JP2023072348A - 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム - Google Patents

被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム Download PDF

Info

Publication number
JP2023072348A
JP2023072348A JP2021184845A JP2021184845A JP2023072348A JP 2023072348 A JP2023072348 A JP 2023072348A JP 2021184845 A JP2021184845 A JP 2021184845A JP 2021184845 A JP2021184845 A JP 2021184845A JP 2023072348 A JP2023072348 A JP 2023072348A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fish
temperature
ice
live
ice slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021184845A
Other languages
English (en)
Inventor
美雄 廣兼
Yoshio Hirokane
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Blanctec Co Ltd
Original Assignee
Blanctec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Blanctec Co Ltd filed Critical Blanctec Co Ltd
Priority to JP2021184845A priority Critical patent/JP2023072348A/ja
Priority to EP22892915.4A priority patent/EP4430950A1/en
Priority to CN202280074981.7A priority patent/CN118234381A/zh
Priority to KR1020247015621A priority patent/KR20240108398A/ko
Priority to PCT/JP2022/042186 priority patent/WO2023085417A1/ja
Publication of JP2023072348A publication Critical patent/JP2023072348A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23BPRESERVING, e.g. BY CANNING, MEAT, FISH, EGGS, FRUIT, VEGETABLES, EDIBLE SEEDS; CHEMICAL RIPENING OF FRUIT OR VEGETABLES; THE PRESERVED, RIPENED, OR CANNED PRODUCTS
    • A23B4/00General methods for preserving meat, sausages, fish or fish products
    • A23B4/06Freezing; Subsequent thawing; Cooling
    • A23B4/062Freezing; Subsequent thawing; Cooling the materials being transported through or in the apparatus with or without shaping, e.g. in the form of powder, granules or flakes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; AVICULTURE; APICULTURE; PISCICULTURE; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K79/00Methods or means of catching fish in bulk not provided for in groups A01K69/00 - A01K77/00, e.g. fish pumps; Detection of fish; Whale fishery
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A22BUTCHERING; MEAT TREATMENT; PROCESSING POULTRY OR FISH
    • A22BSLAUGHTERING
    • A22B3/00Slaughtering or stunning
    • A22B3/08Slaughtering or stunning for poultry or fish, e.g. slaughtering pliers, slaughtering shears
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A22BUTCHERING; MEAT TREATMENT; PROCESSING POULTRY OR FISH
    • A22CPROCESSING MEAT, POULTRY, OR FISH
    • A22C25/00Processing fish ; Curing of fish; Stunning of fish by electric current; Investigating fish by optical means
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A22BUTCHERING; MEAT TREATMENT; PROCESSING POULTRY OR FISH
    • A22CPROCESSING MEAT, POULTRY, OR FISH
    • A22C25/00Processing fish ; Curing of fish; Stunning of fish by electric current; Investigating fish by optical means
    • A22C25/06Work-tables; Fish-holding and auxiliary devices in connection with work-tables
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A22BUTCHERING; MEAT TREATMENT; PROCESSING POULTRY OR FISH
    • A22CPROCESSING MEAT, POULTRY, OR FISH
    • A22C25/00Processing fish ; Curing of fish; Stunning of fish by electric current; Investigating fish by optical means
    • A22C25/08Holding, guiding, or conveying fish before, during or after its preparation ; Devices for sizing fish; Automatically adapting conveyors or processing machines to the measured size
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23BPRESERVING, e.g. BY CANNING, MEAT, FISH, EGGS, FRUIT, VEGETABLES, EDIBLE SEEDS; CHEMICAL RIPENING OF FRUIT OR VEGETABLES; THE PRESERVED, RIPENED, OR CANNED PRODUCTS
    • A23B4/00General methods for preserving meat, sausages, fish or fish products
    • A23B4/06Freezing; Subsequent thawing; Cooling
    • A23B4/08Freezing; Subsequent thawing; Cooling with addition of chemicals or treatment with chemicals before or during cooling, e.g. in the form of an ice coating or frozen block
    • A23B4/09Freezing; Subsequent thawing; Cooling with addition of chemicals or treatment with chemicals before or during cooling, e.g. in the form of an ice coating or frozen block with direct contact between the food and the chemical, e.g. liquid N2, at cryogenic temperature

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Biodiversity & Conservation Biology (AREA)
  • Animal Husbandry (AREA)
  • Marine Sciences & Fisheries (AREA)
  • Mechanical Means For Catching Fish (AREA)
  • Processing Of Meat And Fish (AREA)
  • Devices That Are Associated With Refrigeration Equipment (AREA)

Abstract

【課題】被活き締め物をより新鮮な状態で保つことができる活き締めシステムを提供する。【解決手段】魚20を第1温度(-21℃)の氷スラリー54で冷却し、魚20の温度を、魚20の少なくとも中心部20aを冷蔵状態に保ったまま、生息可能温度の下限(0~2℃)を下回る第2温度(-1~-2℃)とする活き締め装置16と、魚20を搬送する搬送部14とを備え、搬送部14が、魚20を搬送しながら活き締め装置16に投入し、魚20の温度を第2温度とするための所定の投入時間に達すると、魚を氷スラリー54から引き上げる。【選択図】図1

