JP2023083947A - 斜面対策構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】植生促進による景観の良化ができるのは勿論、斜面の局部崩壊だけでなく、斜面の表層すべり崩壊にも対応することができる、斜面対策構造を提供する。【解決手段】斜面S1の表層すべり崩壊や局部崩壊に対応して斜面S1を安定化させる斜面対策構造であって、斜面S1に間隔をあけて設置されたアンカー材1と、斜面S1の表層を被覆するネット2と、ネット2の上から敷設され、交差箇所がアンカー材1の頭部で斜面S1に押し付けられる上部固定板4Aと下部固定板4Bとで挟持固定された帯状法面材3(3A,3B)と、を備えている。【選択図】図3
Description
本発明は、斜面に対して施工して、斜面を安定化させる斜面対策構造に関するものである。
斜面に対して施工して、斜面を安定化させる斜面対策構造としては、代表的なものとしては、地山にアンカー材を複数本打ち込み、斜面にコンクリート製の法枠を施工するものがあるが、これでは施工に時間を要し、凹凸の激しい斜面への追随が難しいことや、景観が悪くなることが課題となるので、これらの課題を考慮した技術が、各種提案され、実施に供されている。
例えば、特許文献1には、斜面に間隔をあけて設置されたアンカー材と、斜面の表層を被覆するシートと、シートの上から敷設され、交差箇所が上部固定板と下部固定板とで挟持固定された帯状法面材と、を備えた構成の従来技術が開示されている。
また、特許文献2には、植物が成長可能な隙間を有し対象斜面全域に直接敷設されるマットと、このマット上に敷設される硬鋼ワイヤーから構成された金網と、この金網上に所定間隔をおいて設置される受圧板と、地山の安定地盤まで挿通して固定され、マット上に設置された受圧板を斜面側に押圧する引張体と、を有した構成の従来技術が開示されている。
特許文献1に開示された従来技術は、斜面の表層浸食防止や植生促進の効果が得られ、また、斜面の小規模な局部崩壊を防ぐことができ、安価にかつ効果的に斜面を安定化させることが可能な優れた技術である。しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、斜面の局部崩壊には対応できるが、シートの引張強度上、崩壊規模の大きい斜面表層すべり崩壊には対応できないケースが想定される。
特許文献2に開示された従来技術は、高強度ネットの二次製品を用いた工法であり、全面緑化が可能で景観性が良く、表層すべり崩壊や、アンカー材間での中抜け崩壊などの局所的な崩壊が生じた場合に作用する荷重に対して、十分な強度を有している。しかしながら、特許文献2に開示された従来技術でも、金網は硬鋼ワイヤーから構成されることから、上述した代表的な斜面にコンクリート製の法枠を用いた技術よりは追従性が良いものの、固定板とアンカー頭部の締付け部材によって斜面に押し付けた際に撓んでしまい、斜面表面との間に隙間を生じてしまう。すなわち、斜面に密着していないと、表層すべり崩壊が生じた時に、地山の変形に対する支圧効果がすぐに発揮されないといった問題や、斜面との間に生じた隙間で表面浸食が進行してしまうおそれもある。また、高強度ネットに用いられる線材は、素線引張強度が1000MPaを超える硬鋼ワイヤーなどが使用されており、アンカー頭部での締め付け部材により撓みが発生しやすく、斜面との間に隙間を生じてしまい、斜面の表層すべり崩壊を防ぐために必要な法面工の支圧効果を斜面の変形が生じた直後に十分に得られないことが考えられる。また、硬鋼ワイヤーを用いて作られた高強度ネットは、海外から入手される場合が多いため、現地での手配や入手が困難なケースがある。さらに、硬鋼ワイヤーは、斜面に残る樹木などを躱す必要がある場合などにおいて、高強度な線材なため、現地での切断や加工が難しいなどの問題点もある。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、植生促進による景観の良化ができるのは勿論、斜面の局部崩壊だけでなく、斜面の表層すべり崩壊にも対応することができる、斜面対策構造を提供することにある。
