JP2023066318A - タイヤ - Google Patents

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浩幸 松本
Hiroyuki Matsumoto
与志男 加地
Yoshio Kachi
洸 野村
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Abstract

【課題】氷上グリップ性能を向上させたタイヤを提供する。【解決手段】トレッド踏面2に陸部4を有するタイヤ1であって、陸部4には、連結点Pを有し、連結点Pから放射状に延びる3本以上のサイプ7で構成された、サイプユニット8が配置され、サイプユニット8における3本以上のサイプ7の各々は、サイプ7の延在方向における両端が陸部4内で終端するように延在し、サイプユニット8における3本以上のサイプ7は、連結点Pからタイヤ幅方向の一方側に延在する第1のサイプ7Aと、連結点Pからタイヤ幅方向の他方側に延在する第2のサイプ7Bとを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤに関する。
従来、タイヤ、特にスタッドレスタイヤのトレッド部の陸部には、タイヤの氷上グリップ性能を向上させるためにサイプと称される細溝が設けられていた。このサイプにより、タイヤ接地面において氷路面が融解することで湧出する水を接地面外に排出することができ、これによりタイヤの氷上グリップ性能を向上させ得る。
例えば、特許文献1には、陸部の剛性の低下を抑制しつつサイプを高密度に配置することにより、氷上グリップ性能の向上を図った技術が提案されている。
特開2005-186827号
しかしながら、従来技術における陸部の剛性とサイプによる水の排出との両立は十分でなく、タイヤの氷上グリップ性能の更なる向上が依然として求められている。
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、氷上グリップ性能を向上させたタイヤを提供することにある。
本発明に係るタイヤは、トレッド踏面に陸部を有するタイヤであって、前記陸部には、連結点を有し、前記連結点から放射状に延びる3本以上のサイプで構成された、サイプユニットが配置され、前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプの各々は、サイプの延在方向における両端が前記陸部内で終端するように延在し、前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプは、前記連結点からタイヤ幅方向の一方側に延在する第1のサイプと、前記連結点からタイヤ幅方向の他方側に延在する第2のサイプとを含む。
本発明に係るタイヤによれば、タイヤの氷上グリップ性能を向上させることができる。
本発明に係るタイヤでは、前記第1のサイプ及び前記第2のサイプの各々は、タイヤ幅方向とのなす角φが0°<φ<45°を満たすように直線状に延在していることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、サイプユニットが、タイヤのタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与するだけでなく、タイヤ幅方向における横方向グリップ性能(旋回力)の向上にも寄与することができる。
本発明に係るタイヤでは、前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプは、前記連結点からタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプを含み、前記第3のサイプは、前記連結点から前記第1のサイプ及び前記第2のサイプとはタイヤ幅方向の反対側に延在していることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤの氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明に係るタイヤでは、前記第3のサイプの長さは、前記第1のサイプ及び前記第2のサイプよりも短いことが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、サイプユニットがタイヤのタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与しやすくなる。
本発明に係るタイヤでは、前記陸部において、複数の前記サイプユニットが、タイヤ周方向に繰り返して配置されて、サイプユニット列を構成し、前記サイプユニット列を構成する前記複数の前記サイプユニットは、各々の前記第3のサイプがタイヤ周方向に沿って延びる一直線上に並ぶように配置されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤの氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明に係るタイヤでは、前記陸部は、タイヤ幅方向に並べて配置された複数の前記サイプユニット列を備え、前記複数の前記サイプユニット列のうち第1のサイプユニット列を構成する複数のサイプユニットは、各々の前記第3のサイプが前記連結点からタイヤ周方向の一方側に延在するように配置されており、前記第1のサイプユニット列と隣り合う第2のサイプユニット列を構成する複数のサイプユニットは、各々の前記第3のサイプが前記連結点からタイヤ周方向の他方側に延在するように配置されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤの氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明に係るタイヤでは、前記第1のサイプユニット列を構成する前記複数のサイプユニットの少なくともいずれかと、前記第2のサイプユニット列を構成する前記複数のサイプユニットの少なくともいずれかとは、互いのタイヤ幅方向における一部がタイヤ周方向において対向していることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、陸部におけるサイプ密度を保ちながら、サイプユニットがエッジ効果及び除水効果を発揮できる範囲を広くすることができる。
本発明に係るタイヤでは、前記サイプユニットのタイヤ幅方向の長さをW(mm)とし、前記サイプの深さをh(mm)とするとき、W×hは150(mm)以下であって、前記陸部内の前記サイプユニットの個数をnとし、前記サイプユニットを構成するサイプのタイヤ幅方向の長さの合計をT(mm)とし、前記陸部のタイヤ幅方向の最大幅をBW(mm)とし、前記陸部の外輪郭面積(mm)を前記最大幅BWで除した前記陸部の相当タイヤ周方向長さをBL(mm)とし、相当サイプ本数Nを、T×n/BWとして表し、タイヤ周方向の平均サイプ間隔をBL/(N+1)として表し、タイヤ周方向のサイプ密度SDを平均サイプ間隔の逆数として、SD=(N+1)/BL=((T×n/BW)+1)/BLとして表すとき、SDが0.15(1/mm)以上であることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤの氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明によれば、氷上グリップ性能を向上させたタイヤを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッドパターンを模式的に示した展開図である。 図2は、サイプの周囲におけるブロック陸部の浮き上がりを示した模式図である。 図3は、図1に示されるサイプユニットの配置を示した模式図である。 図4は、図1に示されるサイプユニットが第3のサイプを含まない場合におけるサイプユニットの配置を示した模式図である。 図5は、図3に示されるA-A’断面を示した断面図である。 図6は、本発明の一実施形態におけるサイプが浅溝で連結されたサイプユニットの配置を示した模式図である。 図7は、図6に示されるB-B’断面を示した断面図である。 図8は、本発明の一実施形態におけるサイプユニットの変形例の配置を示した模式図である。 図9は、実施例及び比較例を示した表である。 図10は、図9に示した実施例及び比較例におけるブロック剛性とサイプ密度を示す図である。 図11は、図9に示した実施例及び比較例における接地面積とサイプ密度を示す図である。