Description

本発明は、魚等の被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステムに関する。
一般に、魚を活き締め(「活け締め」ともいう)する手法の1つとして、漁獲した魚の血抜きを行う手法がある。魚が活き締めされた場合、自然死させた場合と比較して長期間鮮度が保たれ、味も良くなる。魚が漁獲された後、体内のATP(アデノシン三リン酸)が、イノシン酸などのうま味の元となる物質に分解される。しかし、魚が暴れるとATPが消費されてしまうため、活き締めによって、ATPの消費が防止される。活き締めを行うことにより、乳酸等の疲労物質が魚体に蓄積して味が劣化することも防止される。魚体の死後硬直を遅らせて腐敗を抑制することが可能となる。さらに、活き締めには、微生物の繁殖が起こりやすい血液を抜き、微生物の繁殖を抑制するという効果もある。
例えば、特許文献1には、魚の脊髄のみを切断し、脊椎骨と背大動脈を切断しない活き締め方法が開示されている。この方法は、魚の脊髄の機能のみを停止させた後、魚を水中に放置し、その後、延髄または背大動脈または、延髄と背大動脈の両方を切断する。特許文献2に開示された方法においては、活魚が遊泳する水槽中にくん煙を注入し、活魚の動きを低下させる前処理工程と、前処理工程により動きの低下した活魚に対して、活き締めを行う活き締め工程とが実行される。さらに、特許文献3には、魚体を氷スラリーに漬けて冷凍する活け締め装置などが開示されている。特許文献4には、氷スラリーを用いて冷蔵や輸送を行うことが開示されている。
特開2001-86925号公報 特開2006-109710号公報 特開2019-41585号公報 特開2018-17490号公報
特許文献1に記載された手法では、活きた魚体の脊椎骨と背大動脈とを切断しないように脊椎のみを切断し、その後、延髄と背大動脈とのうち少なくとも一方を切断するという技能が求められる。このため、誰でも簡単に行えるというものではない。特許文献2に開示されているのは、くん煙により活魚の動きを鈍くさせるといった、活き締めの前処理に関する技術である。引用文献3に記載された手法は、特許文献1や特許文献2の手法と比べて、魚体の活き締め処理を効率良く短時間で容易かつ確実に行うことができる。しかし、魚体の活き締めに係る技術分野においては、魚をより新鮮な状態に保つことができる手法が望まれている。
本発明は、被活き締め物をより新鮮な状態で保つことができる被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステムを提供することを課題とする。
本発明による被活き締め物の活き締め方法の特徴は、被活き締め物を第1温度の氷スラリーに投入して冷却する第1工程と、
前記被活き締め物の少なくとも中心部を、冷蔵状態に保ったまま生息可能温度の下限を下回る第2温度とするための所定の投入時間に亘り、前記被活き締め物の前記氷スラリーへの投入を継続する第2工程と、
前記投入時間の経過に伴い、前記被活き締め物を前記氷スラリーから引き上げる第3工程と、を備えたことである。
本発明によれば、被活き締め物をより新鮮な状態で保つことができる被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステムを提供することができる。
実施形態の活き締めシステムを模式的に示す説明図である。 一列に繋げられたカプセルの一例を模式的に示す説明図である。 (a)はカプセルの扉が閉じた状態を一端側から模式的に示す説明図、(b)はカプセルの扉が開いた状態を同じく一端側から模式的に示す説明図である。 (a)は集魚装置の魚がカプセルに導入される状態を模式的に示す説明図、(b)は魚が収容されたカプセルを模式的に示す説明図である。 (a)~(d)は、カプセルの扉が徐々に閉まり、カプセルが扉ガイド部を離れるまでの様子を、順を追って概略的に示す説明図である。 カプセルが扉ガイド部を通過する様子を模式的に示す説明図である。 カプセルの扉を開放するための機構を模式的に示す説明図である。 魚の中心部や内臓の位置を模式的に示す説明図である。 実施形態に係る活き締めの手順を概略的に示すフローチャートである。 実施形態に係る魚の温度の推移を示す説明図である。
<実施形態に係る基礎的事項>
以下に、本発明の一実施形態に係る魚体活き締め(「活け締め」ともいう)方法、活き締めシステム、及び、活き締め方法について、図面に基づき説明する。ここでは先ず、本実施形態に係る基礎的な事項について説明する。
本実施形態における「活き締め」は、漁獲した魚を血抜きされた状態にして、魚の鮮度を保つ手法を意味する。以下では、被活き締め物として魚を例として説明するが、被活き締め物は魚に限定されず、例えば、貝類等の海産物であってもよい。
本実施形態の活き締め方法は、被活き締め物(図1の魚20など)を第1温度(-21℃など)の氷スラリーに投入して冷却する第1工程(図9のS1など)と、被活き締め物の少なくとも中心部(図8の20aなど)を、冷蔵状態に保ったまま生息可能温度の下限(0~2℃など)を下回る第2温度(-1~-2℃など)とするための所定の投入時間に亘り、被活き締め物の氷スラリーへの投入を継続する第2工程(図9のS2など)と、投入時間の経過に伴い、被活き締め物を氷スラリーから引き上げる第3工程(図9のS3など)と、を備えている。
本実施形態では、第1工程に係る第1温度は-21℃であるが、第1温度は、被活き締め物の中心部を冷凍(凍結)させることなく、被活き締め物の心臓を停止させることができる温度であればよい。第1温度は、被活き締め物の種類などの条件毎に予め定められた温度であり、被活き締め物の種類や大きさなどに応じて適宜選択できる。
第2工程に係る第2温度は、被活き締め物の生息可能温度の下限(0~2℃など)を下回り、且つ、被活き締め物の少なくとも中心部を冷蔵状態に保つことができる温度である。被活き締め物の種類が、例えば、養殖のサケ(鮭)である場合、第2温度は、-1~-2℃程度である。
本実施形態では、被活き締め物の温度が第2温度に達したか否かは、被活き締め物が第1温度の氷スラリーに投入されている時間が、予め定められている投入時間に達したか否かにより定まる。本実施形態において、投入時間は、被活き締め物に応じて予め定められた時間である。実験の結果、例えば、70~80cm程度のサケ(鮭)の場合、投入時間は10~12分程度である。同程度の大きさのサケ(鮭)を中心部まで凍らせる(冷凍状態にする)のに要する時間は、25~30分程度であり、投入時間は、完全な冷凍に要する時間の1/2以下となった。
本実施形態の活き締め方法においては、氷スラリーから引き上げられた被活き締め物を、第3温度の冷蔵システムで冷蔵する第4工程が備えられている。第3温度は、活き締めされた被活き締め物の鮮度を保ちながら、被活き締め物を保存できる温度であればよい。本実施形態において、第3温度は-1℃である。
本実施形態の活き締め装置16や、これを用いた活き締めシステム10は、被活き締め物(ここでは魚20)を第1温度(-21℃)の氷スラリー54で冷却し、被活き締め物の温度を、被活き締め物の少なくとも中心部(図8の20a)を冷蔵状態に保ったまま、生息可能温度の下限(0~2℃)を下回る第2温度(-1~-2℃)とする。
活き締めシステム10は、被活き締め物を搬送する搬送部14を備え、搬送部14が、 被活き締め物を搬送しながら活き締め装置16に投入し、被活き締め物の温度を第2温度(-1~-2℃)とするための所定の投入時間に達すると、被活き締め物を引き上げる。
また、本実施形態における氷スラリーは、溶質を含有する凝固点の低い水溶液(「ブライン」ともいう)と、この水溶液を冷却して作製された氷(「ハイブリッドアイス」ともいう)との混合物である。氷は、溶質を含有するブラインを、溶質の濃度が略均一となるように凝固させて作成されている。氷は、薄片状の形態で水溶液に混合される。
氷スラリーは、融解が完全に完了せずに氷が残存している間は温度が上昇することがないため、長時間に亘って魚体を冷蔵し続けることもできる。氷は、細かな空隙部(空気の部分)含み、かつ、この空隙部は氷内で縦横無尽に連結した状態となっている。このため、氷を包含する氷スラリーは、氷の空隙部が多ければシャーベットの状態となり、空隙部が少なければ複数の硬い氷のブロックを含んだ状態となる。
このような氷や、氷を混合した氷スラリーについては、出願人が承継した特願2016-150299号(特開2018-17490号公報、前掲の特許文献4)に開示されている。特許文献4に開示された内容については、後に援用して説明する。
本実施形態では、シャーベット状の氷スラリーが、魚体の冷却用(活き締め用)や冷蔵用に用いられる。冷却用の氷スラリーと冷蔵用の氷スラリーとでは、溶質の濃度の違いにより温度が異なる。本実施形態では、冷却用の氷スラリーの温度は-21℃程度であり、冷蔵用の氷スラリーの温度は-1℃程度である。特許文献4に開示されているのは、冷蔵用の氷や氷スラリーである。しかし、温度範囲が合致すれば、特許文献4に開示された氷や氷スラリーを、本実施形態における冷却用の氷や氷スラリーとして使用することが可能である。
<活き締めシステム、及び、活き締め装置>
次に、本実施形態の活き締め方法を実行する活き締めシステム10、及び、活き締め装置16について説明する。図1は、本実施形態に係る活き締めシステム10、及び、活き締め装置16の機能を、模式的に示している。活き締めシステム10は、養殖水槽12、搬送部14、活き締め装置16、冷蔵部18等を有している。
<<養殖水槽12>>
養殖水槽12は、水13の中の魚が逃げ散ったりしないように管理できるものであればよい。養殖水槽12は、屋内に設置されるもののほか、海面生け簀や筏、養魚池などであってもよい。図1の例では、養殖水槽12には、多数の魚20が収容されている。本実施形態では、魚20は養殖サケである。
養殖水槽12には、集魚装置22や吸引装置24が備えられている。集魚装置22は、先端へ行くほど狭まる魚籠状に構成されている。図1の例では、集魚装置22の先端部22aが、養殖水槽12における左側に示されている。図1の例では、集魚装置22の基端部の図示は省略されている。
集魚装置22に入った魚20は、狭まった先端部22aへ向かうよう進む。集魚装置22の先端部22aは、魚20を一匹ずつ外へ出すことができるよう開口している。集魚装置22は、魚20を集合させて先端部22aから一匹ずつ外へ出すことができればよい。集魚装置22は、少なくとも部分的には、柔軟な網により構成されていてもよい。
<<吸引装置24>>
