JP2023068611A - 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器 - Google Patents

電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2023068611A
JP2023068611A JP2022089542A JP2022089542A JP2023068611A JP 2023068611 A JP2023068611 A JP 2023068611A JP 2022089542 A JP2022089542 A JP 2022089542A JP 2022089542 A JP2022089542 A JP 2022089542A JP 2023068611 A JP2023068611 A JP 2023068611A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
electronic device
polymer compound
anion
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022089542A
Other languages
English (en)
Inventor
弘樹 佐藤
Hiroki Sato
侑 山下
Yu Yamashita
純一 竹谷
Junichi Takeya
峻一郎 渡邉
Shunichiro Watanabe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
University of Tokyo NUC
Original Assignee
Daicel Corp
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp, University of Tokyo NUC filed Critical Daicel Corp
Priority to PCT/JP2022/040018 priority Critical patent/WO2023080040A1/ja
Priority to TW111141128A priority patent/TW202328349A/zh
Publication of JP2023068611A publication Critical patent/JP2023068611A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】耐熱性及び耐湿性に優れた電解コンデンサ、有機エレクトロルミネッセンス素子又は有機太陽電池等の電気又は電子デバイスを提供する。【解決手段】第1電極層、導体材料層及び第2電極層がこの順で積層された電気又は電子デバイスであって、導体材料層が、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン及びアンチモンアニオンから選択される特定のアニオンをドープした構成を有する導体材料を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、電気又は電子デバイス、前記電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器に関する。
電気又は電子デバイスとして、例えば固体電解コンデンサは、携帯電話やノート型パソコン、携帯用ゲーム機器などのモバイル機器や、カーナビゲーション、エンジン制御回路などの自動車用機器への用途が増加している。
固体電解コンデンサは、陽極層、誘電体層、固体電解質層、及び陰極層を備える。そして、導電性高分子化合物を含む固体電解質層を備える固体電解コンデンサは電気特性に優れ、等価直列抵抗(ESR)値を低下させることが知られている。
前記導電性高分子化合物としては、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(以後、「PEDOT/PSS」と称する場合がある)が知られている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2007/091656号
しかし、PEDOT/PSSは耐熱性が低く、100℃を超える高温環境下では脱ドープや主鎖骨格の分解等により導電率が顕著に低下するため、自動車のエンジン制御回路のような高温に曝される用途では使用困難であった。
また、PSSは吸湿性が高い。そして、PEDOT/PSSを含む固体電解質層を形成する際には水を使用することが一般的である。そのため、PEDOT/PSSを含む固体電解質層は本質的に水分を含みやすく、強酸性であるスルホン酸を生じ易い。従って、PEDOT/PSSを含む固体電解質層と誘電体層を積層すると、固体電解質層から生じたスルホン酸により誘電体層が腐食してESR値が上昇する問題が生じ易く、電気特性を安定的に維持することが困難であった。すなわち、水分による電気特性の低下が著しく、耐湿性に劣ることが問題であった。
従って、本開示の目的は、耐熱性及び耐湿性に優れた電子デバイスを提供することにある。
本開示の他の目的は、前記電気又は電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、前記電気又は電子デバイスを備える電気又は電子機器を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンをドープしてなる導体材料は、前記アニオンが共役系高分子化合物の結晶構造の隙間に安定的に格納されるので、高温環境下でも脱ドープし難いこと、前記導体材料はPEDOT/PSSに比べて吸湿性が低いこと、前記導体材料は製造工程での水分の使用量を低減することが可能であり、製造工程において水分の使用量を低減することで、導体材料が本質的に水分を含むのを抑制することができること、前記導体材料を主成分とする導体材料層と電極層との積層構造を備える電気又は電子デバイスは、高温環境下でも脱ドープを抑制して導電性を維持することができ、高湿度環境下でも導体材料層の水分含有量を抑制することができ、導体材料層が水分を含むことで引き起こされる電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食を抑制することができることを見いだした。本開示はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本開示は、第1電極層、導体材料層、及び第2電極層がこの順で積層された構成を備える電気又は電子デバイスであって、
前記導体材料層が、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンをドープした構成を有する導体材料を含む電気又は電子デバイスを提供する。
本開示は、また、前記アニオンが、下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンである前記電気又は電子デバイスを提供する。
Figure 2023068611000001
(式中、Ra1~Ra7は同一又は異なってハロゲン原子又はハロアルキル基を示す。Ra1とRa2は互いに結合して、ハロアルキレン基を形成していてもよい)
本開示は、また、前記共役系高分子化合物が、下記式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物、又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である前記電気又は電子デバイスを提供する。
Figure 2023068611000002
(式中、L1~L5は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D1~D6は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D1~D6から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
Figure 2023068611000003
(式中のベンゼン環は置換基を有していてもよい)
本開示は、また、前記式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物が、下記式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である前記電気又は電子デバイスを提供する。
Figure 2023068611000004
(式中、L11~L14は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D11~D16は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D11~D16から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
本開示は、また、前記式(1-1)中のD11~D16の少なくとも1つが、下記式(d-1)又は(d-2)で表される基である前記電気又は電子デバイスを提供する。
Figure 2023068611000005
(式中、Dは第14~16族元素から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を示し、Rd1は炭素数5~30の脂肪族炭化水素基を示す。Rd2は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を示し、sは1以上の整数を示す。式中の波線が付された結合手が、前記式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の主鎖に結合する)
本開示は、また、電気又は電子デバイスが、電解コンデンサ、有機エレクトロルミネッセンス素子、又は有機太陽電池である前記電気又は電子デバイスを提供する。
本開示は、また、共役系高分子化合物にドーパントをドープする工程を経て前記電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法を提供する。
本開示は、また、下記工程1,2を経て前記電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法を提供する。
工程1:共役系高分子化合物を含む溶液を基材表面に塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物を含む層を形成する
工程2:共役系高分子化合物を含む層に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含むドーパント溶液を塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物に前記アニオンをドープした構成を有する導体材料を含む導体材料層を得る
本開示は、また、前記ドーパント溶液の水分含有量が1重量%以下である前記電気又は電子デバイスの製造方法を提供する。
本開示は、また、前記電気又は電子デバイスを備える電気又は電子機器を提供する。
本開示の電気又は電子デバイスは、耐熱性に優れ、高温環境下でも脱ドープを抑制することができる導体材料層を備える。また、前記導体材料層は、耐湿性にも優れる。すなわち、前記導体材料層は本質的に水分の含有量が低く、その上、吸湿性が低い。前記電気又は電子デバイスは、前記の通り耐湿性に優れた導体材料層を備えるため、高湿度環境下でも電極層や誘電体層等の易腐食性層が腐食するのを防止することができ、電気特性を高く維持することができる。