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
本明細書において、「タイヤ幅方向」とは、タイヤの回転軸と平行な方向をいう。「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向をいう。「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。
また、本明細書において、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
本明細書において、特に断りのない限り、タイヤの各要素の位置関係等は、基準状態で測定されるものとする。本明細書において、「基準状態」とは、タイヤを適用リムであるホイールのリムに組付け、規定内圧を充填し、無負荷とした状態をいう。
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organization)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、或いは、将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「適用リム」とは、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載される、適用サイズ」の例として、ETRTOのSTANDARDS MANUAL2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられる。
本明細書において、「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。さらに、本明細書において、「規定荷重」とは、上記産業規格に記載されている適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する荷重をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合には、「規定荷重」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
本明細書において、「トレッド踏面」とは、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、規定荷重を負荷した状態で転動させた際に、路面と接触することになる、タイヤの全周に亘る外周面を意味する。また、「トレッド端」とは、トレッド踏面のタイヤ幅方向端を意味する。
また、「サイプ」とは、基準状態において、サイプの深さの50%以上の領域においてサイプの幅が1mm以下であるものをいう。ここで、サイプの深さは、基準状態において、トレッド踏面に垂直な方向に測るものとし、サイプの幅は、トレッド踏面における延在方向に垂直な断面において、トレッド踏面と平行な方向に測るものとする。また、「サイプの延在方向における長さ」とは、基準状態において、トレッド踏面におけるサイプ幅方向の中心点を連続させた中心線の長さを指す。サイプに関連する距離又は長さ等についても、特に断りのない限り、基準状態にて、上記中心線を基準として、トレッド踏面の展開視において測定されるものとする。
本実施形態において、特に断りのない限り、タイヤの内部構造等は、従来のタイヤと同様の構造とされ得る。一例として、タイヤは、一対のビード部と、当該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、当該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有していてもよい。また、タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、当該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有していてもよい。
以下において、タイヤは、内腔に空気が充填され、乗用車等の車両に装着されるものとして説明する。ただし、タイヤの内腔には空気以外の流体が充填されていてもよく、タイヤは乗用車以外の車両に装着されてもよい。
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤ1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ1のトレッドパターンを模式的に示した展開図である。図1において、タイヤ1のトレッド踏面2の一部が、タイヤ径方向外側からの平面への展開視(トレッド踏面2の展開視)で示されている。
図1に示されるように、タイヤ1は、トレッド踏面2に、タイヤ周方向に延びる1本以上(図示例では4本)の周方向主溝3(3A、3B、3C、3D)と、1本以上の周方向主溝3のうちタイヤ幅方向に隣り合う周方向主溝3間に、又は、周方向主溝3(3A又は3D)とトレッド端TEとにより、区画される複数(図示例では5つ)の陸部4(4A、4B、4C、4D、4E)と、を有している。本実施形態では、周方向主溝3A及び3Bは、タイヤ赤道面CLを境界としたタイヤ幅方向の一方の半部に位置しており、他の周方向主溝3C及び3Dは、タイヤ赤道面CLを境界としたタイヤ幅方向の他方の半部に位置している。そして、本実施形態では、タイヤ赤道面CL上に1つの陸部4(4C)と、各タイヤ幅方向半部に2つずつの陸部4(4A及び4B、4D及び4E)とが配置されている。
タイヤ1が有する周方向主溝3の数は、4本以外の任意の数とされてもよい。周方向主溝3の数に応じて、タイヤ1が有する陸部4の数も、5つ以外の任意の数とされてもよい。さらに、タイヤ1は、トレッド踏面2に周方向主溝3を有しない構成とされてもよい。かかる場合、タイヤ1は、トレッド踏面2に、タイヤ幅方向において両トレッド端TEの間に区画される1つの陸部4を有していてもよい。
図示例では、周方向主溝3は、いずれもタイヤ周方向に沿って延在している。本明細書において、「直線XがY方向に沿って延在している」とは、直線XがY方向と平行に延在している、或いは、直線XがY方向と略平行に延在していることをいう。「直線Xの延在方向がY方向と略平行である」とは、例えば、直線Xの延在方向とY方向とのなす角度が5度以下の範囲であることをいう。ただし、少なくとも1つの周方向主溝3がタイヤ周方向に対して5度より大きい角度で傾斜して延びていてもよい。また、図示例では、周方向主溝3は、いずれも、タイヤ周方向に沿って直線状に延びているが、少なくとも1本の周方向主溝3が、全体的に又は部分的に、ジグザグ状、湾曲状など、直線状以外の形状を有していてもよい。