吸引装置24は、循環ポンプ26、吸引配管26a、排出配管26bを備えており、養殖水槽12の中の水13に対して、吸引と排出を行う。吸引配管26aの先端は、集魚装置22の先端部22aの側に向けられている。吸引装置24は、水13を吸引することにより、集魚装置22の先端部22aに到達した魚20を、集魚装置22の外へ吸い寄せる。吸引配管26aに吸い込まれた水13は、排出配管26bから養殖水槽12に戻される。
吸引装置24は、魚20を吸い寄せることができるものであればよい。吸引配管26aや排出配管26bには、プラスチックや金属等を素材とする剛体製のものを採用できる。また、吸引配管26aや排出配管26bには、蛇腹管やゴムホース等のように柔軟性や可撓性を有するものであってもよい。吸引配管26aに、異物の吸い込みを防止するフィルタ(例えば網など)を設けても良い。
<<カプセル30>>
<<<カプセル30の構成と用途>>
吸引配管26aと、集魚装置22の先端部22aとの間には、搬送部14の一部が通過している。搬送部14は、多数のカプセル(「コンテナ」ともいう)30とコンベア装置(図示略)とを有している。図2及び図3に、一部のカプセル30を模式的に示す。図2及び図3の例では、個々のカプセル30は、ほぼ円筒形の籠状に形成されている。図1及び図2に示すように、カプセル30は、無端状に繋げられている。カプセル30は、コンベア装置(図示略)により、図1に矢印Aで示すように無端走行させられ、連続して周回する。
カプセル30の大きさは、活き締めの対象となる魚20の大きさの範囲を考慮して決められており、カプセル30は、魚20を一匹ずつ収容できる。カプセル30は、多数の柱32を有しており、柱32の間には隙間34が形成されている。カプセル30の内部と外部は、隙間34を介して空間的に繋がっている。柱等の素材としては、ステンレスや、防錆処理がされた鉄鋼、或いは、合成樹脂などのように一般的な種々のものを採用できる。
カプセル30は図1に示すように、養殖水槽12の水13の中を通過するように搬送される。カプセル30が水13に漬かると、水13が、隙間34を通ってカプセル30の内部に進入する。カプセル30が水13の外に出ると、水13が自重により、隙間34を通ってカプセル30の外部に排出される。
図2及び図3の例では、カプセル30の軸方向の端部30a、30bは閉じられている。しかし、カプセル30の端部30a、30bを、網や柱などにより構成してもよい。このようにすることで、カプセル30の端部30a、30bからも水13の出し入れを行うことができる。ここで、図2及び図3において、符号35で示すのは、カプセル30を一列に、且つ、環状に(無端状に)繋げる連結部である。連結部35は、カプセル30を、柔軟性をもって繋げる。連結部35としては、可撓性を有するワイヤや、チェーンなどを採用することができる。
カプセル30には、2つの扉36が備えられている。各々の扉36は、搬送部14上において、図3(b)に示すように下向きのまま観音開きの態様で開閉できる。各々の扉36は、ヒンジ38により、回動可能に支持されている。扉36は、カプセル30の周方向における約90度分(約1/4分)を構成している。扉36は、ばねなどの弾性部材37により、開放する側に付勢されている。
図3(b)に示すように開いた扉36を、図2や図3(a)に示すように閉じる際には、扉36が、弾性部材37の付勢力に抗し、ヒンジ38を支点として中央側へ押される。扉36は、向かい合った互いの縁部を整合させ、図3(a)に示すように閉鎖する。扉36が閉鎖すると、図3(b)に示すロック機構40が作動し、2つの扉36の整合した状態が維持される。扉36は自動的に閉鎖されるが、扉36の閉鎖の方法については後述する。
ロック機構40としては、2つの扉36の閉じた状態を維持でき、必要に応じて解除できるものであればよい。本実施形態では、ロック機構40は、図示は省略するが、2つの扉36の間でばねの作用により係止鉤を係止させたり、係止鉤の係止を解除させたりする。ロック機構40の解除は、自動的に解除ボタン41を押下することにより行われる。このようなロック機構40や解除ボタン41を用いた扉36の開放の方法についても後述する。
カプセル30は、図4に示すように、扉36を開放した状態で、吸引配管26aの吸込口42と、集魚装置22の先端部22aとの間の位置に到達する。吸引配管26aの吸込口42と、集魚装置22の先端部22aとの間の位置を、以下では「導入位置」と称し、符号44を付す。
集魚装置22の先端部22aに居る魚20は、循環ポンプ26の作用によって、吸引配管26aの側に吸い寄せられる。図4に示すように、導入位置44に、扉36が開いた空のカプセル30が到達すると、魚20が、矢印Bで示すように集魚装置22から外に吸い出される。集魚装置22から吸い出された魚20は、導入位置44に在るカプセル30に導入される。水13は、矢印Cで示すように、吸引配管26aに順次吸い込まれるが、魚20は、二点鎖線で示すように、カプセル30の中に留まる。
ここで、本実施形態では、導入位置44において、カプセル30の搬送を停止させずに、魚20がカプセル30に導入される。しかし、これに限らず、例えば、導入位置44において、カプセル30の搬送を間欠的に停止させて、魚20をカプセル30に導入してもよい。
また、図1や図4の例では、カプセル30が下向きに開放され、魚20が下から上に吸い上げられる。しかし、魚20の取り込みの方向は、これに限定されない。例えば、カプセル30を横向きに開放し、集魚装置22から魚20を横方向に吸い出して、魚20がカプセル30に取り込まれるようにしてもよい。ここで、図4では、図面が煩雑にならないよう、弾性部材37やロック機構40の図示は省略されている。
<<<扉36の閉鎖>>>
魚20が導入されたカプセル30は、扉36を開いたまま、活き締め装置16の側に搬送される。カプセル30が、導入位置44から活き締め装置16の側へ移動すると、図5及び図6に示す扉ガイド部46により、扉36が徐々に閉じられる。扉ガイド部46は、搬送部14に備えられている。扉ガイド部46が設置された位置は、導入位置44の下流側で、且つ、導入位置44に隣接した一定の位置である。
扉ガイド部46は、底部48と、底部48に繋がった2つの側壁50を有している。扉ガイド部46の上を、図6に矢印Dで示すようにカプセル30が通過する。図5(a)は、カプセル30が、扉ガイド部46の入口46aに到達した状態を示している。図5(b)は、カプセル30が、扉ガイド部46の入口46aから途中の部位に在る状態を示している。図5(c)は、カプセル30が、扉ガイド部46の出口46b付近に到達した状態を示している。
図5(a)に示すように、扉ガイド部46の入口46aは、扉36が開放したままのカプセル30を受け入れることが可能な大きさ(開口幅)を有している。一方、扉ガイド部46の出口46bは、図5(c)に示すように、入口よりも小さく(小さな開口幅で)形成され、扉36を閉じなければカプセル30が通過できない大きさを有している。
入口46aと出口46bとの間において、底部48と側壁50は、徐々に開口幅が小さくなるよう連続している。底部48は、図6に示すように、入口46aから出口46bにかけて、徐々に高くなるよう傾斜している。
図5(a)に示すように、入口46aにおいては、全開している扉36の先端部(自由端部)が、側壁50に接する。カプセル30が移動すると、図5(b)に示すように、扉36の先端部が、底部48に接するようになる。このとき、両方の側壁50の間隔は、入口46aにおける側壁50の間隔よりも狭まっていることから、2つの扉36は、側壁50により、弾性部材37(図3)に圧縮力を作用させながら互いに近づくよう押される。
カプセル30が更に移動し、出口46bに到達すると、図5(c)に示すように、扉36が閉じ、ロック機構40(図3)が作動して、扉36の閉じた状態が維持される。この結果、魚20がカプセル30に閉じ込められる。
扉ガイド部46を通過し、扉36が閉じたカプセル30は、水13(図1)の外に搬送される。カプセル30が水13から出ると、中の水が排出され、カプセル30は水切りされる。水切りされたカプセル30は、魚20を収容したまま、活き締め装置16へ向けて搬送される。ここで、図5では、図4と同様に、図面が煩雑にならないよう、弾性部材37やロック機構40の図示は省略されている。また、図6では、魚20の図示は省略されている。
<<<扉36の開放>>>
カプセル30は、扉36を閉じた状態で、後段の活き締め装置16へ搬送され、氷スラリー54(図1)に投入される。活き締め装置16については後述する。活き締め装置16を経たカプセル30は、扉36を閉じたまま、冷蔵部18(後述する)の上方に達した位置で開放される。
扉36の開放は、図7に示すように、搬送部14に設けられた解除部60を利用して行われる。解除部60は、冷蔵部18の上方に設置されている。解除部60は、搬送部14の進行方向に向かって徐々に突出量が増える傾斜面61を有している。搬送されてきたカプセル30が、矢印Gで示すように搬送されて解除部60の下に到達すると、解除ボタン41が解除部60に接近し、接触する。
カプセル30が進むのに伴い、カプセル30から突出した解除ボタン41が、解除部60により押される。解除ボタン41の押下量が十分な量に達すると、解除ボタン41が開放操作された状態となり、ロック機構40が解除されて、扉36が下向きに開く。このように、解除部60は、搬送されるカプセル30の解除ボタン41に干渉して、解除ボタン41を押下する。
<<活き締め装置16>>
カプセル30は、扉36を閉じた状態で、活き締め装置16に到達する。活き締め装置16には、冷却用の氷スラリー54が貯められている。氷スラリー54は、冷却用氷スラリータンク56から、矢印E1で示すように活き締め装置16に供給される。氷スラリー54は、冷却用氷スラリータンク56と活き締め装置16と間で循環しており、活き締め装置16の中の氷スラリー54は、矢印E2で示すように冷却用氷スラリータンク56に回収される。
活き締め装置16においては、氷スラリー54の中を、搬送部14が通過している。搬送部14により活き締め装置16に到達したカプセル30は、搬送されながら氷スラリー54に投入される(図9のS1)。カプセル30が氷スラリー54に投入されると、カプセル30内の魚20が、氷スラリー54に漬けられる。このように、カプセル30内の魚20が、カプセル30とともに氷スラリー54に投入され、氷スラリー54により冷却される。
魚20が氷スラリー54に投入されている時間(投入時間)は、魚20の冷却時間となる。投入時間(冷却時間)は、活き締めの対象物となる魚20の種類や大きさ、氷スラリー54の温度などの条件により予め定められている。氷スラリー54の温度や、魚20に係る温度の推移については後述する。
