JP2012135285A - 養殖魚用の人工飼育水の製造方法 - Google Patents

養殖魚用の人工飼育水の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】養殖魚の血液の浸透圧と略等しい浸透圧を有する人工飼育水を効率よく製造する方法、養殖魚を効率よく養殖又は飼育することができる該人工飼育水、並びに前記人工養殖水を用いた効率のよい安全な養殖魚の養殖方法を提供すること。
【解決手段】複数の同じ種類の養殖魚から採血し、血液の浸透圧を測定してその平均値を算出し、前記浸透圧の平均値と略等しい浸透圧となるように、水と塩類とを混合して人工飼育水を調製することを特徴とする、養殖魚用の人工飼育水の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、海水魚又は淡水魚の養殖に使用する人工飼育水の製造方法に関する。また、本発明は、人工飼育水及び該人工飼育水を用いた養殖魚の養殖方法に関する。
従来、魚介類の閉鎖型の陸上養殖や観賞水槽で使用される飼育水としては、養殖の魚が実際に生息している環境に適合したものが選ばれている。例えば、淡水魚であれば河川や湖沼から採取した水が使用され、海水魚であれば海から採取した海水(地下海水、海洋深層水を含む)や人工海水が使用されている。
これらの飼育水には、養殖や飼育を効率よく行うために、pH、水温を調整したり、殺菌処理したりすることは通常よく行われている。また、魚へ与える餌の種類、魚の密度などの他の環境要因を養殖魚の種類に応じて調整したり、細菌や藻類を共生させることで、養殖や飼育の効率化が図られている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
このように、魚を養殖・飼育するための手法では様々知られているものの、より効率のよい養殖や飼育を行う方法は常に求められている。
特開平09−205922号公報 特開平10−290642号公報 特開2000−342191号公報 特開2001−299127号公報 特開2005−245326号公報
海水中で海水魚はエラで塩分を少なくした水を大量に摂取し、腎臓で高濃度の量を排出しており、一方、淡水中で淡水魚は塩類の少ない尿を排出している。海水魚や淡水魚は、前記のような活動をすることで、体液(主に血液)と環境水との浸透圧の違いを調節して体を維持している。これらの浸透圧調節には、海水魚、淡水魚ともにその体の維持に必要なエネルギーの30%くらいを必要としているという報告もある。
そこで、本件発明者らは、前記の浸透圧調整を行う必要がなくなる環境下で養殖や飼育をすれば、海水魚や淡水魚への体の負担が軽減し、より効率よく養殖や飼育を行うことが可能となるという仮説を立てて、実験したところ、実際に有意な効果を確認することができた。
すなわち、本発明は、養殖魚の血液の浸透圧と略等しい浸透圧を有する人工飼育水を効率よく製造する方法、養殖魚を効率よく養殖又は飼育することができる該人工飼育水、並びに前記人工養殖水を用いた効率のよい安全な養殖魚の養殖方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕複数の同じ種類の養殖魚から採血し、血液の浸透圧を測定してその平均値を算出し、
前記浸透圧の平均値と略等しい浸透圧となるように、水と塩類とを混合して人工飼育水を調製することを特徴とする、養殖魚用の人工飼育水の製造方法、
〔2〕前記塩類がナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である前記〔1〕記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法、
〔3〕養殖魚の血液中における、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量の平均値を測定し、
前記の各イオンの平均値と略等しくなるように、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩と水とを混合することにより、血液の浸透圧と略等しい浸透圧を有する人工飼育水を調製する、前記〔1〕又は〔2〕記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法、
〔4〕養殖魚が淡水魚又は海水魚である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の製造方法により得られる養殖魚用の人工飼育水、
〔6〕前記〔5〕記載の養殖魚用の人工飼育水を用いることを特徴とする養殖魚の養殖方法、
〔7〕人工飼育水の浸透圧を段階的に増加又は減少して養殖魚を順化させ、最終的に人工飼育水の浸透圧を、養殖魚の血液の浸透圧の平均値と略等しい浸透圧に調整する前記〔6〕記載の養殖魚の養殖方法、
