JP2023064608A - 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法 - Google Patents

氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023064608A
JP2023064608A JP2021174973A JP2021174973A JP2023064608A JP 2023064608 A JP2023064608 A JP 2023064608A JP 2021174973 A JP2021174973 A JP 2021174973A JP 2021174973 A JP2021174973 A JP 2021174973A JP 2023064608 A JP2023064608 A JP 2023064608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ice
nitrogen
ice slurry
nanobubbles
refrigerated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021174973A
Other languages
English (en)
Inventor
美雄 廣兼
Yoshio Hirokane
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Blanctec Co Ltd
Original Assignee
Blanctec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Blanctec Co Ltd filed Critical Blanctec Co Ltd
Priority to JP2021174973A priority Critical patent/JP2023064608A/ja
Priority to PCT/JP2022/040013 priority patent/WO2023074763A1/ja
Priority to KR1020247013906A priority patent/KR20240060858A/ko
Priority to EP22887088.7A priority patent/EP4424159A1/en
Priority to CN202280071837.8A priority patent/CN118176398A/zh
Publication of JP2023064608A publication Critical patent/JP2023064608A/ja
Priority to CL2024001257A priority patent/CL2024001257A1/es
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • A01N1/0205Chemical aspects
    • A01N1/021Preservation or perfusion media, liquids, solids or gases used in the preservation of cells, tissue, organs or bodily fluids
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25CPRODUCING, WORKING OR HANDLING ICE
    • F25C1/00Producing ice
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23BPRESERVING, e.g. BY CANNING, MEAT, FISH, EGGS, FRUIT, VEGETABLES, EDIBLE SEEDS; CHEMICAL RIPENING OF FRUIT OR VEGETABLES; THE PRESERVED, RIPENED, OR CANNED PRODUCTS
    • A23B4/00General methods for preserving meat, sausages, fish or fish products
    • A23B4/06Freezing; Subsequent thawing; Cooling
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25DREFRIGERATORS; COLD ROOMS; ICE-BOXES; COOLING OR FREEZING APPARATUS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F25D3/00Devices using other cold materials; Devices using cold-storage bodies