本実施形態では、搬送部14は、一定の速度で停止せずに走行する。このため、魚20の投入時間は、氷スラリー54内における魚20の移動距離(L)と、搬送部14の搬送速度(V)との関係(L/V)に基づいて定まる。そして、魚20の移動距離(L)の設定や、搬送部14の搬送速度(V)の設定により、魚20に適した投入時間が確保される。
ここで、魚20の大きさや、魚20のカプセル30内での位置は、必ずしも一定ではない。このため、魚20の移動距離は、モデル化して定めてもよい。モデル化の例としては、例えば、カプセル30の前端が氷スラリー54に漬かり始めてから、カプセル30の後端が氷スラリー54の外に出るまでの移動距離を、魚20の移動距離とする。これに限らず、他のモデル化を採用してもよい。
また、魚20を氷スラリー54内において定速で移動させることには限定されない。例えば、搬送部14の走行速度(搬送速度)を途中で変化させたり、搬送部14の走行を一時的に停止させたりすることも可能である。この場合の投入時間は、氷スラリー54内における魚20の移動距離(L)と、搬送部14の搬送速度(V)との関係のみでは定まらない。このため、例えば、時間の計測を行うタイマを備えて投入時間を計測したり、搬送部14における搬送速度の制御を行う制御部を設けたりすることも可能である。
ただし、搬送部14の搬送速度を変化させたり、搬送部14の走行を一時的に停止させたりする場合には、適正な投入時間の管理が複雑化する。このため、本実施形態のように、魚20を定速で移動させながら氷スラリー54に投入することにより、比較的簡便な構成で、投入時間の管理を容易に行うことができる。
氷スラリー54の温度は、第1温度に設定されている。本実施形態では、第1温度は、-21℃である。この氷スラリー54の温度は、搬送される魚20の魚体が、氷スラリー54を通過する投入時間の間に、全体としては冷凍されて(凍結して)しまうことのないように定められている。例えば、第1温度は、魚20の一部(例えば、図8に示す中心部20a)を、凍結していない冷蔵の状態とすることができれば、他の温度であってもよい。
第1温度としては、-21℃に限らず、例えば、-10℃から-30℃程度の範囲の温度を採用できる。ただし、-30℃の氷スラリー54に魚20を投入すると、氷スラリー54の温度が-30℃未満(-30℃よりも高い温度)の場合に比べて、魚体の表面や内部が過度に急速に冷却され、短時間で冷凍が進んでしまう。このため、-30℃以下の温度は、魚20の冷蔵には好ましくない。また、第1温度を-10℃超(例えば-5℃など)とした場合は、魚20を締めるのに過度に長い時間が必要となる。そして、魚20を締める間に、魚20の鮮度が落ちてしまう。したがって、これらのことから、氷スラリー54の温度(第1温度)は、-10℃~-30℃未満、好ましくは-15℃~-25℃、更に好ましくは-21℃である。
氷スラリー54の中に、活き締め対象となる魚20(ここでは養殖サケなど)を所定の投入時間に亘って投入すると、伝熱により、魚20が、周囲から中心部20aに向かって冷やされる。魚20の表面部の細胞は急速に冷却され、冷却に伴う刺激によって毛細血管が収縮する。このとき、魚20の心臓20b(図8)は動いているため、動脈に血圧が加えられる。しかし、毛細血管は収縮しているため、毛細血管に血液が供給されない。
また、毛細血管の収縮により、毛細血管内の血液が、静脈に絞り出される。毛細血管から静脈に絞り出された血液のほとんどは、最終的に心臓20bに集まる。このため、魚20の表面部の細胞は、血液が抜かれた状態となる。血液のほとんどが集まった状態で心臓20bが停止すると、魚20の組織は全体として血抜きされた状態(活き締めされた状態)となる。
投入時間は、魚20の心臓20bを停止させて魚20を締めることができると共に、魚20の中心部20aを冷凍させない時間である。このような投入時間は、実験を行い、目的の冷蔵状態が得られる時間を測定して、予め定めておくことができる。この投入時間は、魚20の鮮度を維持するためには、短い方が望ましい。
投入時間は、魚20の種類や大きさなどの条件に応じて、複数種類定めておくことが可能である。そして、養殖水槽12で養殖されている魚20の種類や、大きさの傾向に応じて、搬送部14の搬送速度(V)や、氷スラリー54内における魚20の移動距離(L)を決定することが可能である。
投入時間が経過するときには(図9のS2:YES)、搬送部14(図1)により、魚20が氷スラリー54から引き上げられる(図9のS2)。魚20を氷スラリー54から出しても、直ぐに温度が上昇に転じるわけではなく、魚20を氷スラリー54から引き上げた後も、或る程度は冷却が進行する。つまり、魚20の心臓停止のタイミングは、魚20を氷スラリー54から出した後である。このため、魚20の氷スラリー54への投入時間は、魚20の氷スラリー54への投入開始から心臓20bが停止に要するまで時間(冷却合計時間、T1)から、魚20を氷スラリー54の外へ引き上げてから心臓20bが停止するまでの時間(引き上げ後冷却時間、T2)を差し引いたもの(T1-T2)として決められる。
<<冷蔵部18>>
冷蔵部18の上方で、カプセル30のロック機構40が自動的に解除され、扉36が開放される。扉36が開放されると、魚20が、図1や図7に矢印Fで示すように、冷蔵部18に向かって落ちる。冷蔵部18には、カプセル30が到達する度に、魚20が放出される。このため、魚20の、冷蔵部18への収容は、自動的に、且つ、断続的に行われる。
冷蔵部18は、-1℃程度の冷蔵システムの一部を構成している。冷蔵部18は、冷蔵用の氷スラリーを収容している。冷蔵用の氷スラリーは、活き締め装置16で用いられている氷スラリー54とは異なり、-1℃になるよう調整されている。この-1℃程度の氷スラリーを用いた冷蔵は、後述するように魚20を傷付け難い。
冷蔵部18を備えた本実施形態の冷蔵システムは、冷蔵部18のほか、冷蔵部18から取り出された魚20を輸送する輸送用冷蔵容器(図示略)を備えている。輸送用冷蔵容器にも、-1℃程度の冷蔵用の氷スラリーが用いられている。輸送用冷蔵容器は、人が持ち運びできる程度の大きさや重さのもののほか、例えば、トラック車両などに積載されたり、搭載されたりするものであってもよい。
このように、冷蔵部18や輸送用冷蔵容器などにより、活き締めされた魚を-1℃程度の温度環境下で保存するための冷蔵システムが構成されている。なお、冷蔵部18を、輸送用冷蔵容器として使用してもよい。また、-1℃程度の氷スラリーを用いた冷蔵システムの特徴については後述する。
<魚20の温度の推移>
以上のように、魚20は、養殖水槽12から取り出され、活き締め装置16において締められ、冷蔵部18により冷蔵される。この過程において、魚20の温度は、次の「1.」~「4.」のように推移する。
1.氷スラリー54への投入前、魚20の中心部20aにおける温度(中心部温度)は、図10の左端部に示すように、初期温度である。初期温度は、魚20が養殖サケである場合、養殖水槽12の水温(最適水温である3~10℃)と同程度である。このため、本実施形態では、魚20の初期温度は、概ね、養殖サケの最適水温により定まる。
2.養殖サケの生息可能温度の下限は、0~2℃である。魚20の大きさの個体差にもよるが、魚20の氷スラリー54(-21℃)への投入から数十秒から数分が経過すると、魚20の中心部温度が、生息可能温度の下限である0~2℃に達する。魚20の中心部温度が生息可能温度の下限に達しても、魚の中心部20aは凍結しない。
3.上述した「2.」の段階から更に数秒から数十秒経過すると(魚の大きさによる)、魚20の中心部温度が、生息可能温度の下限を下まわる心臓停止温度(-1~-2℃)に達し、魚は締まる。この段階では魚20の中心部20aは凍結していない。図8に示すように、魚の心臓20bは、一般に腹部20dの側に偏って位置している。このため、魚20を氷スラリー54に投入している第1所定時間の管理を適切に行うことにより、心臓20bを停めつつ、魚20の中心部20aを、非冷凍状態(非凍結状態)に保つことができる。
4.続く段階で、魚20が、氷スラリー54から引き上げられ、冷蔵部18へ移送される。冷蔵部18においては、カプセル30のロック機構40が後述するように作動して解除され、魚20が冷蔵部18に放出される。冷蔵部18は、-1℃程度の冷蔵システム温度に設定された冷蔵システムを構成している。冷蔵部18における-1℃程度の冷蔵システムは、被冷蔵物(ここでは活き締めされた魚20)を、傷付けずに保存するのに適している。さらに、魚20は、必要に応じて冷蔵部18から運び出され、同じく-1℃程度に温度管理がされた輸送用冷蔵容器(図示略)を用いて輸送される。
<本実施形態に係る活き締め方法等の利点>
本実施形態の活き締め方法、活き締めシステム10、及び、活き締め装置16によれば、魚20が氷スラリー54に投入される。このため、魚20は、氷スラリー54により、外部から低温の強い刺激を受ける。さらに、心臓20b(図8)の動きによって身から血液が抜け、血液は内臓20cに集まる。
これは、魚20が低温状態に置かれた場合に、生体にとって重要である内臓20cに血液を集めるため、身から血液を回収するという生体反応である。このような生体反応は、人間(ヒト)の凍傷と同様のメカニズムにより起こるものである。このような生体反応を利用することにより、魚20の身の中に血液が残ることに起因する所謂「魚臭さ」が生じ難くなる。発明者等による確認実験では、冷蔵部18で5日間保存した魚20からの魚臭さは、一切感知されなかった。
従来、魚を締める方法としては、野締め(魚を空気中に放置し、酸欠によって締める方法)、エラ切り(出血性ショックを与える方法)などある。これの従来の方法に対して、本実施形態の活き締め方法においては、氷スラリー54によって、魚20の身中の血液抜き及び心臓停止は行われる。しかし、魚20の少なくとも中心部20aは凍結せず、魚20自体は冷蔵される。心臓停止までの時間(投入時間)は適正に管理される。したがって、魚体へのストレスが少なく、締めた後の魚20の新鮮度が高い。
また、本実施形態においては、活き締め装置16で締められた魚20が、搬送部14により冷蔵部18に搬送され、冷蔵部18で保存される。このため、養殖水槽12の近くに魚20の内臓20c(図8)を取り出す処理場を設けることができないような場合、締められた魚20から内臓20c(図8)を取り出すことなく、冷蔵部18において保存できる。さらに、本実施形態においては、冷蔵部18で保存された魚を、冷蔵物流(-1℃程度に温度管理がされたもの)によって他の場所に輸送し、鮮度の高い魚20を需要者に提供することができる。