〔8〕人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に増大又は希釈させ、最終的に養殖魚の血液の各イオンの平均値と略等しくなるように人工飼育水中の各イオンの含有量を調整することにより、血液の浸透圧と略等しい浸透圧に人工飼育水の浸透圧を調整する前記〔7〕記載の養殖魚の養殖方法、
〔9〕養殖魚が淡水魚であり、人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に増大させる前記〔8〕記載の養殖魚の養殖方法、
〔10〕養殖魚が海水魚であり、人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に減少させる前記〔8〕記載の養殖魚の養殖方法
に関する。
本発明の養殖魚用の人工飼育水の製造方法により、養殖魚の血液の浸透圧と略等しい浸透圧を有する人工飼育水を効率よく製造することができる。
また、前記製造方法で得られた人工飼育水は、養殖魚の血液の浸透圧と略等しいため、その中で養殖又は飼育される魚にとって、浸透圧調節のためのエネルギー消費が顕著に低減することで、魚の効率のよい成長が可能となる。
また、前記人工飼育水を用いて養殖魚の養殖を行うことで、養殖魚を従来の水を用いる場合よりも効率よく成長させることが可能となる。
本発明の養殖魚用の人工飼育水の製造方法は、
複数の同じ種類の養殖魚から採血し、血液の浸透圧を測定してその平均値を算出し、
前記浸透圧の平均値と略等しい浸透圧となるように、水と塩類とを混合して人工飼育水を調製することを特徴とする。
養殖対象の魚としては、養殖可能な海水魚、淡水魚であって、食用、観賞用いずれも含まれる。例えば、食用の海水魚としては、トラフグ、ヒラメ、カレイ、ブリ(ハマチ)、マダイ、カンパチ、クロマグロ、シマアジ、マアジ、ヒラマサ、イシダイ、カワハギ、メバル、カサゴ、クロダイ、スズキ、チダイ、マサバ、メジナ、マハタなどが挙げられる。食用の淡水魚としては、コイ、アユ、ニジマス、イワナ、ドジョウ、ナマズなどが挙げられる。また、観賞用の養殖魚としては、キンギョ、ニシキゴイ、ミドリフグ、八の字フグ、メダカ、モロコ、スズメダイ、カクレクマノミなどが挙げられる。
採血する養殖魚の数としては、同じ種類の魚であって、統計学的な観点から、少なくとも3匹以上が好ましく、さらに養殖魚の数が多いほど、浸透圧の状態により近づけることができるので好ましい。ただし、同じ種類の魚であっても、泳ぎ方、餌の食べ方、体長や体重が類似した複数の魚から採血することが好ましい。
養殖魚からの採血は、注射器を用い、魚の静脈又は動脈に注射針を刺して採血すればよい。注射針を刺す静脈又は動脈の位置については、特に限定はないが、尻鰭又は尾鰭付近の比較的魚体への影響が少ない部分で行えばよい。また、前記注射針や注射器の種類としては、魚類で使用可能なものであればよく、針の大きさ、針及び注射器の材質については特に限定はない。
なお、採取する血液の量としては、後述の血液検査に必要な量を満たす必要があり、1ml程度であればよい。
採取された血液は、注射器内の血液を収容するチューブ内に導入された後、該チューブを注射器から取り外して専用の収容箱に入れ、保冷ボックス内で5℃付近に保管して、血液が変質しないようにしておく。
次いで、前記血液の浸透圧を測定する。浸透圧の測定には、公知の測定装置を用いればよい。
また、本発明において、養殖魚の浸透圧を測定する以外に、血液中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を測定する。血液中のこれらのイオンはいずれも浸透圧と相関関係を有しており、イオンの含有量が増大すると浸透圧も高くなる。
本発明では、前記血液中のイオンの含有量の測定には、市販の動物用の血液分析装置を用いる。例えば、ベトスキャン(VetScan)やその他の市販の生化学自動分析システムなどの全自動型の血液分析装置が挙げられる。また、ELISA原理などを利用した市販の血液検査キットを用いて測定することもできる。なお、測定装置を決定した場合には、測定誤差のリスクを低減する観点から、以降の血液成分の測定は同じ装置を用い、同じ測定条件で行うようにする。
前記のように測定する浸透圧又は各イオンの含有量の平均値は、測定した浸透圧又は各イオンの含有量を合計し、サンプリングした養殖魚の匹数で割ることにより算出することができる。
なお、平均値を測定するために測定した浸透圧又は各イオンの含有量の数値が極端に相違している場合には、再度測定することが可能であれば測定し、再度の検査が不可能な場合は、この異常検体の測定結果をいれずに平均値を求めるというように処理する。
次いで、本発明では、前記浸透圧の平均値と略等しい浸透圧となるように、水と塩類とを混合して人工飼育水を調製する。
前記塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩を用いる。