    • F25D3/02Devices using other cold materials; Devices using cold-storage bodies using ice, e.g. ice-boxes
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25CPRODUCING, WORKING OR HANDLING ICE
    • F25C2301/00Special arrangements or features for producing ice
    • F25C2301/002Producing ice slurries

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】冷蔵のための特性に優れた氷スラリー製造システムを提供する。【解決手段】被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水を貯える氷スラリー貯留タンク12と、食塩水が凍結したフレークアイスを製作し、フレークアイスを食塩水に混合するディスク部14及び掃き取り部16と、ディスク部14に液体窒素を供給する液体窒素タンク18と、ディスク部14を経た液体窒素を用いて食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含ませるナノミキサ20と、を備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、冷蔵品の輸送や保存等に用いることが可能な氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法に関する。
例えば、魚介類や精肉等といった生鮮食品を被冷蔵物とし、これらの被冷蔵物を輸送したり、保管(保存)したりすることが一般に行われている。被冷蔵物の冷蔵には氷スラリーが用いられる場合がある。この場合、被冷蔵物を氷スラリーに浸け、温度低下させることにより、被冷蔵物の鮮度が保たれる。
後掲の特許文献1には、魚介類を含む生鮮動植物を効果的に冷蔵したり、冷凍したりするための各種の技術が開示されている。また、特許文献1には、各種の氷を製造するための装置や、氷スラリーを利用した保冷庫なども開示されている。また、後掲の特許文献2、3には、流体を複雑に流動させてキャビテーション等を発生させる静止型流体撹拌装置が開示されている。
特開2018-017490号公報 特許第3706872号公報 特許第3706873号公報
特許文献1に開示されたような生鮮動植物の冷蔵のための技術には、より高い鮮度で冷蔵できるようにすることが望まれている。このため、冷蔵に用いられる氷スラリーについても、可能な限り、冷蔵に係る特性を向上させることが必要である。
本発明は、冷蔵のための特性に優れた氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は、以下のような氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法に関する。
(1)被冷蔵物(魚や臓器など)の冷蔵に用いられる氷スラリーであって、
前記被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張であって窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含んだ食塩水と、前記食塩水が凍結したフレークアイスとの混合物であり、
溶存酸素が1.0mg/L以下であることを特徴とする氷スラリーである。
(2)被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水を貯える氷スラリー製造槽と、
前記食塩水が凍結したフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する氷製作部(少なくともディスク部など)と、
前記氷製作部に液体窒素を供給する液体窒素供給源と、
前記氷製作部を経た前記液体窒素を用いて前記食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含ませるナノバブル供給部(ナノミキサなど)と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造システム。
(3)被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張であり窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含んだ食塩水を凍結させてフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する氷製作部を備えたことを特徴とする氷スラリー製造装置。
