JP2023080853A - 車両塗装代替フィルム - Google Patents

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憲 江頭
Ken Egashira
明彦 中山
Akihiko Nakayama
英実 中林
Hidemi Nakabayashi
浩忠 羽里
Hirotada Hasato
晴彦 宮澤
Haruhiko Miyazawa
雄作 吉池
Yusaku Yoshiike
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Abstract

【課題】高い伸長性(例えば140%伸び)を有し、高温環境下でも剥離せず、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときでも、フィルムにしわ、剥離、ずれなどが生じにくい、手貼り可能な車両塗装代替フィルムを提供する。【解決手段】一実施態様の車両塗装代替フィルムは、トップ層、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む熱可塑性樹脂と、着色剤とを含む着色層、熱可塑性ベースフィルム層、及び感圧接着剤層をこの順で含み、感圧接着剤層の23℃における弾性率が0.35MPa~10MPaである。【選択図】図1

Description

本開示は車両塗装代替フィルムに関する。
塗装の代わりに装飾フィルムを自動車の車体、部品などに貼り付けて、これらの外観を装飾することが知られている。
特許文献1(特開2013-039724号公報)は、「透明材料層および着色接着剤層を含む車輌塗装代替フィルムであって、前記着色接着剤層が、(i)(a)アクリルポリオールと、(b)前記アクリルポリオールに分散している着色剤であって、有機顔料と無機顔料の組み合わせ、有機顔料とアルミ光輝材の組み合わせ、有機顔料とマイカ光輝材の組み合わせ、無機顔料とアルミ光輝材の組み合わせ、無機顔料とマイカ光輝材の組み合わせ、およびアルミ光輝材とマイカ光輝材の組み合わせ、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される着色剤とを含む着色剤プレミックスと、(ii)接着性ポリマーとを含み、接着性ポリマー/(接着性ポリマー+アクリルポリオール)で表される固形分質量比が25%以上である、車輌塗装代替フィルム」を記載している。
特許文献2(特開2007-297569号公報)は、「ポリウレタン樹脂からなるトップコート層と、前記トップコート層の表面側に設けられたキャリヤフィルムとを有する装飾層形成フィルムであって、前記ポリウレタン樹脂は、(1)イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体もしくはアダクト体又はこれらの両者を全ポリイソシアネートに対して0.5当量以上含有するポリイソシアネート、及び(2)カプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール又はその混合物からなり、かつ平均分子量が1000以下であるポリエステルポリオールを全ポリオールに対して0.4当量以上含有するポリオールを含み、前記ポリイソシアネートと前記ポリオールの当量比が0.7~2.0であるポリウレタン樹脂組成物からなることを特徴とする装飾層形成フィルム」を記載している。
特開2013-039724号公報 特開2007-297569号公報
曲面を有する物品への塗装代替フィルムの貼り付けは、一般に真空圧空成形(DVT、Dual Vacuum Thermoforming)法、真空成形(VT、Vacuum Thermoforming)法、水圧転写法などを用いて行われている。物品の大きさ、形状、及び適用位置に応じて、塗装代替フィルムを手貼りすることが望ましい場合もある。製造設備の投資削減、揮発性有機化合物(VOC)の飛散などによる環境負荷の軽減、小ロット生産への対応などの観点から、市場には手貼りできる塗装代替フィルムの需要がある。塗装代替フィルムの伸びには限界があるため、フィルムを貼り付ける際にフィルムを過度に伸長させると、フィルムが貼り付けられた物品を高温環境下に置いたときにフィルムが剥離したり、ひび割れたりする場合がある。
例えば、可動部分に関係する箇所に塗装代替フィルムを使用すると、フィルムには被着面に対して垂直方向から、例えばゴムシールなどによって常に力が加わることがある。この状態で可動部分が移動すると、垂直方向からの負荷に加えて、その垂直方向と直交する方向にフィルムに力が加わる結果、フィルムにしわ、剥離、ずれなどが生じて、装飾面の外観が損なわれる、あるいはフィルムが破損することがある。
本開示は、高い伸長性(例えば140%伸び)を有し、高温環境下でも剥離せず、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときでも、フィルムにしわ、剥離、ずれなどが生じにくい、手貼り可能な車両塗装代替フィルムを提供する。
本開示の一実施態様によれば、トップ層、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む熱可塑性樹脂と、着色剤とを含む着色層、熱可塑性ベースフィルム層、及び感圧接着剤層をこの順で含む車両塗装代替フィルムであって、前記感圧接着剤層の23℃における弾性率が0.35MPa~10MPaである、車両塗装代替フィルムが提供される。
本開示によれば、高い伸長性(例えば140%伸び)を有し、高温環境下でも剥離せず、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときでも、フィルムにしわ、剥離、ずれなどが生じにくい、手貼り可能な車両塗装代替フィルムを提供することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
一実施態様の車両塗装代替フィルムの概略断面図である。 たくれ試験の測定試料の上面図(上側)及び側面図(下側)である。 たくれ試験を実施中の測定試料の状態を示す側面図である。 たくれ試験における各評点の測定試料の上面の模式図である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、必要に応じて図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において「硬化」には、一般的に「架橋」と呼ばれる概念も包含される。
本開示において「フィルム」には、「シート」と呼ばれる物品も包含される。
本開示において、例えば、「着色層が熱可塑性ベースフィルム層の上に配置される」における「上」とは、着色層が熱可塑性ベースフィルム層の上に直接接触して配置されること、又は着色層が他の層を介して熱可塑性ベースフィルム層の上方に配置されることを意味する。
本開示において「透明」とは、JIS K 7375:2008に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約80%以上であることをいい、望ましくは約85%以上、又は約90%以上であってよい。平均透過率の上限値については特に制限はないが、例えば、約100%未満、約99%以下、又は約98%以下とすることができる。
本開示において「半透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約40%以上、約80%未満であることをいい、望ましくは約75%以下であってよい。
一実施態様の車両塗装代替フィルム(以下、単に「塗装代替フィルム」ともいう。)は、トップ層、熱可塑性樹脂と着色剤とを含む着色層、熱可塑性ベースフィルム層、及び感圧接着剤層をこの順で含む。着色層の熱可塑性樹脂は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む。感圧接着剤層の23℃における弾性率は0.35MPa~10MPaである。
本開示の塗装代替フィルムにおいては、特定の熱可塑性樹脂を含む着色層、熱可塑性ベースフィルム層、及び特定の弾性率を有する感圧接着剤層がこの順で配置されている。いかなる理論に拘束される訳ではないが、これらの層の材料及び特性が高い伸長性(例えば140%伸び)を塗装代替フィルムに付与する。加えて、これらの層が協働することで、高温環境下で高い接着性を示すのに必要な強度が塗装代替フィルムに付与され、かつ、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わるような条件下での、しわ、剥離、及びずれの発生が抑制されるものと考えられる。塗装代替フィルムのこれらの特性は、フィルムを曲面に対して延伸させながら手作業で貼り付けることを可能にし、フィルムと他の部品等との干渉に起因するフィルムの剥離又はしわの発生を抑制し、延伸させて貼り付けられた状態で飛石等によりフィルムが傷ついてもフィルムの剥離又は割れが生じにくいという、いくつもの優れた利点を提供する。