本発明では、前記塩類の人工飼育水中の含有量を、血液中のイオンの含有量に略等しくなるように調整することで、人工飼育水の浸透圧を、血液の浸透圧と略等しくなるように調整することができる。
前記ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましく、カリウム塩としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウムが好ましく、カルシウム塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウムが好ましく、マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、等が挙げられる。
前記塩類を混合する水としては、予め前記イオンを含んでいないか、含んでいても微量である水、例えば、水道水、イオン交換水、地下水、温泉水などが使用される。
前記塩類が溶解した人工飼育水の浸透圧中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量並びに浸透圧は、前記養殖魚の血液中の各イオンの含有量の平均値並びに血液の浸透圧の平均値と、それぞれが略等しくなるように調整されている。本発明において略等しいとは、平均値の値を100%とした場合に、±20%の範囲をいう。
本発明の人工飼育水が使用できる養殖形態としては、水が外部から浸入しない閉鎖した環境で行う養殖、例えば、陸上養殖池、陸上タンク掛け流し養殖、陸上循環濾過養殖などが挙げられる。また、本発明の人工飼育水は、水槽等の観賞用の人工飼育水としても使用することができる。
前記人工飼育水を用いる養殖魚の養殖方法では、前記人工飼育水の浸透圧を段階的に増加又は減少して養殖魚を順化させ、最終的に人工飼育水の浸透圧を、養殖魚の血液の浸透圧の平均値と略等しい浸透圧に調整することが好ましい。
前記人工飼育水はいずれも浸透圧が、淡水又は海水とは有意に相違した状態に調整されているため、養殖又は飼育の対象である海水魚や淡水魚をいきなり人工飼育水に入れると、ストレスがかかり、人工飼育水の環境に適応するまで時間がかかってしまう可能性がある。特に海水魚の場合、魚の種類によっては浸透圧の急激な変化に適応できずに、長く生きられない可能性もある。
本発明では、前記のように人工飼育水の浸透圧を段階的に増加又は減少して養殖魚を段階的に順化させることで、養殖魚に深刻なストレスをかけることなく、最終的に目的の浸透圧に調整した人工飼育水中での養殖または飼育を可能になる。
具体的には、人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に増大又は希釈させ、最終的に養殖魚の血液の各イオンの平均値と略等しくなるように人工飼育水中の各イオンの含有量を調整することにより、血液の浸透圧と略等しい浸透圧に人工飼育水の浸透圧を調整する。
本発明の人工飼育水の浸透圧は海水よりも淡水に近いものであるため、養殖魚が淡水魚である場合、目的の浸透圧に調整した人工飼育水に魚を直接入れてもよい。ただし、より安全に養殖又は飼育を行う観点から、魚が泳いでいる人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を淡水のレベルから段階的に増大させていくことで、目的の浸透圧に魚をスムーズに順化させることができる。例えば、目的の浸透圧の半分位に浸透圧を調整した人工飼育水中にまず魚を入れて順化した後、目的の浸透圧の人工飼育水中に魚を移せばよく、必要であれば、目的の浸透圧までの調整を2段階以上になるように設定してもよい。
一方、養殖魚が海水魚である場合、浸透圧の変化が大きいため、魚が泳いでいる人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を海水のレベルから段階的に減少させることで浸透圧の調整を行うことが必要である。例えば、海水の浸透圧と目的の浸透圧との中間付近に設定した人工飼育水中にまず魚を入れ、次いで目的の浸透圧の人工飼育水中に移せばよく、必要であれば、目的の浸透圧までの調整を2段階以上になるように設定してもよい。
なお、順化にかける時間は、淡水魚、海水魚とも、各段階の浸透圧の人工飼育水中に魚を1日程度泳がせておけばよいが、その期間を2日〜数日程度にすれば、より安全に魚を順化させることができる。
(実施例1)海水魚であるトラフグ用の人工飼育水
1.採血
大阪市の活魚センターで購入したトラフグ(体重750〜800g)12匹をタオルで魚体を巻いて台に固定し、トラフグの尻鰭と尾鰭の間で脊椎に照準して注射針を入れ、注射器を減圧しながら、背動脈を探り、1ml程度採血した。注射器は、事前に抗凝固剤のヘパリンで処理した。