第1発明に係る斜面対策構造は、斜面の表層すべり崩壊や局部崩壊に対応して前記斜面を安定化させる斜面対策構造であって、前記斜面に間隔をあけて設置されたアンカー材と、前記斜面の表層を被覆するネットと、前記ネットの上から敷設される帯状法面材と、を備え、前記帯状法面材は、斜面上下方向に延びる複数の縦の帯状法面材と前記縦の帯状法面材と交差する方向に延びる複数の横の帯状法面材が敷設され、前記縦及び横の帯状法面材の交差箇所に、前記アンカー材の地上に露出した頭部が貫通しており、前記両帯状法面材を貫通しているアンカー材の頭部には、前記ネットの上側で両帯状法面材の交差箇所の重なり面を上下から挟むように配置される上部固定板と下部固定板とを有し、前記上部固定板と下部固定板とが、前記両帯状法面材を一体に挟持固定した状態で、前記アンカーの頭部に取り付けられた締め付け部材により前記斜面に押し付けられていることを特徴とする。
第2発明に係る斜面対策構造は、第1発明において、前記斜面を被覆するように、前記ネットと、前記斜面との間に、植生シートが介在されていることを特徴とする。
第3発明に係る斜面対策構造は、第1発明又は第2発明において、前記ネットは素線引張強度が290~540MPaの金網であることを特徴とする。
第4発明に係る斜面対策構造は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記ネットの目合いは20~70mm×20~70mmであることを特徴とする。
第5発明に係る斜面対策構造は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記アンカー材の下部が、前記斜面下の地盤内に1.0~6.0mの深さで設置されていることを特徴とする。
第1発明に係る斜面対策構造によれば、例えば、硬鋼ワイヤーが用いられる高強度ネットに比べて素線引張強度が低く柔軟性が高いネットを用いることで、斜面凹凸への追随性が良く、地盤との隙間が生じにくくなり、表層浸食を効果的に阻止できる。また、第1発明に係る斜面対策構造によれば、ネットの上から帯状法面材を設置することで、地盤との密着度がさらに向上し、崩壊現象が発生した際には、斜面の変形を押さえつける支圧効果を得やすく、変形が生じたときに作用する荷重をネットと帯状法面材とで分担することができるため、斜面の局部崩壊だけでなく、斜面の表層すべり崩壊にも対応することができる。
第2発明に係る斜面対策構造によれば、斜面を被覆するように、ネットと、斜面との間に、植生シートが介在されているので、斜面の植生を促進することができる。また、第2発明に係る斜面対策構造によれば、植生が進み斜面が覆われることにより、表層浸食抑止効果をさらに高めることもできる。
第3発明に係る斜面対策構造によれば、ネットは素線引張強度が290~540MPaの金網であるので、JIS規格に沿ったネットを使用できるため、材料が入手しやすく現場手配も容易であり、比較的低コストで実施することができる。また、第3発明に係る斜面対策構造によれば、高強度ネットに比べ現地での切断加工なども容易に行うこともできる。
第4発明に係る斜面対策構造によれば、ネットの目合いは20~70mm×20~70mmであるので、斜面を緑化させる際に、網目から植物が生えやすく、かつ、斜面の崩壊を抑止する際に土砂の漏れを最小限に抑えることができる。
第5発明に係る斜面対策構造によれば、アンカー材は、地盤内に1.0~6.0mの深さで設置され、想定される地盤内すべり境界線よりも深い安定した地盤層まで達することにより表層すべり崩壊が生じにくくなり、より高い抑止効果を期待できる。
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施形態1]
先ず、本発明の実施形態1に係る斜面対策構造について説明する。