図1に、一実施態様の車両塗装代替フィルム10の概略断面図を示す。車両塗装代替フィルム10は、トップ層12、着色層14、熱可塑性ベースフィルム層16、及び感圧接着剤層18をこの順で含む。着色層14は、熱可塑性樹脂142と着色剤144とを含む。塗装代替フィルムは、任意の要素として、上記の層同士を接合する接合層を更に含んでもよく、ライナー20を更に含んでもよい。一実施態様では、塗装代替フィルムは、トップ層、着色層、熱可塑性ベースフィルム層、及び感圧接着剤層からなる。
トップ層としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート/フッ化ビニリデン共重合体(PMMA/PVDF)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、及びエチレン/アクリル酸共重合体(EAA)及びそのアイオノマー、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの共重合体を使用することができる。耐候性に優れていることから、アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、及びポリ塩化ビニルが好ましく、耐擦傷性に優れており、廃棄物として焼却したり埋め立てたりする際の環境負荷が小さいことから、アクリル樹脂及びポリウレタンがより好ましい。
トップ層は、着色層の上にトップ層組成物を塗布して形成することができる。あるいは、別のライナー上にトップ層組成物を塗布してトップ層フィルムを形成し、接合層を介して、着色層の上にそのフィルムをラミネートすることもできる。着色層が、ライナー上に形成されたトップ層フィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接着色層にトップ層フィルムを転写ラミネートすることもできる。トップ層は、例えば、反応性ポリウレタン組成物などのトップ層組成物を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって着色層又はライナーに塗布し、必要に応じて加熱硬化することによって、形成することができる。
反応性ポリウレタン組成物は一般にポリオールと架橋剤を含む。ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオール;シクロヘキサンジメタノールカーボネート、1,6-ヘキサンジオールカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールを使用することができる。架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4-フェニルイソシアネート)、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI、H12MDIなどとも呼ばれる)、それらのビュレット体、イソシアヌレート体又はアダクト体などのポリイソシアネートを使用することができる。反応性ポリウレタン組成物は、水系であっても有機溶剤系であってもよい。水系の場合、ポリカルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンなどによって更に架橋することもできる。水系反応性ポリウレタン組成物は、ポリカーボネートポリオールと、ポリカルボジイミド、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート及び/又はアジリジンとの組み合わせを含むことが好ましい。有機溶剤系反応性ポリウレタン組成物は、ポリカプロラクトンジオール及びポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネート三量体(イソシアヌレート体)との組み合わせを含むことが好ましい。
トップ層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは接合層を介して、着色層にラミネートすることができる。あるいは、着色層が、このようなフィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接着色層にフィルムをラミネートすることもできる。平坦性の高いフィルムを使用することで、より表面平坦性の高い塗装外観を提供することができる。トップ層を他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。そのようなフィルムとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタンフィルム、アクリルフィルム、フッ素系フィルム、PVCフィルム、及びポリオレフィンフィルムが挙げられる。アクリルフィルムとしては、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、エチレン/アクリル共重合体樹脂、エチレン酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂などを用いることができる。アクリルフィルムは透明性に優れ、熱及び光に強く、屋外で使用しても退色及び光沢変化が生じにくい。アクリルフィルムは、可塑剤を使用しなくても耐汚染性に優れており、成形加工性も良好である。フッ素系フィルムとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、及びテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-フッ化ビニリデン共重合体(THV)を用いることができる。
トップ層は架橋ポリウレタンを含むことが好ましい。架橋ポリウレタンは、トップ層に適度な伸びと強度の両方を付与することができる。いかなる理論に拘束される訳ではないが、適度な伸びと強度の両方を有するトップ層は、他の層と協働して、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わるような条件下での、しわ、剥離、及びずれの発生をより効果的に抑制することに寄与すると考えられる。
トップ層は、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(登録商標)99-2(BASFジャパン株式会社、日本国東京都中央区)、Tinuvin(登録商標)1130(BASFジャパン株式会社)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)292(BASFジャパン株式会社)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などの添加剤を含んでもよい。紫外線吸収剤、又はヒンダードアミン光安定化剤を用いることによって、着色層に含まれる着色剤の、特に紫外線などの光に対する感受性が比較的高い有機顔料の、変色、退色、劣化などを有効に防止することができる。トップ層はハードコート材、光沢付与剤などを含んでもよく、追加のハードコート層を有してもよい。トップ層は、目的とする外観を提供するために、透明であってもよく、半透明であってもよい。トップ層は透明であることが有利である。
トップ層の厚さは様々であってよいが、一般に、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約60μm以下である。複雑な形状の物品に対して塗装代替フィルムを適用する場合、トップ層は薄い方が形状追従性の観点から有利であり、例えば、約80μm以下、又は約60μm以下であることが望ましい。一方、物品に高い耐光性又は耐候性を付与する場合、トップ層は厚い方が有利であり、例えば約5μm以上、又は約10μm以上であることが望ましい。
着色層は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(以下、総称して単に「(メタ)アクリル系ポリマー」ともいう。)を含む熱可塑性樹脂(以下、「アクリルブレンド熱可塑性樹脂」ともいう。)と、着色剤とを含む。
アクリルブレンド熱可塑性樹脂は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含む。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの非共有結合的な相互作用は、着色層に伸び特性と強度を付与する。その結果、塗装代替フィルムは高い伸長性を有し、かつ高温環境下でも破断及び剥離せずに接着状態を維持することができる。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマーとを共重合することにより得ることができる。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーとアミノ基含有不飽和モノマーとを共重合することにより得ることができる。
モノエチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーの主成分となるものであって、一般には式CH=CRCOOR(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは直鎖、分岐状、又は環状のアルキル基、フェニル基、アルコキシアルキル基、フェノキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は環状エーテル基である)で表されるアクリレートに加えて、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリルも含まれる。式CH=CRCOORで表されるモノエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレートなどの直鎖アルキル(メタ)アクリレート;イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;及びグリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの環状エーテル含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。モノエチレン性不飽和モノマーとして、例えば所望のガラス転移温度、引張強さ、伸び特性などを得る目的で、1種又は2種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
カルボキシ基含有不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、及び2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸が挙げられる。カルボキシ基含有不飽和モノマーとして、必要に応じて、1種又は2種以上のカルボキシ基含有不飽和モノマーを使用することができる。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、モノエチレン性不飽和モノマーを約85質量部以上、約90質量部以上、又は約92質量部以上、約99.5質量部以下、約99質量部以下、又は約98質量部以下と、カルボキシ基含有モノエチレン性不飽和モノマーを約0.5質量部以上、約1質量部以上、又は約2質量部以上、約15質量部以下、約10質量部以下、又は約8質量部以下の量で用いて共重合することにより得ることができる。
アミノ基含有不飽和モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテルなどのジアルキルアミノアルキルビニルエーテル;及びビニルイミダゾールなどの含窒素複素環を有するビニルモノマーなどの3級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。アミノ基含有不飽和モノマーとして、必要に応じて、1種又は2種以上のアミノ基含有不飽和モノマーを使用することができる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、モノエチレン性不飽和モノマーを約80質量部以上、約85質量部以上、又は約90質量部以上、約99.5質量部以下、約99質量部以下、又は約97質量部以下と、アミノ基含有不飽和モノマーを約0.5質量部以上、約1質量部以上、又は約3質量部以上、約20質量部以下、約15質量部以下、又は約10質量部以下の割合で共重合することにより得ることができる。
共重合は、ラジカル重合により行なうことが好ましく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの公知の重合方法を用いることができる。開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)などのアゾ系重合開始剤を用いることができる。開始剤の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、一般に約0.01質量部以上、又は約0.05質量部以上、約5質量部以下、又は約3質量部以下である。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの一方のガラス転移温度が0℃以上であり、かつ他方のガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。言い換えると、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのTgを0℃以上とした場合には、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのTgは0℃以下であり、前者のTgを0℃以下とした場合には後者のTgを0℃以上である。いかなる理論に拘束されることを望む訳ではないが、高いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーは着色層に高い引張強さを付与し、低いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーは着色層の伸び特性を良好にすると考えられている。いくつかの実施態様では、高いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーのTgは約5℃以上、約20℃以上、又は約40℃以上であり、低いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーのTgは約-5℃以下、約-20℃以下、又は約-40℃以下である。
例えば、メチルメタクリレート(MMA)、n-ブチルメタクリレート(BMA)など、単体で重合したホモポリマーが0℃以上のTgを有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分として共重合させることにより、Tgが0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
例えば、エチルアクリレート(EA)、n-ブチルアクリレート(BA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)など、単体で重合したホモポリマーが0℃以下のTgを有する成分を主成分として共重合させることにより、Tgが0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、下記のFOXの式(Fox, T. G., Bull. Am. Phys. Soc., 1 (1956), p. 123)
Figure 2023080853000002
を用いて計算ガラス転移温度として求めることができる。式中、Tgは成分iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)、Xは重合の際に添加した成分iのモノマーの質量分率をそれぞれ示し、iは1~nの自然数であり、
Figure 2023080853000003
である。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー又はアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーが、重量平均分子量の異なる2種類以上の(メタ)アクリル系ポリマーのブレンドである場合、ブレンドのTgは動的粘弾性測定によって決定することができる。具体的には、(メタ)アクリル系ポリマーのブレンドの溶液を剥離紙の上に塗布し、乾燥して得られたフィルム(厚さ約50μm)を試験片として、動的粘弾性スペクトルメータ(TA Instruments社製、型番:RSAIII)を用いて、温度範囲-20~160℃、Temp ramp mode、周波数10Hzの条件で、損失正接(tanδ)を測定し、この損失正接の測定値からポリマーブレンドのTgを求めることができる。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、例えば、約1,000以上、約5,000以上、又は約10,000以上、約2,000,000以下、約1,500,000以下、又は約1,000,000以下とすることができる。本開示における重量平均分子量は、GPC法による標準ポリスチレンで換算した分子量を意味する。
一実施態様では、ガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマー(低Tg(メタ)アクリル系ポリマー)の重量平均分子量は、約100,000以上、約150,000以上、又は約200,000以上、約2,000,000以下、約1,500,000以下、又は約1,000,000以下である。
