JP2023070513A - チャック及び工作機械 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、特許文献1では、トップジョーを正確に位置決めするために、トップジョーの嵌合溝を、後面に設けたセレーションに対して傾く方向へ延びるように形成し、トップジョーを取り付ける際には、傾いた嵌合溝に対してジョーナットの一方の対角部位を接触させてジョーナットを傾かせ、他方の対角部位をマスタジョーのT字溝の内面に近接させて互いの隙間を小さくすることで、周方向の位置ずれ量を減少させるようにしている。
また、トップジョーを位置決めするために回転させるジョーナットとT字溝の内面との隙間に高い精度が必要となり、ジョーナットの幅が設定より長くなると、セレーションがうまく噛み合わず、位置決めが行えなくなるおそれがある。
各前記取付溝内に前記径方向へ移動可能に設けられると共に、前記径方向に貫通して前面側に開口する収容溝をそれぞれ備えたマスタジョーと、
各前記収容溝内に前方への抜け止め状態で収容されるジョーナットと、
各前記マスタジョーの前面に当接させた状態で位置決めされるトップジョーと、
各前記トップジョーを前方から貫通して前記ジョーナットに緊締される2本のボルトと、を含んでなるチャックであって、
前記ジョーナットは、前記径方向で各ボルト毎に分割された2つの分割ナットからなることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、各前記分割ナットは、前記収容溝への収容状態で前記収容溝の開口を介して前方へ突出する楔部を備え、各前記トップジョーの後面には、前記楔部が嵌合する嵌合溝が前記径方向に形成されており、
何れか一方の前記分割ナットの前記楔部において、前記チャック本体の周方向での両側面のうち、何れか一方の側面には、前記ボルトの緊締に伴う前記一方の分割ナットの回転によって前記収容溝の内面に当接する第1当接部が、他方の側面には、前記回転に伴って前記嵌合溝の内面に当接する第2当接部が、前記ボルトを中心とする点対称位置にそれぞれ形成されて、
前記第1当接部と前記第2当接部との当接に伴い、前記トップジョーが前記マスタジョーに対して前記周方向に位置決めされることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、工作機械であって、回転軸に、第1の構成に記載のチャックを備えてなることを特徴とする。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、何れか一方の分割ナットの楔部に第1、第2当接部を設けたことで、当該分割ナットを緊締すると、トップジョーがマスタジョーに対して自動的に位置決めされ、その後の他方の分割ナットの緊締でトップジョーの固定が完了する手順となり、トップジョーが適正位置で固定可能となる。
図1は、工作機械の一例であるNC旋盤Mに用いられるチャックの一部を示す斜視図、図2はその分解斜視図である。
チャック1は、図示しない主軸の先端に設けられ、正面視が円形状のチャック本体2と、チャック本体2に設けられる3つのマスタジョー3,3・・と、各マスタジョー3の前側(図1,2の右下側)にそれぞれ固定される3つのトップジョー4,4・・と、を備えている。図1,2ではマスタジョー3及びトップジョー4は1つのみ示している。
チャック本体2には、径方向に形成されてチャック本体2の前面及び周面に開口する3つの取付溝5,5・・が形成されている。各取付溝5は、周方向の幅が広い後側の幅広溝6と、周方向の幅が狭い前側の幅狭溝7とを含む横断面T字状となっている。幅狭溝7はチャック本体2の前面に開口している。
基部8内には、後述するジョーナット20の収容溝10が形成されている。収容溝10は、取付溝5と同様に、周方向の幅が広い後側の第1溝部11と、周方向の幅が狭い前側の第2溝部12とを含む横断面T字状となっている。収容溝10を除く基部8の前面には、セレーション13が形成されている。