(4)被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを供給する第1工程と、
前記食塩水に前記食塩水が凍結したフレークアイスを混合し、溶存酸素が1.0mg/L以下である氷スラリーを製造する第2工程と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造方法。
(5)氷製作部に液体窒素を供給して前記氷製作部を冷却する第1工程と、
前記氷製作部により、被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水を凍結させたフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する第2工程と、
前記氷製作部を経た前記液体窒素を用いて前記食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを供給する第3工程と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造方法。
本発明によれば、冷蔵のための特性に優れた氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る氷スラリー製造システムを模式的に示す説明図である。 製氷部を模式的に示す説明図である。 ディスク部を模式的に示す説明図である。 ディスク部の製造方法を模式的に示す説明図である。 ナノミキサを一部省略して示す断面図である。 混合エレメントを示す説明図である。 窒素ナノバブルの生成方法を模式的に示す説明図である。 窒素マイクロバブルと窒素ナノバブルの機能を模式的に示す説明図である。 (a)は実施例におけるサンマの冷蔵状態を示す説明図、(b)は実施例におけるサンマの目を示す説明図、(c)は実施例におけるサンマの血液を示す説明図である。 通常の氷と第1実施形態の氷スラリーとの比較結果を説明するための図表である。 第2実施形態に係る冷蔵用容器を模式的に示す説明図である。
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態に係る、氷スラリー、氷スラリー製造システム、及び、氷スラリー製造システムに用いられる氷スラリー製造装置について、図面に基づき説明する。
第1実施形態に係る氷スラリーは、鮮魚等の被冷蔵物を冷蔵輸送や冷蔵保存するために用いられる。氷スラリーは、被冷蔵物の冷蔵に用いられる氷スラリーであって、被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張であって窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含んだ食塩水と、食塩水が凍結したフレークアイスとの混合物であり、溶存酸素が1.0mg/L以下である。
図1は、第1実施形態に係る氷スラリーを製造するための、氷スラリー製造システム10、及び、氷スラリー製造装置11を模式的に示している。氷スラリー製造システム10は、氷スラリー貯留タンク(以下、「貯留タンク」と称する)12、ディスク部14、掃き取り部16、液体窒素タンク18、及び、ナノミキサ20等を備えている。さらに、氷スラリー製造システム10は、掃き取り部16を回転させるためのモータ22や、モータ22の回転力を掃き取り部16に伝達する回転シャフト24等を備えている。
図1の例では、氷スラリー製造装置11は、モータ22、回転シャフト24、ディスク部14、掃き取り部16、及び、ナノミキサ20により構成されている。ただし、氷スラリー製造装置11に含まれる機器を、どの機器の範囲までとするかは、図1の例に限定されない。
例えば、氷スラリー製造装置11は、ディスク部14と掃き取り部16のみにより構成されていてもよい。この場合、モータ22、回転シャフト24、及び、ナノミキサ20は、氷スラリー製造装置11に含まれない機器である。また、氷スラリー製造装置11は、貯留タンク12や液体窒素タンク18を含んでいてもよい。この場合、氷スラリー製造システム10と氷スラリー製造装置11の構成は共通することとなる。
<フレークアイス貯留タンク及びブライン>
貯留タンク12は、氷スラリー製造槽の一例である。図1の例では、貯留タンク12は、上部を開放した水溶液槽であり、氷スラリーの原液となるブラインWs(図1では二点鎖線で示す)を収容している。ブラインWsとしては、所定の濃度(ここでは1%)の食塩水が用いられている。
ブラインWsの濃度は、被冷蔵物(ここでは鮮魚の魚体)の細胞における塩分の濃度を考慮して設定されている。第1実施形態では、ブラインWsの塩分濃度は、鮮魚の細胞における塩分の濃度(約1%)とほぼ同じになるよう調整されている。このため、ブラインWsと鮮魚との間には、浸透圧が同じ(等張)であるという関係が成立する。製造された氷スラリーに魚体を投入した場合に、氷スラリーから魚体への水分の移動は生じ難い。したがって、水分が魚体に入り込み難く、魚体に水膨れが生じ難い。