一実施態様では、ガラス転移温度が0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマー(高Tg(メタ)アクリル系ポリマー)の重量平均分子量は、約1,000以上、約5,000以上、又は約10,000以上、約200,000以下、約100,000以下、又は約80,000以下である。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとの配合比を変化することにより、所望の引張強さ及び伸び特性を塗装代替フィルムに付与することができる。一実施態様では、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのうち高Tg(メタ)アクリル系ポリマーと低Tg(メタ)アクリル系ポリマーの配合比は、高Tg(メタ)アクリル系ポリマーを100質量部としたときに、低Tg(メタ)アクリル系ポリマーが約10質量部以上、約20質量部以上、約50質量部以上、又は約80質量部以上、約900質量部以下、約500質量部以下、約200質量部以下、又は約150質量部以下である。
アクリルブレンド熱可塑性樹脂中のカルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの合計含有量は、一般に約25質量%以上、約35質量%以上、又は約45質量%以上、100質量%以下、約90質量%以下、又は約80質量%以下である。
着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料、アルミ光輝材、及びマイカ光輝材、並びにこれらの2種以上のブレンドが挙げられる。着色剤は、有機顔料と無機顔料の組み合わせ、有機顔料とアルミ光輝材の組み合わせ、有機顔料とマイカ光輝材の組み合わせ、無機顔料とアルミ光輝材の組み合わせ、無機顔料とマイカ光輝材の組み合わせ、及びアルミ光輝材とマイカ光輝材の組み合わせ、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択されることが好ましい。着色剤の上記組み合わせを使用することにより、様々な種類の色調を有する塗装代替フィルムを得ることができ、それにより、デザイン上の高度な要求に応えることができる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、及びキナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄、及びカーボンブラックが挙げられる。アルミ光輝材としては、例えば、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウムフレーク、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク、及び着色アルミニウムフレークが挙げられる。マイカ光輝材としては、例えば、フレーク状の、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物で被覆されたマイカ、及び合成マイカが挙げられる。
着色層における着色剤の含有量は、アクリルブレンド熱可塑性樹脂100質量部に対して約2.5質量部以上、約5質量部以上、又は約10質量部以上、約400質量部以下、約300質量部以下、又は約200質量部以下とすることができる。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー同士、又はカルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとを架橋させることが好ましい。これらの架橋により網目構造が形成され、塗装代替フィルムの強度及び伸び特性がさらに向上する。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの架橋剤としては、例えば、エポキシ架橋剤、ビスアミド架橋剤、アジリジン架橋剤、及びカルボジイミド架橋剤が挙げられる。架橋剤として、必要に応じて、1種又は2種以上の架橋剤を使用することができる。
エポキシ架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)(製品名TETRAD-X(三菱ガス化学株式会社、日本国東京都千代田区)、E-AX、E-5XM(綜研化学株式会社、日本国東京都豊島区));及びN,N’-(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(ジグリシジルアミン)(製品名TETRAD-C(三菱ガス化学株式会社、日本国東京都千代田区)、E-5C(綜研化学株式会社、日本国東京都豊島区))が挙げられる。ビスアミド架橋剤として、例えば、1,1’-(1,3-フェニレンジカルボニル)ビス(2-メチルアジリジン)、1,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ベンゼン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,8-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)オクタンなどが挙げられる。アジリジン架橋剤としては、例えば、ケミタイトPZ33(株式会社日本触媒、日本国大阪府大阪市)、及びNeoCryl CX-100(DSM Coating Resins,LLC.、オランダ国オーファーアイセル州ズヴォレ)が挙げられる。カルボジイミド架橋剤としては、例えば、カルボジライトV-03、V-05、及びV-07(日清紡ケミカル株式会社、日本国東京都中央区)が挙げられる。
架橋剤の添加量は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して約0.01質量部以上、約0.05質量部以上、又は約0.1質量部以上、約5質量部以下、約3質量部以下、又は約2質量部以下とすることができる。
着色層は、例えば、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、着色剤と、必要に応じて溶媒及び/又は架橋剤を含む着色層組成物を用いて形成することができる。具体的には、着色層組成物を、熱可塑性ベースフィルム層に塗布し、乾燥、固化又は硬化させることにより、着色層を形成することができる。塗布装置として、通常のコータ、例えば、バーコータ、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータなどを用いることができる。乾燥、固化又は硬化は、揮発性溶媒を含む着色層組成物の乾燥、溶融した樹脂成分の冷却などによって行うことができる。着色層は、溶融押出によっても形成することができる。
着色層組成物は、添加剤として、例えば、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、シリコーンなどのレベリング剤、ワックス、有機ベントナイトなどの粘性制御剤、セルロースアセテートブチレートなどの増粘剤、沈降性硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルク、カオリン、ベントナイトなどの体質顔料、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶媒をさらに含んでもよい。
一実施態様では、着色層は、着色剤プレミックスと、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、必要に応じて溶媒及び/又は架橋剤とを混合して得られる着色層組成物を用いて形成される。着色剤プレミックスは、アクリルポリオール及び着色剤を含み、着色剤はアクリルポリオールに分散している。
着色剤プレミックスに含まれるアクリルポリオールとして、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレートを含むアクリル系共重合体を使用することができる。水酸基含有(メタ)アクリレートと共重合させることができるモノマーとして、モノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。モノエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸などの酸性基を有するモノエチレン性不飽和モノマー;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N、N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどの窒素含有モノエチレン性不飽和モノマー;及びスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマーが挙げられる。アクリルポリオールは、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、又は過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を用いて、水酸基含有(メタ)アクリレート及びモノエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得ることができる。重合時に、2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1-プロパノール、p-メルカプトフェノールなどの水酸基を有する連鎖移動剤を使用してもよい。