なお、前掲の特許文献3に開示された活き締め装置や活き締め方法と比較すると、特許文献3に開示された発明においては、魚の心臓が停止した後も氷スラリーによる冷却が継続される。これに対し本実施形態の活き締め方法等においては、魚20の一部(中心部20a)が凍結しないよう、氷スラリー54への投入が終了する。魚20の、氷スラリー54への投入は、全体が凍結する前に切り上げられる。したがって、魚20が、全体としては冷凍されず、少なくとも部分的には、魚20の冷蔵状態が確保される。そして、特許文献3に開示された発明との比較のうえでも、魚20を新鮮な状態に保つことができる。
さらに、本実施形態では、氷スラリー54で冷却された魚20が、冷蔵部18を含む-1℃程度の冷蔵システムによって冷蔵される。このため、魚20の新鮮な状態をより長期にわたって維持することが可能である。そして、本実施形態の冷蔵は、魚20が心臓を停止してからの冷蔵ではあるが、氷スラリー54による活き締め時の冷蔵と、冷蔵システムによる冷蔵とで、鮮度の高い冷蔵品質が保たれる。
<氷スラリーを用いた冷蔵システムの特徴>
被活き締め物の冷蔵にあたり、冷蔵用の氷スラリーを収容する冷蔵部18や輸送用冷蔵容器(図示略)は、被活き締め物の保存や輸送に使用される。以下では、冷蔵部18や輸送用冷蔵容器(図示略)を「冷蔵用容器」と称する。冷蔵用容器は、断熱構造のものや、断熱材を周囲に配置したものなどとする。冷蔵用容器における氷スラリーの温度は、被冷蔵物(ここでは被活き締め物である活き締め後の魚20)を、傷付けずに保存できる状態を保てるように決定される。
例えば、冷蔵用の氷スラリーの温度は、-1℃程度を保てるように管理される。氷スラリーの温度の管理は、冷蔵容器を、氷スラリーの温度を保てるような環境で使用することにより行うことが可能である。また、氷スラリーの温度が上がり、溶けてしまった場合には、新たな氷スラリーと入れ替えることで、被冷蔵物の周辺温度を維持することが可能である。このように被冷蔵物を、-1℃程度の氷スラリーで冷蔵することで、被冷蔵物を高品質に保ったまま、被冷蔵物の輸送や保存を行うことが可能となる。
被冷蔵物である魚20の周りの環境の温度を、魚体が凍結しない程度のマイナスの(負の)温度帯とすることで、魚体を、長期間に亘り高鮮度で維持することが可能となる。また、氷スラリーの温度は、全体に亘り均一に保たれ易いため、冷蔵用容器内に温度ムラが生じ難い。このため、鮮魚も、温度ムラなく冷蔵される。さらに、氷スラリーの水溶液の濃度を、魚体と同浸透圧となるようにすることで、水分が魚体に入り込み難くなる。そして、魚体に水膨れが生じ難い。また、-1℃程度の氷スラリーは、雪状の柔らかい氷スラリーである。このため、魚体が傷付きにくい。
冷蔵システムで用いられる氷スラリーや氷は、以下の(a)~(c)の条件を満たす。
(a)融解完了時の温度が0℃未満である
(b)融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内である
(c)温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃である
このような条件を満たす氷スラリーや氷が、魚等の動植物や、人間(ヒト)の移植用の臓器などの冷蔵に適していることは、出願人が承継した特願2016-150299号(特開2018-17490号公報、前掲の特許文献4)に開示されている。以下に、特許文献4の記載を援用する。なお、援用した記載における「発明者」は、特許文献4に開示された発明の発明者を指している。また、援用した記載における各種の技術事項は、特に支障が生じない限りは、「本発明」を、例えば「本実施形態」と読み替えることで、本実施形態の冷蔵システムに適用できる。さらに、以下の説明は冷蔵用の氷スラリーについての説明であるが、-10℃から-30℃程度の氷や氷スラリーについての説明事項は、活き締め装置16で用いられる冷却用の氷スラリー54にも適用が可能である。
[0227]
本発明における氷は上記の(c)の条件を満たしているので、動植物又はその部分は凍結せず、低温な状態を維持する能力に優れている。また、上記(a)及び(b)の条件を満たしているので、低温な状態を維持する能力がより一層優れている。この点について、
以下に説明する。
[0228]
水に溶質を融解した場合、その水溶液の凝固点が低下するという凝固点降下が生じることが知られている。凝固点降下の作用により、従来の食塩等の溶質が融解した水溶液は、凝固点降下により凝固点が低下している。つまり、そのような水溶液からなる氷は、真水からなる氷より低い温度で凝固した氷である。ここで、氷が水に変化するときに必要な熱を「潜熱」というが、この潜熱は温度変化を伴わない。このような潜熱の効果により、凝固点が低下した氷は、融解時に真水の凝固点以下の温度で安定な状態が続くため、冷熱エネルギーを蓄えたような状態が持続することになる。よって、本来であれば、被冷却物の冷蔵能が真水からなる氷より高くなるはずである。しかし、例えば、外部より冷却することで製造されたような従来の氷では、冷却の際に自身の温度が経時的に早く上がる等、実際は被冷蔵物を冷蔵する能力が十分なものではないことを本発明者らは発見した。その理由を本発明者らは検討したところ、従来の方法では、食塩等の溶質を含有する水溶液から氷を製造したとしても、実際は、水溶液が凍る前に溶質を含まない氷が先に製造されてしまい、結果として製造されるのは溶質を含まない氷と溶質との混合物となってしまうか、あるいは、凝固点の低下した氷はほんの僅かしか生成されないため、冷蔵能の高い氷が製造されていなかったことがわかった。
[0229]
これに対し、本発明者らは、所定の方法により(詳細は後述する)、凝固点が低下した水溶液の氷を製造することに成功した。このような本発明の氷は、上述の(a)~(c)の条件を満たすものであるため、動植物又はその部分を凍結させずに冷蔵する能力に優れている。
[0230]
以下、本発明の製造方法において用いられる上記の(a)~(c)の条件を満たす、溶質を含有する水溶液の氷について、詳細に説明する。
[0231]
(融解完了時の温度)
上記(a)に関して、本発明の氷は、溶質を含む水溶液であるため、真水(溶質を含まない水)の凝固点より凝固点の温度が低下している。そのため、融解完了時の温度が0℃未満であるという特徴を有する。「融解完了時の温度」とは、本発明の氷を融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことで氷の融解を開始させ、全ての氷が融解して水になった時点におけるその水の温度のことを指す。
[0232]
融解完了時の温度は0℃未満であれば特に限定されず、溶質の種類、濃度を調整することで適宜変更することができる。融解完了時の温度は、より冷蔵能が高いという点で、温度が低い方が好ましく、具体的には、-1℃以下(-2℃以下、-3℃以下、-4℃以下、-5℃以下、-6℃以下、-7℃以下、-8℃以下、-9℃以下、-10℃以下、-11℃以下、-12℃以下、-13℃以下、-14℃以下、-15℃以下、-16℃以下、-17℃以下、-18℃以下、-19℃以下、-20℃以下等)であることが好ましい。他方、凝固点を、被冷却物の凍結点に近づけた方が好ましい場合もあり(例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等)、このような場合は、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、-21℃以上(-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上等)であることが好ましい。
[0233]
(溶質濃度の変化率)
上記(b)に関して、本発明の氷は、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある。)が30%以内であるという特徴を有する。特許文献1に記載されたような方法においても、わずかに凝固点の低下した氷が生じる場合もあるが、そのほとんどは溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物であるため、冷蔵能が十分なものでない。このように溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物が多く含まれる場合、氷を融解条件下においた場合、融解に伴う溶質の溶出速度が不安定であり、融解開始時に近い時点である程、溶質が多く溶出し、融解が進むとともに溶質の溶出する量が少なくなり、融解が完了時に近い時点程、溶質の溶出量が少なくなる。これに対し、本発明の氷は、溶質を含む水溶液の氷からなるものであるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%である。なお、「融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意の時点での発生する水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液中の溶質の質量の濃度を意味する。
[0234]
本発明の氷における溶質濃度の変化率は30%以内であれば特に限定されないが、その変化率が少ない方が、凝固点の低下した水溶液の氷の純度が高いこと、つまり、冷蔵能が高いことを意味する。この観点から、溶質濃度の変化率は、25%以内(24%以内、23%以内、22%以内、21%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内等)であることが好ましい。他方、溶質濃度の変化率は、0.1%以上(0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上等)であってもよい。
[0235]
(温度)
上記の(c)に関して、本発明における氷は、温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃であることを特徴とする。かかる範囲を満たせば、氷の温度は限定されないが、凍結点の温度に近い程、低温に維持する効果が高い。このことから、本発明における氷は、凍結点+0.4℃以下であることが好ましく、凍結点+0.3℃以下であることがより好ましく、凍結点+0.2℃以下であることがさらに好ましく、凍結点+0.1℃以下であることがより一層好ましく、凍結点+0.05℃以下であることが特に好ましい。他方、氷の温度が高いほど、動植物又はその部分の凍結を防止する効果に優れる。このことから、氷の温度は、凍結点+0.01℃以上であることがより好ましく、凍結点+0.05℃以上であることがさらに好ましく、凍結点+0.1℃以上であることがより一層好ましく、凍結点+0.2℃以上であることがさらに一層好ましく、凍結点+0.3℃以上であることがなお好ましく、凍結点+0.4℃以上であることが特に好ましい。なお、動植物又はその部分の凍結点は、「動植物又はその部分」の全体の凍結点であってもよく、「動植物又はその部分」の少なくとも一部の凍結点であってもよい。