本開示の電気又は電子デバイスは、高温・高湿度環境下でも、長期に亘って安定的に優れた電気特性を発揮することができる。そのため、耐湿性及び耐熱性が求められる用途(例えば、自動車用機器等)において好適に使用することができる。また、前記電気又は電子デバイスによれば、軽量化、フレキシブル化、薄型化、大面積化を安価に実現可能である。
[電気又は電子デバイス]
本開示の電気又は電子デバイス(以後、単に「デバイス」と称する場合がある)は、第1電極層、導体材料層、及び第2電極層がこの順で積層された構成を備える電気又は電子デバイスであって、前記導体材料層が、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンをドープした構成を有する導体材料を含む。
前記デバイスは、第1電極層、導体材料層、及び第2電極層以外にも、必要に応じて他の構成を含むことができる。
前記デバイスには、例えば、電解コンデンサ(例えば、固体電解コンデンサ)、有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、「有機EL素子」と称する場合がある)、有機太陽電池(例えば、有機薄膜太陽電池)等が含まれる。
前記デバイスが電解コンデンサの場合、第1電極層としての陽極層と導体材料層(これは、電解質層とも称される)と第2電極層としての陰極層を含む積層体を備える。そして、前記積層体は、陽極層と導体材料層の間に誘電体層を含むことが好ましい。また、陰極層と導体材料層の間にグラファイト層を含んでいてもよい。グラファイト層を設けることで、導体材料層と第2電極層の接続を改善することができる。
前記デバイスが有機EL素子の場合、第1電極層としての金属電極と導体材料層(これは、正孔注入層とも称される)と第2電極層としての透明電極(アノード)を含む積層体を備える。そして、前記積層体は、金属電極と導体材料層の間に発光層を含み、透明電極(アノード)の外側に透明基板を含むことが好ましい。
前記デバイスが有機太陽電池の場合、第1電極層としての陽極層と導体材料層(これは、アクセプター層とも称される)と第2電極層としての陰極層を含む積層体を備える。そして、前記積層体は、陽極層と導体材料との間にドナー層を含むことが好ましい。
これ以降、固体電解コンデンサを中心に説明するが、本開示の電気又は電子デバイスは固体電解コンデンサには限定されない。
前記デバイスが固体電解コンデンサである場合、低ESR特性を有し、LCRメーターを用いて、100kHzの周波数で測定したESR値は、例えば3.5mΩ/cm2以下、好ましくは3.0mΩ/cm2以下、特に好ましくは2.0mΩ/cm2以下、最も好ましくは1.8mΩ/cm2以下である。
また、LCRメーターを用いて、120kHzの周波数で測定したESR値は、例えば1.0mΩ/cm2以下、好ましくは0.5mΩ/cm2以下、特に好ましくは0.4mΩ/cm2以下である。
そして、前記固体電解コンデンサは耐熱性に優れ、150℃で2000時間加熱する耐熱試験後のESR上昇率(下記式で求められる値)は、試験前(25℃)のESR値の、例えば45%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。
ESR上昇率=[(耐熱試験後のESR値-試験前のESR値)/試験前のESR値]×100
また、前記固体電解コンデンサは耐湿性に優れ、25℃、85%RH条件下において3日間静置した後のESR上昇率(下記式で求められる値)は、試験前(25℃、50%RH)のESR値の、例えば50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは6%以下である。
ESR上昇率=[(耐湿試験後のESR値-試験前のESR値)/試験前のESR値]×100
[導体材料層]
前記導体材料層は導体材料(すなわち、導電性高分子化合物)を含む。前記導体材料層は導体材料以外の成分を含んでいても良いが、導体材料の占める割合は、導体材料層全量の例えば50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上、とりわけ好ましくは95重量%以上である。
前記導体材料層は、共役系高分子化合物にアニオンをドープした構成を有する導体材料を少なくとも含有する。前記導体材料層は、前記導体材料以外にも他の導体材料を含んでいてもよいが、前記導体材料層全量において、他の導体材料の占める割合は、例えば50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下、とりわけ好ましくは5重量%以下である。
前記導体材料層(或いは、前記導体材料)の導電率は、例えば1S/cm以上、好ましくは10S/cm以上、特に好ましくは50S/cm以上、最も好ましくは100S/cm以上、とりわけ好ましくは500S/cm以上である。前記導電率の上限値は、例えば2000S/cmである。
前記導体材料層(或いは、前記導体材料)は保存安定性に優れ、長期にわたって高導電性を維持することができる。例えば、室温(25℃)で14日間保存した後の導電率の低下率([(保存前の導電率-14日保存後の導電率)/保存前の導電率]×100)は5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
室温(25℃)で56日間保存した後の導電率の低下率([(保存前の導電率-56日保存後の導電率)/保存前の導電率]×100)は20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
また、前記導体材料層(或いは、前記導体材料)は吸湿性が低く、25℃、85%RH条件下で3日間静置する耐湿性試験に付した時の吸湿量は、例えば1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
(共役系高分子化合物)
共役系高分子化合物は、ドーピング適性を有する高分子化合物であり、イオン化ポテンシャルは6.0eV以下であることが好ましく、より好ましくは5.5eV以下、特に好ましくは5.0eV以下、最も好ましくは4.5eV以下である。尚、イオン化ポテンシャルは、光電子収量分光測定法による求めることができる。
共役系高分子化合物としては、吸湿性が低く、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)への溶解性に優れる高分子化合物が好ましい。
共役系高分子化合物の重量平均分子量は、例えば500~300000である。
共役系高分子化合物には、下記高分子化合物(1)及び高分子化合物(2)が含まれる。尚、高分子化合物(1)(2)にはオリゴマーも含まれる。
下記高分子化合物(1)(2)は吸湿性が低いので、これらを共役系高分子化合物として使用して得られる導体材料層(或いは、導体材料)は、高湿度環境下においても吸湿を抑制することができる。そのため、前記導体材料層を備える固体電解コンデンサは、高湿度環境下においても誘電体層の腐食を抑制する効果に優れ、漏れ電流の増大を抑制し、低ESR性を長期に亘って安定的に保持することができる。
(高分子化合物(1))
高分子化合物(1)は、下記式(1a)(1b)及び(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する。
Figure 2023068611000006
(式中、L1~L5は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D1~D6(これらを側鎖と称する場合がある)は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D1~D6から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
高分子化合物(1)としては、耐熱性に特に優れる導体材料層が得られる点で、上記式(1a)及び(1b)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物であって、式中のD1~D4から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である高分子化合物が好ましい。
高分子化合物(1)としては、耐熱性に特に優れる導体材料層が得られる点で、下記式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が特に好ましい。
Figure 2023068611000007
(式中、L11~L14は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D11~D16(これらを側鎖と称する場合がある)は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D11~D16から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
高分子化合物(1)としては、下記式(1-1-1)又は(1-1-2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が最も好ましく、下記式(1-1-2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物がとりわけ好ましい。下記式中のL11~L14、D11~D16は前記に同じである。
Figure 2023068611000008
前記第13~16族元素としては、例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、及び硫黄原子が挙げられる。なかでも、第15族元素又は第16元素が好ましく、特に好ましくは酸素原子又は硫黄原子である。
前記アルキル基としては、炭素数3~30のアルキル基が好ましく、特に炭素数5~20のアルキル基が好ましく、炭素数10~20のアルキル基が最も好ましい。また、前記アルキル基には直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれるが、直鎖状アルキル基が好ましい。
前記ハロアルキル基は、アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)に置換された基であり、前記アルキル基としては、上述のアルキル基と同様の例が挙げられる。前記ハロアルキル基としては、なかでも、ハロゲン原子を末端に有するアルキル基が好ましく、特にフッ素原子を末端に有するアルキル基が好ましい。
前記ヘテロ原子を含む電子供与性基としては、例えば、第14~16族元素から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む基が挙げられる。
前記ヘテロ原子を含む電子供与性基としては、なかでも、下記式(d-1)又は(d-2)で表される基が好ましい。下記式(d-1)又は(d-2)で表される基を側鎖に有する高分子化合物(1)は、前記側鎖が構成する結晶構造の隙間に、対カチオンとのイオン結合から解放されたアニオンを安定的に格納することができる。そのため、脱ドープが抑制され、導電性が高い状態を経時安定的に維持することができる。
Figure 2023068611000009
(式中、Dは第14~16族元素から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を示し、Rd1は炭素数5~30の脂肪族炭化水素基を示す。Rd2は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を示し、sは1以上の整数を示す。式中の波線が付された結合手が、前記繰り返し単位を有する高分子化合物の主鎖に結合する)
