JP2023070757A - マスク製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬液の液垂れを極力防止しつつ、みずみずしい使用感と、薬液の基剤への含浸性を実現し得るマスク製剤を提供する。【解決手段】(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、(B)水溶性の高分子化合物とを含有し、粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤とを備えてマスク製剤を構成する。【選択図】なし
Description
本発明は、美容を目的として用いられるマスク製剤に関する。
フェイスマスクやフェイシャルマスク等と称される製品(以下、「マスク製剤」)は、不織布等のシート状の基剤に薬液としての化粧料を含浸させ、これを使用者の顔面等の皮膚に貼り付けて使用されるスキンケア用品である。こうした皮膚化粧料に関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
上述の如きマスク製剤には、該マスク製剤全体を顔面等に貼り付けた状態で保持する必要があるため、なるべく液垂れしにくいことが求められる。一方、皮膚に貼り付けた際のみずみずしい使用感も重要であるし、また、薬液が基剤に対し、よく含浸していることも必要である。
マスク製剤における薬液の液垂れ防止には、例えば薬液に高分子化合物を混合して粘度を高める方法が一般的である。しかしながら、薬液の粘度を高めすぎれば使用感のみずみずしさが抑えられてしまうほか、基剤に対する含浸性も低下してしまうというジレンマがある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、薬液の液垂れを極力防止しつつ、みずみずしい使用感と、薬液の基剤への含浸性を実現し得るマスク製剤を提供しようとするものである。
上記課題を解決し得る手段として、本発明は、
(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、
(B)水溶性の高分子化合物と を含有し、
粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、
目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤と
を備えたマスク製剤を提供する。
(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、
(B)水溶性の高分子化合物と を含有し、
粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、
目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤と
を備えたマスク製剤を提供する。
本発明のマスク製剤において、(A)ポリオールとしては、2価以上の多価アルコールに該当する1種又は2種以上の物質を用いることができる。
本発明のマスク製剤において、(A)ポリオールは、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、からなる群より選択される1種又は2種以上の物質とすることもできる。
本発明のマスク製剤において、(B)高分子化合物は、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸及びその塩、ジェランガム、シロキクラゲ多糖体、から選択される1種又は2種以上の物質とすることができる。
本発明のマスク製剤において、前記基剤である不織布は、コットン、コットンリンター、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、セルロース、シルク、ポリアミド、パルプ、麻、から選択される1種又は2種以上の物質により構成することができる。
本発明のマスク製剤は、薬液に(C)美白成分または(D)抗炎症成分のうち少なくともいずれかをさらに含むことができる。
本発明のマスク製剤は、(C)美白成分として、トラネキサム酸およびその塩、アスコルビン酸およびその誘導体、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド、プラセンタエキス、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液に含むことができる。
本発明のマスク製剤は、(D)抗炎症成分として、アラントイン、塩化リゾチーム、グアイアズレン、γ-オリザノール、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸およびその塩、トラネキサム酸およびその誘導体、イプシロンアミノカプロン酸、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液に含むことができる。
本発明のマスク製剤は、植物エキス、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、油剤、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、香料、キレート剤、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液にさらに含むことができる。
本発明のマスク製剤によれば、薬液の液垂れを極力防止しつつ、みずみずしい使用感と、薬液の基剤への含浸性を実現するという優れた効果を奏し得る。
本発明者は、マスク製剤に関し、上記課題を解決し得る薬液の処方並びに基剤の構成を鋭意検討の結果、(B)水溶性の高分子化合物により薬液において適当な粘度を保ちつつ、(A)ポリオールの添加によってみずみずしい使用感を実現し、さらに基剤として適当な目付の不織布を使用することで、液垂れを防止しながら、薬液が基剤に対し十分に含浸し得るマスク製剤を発明するに至った。以下、本発明のマスク製剤の形態や組成について説明する。
