JP2023069523A - 眼鏡レンズおよび眼鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌性を有する眼鏡レンズを提供すること。【解決手段】レンズ基材と、カチオン性有機化合物を含む有機層と、を有する眼鏡レンズ。【選択図】なし

Description

本発明は、眼鏡レンズおよび眼鏡に関する。
特許文献1には、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物と主として銀イオンでイオン置換したゼオライトを含有してなる抗菌性表面コート剤で合成樹脂表面を被覆し、硬化してなる抗菌性合成樹脂成形体が開示されている。
特開平9-327622号公報
特許文献1には、建材、屋内の各種構造材、看板、ディスプレイ、照明器具等に使用される合成樹脂成形体に上記表面コート剤によって抗菌性を付与することが開示されている。
近年、抗菌に対するニーズは高まりつつある。かかる状況下、眼鏡レンズに菌の繁殖を抑制できる機能(即ち抗菌性)を付与することができれば、眼鏡レンズの付加価値を高めることができる。
本発明の一態様は、抗菌性を有する眼鏡レンズを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
レンズ基材と、カチオン性有機化合物を含む有機層と、を有する眼鏡レンズ、
に関する。
上記眼鏡レンズは、カチオン性有機化合物が抗菌剤として機能することによって抗菌性を発揮することができる。
本発明の一態様によれば、抗菌性を有する眼鏡レンズを提供することができる。
[眼鏡レンズ]
以下、上記眼鏡レンズについて、更に詳細に説明する。
本発明および本明細書において、「有機層」とは、有機物質を含む層であり、好ましくは有機物質を主成分として含む層である。ここで主成分とは、層において最も多くを占める成分であって、層の質量に対して、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上または90質量%以上を占める成分であることができる。かかる主成分は、層の質量に対して、例えば、100質量%以下、100質量%未満、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下または95質量%以下を占める成分であることができる。以上の点は、後述の無機層に関する主成分についても同様である。有機層の一形態としては所謂ハードコート層と呼ばれる硬化層を挙げることができ、有機層の他の一形態としては後述する下地層を挙げることができる。これらの層の詳細については後述する。
<カチオン性有機化合物>
上記眼鏡レンズは、カチオン性有機化合物を含む有機層を有する。「カチオン性有機化合物」とは、電離してカチオン(陽イオン)になり得る有機化合物である。カチオン性有機化合物は、抗菌剤として機能することができる。したがって、カチオン性有機化合物を含む有機層は、抗菌層として、上記眼鏡レンズが抗菌性を発揮することに寄与することができる。更に、本発明者が検討したところ、カチオン性有機化合物を含む有機層を有する眼鏡レンズが、優れた抗菌性に加えて優れた耐光性も発揮できることが確認された。上記有機層において、カチオン性有機化合物は、一部または全部が塩の形態で含まれていてもよく、一部または全部が電離したカチオンの形態で含まれていてもよい。また、上記有機層は、カチオン性有機化合物を1種のみ含むことができ、2種以上のカチオン性有機化合物を任意の混合比で含むこともできる。
カチオン性有機化合物の具体例としては、アンモニウム塩を挙げることができる。アンモニウム塩とは、アンモニウムイオンの塩である。アンモニウムイオンは、「NR 」で表される一価のカチオンであって、4つのRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。4つのRのうち3つが水素原子であって他の1つが置換基であるアンモニウムイオンの塩が第一級アンモニウム塩であり、4つのRのうち2つが水素原子であって他の2つが置換基であるアンモニウムイオンの塩が第二級アンモニウム塩であり、4つのRのうち3つが置換基であって他の1つが水素原子であるアンモニウムイオンの塩が第三級アンモニウム塩であり、4つのRがすべて置換基であるアンモニウムイオンの塩が第四級アンモニウム塩である。複数のRを含むアンモニウムイオンにおいて、複数のRは同一または異なる置換基である。より優れた抗菌性を発揮し得る観点からは、上記有機層に含まれるカチオン性有機化合物は、第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
第四級アンモニウム塩の具体例としては、アルコキシシラン系第四級アンモニウム塩を挙げることができる。アルコキシシラン系第四級アンモニウム塩とは、アルコキシシリル基を有する第四級アンモニウム塩である。アルコキシシリル基は、「(R11O)Si-」で表される一価の基であって、3つのR11は、それぞれ独立にアルキル基を表す。アルコキシシリル基は、例えばメトキシシリル基「(CHO)Si-」、エトキシシリル基「(CHCHO)Si-」等であることができる。
一形態では、上記有機層は、メトキシシラン系第四級アンモニウム塩、即ちメトキシシリル基を有するアンモニウム塩を含むことができる。メトキシシラン系第四級アンモニウム塩の具体例としては、下記一般式(1)で表されるメトキシシラン系第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
Figure 2023069523000001
一般式(1)中、Rは炭素数12~24のアルキル基を表し、RおよびRはそれおれ独立に炭素数1~6のアルキル基を表し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を表す。
一般式(1)中のXとしては、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオン、メチルカルボニルオキシイオン(アセテートイオン)、エチルカルボニルオキシイオン(プロピオネートイオン)、フェニルカルボニルオキシイオン(ベンゾエートイオン)等の有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を例示することができる。
で表される炭素数12~24のアルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ウンエイコシル基、ドエイコシル基、トリエイコシル基、テトラエイコシル基等を例示できる。