前記第14~16族元素から選択される少なくとも1種のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。なかでも、第15族元素又は第16元素が好ましく、特に酸素原子が好ましい。
d1における脂肪族炭化水素基は、炭素数5~30の1価脂肪族炭化水素基であり、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ノナデシル基等の炭素数5~30(好ましくは炭素数5~20、特に好ましくは炭素数10~20、最も好ましくは炭素数10~18、とりわけ好ましくは炭素数12~15)のアルキル基;オレイル基等の炭素数5~30(好ましくは炭素数10~30、より好ましくは炭素数10~20、特に好ましくは炭素数10~18、最も好ましくは炭素数12~18)のアルケニル基等が挙げられる。
d1における1価脂肪族炭化水素基としては、なかでもアルキル基が好ましい。
d2における脂肪族炭化水素基は、炭素数1~5の2価脂肪族炭化水素基であり、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
d2における脂肪族炭化水素基は、なかでも、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2~3のアルキレン基が特に好ましい。
前記sは、式(d-2)中の括弧で示される単位の繰り返しの数であり、1以上の整数である。前記sとしては1~20の整数が好ましく、4~10の整数が特に好ましい。
高分子化合物(1)としては、脱ドープ抑制効果に優れる点で、側鎖(D1~D6の少なくとも1つ、D1~D4の少なくとも1つ、又はD11~D16の少なくとも1つ)としてヘテロ原子を含む電子供与性基(特に、式(d-1)で表される基)を有することが好ましく、前記ヘテロ原子を含む電子供与性基を、繰り返し単位(好ましくは上記式(1-1)で表される繰り返し単位、特に好ましくは上記式(1-1-1)又は(1-1-2)で表される繰り返し単位)あたり1~4個(好ましくは2~4個、特に好ましくは2~3個)有することが好ましい。
前記式(1-1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、例えば、下記反応(I)(II)を経て製造することができる。
Figure 2023068611000010
上記式中のD12~D15、L11~L14は上記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。
反応(I)では、上記式(a)で表される化合物と上記式(a’)で表される化合物を反応させて、上記式(b)で表される化合物を得る。
反応(I)は、銀触媒及び/又は塩基の存在下で行うことが好ましい。また、前記反応は、更に、パラジウム錯体及び/又は配位子の存在下で行うことが好ましい。
前記銀触媒としては、例えば、酸化銀、炭酸銀、硝酸銀、硫酸銀、シアン化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、酢酸銀、安息香酸銀、乳酸銀等の銀塩;アセチルアセトナート銀等の銀錯体などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記銀触媒の使用量は、例えば、上記式(a)で表される化合物と上記式(a’)で表される化合物の合計1モルに対して、例えば0.05~5.0モル程度である。
前記塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-s-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルエチルアミン、トリベンジルアミン、N-メチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジメチルピペラジン、N-メチルピロリジン、N-メチルモルホリン、1-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ジ-t-ブチルピリジン等の有機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;リチウムジイソプロピルアミド等の金属アミド;フッ化カリウム、ヨウ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記塩基の使用量は、上記式(a)で表される化合物と上記式(a’)で表される化合物の合計1モルに対して、例えば0.5~5.0モル程度である。
前記パラジウム触媒としては、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)(無水マレイン酸)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、(1,5-シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム等の0価のパラジウム化合物;酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、炭酸パラジウム、安息香酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、リチウムパラジウムクロリド、ビスベンゾニトリルパラジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムアセテート、π-アリルパラジウムクロリド、π-アリルパラジウムアセテート、ソジウムテトラクロロパラデートなどの2価のパラジウム化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記パラジウム触媒の使用量は、上記式(a)で表される化合物と上記式(a’)で表される化合物の、例えば1~10モル%程度である。
反応(I)は溶媒の存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;水;メタノール等のアルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応(I)の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
反応(I)の反応温度は、例えば30~100℃程度である。反応時間は、例えば0.5~5時間程度である。
反応(II)は、上記式(b)で表される化合物と上記式(c)で表される化合物とのクロスカップリング反応である。前記クロスカップリング反応としては、例えば、スティルクロスカップリング反応、熊田クロスカップリング反応、根岸クロスカップリング反応、鈴木クロスカップリング反応等を利用することができる。当該反応を経て、上記式(1-1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が得られる。
上記式(c)で表される化合物は、利用するクロスカップリング反応の種類に応じて選択して使用することができる。
例えば、スティルクロスカップリング反応を利用する場合、前記式(c)で表される化合物は有機スズ化合物であり、前記式(c)中のRaはトリアルキルスタンニル基(SnR3基;Rは例えば炭素数1~3のアルキル基である)である。
また、熊田クロスカップリング反応を利用する場合、前記式(c)で表される化合物はマグネシウム化合物であり、前記式(c)中のRaはマグネシウムハライド基(MgX基;Xはハロゲン原子を示す)である。
根岸クロスカップリング反応を利用する場合、前記式(c)で表される化合物は亜鉛化合物であり、前記式(c)中のRaはZnX基(Xはハロゲン原子を示す)である。
鈴木クロスカップリング反応を利用する場合、前記式(c)で表される化合物はホウ素化合物であり、前記式(c)中のRaはBY2基(Yは例えば水酸基である)である。
上記式(c)で表される化合物の使用量は、上記式(b)で表される化合物1モルに対して、例えば1.0~1.5モル程度である。
反応(II)は、パラジウム触媒及び/又は配位子の存在下で行うことが好ましい。
前記パラジウム触媒としては、例えば、Pd(PPh34、Pd(dba)2、Pd2(dba)3、Pd2(dba)3・CHCl3、Pd(t-Bu3P)2、Pd(acac)2が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記パラジウム触媒の使用量は、例えば、上記式(b)で表される化合物の、例えば0.5~10モル%程度である。
前記配位子としては、ホスフィン配位子が好ましい。前記ホスフィン配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリ(t-ブチル)ホスフィン等のトリC1-5アルキルホスフィン;トリ(シクロへキシル)ホスフィン等のトリC3-6シクロアルキルホスフィン;トリ(o-トリル)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニル-2-ピリジニルホスフィン等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記配位子の使用量は、例えば、上記式(b)で表される化合物の、例えば1~15モル%程度である。
反応(II)は溶媒の存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリフルオロトルエン、クロロベンゼン、アニソール、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、安息香酸エチルなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンなどのハロアルカン;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖状または環状エーテル;酢酸などの有機酸が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応(II)の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
反応(II)の反応温度は、例えば室温(25℃)~200℃程度である。反応時間は、例えば1~72時間程度である。
前記式(1-1-2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、例えば、下記反応(III)(IV)を経て製造することができる。
Figure 2023068611000011
上記式中のD11、D13、D14、D16、L11~L14、X、Raは上記に同じ。
反応(III)では、上記式(d)で表される化合物と上記式(d’)で表される化合物とを反応させて、上記式(e)で表される化合物を得る。
反応(III)は、銅触媒及び/又は塩基の存在下で行うことが好ましい。