採血が終了したら、注射針を抜いて血液が導入された採血チューブを専用の収容箱に入れて、保冷ボックスにて5℃にて保管した。養殖フグ毎に上記の操作を繰り返して血液を採取した。
2.血液分析
1)浸透圧
前記採血チューブを5℃で1時間以上放置した後、前記採血チューブを遠心分離装置のローターに入れて遠心処理した(10000rpm、15分、4℃)。
次いで、ローターを遠心分離装置から取り出し、5℃下で保管した。血チューブからピペットマンで100μlの血漿(遠心分離後の上清)を取り出し、浸透圧測定装置(株式会社バイオメディカルサイエンス社製、微量浸透圧測定装置、マイクロオズモマスターOM−815)に供して浸透圧の測定を行った。その結果、浸透圧の平均値は、320mOsm/kgであった。
2)イオン含有量
前記遠心分離した血漿を次のイオン含量の測定に供した。
血液分析装置(Abaxis社製、全血自動分析装置「VetScan」(分析試薬マルチロータII VCDPを使用))を用意して、この血液分析装置のマニュアルに基づいて、採血チューブからピペットマンで100μlの血漿(遠心分離後の上清)を前記マルチロータにアプライして浸透圧及び血液成分の測定を行った。測定終了後に結果を専用用紙に印字させた。
各イオンの含有量の平均値は以下のようになった。
ナトリウムイオン : 145.4mMol/L
カリウムイオン : 3.2mMol/L
カルシウムイオン : 2.2mMol/L
マグネシウムイオン: 4.1mMol/L
次に、前記イオンと略等しくなるための、水に溶解させる塩類の濃度を換算したところ、
NaCl : 8.50g/L
KCl : 0.24g/L
CaCl2・2H2O : 0.32g/L
MgCl2・6H2O : 0.42g/L
MgSO4・7H2O : 0.51g/L
となった。
したがって、これらの各塩類をカルキ抜きした水道水に混合・溶解して人工飼育水を得た。
なお、人工飼育水の浸透圧を前記血液と同様に調べたところ、314mOsm/kg(前記平均値の約98%)となり、血液の浸透圧の平均値と略等しいことを確認した。
なお、各種塩類の含有量を2倍、3倍、4倍にして、浸透圧の大きさを2倍、3倍、4倍に増大させた人工飼育水も調製した。
次いで、前記人工飼育水160Lを水槽(90cm×45cm×45cm)に入れて、18℃に水温を調整して水を常時循環した。人工飼育水の種類ごとに水槽を用意した。
そして、浸透圧の大きさが4倍の人工飼育水を入れた水槽に、活魚センターから購入したトラフグを3匹入れて1日飼育し、次いで浸透圧の大きさが3倍の水槽、2倍の水槽、1倍の水槽に段階的に順化した。そして1倍の水槽に入れた日を0日目として、7日目、10日目のトラフグの体重の平均値を測定した。同様に別の同数のトラフグを用いて、2倍の水槽、3倍の水槽、4倍の水槽でのそれぞれの段階に順化したトラフグの体重変化を測定した。それらの結果を表1に示す。表中では、平均体重を示す。なお、上記の実験環境ではトラフグは餌を摂食しないため、給餌は行わなかった。
Figure 2012135285
表1に示す結果より、目的の浸透圧である1倍の浸透圧を有する人工飼育水に順化したトラフグは、トラフグでは良く見られる過剰なストレスによる体重減少の影響がほとんど見られず、歩留まりのよい飼育が行えていることがわかる。
また、トラフグの状態を確認するために、飼育開始から3日目の1分間あたりの呼吸回数を3回にわたって測定した。その平均回数を表2に示す。
Figure 2012135285
表2に示す結果より、目的の浸透圧である1倍の浸透圧を有する人工飼育水中のトラフグは、呼吸回数が他の浸透圧の場合よりも有意に少ないことから、顕著に安定した状態であるといえる。
なお、前記1倍の浸透圧を有する人工飼育水に順化せずに直接、トラフグを数匹入れたところ、0〜3日間は、落ち着かず、水槽を激しく泳ぎ回っていた。また、個体により気泡病の発生も観察された。このことから、海水魚の場合には、目的の浸透圧の人工飼育水までに段階的に順化を行うことで養殖・飼育をより安全に行うことができることがわかる。
(実施例2)
養殖魚を海水魚であるヒラメあるいはマダイに換えた以外は、実施例1と同様にして血液中の浸透圧および各イオン含有量の測定を行い、得られた血液中の浸透圧及び各イオン含有量と略等しくなるように塩類を混合した人工飼育水を調製して、ヒラメあるいはマダイの飼育を行ったところ、体重の歩留まりと、呼吸数がいずれも実施例1と同様の傾向を示した。
(実施例3)淡水魚であるニシキゴイ用の人工飼育水
1.採血
兵庫県の活魚センターで購入したニシキゴイ(体重55〜60.5g)24匹を用いた以外は、実施例1と同様にして採血を行い、浸透圧および各イオン含有量の測定を行った。
その結果、浸透圧の平均値は、 273mOsm/kgであった。
また、各イオンの含有量の平均値は以下のようになった。
ナトリウムイオン : 127.4mMol/L
カリウムイオン : 2.0mMol/L
カルシウムイオン : 2.8mMol/L