またはRで表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
一般式(1)で表されるメトキシシラン系第4級アンモニウム塩の具体例としては、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデ
シルジエチル(3-トリメトキシシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等を例示できる。これらの中でも、眼鏡レンズにより一層優れた抗菌性をもたらす観点からは、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(下記式(1))が好ましい。
Figure 2023069523000002
カチオン性有機化合物としては、市販品を使用することができ、公知の方法で合成された化合物を使用することもできる。市販の第四級アンモニウム塩としては、例えば日華化学社製ニッカノンRBシリーズを挙げることができる。
カチオン性有機化合物を含む有機層において、カチオン性有機化合物の含有率は、この有機層の総質量を100質量%として、0.04質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましい。上記有機層におけるカチオン性有機化合物の含有率が高いことは、上記眼鏡レンズがより優れた抗菌性を発揮するうえで好ましい。また、上記有機層におけるカチオン性有機化合物の含有率は、例えば3.00質量%以下であることができ、眼鏡レンズの外観品質向上(例えば曇りの抑制)の観点からは、2.50質量%以下であることが好ましく、更に耐光性の一層の向上および膜強度向上の観点からは、2.20質量%以下であることがより好ましい。
一形態では、上記有機層は、1種以上の無機粒子を含むことができる。無機粒子は、有機層の膜強度を高めて耐擦傷性を高めること等に寄与し得る。無機粒子の具体例としては、後述の硬化性組成物に含まれる各種無機粒子、干渉縞抑制層に含まれる金属酸化物粒子等を挙げることができる。カチオン性有機化合物を含む有機層が無機粒子を更に含む場合、この有機層において、カチオン性有機化合物の含有量は、無機粒子100質量部に対して、0.5質量部以上であることができ、0.7質量部以上であることもできる。また、上記有機層において、カチオン性有機化合物の含有量は、無機粒子100質量部に対して、例えば20.0質量部以下であることができ、眼鏡レンズの外観品質向上(例えば曇りの抑制)の観点からは、18.0質量部以下であることが好ましく、更に耐光性の一層の向上および膜強度向上の観点からは、15.0質量部以下であることがより好ましい。
カチオン性有機化合物を含む有機層を形成する方法としては、カチオン性有機化合物を含む組成物(以下、「カチオン性有機化合物含有有機層形成用組成物」とも記載する。)をレンズ基材上に直接または他の層を介して間接的に塗布して塗布層を形成し、この塗布層に硬化処理、乾燥処理等を施す方法を挙げることができる。カチオン性有機化合物含有有機層形成用組成物の調製において、各種成分は任意の順序で同時または順次混合することができる。一形態では、カチオン性有機化合物は、カチオン性有機化合物以外の全成分を混合した混合物へ添加することが好ましい。1種以上の他の成分(例えば無機粒子等)を含む組成物へのカチオン性有機化合物の添加速度は、0.5g/分以下とすることが、有機層形成用組成物の白濁抑制の観点から好ましい。これは、カチオン性有機化合物を比較的低速で添加することは、カチオン性有機化合物の添加によって各種成分が凝集することを抑制するうえで好ましいと考えられるためである。有機層形成用組成物の白濁を抑制することは、この組成物から形成される有機層に曇りが生じることを抑制することにつながり、結果的に眼鏡レンズの外観品質向上(白濁抑制)に寄与し得るため、好ましい。上記添加速度は、例えば0.1g/分以上とすることができ、またはここに例示した値を下回ってもよい。
上記カチオン性有機化合物を含む層は、例えば以下に記載する硬化層、干渉縞抑制層およびプライマー層からなる群から選ばれる1層または2層以上であることができる。
<硬化層>
上記眼鏡レンズは、硬化性組成物を硬化した硬化層を含むことができる。かかる硬化層は、一般にハードコート層と呼ばれる。一形態では、カチオン性有機化合物を含む有機層は、硬化性組成物を硬化した硬化層であることができる。カチオン性有機化合物を含む硬化性組成物を硬化させることによって、カチオン性有機化合物を含む有機層(硬化層)を形成することができる。
上記硬化層は、例えば、ケイ素酸化物粒子(以下「成分(A)」ともいう。)と、シラン化合物(以下「成分(B)」ともいう。)とを含む硬化性組成物を硬化して得ることができる。上記硬化性組成物は、更に、多官能エポキシ化合物(以下「成分(C)」ともいう、)を含むことができる。
成分(A)のケイ素酸化物粒子の粒径は、耐擦傷性と光学特性とを両立する観点から、5~30nmの範囲であることが好ましい。
成分(B)は、シラン化合物であり、好ましくは加水分解性基を有するシラン化合物であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合する有機基と、加水分解性基を有するシランカップリング剤である。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヒドロキシ基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基である。
シラン化合物は、好ましくは下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物である。
(R21(R23Si(OR224-(a+b)・・・(I)
一般式(I)中、aは0または1であり、bは0または1であり、好ましくは、aは1であり、bは0または1である。
21は、グリシドキシ基等のエポキシ基、ビニル基、メタクリルオキシ基、アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、フェニル基等の官能基を有する有機基を表し、好ましくはエポキシ基を有する有機基を表す。上記官能基は、ケイ素原子に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して間接的に結合していてもよい。