前記銅触媒としては、例えば、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)等の1価又は2価のハロゲン化銅;酸化銅(I)、酸化銅(II)、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)、炭酸銅(I)、炭酸銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、硝酸銅(I)、硝酸銅(II)、メタンスルホン酸銅(I)、メタンスルホン酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、シアン化銅(I)、シアン化銅(II)等の1価又は2価のプロトン酸の銅塩等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記銅触媒の使用量は、例えば、上記式(d)で表される化合物と上記式(d’)で表される化合物の合計1モルに対して、例えば0.05~1モル程度である。
前記塩基としては、反応(I)において使用できる塩基と同様の例が挙げられる。塩基は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記塩基の使用量は、上記式(d)で表される化合物と上記式(d’)で表される化合物の合計1モルに対して、例えば0.5~5.0モル程度である。
反応(III)は溶媒の存在下で行うことができる。前記溶媒としては、反応(I)において使用できる溶媒と同様の例が挙げられる。溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応(III)の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
反応(III)の反応温度は、例えば-100~10℃程度である。反応時間は、例えば0.5~5時間程度である。
反応(IV)は、上記式(e)で表される化合物と上記式(c)で表される化合物とのクロスカップリング反応である。反応(IV)は、上記式(b)で表される化合物に代えてと上記式(e)で表される化合物を使用する以外は反応(II)と同様の方法で行うことができる。
(高分子化合物(2))
高分子化合物(2)は、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する。下記式(2)中のベンゼン環は1個又は2個以上の置換基を有していても良い。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5の炭化水素基(例えば、メチル基)などが挙げられる。
Figure 2023068611000012
(アニオン)
前記アニオン(若しくは、ドーパントアニオン)は、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択される少なくとも1種である。
前記アニオンとしては、なかでも窒素アニオン又はホウ素アニオンが、電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食抑制効果に優れる点で好ましい。また、窒素アニオン及びホウ素アニオンは、対カチオンとのイオン結合から解放された後に、共役系高分子化合物の結晶構造の隙間に安定的に格納されることで、共役系高分子化合物の結晶性が高められるため、脱ドープ抑制効果に優れる点でも好ましい。
前記窒素アニオンは、例えば、下記式(a)で表される。
Figure 2023068611000013
(式中、Ra11、Ra12は同一又は異なって電子吸引性基を示す。Ra11、Ra12は互いに結合して、隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい)
前記電子吸引性基としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、(C1-5)アシル基、カルボキシル基、(C1-5)アルコキシカルボニル基、ハロ(C1-5)アルキル基、スルホ基、(C1-5)アルキルスルホニル基、ハロスルホニル基、ハロ(C1-5)アルキルスルホニル基などが挙げられる。
a11、Ra12としては、なかでも、ハロスルホニル基、ハロアルキルスルホニル基が好ましい。また、Ra11とRa12は、互いに結合して、スルホニル-ハロアルキレン-スルホニル基を形成していても良い。
前記ハロスルホニル基としては、例えば、フルオロスルホニル基、クロロスルホニル基等が挙げられる。
前記ハロアルキルスルホニル基としては、例えば、フルオロアルキルスルホニル基(例えば、フルオロメチルスルホニル基、トリフルオロエチルスルホニル基、トリフルオロプロピルスルホニル基、ペンタフルオロプロピルスルホニル基等のフルオロC1-5アルキルスルホニル基;トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ペンタフルオロプロピルスルホニル基、ノナフルオロブチルスルホニル基などのパーフルオロC1-5アルキルスルホニル基)、クロロアルキルスルホニル基(例えば、クロロメチルスルホニル基等のクロロC1-5アルキルスルホニル基)などのハロC1-5アルキルスルホニル基が挙げられる。
前記Ra11とRa12が互いに結合して形成するスルホニル-ハロアルキレン-スルホニル基におけるハロアルキレン基としては、例えば、フルオロアルキレン基(例えば、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジイル基、オクタフルオロブタン-1,4-ジイル基等のパーフルオロC1-5アルキレン基)、クロロアルキレン基(例えば、パークロロC1-5アルキレン基等)などのハロC1-5アルキレン基が挙げられる。
前記窒素アニオンとしては、とりわけ、下記式(a-1)で表されるアニオンが、吸湿性が低い点で好ましい。当該アニオンを用いれば、吸湿性が特に低い導体材料を形成することができ、導体材料が水分を含むことで引き起こされる電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食を顕著に抑制することができる。
Figure 2023068611000014
(式中、Ra1、Ra2は同一又は異なってハロゲン原子、又はハロアルキル基を示す。Ra1、Ra2は互いに結合して、ハロアルキレン基を形成していてもよい)
前記ハロアルキル基としては、例えば、フルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基等のフルオロC1-5アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基などのパーフルオロC1-5アルキル基)、クロロアルキル基(例えば、クロロメチル基等のクロロC1-5アルキル基)などのハロC1-5アルキル基が挙げられる。
前記ハロアルキレン基としては、例えば、フルオロアルキレン基(例えば、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジイル基、オクタフルオロブタン-1,4-ジイル基等のパーフルオロC1-5アルキレン基)、クロロアルキレン基(例えば、パークロロC1-5アルキレン基等)などのハロC1-5アルキレン基が挙げられる。
前記ホウ素アニオンとしては、例えば、下記式(a-2)で表されるアニオンが好ましい。前記アニオンを用いれば、吸湿性が特に低い導体材料を形成することができ、導体材料が水分を含むことで引き起こされる電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食を顕著に抑制することができる。
Figure 2023068611000015
(式中、Ra3~Ra7は同一又は異なってハロゲン原子又はハロアルキル基を示す)
[第1電極層]
電気又は電子デバイスが固体電解コンデンサの場合、第1電極層は陽極層であり、好ましくは弁作用金属を含む層である。陽極層は、例えば、弁作用金属箔や、弁作用金属粒子を含む焼結体等によって形成される。前記弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、及びこれらを含む合金等が挙げられる。
前記弁作用金属を含む層の表面には、エッチング等の拡面処理を施しても良い。
[誘電体層]
電気又は電子デバイスが固体電解コンデンサの場合、陽極層と導体材料層の間に誘電体層を含むことが好ましい。誘電体層は、例えば弁作用金属の酸化物を含む層である。第1電極層が弁作用金属を含む層である場合、誘電体層は、第1電極層を陽極酸化することにより形成することができる。例えば、第1電極層にアルミ箔を用いた場合は、第1電極層を陽極酸化することで、第1電極層の表面に酸化アルミニウムを含む誘電体層を形成することができる。
[第2電極層]
電気又は電子デバイスが固体電解コンデンサの場合、第2電極層は陰極層である。陰極層は、銀等の金属を含む層であることが好ましく、例えば、銀粒子を含む樹脂組成物を塗布、乾燥して形成される銀含有樹脂フィルムによって形成することができる。
[電気又は電子デバイスの製造方法]
前記電気又は電子デバイスは、共役系高分子化合物にドーパントをドープする工程を経て製造することができる。
共役系高分子化合物にドーパントをドープする方法には、ドライプロセスによる方法とウェットプロセスによる方法が含まれる。
前記ドライプロセスによる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などにより、共役系高分子化合物(例えば、共役系高分子化合物からなるフィルム、シート、塗膜等)の表面にドーパントを付着させる方法が挙げられる。
前記ウェットプロセスによる方法としては、ドーパントを溶媒に溶解及び/又は分散させたドーパント溶液中に、共役系高分子化合物[又は、共役系高分子化合物を含む層(例えば、共役系高分子化合物からなるフィルム、シート、塗膜等)]を浸漬し、或いは前記ドーパント溶液を共役系高分子化合物([又は、共役系高分子化合物を含む層(例えば、共役系高分子化合物からなるフィルム、シート、塗膜等)]の表面に塗布し、その後、乾燥させる方法が挙げられる。乾燥後は、必要に応じてアニール処理を施してもよい。
前記電気又は電子デバイスのウェットプロセスによる製造方法は、例えば下記工程を含む。
工程1:共役系高分子化合物を含む溶液を基材表面に塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物を含む層を形成する
工程2:共役系高分子化合物を含む層に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含むドーパント溶液を塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物に前記アニオンをドープした構成を有する導体材料を含む導体材料層を得る
(工程1)
本工程は、共役系高分子化合物を含む溶液(以後、「高分子化合物溶液」と称する場合がある)を基材表面に塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物を含む層(或いは、共役系高分子化合物を含む薄膜)を形成する工程である。
共役系高分子化合物を含む層を形成する方法としては特に制限がなく、例えば、基材に、高分子化合物溶液を塗布、或いは高分子化合物溶液中に基材を浸漬し、その後、溶剤を揮発させることで、形成することができる。前記塗膜の厚みは、例えば10~500nm程度である。必要応じて重ね塗りすることで、前記塗膜を厚くすることができる。
前記基材としては、特に制限がない。前記電気又は電子デバイスが固体電解コンデンサを製造する場合は、第1電極層/誘電体層積層体(具体的には、アルミニウム/酸化アルミニウム積層体)を基材として使用することが好ましい。
高分子化合物溶液は、上述の共役系高分子化合物と溶剤とを少なくとも含有するものであり、例えば、共役系高分子化合物を溶剤に溶解して製造することができる。