周方向主溝3の幅は、周方向主溝3の本数にもよるため特には限定されないが、例えば4~15mmとされてもよい。周方向主溝3の幅は、基準状態での、タイヤ径方向外側からの平面への展開視における、溝の延在方向に対して垂直な開口幅として計測される。同様に、周方向主溝3の深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば6~20mmとされてもよい。周方向主溝3の幅は、周方向主溝3の延在方向に亘って一定でなくてもよく、周方向主溝3の設けられるトレッド踏面2の位置に応じて、互いに異なっていてもよい。
タイヤ1において、それぞれの陸部4は、陸部4を完全に横切ってタイヤ幅方向に延在している1本以上の幅方向溝5により、複数のブロック陸部6に区切られている。
図示例では、幅方向溝5は、いずれも陸部4を完全に横切ってタイヤ幅方向に延在している。例えば、図示の範囲内で、陸部4Cは、タイヤ周方向に隣り合う2つの幅方向溝5A及び5Bにより、タイヤ周方向に隣り合う3つのブロック陸部6A、6B及び6Cに区切られている。本明細書において、「直線XがY方向に延在している」とは、直線Xが少なくともY方向成分を有していることをいう。すなわち、「直線XがY方向に延在している」とは、直線XがY方向に沿って延在していてもよく、或いは、直線XがY方向に対して所定の角度で傾いて延在していてもよい。幅方向溝5は、タイヤ周方向に直線状に延在していてもよく、或いは、ジグザグ状、湾曲状など、直線状以外の形状で延在していてもよい。幅方向溝5は、タイヤ幅方向に沿って延在していてもよく、図示例のようにタイヤ幅方向に対して0°より大きく45°より小さい角度で延在していてもよい。
幅方向溝5の幅(開口幅)は、幅方向溝5の本数にもよるため特には限定されないが、例えば2~10mmとされてもよい。幅方向溝5の幅は、基準状態での、タイヤ径方向外側からの平面への展開視における、溝の延在方向に対して垂直な開口幅として計測される。同様に、幅方向溝5の深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば5~20mmとされてもよい。ただし、幅方向溝5の幅は、基準状態において、接地時にタイヤ周方向に隣り合うブロック陸部6同士が接触しない幅以上であれば、何ら制限されることはない。また、幅方向溝5の幅は、幅方向溝5の延在方向に亘って一定でなくてもよく、また、幅方向溝5の設けられる陸部4の位置に応じて、互いに異なっていてもよい。
陸部4の各々を横切る幅方向溝5の数は、任意の数とされてもよい。幅方向溝5の数に応じて、陸部4が有するブロック陸部6の数も、任意の数とされてもよい。さらに、陸部4は、幅方向溝5により横切られていない構成、すなわち、陸部4が周方向に途切れなく連続しているリブ状陸部である構成とされてもよい。
陸部4には、連結点Pを有し、連結点Pから放射状に延びる3本以上のサイプ7で構成されたサイプユニット8を備えている。ここで、「陸部4において、3本以上のサイプ7が連結点Pから放射状に延びる」とは、3本以上のサイプ7がそれぞれ連結点Pから異なる方向に延在していることをいう。図示例では、陸部4に含まれるブロック陸部6には、連結点Pから放射状に延びる3本のサイプ7A、7B及び7Cで構成された、サイプユニット8が配置されている。ただし、1つのサイプユニット8を構成するサイプ7の数は、3本以上の任意の数とされてもよい。以下、サイプ7A、7B及び7Cを特に区別しない場合、単にサイプ7と総称する。
サイプユニット8を構成する3本以上のサイプ7A、7B及び7Cの各々は、サイプ7の延在方向における両端が陸部4内で終端するように延在している。より具体的には、3本以上のサイプ7A、7B及び7Cの各々は、サイプ7の延在方向における両端がブロック陸部6内で終端するように延在している。すなわち、サイプ7は、陸部4を区画する周方向主溝3又は幅方向溝5に開口する開放端を有していない。このように、サイプ7が開放端を有さずに、サイプ7の周囲のブロック陸部6が連結していることで、ブロック陸部6がサイプ7の周囲で倒れ込みにくくなり、ブロック陸部6の剛性が向上する。
一般的に、図2に示されるように、トレッド踏面2の路面と接触している接地面に路面から摩擦力等の外力が入力されると、ブロック陸部6がサイプ7の空隙側に倒れ込む、これにより、サイプ7の周囲のブロック陸部6に路面からの浮き上がりUが生じる。図2は、サイプ7の周囲におけるブロック陸部6の浮き上がりUを示した模式図である。図2は、タイヤ1をタイヤ周方向に沿って切断した、タイヤ周方向断面図で示されている。タイヤ1に対して図2において矢印で示される方向に外力が入力された場合、サイプ7よりも外力が入力される側のブロック陸部6に浮き上りが生じる。これに対して、サイプ7の周囲のブロック陸部6が連結していることで、サイプ7の周囲のブロック陸部6が互いに拘束しあい、入力される外力によってサイプ7の周囲のブロック陸部6の路面からの浮き上がりUを抑制することができ、外力入力時におけるタイヤ1の接地面積を広げることができる。これにより、ブロック陸部6にサイプ7を配置することによる、タイヤ1の陸部の剛性の低下を抑制し、ひいてはタイヤ1の接地面積の減少を抑制することができる。そのため、タイヤ1の氷上グリップ性能が向上する。
以下、図3、図4及び図5を参照して、サイプユニット8の構成を説明する。図3は、図1に示されるサイプユニット8の配置を示した模式図である。図4は、図1に示されるサイプユニット8が第3のサイプ7Cを含まない場合におけるサイプユニット8の配置を示した模式図である。図5は、図3に示されるA-A’断面(サイプ7の延在方向に直交する断面)を示した断面図である。
図3に示されるように、サイプユニット8を構成する3本以上のサイプ7は、トレッド踏面2の展開視で、連結点Pからタイヤ幅方向の一方側(図面において左側)に延在する第1のサイプ7Aと、連結点Pからタイヤ幅方向の他方側(図面において右側)に延在する第2のサイプ7Bとを含む。さらに、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bは、トレッド踏面2の展開視で、連結点Pからタイヤ周方向の同一側(図面において下側)に延在している。これにより、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bの各々は、タイヤ幅方向に対して傾斜して直線状に延在している。以下、第1のサイプ7Aを単にサイプ7Aともいい、第2のサイプ7Bを単にサイプ7Bともいう。
より具体的には、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bの各々は、タイヤ幅方向とのなす角φが0°<φ<45°を満たすように直線状に延在している。このように、サイプ7A及び7Bがタイヤ幅方向に対して傾斜していることにより、サイプ7A及び7Bが、タイヤ1のタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与するだけでなく、タイヤ幅方向における横方向グリップ性能(旋回力)の向上にも寄与することができる。特に、φ<45°とされることで、サイプ7A及び7Bのタイヤ幅方向成分がタイヤ周方向成分よりも大きくなり、サイプ7が安全上最も重要なタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与することができる。本実施形態では、第1のサイプ7Aとタイヤ幅方向とのなす角φ(φ1)と、第2のサイプ7Bとタイヤ幅方向とのなす角φ(φ2)とは、互いに等しい。ただし、第1のサイプ7Aとタイヤ幅方向とのなす角φ1、及び第2のサイプ7Bとタイヤ幅方向とのなす角φ2は、互いに異なる角度であってもよい。