22は、例えば、水素原子、アルキル基、アシル基、またはアリール基であり、好ましくはアルキル基である。
22で表されるアルキル基は、例えば直鎖または分岐の炭素数1~4のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基またはエチル基である。
22で表されるアシル基は、例えば、炭素数1~4のアシル基であって、具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
22で表されるアリール基は、例えば炭素数6~10のアリール基であって、具体例としては、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
23は、アルキル基またはアリール基である。
23で表されるアルキル基は、例えば直鎖または分岐の炭素数1~6のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
23で表されるアリール基としては、例えば炭素数6~10のアリール基であって、具体例としては、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
成分(B)の具体例としては、以下のシラン化合物を挙げることができる。
グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート、n-プロピルシリケート、i-プロピルシリケート、n-ブチルシリケート、sec-ブチルシリケート、t-ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β-シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等。
シラン化合物としては、市販されているシランカップリング剤を使用することもできる。市販品の具体例としては、信越化学工業社製KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE402、KBE403、KBM―1403、KBM―502、KBM―503、KBE―502、KBE―503、KBM―5103、KBM―602、KBM―603、KBM―903、KBE―903、KBE―9103、KBM―573、KBM―575、KBM―9659、KBE―585、KBM―802、KBM―803、KBE―846、KBE―900等7が挙げられる。
成分(C)は、多官能エポキシ化合物である。多官能エポキシ化合物とは、一分子中に2つ以上のエポキシ基を含む化合物である。多官能エポキシ化合物は、一分子中に2つまたは3つのエポキシ基を含むことが好ましい。
成分(C)の具体例としては、以下の多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス-2,2-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等。成分(C)としては、隣接する層またはレンズ基材との密着性の観点からは、2つまたは3つのエポキシ基が含まれる化合物(2官能または3官能エポキシ化合物)が好ましい。
市販されている多官能エポキシ化合物としては、ナガセケムテックス社製デナコールシリーズのEX-201、EX-211、EX-212、EX-252、EX-313、EX-314、EX-321、EX-411、EX-421、EX-512、EX-521、EX-611、EX-612、EX-614、EX-614B等が挙げられる。
上記硬化性組成物は、以上説明した成分(A)~(C)のほか、上記成分に必要に応じて、有機溶剤、界面活性剤(レベリング剤)、硬化触媒等の任意成分を混合して調製することができる。
成分(A)の含有率は、硬化性組成物の固形分の全量(即ち溶剤を除く全成分の合計)を100質量%として、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
成分(B)の含有量は、硬化性組成物の固形分の全量を100質量%として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
成分(C)の含有量は、硬化性組成物の固形分の全量を100質量%として、例えば0質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
フィラー/マトリックス比(以下単に「F/M比」ともいう。)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上であり、また、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.5以下である。なお、F/M比とは、成分(B)と成分(C)との合計質量に対する、成分(A)の質量比[成分(A)/(成分(B)+成分(C))]を意味する。
また、硬化性組成物の一例としては、酸化第二スズと酸化ジルコニウムとの複合体粒子を含む硬化性組成物を挙げることができる。かかる硬化性組成物については、WO2005/088352の全記載を参照することができ、硬化性組成物に含まれる各種成分の詳細については同公報の段落0007~0045および実施例の欄の記載を参照できる。
硬化性組成物として、カチオン性有機化合物を含むものを使用することにより、かかる硬化性組成物が硬化した硬化層として、カチオン性有機化合物を含む有機層を形成することができる。かかる硬化性組成物の調製時、カチオン性有機化合物の添加速度を上記範囲とすることは、先に記載した理由から好ましい。例えば、無機粒子を含む硬化性組成物へのカチオン性有機化合物の添加速度を、上記範囲とすることができる。
硬化性組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の公知の塗布方法を採用することができる。この点は、後述する各種の層の形成に使用される組成物の塗布についても同様である。眼鏡レンズの量産性の観点からは、ディップコート法が好ましい。硬化処理は、光照射および/または加熱処理であることができる。硬化処理条件は、硬化性組成物に含まれる各種成分の種類や硬化性組成物の組成に応じて決定すればよい。硬化性組成物を硬化した硬化層の膜厚は、例えば1μm以上100μm以下である。上記硬化層の膜厚は、表面の耐引掻傷性を高める観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、耐引掻傷性を顕著に高め、リップルの振幅を低減し、干渉縞の抑制効果を顕著に得る観点から、更に好ましくは8μm以上、一層好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