各マスタジョー3は、チャック本体2の軸心に設けた図示しないプランジャの進退動によって取付溝5内で放射方向へ移動可能となっている。ここではプランジャが後退すると、各マスタジョー3が軸心側へ移動してトップジョー4を一体に移動させてワークをクランプする。プランジャが前進すると、各マスタジョー3が外周側へ移動してワークをアンクランプする。
トップジョー4には、前方から2本のボルト16,16が挿通するボルト穴17,17が、径方向に2つ並べて貫通形成されている。ボルト穴17,17は、トップジョー4の後面では嵌合溝14内に開口している。ボルト穴17,17を挿通させたボルト16,16が、マスタジョー3の収容溝10に収容されたジョーナット20に締結されることで、トップジョー4はマスタジョー3に固定される。
第1、第2分割ナット21,22は、マスタジョー3の収容溝10に嵌合する横断面T字状で、第1溝部11に収容される幅広の頭部24と、第2溝部12に収容される幅狭の楔部25とを備えている。楔部25の前面にネジ穴23が開口している。但し、第1、第2分割ナット21,22の径方向の長さは、第2分割ナット22よりも第1分割ナット21の方が短く、第1分割ナット21は、正面視形状が矩形となっている。第2分割ナット22は、チャック本体2の中心側の端部が、正面視半円形状となっている。
また、第1分割ナット21の楔部25において、一方の側面の前端には、上下方向に切除部26が形成されている。これにより、前端を除く同側面には、第1当接部27が形成されている。楔部25における他方の側面には、前端を除いて上下方向に切除部28が形成されている。これにより、同側面の前端には、第1当接部27よりも前後幅が小さい第2当接部29が形成されている。第1当接部27と第2当接部29とは、正面視で、ネジ穴23を中心とした点対称位置に配置されている。
そして、第2分割ナット22を先にしてジョーナット20を、マスタジョー3の収容溝10に径方向外側から収容させる。このとき、両分割ナット21,22は、両者が一体の従来のジョーナットよりも径方向に短いため、収容溝10へスムーズに収容でき、途中でこじれたり引っ掛かったりしにくくなる。
この抜け止め状態で、各楔部25の前端は、それぞれ第2溝部12を貫通して嵌合溝14内に位置している。第1分割ナット21の第1当接部27は、収容溝10の第2溝部12の内面に近接し、第2当接部29は、嵌合溝14の内面に当接又は近接した状態となる。
そして、ボルト16の緊締が終了すると、第1分割ナット21の頭部24が前方へ引き込まれて第1溝部11の前側内面に当接し、トップジョー4をマスタジョー3に押し付ける。
そして、ボルト16の緊締が終了すると、第2分割ナット22の頭部24が前方へ引き込まれて第1溝部11の前側内面に当接し、トップジョー4をマスタジョー3に押し付ける。よって、トップジョー4は、マスタジョー3に固定される。
なお、トップジョー4を交換する際、セレーション13,15同士の係合が外れるまでボルト16,16を緩めることになるが、第1、第2分割ナット21,22の楔部25がトップジョー14の嵌合溝14に挿入されていれば回り止めされるため、2つの分割ナットを用いても向きがばらばらになることはない。仮に、楔部25が嵌合溝14から抜けるまでボルト16を緩めたとしても、第1、第2分割ナット21,22の間の径方向の隙間が小さいため、互いに干渉して回り止めされる。
この構成によれば、ジョーナット20に厳密な精度管理をしなくても両分割ナット21,22を介してトップジョー4をマスタジョー3へ確実に固定することができる。また、トップジョー4の仮組みがスムーズに行えるため、トップジョー4の固定作業に係る時間も短縮可能となる。
よって、第1分割ナット21を緊締すると、トップジョー4がマスタジョー3に対して自動的に位置決めされ、その後の第2分割ナット22の緊締でトップジョー4の固定が完了する手順となり、トップジョー4が適正位置で固定可能となる。
第1、第2当接部の位置及び形状は、第1分割ナットの回転に伴って収容溝の内面と嵌合溝の内面とにそれぞれ当接可能であれば、上記形態に限らない。例えば各当接部は、図6に示すように、上記形態と左右逆に設けてもよいし、どちらも同じ形状としてもよい。また、各当接部は、各溝の内面に当接する角部にのみ突起状に設けてもよい。
