JP2023074453A - 情報処理装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】デジタル化された有価証券の取得及びこれを投資家間で譲渡されるようにした情報処理装置において、当該有価証券の譲渡について第三者対抗要件を備えるための証書もあわせて作成することで、簡便な手続きで有価証券の権利移転が行われ且つ権利移転に伴い債務者その他の第三者との間においても当該譲渡に係る権利関係を確定できることを目的とする。【解決手段】有価証券等を小口証券化し、その販売から償還に至るまでのすべての手続きをオンラインで完結させる。特に、投資家間でその小口化証券が譲渡された場合、債権譲渡の第三者対抗要件を具備するために必要となる手続もオンラインで完了させる。これにより、デジタル化された有価証券の売買に関する手続が簡略化されるとともに、第三者対抗要件が具備された投資家間の権利譲渡を実現できる。その結果、投資家に対し、従来とは比べ物にならない柔軟かつ安全な投資回収の機会を提供できるようになり、活発な投資を呼び込むことに繋がる。【選択図】図2

Description

本発明は、不動産等の資産を裏付資産とした有価証券又は出資持分(以下「有価証券等」という。)の譲渡に関連する技術であって、特に、民法第467条が規定する債権譲渡の第三者対抗要件を主張する際の確定日時のある証書に相当するデジタル証書を作成する技術に関する。
ネットワークの進展に伴い、不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うクラウドファンディングが出現している。なお、これを狭義の意味ではソーシャルレンディングと称することもあるが、本明細書では「クラウドファンディング」又は「ファンド」として表記することとする。
昨今、クラウドファンディングを利用することにより、法人への貸付原資や不動産等の資産の購入原資を一般の投資家から集める資金調達が活発に行われている。とりわけ近年では不動産投資クラウドファンディングが注目されている。これは、1998年に制定された「資産の流動化に関する法律」、いわゆるSPC(Special Purpose Company)法が制定された後、2001年の改正によって流動化の対象債権がすべての財産権とされた影響が大きい。資産価値のあるものすべてが証券化の対象になり、不動産も含むことが明確になったのである。
不動産の証券化とは、実物不動産が生み出す収益を受け取る権利を証券化する、特に小口化する(投資可能金額を少額にする)ことによって一般の投資家が不動産投資をし易くする仕組みである。不動産証券化によって、各投資家は、実物不動産を所有しなくても、また多額の資金を投入しなくても、証券化された不動産物件(オフィスビル、賃貸マンション、物流センター等)に投資することが可能となり、不動産物件が生み出す賃貸収入や売却益を享受できるようになった。不動産証券化に関するシステムとして、例えば、下記特許文献1がある。特許文献1に記載の装置は、投資家に対して不動産証券化商品に関する有効な情報を提示することを特徴とする。
ところで、近年、ブロックチェーンをはじめとする分散型台帳技術を活用し、有価証券に表示される権利の発生及び移転を電子的に記録しようとする動きが広まっている(例えば、下記特許文献2)。このような有価証券に表示される権利を、ブロックチェーン技術等により生成・発行されるトークン(証票)に表示したものは、一般にセキュリティ・トークンやデジタル証券と呼ばれ、これを私募又は公募により販売することをセキュリティ・トークン・オファリング(STO)という。不動産の小口化証券に関しても、この分散型台帳技術を用いて投資家の出資持分をトークン化し、投資家間でのトークンの移転スキームを提供すること、及び任意のタイミングで発生するトークンの権利移転を分散型台帳の書換えによって管理することが技術的に可能になったのである。
特許第5831989号公報 特許第6895567号公報
今後、有価証券のデジタル証券化が活発になるにつれて懸念される問題の一つが、デジタル証券の二重譲渡である。不動産を裏付資産とするデジタル証券(以下単に「不動産証券」という。)を例にすると、小口化された不動産証券を譲渡したい投資家Aが1口のみの出資持分を有している状況において、当該持分を投資家Bに譲渡した後、投資家Aがさらに第三者の投資家Cにもこれを譲渡するケースである。
民法第467条は、取引の安全を確保する趣旨から指名債権の譲渡の対抗要件を規定し、指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、この通知又は承諾は確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができないとして、二重譲渡の問題に決着を図っている。
民法が規定する第三者対抗要件のための通知又は承諾は、“確定日付のある証書によってしなければ”が示すとおり、内容証明郵便や公正証書(公証人が私文書に日付のある印章を押捺したもの)により行われることが前提となっているところ、内容証明郵便等の既存の手続を、開発するシステム内にそのまま組み込むことは事実上不可能である。また、開発システム上でデジタル化された不動産証券(トークン)を取得したり譲渡できたりしても、第三者対抗要件を具備する段階で内容証明郵便等による手続を要するとなれば、結局一連の手続をオンラインで完結することができなくなり、デジタル化の恩恵が一気に削がれてしまう。さらには、内容証明郵便等の準備の煩わしさ等に鑑みれば、記載内容の漏れや誤りから、第三者対抗要件を具備しない譲受人が生じる可能性は否定できず、この場合、投資家間の紛争リスクも残存してしまう。
そこで、本発明は、デジタル化された有価証券の取得及びこれを投資家間で譲渡されるようにした情報処理装置において、当該有価証券の譲渡について第三者対抗要件を備えるための証書もあわせて作成することで、簡便な手続きで有価証券の権利移転が行われ且つ権利移転に伴い債務者その他の第三者との間においても当該譲渡に係る権利関係を確定できることを目的とする。