<下地層>
上記眼鏡レンズは、レンズ基材と他の層との間に1層以上の下地層を有することができる。下地層は、例えばレンズ基材と硬化層との間に位置することができ、硬化層と後述する無機層との間に位置することもできる。上記眼鏡レンズは、かかる下地層を1層または2層以上含むことができる。下地層の具体例としては、干渉縞抑制層として機能する層(例えばλ/4層と呼ばれる干渉縞抑制層)および密着性向上のためのプライマー層を挙げることができる。上記眼鏡レンズは、干渉縞抑制層およびプライマー層の一方または両方を、レンズ基材と硬化層との間または硬化層と無機層との間に有することができる。
干渉縞抑制層
干渉縞抑制層は、この層が含まれない場合と比べて干渉縞の発生を抑制することができる層である。波長λが450~650nmの光における光学膜厚が0.2λ~0.3λでの層は、干渉縞抑制層として機能し得る。干渉縞抑制層の膜厚は、物理膜厚としては、例えば50nm~100nmの範囲であることができる。
干渉縞抑制層は、例えば、金属酸化物粒子および樹脂を少なくとも含有する分散液をレンズ基材の表面に塗布して形成することができる。
金属酸化物粒子は、干渉縞抑制層の屈折率を調整する役割を果たすことができる。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化タングステン(例えばWO)、酸化亜鉛(例えばZnO)、酸化アルミニウム(例えばAl)、酸化チタニウム(例えばTiO)、酸化ジルコニウム(例えばZrO)、酸化スズ(例えばSnO)、酸化ベリリウム(例えばBeO)、酸化アンチモン(例えばSb)等の粒子が挙げられ、単独または2種以上の金属酸化物粒子を併用することができる。また、2種以上の金属酸化物の複合酸化物粒子を用いることもできる。金属酸化物粒子の粒径は、光学特性の観点から、5~30nmの範囲であることが好ましい。干渉縞抑制層が上記金属含有層であって酸化亜鉛および/または酸化ジルコニウムを含む場合、これら酸化物は屈折率を調整する役割および銀の酸化の進行を制御する役割を果たすことができる。
干渉縞抑制層の樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等から選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、好ましくはポリウレタン樹脂であり、より好ましくはポリウレタン樹脂を含有する水系樹脂組成物、即ち、水系ポリウレタン樹脂組成物である。水系ポリウレタン樹脂組成物は、例えばポリオール化合物と有機ポリイソシアネート化合物とを、必要に応じて鎖延長剤とともに、反応に不活性で水との親和性の大きい溶剤中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを中和後、鎖延長剤を含有する水系溶剤に分散させて高分子量化することにより調製することができる。そのような水系ポリウレタン樹脂組成物およびその調製方法については、例えば、特許第3588375号明細書の段落0009~0013、特開平8-34897号公報の段落0012~0021、特開平11-92653号公報の段落0010~0033、特開平11-92655号公報の段落0010~0033等を参照できる。また、水系ポリウレタン樹脂組成物としては、市販されている水系ウレタンをそのまままたは必要に応じて水系溶剤で希釈して使用することもできる。市販されている水系ポリウレタン樹脂組成物としては、例えば、日華化学社製エバファノールシリーズ、第1工業製薬社製スーパーフレックスシリーズ、ADEKA社製アデカボンタイターシリーズ、三井化学社製オレスターシリーズ、DIC社製ボンディックシリーズ、ハイドランシリーズ、バイエル社製インプラニールシリーズ、日本ソフラン社製ソフラネートシリーズ、花王社製ポイズシリーズ、三洋化成工業社製サンプレンシリーズ、保土谷化学工業社製アイゼラックスシリーズ、ゼネカ社製ネオレッツシリーズ等を挙げることができる。
干渉縞抑制層を形成するために使用される分散液は水系溶剤を含んでいてもよい。水系溶剤は、水を含む溶剤を意味し、例えば、水、水と極性溶剤等との混合溶剤であり、好ましくは水である。水系樹脂組成物中の固形分濃度は、液安定性および製膜性の観点から、好ましくは1~60質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。水系樹脂組成物は、樹脂成分のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、分散剤、可塑剤等の添加剤を含むこともできる。また、市販されている水系樹脂組成物を、水、アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等の溶剤で希釈して使用してもよい。
上記水系樹脂組成物として、カチオン性有機化合物を含むものを使用することにより、かかる水系樹脂組成物から形成された下地層(干渉縞抑制層)として、カチオン性有機化合物を含む有機層を形成することができる。水系樹脂組成物を被塗布面(例えばレンズ基材表面)に塗布して塗布層を形成し、乾燥処理等によって少なくとも一部の水系溶剤を乾燥除去して上記塗布層を固化させることにより、下地層(干渉縞抑制層)を形成することができる。
プライマー層
プライマー層は、例えば、樹脂および水系溶剤を含有する水系樹脂組成物から形成される水系樹脂層であることができる。水系樹脂組成物に含まれる水系溶剤は、例えば、水、水と極性溶剤等との混合溶剤であり、好ましくは水である。水系樹脂組成物中の固形分濃度は、液安定性および製膜性の観点から、好ましくは1~60質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。水系樹脂組成物は、樹脂成分のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、分散剤、可塑剤等の添加剤を含むこともできる。また、市販されている水系樹脂組成物を、水、アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等の溶剤で希釈して使用してもよい。
