JP2001086925A - 魚の活け締め方法 - Google Patents

魚の活け締め方法

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JP2001086925A
JP2001086925A JP26439099A JP26439099A JP2001086925A JP 2001086925 A JP2001086925 A JP 2001086925A JP 26439099 A JP26439099 A JP 26439099A JP 26439099 A JP26439099 A JP 26439099A JP 2001086925 A JP2001086925 A JP 2001086925A
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JP
Japan
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fish
spinal cord
cut
medullary
dorsal aorta
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JP26439099A
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English (en)
Inventor
Hiroshige Inoue
広滋 井上
Itaru Shiotani
格 塩谷
Shugo Watabe
修五 渡部
Kazuma Uematsu
一眞 植松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissui Corp
Original Assignee
Nippon Suisan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚の死後硬直までの時間を延長し、品質保持
時間を長くする方法の提供。 【解決手段】 魚の脊髄の機能のみを停止させた後、5
分間以上水中で放置した後、延髄または背大動脈または
延髄と背大動脈の両方を切断して魚を活け締めする。魚
の脊髄のみを切断し、脊椎骨と背大動脈を切断しないこ
とにより、魚の脊髄の機能のみを停止させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の属する技術分野】本発明は、活魚の品質を長く
保持することができる保存技術に関する。より詳細に
は、活魚の組織が生存する時間を延長する技術、および
死後硬直やそれに関連する生化学的な変化を遅延させる
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】生鮮魚類は品質の劣化が非常に速い食材
である。品質劣化を防ぎ、より新鮮な状態で保持するた
めに様々な技術が考案されている。筋肉の品質の劣化要
因の一つは死後硬直である。筋肉中のエネルギーは、ア
デノシン三リン酸(ATP)とよばれる物質に蓄積されて
いる。筋肉に蓄積されているATPを使い切ると、筋肉は
運動することができなくなり、死後硬直が起こる。死後
硬直はpHの低下や肉色の白濁を伴い、市場での価格は低
下する。従って、ATPの維持は、品質を保持するために
非常に重要である。ATPを維持するための技術のひとつ
は「活き締め」と呼ばれる技術である。「活き締め」の
代表的な方法は、延髄刺殺と呼ばれる方法である。この
方法は、水揚げ後速やかに延髄の切断を行なうことによ
り、全身の動きを停止させて魚が苦悶することを防止
し、苦悶による筋肉中のエネルギーの消費を最小限に抑
えるものである。また、活き締めの際には血液中の成分
が筋肉の劣化を早めたり、見栄えを損なうことを防ぐた
めに、血管も切断して、血液を流出させることも一般的
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、延髄刺殺によ
る活き締めでは、延髄を切断した後の苦悶は防げるが、
すくい上げて刃物を刺すまでの苦悶は防ぐことはできな
い。また、一旦延髄を切断した後は短時間で組織の死亡
が起こるため、ATPはクレアチンリン酸などの補給物質
からの若干量の再生を除けば、基本的には再生されるこ
とはない。従って、延髄刺殺による品質保持には限界が
あり、例えば、水揚げ地で活き締めした魚を遠方の消費
地まで配送するには、より長く死後硬直を遅延できる方
法が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のように、活き締め
において魚の苦悶を防止するには延髄を切らねばならな
いが、組織が死亡するためATPの再生ができなくなる。
その矛盾を解決するためには、運動を止めつつ組織をよ