貯留タンク12のブラインWsの中には、ディスク部14、掃き取り部16、及び、ナノミキサ20が配置されている。ブラインWsの外側には、モータ22が配置されている。図1の例では、モータの支持は、貯留タンク12により行われている。貯留タンク12によるモータ22の支持は、図示は省略するが、例えば、複数のアングル材を組み合わせて形成されたフレームを、貯留タンク12に固定し、このフレームにモータ22を取り付けて行うことが可能である。
貯留タンク12内のディスク部14や掃き取り部16は、モータ22に連結された回転シャフト24を介して吊り下げられている。図2は、回転シャフト24と、ディスク部14及び掃き取り部16との関係を模式的に示している。図2については後述する。
貯留タンク12は、ブラインWsの貯留や、ディスク部14、掃き取り部16、及び、ナノミキサ20の収容、モータ22の設置等が行えるものであればよい。貯留タンク12の形状としては、円形状のほか、三角形状、四角形状、多角形状、又は楕円状等のように、種々の形状を採用できる。
貯留タンク12の周囲を断熱材により囲ってもよい。断熱材としては、一般的な種々のものを採用できる。貯留タンク12の壁のみで十分な断熱性を得ることができる場合には、貯留タンク12の周囲の断熱材は適宜省略することができる。また、貯留タンク12は、断熱材を内蔵したものや、壁内を中空としたものなどであってもよい。
<ディスク部>
ディスク部14は氷製作部を構成する機器の一例である。氷製作部は、ディスク部14のみにより構成されてもよく、ディスク部14と掃き取り部16とにより構成されてもよい。または、氷製作部は、ディスク部14、掃き取り部16、及び、モータ22を含んで構成されてもよい。
図1の例では、ディスク部14は、矩形(ここでは正方形)の金属板により構成されている。ディスク部14のサイズ(寸法)は、例えば、外形を30cm角程度、板厚を例えば30mm程度とすることが可能である。ここで、ディスク部14の形状は、矩形に限らず円形などであってもよい。
図2に示すように、ディスク部14の上面(板面14a)及び下面(板面14b)は、ほぼ平坦に、且つ、互いに平行になるよう加工されている。ディスク部14の素材としては、熱伝導率が高い銅や銅合金が採用されている。第1実施形態においては、ディスク部14は鋳造により形成されている。ディスク部14の表面は、耐摩耗性を有する金属(例えばクロムなど)によってメッキされている。ここで、ディスク部14の素材としては、銅や銅合金のほかにも、アルミニウム、鉄、或いは、ステンレス鋼などを採用することも可能である。
ディスク部14の内部には、図3に破線で示すように、1本の冷媒通路27が形成されている。冷媒通路27は、蛇行するよう形成された穴であり、互いに平行に延びている直線状の部分や、U字状に曲がっている部分等を有している。ディスク部14には、回転シャフト24を通過させるための貫通穴28が設けられている。回転シャフト24は、貫通穴28に通されており、ディスク部14を厚さ方向に貫通している。冷媒通路27は、貫通穴28を避けて形成されている。
ディスク部14は、例えば、図4に示すように製造することが可能である。図4は、ディスク部14の製造方法を模式的に示している。ディスク部14は、半割状の第1プレート72と第2プレート73とを向かい合わせ、矢印Bで示すように重ねて接合することにより形成されている。
第1プレート72と第2プレート73は、鋳造や切削により形成されている。また、第1プレート72と第2プレート73は、互いに同様の外形寸法を有しており、各々の厚みは、例えば15mm程度となっている。第1プレート72と第2プレート73には、冷媒通路27となる溝部74、75が掘られている。溝部74、75は、互いに平行に形成された多数の直線部76と、直線部76を繋ぐU字状部77とを有している。
溝部74、75の両端部は、第1プレート72と第2プレート73の端面において、半円状(図示略)に開口している。溝部74、75は、互いに線対称となるように鏡面関係をもって形成されている。第1プレート72と第2プレート73とを重ね合わせることで、1本の冷媒通路27が形成される。このようにディスク部14を形成することで、ディスク部14への穴あけ加工を行わずに、及び、U字状に形成された配管の接続などを行わずに、冷媒通路27を形成することができる。
<掃き取り部>
掃き取り部16は、ディスク部14とともに氷製作部を構成する機器の一例である。図1の例では、掃き取り部16は、図1に模式的に示すように、2枚羽根のプロペラ状に形成されている。また、掃き取り部16は、図2に模式的に示すように、ディスク部14の各板面14a、14bに対向するよう配置されている。