水系樹脂組成物は、水系溶剤に溶解した状態または粒子(好ましくはコロイド粒子)として分散した状態で樹脂成分を含むことができる。中でも、水系溶剤中(好ましくは水中)に樹脂成分が微粒子状に分散した分散液であることが望ましい。この場合、上記樹脂成分の粒径は、組成物の分散安定性の観点から、0.3μm以下であることが好ましい。また、上記水系樹脂組成物のpHは、25℃において、5.5~9.0程度であることが安定性の点から好ましい。液温25℃での粘度は、塗布適性の点から、5~500mPa・sであることが好ましく、10~50mPa・sであることがより好ましい。樹脂については、干渉縞抑制層の樹脂に関する先の記載を参照できる。
上記水系樹脂組成物として、カチオン性有機化合物を含むものを使用することにより、かかる水系樹脂組成物から形成された下地層(プライマー層)として、カチオン性有機化合物を含む有機層を形成することができる。水系樹脂組成物を被塗布面(例えば干渉縞抑制層表面またはレンズ基材表面)に塗布して塗布層を形成し、乾燥処理等によって少なくとも一部の水系溶剤を乾燥除去して上記塗布層を固化させることにより、下地層(プライマー層)を形成することができる。プライマー層の膜厚は、例えば0.01~2.0μmの範囲であることができる。
<レンズ基材>
眼鏡レンズのレンズ基材は、プラスチックレンズ基材またはガラスレンズ基材であることができる。ガラスレンズ基材は、例えば無機ガラス製のレンズ基材であることができる。レンズ基材としては、軽量で割れ難く取扱いが容易であるという観点から、プラスチックレンズ基材が好ましい。プラスチックレンズ基材としては、(メタ)アクリル樹脂をはじめとするスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR-39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する硬化性組成物を硬化した硬化物(一般に透明樹脂と呼ばれる。)を挙げることができる。レンズ基材としては、染色されていないもの(無色レンズ)を用いてもよく、染色されているもの(染色レンズ)を用いてもよい。レンズ基材の屈折率は、例えば、1.60~1.75程度であることができる。ただしレンズ基材の屈折率は、上記範囲に限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。本発明および本明細書において、屈折率とは、波長500nmの光に対する屈折率をいうものとする。また、レンズ基材は、屈折力を有するレンズ(いわゆる度付レンズ)であってもよく、屈折力なしのレンズ(いわゆる度なしレンズ)であってもよい。
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等の各種レンズであることができる。レンズの種類は、レンズ基材の両面の面形状により決定される。また、レンズ基材表面は、凸面、凹面、平面のいずれであってもよい。通常のレンズ基材および眼鏡レンズでは、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面である。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
<無機層>
上記眼鏡レンズは、レンズ基材上に無機層を有する。本発明および本明細書において、「無機層」とは、無機物質を含む層であり、好ましくは無機物質を主成分として含む層である。ここで主成分とは、層において最も多くを占める成分であって、主成分については先に有機層について記載した通りである。無機層は、少なくともカチオン性有機化合物を含む有機層を介してレンズ基材表面上に積層された層であることができる。
上記無機層は、一形態では、2層以上の無機層の多層膜であることができる。かかる多層膜としては、高屈折率層と低屈折率層とをそれぞれ1層以上含む多層膜を挙げることができる。かかる多層膜は、特定の波長の光もしくは特定の波長域の光の反射を防止する性質を有する反射防止膜、または特定の波長の光もしくは特定の波長域の光を反射する性質を有する反射膜であることができる。本発明および本明細書において、「高屈折率」および「低屈折率」に関する「高」、「低」とは、相対的な表記である。即ち、高屈折率層とは、同じ多層膜に含まれる低屈折率層より屈折率が高い層をいう。換言すれば、低屈折率層とは、同じ多層膜に含まれる高屈折率層より屈折率が低い層をいう。高屈折率層を構成する高屈折率材料の屈折率は、例えば1.60以上(例えば1.60~2.40の範囲)であり、低屈折率層を構成する低屈折率材料の屈折率は、例えば1.59以下(例えば1.37~1.59の範囲)であることができる。ただし上記の通り、高屈折率および低屈折率に関する「高」、「低」の表記は相対的なものであるため、高屈折率材料および低屈折率材料の屈折率は、上記範囲に限定されるものではない。
具体的には、高屈折率層を形成するための高屈折率材料としては、酸化ジルコニウム(例えばZrO)、酸化タンタル(例えばTa)、酸化チタン(例えばTiO)、酸化アルミニウム(例えばAl)、酸化イットリウム(例えばY)、酸化ハフニウム(例えばHfO)、および酸化ニオブ(例えばNb)からなる群から選ばれる酸化物の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。一方、低屈折率層を形成するための低屈折率材料としては、酸化ケイ素(例えばSiO)、フッ化マグネシウム(例えばMgF)およびフッ化バリウム(例えばBaF)からなる群から選ばれる酸化物またはフッ化物の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。上記の例示では、便宜上、酸化物およびフッ化物を化学量論組成で表示したが、化学量論組成から酸素またはフッ素が欠損もしくは過多の状態にあるものも、高屈折率材料または低屈折率材料として使用可能である。