[0236]
(溶質)
本発明の氷に含まれる溶質の種類は、水を溶媒としたときの溶質であれば特に限定されず、所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。溶質としては、固体状の溶質、液状の溶質等が挙げられるが、代表的な溶質としては、塩類(無機塩、有機塩等)が挙げられる。特に、塩類のうち、食塩(NaCl)は、凝固点の温度を過度に下げすぎず、生鮮動植物又はその一部の冷却に適してことから好ましい。また、食塩は海水に含まれるものであるため、調達が容易であるという点でも好ましい。また、液状の溶質としては、エチレングリコール等が挙げられる。なお、溶質は1種単独で含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
[0237]
本発明の氷に含まれる溶質の濃度は特に限定されず、溶質の種類、冷蔵対象物等を考慮した上での所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。例えば、溶質として食塩を用いた場合は、水溶液の凝固点をより下げて、高い冷蔵能を得ることができるが、適宜その濃度を変更してもよく、例えば、食塩の濃度は0.5%(w/v)以上(1%(w/v)以上、2%(w/v)以上、3%(w/v)以上、4%(w/v)以上、5%(w/v)以上、6%(w/v)以上、7%(w/v)以上、8%(w/v)以上、9%(w/v)以上、10%(w/v)以上、11%(w/v)以上、12%(w/v)以上、13%(w/v)以上、14%(w/v)以上、15%(w/v)以上、16%(w/v)以上、17%(w/v)以上、18%(w/v)以上、19%(w/v)以上、20%(w/v)以上等)であってもよく、23%(w/v)以下(20%(w/v)以下、19%(w/v)以下、18%(w/v)以下、17%(w/v)以下、16%(w/v)以下、15%(w/v)以下、14%(w/v)以下、13%(w/v)以下、12%(w/v)以下、11%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下等)であってもよい。
[0238]
冷蔵対象である動植物又はその部分とそれを冷蔵する氷が融解した水溶液との間で浸透圧が生じると、動植物又はその部分の内部の成分がブリーディングして外に流出したり、あるいは、氷に含まれる溶質が動植物又はその部分に流入したりする現象を生じる。これを抑制するためには、上記の氷を構成する水溶液の溶質の濃度を動植物又はその部分と等張となるように調整することが好ましいが、本発明のような上記(a)及び(b)の条件を満たさない水溶液の氷では、実際に氷を冷蔵対象物に接触させても、冷蔵対象である動植物又はその部分とそれを冷蔵する氷が融解した水溶液との間で浸透圧が生じやすく、持続的な等張を実現しにくい。その理由は、本発明のような上記(a)及び(b)の条件を満たさない水溶液の氷とは、要するに、純粋な水溶液自身の氷でなく、実際は真水からなる氷と溶質との混合物がそのほとんどを占めるものであることに起因していると考えられる。このような混合物の場合、融解開始時の溶質の溶出濃度が高くなる傾向にあり、溶出濃度の変化率が大きいため、上記(b)の条件を満たさないようなものであり、水溶液を凍らせるときにおいては濃度が等張となるように調整しても、冷蔵に使用して氷が融解する際には持続的な等張を実現することができない。これに対し、本発明における水溶液の氷は、水溶液自身の氷であるために上記(b)の条件を満たすものであり、融解過程において溶質の溶出濃度の変化が少ないため、持続的な等張を実現できる。
[0239]
他方、上述の等張は、溶質の濃度の調整が実現するための一要因であるが、溶質の濃度を調整することで氷の融点が変化する。そうすると、上記(c)の条件を満たすようにするために(つまり、温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃と丁度できるようにするために)溶質の濃度を調整した場合、動植物又はその部分との等張を実現できるための濃度に調整することは困難である。しかしながら、本発明の氷は、その製造時において残存する製氷熱(詳細は後述する)を調整することで、凝固点、融点を調整することができるため、上記(c)の条件を満たし、かつ、上記の等張をより確実に実現することができる。
[0240]
本発明における氷は、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水、の氷であることが好ましい。海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、海水魚等を海で捕獲してその場で被冷蔵物を製造する際には、その場で調達が容易できる。また、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、動植物又はその部分を食用として利用したり、移植等のための臓器として使用する場合には、安全性が高い点で有用である。さらに、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、コストの削減も可能となる。
[0241]
冷蔵対象である動植物又はその部分は、特に限定されないが、生鮮動植物又はその部分の冷蔵に好適である。生鮮動植物としては、例えば、海水魚等の生鮮魚、生鮮野菜等が挙げられる。生鮮動植物の部分としては、動物(ヒト等)の臓器が挙げられる。これらのうち、特に、本発明における動植物は、生鮮魚、生鮮野菜等特の食用のものであることが好ましい。また、冷蔵対象を海水魚とした場合、水溶液のNaCl濃度を0%超2%未満とすることが好ましい。これにより、冷蔵対象を海水魚とした場合において本発明における氷が上記(c)の条件を満たしかつ海水魚との等張を実現することができる。さらに、水溶液のNaCl濃度を0%超2%未満であると融解完了温度を-1℃以下にすることができるため、海水魚において微生物の繁殖を抑制できる点でも、有用である。また、冷蔵対象の動植物の部分としては、動物の臓器(例えば、移植用の臓器)が好適である。臓器は、例えば同じ人間由来で同じ等張濃度であっても、凍結点が異なる場合があるが、上述のとおり、本発明によると、氷が上記(c)の条件を満たしかつ等張を実現することができる点で有用である。
[0242]
冷蔵の方法は、特に限定されず、氷を直接冷蔵対象に接触させて冷蔵してもよく、間接的に(例えば、氷を容器等に収納させ、該容器を冷蔵対象物に接触させて)冷蔵してもよい。氷を直接冷蔵対象物に接触させる方法は、乾燥も防げるという点でメリットもあるので好ましい。また、氷を冷蔵対象に直接接触させる場合、その氷が上記の(b)の条件を満たさないような氷であると、等張を実現できないため、直接接触することで冷蔵対象へ悪影響(ブリーディング、溶質成分の冷蔵対象への流入等)が生じるが、本発明における氷は上記の(b)の条件を満たすものであるため、持続的な等張を実現することで冷蔵対象への悪影響を抑制しつつ、直接接触によるメリットも享受できる。
[0243]
本発明の製造方法により製造された氷は冷蔵能に優れるため、被冷蔵物の製造に適している。このような被冷蔵物の製造に使用できるものとしては、氷以外に、エタノール等の不凍液として使用される有機溶媒が挙げられるが、これらの不凍液より氷の方が熱伝導率が高く、比熱が高い。そのため、本発明における氷のような溶質を溶解させて凝固点が低くなった氷は、不凍液のような他の0℃未満の冷媒より、冷蔵能が優れている点においても有用である。
[0244]
本発明の製造方法において、上記の氷以外の成分を冷蔵に用いてもよく、例えば、上記の氷以外に水を用いることで、氷と水との混合物により冷蔵してもよい。例えば、氷に含まれる溶質と同一の溶質を含有する水をさらに冷蔵に用いる場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度は近い方が好ましい。その理由は、以下のとおりである。
[0245]
氷の溶質濃度が水の溶質濃度より高い場合、氷の温度が水の飽和凍結点より低いため、溶質濃度が低い水を混合した直後に水分が凍結する。一方、氷の溶質濃度が水の溶質濃度より低い場合、氷の飽和凍結点よりも水の飽和凍結点のほうが低いため氷が融解し、氷と水との混合物からなる冷媒の温度が低下する。つまり、氷と水との混合物の状態(氷スラリーの状態)を変動させないようにするためには、上述のとおり、混合する氷と水の溶質濃度を同程度とすることが好ましい。また、氷と水との混合物の状態で冷蔵する場合、水は、上記氷が融解してなるものであってもよく、別途調製したものであってもよいが、上記氷が融解してなるものであることが好ましい。
[0246]
具体的には、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が、75:25~20:80であることがより好ましく、70:30~30:70であることがさらに好ましく、60:40~40:60であることがより一層好ましく、55:45~45:55であることがさらに一層好ましく、52:48~48:52であることが特に好ましく、50:50であることが最も好ましい。特に、溶質として食塩を用いる場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が上記範囲内にあることが好ましい。
本実施形態の活き締め方法、活き締め装置16、及び、活き締めシステム10は、上述のような公知技術を利用した冷蔵システムにより、活き締めされた魚20を、より新鮮な状態で冷蔵することが可能である。
以上、本発明に係る実施形態を説明した。実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 :活き締めシステム
12 :養殖水槽
14 :搬送部
16 :活き締め装置
18 :冷蔵部
20 :魚
20a :魚の中心部
20b :心臓
20c :内臓
20d :腹部
22 :集魚装置
22a :先端部
24 :吸引装置
26 :循環ポンプ
26a :吸引配管
26b :排出配管
30 :カプセル
32 :柱
36 :扉
41 :解除ボタン
46 :扉ガイド部
46a :入口
46b :出口
48 :底部
50 :側壁
54 :氷スラリー
56 :冷却用氷スラリータンク
60 :解除部
61 :傾斜面