高分子化合物溶液は、共役系高分子化合物の1種を単独で含有していても良いし、2種以上を組み合わせて含有していても良い。
前記溶剤としては、共役系高分子化合物の溶解性に優れる溶剤が好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリフルオロトルエン、クロロベンゼン、アニソール、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、安息香酸エチルなどの芳香族炭化水素が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
高分子化合物溶液は、水分含有量を抑制することが、導体材料層の水分含有量を抑制することができ、導体材料層が水分を含むことで引き起こされる電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食を抑制することができる点で好ましい。前記水分含有量は、例えば2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下、更に好ましくは0.6重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.45重量%以下、とりわけ好ましくは0.4重量%以下である。
共役系高分子化合物として、上述の高分子化合物(1)又は高分子化合物(2)を使用した場合、これらの高分子化合物(1)(2)は吸湿性が低く、且つ有機溶媒への溶解性に優れるため、高分子化合物溶液中の水分含有量を顕著に低減することができる。
基材の表面(例えば、第1電極層/誘電体層積層体の誘電体層表面)が多孔質性である場合、或いは基材の表面が凹凸を有する場合には、共役系高分子化合物を含む層を形成後、これに加熱処理を施して軟化させ、共役系高分子化合物を含む層を基材の表面に良好に追従させて、接触表面積を増加させてもよい。
(工程2)
本工程は、工程1を経て得られた共役系高分子化合物を含む層に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含むドーパント溶液を塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物に前記アニオンをドープした構成を有する導体材料を含む導体材料層を得る工程である。
前記ドーパント溶液は、ドーパントを溶剤に溶解及び/又は分散させた組成物である。尚、ドーパントは1種を単独で含有していても良いし、2種以上を組み合わせて含有していても良い。
前記溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶剤等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
共役系高分子化合物を含む層にドーパント溶液を塗布する方法としては、例えば共役系高分子化合物を含む層をドーパント溶液に浸漬する方法などが挙げられる。ドーパント溶液を塗布し、乾燥させた後は、必要に応じてアニール処理を施してもよい。
前記ドーパント溶液の水分含有量は、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下、更に好ましくは0.6重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.45重量%以下、とりわけ好ましくは0.4重量%以下である。前記ドーパント溶液の水分含有量を前記範囲とすると、導体材料層の水分含有量を抑制することができ、導体材料層が水分を含むことで引き起こされる電極層や誘電体層等の易腐食性層の腐食を抑制することができる。
ドーパントとして後述のドーパントを使用すれば、後述のドーパンは前記溶剤への溶解性に優れるため、ドーパント溶液中の水分含有量を前記範囲に抑制することができる。
共役系高分子化合物にドーパントをドープすると、ドーパントに含まれる塩由来の対カチオンが酸化剤としての機能を発揮して、共役系高分子化合物から電子を引き抜く。これにより、共役系高分子化合物に荷電担体としてのホールが発生し、導電性が発現する。そして、電子を引き抜いた対カチオンは、価数が減少し、共役系高分子化合物の系外に除かれる。
対カチオンの価数が減少すると、ドーパントに含まれる塩由来のアニオンは、対カチオンとのイオン結合から解放される。そして、前記アニオンは、共役系高分子化合物の結晶構造の隙間に安定的に格納される。これにより、共役系高分子化合物は導電性を獲得するとともに結晶性が高められ、脱ドープが抑制される。
前記電気又は電子デバイスの製造方法は、必要に応じて他の工程を含んでいても良く、例えば、工程2の後に、導体材料層の表面に第2電極層を形成する工程を設けても良い。
前記電気又は電子デバイスの製造方法が固体電解コンデンサの製造方法である場合は、工程1の前に、弁作用金属箔を陽極酸化することにより、表面に酸化皮膜を形成させたものを生成させて、第1電極層/誘電体層積層体を得る工程を設け、得られた第1電極層/誘電体層積層体の表面に、共役系高分子化合物を含む溶液を塗布してもよい。
弁作用金属箔の酸化は、酸素、オゾン、又は酸素原子を供給する分子の存在下、若しくは酸素、オゾン、又は酸素原子を供給する分子と光やプラズマ等の存在下で酸化することにより行ってもよい。
前記電気又は電子デバイスの製造方法が固体電解コンデンサの製造方法である場合は、さらに、導体材料層の表面に、先ずグラファイト層を形成する工程を設け、次に第2電極層を形成する工程を設けても良い。
(ドーパント)
ドーパント(例えば、P型ドーパント)は、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含む。
前記アニオンは、上記(アニオン)の項で記載したとおりである。
前記対カチオンとしては、共役系高分子化合物から電子を引き抜くよう作用するカチオンであれば特に制限がなく、例えば、リチウムカチオン等の金属カチオン(特に、アルカリ金属カチオン)や、下記式(b)で表されるラジカルカチオン等が挙げられる。
下記式(b)で表されるラジカルカチオンは酸化力に優れ、共役系高分子化合物から電子を引き抜きやすく、アニオンのドープ量を向上することができる点で好ましく、特に、下記式(b)で表される化合物であって、式中のRb1、Rb2、Rb3の少なくとも1つが下記式(r)で示される基である化合物が好ましい。
Figure 2023068611000016
[式(b)中、Rb1~Rb3は同一又は異なって、1価の芳香族基、又は下記式(r)で示される基を示す。nはラジカルカチオンの価数を示し、式(b)中の窒素原子の数(n個)に等しい]
Figure 2023068611000017
(式(r)中、Ar1、Ar2、Ar3は、同一又は異なって2価の芳香族基を示し、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7は、同一又は異なって下記式(sb)で表される置換基を有していてもよい1価の芳香族基を示す。s、tは同一又は異なって、0以上の整数を示す。式中の波線を付した結合手が式(b)中の窒素原子に結合する)
Figure 2023068611000018
(式(sb)中、Ar8、Ar9は、同一又は異なって2価の芳香族基を示し、Ar10、Ar11、Ar12、Ar13は、同一又は異なって1価の芳香族基を示す。u、vは、同一又は異なって0以上の整数を示す。式中の波線を付した結合手が式(r)中の1価の芳香族基に結合する)
s,t,u,vがそれぞれ2以上の整数である場合、カッコ内に示される基は複数個存在することになるが、これらの基はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
s,t,u,vはそれぞれ0以上の整数を示し、例えば0~5、好ましくは0~3、特に好ましくは0~2である。s,t,u,vの値が大きくなると、共役系高分子化合物へのドーピング効率が向上する傾向がある。
前記1価の芳香族基は、芳香族化合物の構造式から1個の水素原子を除いた基[より詳細には、芳香族化合物を構成する炭素原子(芳香族化合物が芳香族複素環の場合は、炭素原子或いはヘテロ原子)に結合する水素原子の1個を除いた基]である。
また、前記2価の芳香族基は、芳香族化合物の構造式から2個の水素原子を除いた基[より詳細には、芳香族化合物を構成する炭素原子(芳香族化合物が芳香族複素環の場合は、炭素原子或いはヘテロ原子)に結合する水素原子の2個を除いた基]である。
前記芳香族化合物には、芳香族炭化水素と芳香族複素環が含まれる。
前記芳香族炭化水素には、例えば、ベンゼン、ナフタレン等の炭素数6~14の芳香族炭化水素環や、前記芳香族炭化水素環の2個以上が単結合又は連結基を介して結合した構造体が含まれる。
前記連結基としては、例えば、C1-5アルキレン基、カルボニル基(-CO-)、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、エステル結合(-COO-)、アミド結合(-CONH-)、カーボネート結合(-OCOO-)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素としては、なかでも、下記式(ar-1)~(ar-6)で示される芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種が好ましい。
Figure 2023068611000019
前記芳香族複素環としては、例えば、環を構成する原子として、炭素原子と少なくとも1種のヘテロ原子(例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、リン原子等)を有する単環の芳香族複素環や、前記単環の芳香族複素環に1個又は2個以上の芳香族炭化水素環が縮合した縮合環が挙げられる。具体的には、ピロール、フラン、チオフェン、ホスホール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、イソベンゾフラン、ベンゾホスホール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、インダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ピリジン、ホスフィニン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、ヘキサジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フタラジン、アクリジン、4aH-フェノキサジン、カルバゾール等が挙げられる。
前記1価の芳香族基及び2価の芳香族基は置換基を有していてもよい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-5アルキル基、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、C1-5アルコキシ基、C1-5アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-5アルコキシカルボニル基)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノ又はジC1-5アルキルアミノ基、モノ又はジC1-5アシルアミノ基)等が挙げられる。前記置換基としては、なかでもハロゲン原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。