アクリルポリオールの水酸基価は、一般に、約10mg/g以上、約20mg/g以上、又は約40mg/g以上であり、約1000mg/g以下、約500mg/g以下、又は約200mg/g以下である。アクリルポリオールの酸価は、一般に、約0.1mg/g以上、約0.5mg/g以上、又は約2mg/g以上である。アクリルポリオールの水酸基価及び/又は酸価を上記値とすることにより、アクリルポリオールに着色剤を良好に分散することができ、(メタ)アクリル系ポリマーとの混和性を高めることができる。アクリルポリオールの平均分子量は、一般に、約2,000以上、約5,000以上、又は約10,000以上であり、約300,000以下、約200,000以下、又は約100,000以下である。アクリルポリオールの平均分子量を上記範囲内とすることにより、アクリルポリオールに着色剤を良好に分散することができ、(メタ)アクリル系ポリマーとの混和性を高めることができる。
着色剤プレミックスは、添加剤として、例えば、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、シリコーンなどのレベリング剤、ワックス、有機ベントナイトなどの粘性制御剤、セルロースアセテートブチレートなどの増粘剤、沈降性硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルク、カオリン、ベントナイトなどの体質顔料、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶媒をさらに含んでもよい。
着色剤プレミックス中の着色剤の含有量は、アクリルポリオールと着色剤の合計質量を基準として、約20質量%以上、又は約30質量%以上、約80質量%以下、又は約70質量%以下とすることができる。アクリルポリオールの全量を着色剤の分散に使用してもよく、アクリルポリオールの一部を着色剤の分散に用いてから残部を分散液に追加してもよい。着色剤プレミックス中の着色剤の量を上記範囲内とすることで、所望の色を提供しつつ、着色層中に(メタ)アクリル系ポリマーを必要な量で配合することができる。
アクリルブレンド熱可塑性樹脂/(アクリルブレンド熱可塑性樹脂+アクリルポリオール)で表される固形分質量比は約25%以上、好ましくは約50%以上、更に好ましくは約75%以上である。固形分質量比とは、アクリルブレンド熱可塑性樹脂及びアクリルポリオールの乾燥質量に関するものであって、添加される架橋剤の質量は含まれない。アクリルブレンド熱可塑性樹脂/(アクリルブレンド熱可塑性樹脂+アクリルポリオール)で表される固形分質量比を上記範囲内とすることにより、着色層の伸び特性が高まり、その結果、塗装代替フィルムの伸び特性を高めることができる。固形分質量比を上記範囲内とすることにより、塗装代替フィルムを伸長させた状態で物品に貼り付けても、優れた外観(例えば鮮映度、光沢保持率など)を保持することもできる。
着色層は接着性を有してもよい。接着性を有する着色層は、接合層を必要とせずに、トップ層又は熱可塑性樹脂ベースフィルム層に積層することができる。
着色層の厚さは様々であってよいが、一般に、約10μm以上、約20μm以上、又は約30μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約60μm以下である。着色層の厚さを約10μm以上とすることで、下地色を隠蔽して所望の装飾外観を提供することができる。高い形状追従性を必要とする場合、着色層は薄い方が有利であり、例えば、約80μm以下、又は約60μm以下であることが望ましい。
熱可塑性ベースフィルム層は、着色層と感圧接着剤層の間に中間層として介在することにより塗装代替フィルムに靭性を付与し、特定の弾性率を有する感圧接着剤層と協働して、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときに、塗装代替フィルムにしわ、剥離、又はずれが生じることを抑制する。熱可塑性ベースフィルム層は熱可塑性を有することから、高温環境下でも接着状態を維持するのに十分な柔軟性を塗装代替フィルムに付与することもできる。
熱可塑性ベースフィルム層としては、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、アクリル系ポリマー、又はフッ素系ポリマーの熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。熱可塑性ベースフィルム層は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、及びポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性ベースフィルム層の厚さは、約10μm以上、約500μm以下であることが好ましく、約30μm以上、約300μm以下であることがより好ましく、約80μm以上、約200μm以下であることが更に好ましい。塗装代替フィルムを自動車の側面の下側又は正面に使用する場合の耐飛石性を考慮すると、熱可塑性ベースフィルム層の厚さは約80μm以上であることが好ましい。塗装代替フィルムを被着体の表面に保護テープとして一時的に設ける場合を除くと、曲面への貼り付け時にしわが入りにくいことから、熱可塑性ベースフィルム層の厚さは約30μm以上であることが好ましい。塗装代替フィルムが厚すぎると曲面への追従性が損なわれる傾向があり、また、経済性の観点からも、熱可塑性ベースフィルム層の厚さは約300μm以下であることが有利である。
感圧接着剤層は、一般に接着性成分として粘着性ポリマーを含む。粘着性ポリマーはアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などの粘着性ポリマーであってよい。粘着性ポリマーは架橋されていてもよい。感圧接着剤層は粘着付与剤をさらに含んでもよい。
耐候性及び接着力の観点から、感圧接着剤層は、アクリル系粘着性ポリマーを含むことが好ましく、架橋アクリル系粘着性ポリマーを含むことがより好ましい。
感圧接着剤層は、白色顔料、黒色顔料、又はそれらの混合物などの無彩色顔料、黄色顔料、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、オレンジ色顔料などの有彩色顔料、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。これらの顔料は、粘着性ポリマーに直接分散されてもよく、アクリル樹脂などのポリマーバインダーを分散剤として用いて感圧接着剤層中に分散されてもよい。白色顔料を含む感圧接着剤層は、被着体表面(下地)を隠蔽する隠蔽層としても機能する。白色顔料としては、白色度が高いことから二酸化チタンを用いることが好ましい。
感圧接着剤層は、粘着性ポリマーを含有する感圧接着剤組成物を用いて形成することができる。具体的には、熱可塑性ベースフィルム層の上に感圧接着剤組成物を塗布することにより、感圧接着剤層を形成することができる。あるいは、別のライナー上に感圧接着剤組成物を塗布して感圧接着剤層を形成し、熱可塑性ベースフィルム層の上に感圧接着剤層を転写ラミネートすることもできる。例えば、感圧接着剤層は、感圧接着剤組成物を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって熱可塑性ベースフィルム層又はライナーに塗布し、必要に応じて加熱硬化することによって、形成することができる。ライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。
感圧接着剤層の23℃における弾性率は約0.35MPa以上、約10MPa以下である。弾性率が上記範囲内である感圧接着剤層は、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときに、塗装代替フィルムのしわ、剥離、及びずれの発生を抑制するのに十分な凝集力を有する。感圧接着剤層の23℃における弾性率は、約0.4MPa以上、約5MPa以下であることが好ましく、約0.45MPa以上、約1MPa以下であることがより好ましい。