上記形態では、第1分割ナットに第1、第2当接部を設けているが、第2分割ナットに両当接部を設けてもよい。
上記形態では、マスタジョー及びトップジョーを3つ備えたチャックを例示しているが、この数は適宜増減可能である。
工作機械としては、NC旋盤に限らず、回転軸にワークを把持するチャックを備えたものであれば、複合加工機等にも本開示は採用可能である。
各前記取付溝内に前記径方向へ移動可能に設けられると共に、前記径方向に貫通して前面側に開口する収容溝をそれぞれ備えたマスタジョーと、
各前記収容溝内に前方への抜け止め状態で収容されるジョーナットと、
各前記マスタジョーの前面に当接させた状態で位置決めされるトップジョーと、
各前記トップジョーを前方から貫通して前記ジョーナットに緊締される2本のボルトと、を含んでなるチャックであって、
前記ジョーナットは、前記径方向で各ボルト毎に分割された2つの分割ナットからなると共に、
各前記分割ナットは、前記収容溝への収容状態で前記収容溝の開口を介して前方へ突出する楔部を備え、各前記トップジョーの後面には、前記楔部が嵌合する嵌合溝が前記径方向に形成されており、
何れか一方の前記分割ナットの前記楔部において、前記チャック本体の周方向での両側面のうち、何れか一方の側面には、前記ボルトの緊締に伴う前記一方の分割ナットの回転によって前記収容溝の内面に当接する第1当接部が、他方の側面には、前記回転に伴って前記嵌合溝の内面に当接する第2当接部が、前記ボルトを中心とする点対称位置にそれぞれ形成されて、
前記第1当接部と前記第2当接部との当接に伴い、前記トップジョーが前記マスタジョーに対して前記周方向に位置決めされることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、工作機械であって、回転軸に、第1の構成に記載のチャックを備えてなることを特徴とする。
特に、何れか一方の分割ナットの楔部に第1、第2当接部を設けたことで、当該分割ナットを緊締すると、トップジョーがマスタジョーに対して自動的に位置決めされ、その後の他方の分割ナットの緊締でトップジョーの固定が完了する手順となり、トップジョーが適正位置で固定可能となる。
Claims (3)
- 工作機械の回転軸に設けられ、前面に複数の取付溝が径方向に形成された円盤状のチャック本体と、
各前記取付溝内に前記径方向へ移動可能に設けられると共に、前記径方向に貫通して前面側に開口する収容溝をそれぞれ備えたマスタジョーと、
各前記収容溝内に前方への抜け止め状態で収容されるジョーナットと、
各前記マスタジョーの前面に当接させた状態で位置決めされるトップジョーと、
各前記トップジョーを前方から貫通して前記ジョーナットに緊締される2本のボルトと、を含んでなるチャックであって、
前記ジョーナットは、前記径方向で各ボルト毎に分割された2つの分割ナットからなることを特徴とするチャック。 - 各前記分割ナットは、前記収容溝への収容状態で前記収容溝の開口を介して前方へ突出する楔部を備え、各前記トップジョーの後面には、前記楔部が嵌合する嵌合溝が前記径方向に形成されており、
何れか一方の前記分割ナットの前記楔部において、前記チャック本体の周方向での両側面のうち、何れか一方の側面には、前記ボルトの緊締に伴う前記一方の分割ナットの回転によって前記収容溝の内面に当接する第1当接部が、他方の側面には、前記回転に伴って前記嵌合溝の内面に当接する第2当接部が、前記ボルトを中心とする点対称位置にそれぞれ形成されて、
前記第1当接部と前記第2当接部との当接に伴い、前記トップジョーが前記マスタジョーに対して前記周方向に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のチャック。 - 回転軸に、請求項1又は2に記載のチャックを備えてなる工作機械。
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