図3において、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bの延在方向における長さは同一でありaで示されている。サイプ7A及び7Bの延在方向における長さaは、例えば、3~15mmの間の長さとされる。サイプ7A及び7Bの延在方向における長さaは、好ましくは3~10mmの間の長さとされ、より好ましくは、3~5mmの間の長さとされる。
ここで、サイプ7A及び7Bのタイヤ幅方向の長さをd、サイプユニット8のタイヤ幅方向の長さをWとすると、W=2d=2a×cosφで表わされる。サイプユニット8のタイヤ幅方向の長さW(mm)と、サイプ7の深さh(mm)とは、W×h≦150mmを満たす範囲で定められてもよい。サイプユニット8のタイヤ幅方向の長さWと、サイプユニット8を構成するサイプ7の深さhとは、好ましくはW×h≦100mmを満たす範囲で定められ、より好ましくはW×h≦50mmを満たす範囲で定められる。
サイプユニット8を構成する3本以上のサイプ7は、連結点Pからタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cを含む。図3に示されるように、第3のサイプ7Cは、トレッド踏面2の展開視で、連結点Pから第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bとはタイヤ幅方向の反対側(図面において上側)に延在している。以下、第3のサイプ7Cを単にサイプ7Cともいう。サイプユニット8がタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cを有していない場合、図4に示されるように、サイプユニット8は連結点Pがタイヤ周方向に突出した山型(<型)となる。図4は、図1に示されるサイプユニット8が第3のサイプ7Cを含まない場合におけるサイプユニット8の配置を示した模式図である。サイプユニット8が第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bのみで構成される場合、図4に矢印で示されるように、タイヤ周方向に沿った外力が入力されたとき、外力が連結点Pの近傍に集中して掛かりやすい。このため、ブロック陸部6において、サイプユニット8よりも外力に対して前方に位置する部分6aとサイプユニット8よりも外力に対して後方に位置する部分6bとで、ブロック陸部6に路面から加わる接地圧の段差が大きくなり、図2を参照して上述したように、前方に位置する部分6aの浮き上がりが生じやすくなる。これに対して、サイプユニット8が第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bに加え、連結点Pからタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cを有することで、サイプユニット8の前方に位置する部分6aと後方に位置する部分6bとで、ブロック陸部6の接地面に加わる接地圧の段差を軽減して、前方に位置する部分6aの浮き上がりが生じにくくなる。そのため、ブロック陸部6にサイプユニット8を配置することによる、タイヤ1の陸部の剛性の低下を抑制し、ひいてはタイヤ1の接地面積の減少を抑制することができる。これにより、タイヤ1の氷上グリップ性能を更に向上させることができる。
また、サイプユニット8を構成する3本以上のサイプ7が連結点Pから異なる方向に延在するように配置されることで、タイヤ製造時にそれぞれのサイプ7を形成するためにタイヤ1の金型に配置されるブレードが連結点Pで互いに支えあう構造となり、ブレード曲げ剛性が増大し、ブレードの耐久性が向上する。そのため、タイヤ1の金型の耐久性が向上して、タイヤ1の生産性が向上する。
再び図3を参照して、第3のサイプ7Cの延在方向における長さはbで示されている。サイプ7Cの延在方向における長さbは、例えば、1~15mmの間の長さとされる。サイプ7Cの長さbは、サイプ7A及び7Bの長さaよりも短くされてもよい。これにより、サイプユニット8を構成するサイプ7の長さの合計を変えずに、サイプ7Cの長さbを減らすことで、サイプユニット8において、タイヤ幅方向成分を有するサイプ7A及び7Bの占める割合が多くなる。このため、サイプユニット8がタイヤ1のタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与しやすくなる。また、サイプ7Cの深さhは、サイプ7A及び7Bの深さhと等しくされてもよい。サイプ7Cの深さhは、例えば3mm以上とされる。サイプ7Cの深さhは、例えば6.7mmとされてよい。
図5を参照して、トレッド踏面2におけるサイプ7の延在方向に直交する断面形状について説明する。本実施形態では、図5の(a)に示されるように、サイプ7の延在方向に直交する断面は略矩形とされる。図5の(a)に示されるサイプ7では、サイプ7の幅wは、上述のように1mm以下とされ、例えば、0.4mmとされてよい。ただし、サイプ7の延在方向に直交する断面は、矩形以外の形状とされてもよい。例えば、サイプ7は、図5の(b)に示されるように、サイプ7の延在方向に直交する断面において溝底部分が膨らんだ形状とされてもよい。また例えば、サイプ7は、サイプ7の延在方向に直交する断面において、溝底部分が丸みを帯びた形状とされてもよい。例えば、サイプ7は、図5の(a)に示されるサイプ7の延在方向に直交する断面において、溝底部分のサイプ7の幅方向における両端がR面取りをされた形状とされてもよく、或いは、溝底部分が半円形とされてもよい。図5の(b)に示されるサイプ7では、サイプ7の幅wは、例えば、サイプ7の深さの50%以上の領域において0.4mmとされてよい。
再び図1を参照して、陸部4において、複数のサイプユニット8が、互いに離隔されて、タイヤ周方向に繰り返して配置されて、サイプユニット列9を構成している。図示例では、1つのブロック陸部6において、それぞれ4つのサイプユニット8が、タイヤ周方向に繰り返して配置されて、サイプユニット列9を構成している。ただし、1つのサイプユニット列9を構成するサイプユニット8の数は、2以上の任意の数とされてもよい。
図3において、サイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8は、タイヤ周方向においてピッチpで繰り返して配置されている。これにより、ブロック陸部6におけるサイプ密度を均一化することができる。このため、トレッド踏面2をより均一に路面に接触させて、トレッド踏面2の接地面に加わる接地圧の分布を均一化することができ、タイヤ1の接地面積を増加させることができる。これによりタイヤ1の氷上グリップ性能を更に向上させることができる。
サイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cがタイヤ周方向に沿って延びる一直線上に並ぶように配置されている。これにより、サイプユニット8を構成するサイプ7の空隙に取り込まれた水が一直線上に配置される複数の第3のサイプ7Cに沿ってタイヤ周方向に向かって排水されるため、陸部4における氷上グリップ性能が向上する。以下、サイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8のタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cを結んだ直線をサイプユニット列9の中心線Lともいう。ただし、サイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cがタイヤ周方向に沿って延びる一直線上に並ぶように配置されていなくてもよい。