前記目的を達成するための本発明に係る情報処理装置は、組合契約に基づく事業に係る権利であって、前記権利を2以上の口数にデジタル的に分割する権利小口化手段と、前記権利の債権者の情報及び前記債権者が保有する前記権利の口数を登録する債権者登録手段と、登録された前記債権者から前記権利の譲渡要求を通信回線を介して受付ける譲渡要求受付手段であって、前記譲渡要求は前記権利を特定する識別情報及び譲渡口数を含み、前記権利の譲受を募集するための申込み画面であって、前記権利の譲受希望者から譲受したい権利の識別情報及び譲受口数を前記通信回線を介して受付ける譲受受付手段と、前記譲受希望者が指定した前記権利の譲受口数分を、前記債権者から前記譲受希望者へ譲渡することを示す移転情報をブロックチェーンを含む分散型台帳に記録する分散型台帳記録手段と、前記債務者が前記権利の譲渡を承諾することを示す通知を、前記権利の譲渡人である前記債権者又は前記権利の譲受人である前記譲受希望者の少なくともいずれかの専用閲覧画面ページに表示する承諾通知表示手段であって、前記通知が表示された時点で前記権利の譲渡についての第三者対抗要件の主張が可能となる前記承諾通知表示手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る情報処理装置は、前記通知は、前記分散型台帳記録手段により記録された前記移転情報が記載された電磁的書面であるデジタル証書のデジタルアドレスを含み、前記債権者又は前記譲受希望者による前記デジタルアドレスへのアクセスに応答して、前記移転情報及び前記債務者による前記権利の譲渡の承諾を表示するデジタル証書表示手段を更に含み、また、前記承諾通知に代わり又は前記承諾通知に追加して、前記債権者又は前記債権者の代理人ないし使者として行う前記譲受希望者から前記債務者に対して前記移転情報を通知する債権者通知手段を更に含み、前記通知は、あらかじめ設定した時刻まで送信されず、当該時刻経過後に自動的又は手動で前記権利の譲渡の当事者である前記債権者及び前記譲受希望者それぞれの閲覧画面ページに閲覧可能に掲載し、前記分散型台帳記録手段は前記分散型台帳に前記移転情報を記録し、前記デジタル証書は、前記債権者、前記債務者、又は前記譲受希望者の少なくとも何れかに提供可能であることを特徴とする。
さらに、前記移転情報は、譲渡される前記権利の債権者及び前記譲受希望者のそれぞれを特定する識別情報、譲渡される前記権利を識別する情報、譲渡価格、譲渡口数、前記権利の譲渡を前記債務者が承諾した日時を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明に係る情報処理装置は、組合契約に基づく事業に係る権利に係る有価証券等をデジタル的に分割して小口証券化し、その販売から償還に至るまでのすべての手続きをオンラインで完結させることができる。特に、投資家間でその小口化証券が譲渡された場合、債権譲渡(組合契約における契約上の地位の移転も含む)の第三者対抗要件を具備するために必要となる手続も本発明に係る情報処理装置によりオンラインで完了させることができる。
これにより、デジタル証券の売買に関する手続が簡略化されるとともに、第三者対抗要件が具備された投資家間の権利譲渡を実現できる。その結果、投資家に対し、従来とは比べ物にならない柔軟かつ安全な投資回収の機会を提供できるようになり、活発な投資を呼び込むことに繋がる。
本発明に係る情報処理装置の一実施形態を含む全体スキームの概略を示す図である。 情報処理装置が備える機能の概略を示す図である。 投資家が小口化証券の譲渡を開始できるまでの情報処理装置の処理手順を示したフローチャートである。 図3で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図3で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図3で示す処理において表示される画面例を示す図である。 投資家間で小口化証券の移転が行われるときの情報処理装置の処理手順を示したフローチャートである。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。 図5で示す処理において表示される画面例を示す図である。
以下に図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置で実行される処理の一実施形態について説明する。本実施形態における情報処理装置は、現物不動産を裏付資産とした有価証券等の取得から償還に至る手続をオンライン処理する有価証券管理装置100として説明する。なお、「装置」として示すが、「システム」又は「サーバ」に置き換えることができる。
以下の説明において、投資家とは、個人(自然人)のみならず、法人や適格機関投資家等も含む。適格機関投資家とは、金融商品取引法2条3項1号において規定されている、「有価証券に対する投資に係る専門的知識および経験を有する者として内閣府令で定める者」のことである。いわゆるプロの投資家であり、証券会社や投資信託委託業者、銀行、保険会社、投資顧問会社、年金資金運用基金などが該当する。
なお、本実施形態では現物不動産を裏付資産とした有価証券等を取り挙げるが、必ずしも不動産証券でなければならないというものではない。
本実施形態に係る有価証券管理装置100を含む全体スキームの概略を示したのが図1である。図1に示すように、特別目的会社1は、投資家2との間で匿名組合契約を締結した上で、投資家2から集めた出資金等を基に不動産所有者から不動産3を取得する。その後、特別目的会社1は、対象とする不動産3の賃貸や売却行為から得た利益(賃料や売却益)を投資家2に分配することを前提とする。したがって、匿名組合契約により生じる債権について、投資家2が債権者であり、特別目的会社1が債務者という債権債務関係となる。
ここで「匿名組合契約」とは、本実施形態においては金融商品取引法第2条第2項第5号に記載された匿名組合契約であり、「特別目的会社」とは、不動産特定共同事業法第58条に規定する「特例事業者」を意味する。