先ず、本発明の実施形態1に係る斜面対策構造について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る斜面対策構造を示す平面図である。図2は、図1におけるA-A線矢視断面図である。図3は、図2におけるアンカー材周辺の部分拡大図である。図4は、図1における帯状法面材の交差箇所周辺を、アンカー材などを省略して示す部分拡大図である。図5(a)は、本発明の実施形態1に係る斜面対策構造に用いられる上部固定板の平面図であり、図5(b)は、図5(a)の側面図である。図6(a)は、本発明の実施形態1に係る斜面対策構造に用いられる下部固定板の平面図であり、図6(b)は、図6(a)の側面図である。図7は、図1における縦の帯状法面材の要部を示す部分拡大図である。図8~図10は、本発明に係る斜面対策構造が適用される斜面の種類を例示する断面図である。図11は、図10の斜面に本発明の実施形態1に係る斜面対策構造を適用した際の作用効果を説明するための説明図である。
本発明に係る斜面対策構造は、図8~図10に示すように、斜面S1-1,S1-2のような表層浸食や局部崩壊だけでなく、斜面S1-3のような表層すべり崩壊にも対応して斜面S1を安定化させる斜面対策構造である。
本発明に係る斜面対策構造が適用される斜面S1-1,S1-2,S1-3の種類の詳細を以下で説明する。
図8は、斜面S1-1の表層浸食を示すものである。具体的には、降雨によって斜面S1-1に雨水が浸透した際に、斜面S1-1の表層部分G2が浸食されて崩れる可能性があることを示している。なお、斜面S1-1の勾配θは、60°程度までを想定している。
図9は、斜面S1-2や法面中間部で起こる可能性のある局部崩壊を示すものである。具体的には、表層浸食と同様に斜面S1-2が雨水による浸食によって、特に法面中間部などにおいて、幅W1、深さD1の地盤部分G3が局部的な崩壊を起こす可能性があることを示している。ここで、幅W1は2m程度まで、深さD1は1m程度までを想定している。なお、斜面S1-2の勾配θは、60°程度までを想定している。
図10は、表層すべり崩壊を起こす可能性のある斜面S1-3を示すものである。具体的には、斜面S1-3の地盤内において、不動地山と呼ばれる安定した地盤層G1と、降雨などによって地盤が緩み、すべり崩壊を起こす可能性のある移動層G4が存在している。移動層G4の土塊重量によって、F1方向に働く滑動力が、地盤同士の摩擦や粘着力によって、すべり崩壊に抵抗している滑動抵抗力を上回ると表層すべり崩壊が発生する。表層すべり崩壊の規模は、幅W2が30m程度以下、深さD2が3m程度までを想定している。
そして、この実施形態1に係る斜面対策構造は、図1~図3に示すように、斜面S1に間隔をあけて設置されたアンカー材1と、硬鋼ワイヤーからなる高強度ネットよりも素線引張強度が低く、柔軟性の高い斜面S1の表層を被覆するネット2と、ネット2の上から敷設される帯状法面材3(3A,3B)と、を備えている。すなわち、この実施形態1に係る斜面対策構造は、斜面S1上にネット2が敷設され、さらに、このネット2上に交差箇所が上部固定板4Aと下部固定板4Bとで挟持固定された帯状法面材3(3A,3B)が敷設された積層状態とされている。
アンカー材1は、斜面S1に対して設置間隔Mは縦横とも例えば2mの間隔で設置する。この設置間隔Mは、1~3m程度に設定することが好ましい。また、アンカー材1の下部は、斜面S1下の地盤内に1.0~6.0mの深さL1で設置されている。すなわち、施工する斜面S1の崩壊可能性地盤G2,G3,G4を超える深度にある安定した地盤層G1内に達するようにしている(図8~図10を参照)。なお、全体の構造的強度が十分の場合は、安定した地盤層G1内に達さないアンカー材1がいくつかあるように実施してもよい。さらに、アンカー材1の配置は、図示した格子配置に限定されず、例えば千鳥配置などで実施してもよい。
また、アンカー材1には、ここでは径が25mmのものを用いるようにしてもよい。アンカー材1の径は、16~51mmのものを用いることが好ましい。そして、この実施形態1では、引抜力を大きくするため、図3に示すように、アンカー材1の地盤内の周囲にスペーサ7を設けるとともに、グラウト材などの注入材8を注入するようにしてもよい。勿論、その他の態様で実施してもよい。