また、1価の芳香族基は、前記置換基以外にも、例えば下記式(sb-1)で表される基を有していてもよい。
Figure 2023068611000020
[式中、Ar14、Ar15は同一又は異なって、1価の芳香族基を示す。式中の波線を付した結合手が芳香族化合物を構成する炭素原子(芳香族化合物が芳香族複素環の場合は、炭素原子或いはヘテロ原子)に結合する]
上記式中のAr14、Ar15における1価の芳香族基としては上記と同様の例が挙げられる。
ドーパントには、前記アニオンと対カチオンからなる塩以外の成分を含有していても良く、例えば、酸化剤を含有していても良い。酸化剤は共役系高分子化合物から電子を引き抜くよう作用して、アニオンのドープ量を向上させる効果を発揮する。
特にドーパントが、前記アニオンと、リチウムカチオン等の金属カチオン(特に、アルカリ金属カチオン)からなる塩を含む場合には、前記塩と共に酸化剤を含むことが好ましい。
前記酸化剤としては、例えば、共役二重結合構造を有するα,β-不飽和ニトリル化合物、NOPF6、三塩化鉄(FeCl3)、ハロゲン単体(例えば、ヨウ素I2、臭素Br2、塩素Cl2)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記共役二重結合構造を有するα,β-不飽和ニトリル化合物としては、例えば、下記式(4-1)~(4-4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023068611000021
(上記式中、s1~s5は、環構造に結合するシアノ基の数を示し、同一又は異なって1以上の整数である。式中に示される環構造には、シアノ基以外の置換基(例えば、ハロゲン原子等)が結合していても良い)
前記化合物が有するシアノ基の総数は1個以上であり、好ましくは2個以上である。尚、シアノ基の総数の上限は、例えば4個である。
前記共役二重結合構造を有するα,β-不飽和ニトリル化合物としては、具体的には、トラフルオロテトラシアノキノジメタン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジヨード-5,6-ジシアノベンゾキノン、2,2’,4,4’-テトラシアノビフェノール、2,4,7-トリシアノ-9-フルオレン、テトラシアノキノジメタン、2,5-ジフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン、2-フルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン等が挙げられる。
前記酸化剤の使用量は、前記アニオンと対カチオンからなる塩1モルに対して、例えば0.5~5モル程度である。
(前記アニオンと対カチオンからなる塩の製造方法)
例えば、前記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンと、前記式(b)で表されるラジカルカチオンからなる塩は、酸化剤の存在下、式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンを含むイオン化合物と、前記式(b)で表されるラジカルカチオンに対応するアミン化合物とを反応させる工程を経て製造することができる。
前記イオン化合物及び前記アミン化合物は、それぞれ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記イオン化合物としては、例えば、窒素アニオン若しくはホウ素アニオンと1価の金属イオンとを含むイオン化合物が挙げられる。また、前記金属イオンとしては、例えば、Li+、Na+等のアルカリ金属イオン;Mg2+、Ca2+等のアルカリ土類金属イオン;Cu+、Ag+、Au+などの遷移金属イオン等が挙げられる。
前記イオン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銀(AgTFSI)等の、TFSI-の1価金属塩が好ましい。
前記アミン化合物としては、例えば、トリス(p-ブロモフェニル)アミン等のトリス(ハロフェニル)アミンが挙げられる。
前記アミン化合物1モルに対する、前記イオン化合物の使用量は、例えば1~5モル程度である。
前記酸化剤としては、例えば、NOPF6、三塩化鉄(FeCl3)、ハロゲン単体(例えば、ヨウ素I2、臭素Br2、塩素Cl2)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記酸化剤の使用量は、前記アミン化合物1モルに対して、例えば1~5モル程度である。
前記反応は溶媒の存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;水;メタノール等のアルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
前記反応の温度は、例えば-70~60℃程度である。反応時間は、例えば0.5~5時間程度である。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
前記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンと、式(b)で表され、式(b)中のRb1~Rb3の少なくとも1つが式(r)で表される基であるラジカルカチオン(以後、「ラジカルカチオン(b’)」と称する場合がある)の塩を製造する場合は、前記反応において、ラジカルカチオン(b)に対応するアミン化合物に代えて、ラジカルカチオン(b’)に対応するアミン化合物を使用すれば良い。
そして、ラジカルカチオン(b’)に対応するアミン化合物は、例えば、トリアリールアミンのハロゲン化物を、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)等の酸化剤を使用してカップリング反応(例えば、Sholl型カップリング反応)を行うことによって製造することができる。
[電気又は電子機器]
本開示の電気又は電子機器は、前記電気又は電子デバイスを備える。前記電気又は電子機器は、好ましくは、上述の、第1電極層、導体材料層、及び第2電極層がこの順で積層された構成を備える電解コンデンサ(例えば、固体電解コンデンサ)、有機EL素子、又は有機太陽電池(例えば、有機薄膜太陽電池)を備える。
そして、前記電気又は電子機器は上述の導体材料層(すなわち、耐熱性及び耐湿性を有する導体材料層)を備えるため、高温・高湿度環境下においても、優れた電気特性を長期に亘って安定的に発揮することができる。
前記電気又は電子機器には、例えば、携帯電話、ノート型パソコン、携帯用ゲーム機器、ウェアラブルデバイス(例えば、時計型、めがね型、又はイヤホン型のウェアラブルデバイスが含まれる)等のモバイル機器;テレビ等のマルチメディア機器;有機EL照明装置等の照明装置;有機ELディスプレイ等の表示装置;カーナビゲーション、エンジン制御回路等の自動車用機器;太陽光発電パネル、太陽エネルギーシステム、モバイル端末向け充電器などが含まれる。
以上、本開示の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。
以下、実施例により本開示をより具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって限定されることはなく、請求の範囲の記載によってのみ限定される。
調製例1(ドーパントの調製)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銀(AgTFSI、3.51ミリモル)、トリス(4-ブロモフェニル)アミン(2.51ミリモル)、及びジエチルエーテル(100mL)を混合して20分間撹拌した。その後、-36℃に冷却した。
そこに、ヨウ素(2.51ミリモル)/ジエチルエーテル(30mL)混合液を15分かけて滴下した後、室温まで昇温し、析出物を濾過して回収し、室温で2時間減圧乾燥して、下記式で表されるドーパント(1)を得た。
Figure 2023068611000022
調製例2(ドーパントの調製)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI、0.2ミリモル)、2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノキノイジメタン(0.2ミリモル)、及び溶媒として酢酸ブチル(10mL)を混合して3分間撹拌した。これによりドーパント(2)を得た。
Figure 2023068611000023
調製例3(ドーパントの調製)
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI、0.2ミリモル)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(0.2ミリモル)、及び溶媒としてアセトニトリル(10mL)を混合して3分間撹拌した。これによりドーパント(3)を得た。
Figure 2023068611000024
調製例4(ヘテロ原子を含む電子供与性基を側鎖に有する高分子化合物の調製)
基質濃度が0.5Mとなる量のトルエン、基質の5モル%量のp-トルエンスルホン酸・1水和物の存在下、基質としての3-メトキシチオフェンに、1.1モル当量の1-トリデカノールを、還流下で4時間反応させて、3-トリデシルオキシチオフェンを得た(収率:92%)。
基質濃度が0.5Mとなる量のTHFの存在下、基質としての3-トリデシルオキシチオフェンに、1.0モル当量のNBSを、0℃で30分反応させて、2-ブロモ-4-トリデシルオキシチオフェンを得た(収率:97%)。
基質濃度が0.1Mとなる量のTHFの存在下、基質としての2-ブロモ-4-トリデシルオキシチオフェンに、1モル当量のリチウムジイソプロピルアミドと、1モル当量の塩化銅(II)を、-78℃で混合し、その後25℃まで昇温し、その後、25℃を維持しつつ12時間反応させて、5,5’-ジブロモ-3,3’-トリデシルオキシ-2,2’-ビチオフェンを得た(収率:73%)。
基質濃度が0.05Mとなる量のクロロベンゼン、基質の2.0モル%のPd2(dba)3・CHCl3と、基質の8.0モル%のトリ(o-トリル)ホスフィンの存在下、基質としての5,5’-ジブロモ-3,3’-トリデシルオキシ-2,2’-ビチオフェンと、2,5-ビス(トリメチルスタンニル)チエノ[3,2-b]チオフェンとをマイクロ波を照射しつつ反応させた。これにより、下記式(1-1-2a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(1-1-2a)を得た(光電子収量分光測定法により求めたイオン化ポテンシャル:4.5eV)。
Figure 2023068611000025
実施例1
(第1電極層/誘電体層積層体形成)
弁作用金属を含む陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用いた。前記アルミニウムを陽極酸化することにより、アルミニウムの表面に酸化皮膜を形成して、アルミニウム/酸化アルミニウム積層体を得た。
(導体材料層形成-1;共役系高分子化合物を含む層形成)
次いで、アルミニウム/酸化アルミニウム積層体を、調製例4で得られた高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:0.3重量%)に浸漬し、引き上げた。その後、これを80℃で乾燥し、固化させることで、アルミニウム/酸化アルミニウム/高分子化合物薄膜積層体を形成した。
(導体材料層形成-2;ドーピング)