り長時間生かしておく技術が必要である。本発明者ら
は、神経の切断位置について鋭意検討した結果、延髄で
なく延髄に近い部分の脊髄を切断することで、鰓より後
ろすなわち一般的に食用とする部分の筋肉の運動を抑制
できることを見出し本発明を完成させた。この位置で
は、呼吸や血液循環に関わる機能は停止しないため、脊
椎骨や、脊椎骨の腹側に位置する血管を損傷しないよう
にさえすれば、筋肉組織はすぐに死亡することはなく、
組織が生きている限りATPは再生されるため、ATPの消失
までの時間ひいては死後硬直までの時間を大きく伸ばす
ことが出来る。
【0005】したがって、本願発明は魚の脊髄の機能の
みを停止させる魚の活け締め方法を要旨とする。また、
本願発明は魚の脊髄の機能のみを停止させた後、5分間
以上水中で放置した後、延髄または背大動脈または延髄
と背大動脈の両方の機能を停止する魚の活け締め方法を
要旨とする。さらに、本願発明は魚の脊髄のみを切断
し、脊椎骨と背大動脈を切断しないことにより、魚の脊
髄の機能のみを停止させる魚の活け締め方法を要旨とす
る。また、本願発明は延髄または背大動脈または延髄と
背大動脈の両方を切断することにより延髄または背大動
脈または延髄と背大動脈の両方の機能を停止させる魚の
埋け締め方法を要旨とする。本願発明は、脊髄を第一脊
椎骨と第五脊椎骨の間の1個所で切断する魚の活け締め
方法を要旨としている。
【0006】
【発明の実施の形態】脊髄の機能を停止させる方法は脊
髄の物理的な切断、破壊、薬品等による化学的な遮断、
など如何なる方法によっても構わないが、もっとも安価
で安全性の高い方法の一つが脊髄の切断である。延髄ま
たは背大動脈または延髄と背大動脈の両方の機能を停止
させる方法も同様であり、切断による方法が最も安価、
安全、容易である。脊髄は、細い刃物等の器具を鰓孔の
背側の端付近や、鰓蓋のやや尾側の側線付近などから挿
入して切断することができる。脊髄は脊椎骨の背側を脊
椎骨に沿って走っているため、まず脊椎骨に挿入した刃
先を当てて、脊椎骨に沿って背側方向にスライドさせ
て、脊髄だけを切ることが可能である。脊椎骨は脊髄よ
りも硬いために、脊椎骨を切断せずに脊髄だけを切断す
ることは可能である。この時、脊椎骨に小さな傷が付く
ことは問題がない。また、血管は脊椎骨の腹側を走って
いるため、脊椎骨から背側に器具を動かせば背大動脈を
傷つけることはない。なお、器具の種類や挿入方法、切
断に使う器具などは上記に限定されるものではない。
【0007】脊髄を切断後、水から揚げて保存すると、
鰓からの酸素供給が断たれるため、徐々に組織は死亡す
る。この状態でも筋肉が苦悶しないためにATPの消費は
緩やかであるが、より組織を長く生かしておくために
は、脊髄切断後も水中で保持することでさらに組織を長
く生かすことが可能となる。また、活き締め魚として出
荷するには、脊髄切断処理後水槽に移し、水中で保持し
た後、通常通りの延髄刺殺を行なえば、通常の延髄刺殺
と同様に全身の動きを停止させた状態で出荷することが
できる。すでに筋肉の運動能力はないので延髄刺殺を容
易に行なうことができ、しかも暴れることによるATP消
費が起こらないので、初めから延髄刺殺を行なう場合よ
り品質保持時間を長くすることができる。また、延髄刺
殺時に通常の活き締めと同様に血管を切って血液を流出
させることも可能である。
【0008】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0009】実施例1 養殖マダイ(平均体重1.5kg)6尾を生簀から手網ですく
い上げ、うち3尾の鰓孔のすぐ尾側の部分の側線付近か
ら幅約5mmの刃物を差し込み、第二脊椎骨と第三脊椎骨
の間の付近で脊髄を切断した(試験区)。残る3尾は、
包丁を鰓孔から差し込み、延髄を切断した(対照区)。
両区とも水から揚げて4℃の冷蔵庫に保存し、2〜4時間
に1回死後硬直度とATP量を測定した。死後硬直は尾藤ら
の方法に従って測定した。すなわち、図1にように、魚
の頭側を水平な台に乗せ、尾側を台の角から垂れ下がら
せて、脊髄または延髄を切断した直後の垂れ下がり(R
0)と各測定時間における垂れ下がり(Rt)を測定し
て、次の式で計算した。 死後硬直度(%)=100×(R0−Rt)/R0 ATP量は、各供試魚の鰓のやや後ろの背部普通筋を約1g
切り取り、10%過塩素酸(PCA)溶液中でホモジナイズし
て、3000gで遠心分離し、上澄を10Nまたは1N水酸化カリ
ウム溶液で中和して、メスフラスコで定容し、高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。抽出操作は氷
冷下で行ない、中和液は分析まで−80℃で保存した。HP