ネット2は、地上に露出したアンカー材1の上端の頭部が貫通するように、斜面S1上に敷設される。この実施形態1では、ネット2には、素線引張強度が200~1000MPa、好ましくは290~540MPaで、目合いは50mm×50mmの金網が用いられている。ネット2の目合いは20~70mm×20~70mmであることが好ましい。なお、ネット2の線径は、入手が容易な2.0mm程度のものが好ましい。また、網目の形状も格子形状に限定されず、例えばひし形形状などで実施してもよい。さらに、同程度の強度を有する亀甲金網や樹脂製ネットなどを用いて実施してもよい。また、図1では、点線内の全面はネット2であるが、下側の斜面S1が分かりやすいように、部分的に二点鎖線で囲んで図示した。
帯状法面材3(3A,3B)には、図7に示すように、一例として、幅Wが260mmで、目合いが28mm×50mmのアラミド繊維挿入ポリエチレンネットが用いられる。勿論、その他のものを用いて実施してもよい。帯状法面材3(3A,3B)は、ネット2の撓みを抑え、斜面S1の変形を抑止し、局部崩壊により発生する土砂や土塊の移動を抑え込む働きをする。
ここで、縦の帯状法面材3Aの中心間の間隔と、横の帯状法面材3Bの中心間の間隔とは、ともにアンカー材1の設置間隔Mと同じ2mである。これらの間隔も、1~3m程度に設定することが好ましい。なお、縦の帯状法面材3Aと横の帯状法面材3Bの配置は、この実施形態1のように内側が正方形となる格子状配置に限定されず、例えば、ネット2上の対角線上にクロスするように配置したり、千鳥状に配置したり、内側がひし形となる斜め配置としたりするなどして実施してもよい。
また、縦の帯状法面材3Aと横の帯状法面材3Bの交差箇所は、図4に示すように、図5で示した上部固定板4Aと、図6で示した下部固定板4Bとからなる挟持固定部材4で挟持固定され、ネット2を介して、斜面S1に押し付けられている。
具体的には、上部固定板4Aと下部固定板4Bは、一辺が300mmで厚さ6mmの略正方形状の薄い鋼板である。そして、図3~図6に示すように、下部固定板4Bの四隅のボルト孔422からボルト頭42を有するボルト41を、図示省略のワッシャーを介して挿入し、上部固定板4Aの四隅のボルト孔412から突出したボルト41にナット43を螺合して、縦の帯状法面材3Aと横の帯状法面材3Bの交差箇所が固定されている。
そして、斜面S1から突出したアンカー材1の上端の頭部を、下部固定板4B中央の挿通孔421に挿通させ、上部固定板4A中央の嵌合孔411に座金5を嵌合させ、球状ワッシャー60を介し、ナット6を螺合する。
そして、図示は省略したが、斜面S1に凹みがある場合は、アンカー材1間の帯状法面材3(3A,3B)が、1ないし複数の固定ピンによって斜面S1に固定され、斜面S1の凹凸へ追随させることができる。また、帯状法面材3(3A,3B)に囲まれたネット2も同様に固定ピンによって斜面S1の凹凸へ追随させて固定することができる。
なお、上部固定板4Aの長孔413と下部固定板4Bの長孔423は、指を入れて端部を掴むことで運搬を容易にするためのものである。また、図4において、アンカー材1などを省略したのは、上部固定板4Aと下部固定板4Bとの関係を分かりやすくするためである。さらに、図4において、下部固定板4B及び挿通孔421を実線で示したのは、交差箇所で重なり合う帯状法面材3A,3Bの目合いからこれらが現れるからである。なお、下部固定板4Bの挿通孔421は、上部固定板4A中央の嵌合孔411と同じ大きさに合わせて用いることができる。また、挿通孔421の孔径は、アンカー材1の径に対応して変えることができる。さらに、孔411をアンカー材1の挿通孔とし、孔421の孔径を孔411の孔径よりも大きくするなどして実施してもよい。
以上説明した本発明の実施形態1に係る斜面対策構造によれば、硬鋼ワイヤーが用いられる高強度ネットに比べて素線引張強度が低く柔軟性が高いネット2を用いることで、斜面S1の凹凸への追随性が良く、地盤との隙間が生じにくくなり、表層浸食を効果的に阻止できる。また、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、ネット2の上から帯状法面材3(3A,3B)を設置することで、地盤との密着度がさらに向上し、崩壊現象が発生した際には、斜面S1の変形を押さえつける支圧効果を得やすく、変形が生じたときに作用する荷重をネットと帯状法面材とで分担することができるため、斜面S1の表層浸食や局部崩壊だけでなく、斜面S1の表層すべり崩壊にも対応することができる。