有価証券管理装置100が、特別目的会社1による投資家の登録、管理、及び利益の分配を実行する。有価証券管理装置100はすべての手続きをオンラインで完結させるため、投資家2の投資家端末とはインターネット等の通信回線を経由して通信可能に接続されている。なお、特別目的会社1は、販売や管理など業務の一部を所定の委託会社4に委任することを含む。
後述するとおり、有価証券管理装置100はブロックチェーンに代表される分散型台帳技術を基に情報の記録管理をする。各投資家の匿名組合出資持分は、分散型台帳技術により生成・発行されるセキュリティ・トークン(以下、「ST」と省略することもある。)という形で付与される。
これをまとめると、有価証券管理装置100は、投資家2から所定の出資金総額が集まった時点(クラウドファンディングで募集する場合は、ファンド成立時点)で、特別目的会社1と投資家2との間の匿名組合契約に基づく出資持分をブロックチェーン基盤を用いてトークン化した上でトークンを発行し、各投資家の出資割合に応じて、各投資家の個別ウォレット宛てにこのセキュリティ・トークンを移転する。また、運用期間中に投資家間でセキュリティ・トークンの譲渡による移転があれば、当事者のウォレット間でセキュリティ・トークンの直接的な移転がされる。そして、運用の終了時では、償還金の支払いと同時に、投資家2のウォレットのセキュリティ・トークンが、特別目的会社1が管理するウォレット宛てに移転されるということになる。
以下、有価証券管理装置100の具体的な説明を行う。有価証券管理装置100が備える機能の概略を示したのが図2である。有価証券管理装置100は、主に、業務管理部10とフロント部20とブロックチェーン部30に大別される。
業務管理部10は、物件運営機能11、入出力管理機能12、投資家管理機能13、投資申請管理機能14、法定帳票作成機能15、秘密鍵管理機能16を少なくとも含む。物件運営機能11により不動産所有者から譲渡される物件の登録を行い、入出力管理機能12により譲渡代金の管理を行う。また、投資家2から出資される出資代金及び投資家2への配当や償還のための分配も入出力管理機能12により実施される。出資の申請で必要な情報は投資申請管理機能14により集約し、セキュリティ・トークンの移転に伴う投資家情報は投資家管理機能13により管理される。その他に、法定帳票作成機能15が債権譲渡通知(又は承諾)書などの法定文書を作成して権利移転の当事者に送付することを実行する。さらに、システム内部では業務管理部10がフロント部20及びブロックチェーン部30との連携を図るよう構成されている。また、業務管理部10の秘密鍵管理機能16は、投資家毎に固有の秘密鍵を割当て、セキュリティ・トークンの移転時に投資家2のウォレットへセキュアに送信できるために使用する。
フロント部20は、インタフェース制御部21により、有価証券管理装置100と投資家2との間(結果的に、有価証券管理装置100を経由した投資家間同士)を繋げるためのインタフェースを提供する。例えば、或る投資家2が、上述した物件運営機能11に登録された物件Xのセキュリティ・トークンを1口以上保有しているとする。フロント部20は、その投資家2がトークンの売主としてトークン1口当たりの譲渡金額及び譲渡口数を有価証券管理装置100に入力指定するための売付注文画面を提供する。またフロント部20は、売主投資家から提示されている譲渡金額及び譲渡口数のセキュリティ・トークンを購入したい買主投資家が購入口数を指定できるための買付注文画面を提供する。したがって、フロント部20により、売主の投資家が提示するセキュリティ・トークンを買主の投資家が指定できるようにするという、有価証券管理装置100を経由した売買の相対処理がなされる。
また、業務管理部10の投資家管理機能13のために、投資家2に対して氏名や住所等の連絡先の情報入力が行える登録画面を提供する。
なお、売主である投資家2が保有し、売付注文画面で提示するセキュリティ・トークンは、有価証券管理装置100の運営主体である特別目的会社1と投資家との間で匿名組合契約がなされていることを前提とする限り、クラウドファンディングで募集され不動産小口化商品として販売されたものに限定していない。つまり、本発明は、クラウドファンディングを経由せずに特別目的会社1又は販売・管理委託会社4から任意の形態で販売される不動産に関するセキュリティ・トークンについても適用される。
ブロックチェーン部30は、セキュリティ・トークンが発行された場合、有価証券管理装置100と投資家2との間においてセキュリティ・トークンが移転された場合、及び投資家間でセキュリティ・トークンの移転がされた場合は、瞬時に、有価証券管理装置100により管理される分散型台帳の書き換えを行うため、セキュリティ・トークンの移転状況はリアルタイムで把握することが可能である。また、分散型台帳の参照は投資家又は特別目的会社1からの要請に応じて参照できるようになっている。これにより、有価証券管理装置100の管理者のみならず、投資家もトークンの保有や移転の状況を把握することが可能であって、分散型台帳がトークン発行者又は有価証券管理装置100の管理者の内部で単に事務的又は恣意的に作成されたものではないことを示すことができる。
ブロックチェーンはすでに公知の技術である。データブロック毎にハッシュ値を算出し、分散型台帳にはハッシュ値とともに取引データをチェーンのごとく繋げながら記録する方法について本明細書で詳述することは省略するが、その優位性についての概要を以下に挙げておく。
ブロックチェーンに代表される分散型台帳技術の特徴は、トランザクション及びアクションの正当性を決定する際に特定のサーバに依存した検証に依存することなく、複数の端末間の通信接続を非中央集権的なピア・ツー・ピア(P2P)型ネットワークを基盤にしているという点にある。特定のサーバがトランザクション等に関する台帳を統括して管理するのではなく、複数の端末が過去から現在に至るまでの自己のデータベースへの更新情報を一繋がりの帳簿データとして管理する。しかも、各端末が同一の帳簿データを管理することによって、新たなトランザクション等に対してどの台帳においても矛盾が生じないと認められた場合にのみ、各台帳に追加する正規なトランザクション等として扱い、データベース上のデータの真正性を確保している。