LCの分析条件は以下の通り、 溶出液:A液:0.2Mトリエチルアミン-酢酸(pH6.6) B液:0.2Mトリエチルアミン-酢酸(pH6.6)-5%(v/
v)アセトニトリル A液4%:B液96%で開始し、5分後から25分間でA液0%:B液
100%となる直線グラジエントとした。 流速:1.0ml/min カラム:YMC-Pack ODS-AM 150mm×6.0I.D. カラム温度:40℃ 検出:UV(260nm) 注入量:20μl
【0010】死後硬直測定の結果を図2に示した。試験
区の死後硬直の進行は対照区よりも2時間程度遅れて進
行した。ATP量についても、対照区は8時間後には殆ど痕
跡程度に消失していたが、試験区はまだATPが残存して
おり、ほぼ消失したのは21時間後であった(図3)。以
上の結果から、脊髄切断した魚は通常の延髄切断よりも
品質保持時間が延長されることが示された。
【0011】実施例2 養殖マダイ(平均体重1.5kg)5尾を生簀から手網ですく
い上げ、うち2尾の鰓孔のすぐ尾側の部分の側線付近か
ら幅約5mmの刃物を差し込み、第二脊椎骨と第三脊椎骨
の間の付近で脊髄を切断した。発泡スチロール箱に海水
を入れて、通気しながら冷蔵庫(4℃)に保存した。24
時間後、すくい上げて包丁で延髄を切断した(試験
区)。比較のために、同サイズのマダイ3尾を生簀から
手網ですくい上げ、包丁を鰓孔から差し込み、延髄を切
断した(対照区)。両区とも水から揚げて4℃の冷蔵庫
に保存し、2〜4時間に1回死後硬直度とATP量を測定し
た。死後硬直及びATPの分析は実施例1に記載の方法を用
いた。死後硬直測定の結果を図4に示した。対照区は12
時間後にはほぼ完全硬直に達していたのに対し、試験区
が完全硬直に近づいたのは21時間後であった。ATP量
(図5)についても、対照区は8時間後には殆ど痕跡程度
に消失していたが、試験区はまだATPが残存しており、
ほぼ消失したのは21時間後であった。以上の結果から、
脊髄切断した魚は、24時間水中で放置してある間も、生
簀で泳いでいるのと同様の状態で保持され、24時間保持
後に延髄切断すると、生簀から揚げて延髄切断するより
も品質保持時間が延長されることが示された。
【0012】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、死後
硬直までの時間を延長することができ、より長時間の活
魚商材の流通が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】死後硬直度を測定する方法を説明する図面であ
る。
【図2】保存中の死後硬直度の変化を示す図面である。
【図3】保存中のATP含量の変化を示す図面である。
【図4】保存中の死後硬直度の変化を示す図面である。
【図5】保存中のATP含量の変化を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植松 一眞 広島県東広島市鏡山1−4−4 広島大学 生物生産学部内 Fターム(参考) 2B104 AA01 BA16 4B011 KA01 KE25

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚の脊髄の機能のみを停止させる魚の活
    け締め方法。
  2. 【請求項2】 魚の脊髄の機能のみを停止させた後、5
    分間以上水中で放置した後、延髄または背大動脈または
    延髄と背大動脈の両方の機能を停止する魚の活け締め方
    法。
  3. 【請求項3】 魚の脊髄のみを切断し、脊椎骨と背大動
    脈を切断しないことにより、魚の脊髄の機能のみを停止
    させる請求項1または2の魚の活け締め方法。
  4. 【請求項4】 延髄または背大動脈または延髄と背大動
    脈の両方を切断することにより、延髄または背大動脈ま
    たは延髄と背大動脈の両方の機能を停止させる請求項2
    ないし4いずれかの魚の活け締め方法。
  5. 【請求項5】 脊髄を第一脊椎骨と第五脊椎骨の間の1
    個所で切断する請求項3または4の魚の活け締め方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007075055A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Hakodate Chiiki Sangyo Shinko Zaidan 活き締めされたイカ及びイカの活き締め方法
WO2023085417A1 (ja) 2021-11-12 2023-05-19 ブランテックインターナショナル株式会社 被活き締め物の活き締め方法、活き締め装置、及び、活き締めシステム

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