その後、アルミニウム/酸化アルミニウム/高分子化合物薄膜積層体を、調製例1で得られたドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.3重量%)に浸漬したのちに80℃で乾燥し、更に酢酸ブチルで洗浄し、80℃で乾燥した。これにより、アルミニウム/酸化アルミニウム/導体材料層積層体を形成した。
(第2電極層形成)
得られた積層体の、導体材料層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成した。これにより、固体電解コンデンサ(1)[アルミニウム/酸化アルミニウム/導体材料層/グラファイト層/銀含有樹脂層]を得た。
25℃において、得られた固体電解コンデンサ(1)に、直流電源を用いて-9V~9Vの範囲の電圧を印加し、各々の電圧において60秒後の電流値を測定してコンデンサとして機能する事を確認した。
(低ESR性評価)
得られた固体電解コンデンサ(1)について、LCRメーターを用いて、25℃、100kHzの周波数でESR値を測定した。なお、ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm2)に規格化した。結果を表1に示す。
(耐熱性評価)
150℃で2000時間の耐熱性試験に付した後の固体電解コンデンサを、(低ESR性評価)と同様の方法でESR値を測定し、25℃におけるESR値からの上昇率を算出した。結果を表1に示す。
実施例2
(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液に代えて、高分子化合物(1-1-2a)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(水分量:0.3重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液に代えて、調製例2で得られたドーパント(2)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.3重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(2)を得、実施例1と同様に低ESR性及び耐熱性を評価した。
前記ドーパント(2)を用いると、2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノキノイジメタンが高分子化合物に対する酸化剤として機能し、酸化された高分子化合物に対する対アニオンとしてTFSIアニオンが高分子化合物中に導入される。この際、2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノキノイジメタンはラジカルアニオンとなり、Liカチオンとともに酢酸ブチルに溶解して高分子化合物の系外に排出される。
実施例3
(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液に代えて、調製例3で得られたドーパント(3)のアセトニトリル溶液(水分量:0.3重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(3)を得、実施例1と同様に低ESR性及び耐熱性を評価した。
前記ドーパント(3)を用いると、3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノンが高分子化合物に対する酸化剤として機能し、酸化された高分子化合物に対する対アニオンとしてTFSIアニオンが高分子化合物中に導入される。この際、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノンはラジカルアニオンとなり、Liカチオンとともにアセトニトリルに溶解して高分子化合物の系外に排出される。
比較例1
(導体材料層形成-1)(導体材料層形成-2)工程に代えて、下記導体材料層形成工程を実施した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサ(4)を得、実施例1と同様に低ESR性及び耐熱性を評価した。
(導体材料層形成工程)
アルミニウム/酸化アルミニウム積層体を、PEDOT/PSS水分散液に浸漬し、引き上げた。その後、これを125℃で乾燥し固化させることで、導体材料層を形成した。
Figure 2023068611000026
実施例4
実施例1と同様の方法で、すなわち、(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:0.3重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.3重量%)を使用して、固体電解コンデンサ(5)を得た。
(耐湿性評価)
得られた固体電解コンデンサ(5)について、LCRメーターを用いて、25℃、120kHzの周波数でESR値を測定した。なお、ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm2)に規格化した。
その後、得られた固体電解コンデンサ(5)を25℃、85%RH条件下で3日間静置する耐湿性試験に付した。
耐湿性試験後の固体電解コンデンサについて、LCRメーターを用いて、25℃、120kHzの周波数でESR値を測定した。
そして、耐湿性試験によるESR上昇率を算出した。結果を表2に示す。
実施例5
(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:0.5重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.5重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(6)を得、得られた固体電解コンデンサについて、実施例4と同様の方法で耐湿性を評価した。
実施例6
(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:0.95重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.95重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(7)を得、得られた固体電解コンデンサについて、実施例4と同様の方法で耐湿性を評価した。
実施例7
(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:1.1重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:0.3重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(8)を得、得られた固体電解コンデンサについて、実施例4と同様の方法で耐湿性を評価した。
実施例8
(導体材料層形成-1)工程において、高分子化合物(1-1-2a)のトルエン溶液(水分量:1.1重量%)を使用し、(導体材料層形成-2)工程において、ドーパント(1)の酢酸ブチル溶液(水分量:1.1重量%)を使用した以外は実施例1と同様にして、固体電解コンデンサ(9)を得、得られた固体電解コンデンサについて、実施例4と同様の方法で耐湿性を評価した。
比較例2
比較例1と同様の方法で固体電解コンデンサ(10)を得、得られた固体電解コンデンサについて、実施例4と同様の方法で耐湿性を評価した。
Figure 2023068611000027
表2より、導体材料層の形成工程において本質的な水分の含有を抑制すると、高湿度環境下でも、ESR値の上昇率を顕著に抑制できることが分かる。
以上のまとめとして、本開示の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[1] 第1電極層、導体材料層、及び第2電極層がこの順で積層された構成を備える電気又は電子デバイスであって、
前記導体材料層が、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンをドープした構成を有する導体材料を含む、電気又は電子デバイス。
[2] 前記アニオンが式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンである、[1]に記載の電気又は電子デバイス。
[3] 前記共役系高分子化合物が式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物、又は式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である、[1]又は[2]に記載の電気又は電子デバイス。
[4] 前記式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物が、式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である、[3]に記載の電気又は電子デバイス。
[5] 前記式(1-1)中のD11~D16の少なくとも1つが、式(d-1)又は(d-2)で表される基である[4]に記載の電気又は電子デバイス。
[6] 電気又は電子デバイスが、電解コンデンサ、有機エレクトロルミネッセンス素子、又は有機太陽電池である、[1]~[5]の何れか1つに記載の電気又は電子デバイス。
[7] 共役系高分子化合物にドーパントをドープする工程を経て、[1]~[6]の何れか1つに記載の電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法。
[8] 下記工程1,2を経て、[1]~[6]の何れか1つに記載の電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法。
工程1:共役系高分子化合物を含む溶液を基材表面に塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物を含む層を形成する
工程2:共役系高分子化合物を含む層に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含むドーパント溶液を塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物に前記アニオンをドープした構成を有する導体材料を含む導体材料層を得る
[9]前記ドーパント溶液の水分含有量が1重量%以下である、[8]に記載の電気又は電子デバイスの製造方法。
[10] [1]~[6]の何れか1つに記載の電気又は電子デバイスを備える電気又は電子機器。

Claims (10)

  1. 第1電極層、導体材料層、及び第2電極層がこの順で積層された構成を備える電気又は電子デバイスであって、
    前記導体材料層が、共役系高分子化合物に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンをドープした構成を有する導体材料を含む、電気又は電子デバイス。
  2. 前記アニオンが、下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンである、請求項1に記載の電気又は電子デバイス。
    Figure 2023068611000028
    (式中、Ra1~Ra7は同一又は異なってハロゲン原子又はハロアルキル基を示す。Ra1とRa2は互いに結合して、ハロアルキレン基を形成していてもよい)