Claims (6)

  1. 被活き締め物を第1温度の氷スラリーに投入して冷却する第1工程と、
    前記被活き締め物の少なくとも中心部を、冷蔵状態に保ったまま生息可能温度の下限を下回る第2温度とするための所定の投入時間に亘り、前記被活き締め物の前記氷スラリーへの投入を継続する第2工程と、
    前記投入時間の経過に伴い、前記被活き締め物を前記氷スラリーから引き上げる第3工程と、を備えたことを特徴とする被活き締め物の活き締め方法。
  2. 前記投入時間は、前記被活き締め物に応じて予め定められた時間であることを特徴とする請求項1に記載の被活き締め物の活き締め方法。
  3. 前記氷スラリーから引き上げられた前記被活き締め物を、第3温度の冷蔵システムで冷蔵する第4工程を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の被活き締め物の活き締め方法。
  4. 被活き締め物を第1温度の氷スラリーで冷却し、
    前記被活き締め物の温度を、前記被活き締め物の少なくとも中心部を冷蔵状態に保ったまま、生息可能温度の下限を下回る第2温度とすることを特徴とする被活き締め物の活き締め装置。
  5. 被活き締め物を第1温度の氷スラリーで冷却し、
    前記被活き締め物の温度を、前記被活き締め物の少なくとも中心部を冷蔵状態に保ったまま、生息可能温度の下限を下回る第2温度とする活き締め装置を備えたことを特徴とする被活き締め物の活き締めシステム。
  6. 前記被活き締め物を搬送する搬送部を備え、
    前記搬送部が、
    前記被活き締め物を搬送しながら前記活き締め装置に投入し、
    前記被活き締め物の温度を前記第2温度とするための所定の投入時間に達すると、前記被活き締め物を引き上げることを特徴とする請求項5に記載の被活き締め物の活き締めシステム。