好ましくは、高屈折率層は高屈折率材料を主成分とする膜であり、低屈折率層は低屈折率材料を主成分とする膜である。上記高屈折率材料または低屈折率材料を主成分とする成膜材料(例えば蒸着材料)を用いて成膜を行うことにより、そのような膜(例えば蒸着膜)を形成することができる。膜および成膜材料には、不可避的に混入する不純物が含まれる場合があり、また、主成分の果たす機能を損なわない範囲で他の成分、例えば他の無機物質や成膜を補助する役割を果たす公知の添加成分が含まれていてもよい。成膜は、公知の成膜方法により行うことができ、成膜の容易性の観点からは、蒸着により行うことが好ましく、真空蒸着により行うことがより好ましい。反射防止膜は、例えば、高屈折率層と低屈折率層が交互に合計3~10層積層された多層膜であることができる。高屈折率層の膜厚および低屈折率層の膜厚は、層構成に応じて決定することができる。詳しくは、多層膜に含まれる層の組み合わせ、および各層の膜厚は、高屈折率層および低屈折率層を形成するための成膜材料の屈折率と、多層膜を設けることにより眼鏡レンズにもたらしたい所望の反射特性および透過特性に基づき、公知の手法による光学設計シミュレーションにより決定することができる。また、多層膜には、導電性酸化物を主成分とする層(導電性酸化物層)、好ましくは導電性酸化物を主成分とする蒸着材料を用いる蒸着により形成された導電性酸化物の蒸着膜の1層以上が任意の位置に含まれていてもよい。多層膜に含まれる高屈折率層および低屈折率層の各層の膜厚は、例えば3~500nmであることができ、多層膜の総厚は、例えば100~900nmであることができる。本発明および本明細書における膜厚は、特記しない限り、物理膜厚である。
上記無機層は、例えば反射防止膜として機能することにより、特定の波長の光または特定の波長域の光に対する反射防止性能を眼鏡レンズにもたらすことができる。
上記眼鏡レンズは、眼鏡レンズに通常含まれ得る1層以上の層を任意の位置に含むことができる。かかる層の一例としては、撥水層を挙げることができる。撥水層は、眼鏡レンズ表面が撥水性を発揮することに寄与するか、または、この層を有さない場合と比べてより良好な撥水性を発揮することに寄与する層をいうものとする。撥水層の一例としては、WO2021/060664に記載されている抗菌剤(例えば銀粒子)と撥水剤とを含む塗膜を挙げることができる。かかる撥水層については、WO2021/060664の全記載を参照でき、抗菌剤および撥水剤の詳細ならびに塗膜形成方法については同公報の段落0032~0061を参照でき、同公報の実施例の欄も参照できる。
上記眼鏡レンズにおいて、カチオン性有機化合物を含む有機層は抗菌層として機能することができ、これにより上記眼鏡レンズは抗菌性を示すことができる。また、一形態では、カチオン性有機化合物を含む有機層は、抗ウイルス層として機能することもできる。
[眼鏡]
本発明の一態様は、上記眼鏡レンズを備えた眼鏡に関する。この眼鏡に含まれる眼鏡レンズの詳細については、先に記載した通りである。上記眼鏡について、フレーム等の構成については、公知技術を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし本発明は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
[比較例1]
<プラスチックレンズ基材>
プラスチックレンズ基材として、HOYA社製眼鏡用プラスチックレンズ(商品名EYNOA、屈折率1.67)を使用した。
<干渉縞抑制層(λ/4層)>
メタノール305.0gに4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(DAA)を126g、水を350.5g加え、更に熱可塑性樹脂(第1工業製薬社製スーパーフレックス170)を217.5g、日産化学工業社製HZ-407MHをメタノールに40質量%分散させたゾル状の材料(ZrOゾル)90.0g、レベリング剤(東レ・ダウコーニング社製Y-7006)1.0gを加えて、液温20℃で1時間撹拌し、フィルターにより処理し、λ/4層用液を得た。
得られたλ/4層用液を洗浄したプラスチックレンズ基材の表面にディップ法にて塗布し、内部雰囲気温度100℃の乾燥装置内で20分間乾燥固化し、レンズ基材の両面側にそれぞれ膜厚(物理膜厚、以下同様)85nmのλ/4層を形成した。
<プライマー層>
メタノール305.0gに4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(DAA)を126g、水を350.5g加え、更に熱可塑性樹脂(第1工業製薬社製スーパーフレックス170)を217.5g、レベリング剤(東レ・ダウコーニング社製Y-7006)1.0gを加えて、液温20℃で24時間撹拌しプライマー液を得た。
得られたプライマー液をディップ法にてλ/4層の表面に塗布し、内部雰囲気温度100℃の乾燥装置内で20分間乾燥固化し、レンズ基材の両面側にそれぞれ膜厚1μmのプライマー層を形成した。
<ハードコート層>
シリカ粒子52質量部、シランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-403、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)24質量部および多官能エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製デナコールEX-321、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)24質量部を混合してハードコート液を調製した。
調製したハードコート液を、レンズ基材の両面側に設けられたプライマー層の表面にスプレーコート法により塗布し、内部雰囲気温度75℃の加熱炉で20分間加熱して予備硬化を行い、次いで加熱炉の内部雰囲気温度を110℃に昇温して同温度で2時間加熱して本硬化を行い、レンズ基材の両面側にそれぞれ膜厚5μmのハードコート層を形成した。
<無機層(多層反射防止膜)>
次に、上記ハードコート層を形成したレンズ基材を真空蒸着装置に入れ、ハードコート層の表面上に、真空蒸着法により、SiO層およびZrO層を交互に8層積層した多層反射防止膜を形成した(総厚:約400~600nm)。上記SiO層は、酸化ケイ素を蒸着材料として成膜された蒸着膜であり、上記ZrO層は、酸化ジルコニウムを蒸着材料として形成された蒸着膜である。各蒸着材料は、不可避的に混入する不純物を除けば、記載されている酸化物のみからなる蒸着材料である。
以上の工程により、レンズ基材の両面にそれぞれλ/4層、プライマー層、ハードコート層および多層反射防止膜をこの順に有する眼鏡レンズを作製した。
[実施例1]
比較例1について記載した方法でハードコート液を調製した。