本開示において、感圧接着剤層の弾性率は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて決定される。具体的には、原子間力顕微鏡(Cypher AFM、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社)を用い、室温(23℃)で、10×10平方マイクロメートル(μm)の領域において、感圧接着剤層の表面モルフォロジーを観察する。次いで、その領域内で略平坦な領域の2×2平方マイクロメートル又は1×1平方マイクロメートルにおいて、以下の測定条件でフォースカーブ測定を実施して、感圧接着剤層の弾性率を決定する。
(A)プローブ
OMCL-AC240TS(バネ定数(k)=2N/m、先端半径:7nm、振動数:58~65kHz、オリンパス株式会社)、
バネ定数のキャリブレーション:熱ノイズ法
(B)画像
ターゲット振幅:2V
セットポイント:1.6V
積分ゲイン:78
ドライブ振幅:100~300mV
(C)フォースカーブ
フォースディスタンス:1マイクロメートル
トリガーポイント:0.2V
チップ速度:1.98マイクロメートル/秒
感圧接着剤層の厚さは様々であってよいが、一般に、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下である。被着体表面の凹凸に感圧接着剤層が追従し、かつ剥がれを起こしにくい高い接着力を得るためには、感圧接着剤層の厚さは約20μm以上であることが好ましい。塗装代替フィルムを延伸して貼り付けた後に、高温環境下でフィルムが収縮して塗装代替フィルムの端部において感圧接着剤がはみ出す現象を軽減するためには、感圧接着剤層の厚さは約50μm以下であることが好ましい。
塗装代替フィルムは感圧接着剤層を保護するライナーを有してもよい。ライナーとして、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料、このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、一般に約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下である。
感圧接着剤層は、一般に平坦な接着面を形成するが、凹凸接着面を形成してもよい。この凹凸接着面には、感圧接着剤層の接着面に、接着剤を含む凸部と、その凸部の周りを取り囲んだ凹部とが形成され、被着体に接着された状態で被着体表面と接着面との間に凹部が画する外部と連通した連通路が形成される接着面を含む。凹凸接着面を形成する方法の一例を以下説明する。
所定の凹凸構造を有する剥離面を持つライナーを用意する。このライナーの剥離面に、感圧接着剤組成物を塗布し、必要に応じて加熱して、感圧接着剤層を形成する。これにより、感圧接着剤層のライナーと接する面(これが塗装代替フィルムにおける接着面となる。)に、ライナーの凹凸構造(ネガ構造)を転写し、接着面に所定の構造(ポジ構造)を有する凹凸接着面を形成する。接着面の凹凸は、前述したように、被着体に凸部が接着した際に連通路が形成可能な溝を含むように予め設計される。
感圧接着剤層の溝は、塗装代替フィルムを物品に貼り付ける際に気泡残りを防止できる限り、一定形状の溝を規則的パターンに沿って接着面に配置して規則的パターンの溝を形成してもよく、不定形の溝を配置し不規則なパターンの溝を形成してもよい。複数の溝が互いに略平行に配置されるように形成される場合、溝の配置間隔は10~2000μmであることが好ましい。溝の深さ(接着面から熱可塑性ベースフィルム層の方向に向かって測定した溝の底までの距離)は、通常約10μm以上、約100μm以下である。溝の形状も、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。例えば、溝の形状を、接着面に垂直な方向の溝の断面において、略矩形(台形を含む)、略半円形、又は略半楕円形とすることができる。
塗装代替フィルムは、例えば、以下の手順で製造することができる。熱可塑性ベースフィルム層として、片面に第1キャリアライナーを有する熱可塑性樹脂フィルムを用意する。着色層組成物を調製して、ベースフィルム層の露出面に塗布し、必要に応じて加熱乾燥して着色層を形成する。トップ層組成物を調製して、着色層の上に塗布し、必要に応じて加熱乾燥してトップ層を形成する。トップ層の上に第2キャリアライナーを積層し、熱可塑性樹脂フィルムの上の第1キャリアライナーを除去する。感圧接着剤組成物を調製して、別の剥離ライナーの上に塗布し、必要に応じて加熱乾燥して感圧接着剤層を形成する。感圧接着剤層と熱可塑性樹脂フィルムの露出面とが接触するように、感圧接着剤層を熱可塑性樹脂フィルムの上に積層する。第2キャリアライナーをトップ層から除去することにより、剥離ライナーを有する塗装代替フィルムを得ることができる。
剥離ライナーの厚さを除く、塗装代替フィルムの総厚は、一般に約30μm以上、約80μm以上、又は約150μm以上、約600μm以下、約400μm以下、又は約350μm以下である。
一実施態様では、車両塗装代替フィルムの140%伸び時の引張強度は、温度95℃で約2.0MPa以上、約2.5MPa以上、又は約3.0MPa以上、約20MPa以下、約10MPa以下、又は約5.0MPa以下である。本開示において、140%伸びとは、伸長前のフィルム長さを100%としたときに、140%の長さとなるまで伸長させた状態を意味する。140%伸び時の引張強度は、長さ約100mm、幅25mmの測定試料を用意し、ISO7500-1:2015に記載された引張試験機を用いて、温度95℃、引張速度150mm/分、チャック間隔50mmで測定試料を140%伸びまで伸長した時点の引張強度である。
一実施態様では、車両塗装代替フィルムの破断時伸びは、温度23℃で約40%以上、約70%以上、又は約100%以上、約700%以下、約500%以下、又は約300%以下である。破断時の伸びは、長さ約100mm、幅25mmの測定試料を用意し、引張試験機を用いて、温度23℃、引張速度150mm/分、チャック間隔50mmで測定試料がその全幅において破断するまで伸長した時点の、[破断時のチャック間隔(mm)-伸長前のチャック間隔(mm)(=50mm)]/伸長前のチャック間隔(mm)(=50mm)×100(%)で計算される値である。
本開示の塗装代替フィルムは、車両の本体(ルーフ、ドア、ボンネットなどを含む)若しくはその一部分、又は車両の構成部品(例えば、バンパー、ルーフモールディング、サイドガードモール、ピラーなど)に適用することができる。車両としては、トラック、バス、乗用車などの自動車、オートバイ、スクーターなどの二輪車、自転車、電車、遊覧船、ヨット、モーターボートなどの船舶などが挙げられる。本開示の塗装代替フィルムは、曲面を有する物品の表面に手貼りする用途に特に適している。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。数値は本質的に測定原理及び測定装置に起因する誤差を含む。数値は通常の丸め処理が行われた有効数字で示される。
カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(ポリマーA)の合成
n-ブチルアクリレート(BA)94質量部、及びアクリル酸(AA)6質量部を、トルエン100質量部及び酢酸エチル100質量部の混合溶媒に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名V-65、富士フイルム和光純薬株式会社(日本国大阪府大阪市))0.2質量部を添加した後、窒素雰囲気下、50℃で24時間反応させて、ポリマーAのトルエン/酢酸エチル混合溶液(固形分33質量%)を得た。ポリマーAの重量平均分子量は760,000、FOXの式から計算したガラス転移温度(Tg)は-48℃であった。
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(ポリマーB)の合成
メチルメタクリレート(MMA)60質量部、n-ブチルメタアクリレート(BMA)34質量部、及びジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)6質量部を酢酸エチル150質量部に溶解させて、重合開始剤としてジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601、富士フイルム和光純薬株式会社(日本国大阪府大阪市))0.6質量部を加えた後、窒素雰囲気下、65℃で24時間反応させて、ポリマーBの酢酸エチル溶液(固形分39質量%)を得た。ポリマーBの重量平均分子量は68,000、FOXの式から計算したガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