マグネシウムイオン: 0.69mMol/L
次に、前記イオンと略等しくなるための、水に溶解させる塩類の濃度を換算したところ、
NaCl : 7.45g/L
KCl : 0.15g/L
CaCl2・2H2O : 0.41g/L
MgCl2・6H2O : 0.070g/L
MgSO4・7H2O : 0.085g/L
となった。
したがって、これらの各塩類をカルキ抜きした水道水に混合・溶解して人工飼育水を得た。
なお、人工飼育水の浸透圧を前記血液と同様に調べたところ、269mOsm/kg(前記平均値の約98.5%)となり、血液の浸透圧の平均値と略等しいことを確認した。
また、各種塩類の含有量を2分の1に希釈して、目的の浸透圧から浸透圧の大きさを2分の1に低減させた人工飼育水も調製した。また、各種塩類の含有量を50%多く添加して、目的の浸透圧から浸透圧の大きさを1.5に増加させた人工飼育水も調製した。
次いで、前記人工飼育水60Lを水槽(60cm×35cm×30cm)に入れて、18℃に水温を調整して水を常時循環した。人工飼育水の種類ごとに水槽を用意し、対象として水のみのものも用意した(0倍)。
これらの水槽に活魚センターから購入したニシキゴイを6匹ずついれ、0週目、2週目、4週目の体重の平均値を測定した。なお、餌は市販のニシキゴイ専用配合餌料を用い、全ての水槽で同じ時間に同じ量だけ給餌した。その結果を表1に示す。
Figure 2012135285
表3に示す結果より、目的の浸透圧である1倍の浸透圧を有する人工飼育水中のニシキゴイは、0倍、1/2倍及び1.5倍の場合よりも有意に体重が増加していることから、4週間という短時間の間でも、通常の養殖・飼育条件よりも有意に効率よく養殖・飼育が行えることがわかる。
(実施例4)キンギョ・メダカの養殖
実施例1で得られた1倍の人工飼育水中に、購入したキンギョ(体重5〜6g)・メダカ(体重0.2〜0.3g)を入れて飼育したところ、活発に泳いでおり、4週間で、水道水の場合と比べて、体重が1.2〜1.3倍に増加した。このことから、人工飼育水中では、キンギョ・メダカも有意に効率よく、養殖・飼育が行えることがわかる。

Claims (10)

  1. 複数の同じ種類の養殖魚から採血し、血液の浸透圧を測定してその平均値を算出し、
    前記浸透圧の平均値と略等しい浸透圧となるように、水と塩類とを混合して人工飼育水を調製することを特徴とする、養殖魚用の人工飼育水の製造方法。
  2. 前記塩類がナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である請求項1記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法。
  3. 養殖魚の血液中における、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量の平均値を測定し、
    前記の各イオンの平均値と略等しくなるように、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩と水とを混合することにより、血液の浸透圧と略等しい浸透圧を有する人工飼育水を調製する、請求項1又は2記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法。
  4. 養殖魚が海水魚又は淡水魚である請求項1〜3いずれか記載の養殖魚用の人工飼育水の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られる養殖魚用の人工飼育水。
  6. 請求項5記載の養殖魚用の人工飼育水を用いることを特徴とする養殖魚の養殖方法。
  7. 人工飼育水の浸透圧を段階的に増加又は減少して養殖魚を順化させ、最終的に人工飼育水の浸透圧を、養殖魚の血液の浸透圧の平均値と略等しい浸透圧に調整する請求項6記載の養殖魚の養殖方法。
  8. 人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に増大又は希釈させ、最終的に養殖魚の血液の各イオンの平均値と略等しくなるように人工飼育水中の各イオンの含有量を調整することにより、血液の浸透圧と略等しい浸透圧に人工飼育水の浸透圧を調整する請求項7記載の養殖魚の養殖方法。
  9. 養殖魚が淡水魚であり、人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に増大させる請求項8記載の養殖魚の養殖方法。
  10. 養殖魚が海水魚であり、人工飼育水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量を段階的に減少させる請求項8記載の養殖魚の養殖方法。
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