調製したハードコート液を500rpmの撹拌速度で撹拌しながら、第四級アンモニウム塩(日華化学社製ニッカノンRB-40)を0.5g/分の添加速度でハードコート液に添加した後、24時間撹拌を継続して第四級アンモニウム塩を含むハードコート液を調製した。第四級アンモニウム塩の添加量は、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が0.11質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が0.81質量部になる量とした。
上記の点以外、比較例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[実施例2]
ハードコート液への第四級アンモニウム塩の添加量を、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が0.42質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が2.96質量部になる量とした点以外、実施例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[抗菌性試験]
JIS Z 2801:2012にしたがって、実施例1の眼鏡レンズおよび実施例2の眼鏡レンズの抗菌性試験を実施した。参照用サンプルとして、比較例1の眼鏡レンズを使用した。
50mm×50mmの試験片(各眼鏡レンズから切り出た試験片)を滅菌済みシャーレに入れた後、1.0×10個~4.0×10個の試験菌(黄色ブドウ球菌または大腸菌)を含む菌液0.4mLを試験片の中央部に滴下し、40mm×40mmに切断したポリエチレンフィルムで被覆する。このシャーレを相対湿度90%以上で24時間培養した後の1cmあたりの生菌数を測定し、以下の抗菌活性値を算出する。
抗菌活性値=Ut-At≧2.0
Ut:無加工試験片(参照用サンプル)の24時間培養後の1cmあたりの生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片(実施例サンプル)の24時間培養後の1cmあたりの生菌数の対数値の平均値
SIAA(抗菌製品技術協議会)は、抗菌活性値が2.0以上である場合、その製品に抗菌効果があると規定している。実施例1の眼鏡レンズおよび実施例2の眼鏡レンズは、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して、2.0以上の抗菌活性値を示した。
レンズ基材としてHOYA社製眼鏡用プラスチックレンズ(商品名CR-39、屈折率1.50)を使用し、干渉縞抑制層(λ/4層)を形成しなかった点以外、実施例1と同様の方法で眼鏡レンズを作製した。こうして作製された眼鏡レンズは、実施例1の眼鏡レンズと同様にカチオン性有機化合物を含む有機層をハードコート層として有するため、実施例1の眼鏡レンズと同様に抗菌レンズとして機能し得る眼鏡レンズである。
[実施例3]
ハードコート液への第四級アンモニウム塩の添加量を、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が1.66質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が11.83質量部になる量とした点以外、実施例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
形成した眼鏡レンズの両面の無機層(多層反射防止膜)上に、それぞれWO2021/060554の段落0066~0067に記載の方法によって銀粒子を含む膜厚15nmの撥水層を形成した。
[比較例2]
実施例3について記載した方法で無機層上に撥水層を形成した点以外、比較例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[抗ウイルス性試験]
ISO21702にしたがって、実施例3の眼鏡レンズの抗ウイルス性試験を実施した。参照用サンプルとして、比較例2の眼鏡レンズを使用した。
50mm×50mmの試験片(各眼鏡レンズから切り出た試験片)の表面に試験ウイルス液0.4mlを接種し、被覆フィルムを被せる。以下、被覆フィルムを被せた試験片を試料と呼ぶ。
ウイルス液接種後の試料を温度25±1℃、相対湿度90%以上の環境に24時間静置(接触)させる。
24時間後、試料上からウイルスを回収し、プラーク法にてウイルス感染価の測定を行う。以下の抗ウイルス活性値を算出する。
抗ウイルス活性値=Ut-At≧2.0
Ut:無加工試験片(参照用サンプル)のウイルス感染価
At:抗菌加工試験片(実施例サンプル)のウイルス感染価
SIAA(抗菌製品技術協議会)は、抗ウイルス活性値が2.0以上である場合、その製品に抗ウイルス効果があると規定している。実施例3の眼鏡レンズは、ウイルス株としてインフルエンザウイルス(H3N2)を使用した抗ウイルス性試験において、2.0以上の抗ウイルス活性値を示した。
[実施例4]
ハードコート液への第四級アンモニウム塩の添加量を、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が2.26質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が16.14質量部になる量とした点以外、実施例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[実施例5]
ハードコート液への第四級アンモニウム塩の添加量を、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が2.64質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が18.83質量部になる量とした点以外、実施例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[実施例6]
WO2005/088352の段落0091に実施例1について記載されている方法によってハードコート液を調製した。
調製したハードコート液を500rpmの撹拌速度で撹拌しながら、第四級アンモニウム塩(日華化学社製ニッカノンRB-40)を0.5g/分の添加速度でハードコート液に添加した後、24時間撹拌を継続して第四級アンモニウム塩を含むハードコート液を調製した。第四級アンモニウム塩の添加量は、形成されるハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が2.26質量%になり、かつ無機粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が3.30質量部になる量とした。