実施例及び比較例で使用した材料、試薬等を表1に示す。
Figure 2023080853000004
塗料A(白色カラーゾル)の組成を表2に示す。
Figure 2023080853000005
塗料B(青色カラーゾル)の組成を表3に示す。
Figure 2023080853000006
例1
例1の車両塗装代替フィルムを以下の手順で作製した。
1.着色層及びベースフィルム層
表4に記載の組成で固形分43.0質量%の白色層組成物を調製した。ベースフィルム層として、コロナ処理した厚さ150μmの熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルム(Huntsman Corporation、米国テキサス州ポートネチェス)を用意した。TPUフィルムの片面には厚さ80μmのOPライナー(シーダム株式会社、日本国大阪府大阪市)が積層されていた。TPUフィルムの上にナイフコーターを用いて白色層組成物を塗布した。白色層組成物が塗布されたTPUフィルムを段ボール紙の上に置き、80℃の熱風オーブン中で10分間乾燥して、約40μm厚の白色の着色層を形成した。
Figure 2023080853000007
2.トップ層
表5に記載の組成で固形分76.3質量%のトップ層組成物を調製した。着色層の上にナイフコーターを用いてトップ層組成物を塗布した。着色層の上にトップ層組成物が塗布されたTPUフィルムを段ボール紙の上に置き、80℃の熱風オーブン中で4分間乾燥して、約25μm厚のトップ層を形成した。トップ層は完全に硬化しておらず、表面にはべとつきがあった。トップ層の上に高光沢50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムT60(東レ株式会社、日本国東京都中央区)をラミネータを用いて積層し、室温で1週間置いて、トップ層を完全に硬化させた。その後、OPライナーを除去した。
Figure 2023080853000008
3.感圧接着剤層
表6に記載の組成で固形分34.0質量%の感圧接着剤組成物を調製した。エンボス処理されたPE/PET/PE/シリコーン剥離ライナー上にナイフコーターを用いて感圧接着剤組成物を塗布した。感圧接着剤組成物が塗布された剥離ライナーを段ボール紙の上に置き、80℃の熱風オーブン中で10分間乾燥して、約35μm厚の感圧接着剤層を形成した。
Figure 2023080853000009
4.積層
上記手順2の積層体のTPUフィルム側に感圧接着剤層を積層し、T60を除去することにより、例1の車両塗装代替フィルムを作製した。
例2及び比較例1
感圧接着剤組成物を表7に記載の各配合に変更した以外は、例1と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。例2の感圧接着剤組成物の固形分は36.9質量%、比較例1の感圧接着剤組成物の固形分は33.3質量%であった。
Figure 2023080853000010
例4、例5、例6、比較例5、及び比較例6
白色層組成物の代わりに表8に記載の青色層組成物を用いた以外は、例1と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。
Figure 2023080853000011
例3
例5のべースフィルム層の代わりに厚さ150μmのPVCフィルムに剥離可能な38μmPETフィルムを積層したSP P-40(龍田化学株式会社(日本国東京都中央区))を用い、PVCフィルムの上に青色層組成物を塗布し、トップ層積層工程後にOPライナーを除去する代わりにPETフィルムを除去したこと以外は、例5と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。
比較例2
例5のべースフィルム層を用いずに、厚さ60μmのOPフィルムPY-002(王子エフテックス株式会社(日本国東京都中央区))の上に青色層組成物を塗布し、トップ層積層工程後にOPフィルムを除去したこと以外は、例5と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。
比較例3
比較例2の青色層組成物の塗布を4回繰り返して着色層の厚さを160μmにした以外は、比較例2と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。
比較例4
比較例2のOPフィルムの上に、表9に記載の組成を有する固形分83.8%のベースフィルム層組成物を塗布し、80℃で30分間乾燥硬化して厚さ75μmのベースフィルム層を積層することを2回繰り返して、厚さ150μmのベースフィルム層を形成し、そのベースフィルム層の上に青色層組成物を塗布したこと以外は、比較例2と同様の手順で車両塗装代替フィルムを作製した。
Figure 2023080853000012
例1~6及び比較例1~6の車両塗装代替フィルムの着色層、ベースフィルム層及び感圧接着剤層の組成及び構成を表10に示す。
Figure 2023080853000013
塗装代替フィルムを以下の項目について評価した。
1.接着力
塗装代替フィルムを長さ80mm、幅10mmに切断して試験片を作製した。試験片を、黒色のPC-ABSフラットパネル(品番Techno Polymer Co.Ltd. CK43、厚さ3mm MC山三ポリマーズ株式会社(日本国東京都中央区))、又はKINO塗装鋼板(品番KINO1210TW-202、厚さ1mm、株式会社江口巌商店(日本国愛知県名古屋市))に2kgの加圧ローラーを用いて20℃でJIS Z 0237:2009に準拠して貼り付けて測定試料を作製した。試験片を20℃で24時間放置した後、引張試験機(テンシロン(登録商標)万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))を用いて温度20℃、剥離速度200mm/分で180度剥離を行ったときの接着力を測定した。
2.スプリングバック試験
スプリングバック試験は、実際の使用状況における塗装代替フィルムの耐久性を模擬する試験であり、試験結果は、塗装代替フィルムの施工時及び施工後の伸び、使用中の小石等による傷付き、及び長期耐熱性を反映する。長さ65mm、幅20mmに切断した塗装代替フィルムに、長さ方向で25mmの間隔を空けて2本の線を幅方向に沿ってマークした。2本の線の間隔が35mm(140%伸び)となるように塗装代替フィルムを長さ方向に沿って伸長させ、幅35mmのPC-ABSフラットパネル(品番Techno Polymer Co.Ltd. CK43、厚さ3mm MC山三ポリマーズ株式会社(日本国東京都中央区))、又はKINO塗装鋼板(品番KINO1210TW-202、厚さ1mm、株式会社江口巌商店(日本国愛知県名古屋市))の幅方向に巻きつけながら貼り付けた。塗装代替フィルムの2つの短辺を3M(登録商標)耐熱ポリイミドテープ5413(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を用いてPC-ABSフラットパネル又はKINO塗装鋼板に固定して、測定試料を作製した。PC-ABSフラットパネル及びKINO塗装鋼板についてそれぞれ測定試料の数を3とした。この時点で塗装代替フィルムの外観にひび割れがないものをA、ひび割れがあるものをCと評価した。評点Cの塗装代替フィルムについてはこの時点で試験を終了した。
測定試料を95℃で5時間置いた後、ひび割れ及び剥離の有無を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。A及びBを合格、C、D1及びD2を不合格と判定した。
A:ひび割れ及び剥離なし
B:薄いひび割れのみ、剥離なし
C:ひび割れ又は剥離あり
D1:フィルム収縮
D2:全層剥離
その後、塗装代替フィルムの中央をピンで突き刺してから、再度測定試料を95℃で5時間置いた後、ひび割れ及び剥離の有無を観察した。評価基準は以下のとおりである。A1、A2及びBを合格、C、D1及びD2を不合格と判定した。
A1:ひび割れ及び剥離なし
A2:薄いひび割れのみ、剥離なし
B:ひび割れなし、フィルム幅より狭い領域で剥離あり
C:ひび割れ又はフィルムの全幅で剥離あり
D1:フィルム収縮
D2:全層剥離
3.不透明性(隠蔽性)
不透明性試験は、塗装代替フィルムの隠蔽性(下地の色を隠す能力)を評価する試験である。塗装代替フィルムを白色ペイントパネル(品番KINO1210TW-040、厚さ1mm、株式会社江口巌商店(日本国愛知県名古屋市))又は黒色ペイントパネル(品番KINO1210TW-040、厚さ1mm、株式会社江口巌商店(日本国愛知県名古屋市))に100%伸び(伸びなし)及び140%伸びの状態で貼り付けて測定試料を作製した。測定試料のL、a、bの値を、分光測色計(CM-3700d、コニカミノルタジャパン株式会社、日本国東京都港区)を用いて測定した。基準として100%伸びの白色ペイントパネルの値をL 、a 、b とし、他の3つの場合(140%伸び白色ペイントパネル、100%伸び黒色ペイントパネル、及び140%伸び黒色ペイントパネル)の値をL 、a 、b としたときに、色差ΔEを以下の式:
ΔE=[(L -L +(a -a +(b -b 1/2
で計算して求めた。測定は2回行って平均値を記録した。塗装代替フィルムの隠蔽性は、ΔEが1.5以下で良、1.5超、3以下で可、3超で不可である。
4.たくれ試験
たくれ試験は、塗装代替フィルムが被着体に貼り付けられ、被着面に対して垂直方向から負荷がかかった状態で、その垂直方向と直交する方向に力が加わったときに、塗装代替フィルムにしわ、剥離、又はずれが発生するか否かを評価する試験であり、例えば、ドアの窓回りに塗装代替フィルムが適用されてゴム部品が当たる場合などを模擬している。キムワイプとイソプロパノールを用いて長さ約50mm、幅約25mmのKINO塗装鋼板(品番KINO1210TW-202、厚さ1mm、株式会社江口巌商店(日本国愛知県名古屋市))を洗浄し、乾燥した。KINO塗装鋼板の塗装面の上に塗装代替フィルムをスキージを用いて300mm/分の速度で貼り付けた。貼り付けられた塗装代替フィルムの寸法は、長さ方向(スキージの移動方向)30mm、幅方向25mmであった。貼付け後、室温(約23℃)で3時間放置して測定試料を作製した。図2Aに測定試料の上面図(上側)及び側面図(下側)を示す。塗装代替フィルム10は塗装鋼板30の塗装面32に貼り付けられている。塗装鋼板30は水平方向に荷重を与える錘を取り付けるための取り付け穴34を有する。
次に、80℃のオーブンの中で、塗装代替フィルムの上に正方形のEPDMゴム(20mm×10mm×厚さ5mm)を置き、その上から4kgの錘を用いて垂直方向に荷重を与えた後、500gの錘を用いて水平方向に荷重を与えた。図2Bに垂直方向と水平方向に荷重が与えられた測定試料の状態を側面図で示す。図2B中、40はEPDMゴムである。水平方向に荷重を与えてから24時間経過した後、測定試料を取り出して、塗装代替フィルムの外観を観察した。外観の評価基準は以下のとおりであり、図3に各評点の測定試料の上面を模式的に示す。図3中、42は錘の押し跡、44はフィルムの浮き、46はフィルムのしわ(たくれ)、48はフィルムのずれを表す。S、A及びBを合格、C及びDを不合格とした。
S:外観変化なし。EPDMゴムの押し跡が残るが、フィルムのずれ及び浮きは観察されない。
A:EPDMゴムの押し跡の端部にて、フィルムに部分的に浮きが観察されるが、評点Bよりも浮きが小さく、しわ(たくれ)の発生はない。
B:EPDMゴムの押し跡の端部にて、フィルムに部分的に浮きが観察されるが、しわ(たくれ)の発生はない。あるいは、フィルムの接着面のわずかなずれが観察されるが、しわ(たくれ)の発生はない。
C:EPDMゴムの押し跡の端部にて、フィルムに部分的にしわ(たくれ)が発生した。
D:EPDMゴムの押し跡の端部にて、フィルムにずれ、剥がれ又はしわ(たくれ)が発生した。
5.感圧接着剤層の弾性率
原子間力顕微鏡(Cypher AFM、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社)を用い、室温(23℃)で、10×10平方マイクロメートル(μm)の領域において、塗装代替フィルムの感圧接着剤層の表面モルフォロジーを観察した。次いで、その領域内で略平坦な領域の2×2平方マイクロメートル又は1×1平方マイクロメートルにおいて、フォースカーブ測定を実施し、感圧接着剤層の弾性率を決定した。測定条件は以下のとおりであった。
(A)プローブ
OMCL-AC240TS(バネ定数(k)=2N/m、先端半径:7nm、振動数:58~65kHz、オリンパス株式会社)、
バネ定数のキャリブレーション:熱ノイズ法
(B)画像
ターゲット振幅:2V
セットポイント:1.6V
積分ゲイン:78
ドライブ振幅:100~300mV
(C)フォースカーブ
フォースディスタンス:1マイクロメートル
トリガーポイント:0.2V
チップ速度:1.98マイクロメートル/秒
6.140%伸び時引張強度及び破断時伸び
長さ約100mm、幅25mmに切断した塗装代替フィルムに、長さ方向に50mmの間隔を空けて、幅25mmの3M(登録商標)耐熱ポリイミドテープ5413(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を塗装代替フィルムの両面に貼り付けることにより、3M(登録商標)耐熱ポリイミドテープ5413で塗装代替フィルムの2つの短辺が挟まれた測定試料を作製した。引張試験機(テンシロン(登録商標)万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))のチャックの間隔を50mmとして、チャックに3M(登録商標)耐熱ポリイミドテープ5413が接触するようにして測定試料を固定した。温度95℃(140%伸び時引張強度)又は23℃(破断時伸び)、引張速度150mm/分で塗装代替フィルムの全層又は一部の層が破断するまで測定した。一部の層が破断した場合は、塗装代替フィルムの全幅まで破断が達した時点を破断時として測定を終了した。95℃での測定は、恒温槽をチャック部全体を覆うように配置し、恒温槽内部の温度表示が95℃の到達した時点で測定を開始した。測定を2回行って平均値を求めた。
表11に接着力及びスプリングバック試験の結果を示す。
Figure 2023080853000014
表12に不透明性の結果を示す。
Figure 2023080853000015
表13にたくれ試験の結果を示す。
Figure 2023080853000016
表14に140%伸び時破断強度及び破断時伸びを示す。
Figure 2023080853000017
表15に感圧接着剤層の任意の6箇所における弾性率及びそれらの平均値を示す。
Figure 2023080853000018
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
10 車両塗装代替フィルム
12 トップ層
14 着色層
142 熱可塑性樹脂
144 着色剤
16 熱可塑性ベースフィルム層
18 感圧接着剤層
20 ライナー
30 塗装鋼板
32 塗装面
34 取り付け穴
40 錘
42 錘の押し跡
44 フィルムの浮き
46 フィルムのしわ(たくれ)
48 フィルムのずれ

Claims (8)

  1. トップ層、
    カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む熱可塑性樹脂と、着色剤とを含む着色層、
    熱可塑性ベースフィルム層、及び
    感圧接着剤層
    をこの順で含む車両塗装代替フィルムであって、前記感圧接着剤層の23℃における弾性率が0.35MPa~10MPaである、車両塗装代替フィルム。
  2. 前記カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及び前記アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの一方のガラス転移温度が0℃以上であり、かつ他方のガラス転移温度が0℃以下である、請求項1に記載の車両塗装代替フィルム。
  3. 前記熱可塑性ベースフィルム層が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、及びポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の車両塗装代替フィルム。
  4. 前記熱可塑性ベースフィルム層の厚さが10μm~500μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両塗装代替フィルム。
  5. 前記感圧接着剤層が架橋アクリル系粘着性ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両塗装代替フィルム。
  6. 前記トップ層が架橋ポリウレタンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両塗装代替フィルム。
  7. 前記車両塗装代替フィルムの140%伸び時の引張強度が、温度95℃で2.0MPa~20MPaである、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両塗装代替フィルム。
  8. 前記車両塗装代替フィルムの破断時伸びが、温度23℃で40%~700%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両塗装代替フィルム。
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