このような特徴により、ブロックチェーン技術は、(1)過去の取引データの改ざんが不可能、(2)データを管理する一部の端末が故障しても他の端末のデータを利用することでサービスを継続することが可能であり、システム障害に強く可用性が高い、(3)ブロックチェーン内部の通信は暗号化され、かつ証明書による検証が行われているため、そもそも改ざんは極めて困難である。
有価証券管理装置100は、上述した機能の他に、API等を介して銀行システム等との通信処理や他の様々な処理(例えば、本人確認や反社会的勢力チェックなど)も行うが、これらは周知の事項又は技術であるため本明細書では省略する。また、有価証券管理装置100と投資家の間または投資家間における各種データの送受信は、電子署名又は電子証明書を利用するようにしてもよい。これらの技術についても公知であるため本明細書では省略する。
図3は、有価証券管理装置100により実行される処理の手順のうち、売買が開始されるための準備段階で行われる処理を示したフローチャートである。有価証券管理装置100のフロント部によって提供される画面例(図4参照)を示しながら順に説明する。
まず、有価証券管理装置100は、投資の募集対象となる不動産物件を登録する(ステップS301)。登録された不動産物件が、投資家2に対してクラウドファンディングとして提示され小口化証券として販売されることになる。図4Aは、1つの物件がクラウドファンディングとして募集され、1つの物件がすでに運用されていることを示した画面例である。図示するような不動産物件に対する募集金額、予定分配率、運用期間等の概要情報の他に、詳細画面では投資家の投資判断材料のために物件の立地・建物区分数などの情報を提示し、さらには図4Bに示すような予定収益シミュレーションを適宜表示するようにしてもよい。
有価証券管理装置100は、クラウドファンディングを経由して不動産物件に投資することを希望する投資家2を受付けて登録する(ステップS302)。図4Cは投資家の情報を入力する画面例である。
本人確認や反社会的勢力チェックなどを通じて投資家として資質があるか否かを判定し(ステップS303)、不十分と判定された場合は未承認扱いとして登録を行わない(ステップS304)。投資家2として承認した場合は、その登録と共に投資家固有の秘密鍵を作成する(ステップS305)。作成した秘密鍵は、有価証券管理装置100内の構成モジュールである業務管理部10やフロント部20との間の通信の機密性を確保するために使用する。また、ブロックチェーン部30は承認された投資家毎にセキュリティ・トークンを保有するためのウォレットを作成しておく(ステップS306)。
有価証券管理装置100は、提示したクラウドファンディングに対する投資家からの投資申請を一定期間募集するため、図4Cに示す申請画面を表示し、投資申請を受付ける(ステップS307)。
次に、有価証券管理装置100は、投資家2から所定の投資用口座に出資金が振り込まれたことを確認する(ステップS308)。ファンド毎に募集終了して所定期間経過後、各投資家から入金された投資金額を含む投資総額がファンドの成立のための募集額基準を満たすか否かを確認し、ファンドの成立を判定する(ステップS309)。
ファンドが成立したことを確認できた場合(ステップS310のYes)、有価証券管理装置100は、特別目的会社1と投資家2との間で匿名組合契約が締結されたことを示す契約成立時書面を、インターネット等の通信回線を経由して投資家2に送付する(ステップS311)。特別目的会社1と投資家2との匿名組合契約において、ファンド成立が民法第127条第1項の停止条件であり、ステップS310でファンドが成立したと判定できた場合に当該契約の効力が発生する。一方、ファンドが成立したことを確認できなかった場合(ステップS310のNo)、契約の効果は発生しない(ステップS312)
ファンドが成立した場合、有価証券管理装置100のブロックチェーン部30は、まず、ファンドの成立金額に応じた数量のセキュリティ・トークンを発行して特別目的会社1のウォレットに保有させる(ステップS313)。
さらにブロックチェーン部30は、各投資家の出資金(初期持分)に対応するトークン数量のセキュリティ・トークンを特別目的会社1のウォレットから各投資家2のウォレット宛に移転する(ステップS314)。このとき、有価証券管理システム100は、ファンドが成立して匿名組合契約の効力が発生し、これに伴いセキュリティ・トークンが組合員である投資家のウォレットに移転されたことをネットワーク経由で当該投資家に通知する。
有価証券管理装置100のブロックチェーン部30は、上述した特別目的会社1のウォレットから投資家2のウォレットへのセキュリティ・トークンの移転を分散台帳に記録する(ステップS315)。記録する情報は、少なくとも、移転元のウォレットID、移転先のウォレットID、移転したトークンID、移転したトークン数量、移転した日時を含む。さらに、ステップS306での投資申請が行われた日時やステップS311でのセキュリティ・トークン発行日時も記録しておくことが望ましい。
次に、図5は、有価証券管理装置100により実行される処理の手順のうち、投資家2のウォレットにセキュリティ・トークンが保有されている状況下で、他の投資家2に当該トークンを譲渡する際の処理を示したフローチャートである。これは、いわゆるセカンダリ(流通市場)においてセキュリティ・トークンの譲渡が行われるときに相当する。
有価証券管理装置100のフロント部20によって提供される画面例(図6A-6I参照)を示しながら順に説明する。