本発明のマスク製剤は、
(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、
(B)水溶性の高分子化合物と を含有し、
粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、
目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤と
を備えて構成される。
(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、
(B)水溶性の高分子化合物と を含有し、
粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、
目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤と
を備えて構成される。
マスク製剤の液垂れを防止するには、薬液にある程度の粘度が必要である。薬液の粘度は、薬液に(B)高分子化合物を添加することで高めることができる。薬液の粘度は、10,000mPa・s以上あれば液垂れを好適に防止することができる。一方、薬液の粘度が高すぎるとべたつきが大きくなり、使用感のみずみずしさを損ねるので、薬液の粘度は40,000mPa・s以下とするとよい。薬液には、(B)高分子化合物を宜添加することで、10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下の適当な粘度を付与することができる。尚、薬液における(B)高分子化合物の含有量については、薬液の粘度が上記の範囲内となるよう適宜調整すればよいが、概ね0.05質量%以上0.5質量%以下程度とすれば、適当な粘度を得ることができる。尤も、薬液の粘度は(B)高分子化合物の含有量以外の要素にも左右されるため、適当な薬液の粘度を保ち得る(B)高分子化合物の薬液に対する含有量は、前記範囲のみに限定されるものではない。
ここで、一般的なマスク製剤において、粘度の高い薬液は使用感のみずみずしさに欠ける傾向がある。本発明者らは、(B)水溶性の高分子化合物を含有する薬液に(A)ポリオールを添加することにより、薬液の粘度を確保しながら、薬液にみずみずしい使用感を付与できることを見出した。みずみずしい使用感は、薬液に(A)ポリオールを1質量%以上含むことで得ることができる。一方、(A)ポリオールの含有量が多すぎれば、それによってべたつきが生じ、みずみずしい使用感が損なわれる。そこで、薬液における(A)ポリオールの含有量は、20質量%以下とすることが好ましい。
尚、薬液の粘度が高すぎると、あるいは薬液における(B)高分子化合物の含有量が高すぎると、(A)ポリオールを添加してもべたつきが十分に解消されない。この意味でも、上述のように薬液の粘度は40,000mPa・s以下とすることが好ましい。
このように、本発明のマスク製剤では薬液の粘度を高めて液垂れを防止しつつ、みずみずしい使用感を得ることを特徴としている。ここで、マスク製剤においては、基剤に対し薬液が含浸しやすいことが重要である。マスク製剤は、例えば薬液と共に基剤が封入されたパウチの形で販売されており、ここから薬液の含浸した基剤を取り出して使用されるが、このとき、薬液が基剤に十分に浸透していない部分があると、当然その部分では薬液の効果が得られない。よって、基剤に薬液が十分に含浸していない可能性のある製品では、例えば使用者が容器から取り出したマスク製剤を点検し、基剤のうち薬液の含浸していない部分に自ら薬液を揉み込んでから使用する、といった手間が都度生じてしまい、煩雑である。そのうえ、殺菌力のある薬液が浸透していない部分にはカビが発生しやすい。
上記のような粘度を有する薬液を用いつつ、これを基剤に対し十分に含浸するには、基剤として目付が40g/m2未満の不織布を用いるとよい。目付が40g/m2未満の軽量で柔らかい不織布であれば、上記のような粘度の薬液であっても容易に含浸させることができる。一方、目付が小さすぎれば、柔らかすぎてマスク製剤の基剤として使用しづらいので、基剤である不織布の目付は20g/m2以上程度が必要である。
(A)ポリオールとしては、例えば、2価以上の多価アルコールに該当する1種または2種以上の物質、または、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ジグリセリン、ペンチレングリコールからなる群から選択される1種または2種以上の物質を用いることができる。特に好ましくは、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、からなる群から選択される1種または2種以上の物質を用いることができる。
(B)高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸/メタクリル酸アンモニウム/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、PEG-240/HDIコポリマービスデシルテトラデセス-20エーテル、ステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、ヒアルロン酸およびその塩、ジェランガム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、セルロース系高分子化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなど)アラビアゴム、カラヤガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど)、寒天、アルギン酸、ムコ多糖類(例えば、ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(ナトリウム塩など)など)、デキストラン、サクシノグルカン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、シロキクラゲ多糖体、から選択される1種又は2種以上の物質を用いることができ、より好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸及びその塩、ジェランガム、シロキクラゲ多糖体、から選択される1種又は2種以上の物質を用いることができる。特に好ましくは、カルボマー、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、から選択される1種又は2種以上の物質を用いることができる。