上記の点以外、比較例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。
[参考例1]
ハードコート液調製時、第四級アンモニウム塩に代えて粒径2~5nmの銀粒子を添加した点以外、実施例1について記載した方法で眼鏡レンズを作製した。ハードコート液への銀粒子の添加量は、形成されるハードコート層において、銀粒子含有率が1.89質量%になり、かつシリカ粒子100質量部に対する銀粒子の含有量が3.79質量部になる量とした。
[膜強度(スチールウール試験)]
実施例1~6および参考例1について記載した方法によってそれぞれ作製したハードコート層の表面において、以下の方法でスチールウール試験を行った。
新東科学社製往復摩擦磨耗試験機にて、荷重2.0kgでスチールウール(ボンスター製#00000)を用いて20往復摩耗テストを行った。テスト後のハードコート層の表面を目視で観察し、以下の評価基準によって膜強度を評価した。
(評価基準)
A:キズがまったくまたは殆ど確認されない。
B:キズがわずかに確認される。
C:明らかなキズが確認される。
D:Cより重度のキズが確認される。
[外観評価]
実施例1~6および参考例1の各眼鏡レンズの外観を目視で観察し、曇りの有無を評価した。
[耐光性(耐黄色化)]
実施例1~4および参考例1の眼鏡レンズの耐光性を、以下の方法によって評価した。
各眼鏡レンズのYI値(初期)を測定し、スガ試験機株式会社製キセノンウエザーメーター XA25において、0.32kW照射を300時間行った後に再度YI値(照射後)を測定し、それらの差分(照射後-初期=変化量)を、ΔYI値として取得した。
YI値は、以下の方法によって測定した。
眼鏡レンズの物体側から、物体側表面(凸面側)の光学中心における直入射反射分光特性を測定する。こうして得られた直入射透過分光特性の測定結果を用いて、JIS K 7373:2006にしたがいYI値を求める。具体的には、直入射透過分光特性の測定により得られた透過スペクトルから、JIS Z 8701:1999の式(3)にしたがって、X、Y、Zを算出し、JIS K 7373:2006の6.1節の計算式により、D65光源に対するYI値を算出する。YI値が小さいほど、黄変が少ないということができる。
以下の評価基準によって、耐光性(耐黄色化)を評価した。
(評価基準)
A:ΔYI値が0.5以下
B:ΔYI値が0.5超1以下
C:ΔYI値が1超2以下
D:ΔYI値が2超
以上の結果を表1に示す。
Figure 2023069523000003
参考例1の眼鏡レンズについて、先に記載した方法によって抗菌性試験を行った。その結果、参考例1の眼鏡レンズの抗菌活性値は2.0以上であった。ただし、表1に示すように、参考例1の眼鏡レンズは外観評価で曇りが確認され、耐光性の評価結果はDであった。
実施例同士を対比すると、ハードコート層において、第四級アンモニウム塩含有率が2.64質量%かつシリカ粒子100質量部に対するアンモニウム塩の含有量が18.83質量部である実施例5に対して、ハードコート層における第四級アンモニウム塩の量が実施例5より少ない実施例1~4、6の眼鏡レンズは、外観評価および膜硬度において、より優れた結果を示した。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、レンズ基材と、カチオン性有機化合物を含む有機層と、を有する眼鏡レンズが提供される。
上記眼鏡レンズは、抗菌性を示すことができる。
一形態では、上記カチオン性有機化合物は、第四級アンモニウム塩であることができる。
一形態では、上記有機層は、無機粒子を更に含むことができる。
一形態では、上記有機層における上記カチオン性有機化合物の含有量は、上記無機粒子100質量部に対して0.5質量部以上であることができる。
一形態では、上記有機層における上記カチオン性有機化合物の含有量は、上記無機粒子100質量部に対して0.5質量部以上18.0質量部以下であることができる。
一形態では、上記有機層における上記カチオン性有機化合物の含有率は、0.04質量%以上であることができる。
一形態では、上記有機層における上記カチオン性有機化合物の含有率は、0.04質量%以上2.50質量%以下であることができる。
一形態では、上記眼鏡レンズは、上記レンズ基材上に上記有機層を有し、上記有機層上に無機層を更に有することができる。
一態様によれば、上記眼鏡レンズを備えた眼鏡が提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の一態様は、眼鏡レンズおよび眼鏡の製造分野において有用である。

Claims (9)

  1. レンズ基材と、カチオン性有機化合物を含む有機層と、を有する眼鏡レンズ。
  2. 前記カチオン性有機化合物が第四級アンモニウム塩である、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記有機層は無機粒子を更に含む、請求項1または2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記有機層における前記カチオン性有機化合物の含有量は、前記無機粒子100質量部に対して0.5質量部以上である、請求項3に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記有機層における前記カチオン性有機化合物の含有量は、前記無機粒子100質量部に対して0.5質量部以上18.0質量部以下である、請求項3または4に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記有機層における前記カチオン性有機化合物の含有率は、0.04質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記有機層における前記カチオン性有機化合物の含有率は、0.04質量%以上2.50質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記レンズ基材上に前記有機層を有し、前記有機層上に無機層を更に有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の眼鏡レンズを備えた眼鏡。
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