再び図1を参照して、陸部4は、タイヤ幅方向に並べて配置された複数のサイプユニット列9を備えている。図示例では、陸部4A及び4Eのブロック陸部6において、それぞれ2つのサイプユニット列9が、タイヤ幅方向に並べて配置されている。また、陸部4B、4C及び4Dのブロック陸部6において、それぞれ6つのサイプユニット列9が、タイヤ幅方向に並べて配置されている。ただし、1つのブロック陸部6に配置されるサイプユニット列9の数は、任意の数とされてもよい。
以下、図3を参照して、複数のサイプユニット列9の配置について説明する。図3では、トレッド踏面2の展開視において、2つのサイプユニット列9A及び9Bがタイヤ幅方向に並べて配置されている。本実施形態では、ブロック陸部6に配置される複数のサイプユニット8の形状は、それぞれの第3のサイプ7Cを軸として線対称とされている。
タイヤ幅方向において隣り合う2つのサイプユニット列9A及び9Bは、それぞれを構成するサイプユニット8の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向において異なる方向に延在するように配置されている。具体的には、図3において、複数のサイプユニット列9A及び9Bのうち第1のサイプユニット列9Aを構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向の一方側(図面において上側)に延在するように配置されている。一方で、第1のサイプユニット列9Aと隣り合う第2のサイプユニット列9Bを構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向の他方側(図面において下側)に延在するように配置されている。
このようにサイプユニット列9が配置されていることにより、タイヤ幅方向において、隣り合うサイプユニット列9A及び9Bを構成する複数のサイプユニット8の第3のサイブ7Cの間(隣り合うサイプユニット列9A及び9Bの中心線Lの間)に挟まれたブロック陸部6の領域では、複数のサイプ7がタイヤ幅方向に対して同一方向に傾いて延在している。具体的には、図3において、サイプユニット列9Aに含まれるサイプユニット8Aの第2のサイプ7Bと、サイプユニット列9Bに含まれるサイプユニット8Bの第2のサイプ7Bとが略平行に延在している。これにより、タイヤ幅方向において隣り合うサイプユニット列9A及び9Bの中心線Lの間に挟まれたブロック陸部6の領域において、サイプ7が周期的に配置され、タイヤ周方向においてサイプ7に挟まれるブロック陸部6の形状及び大きさの均一化を図ることができる。これにより、ブロック陸部6におけるサイプ密度を均一化することができる。このため、トレッド踏面2をより均一に路面に接触させて、トレッド踏面2の接地面に加わる接地圧の分布を均一化することができ、タイヤ1の接地面積を増加させることができる。したがって、タイヤ1の氷上グリップ性能を更に向上させることができる。
図示例では、複数のサイプユニット列9のうち第1のサイプユニット列9Aを構成する複数のサイプユニット8の少なくともいずれかと、第1のサイプユニット列9Aと隣り合う第2のサイプユニット列9Bを構成する複数のサイプユニット8の少なくともいずれかとは、互いのタイヤ幅方向における一部がタイヤ周方向において対向している。具体的には、図3において、サイプユニット列9Aを構成するサイプユニット8Aの第2のサイプ7Bと、サイプユニット列9Bを構成するサイプユニット8Bの第2のサイプ7Bとは、互いのタイヤ幅方向における一部のみがタイヤ周方向において対向している。ここで、「線分X及び線分YがZ方向において対向する」とは、線分Xと線分YとがZ方向において互いに離隔されており、線分Xの両端からそれぞれZ方向に沿って延ばした2つの直線上に線分Yの両端のそれぞれが位置していることをいう。ただし、「サイプユニット列9Aを構成するサイプユニット8Aの第2のサイプ7Bと、サイプユニット列9Bを構成するサイプユニット8Bの第2のサイプ7Bとは、互いのタイヤ幅方向における一部のみがタイヤ周方向において対向している」とは、サイプユニット8Aの第2のサイプ7B及びサイプユニット8Bの第2のサイプ7Bそれぞれの端点同士のみが、タイヤ周方向に沿って延びる一直線上に位置している場合も含むものとする。図3において、サイプユニット8Aの第2のサイプ7Bのタイヤ幅方向における一部7aと、サイプユニット8Bの第2のサイプ7Bのタイヤ幅方向における一部7bとが、タイヤ周方向において対向している。このとき、サイプユニット列9A及び9Bそれぞれのタイヤ幅方向の長さW(W=2a×cosφ)と、隣り合うサイプユニット列9A及び9Bのタイヤ幅方向における中心線L間の距離Dとが、W-D≧0を満たしている。これにより、図3に斜線網掛けで示されるように、サイプユニット列9Aを構成するサイプユニット8Aと、サイプユニット列9Bを構成するサイプユニット8Bとをタイヤ周方向に沿って投影したときに、サイプユニット8A及び8Bの少なくとも一方がサイプユニット8のタイヤ幅方向に亘って切れ目なく延在している。このため、第1のサイプユニット列9A及び第2のサイプユニット列9Bを構成するそれぞれのサイプユニット8の形状を変えずに、W-D≧0が満たされる範囲でサイプユニット列9のタイヤ幅方向の長さを広げることによって、ブロック陸部6におけるサイプ密度を保ちながら、サイプユニット8がエッジ効果及び除水効果を発揮できる範囲を広くすることができる。これにより、タイヤ1の氷上グリップ性能を向上させることができる。
また、図3では、互いの第2のサイプ7Bがタイヤ周方向において部分的に対向しているサイプユニット8A及び8Bの、第2のサイプ7B同士のタイヤ周方向における距離をqとすると、サイプユニット8A(サイプユニット8Aのサイプ7B及び7C)及びサイプユニット8B(サイプユニット8Bのサイプ7B及び7C)により囲まれるブロック陸部6は、タイヤ周方向長さq、タイヤ幅方向長さDの矩形(図示例では平行四辺形)となる。このとき、q≦3Dであることが好ましい。これにより、ブロック陸部6に配置される複数のサイプユニット8のタイヤ幅方向における十分な密度を確保することができる。ここで、サイプユニット8A及び8Bの連結点Pのタイヤ周方向における距離をcとすると、qは、q=D×tanφ+cで表わされる。φ≦45°であるとき、tanφ≦1となり、q≦D+cとなる。したがって、q≦3Dを満たすために、サイプユニット8A及び8Bの連結点Pのタイヤ周方向における距離cは、c≦2Dを満たすことが好ましい。
複数のサイプユニット列9のうち、それぞれを構成するサイプユニット8の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向において同じ方向に延在するように配置されているサイプユニット列9同士の間では、それぞれのサイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8のタイヤ周方向における位置が互いに等しくされてもよい。具体的には、サイプユニット列9Aを構成するサイプユニット8と、サイプユニット列9Aとサイプユニット列9Bをタイヤ幅方向において挟むように配置されたサイプユニット列9Cを構成するサイプユニット8とは、第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向において同じ方向に延在している。図3において、サイプユニット列9Aに含まれるサイプユニット8Aとサイプユニット列9Cに含まれるサイプユニット8Cとは、タイヤ周方向における位置が等しくされている。これにより、ブロック陸部6におけるサイプ密度をさらに均一化することができる。このため、トレッド踏面2をより均一に路面に接触させて、トレッド踏面2の接地面に加わる接地圧の分布を均一化することができ、タイヤ1の接地面積を増加させることができる。したがって、タイヤ1の氷上グリップ性能を更に向上させることができる。