より具体的には、図11に示すように、図10の斜面に本発明の実施形態1に係る斜面対策構造を適用した場合、アンカー材1による引止力に加え、アンカー材1の先端の頭部で押し付けられたネット2と帯状法面材3(3A,3B)とによる斜面S1-3への支圧効果により滑動力F1に抵抗する抵抗力F2が働き、また、安定した地盤層G1と、移動土塊となりうる移動層G4との境界では、地盤同士の摩擦による滑動抵抗力F3が作用し、これらの抵抗力の相互作用によって、表層すべり崩壊を抑止することができる。
勿論、この実施形態1に係る斜面対策構造では、硬鋼ワイヤーからなるネットよりも素線引張強度が低い、高強度ではないネット2を用いても、ネット2と、その上に設置した帯状法面材3(3A,3B)、固定板4A,4B、アンカー材1を用いることで、斜面の変形が生じたときに作用する荷重を分担することができるので、図8や図9に示した表層浸食や局部崩壊にも対応することができる。なお、表層浸食は、大きくは、局部崩壊に分類されるものである。
また、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、ネット2は素線引張強度が290~540MPaの金網であるので、JIS規格に沿ったネットを使用できるため、材料が入手しやすく現場手配も容易であり、比較的低コストで実施することもできる。さらに、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、高強度ネットよりも現地での切断加工なども容易に行うこともできる。また、この実施形態1に係る斜面対策構造では、ネット2が柔軟性もあるため斜面S1の凹凸への追随性が非常によく、斜面S1の全面緑化も可能であり、植生促進による景観の良化に寄与することができる。さらに、この実施形態1に係る斜面対策構造は、材料の入手が容易で、災害復旧など迅速性の求められる斜面対策にも適している。そのうえ、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、帯状法面材3(3A,3B)をネット2の上から設置することで、追随性がさらに向上し、ネット2と斜面S1との間に隙間が生じにくく、表層浸食防止効果も高くなる。また、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、ネット2の高い密着性により、支圧効果が得やすくなる。さらに、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、施工性がよいため、施工日数の短縮も図れる。
また、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、ネット2の目合いは20~70mm×20~70mmであるので、斜面S1を緑化させる際に、網目から植物が生えやすく、かつ、斜面S1の崩壊を抑止する際に土砂の漏れを最小限に抑えることができる。
また、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、アンカー材1間の帯状法面材3(3A,3B)やネット2が、1ないし複数の固定ピンによって斜面に固定されているので、ネット2と斜面S1との密着度をより高めることができる。
さらに、この実施形態1に係る斜面対策構造によれば、アンカー材1は、地盤内に1.0~6.0mの深さL1で設置される。斜面S1(S1-1,S1-2)の表層浸食される表層部分G2や局部崩壊の地盤部分G3だけでなく、斜面S1(S1-3)の表層すべり崩壊が生じる可能性のある移動層G4を貫通し、安定した地盤層G1まで達するまで挿入されている。安定した地盤層G1とアンカー材1の定着長が長くなるように挿入することで、表層すべり崩壊によって地山が変形し始める際に、アンカー材1がより引き抜けにくくなり、より移動層G4の滑り出しを抑止する効果が期待できる。安定した地盤層G1とアンカー材1の定着長は、1m程度以上あることが好ましい。