保有するセキュリティ・トークンの売却を希望する投資家(以下、「売手側投資家」と称する。)は、有価証券管理装置100のフロント部20により提供される認証画面(図6A参照)で要求される固有情報を入力して本人認証されると(ステップS501)、有価証券管理装置100は図6Bに示すような各自のウォレットに保有されているセキュリティ・トークンの持分一覧表を表示する。図6Bに示す例では1つのファンド(「第1ファンド」)について、単価10,000円のトークンを55個保有している。ここで「詳細」ボタン60をクリックすると、55個それぞれのトークン一覧表が表示される(図6C参照)。さらに、各トークンの「詳細」ボタン61をクリックすると、クリックしたトークンの詳細情報が表示される(図6D参照)。図6Dの例においては、トークンIDやファンドIDなどの各項目において“6……”や“3……”等が示されているが、これは、ブロックチェーン部30が分散型台帳に記録する符号化コードを表示した例である。図6CのトークンIDも符号化コードを表示している。ただし、これら各項目を一見して理解できるように実際の所有者名等の表示をしてもよい。
売手側投資家が、保有するセキュリティ・トークンの売却を望むときは図6Cに戻り、「売付」ボタン62をクリックする(図6E参照)。クリックに応答して、有価証券管理装置100は図6Fに示すような売付注文画面を表示する。なお、売手側投資家が持分やトークンの詳細を確認する必要がないと判断する場合、持分一覧表及びトークンの詳細情報の表示をスキップして、図6Fの売付注文画面を直ちに表示させればよい。
次に、売手側投資家は、図6Fの売付注文画面において、売却したいトークン数欄63及び売値として提示する1トークンあたりの希望売値を提示価格欄64に入力する(ステップS502)。なお、トークン価格欄65に示される値は、当該トークンを売手側投資家が取得したときの価額である。また、売付注文画面では提示可能価格66が表示される。これは、提示価格欄64に入力できるトークン単価の幅を示しており、不動産鑑定士による鑑定結果に基づいた値であるのが望ましい。売手側投資家は、不動産鑑定士の鑑定評価額に基づき示された提示可能価格範囲内で所望の売付価額を提示価格欄64に入力することになる。
一方、セキュリティ・トークンの購入を希望する投資家(以下、「買手側投資家」という。)は、買付注文可能一覧(図6G参照)内の中から、購入を希望するファンドの「買付」ボタン67をクリックする。クリックに応答して、有価証券管理装置100は図6Hに示すような買付注文画面を表示する。買手側投資家による買付注文の前提として、買付注文が可能な資金が所定の投資用口座に既に入金されていることが必要であることは言うまでもない。なお、買手側投資家が各ファンドの内容を把握するため、売手側投資家に対して提示される図6Dと同様のトークンの詳細情報の画面(不図示)が表示される。
買手側投資家は、図6Hに示す買付注文画面の買付可能トークン数欄70に、売手側投資家が売却対象とするトークン数量が表示されているので、このトークン数以下の値を購入トークン数欄72に入力する(ステップS503)。なお、販売価格欄73に表示される価格値は、売手側投資家が図6Fの提示価格欄64に入力した値であり、販売価格欄73の単価に購入トークン数欄72の数量を乗じて計算される購入総額が総額欄74に自動的に表示される。また、提示可能価格71は、図6Fで売手側投資家に示された提示可能価格66に相当する。
有価証券管理装置100のブロックチェーン部300は、買付注文の確定ボタンがクリックされたことを受けて売買注文が合致したとみなして売買成立と判定する(ステップS504)。売買が成立すると、当該買付されたトークンは以降の買付の対象から除かれ、匿名組合契約上の債務者である特別目的会社1による承認待ち状態となる。特別目的会社1(又は特別目的会社1からの委託会社)は、所定の時間(例えば、毎営業日の15時など)に承認待ち状態にあるトークン売買を承認し、当該承認に基づき、購入トークン数と同量のトークンを、ブロックチェーン基盤上で売手側投資家のウォレットから買手側投資家のウォレットに移転させる。
上記移転に対応して、ブロックチェーン部300は、売買に係るトランザクションID、移転されたトークンを識別するトークンID、移転されたトークン数量、トークン移転日時、売買契約成立日時(匿名組合契約上の債務者である特別目的会社1によるトークン売買の承認日時)、売手側投資家ID、買手側投資家IDなどを分散型台帳に記録する(ステップS505)。投資申請日時、トークン発行日時等も記録してよい。事前の実証実験では、移転に伴うブロックチェーンの帳簿の書き換えに要する時間は数秒以内であることを確認しており、実質的にリアルタイムで実現できる。
なお、日時は、有価証券管理装置100が独自に自由に刻まれるタイマーに基づくものではなく、信頼できる機関が提供する時刻に同期させている。例えば、NTP(Network Time Protocol)サーバは、GPSや原子時計などを用いた、非常に正確なNTPサーバを頂点とした階層構造であって、各NTPサーバは上位のNTPサーバから時刻情報を取得することで、時刻情報の正確さを保つようになっている。有価証券管理装置100は、定期的に、TCP/IPネットワークを通じてNTPの通信プロトコルを使用して時刻情報を問い合わせて時刻情報を取得し、装置内部時計を正しく設定しておけばよい。
買手側投資家にセキュリティ・トークンが移転されると、今度は買手側投資家が売手側投資家として購入したセキュリティ・トークンを売却することもできる。そのため、投資家管理機能13は、トークン移転後の買手側投資家を匿名組合契約上の債権者として登録管理しておく。
トークンの移転が完了し、ブロックチェーン部300による分散型台帳への記録がされると、匿名組合契約上の債務者である特別目的会社1が売手側投資家に対してトークンの移転を承諾する旨の通知を行うため、特別目的会社1(又は特別目的会社1からの委託会社)はフロント部20に対し、売手側投資家のマイページ(有価証券管理装置100に登録された投資家毎に設けられ、表示画面上で様々な情報を表示したり閲覧したりすることが可能な各投資家専用の閲覧ページ)上にトークン移転を承諾する旨の通知を表示するよう指示する(図6I参照)。特別目的会社1が有価証券管理装置100を介して売手側投資家に対して上記のトークンの移転を承諾する旨の通知を行った時点、すなわち特別目的会社1(又は特別目的会社1が委託した会社)による指示により売手側投資家のマイページ上に当該通知が表示された時点で(時点は、有価証券管理装置100内で当該通知に紐付けられて記憶され、図6Iに示すように通知日時として示す)、特別目的会社1が投資家間の売買契約の「確定日付のある証書」による承諾を行ったものとする。