再び図1を参照して、陸部4A及び4Eのブロック陸部6には、それぞれ8個のサイプユニット8が配置されており、陸部4B、4C及び4Dのブロック陸部6には、それぞれ24個のサイプユニット8が配置されている。ただし、1つのブロック陸部6に配置されるサイプユニット8の個数は、任意の数とされてもよい。
例えば、ブロック陸部6に配置されるサイプユニット8の個数は、タイヤ周方向のサイプ密度SDに基づいて定められていてもよい。タイヤ周方向のサイプ密度SDは、ブロック陸部6を完全に横切るように設けられた横断サイプが、タイヤ周方向にどのくらいの密度で配置されているかを表す指標である。ブロック陸部6の外輪郭面積(mm)を最大幅BWで除したブロック陸部6の相当タイヤ周方向長さをBL(mm)とし、ブロック陸部6を完全に横切るように設けられた横断サイプの本数をN’とすると、タイヤ周方向の平均サイプ間隔は、BL/(N’+1)として表される。タイヤ周方向のサイプ密度SDは、平均サイプ間隔の逆数として以下の式(1)で表わされる。
SD=(N’+1)/BL (1)
ブロック陸部6の「外輪郭面積」とは、トレッド踏面2の展開視でブロック陸部6の外輪郭で囲まれた面積をいう。したがって、ブロック陸部6内にサイプ、小穴、細溝等の非接地部分が配置されている場合であっても当該サイプ、小穴、細溝等の面積を除外しない面積を意味する。
以下、本実施形態におけるサイプ密度SDの算出方法について説明する。例えば、図9のサイプ形状図に示されるように、矩形のブロック陸部6に複数のサイプユニット8が設けられているものとする。はじめに、ブロック陸部6内のサイプユニット8の個数をn個とし、サイプユニット8を構成するサイプ7のタイヤ幅方向の長さの合計をT(mm)とし、ブロック陸部6のタイヤ幅方向の最大幅をBW(mm)とすると、相当サイプ本数Nは、T×n/BWとして表される。本実施形態では、Tは、サイプ7A、7B及び7Cのタイヤ幅方向の長さの合計として、2d(=2a×cosφ)で表わされる。ここで、相当サイプ本数Nは、本実施形態のサイプ7を、ブロック陸部6を完全に横切るように設けられた横断サイプ(相当サイプ)に換算した場合の本数である。さらに、ブロック陸部6の相当タイヤ周方向長さをBL(mm)とすると、タイヤ周方向の平均サイプ間隔は、BL/(N+1)として表される。ここで、タイヤ周方向の平均サイプ間隔は、本実施形態のサイプ7を相当サイプに換算した場合における、相当サイプのブロック陸部6におけるタイヤ周方向における間隔である。タイヤ周方向のサイプ密度SDは、平均サイプ間隔の逆数として以下の式(2)で表わされる。
SD=(N+1)/BL=((T×n/BW)+1)/BL (2)
なお、ブロック陸部6内のサイプユニット8の個数n、サイプユニット8を構成するサイプ7のタイヤ幅方向の長さの合計T、ブロック陸部6のタイヤ幅方向の最大幅BW、及びブロック陸部6の外輪郭面積は、トレッド踏面2の展開視で計測された値とする。
例えば、ブロック陸部6には、サイプ密度SDが0.15(1/mm)以上となるように、複数のサイプユニット8が配置されていてもよい。これにより、タイヤ1の氷上グリップ性能を向上させることができる。
ブロック陸部6において複数のサイプ7が、浅溝10で連結されていてもよい。図6は、本発明の一実施形態におけるサイプ7が浅溝10で連結されたサイプユニット8の配置を示した模式図である。図6に示されるブロック陸部6は、例えば、図1に示されるブロック陸部6Bに相当する。図6において、ブロック陸部6には、サイプユニット列9が6列、タイヤ幅方向に並んで配置されている。サイプユニット列9において、4つのサイプユニット8が、タイヤ周方向に繰り返し配置されている。図6において、タイヤ幅方向に一列おきに並ぶサイプユニット列9に含まれるサイプユニット8が、ブロック陸部6を横切る浅溝10で連結されている。具体的には、浅溝10は、いずれかのサイプユニット8の連結点Pから第1のサイプ7Aに沿って隣のサイプユニット列9の中心線L’まで延在する直線10Aと、いずれかのサイプユニット8の連結点Pから第2のサイプ7Bに沿って隣のサイプユニット列9の中心線L’’まで延在する直線10Bとで構成されている。すなわち、ブロック陸部6において複数のサイプユニット8が、ブロック陸部6をタイヤ幅方向に横切るジグザグ状の浅溝10で連結されている。図6において、浅溝10の延在方向に沿ってタイヤ1を切断した断面(B-B’断面)を、図7に示す。図7において、浅溝10の深さ(最大深さ)Hは、サイプ7の深さhに応じて定められてもよい。例えば、浅溝10の深さHは、サイプ7の深さhの5~60%の範囲で定められてもよく、好ましくは5~20%の範囲で定められてもよい。例えば、サイプ7の深さhが6.7mmとされ、浅溝10の深さHが0.7mmとされてもよい。かかる構成を有することにより、サイプ7の空隙に取り込まれた水が浅溝10を介してタイヤ幅方向に向かって排水されるため、ブロック陸部6における氷上グリップ性能が向上する。
再び図1を参照して、タイヤ1のブロック陸部6には、上述したサイプユニット8以外のサイプが設けられていてもよい。例えば、図示例では、陸部4A及び4Eに、トレッド端TEに向かって、タイヤ幅方向に延在する、ジグザグ状のサイプ11が複数設けられている。これにより、トレッド踏面2における排水性が向上し、タイヤ1の氷上グリップ性能が向上する。
図8を参照して、本発明の一実施形態におけるサイプユニット8の変形例を説明する。図8は、本発明の一実施形態におけるサイプユニット8の変形例の配置を示した模式図である。図8では、サイプユニット8の変形例が、トレッド踏面2の展開視にて示されている。図8では、図面上下方向がタイヤ周方向であり、図面左右方向がタイヤ幅方向である。以下、サイプユニット8の変形例について、上述したサイプユニット8と異なる点を中心に説明する。サイプユニット8の変形例及びサイプユニット8の変形例を構成するサイプ7のサイズ、並びにブロック陸部6における配置等、以降で説明されていない部分は、上述したサイプユニット8と同様とされてもよい。例えば、図8の(a)には、サイプユニット8の第1の変形例であるサイプユニット8Dが示されている。サイプユニット8Dは、サイプユニット8Dの連結点Pの近傍において、サイプユニット8Dを構成する3本以上のサイプ7の幅が広くされている点で、図3に示されるサイプユニット8Aと異なっている。図示例では、サイプユニット8Dの連結点Pの近傍において、サイプユニット8Dを構成する3本のサイプ7A、7B及び7Cの幅が広くされて、連結点Pを中心とした円形状のサイプが形成されている。このサイプユニット8Dの形状は、タイヤ製造時にそれぞれのサイプ7を形成するためにタイヤ1の金型に配置されるブレードの連結点Pの位置にブレード補強芯を設けることで実現される。このように、タイヤ1の金型のサイプユニット8Dの連結点Pに相当する部分にブレード補強芯を設けることで、ブレードの耐久性が向上する。そのため、タイヤ1の金型の耐久性が向上して、タイヤ1の生産性が向上する。