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2に係る斜面対策構造について説明する。
次に、本発明の実施形態2に係る斜面対策構造について説明する。
図12は、本発明の実施形態2に係る斜面対策構造を示す平面図である。図13は、図12におけるB-B線矢視断面図である。図14は、図13におけるアンカー材周辺の部分拡大図である。
この実施形態2に係る斜面対策構造が、上述の実施形態1に係る斜面対策構造と相違する点は、斜面S1を被覆するように、ネット2と、斜面S1との間に、植生シート20が介在されていることなので、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。
この実施形態2に係る斜面対策構造は、図12~図14に示すように、斜面S1を被覆するように、ネット2と、斜面S1との間に、植生シート20が介在されている。
なお、植生シート20には、例えば、植生の種子を備えたいわゆる市販の植生シートや植生マットなどを用いることができる。
このため、本発明の実施形態2に係る斜面対策構造によれば、斜面S1を被覆するように、ネット2と、斜面S1との間に、植生シート20が介在されているので、斜面の緑化を促進することができる。また、この実施形態2に係る斜面対策構造によれば、植生が進み斜面が覆われることで、表層浸食防止効果がさらに向上する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 アンカー材
2 ネット
20 植生シート
3 帯状法面材
3A 縦の帯状法面材
3B 横の帯状法面材
4A 上部固定板
4B 下部固定板
41 ボルト(締付け部材)
43 ナット(締付け部材)
6 ナット(締付け部材)
S1 斜面
S1-1 斜面
S1-2 斜面
S1-3 斜面
2 ネット
20 植生シート
3 帯状法面材
3A 縦の帯状法面材
3B 横の帯状法面材
4A 上部固定板
4B 下部固定板
41 ボルト(締付け部材)
43 ナット(締付け部材)
6 ナット(締付け部材)
S1 斜面
S1-1 斜面
S1-2 斜面
S1-3 斜面
Claims (5)
- 斜面の表層すべり崩壊や局部崩壊に対応して前記斜面を安定化させる斜面対策構造であって、
前記斜面に間隔をあけて設置されたアンカー材と、
前記斜面の表層を被覆するネットと、
前記ネットの上から敷設される帯状法面材と、を備え、
前記帯状法面材は、斜面上下方向に延びる複数の縦の帯状法面材と前記縦の帯状法面材と交差する方向に延びる複数の横の帯状法面材が敷設され、前記縦及び横の帯状法面材の交差箇所に、前記アンカー材の地上に露出した頭部が貫通しており、
前記両帯状法面材を貫通しているアンカー材の頭部には、前記ネットの上側で両帯状法面材の交差箇所の重なり面を上下から挟むように配置される上部固定板と下部固定板とを有し、前記上部固定板と下部固定板とが、前記両帯状法面材を一体に挟持固定した状態で、前記アンカーの頭部に取り付けられた締め付け部材により前記斜面に押し付けられていること
を特徴とする斜面対策構造。 - 前記斜面を被覆するように、前記ネットと、前記斜面との間に、植生シートが介在されていること
を特徴とする請求項1に記載の斜面対策構造。 - 前記ネットは素線引張強度が290~540MPaの金網であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の斜面対策構造。 - 前記ネットの目合いは20~70mm×20~70mmであること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の斜面対策構造。 - 前記アンカー材の下部が、前記斜面下の地盤内に1.0~6.0mの深さで設置されていること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の斜面対策構造。
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