基剤である不織布の素材としては、例えばコットン、コットンリンター、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、セルロース、シルク、ポリアミド、パルプ、麻、から選択される1種又は2種以上の物質を用いることができ、さらに好ましくは、シルク、ポリプロピレン、レーヨン、コットンからなる群より選択される1種又は2種以上の物質を用いることができる。
また、本発明のマスク製剤には、薬液に(C)美白成分または(D)抗炎症成分のうち少なくともいずれかをさらに含むことができる。
(C)美白成分としては、トラネキサム酸およびその塩、アスコルビン酸およびその誘導体、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド、プラセンタエキス、からなる群から選択される少なくとも1種又は2種以上の物質を薬液に含むことができる。
トラネキサム酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;亜鉛塩;鉄塩;アンモニウム塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの塩などが挙げられる。トラネキサム酸の塩としては、中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
(D)抗炎症成分としては、アラントイン、塩化リゾチーム、グアイアズレン、γ-オリザノール、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸およびその塩、トラネキサム酸およびその誘導体、イプシロンアミノカプロン酸、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液に含むことができる。
(C)美白成分または(D)抗炎症成分は、それぞれ単独で薬液に含有してもよいし、または2種以上を組み合せて含有してもよい。薬液における(C)美白成分の含有量は、該当する成分の性質や機能等に応じて適宜選択できるが、薬液の全量に対し、好ましくは例えば0.5質量%以上10質量%以下である。また、薬液における(D)抗炎症成分の含有量は、該当する成分の性質や機能等に応じて適宜選択できるが、薬液の全量に対し、好ましくは例えば0.01質量%以上1質量%以下である。
薬液のpHは、一般的なマスク製剤として好適な範囲であればよく、好ましくは3.0以上9.0以下であり、より好ましくは3.5以上8.0以下であり、さらに好ましくは4.0以上7.5以下である。pH値がこの範囲内であれば、トラネキサム酸やナイアシンアミドといった成分が薬液中で安定に存在しやすく、また、皮膚への過剰な刺激を避けることができる。
また、薬液は、医薬外用剤、医薬部外品、化粧品等に用いられる薬学的または生理学的に許容される添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば植物エキス、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、油剤、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、香料、キレート剤、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のマスク製剤は、このような添加剤を含んでいても、前記(A)~(D)に該当する各成分の機能を有効に発揮し得る。尚、添加剤は、前記(A)~(D)に該当する成分であってもよく、それ以外の成分であってもよい。
植物エキスとしては、例えばアロエベラ葉エキス、コメヌカエキス、コプチスチネンシス根茎エキス、ボタンエキス、カンゾウ根エキス、ハトムギ種子エキス、フキタンポポ花エキス、オタネニンジン根エキス、トウキ根エキス、ナツメ果実エキス、センキュウ根茎エキス、シャクヤク根エキス、マグワ根皮エキス、クララ根エキス、キハダ樹皮エキス、オウゴン根エキス、アセンヤクエキス、ダイズ種子エキス、センブリエキス、褐藻エキス、桑エキス、絹エキス、ハマメリス葉エキス、ローヤルゼリーエキス、ストロベリーエキス、フラガリアチロエンシス果汁、タチバナ果皮エキス、エブリコエキス、オレンジ果実エキス、ユズ果実エキス、クマザサ葉エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、ミルシアリアデュビア果実エキス、レモングラス葉/茎エキス、ユーカリ葉エキス、ゲンチアナ根エキス、レンゲソウエキス、アルニカ花エキス、シナノキエキス、モモ果実エキス、トウヒエキス、センチフォリアバラ花エキス、チャ葉エキス、ブドウ葉エキス、ソメイヨシノ葉エキス、オウゴンエキス、ユキノシタエキス、ツボクサエキス、ラベンダー花エキス、ローズマリー葉エキス、ヨクイニンエキス、トウキンセンカ花エキス、ナツメ果実エキス、タイソウエキス、ウメ果実エキス、ヨモギ葉エキス、ハイブリッドローズ花エキス、アサイヤシ果実エキス、カミツレ花エキス、等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤等が挙げられる。