また例えば、図8の(b)には、サイプユニット8の第2の変形例であるサイプユニット8Eが示されている。サイプユニット8Eは、サイプユニット8Eにおける3本以上のサイプが、連結点Pからタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cに代えて、連結点Pからタイヤ周方向に延在する複数のサイプ7を含んでいる点で、図3に示されるサイプユニット8Aと異なっている。図示例では、サイプユニット8Eは、連結点Pからタイヤ周方向に延在する2本のサイプ7D及び7Eを含む、4本のサイプ7A、7B、7D及び7Eで構成されている。サイプ7D及び7Eは、トレッド踏面2の展開視で、連結点Pから第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bとはタイヤ幅方向の反対側(図面において上側)に延在している。サイプ7Dは、連結点Pからタイヤ周方向の一方側(図面において上側)に向かうに従いタイヤ幅方向の一方向(図面において左側)に向かうように傾いて延在している。一方で、サイプ7Eは、連結点Pからタイヤ周方向の一方側(図面において上側)に向かうに従いタイヤ幅方向の他方側(図面において右側)に向かうように傾いて延在している。
以下に、図9、図10及び図11を参照して、本発明の一実施形態に係るタイヤ1の実施例について説明する。図9は、実施例及び比較例を示した表である。図10は、図9に示した実施例及び比較例におけるブロック剛性とサイプ密度を示す図である。図11は、図9に示した実施例及び比較例における接地面積とサイプ密度を示す図である。実施例1及び比較例1~2では、タイヤ周方向の長さが30mm、タイヤ幅方向の長さが27mmの矩形のブロック陸部に、それぞれ図9のサイプ形状図に示されるサイプを配置したものとして評価を行った。
図9に示される実施例1及び比較例1~2のタイヤについて有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いたシミュレーションを行い、ブロック陸部の外輪郭面積に乗用車用タイヤの標準的な接地圧230kPaを乗じた垂直荷重を負荷した条件で、サイプ密度に対するブロック剛性及び接地面積を評価した。
その結果、図10及び図11に示されるように、実施例では、比較例において同程度のサイプ密度とした場合に比べて、ブロック剛性Kx(N/mm)及び剪断時の実接地面積Ar(mm)共に向上する結果が得られた。ここで、ブロック剛性Kx(N/mm)は、タイヤ周方向の横変位が1mmとなる時の同方向のせん断入力値であり、剪断時の実接地面積Ar(mm)は、タイヤ周方向のせん断入力が上記垂直荷重の0.3倍の時の、部分的に浮き上がりが生じた状態の残存接地面積である。このように、実施例では、比較例に比べて、サイプ密度を保ちながら陸部剛性を向上させる、或いは、陸部剛性を保ちながらサイプ密度を大きくすることができる。したがって、本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、サイプ密度と陸部剛性を両立させることにより、氷上グリップ性能を向上させることができる。
以上から、本発明の一実施形態に係るタイヤ1によれば、タイヤ1の氷上グリップ性能を向上させることが明らかになった。
以上述べたように、本発明の一実施形態に係るタイヤ1は、トレッド踏面2に陸部4(ブロック陸部6)を有するタイヤ1であって、陸部4(ブロック陸部6)には、連結点Pを有し、連結点Pから放射状に延びる3本以上のサイプ7で構成された、サイプユニット8が配置され、サイプユニット8における3本以上のサイプ7の各々は、サイプ7の延在方向における両端が陸部4(ブロック陸部6)内で終端するように延在し、サイプユニット8における3本以上のサイプ7は、連結点Pからタイヤ幅方向の一方側に延在する第1のサイプ7Aと、連結点Pからタイヤ幅方向の他方側に延在する第2のサイプ7Bと、を含む。かかる構成によれば、陸部4(ブロック陸部6)にサイプユニット8を配置することによる、陸部4(ブロック陸部6)の剛性の低下を抑制し、ひいてはタイヤ1の接地面積の減少を抑制することができる。このため、タイヤ1の氷上グリップ性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bの各々は、タイヤ幅方向とのなす角φが0°<φ<45°を満たすように直線状に延在しているが好ましい。かかる構成によれば、サイプユニット8が、タイヤ1のタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与するだけでなく、タイヤ幅方向における横方向グリップ性能(旋回力)の向上にも寄与することができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、サイプユニット8における3本以上のサイプ7は、連結点Pからタイヤ1周方向に沿って延在する第3のサイプ7Cを含み、第3のサイプ7Cは、連結点Pから第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bとはタイヤ幅方向の反対側に延在していることが好ましい。かかる構成によれば、陸部4(ブロック陸部6)にサイプユニット8を配置することによる、陸部4(ブロック陸部6)の剛性の低下を抑制し、ひいてはタイヤ1の接地面積の減少を抑制することができる。このため、タイヤ1の氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、第3のサイプ7Cの長さは、第1のサイプ7A及び第2のサイプ7Bよりも短いことが好ましい。かかる構成によれば、サイプユニット8を構成するサイプ7のタイヤ幅方向成分の割合が多くなり、サイプユニット8がタイヤ1のタイヤ周方向における制動力及び駆動力の向上に寄与しやすくなる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、陸部4(ブロック陸部6)において、複数のサイプユニット8が、タイヤ周方向に繰り返して配置されて、サイプユニット列9を構成し、サイプユニット列9を構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cがタイヤ周方向に沿って延びる一直線上に並ぶように配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、サイプユニット8を構成するサイプ7の空隙に取り込まれた水が一直線上に配置される複数の第3のサイプ7Cに沿ってタイヤ周方向に向かって排水されるため、タイヤ1の氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、陸部4(ブロック陸部6)は、タイヤ幅方向に並べて配置された複数のサイプユニット列9を備え、複数のサイプユニット列9のうち第1のサイプユニット列9Aを構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向の一方側に延在するように配置されており、第1のサイプユニット列9Aと隣り合う第2のサイプユニット列9Bを構成する複数のサイプユニット8は、各々の第3のサイプ7Cが連結点Pからタイヤ周方向の他方側に延在するように配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に外力が入力された際に、隣り合うサイプユニット列9が配置されている範囲の陸部4(ブロック陸部6)が互いに支えあうことにより、倒れ込みにくくなる。