製したカルシウム塩溶液とを、市販のピエゾ方式インクジェットプリンタ(MJ−8000C型、セイコーエプソン(株)製)の空のカートリッジに別々に各々充填し、カルシウム塩溶液と、インクジェット記録用水性インクとを、インクジェット記録方式にて同溶液を、普通紙である記録紙CopyPlus(ハンマーミル社製)上に付与し定着させ、ベタ印字された記録物を得た。
比較例1
調製例1の水性インクに代えて、調製例2の水性インクを使用する以外は、実施例1と同様な操作を行った。
(普通紙発色評価)
普通紙である、記録紙CopyPlusへの記録物のベタ部濃度をマクベス反射濃度計D196で光学濃度を測定して、普通紙特性として、発色性を評価した。表中にODとして表示した。
これらの各評価項目の測定結果は、まとめて表1に示した。
表1
Figure 2007077233
実施例1と比較例1との対比からわかる通り、水性顔料インクと多価金属塩溶液の組合せ対比において、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体の重合単位を含有する共重合体の水性インクを用いてインクジェット記録して得た記録物(実施例1)は、カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体の重合単位を含有する共重合体の同様水性インクを用いて同様に得た記録物(比較例1)に比べて、OD値が高く、着色画像の発色性に優れていることが明白である。


Claims (3)

  1. カーボンブラック又は有機顔料(a)と、燐酸基含有モノエチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(b)とを含有してなるインクジェット記録用水性インク(X)と、多価金属塩溶液(Y)とからなるインクジェット記録用水性インクセット。
  2. 請求項1記載の水性インク(X)と多価金属塩溶液(Y)とを各々インクジェット記録方式で被記録媒体上に付与するインクジェット記録方法。
  3. 請求項2記載のインクジェット記録方法によって被記録媒体上に記録された記録物。



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