具体的な界面活性剤(非イオン界面活性剤)としては、例えば、オレイン酸ポリグリセリル-2、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-6等のポリグリセリン脂肪酸エステル;PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油等のPEG[ポリエチレングリコール又はポリオキシエチレン(POE)]水添ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油);POEヒマシ油3、POEヒマシ油4、POEヒマシ油6POEヒマシ油7、POEヒマシ油10、POEヒマシ油13.5、POEヒマシ油17、POEヒマシ油20、POEヒマシ油25、POEヒマシ油30、POEヒマシ油35、POEヒマシ油50等のPOEヒマシ油;セスキオレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート85)等のポリソルベート(POEソルビタン脂肪酸エステル);POEPOPグリコール(196E.O.)(67P.O.)(又はポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、以下同様の表現において同じ、ポロキサマー407)、POEPOPグリコール(20E.O.)(20P.O.)、POEPOPグリコール(42E.O.)(67P.O.)(ポロキサマー403)、POEPOPグリコール(54E.O.)(39P.O.)(ポロキサマー235)、POEPOPグリコール(124E.O.)(39P.O.)、POEPOPグリコール(160E.O.)(30P.O.)、POEPOPグリコール(200E.O.)(70P.O.)、POEPOPグリコール(30E.O.)(150P.O.)(ポロキサマー188)等のPOE・POPグリコール;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノス
テアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、等が挙げられる。尚、例示した上記化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、をそれぞれ示し、括弧内の数字は付加モル数を示す。
テアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、等が挙げられる。尚、例示した上記化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、をそれぞれ示し、括弧内の数字は付加モル数を示す。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩、トコフェロール、等が挙げられる。
防腐剤(保存剤)としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、グリセリン脂肪酸エステル、等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニル系高分子化合物(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーなど)、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、及びカリウム塩など)、ポリアクリル酸のアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩など)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸/メタクリル酸アンモニウム/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、PEG-240/HDIコポリマービスデシルテトラデセス-20エーテル、ステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなど)アラビアゴム、カラヤガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど)、寒天、アルギン酸、ムコ多糖類(例えば、ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、デキストラン、サクシノグルカン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、ローカストビーンガム、ベントナイト、α-シクロデキストリン、デキストリン、ソルビトール、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、エラスチン、セラミド、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ポリエチレンイミンアルギン酸塩、トラガント末、等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸系緩衝剤、リン酸系緩衝剤、炭酸系緩衝剤、クエン酸系緩衝剤、酢酸系緩衝剤、等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、等が挙げられる。
油剤としては、炭化水素油(例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンのオリゴマー)、油脂{例えば、植物油[例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、亜麻仁油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ナッツ油(マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、クルミ油等)、種子油(ブドウ種子油、カボチャ種子油等) 、レモン油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、ヤシ油、パーム油、パームオレイン、パーム核油等]、動物油(例えば、魚油、肝油、鯨油等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等}、エステル油{例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルへキシル、アジピン酸ジブチル)、イソオクタン酸エステル[例えば、トリイソオクタン酸グリセリン(トリイソオクタン酸グリセリド)]、イソノナン酸エステル(例えば、イソノナン酸イソノニル)、ミリスチン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)、イソステアリン酸エステル(例えば、イソステアリン酸バチル)、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジエチル)等}、シリコーン油、脂肪酸(例えば、イソステアリン酸等)、高級アルコール、等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸ナトリウム、等が挙げられる。
刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム、等が挙げられる。
着色料としては、例えば、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004)等)に記載された各種の色素などが挙げられる。
香料としては、例えば、ラベンダー油、ローズマリー油、パルマローザ、ゼラニウム油、ユーカリ油等のハーブ系精油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント系精油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油等の柑橘系精油のような各種精油、調合香料、等が挙げられる。
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩、等が挙げられる。
なお、これらの添加剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マスク製剤は、ヒトの皮膚などに適用することができるが、好適には全顔用として使用される。
また、本発明のマスク製剤は、基剤に薬液が含浸された状態のマスク製剤のほか、マスク製剤キットの状態の製品も含む。マスク製剤キットは、例えば適当な容器に収容された薬液と、シート状の基剤とを別々に備えた形態の製品であり、使用時に、使用者自身が薬液を前記基剤に含浸させて使用することができる。尚、マスク製剤キットは、複数組の材料(薬液および基剤)をひとまとめにしてなるマルチパックとして構成されていてもよいし、1組ずつ個包装された製品であってもよい。
[実験1](A)ポリオールの添加による使用感の向上の検討
(B)高分子化合物として、カルボマーを0.05%と(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを0.4%含む薬液のサンプルを9種類調製した。このサンプルA1~A9の組成を下記表1に示す。尚、表中、各組成の含有量の単位はいずれも質量%(薬液に対する各成分の割合)である。
サンプルA1~A9は、上述の通り(B)高分子化合物として同一の成分を同一量含有している。このうち、A1~A3およびA5、A6は、さらに使用感を向上させる成分として(A)ポリオールを1~3種類ずつ含んでいる。(A)ポリオールの含有量は、番号が大きいほど多くなっており、サンプルA1では1%、サンプルA2では合計で3%、サンプルA3では合計で6%、サンプルA5では合計で17%、サンプルA6では合計で22%である。
サンプルA8は、(A)ポリオールを全く含まない。サンプルA9は、使用感向上を試験する成分として、(A)ポリオールの代わりに、(A')油であるパルミチン酸エチルヘキシルを3%含む。サンプルA4は、(A)ポリオールの含有量はサンプルA3と同じであるが、それに加えて(A')油であるスクワランを少量(0.01%)含む。サンプルA7は、サンプルA2と同程度の(A)ポリオールを含むが、それに加えて(A')油であるスクワランをやや多めに(0.1%)含む。
以上に加え、サンプルA1~A9はそれぞれ、(C)美白成分としてトラネキサム酸を2.5%、(D)抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウムを0.15%含み、またpH調整剤として水酸化ナトリウムを適宜含む。
これらのサンプルA1~A9を、基剤としての不織布に含浸させたものを5人の被験者に対し使用し、その後、被験者の主観により使用感の評価を行った。具体的には、顔面の形に切り抜いたシート状の基剤に薬液(サンプルA1~A9)を含浸させたもの(マスク製剤)を被験者の顔面に貼付し、マスク製剤の標準的な使用時間である30分間程度放置してから前記マスク製剤を剥がし、薬液を皮膚に馴染ませ、顔面の皮膚に感じるみずみずしさを以下の5段階で評価してもらった:1=「べたつく」、2=「ややべたつく」、3=「みずみずしい」、4=「ややみずみずしい」、5=「とてもみずみずしい」。尚、基剤としては、目付が37g/m2のコットン製の不織布を用いた。5人の被験者による評価の平均値を、2未満であれば×、2以上3未満であれば△、3以上であれば○で表したのが上記表1の最下列である。
まず、(A)ポリオールおよび(A')油のいずれをも含まないサンプルA8においては、みずみずしさの評価は「×」である。これは、(B)高分子化合物の添加によって薬液に粘度の増加と共にべたつきが生じたためである。
これに対し、さらに(A)ポリオールを添加したサンプルA1~A3およびA5においては、みずみずしさの評価は「○」であり、薬液に粘度を増すための(B)高分子化合物が添加されていても、(A)ポリオールの添加によって使用感がみずみずしく改善されることがわかる。ただし、(A)ポリオールの含有量が20%を超えるサンプルA6では、みずみずしさの評価が「△」と低下している。これは、(A)ポリオールを添加しすぎれば、(A)ポリオール自体によるべたつきが生じ、却って使用感が悪化してしまうことを示している。