  3. 前記共役系高分子化合物が、下記式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物、又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である、請求項1又は2に記載の電気又は電子デバイス。
    Figure 2023068611000029
    (式中、L1~L5は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D1~D6は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D1~D6から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
    Figure 2023068611000030
    (式中のベンゼン環は置換基を有していてもよい)
  4. 前記式(1a)~(1c)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1つを有する高分子化合物が、下記式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である、請求項3に記載の電気又は電子デバイス。
    Figure 2023068611000031
    (式中、L11~L14は同一又は異なって第13~16族元素を示し、D11~D16は同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロ原子を含む電子供与性基、及び水素原子から選択される基を示す。尚、D11~D16から選択される少なくとも1つはアルキル基、ハロアルキル基、及びヘテロ原子を含む電子供与性基から選択される基である)
  5. 前記式(1-1)中のD11~D16の少なくとも1つが、下記式(d-1)又は(d-2)で表される基である、請求項4に記載の電気又は電子デバイス。
    Figure 2023068611000032
    (式中、Dは第14~16族元素から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を示し、Rd1は炭素数5~30の脂肪族炭化水素基を示す。Rd2は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を示し、sは1以上の整数を示す。式中の波線が付された結合手が、前記式(1-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の主鎖に結合する)
  6. 電気又は電子デバイスが、電解コンデンサ、有機エレクトロルミネッセンス素子、又は有機太陽電池である、請求項1又は2に記載の電気又は電子デバイス。
  7. 共役系高分子化合物にドーパントをドープする工程を経て、請求項1又は2に記載の電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法。
  8. 下記工程1,2を経て、請求項1又は2に記載の電気又は電子デバイスを製造する、電気又は電子デバイスの製造方法。
    工程1:共役系高分子化合物を含む溶液を基材表面に塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物を含む層を形成する
    工程2:共役系高分子化合物を含む層に、窒素アニオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、及びアンチモンアニオンから選択されるアニオンと、対カチオンからなる塩を含むドーパント溶液を塗布し、乾燥させて、共役系高分子化合物に前記アニオンをドープした構成を有する導体材料を含む導体材料層を得る
  9. 前記ドーパント溶液の水分含有量が1重量%以下である、請求項8に記載の電気又は電子デバイスの製造方法。
  10. 請求項1又は2に記載の電気又は電子デバイスを備える電気又は電子機器。
JP2022089542A 2021-11-02 2022-06-01 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器 Pending JP2023068611A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2022/040018 WO2023080040A1 (ja) 2021-11-02 2022-10-26 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器
TW111141128A TW202328349A (zh) 2021-11-02 2022-10-28 電氣或電子裝置、電氣或電子裝置之製造方法以及具備前述電氣或電子裝置之設備

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021179842 2021-11-02
JP2021179842 2021-11-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023068611A true JP2023068611A (ja) 2023-05-17

Family

ID=86327163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022089542A Pending JP2023068611A (ja) 2021-11-02 2022-06-01 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023068611A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guo et al. A coplanar π‐extended quinoxaline based hole‐transporting material enabling over 21% efficiency for dopant‐free perovskite solar cells
Ke et al. Dopant-free tetrakis-triphenylamine hole transporting material for efficient tin-based perovskite solar cells
Park et al. A [2, 2] paracyclophane triarylamine-based hole-transporting material for high performance perovskite solar cells
JP4291314B2 (ja) 置換チエノチオフェンモノマー及び導電性ポリマー
TWI675033B (zh) 含有雜環的化合物、使用該化合物的聚合物及其用途
EP2418033B1 (en) Metal complex and composition containing same
KR20120102518A (ko) 유기 반도체 재료 및 유기 부품
KR20080084762A (ko) 피리도[3,2-h]퀴나졸린 및/또는 이의 5,6-디하이드로유도체, 이의 생산 방법 및 이를 함유하는 도핑된 유기반도체 물질
KR101811243B1 (ko) Pb 이온 누출 방지를 위한 신규한 전도성 화합물, 그를 포함하는 페로브스카이트 태양전지
Sonigara et al. Organic ionic plastic crystals as hole transporting layer for stable and efficient perovskite solar cells
US9627147B2 (en) Composition and method for forming electroactive coating comprising conjugated heteroaromatic polymer, capacitor and antistatic object comprising the electroactive coating, and solid electrolytic capacitor and method for fabricating the same
Kim et al. A high-performance solution-processed small molecule: alkylselenophene-substituted benzodithiophene organic solar cell
Peng et al. Making benzotrithiophene derivatives dopant-free for perovskite solar cells: Step-saving installation of π-spacers by a direct C–H arylation strategy
JP2018168355A (ja) 共役複素芳香環重合体を含む電気活性重合体溶液またはコーティングを形成する組成物および方法、電気活性重合体溶液、電気活性コーティングを含む物体、および固体電解コンデンサとその製造方法
CN108165140B (zh) 电活性涂层及形成电活性涂层用的组合物
EP3275026B1 (en) Fluorinated dye compounds for organic solar cells
JP5193218B2 (ja) 新規の高導電性の有機電荷キャリア輸送材料
CN106575704A (zh) 电子器件和化合物
Puthanveedu et al. Thenil and furil-imidazole-based efficient ionic green emitters with high color purity for non-doped light-emitting electrochemical cells
US9859062B2 (en) Composition and method for forming electroactive polymer solution or coating comprising conjugated heteroaromatic polymer, electroactive polymer solution, capacitor and antistatic object comprising the electroactive coating, and solid electrolytic capacitor and method for fabricating the same
JP2023068611A (ja) 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器
WO2023080040A1 (ja) 電気又は電子デバイス、電気又は電子デバイスの製造方法、及び前記電気又は電子デバイスを備える機器
JP2017508857A (ja) 共役複素芳香環重合体を含む電気活性重合体溶液または塗膜を形成する組成物および方法、電気活性重合体溶液、電気活性塗膜を含むコンデンサ(キャパシタ)および帯電防止体、および固体電解質コンデンサとその製造方法
CN118140288A (zh) 电气或电子器件、电气或电子器件的制造方法以及具备所述电气或电子器件的设备
WO2021221039A1 (ja) 導体材料

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220630