業務管理部10の法定帳票作成機能15は、売買契約の内容及び売買契約に係るブロックチェーン上の記録であるトークン移転情報が記載された電磁的書面(PDF文書)であるデジタル証書を作成し、売手側投資家が当該通知に記載されたURLをクリックすると、当該デジタル証書を確認できる状態になっている。ここで、デジタル証書に記載されるトークン移転に関する情報(以下、「トークン移転情報」という。)とは、投資家間のトークン譲渡の内容を特定する情報であり、具体的には、売買に係るファンド名及びファンドID、売手側投資家ID、買手側投資家ID、トランザクションID、トークンID、トークン数量、トークン価格、売買契約成立日時(特別目的会社1によるトークン売買の承認日時)を含む。
上述したように本実施形態におけるデジタル証書は、電子情報で作成される文書(例えば、PDF文書)を意味するが、デジタル証書の様式は特に限定していないので、必ずしもいわゆる“書面”として形成されていなくてもよい。他の実施形態では、例えば、デジタル証書に示されている情報が、各投資家2が操作する端末の画面上に単に文字や記号を含むテキストの羅列として表示される形態のデジタル表示を含む。
また、本実施形態では、特別目的会社1が売手側投資家に対してトークンの移転を承諾する旨の通知を行うとしているが、これに限定していない。すなわち、特別目的会社1が買手側投資家に対して上記通知を行い、買手側投資家のマイページ上に当該通知が表示された時点で投資家間の売買契約の「確定日付のある証書」による承諾がなされたとしてもよいし、或いは売手側投資家及び買手側投資家の両マイページ上に当該通知を表示させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、マイページ上に表示される通知内のURLをクリックすることによりトークン移転情報を確認することとしているが、当該通知内にトークン移転情報を含むようにして(通知とデジタル証書の合体)、URLのクリックを省略する表示方法でもよい。

また、本実施形態では売買契約が成立すると自動的にデジタル証書をインターネット経由で投資家に対してメール送信するが、投資家からの要求を受けて送信するようにしてもよい。
また、本実施形態ではデジタル証書が送信される宛先は、売手側投資家及び買手側投資家の双方であるが、他の本実施形態では売手側投資家のみあるいは買手側投資家のみであってもよい。
また、デジタル証書の送信のタイミングは、売買契約が成立した時(特別目的会社1によるトークン売買の承認時)、或いは売手側(又は買手側)投資家が当該通知に記載されたURLをクリックした時に、自動的に又は特別目的会社1等の手作業を通じて遅滞なく実行することとする。
また、デジタル証書はメール送信されるとともに、投資家のマイページ上にも掲載され、常時、閲覧/ダウンロード可能な状態にすることが望ましい。
これまでの説明で理解されるとおり、特別目的会社1が売手側投資家(又は買手側投資家及びその両方)に対してトークンの移転を承諾する旨の通知が、上述した債権譲渡(組合契約における契約上の地位の移転も含む)の「第三者対抗要件」に関係している。
繰り返しになるが、特別目的会社1(又は特別目的会社1が委託した会社)からの指示により、有価証券管理装置100における売手側投資家等のマイページ上にトークンの移転を承諾する旨の通知を表示させることは、匿名組合契約上の債務者である特別目的会社1が債権譲渡人である売手側投資家及び債権譲受人である買手側投資家に対して、民法第467条第2項に規定する債権譲渡(組合契約における契約上の地位の移転を含む)の「確定日付のある証書」による承諾を行ったことと等価である。
したがって、セキュリティ・トークンの譲渡がされる際に、有価証券管理装置100を介して債務者たる特別目的会社1による譲渡に対する承諾の通知が債権譲渡人たる売手側投資家に送信され、且つデジタル証書のメール受信によってもこれを確認することができる。投資家側が第三者対抗要件を備えるための手続きは何ら必要でない。買手側投資家はセキュリティ・トークンの購入と同時に、トークンに対応する不動産証券の権利譲渡が第三者対抗要件を備えることになり、且つデジタル証書のメール受信でこれを確認できるので、極めて簡便に確実になされた譲渡の事実を認識できることになる。従来の内容証明郵便等を用いた「確定日付のある証書」による対応に比べて、オフラインでの作業が発生せず、売買契約成立から数秒以内に当該売買契約(債権譲渡)に関する情報の伝達が可能となり、売買契約の取引の安全性が飛躍的に高まるとともに、売買の迅速化・ペーパーレス化に資するという顕著な効果を奏するものである。
また、有価証券管理装置100内での匿名組合出資持分の二重譲渡はそもそも不可能であるが、仮に売主投資家(債権譲渡人)が保有する匿名組合出資持分を有価証券管理装置100外で二重譲渡した場合であっても、有価証券管理装置100のブロックチェーン技術を用いて作成されたデータは、過去の取引データの改ざんが不可能などのブロックチェーン固有の技術的優位性から、債務者である特別目的会社1による承諾に関する情報を事後的にも有価証券管理装置100内のブロックチェーン上の記録を確認することにより正確に把握することができる。その結果、当該売買契約の取引の安全性を確保し、無用な紛争を回避することができるという効果もある。