これらの結果から、(B)高分子化合物によって粘度を増した薬液に対し、(A)ポリオールを1%以上20%以下の範囲で添加すれば、(B)高分子化合物によるべたつきを抑えて使用感をみずみずしく向上させることができることが確認された。
尚、使用感に影響する成分としては、(A)ポリオールのようなアルコール類の他に、油剤が考えられる。そこで、(A)ポリオールの代わりに(A')油剤としてパルミチン酸エチルヘキシルを3%添加したものがサンプルA9である。このサンプルA9に関しては、みずみずしさの評価は「×」であり、(B)高分子化合物を含む薬液に(A)ポリオールではなく(A')油剤を添加した場合、(A)ポリオールを含有する場合と異なり、使用感は特に向上しないことが確認された。また、(A)ポリオールを3%含むサンプルA2と、3%の(A)ポリオールに加えて(A')油剤であるスクワランを0.1%含むサンプルA7とを比較すると、サンプルA2ではみずみずしさの評価が「○」であるのに対しサンプルA7では「△」であり、使用感が劣っていた。ただし、サンプルA3と同じ(A)ポリオールの組成に(A')油剤としてスクワランを0.01%のみ含むサンプルA4では、みずみずしさの評価は「○」であった。このことから、(A')油剤を添加するとみずみずしさは向上せず、あるいは悪化し得るものの、少量であれば使用感に大きな影響はない(使用感の悪化を、(A)ポリオールの添加によって補い得る)ことがわかった。
[実験2](B)高分子化合物の含有量と粘度についての検討
続いて、(B)高分子化合物の含有量および薬液の粘度がどの程度であれば、みずみずしい使用感を損なうことなく薬液に粘度をもたせることができるか、について検討を行った。この実験に用いたサンプルB1~B8の組成を下記表2に示す。
サンプルB1~B5は、それぞれ(B)高分子化合物を0.3%~0.7%含み、その他に(A)ポリオールを3%~9%含む。粘度は番号が大きいほど高くなっており、サンプルB1では11,250mPa・s、サンプルB2では17,000mPa・s、サンプルB3では25,750mPa・s、サンプルB4では34,500mPa・s、サンプルB5では53,750mPa・sである。また、(B)高分子化合物の含有量は、サンプルB1では0.3%、サンプルB2では合計で0.3%、サンプルB3では合計で0.33%、サンプルB4では0.45%、サンプルB5では0.7%である。尚、薬液の粘度の測定は、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標;型式:VS-A1;芝浦システム株式会社製)を用い、測定条件はロータをNO.4、回転数を6rpm 、回転時間を60秒として行った。
これに対し、サンプルB6、B7は、(B)高分子化合物の含有量がそれぞれ0.009%、0.03%と少なく、粘度もそれぞれ3,200mPa・s、8,250mPa・sと低い。また、サンプルB8は、(B)高分子化合物を0.7%含むが、(A)ポリオールは含まない。粘度は53,750mPa・sである。
以上に加え、サンプルB1~B8はそれぞれ、(C)美白成分としてトラネキサム酸を2.5%、(D)抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウムを0.15%含み、またpH調整剤として水酸化ナトリウムを適宜含む。
これらのサンプルB1~B8を、基剤としての不織布に含浸させたものを5人の被験者に対し使用し、その後、被験者の主観により使用感の評価を行った。具体的には、顔面の形に切り抜いたシート状の基剤に薬液(サンプルB1~B8)を含浸させたもの(マスク製剤)を被験者の顔面に貼付し、マスク製剤の標準的な使用時間である30分間程度放置した後前記マスク製剤を剥がし、薬液を肌に馴染ませ、顔面の皮膚に感じるみずみずしさ、および、使用中における液垂れの無さをそれぞれ以下の5段階で評価してもらった。使用感のみずみずしさについて:1=「べたつく」、2=「ややべたつく」、3=「みずみずしい」、4=「ややみずみずしい」、5=「とてもみずみずしい」。液垂れのなさについて:1=「下に落ちる」、2=「やや下に落ちる」、3=「やや垂れる」、4=「ほぼ垂れない」、5=「垂れない」。尚、基剤としては、目付が37g/m2のコットン製の不織布を用いた。「みずみずしさ」および「液垂れの無さ」について、5人の被験者による評価の平均値を、2未満であれば×、2以上3未満であれば△、3以上であれば○で表したのが上記表2の下2列である。
(B)高分子化合物を含み、粘度が10,000mPa・s以上あるサンプルB1~B5においては、いずれも液垂れの無さに関する評価は「○」であり、粘度の付与によって液垂れを良好に防止し得ることがわかる。ただし使用感に関しては、(B)水溶性増粘剤を0.7%含み、粘度が40,000mPa・sを超えるサンプルB5において「△」と、十分なみずみずしさが得られなかった。
サンプルB1~B5は、いずれも(A)ポリオールを適量含み、これによってマスク製剤としての使用感の向上を図っている。(B)高分子化合物の含有量が0.5%以下、粘度が40,000以下のサンプルB1~B4においては、みずみずしさの評価は「○」であり、粘度と共に十分快適な使用感が実現されているが、サンプルB5に関しては(B)高分子化合物の含有量が多すぎ、粘度が高すぎるため、(A)ポリオールの添加によっても使用感の悪化を十分に抑えることができなかったものを見られる。
また、サンプルB8に関しては、(B)高分子化合物を0.7%含み、粘度が40,000mPa・sを超えているが、(A)ポリオールを含まないため使用感がサンプルB5と比較してもなお悪く、みずみずしさの評価は「×」となっている。
また、(B)高分子化合物の含有量が0.05%を下回るサンプルB6、B7に関しては、薬液の粘度が10,000mPa・s未満と低く、このため液垂れの無さに関する評価が「×」と低かった。
以上より、液垂れがせず実用に適する粘度を保ちつつ、(A)ポリオールの添加によって使用感のみずみずしさをも実現し得る薬液の粘度の範囲は、10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下であることが示された。