掃き取り部16は、ディスク部14を貫通する回転シャフト24に連結されている。回転シャフト24は、モータ22に連結されており、モータ22により駆動されて、軸心周りに回転する。回転シャフト24の回転に伴い、掃き取り部16が、ディスク部14の板面14a、14bに対向したまま回転する。モータ22としては、駆動部と減速部(ギヤ部)とを一体に備えたもの(ギヤードモータ)が採用されている。
掃き取り部16は、ブレード状の部分(符号省略)を有しており、このブレード状の部分をディスク部14の各板面14a、14bに臨ませている。掃き取り部16は、ブレード状の部分がディスク部14の各板面14a、14bに接するよう設けられていてもよい。或いは、掃き取り部16は、ブレード状の部分がディスク部14の各板面14a、14bとの間に所定の間隔(例えば0.2mm程度)のクリアランス(隙間)を介在させるように設けられていてもよい。
後述するように、掃き取り部16は、ディスク部14に付着した氷(図示略)に衝突し、ディスク部14から氷を分離させる。掃き取り部16を、ディスク部14の各板面14a、14bに接するよう設けた場合には、掃き取り部16は、各板面14a、14bに接しながら氷を分離させる。また、掃き取り部16を、ディスク部14との間にクリアランスが介在するよう設けた場合には、掃き取り部16は、各板面14a、14bとの間に発生する乱流を利用して氷を分離させる。氷が、クリアランスの大きさ以上に成長した場合には、掃き取り部16は、成長した氷に衝突して氷を分離させる。
掃き取り部16の形状や形態としては、プロペラ羽根状のほか、板状やバフ状なども採用が可能である。掃き取り部16の材質としては、例えば、金属や合成樹脂などを採用できる。また、掃き取り部16の材質として、例えば、スポンジ、フォーム、ブラシ、たわし(束子)、樹脂網、不織布などといったものも採用が可能である。これらの材質を、プロペラ羽根状、板状、又は、バフ状などといった各種の形状に加工することで、掃き取り部16を作製できる。
<液体窒素タンク及び液体窒素>
掃き取り部16やディスク部14は、図1に示すように貯留タンク12内に配置され、ブラインWsに浸される。ディスク部14の冷媒通路27には、液体窒素が通される。図1及び図3の矢印A1は、ディスク部14に流入する液体窒素の流れを示しており、矢印A2は、ディスク部14から流出する液体窒素の流れを示している。
液体窒素は、貯留タンク12の外側に設置された液体窒素タンク18から送出され、冷媒配管(図示略)を通って、ディスク部14の冷媒通路27(図3)に供給される。液体窒素タンク18は、液体窒素供給源の一例である。図1の例では、ディスク部14を通過した液体窒素は、ナノミキサ20に送られ、液体窒素の気泡(窒素バブル)を発生させるのに用いられる。ナノミキサ20の構成や機能については後述する。
液体窒素は、その冷熱によりディスク部14を冷却し、ディスク部14は、周辺を流れるブラインWsを冷却する。ディスク部14を液体窒素によって冷却することにより、条件が整えられ、ディスク部14の各板面14a、14b等に氷が析出する。析出した氷は、ディスク部14の周囲に微小な氷となって付着する。
付着した氷は、掃き取り部16により掃き取られ、ディスク部14から分離する。ディスク部14から分離した氷は、薄片状(剥片状、小塊状、或いは、粒状などともいう)のフレークアイスとなり、ブラインWsに混合される。フレークアイスの作製は継続して行われ、ブラインWs内における氷の割合は徐々に増加する。フレークアイスを継続してブラインWsに混合することにより、貯留タンク12内に氷スラリーが製造される。
<ナノミキサ>
ナノミキサ20は、ナノバブル供給部の一例である。図1の例では、ナノミキサ20は、ブラインWsに浸されている。ナノミキサ20には、ディスク部14を経た液体窒素が供給される。ナノミキサ20には、ディスク部14を冷却し、ディスク部を通過した液体窒素が送り込まれる。つまり、ナノミキサ20では、ディスク部14を冷却した液体窒素が再利用される。
ナノミキサ20は、静止型流体混合装置(前掲の特許文献2、3)と同様の構造を有している。ナノミキサ20は、流入した液体窒素を、後述するように複雑に流動させ、剪断やキャビテーション等の作用により、ナノメートルサイズの微小な窒素ガスの泡(窒素ナノバブル)を発生させる。
一般に気泡は、その大きさ(直径)により、センチバブル、ミリバブル、マイクロバブル、マイクロナノバブル、及び、ナノバブルに分類することができる。これらのうち、センチバブルやミリバブルは、日常(通常)においてよくみられる大きさの気泡である。ミリバブルは、センチバブルよりも小さく、微細気泡に分類される。
マイクロバブル、マイクロナノバブル、及び、ナノバブルの大きさは、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルの順で小さくなる。マイクロバブルの大きさは、例えば、数10~10μm(マイクロメートル)程度であり、マイクロナノバブルの大きさは、10μm以下~数100nm(ナノメートル)程度である。ナノバブルの大きさは、マイクロナノバブルよりも小さい。