なお、本実施形態の場合、投資家の便宜を図るため、債務者たる特別目的会社1の「承諾」によって第三者対抗要件を備える方法を採用しているが、民法第467条第2項は、「確定日付のある証書による通知又は承諾」と規定するので、他の実施形態では、「承諾」の代わりに「通知」、すなわち、債権譲渡人(債権譲渡人の代理人ないし使者として行う債権譲受人を含む。以下、「債権譲渡人等」という。)が債務者たる特別目的会社1に対して「通知」すること、或いは「承諾」及び「通知」の両方による第三者対抗要件の具備であってもよい。有価証券管理装置100が、トークン移転情報(売買に係るファンド名及びファンドID、売手側投資家ID、買手側投資家ID、トランザクションID、トークンID、トークン数量、トークン価格、売買契約成立日時(特別目的会社1によるトークン売買の承認日時)を記載した第三者対抗要件用証書を作成して債権譲渡人等に送信し、債権譲渡人等が上記記載に異議ない旨の意思表示として第三者対抗要件用証書を有価証券管理装置100を介して債務者(特別目的会社1)に送信すれば、債務者がこれを受信した時点で、上述した「承諾」による第三者対抗要件と同一の効果が生じることとなる。或いは、有価証券管理装置100がトークン移転情報を記載するためのひな型ないしテンプレートを債権譲渡人等に送信し、債権譲渡人等が当該テンプレート等の所定の欄にトークン移転情報を記載して完成させた第三者対抗要件用証書を有価証券管理装置100を介して債務者(特別目的会社1)に送信してもよい。その他の方法として、債権譲渡人等がテンプレート等を用いずにトークン移転情報を記載した第三者対抗要件用証書を債務者(特別目的会社1)に送信することも含む。
また、有価証券管理装置100は、上述したデジタル証書を、送信又は承諾した日から起算して少なくとも五年間保存しておくこととする。そして、セキュリティ・トークンの売手側投資家(譲渡人)及び買手側投資家(譲受人)又は特別目的会社1からの開示要求に応じて、デジタル証書を提示できるようにしておく。
(産業上の利用可能性及び優位性)
本実施形態の有価証券管理装置100によれば、投資家は、いわゆるセカンダリ市場において、保有するセキュリティ・トークンを任意のタイミングで購入又は売却ができることになる。有価証券の譲渡ではないものの、不動産クラウドファンディングが同様の仕組みとして現実には存在する。しかしながら不動産クラウドファンディングは、投資の運用期間が定められており、原則として運用期間中の中途解約ができないのに対し、有価証券管理装置100によるセキュリティ・トークンの譲渡を介した権利移転は、所望の時期に償還(現金化)をすることができ、急な資金を必要とした場合に売却して現金を得ることができる。これは、投資家に対し、従来とは比べ物にならない柔軟な投資回収の機会を提供し、活発な投資を呼び込むことに繋がる。
また、これまでの不動産クラウドファンディングによる投資は、もっぱらプライマリ市場における投資家とファンド運営事業者との間での相対取引に留まっている。言い換えると、投資家間での売買であるセカンダリ市場が整っていない。一方、有価証券管理装置100は、上述してきたとおり、投資家から投資家へセキュリティ・トークンの譲渡が行われるので、セカンダリ市場に十分に対処できるよう構成されている。しかも、現状の不動産クラウドファンディングでは何ら対策は施されていない第三者対抗要件が、有価証券管理装置100の場合は投資家側からの特段の手続きなしに備わっているので、セカンダリ市場が今後活発化しても、二重譲渡による投資家への不測の不利益が生じる可能性はない。
最後に、有価証券管理装置100が、金融商品取引法における「適用除外電子記録移転権利」の譲渡のために利用される場合の追加機能について説明しておく。
まず、金融商品取引法第2条第3項には「電子記録移転権利」が定義されており、つまり、(1)有価証券とみなされる権利、(2)その権利が電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される、(3)流通性の低いもの等一定のものを除いたもの、を満たすものである。
セキュリティ・トークンは「電子記録移転権利」に該当するが、上記定義のうち、特に(3)の流通性の低いセキュリティ・トークンの場合は「電子記録移転権利」の範囲から外れることになる。この場合、これまで説明してきたセキュリティ・トークンとは異なるということになりかねない。しかしながら、本発明による、デジタル化された有価証券の取得及びこれを投資家間で譲渡されるようにした情報処理装置において、当該有価証券の譲渡に第三者対抗要件を備えるための証書もあわせて作成するという特徴は、トークンの流通性の度合いによって何ら影響されるわけではない。
流通性が低いことから「適用除外電子記録移転権利」とされるセキュリティ・トークンについては、本実施形態の有価証券管理装置100が備える機能として更に以下に示す制限機能を追加し、「電子記録移転権利」であるセキュリティ・トークンと同等に扱えるようにする。
・金融商品取引法に規定される適格機関投資家等または適格機関投資家特例業務の対象投資家(特例業務対象投資家)に類する範囲の投資家以外の者には、トークンを取得させ、移転することができないようにする技術的措置。
・その都度、権利の保有者の申出と、発行者の承諾が無ければ、トークンを移転できないようにする技術的措置。
簡単に言うと、金融商品取引業者やファンド運用業者などの金融のプロ、又は高額な投資性金融資産額を保有する個人以外に対しては、トークン保有・移転がされないようにする「取得者制限」手段と、トークンの移転には権利の保有者の申出及びトークン発行者の承諾を要する「譲渡制限」手段を備えることで対応する。
上記制限機能の追加により、有価証券管理装置100は、「適用除外電子記録移転権利」に対しても第三者対抗要件を具備した譲渡を手間なく確実に行うことを可能にする。
また、本発明は、CD-ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードしたプログラム、及びこれら記憶媒体を発明の範疇として含む。