このため、陸部4(ブロック陸部6)の剛性が増大する。このため、タイヤ1の氷上グリップ性能をさらに向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、第1のサイプユニット列9Aを構成する複数のサイプユニット8の少なくともいずれかと、第2のサイプユニット列9Bを構成する複数のサイプユニット8の少なくともいずれかとは、互いのタイヤ幅方向における一部がタイヤ周方向において対向していることが好ましい。かかる構成によれば、陸部4(ブロック陸部6)におけるサイプ密度を保ちながら、サイプユニット8がエッジ効果及び除水効果を発揮できる範囲を広くすることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、サイプユニット8のタイヤ幅方向の長さをW(mm)とし、サイプユニット8を構成するサイプ7の深さをh(mm)とするとき、W×hは150(mm)以下であって、陸部4(ブロック陸部6)内のサイプユニット8の個数をnとし、サイプユニット8を構成するサイプ7のタイヤ幅方向の長さの合計をT(mm)とし、陸部4(ブロック陸部6)のタイヤ幅方向の最大幅をBW(mm)とし、陸部4(ブロック陸部6)の外輪郭面積(mm)を最大幅BWで除した陸部4(ブロック陸部6)の相当タイヤ周方向長さをBL(mm)とし、相当サイプ本数Nを、T×n/BWとして表し、タイヤ周方向の平均サイプ間隔をBL/(N+1)として表し、タイヤ周方向のサイプ密度SDを平均サイプ間隔の逆数として、SD=(N+1)/BL=((T×n/BW)+1)/BLとして表すとき、SDが0.15(1/mm)以上であることが好ましい。かかる構成によれば、陸部4(ブロック陸部6)にサイプ7を配置することによる、陸部4(ブロック陸部6)の剛性の低下を抑制しつつ、サイプ密度を増大させることができる。このため、タイヤ1の氷上グリップ性能を向上させることができる。
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
1:タイヤ、 2:トレッド踏面、 3(3A、3B、3C、3D):周方向主溝、 4(4A、4B、4C、4D、4E):陸部、 5(5A、5B):幅方向溝、 6(6A、6B、6C):ブロック陸部、 6a、6b:ブロック陸部の部分、 7:サイプ、 7A:第1のサイプ、 7B:第2のサイプ、 7C:第3のサイプ、 7D、7E:他のサイプ 7a、7b:サイプの一部、 P:連結点、 8(8A、8B、8C、8D、8E):サイプユニット、 9(9A、9B、9C):サイプユニット列、 10:浅溝、 10A、10B:浅溝を構成する直線、 a、b:サイプの長さ、 w:サイプの幅、 h:サイプの深さ、 φ(φ1、φ2):サイプとタイヤ幅方向とのなす角、 d:第1のサイプ又は第2のサイプのタイヤ幅方向の長さ、 p:タイヤ周方向におけるサイプユニットのピッチ、 q:互いの第2のサイプがタイヤ周方向において部分的に対向しているサイプユニットの第2のサイプ同士のタイヤ周方向における距離、 L(L’、L’’):サイプユニット列の中心線、 W:サイプユニット列のタイヤ幅方向の長さ、 D:タイヤ幅方向に隣り合うサイプユニット列の間のタイヤ幅方向における中心線間の距離、 SD:サイプ密度、 N:相当サイプ本数、 BW:ブロック陸部のタイヤ幅方向の最大幅、 BL:ブロック陸部の相当タイヤ周方向長さ、 A-A’、B-B’:切断面、 TE:トレッド端、 CL:タイヤ赤道面、 Ar:剪断時の実接地面積、 Kx:ブロック剛性、 H:浅溝の深さ、 U:浮き上がり

Claims (8)

  1. トレッド踏面に陸部を有するタイヤであって、
    前記陸部には、連結点を有し、前記連結点から放射状に延びる3本以上のサイプで構成された、サイプユニットが配置され、
    前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプの各々は、サイプの延在方向における両端が前記陸部内で終端するように延在し、
    前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプは、前記連結点からタイヤ幅方向の一方側に延在する第1のサイプと、前記連結点からタイヤ幅方向の他方側に延在する第2のサイプとを含む、タイヤ。
  2. 前記第1のサイプ及び前記第2のサイプの各々は、タイヤ幅方向とのなす角φが0°<φ<45°を満たすように直線状に延在している、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記サイプユニットにおける前記3本以上のサイプは、前記連結点からタイヤ周方向に沿って延在する第3のサイプを含み、
    前記第3のサイプは、前記連結点から前記第1のサイプ及び前記第2のサイプとはタイヤ幅方向の反対側に延在している、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記第3のサイプの長さは、前記第1のサイプ及び前記第2のサイプよりも短い、請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記陸部において、複数の前記サイプユニットが、タイヤ周方向に繰り返して配置されて、サイプユニット列を構成し、
    前記サイプユニット列を構成する前記複数の前記サイプユニットは、各々の前記第3のサイプがタイヤ周方向に沿って延びる一直線上に並ぶように配置されている、請求項3又は4に記載のタイヤ。
  6. 前記陸部は、タイヤ幅方向に並べて配置された複数の前記サイプユニット列を備え、
    前記複数の前記サイプユニット列のうち第1のサイプユニット列を構成する複数のサイプユニットは、各々の前記第3のサイプが前記連結点からタイヤ周方向の一方側に延在するように配置されており、
    前記第1のサイプユニット列と隣り合う第2のサイプユニット列を構成する複数のサイプユニットは、各々の前記第3のサイプが前記連結点からタイヤ周方向の他方側に延在するように配置されている、請求項5に記載のタイヤ。
  7. 前記第1のサイプユニット列を構成する前記複数のサイプユニットの少なくともいずれかと、前記第2のサイプユニット列を構成する前記複数のサイプユニットの少なくともいずれかとは、互いのタイヤ幅方向における一部がタイヤ周方向において対向している、請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記サイプユニットのタイヤ幅方向の長さをW(mm)とし、前記サイプの深さをh(mm)とするとき、W×hは150(mm)以下であって、
    前記陸部内の前記サイプユニットの個数をnとし、前記サイプユニットを構成するサイプのタイヤ幅方向の長さの合計をT(mm)とし、前記陸部のタイヤ幅方向の最大幅をBW(mm)とし、前記陸部の外輪郭面積(mm)を前記最大幅BWで除した前記陸部の相当タイヤ周方向長さをBL(mm)とし、相当サイプ本数Nを、T×n/BWとして表し、タイヤ周方向の平均サイプ間隔をBL/(N+1)として表し、タイヤ周方向のサイプ密度SDを平均サイプ間隔の逆数として、SD=(N+1)/BL=((T×n/BW)+1)/BLとして表すとき、SDが0.15(1/mm)以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載のタイヤ。
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