[実験3]基剤である不織布の目付についての検討
サンプルC1~C7の薬液は、いずれも上記実験2および表2におけるサンプルB4と同じ組成であり、(A)ポリオールを合計で5%、(B)高分子化合物を合計で0.45%、(C)美白成分としてトラネキサム酸を2.5%、(D)抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウムを0.15%それぞれ含み、pH調整剤として水酸化ナトリウムをそれぞれ適量含む。粘度はいずれも34,500mPa・sである。
これらの薬液を、目付が30~60g/m2であるコットン製の不織布に対し含浸させた。薬液を収容したパウチに、顔面の形に切り抜いた不織布を1枚封入し、前記パウチを一対のロールを有する押圧装置に通して前記パウチ内で不織布に薬液を含浸させた。前記押圧装置は、互いに一定の間隙を有するよう平行に設置された一対のロールを備えており、前記パウチに前記ロール間を通過させることにより、前記パウチ全体に対し適宜の圧力をかけることができるようになっている。このような押圧装置の前記ロール間に、薬液と不織布を封じた前記パウチを2往復させた。パウチを1日静置後、開封して不織布を取り出して広げ、該不織布における薬液の含浸の度合いを以下の3段階で評価した:×=「白く乾燥した(含浸していない)領域がある」、△=「含浸していない領域が疎らにある」、○=「全体的に均一に含浸している」。各サンプルにおける含浸性に関する評価の結果を、上記表3の最下列に示した。
不織布の目付が40g/m2未満のサンプルC1~C4では、含浸性に関する評価はいずれも「○」であり、実用上十分な含浸性を示した。薬液の粘度は40,000mPa・s近い34,500mPa・sと高めであり、このような粘度の高い薬液であっても、これらのサンプルでは不織布に十分な含浸性が確認されたのである。ただし、目付が40g/m2以上のサンプルC5、C6では、含浸性は「△」とやや劣り、さらに目付が60g/m2のサンプルC7では、含浸性の評価は「×」であった。
以上より、上述の如き薬液、すなわち(A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、(B)水溶性の高分子化合物と、を含有し、粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液をよく含浸し得る基剤としては、目付が40g/m2未満の不織布が適していることが示された。尚、目付が20g/m2を下回る不織布は柔らかすぎてマスク製剤として使用しにくくなると考えられるので、基剤として用いる不織布の目付は、20g/m2以上40g/m2未満が好適である。
[実施例]
[実施例]
尚、本発明のマスク製剤は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
Claims (9)
- (A)1質量%以上20質量%以下のポリオールと、
(B)水溶性の高分子化合物と を含有し、
粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である薬液と、
目付が20g/m2以上40g/m2未満の不織布により構成される基剤と
を備えたマスク製剤。 - (A)ポリオールは、2価以上の多価アルコールに該当する1種又は2種以上の物質である、請求項1に記載のマスク製剤。
- (A)ポリオールは、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール
、からなる群より選択される1種又は2種以上の物質である、請求項1に記載のマスク製剤。 - (B)高分子化合物は、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸及びその塩、ジェランガム、シロキクラゲ多糖体、から選択される1種又は2種以上の物質である、請求項1~3のいずれか一項に記載のマスク製剤。
- 前記基剤である不織布は、コットン、コットンリンター、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、セルロース、シルク、ポリアミド、パルプ、麻、から選択される1種又は2種以上の物質により構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のマスク製剤。
- 薬液に(C)美白成分または(D)抗炎症成分のうち少なくともいずれかをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマスク製剤。
- (C)美白成分として、トラネキサム酸およびその塩、アスコルビン酸およびその誘導体、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド、プラセンタエキス、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液に含む、請求項6に記載のマスク製剤。
- (D)抗炎症成分として、アラントイン、塩化リゾチーム、グアイアズレン、γ-オリザノール、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸およびその塩、トラネキサム酸およびその誘導体、イプシロンアミノカプロン酸、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液に含む、請求項6または7に記載のマスク製剤。
- 植物エキス、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、油剤、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、香料、キレート剤、からなる群から選択される1種又は2種以上の物質を薬液にさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマスク製剤。
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