さらに、ネットワークを介して有価証券管理装置100のブロックチェーン部30に関係する端末は、インターネットや専用線等のネットワークに接続されたコンピュータである。具体的には、例えばPC(Personal Computer)、携帯電話やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット、ウェアラブル(Wearable)端末等が挙げられる。また、投資家2の携帯端末として、例えば携帯電話やスマートフォン、PDA、タブレット、ウェアラブル端末等が挙げられる。ネットワークに有線又は無線で接続された端末及び携帯端末が互いに通信可能に設定されることにより、有価証券管理装置100を含むビジネススキーム構成する。また、上述した実施形態において有価証券管理装置100はP2P型のシステムであるが、必ずしもP2P型の分散型台帳技術でなくいてもよい。ASP(Application Service Provider)と連携するシステムとして構成されてもよい。
1 特別目的会社
2 投資家
3 不動産
10 業務管理部
11 物件運営機能
12 入出力管理機能
13 投資家管理機能
14 投資申請管理機能
15 法定帳票作成機能
16 秘密鍵管理機能
20 フロント部
21 インタフェース制御部
30 ブロックチェーン部
100 有価証券管理装置

Claims (10)

  1. 組合契約に基づく事業に係る権利情報処理装置であって、
    前記権利を2以上の口数にデジタル的に分割する権利小口化手段と、
    前記権利の債権者の情報及び前記債権者が保有する前記権利の口数を登録する債権者登録手段と、
    登録された前記債権者から前記権利の譲渡要求を通信回線を介して受付ける譲渡要求受付手段であって、前記譲渡要求は前記権利を特定する識別情報及び譲渡口数を含み、
    前記権利の譲受を募集するための申込み画面であって、前記権利の譲受希望者から譲受したい権利の識別情報及び譲受口数を前記通信回線を介して受付ける譲受受付手段と、
    前記譲受希望者が指定した前記権利の譲受口数分を、前記債権者から前記譲受希望者へ譲渡することを示す移転情報をブロックチェーンを含む分散型台帳に記録する分散型台帳記録手段と、
    前記権利の債務者が前記権利の譲渡を承諾することを示す承諾通知を、前記権利の譲渡人である前記債権者又は前記権利の譲受人である前記譲受希望者の少なくともいずれかの専用閲覧画面ページに表示する承諾通知表示手段であって、前記承諾通知が表示された時点で前記権利の譲渡についての第三者対抗要件の主張が可能となる前記承諾通知表示手段と、
    を備えた情報処理装置。
  2. 前記承諾通知は、前記分散型台帳記録手段により記録された前記移転情報が記載された電磁的書面であるデジタル証書のデジタルアドレスを含み、
    前記債権者又は前記譲受希望者による前記デジタルアドレスへのアクセスに応答して、前記移転情報及び前記債務者による前記権利の譲渡の承諾を表示するデジタル証書表示手段を更に含む、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記承諾通知に代わり又は前記承諾通知に追加して、前記債権者又は前記債権者の代理人ないし使者として行う前記譲受希望者から前記債務者に対して前記移転情報を通知する債権者通知手段を更に含む、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  4. 前記承諾通知は、あらかじめ設定した時刻まで送信されず、当該時刻経過後に自動的に又は手動で前記権利の譲渡の当事者である前記債権者及び前記譲受希望者それぞれの閲覧画面ページに閲覧可能に掲載されるように制御する、請求項1~3の何れか1項に記載の情報処理装置。
  5. 前記分散型台帳記録手段は前記分散型台帳に前記移転情報を記録し、前記デジタル証書は、前記債権者、前記債務者、又は前記譲受希望者の少なくとも何れかに提供可能である、請求項2に記載の情報処理装置。
  6. 前記移転情報は、譲渡される前記権利の債権者及び前記譲受希望者のそれぞれを特定する識別情報、譲渡される前記権利を識別する情報、譲渡価格、譲渡口数、前記権利の譲渡を前記債務者が承諾した日時を少なくとも含む、請求項1~5の何れか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記譲渡がされた後、前記債権者登録手段は、前記譲受希望者を前記権利の債権者として登録する、請求項1~6の何れか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記権利は前記組合契約に基づく事業から生ずる収益の配当又は当該事業に係る財産の分配を受ける権利であり、前記債権者は当該事業の出資者である、請求項1~7の何れか1項に記載の情報処理装置。
  9. (1)所定の条件を満たす個人又は組織体以外に対しては、前記権利のいかなる口数も保有されないようにする取得者制限、及び
    (2)前記権利の保有者の申出、及び前記情報処理装置の運営元或いは管理元の承諾が無い場合は、前記権利が譲渡されないようにする譲渡制限、
    を実現する制限手段をさらに含む、請求項1~8の何れか1項に記載の情報処理装置。
  10. 組合契約に基づく事業に係る権利情報処理装置において実行されるプログラムであって、前記権利情報処理装置に、
    前記権利を2以上の口数にデジタル的に分割すること、
    前記権利の債権者の情報及び前記債権者が保有する前記権利の口数を登録すること、
    登録された前記債権者から前記権利の譲渡要求を通信回線を介して受付けることであって、前記譲渡要求は前記権利を特定する識別情報及び譲渡口数を含み、
    前記権利の譲受を募集するための申込み画面であって、前記権利の譲受希望者から譲受したい権利の識別情報及び譲受口数を前記通信回線を介して受付けること、
    前記譲受希望者が指定した前記権利の譲受口数分を、前記債権者から前記譲受希望者へ譲渡することを示す移転情報をブロックチェーンを含む分散型台帳に記録すること、
    前記権利の債務者が前記権利の譲渡を承諾することを示す承諾通知を、前記権利の譲渡人である前記債権者又は前記権利の譲受人である前記譲受希望者の少なくともいずれかの専用閲覧画面ページに表示すること、
    を実行させるためのプログラム。
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