JP2021184845A 2021-11-12 2021-11-12 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム Pending JP2023072348A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021184845A JP2023072348A (ja) 2021-11-12 2021-11-12 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム
EP22892915.4A EP4430950A1 (en) 2021-11-12 2022-11-14 Method for quickly killing object to be quickly killed, quick-kill device and quick-kill system
CN202280074981.7A CN118234381A (zh) 2021-11-12 2022-11-14 被活缔物的活缔方法、活缔装置以及活缔系统
KR1020247015621A KR20240108398A (ko) 2021-11-12 2022-11-14 피이키지메물의 이키지메 방법, 이키지메 장치 및 이키지메 시스템
PCT/JP2022/042186 WO2023085417A1 (ja) 2021-11-12 2022-11-14 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021184845A JP2023072348A (ja) 2021-11-12 2021-11-12 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023072348A true JP2023072348A (ja) 2023-05-24

Family

ID=86335909

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021184845A Pending JP2023072348A (ja) 2021-11-12 2021-11-12 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP4430950A1 (ja)
JP (1) JP2023072348A (ja)
KR (1) KR20240108398A (ja)
CN (1) CN118234381A (ja)
WO (1) WO2023085417A1 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH074156B2 (ja) * 1985-05-25 1995-01-25 武 林 魚体の活締、冷却方法
JPH01191640A (ja) * 1988-01-26 1989-08-01 Asahi Eng Kk 捕獲魚類の鮮度保持方法
JPH02167025A (ja) * 1988-12-20 1990-06-27 Asahi Eng Kk 漁獲物の起寒法による鮮度保持方法
JP2001086925A (ja) 1999-09-17 2001-04-03 Nippon Suisan Kaisha Ltd 魚の活け締め方法
JP2006109710A (ja) 2004-10-12 2006-04-27 Nishihara:Kk 魚の活け締め方法及び活け締め前処理装置
JP6473928B2 (ja) 2015-02-17 2019-02-27 ニッカ株式会社 粉粒体散布装置
JP2018017490A (ja) 2016-07-29 2018-02-01 ブランテック株式会社 フレークアイス製造装置、氷、冷媒、氷の製造方法、被冷却物の製造方法、動植物又はその部分の被冷蔵物の製造方法、動植物又はその部分の冷蔵剤、被冷凍生鮮動植物又はその部分の製造方法、被解凍物又はその加工物、及び生鮮動植物又はその部分の凍結剤
JP2019041585A (ja) 2017-08-29 2019-03-22 ブランテック株式会社 魚体活け締め装置、及び魚体の活け締め方法
JP7093946B2 (ja) * 2018-07-25 2022-07-01 株式会社日本トリム 鮮度保持装置及び鮮度保持方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023085417A1 (ja) 2023-05-19
EP4430950A1 (en) 2024-09-18
KR20240108398A (ko) 2024-07-09
CN118234381A (zh) 2024-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7048961B2 (en) Method for freezing edible marine animals
NO162177B (no) Fremgangsm te og anordning for umiddelbar slaktningkjoeling av fisk.
US11985986B2 (en) Method for freezing food items
DK3285590T3 (en) Method and apparatus for delaying rigor mortis in fish
WO2009126548A2 (en) Method for preparing edible aquatic animals for storage
CN106615021A (zh) 一种淡水鱼的保鲜方法
JP3681107B2 (ja) 生鮮食品の鮮度保持方法と生鮮食品の鮮度保持システム
TWI675625B (zh) 超低溫冷凍鮪魚的生產方法及利用該方法所生產的超低溫冷凍鮪魚
JP2014161239A (ja) 冬眠誘導方法及び無水輸送方法
KR101883616B1 (ko) 냉동 보존용 가공 수산물의 제조방법
WO2023085417A1 (ja) 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム
JP6511576B1 (ja) 食肉の熟成方法
JPS61271945A (ja) 魚体の活締、冷却方法
ZA200600023B (en) Freezing method and apparatus
CN105851198A (zh) 一种水产品的保鲜方法
US20020106443A1 (en) Method of freezing salted meat products
JPS61247337A (ja) 魚体の活締、冷却方法および装置
WO1997001958A1 (en) Process and plant for handling fish, from its delivery to the gutting thereof
JPH01191640A (ja) 捕獲魚類の鮮度保持方法
JPH10165039A (ja) 活魚の保存方法及びこれを用いた輸送方法
RU2298989C2 (ru) Способ охлаждения и консервирования ястыков икры рыб преимущественно с пониженным содержанием жира
KR20230154497A (ko) 활어 급냉처리 방법
KR20240050055A (ko) 냉동 수산물 제품의 가공 및 제조방법
CN103947584B (zh) 一种鲟鱼玻璃化冻精的解冻方法
RU2298988C2 (ru) Способ охлаждения и консервирования ястыков икры рыб преимущественно с пониженным содержанием жира

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20240612