マイクロバブルの大きさは細胞やコロイド粒子と同程度であり、マイクロナノバブルの大きさは、たんぱく質や高分子と同程度である。さらに、ナノバブルの大きさは、水のクラスター(水クラスター)や水の分子と同程度である。第1実施形態のナノミキサ20としては、ブラインWs中で窒素のマイクロバブル(窒素マイクロバブル)やナノバブル(窒素ナノバブル)を生成できるものであれば、種々のものを採用できる。
図5及び図6は、ナノミキサ20の一例を模式的に示している。図5及び図6の例では、回転運動や直線運動等を行う部分を有していない静止型の流体混合装置が、ナノミキサ20として採用されている。
このタイプのナノミキサ20においては、ハニカム構造を有する第1円板30及び第2円板32を軸方向に重ねて混合エレメント34が形成されている。相対的に小径な第2円板32は、大径な第1円板30の内側の凹みに収容されている。第1円板30及び第2円板32には、正六角形状の小室36、38が多数形成されている。図5では、図示が煩雑になるのを避けるため、第1円板30及び第2円板32における小室36、38や、第1円板30及び第2円板32の断面を示すハッチングの図示は省略されている。
第1円板30における小室36の配置と、第2円板32における小室38の配置は、第1円板30及び第2円板32における円の中心を基準とした場合に、互いに異なっている。第1円板30及び第2円板32を同心的に、且つ、軸方向に重ねると、小室36、38は、互いに中心をずらした状態で、空間的に繋がる。
混合エレメント34は、段付きな円筒状の分割ケース40内に、同軸的に、且つ、多段に並べられている。図5の例では、10個の混合エレメント34が使用されている。分割ケース40の中には、互いに逆向きに設置された2つの混合エレメント34を1組として、5組の混合エレメント34が設けられている。
混合エレメント34の内部において、多数の小室36、38が、軸方向に向かい合った小室36、38だけでなく、その他の小室36、38とも、空間的に繋がっている。多数の小室36、38を空間的に繋げる経路は、直線部分や、蛇行部分、及び、折曲部分等を有している。また、多数の小室36、38は、第1円板30及び第2円板32の軸方向や径方向にも繋がっている。
ナノミキサ20の軸方向における一端(図5の左側)には入口41が形成されており、他端(図5の右側)には出口42が形成されている。ナノミキサ20の入口41には、ディスク部14を通過した液体窒素が、矢印A3で示すように、連続して供給される。ナノミキサ20に供給された液体窒素は、図示は省略するが、最も手前(上流側)の混合エレメント34の内部において、複雑な経路を通過して、次段の混合エレメントに向かう。
軸方向に並んだ混合エレメント34と混合エレメント34と間にも隙間43が形成されており、上流側の混合エレメント34を通過した液体窒素は、混合エレメント34の径方向や軸方向に流れ、次段の混合エレメント34に流入する。
液体窒素は、混合エレメント34を通過する間に、側壁への衝突、流体同士の衝突、分散、合流、蛇行、渦流等の状態を、繰り返し組み合わせながら複雑に流動する。液体窒素が、混合エレメント34を通過する間に、渦流による流体力学的な剪断、各小室36、38の壁間をオリフィスとして通過する際の流体力学的な剪断、衝撃的破壊による粉砕、側壁の上端面を通過する際の剪断、機械的なキャビテーション等によって、流体の分散や混合が行われる。
液体窒素は、5組(10個)の混合エレメント34を通過する毎に、上述の分散や混合を繰り返しながら、ナノメートルサイズの微小な窒素ガスの泡(窒素ナノバブル)を発生させる。
図7(a)~(d)は、混合エレメント34において窒素マイクロバブルや窒素ナノバブルが生成される様子を模式的に示している。図7(a)~(d)では、液体窒素は、全体として、図の左側から右側に流れる。前述したように、液体窒素は、直角衝突、分散、合流、蛇行、渦流等の状態が組み合わさり、複雑に流動するが、全体としては、図の左側から右側に流れる。
図7(a)に示すように、1つの小室36内で発生した窒素バブル46は、図7(b)~(d)に示すように、小室36の側壁36aや、小室38の側壁38aを通過し、流体力学的な剪断を受けて分裂する。そして、このような窒素バブル46の分裂が繰り返されることで、窒素バブル46が徐々に小さくなり、窒素マイクロバブルや窒素ナノバブルが生成される。ナノミキサ20の中で発生した窒素ナノバブルは、ナノミキサ20の出口42から、図1に矢印A3で示すように、ブラインWsに放出される。
ナノミキサ20に液体窒素を連続して流すことにより、多くの窒素ナノバブルが発生し、窒素ナノバブルがブラインWs中に連続して供給される。また、窒素ナノバブルだけでなく、窒素ナノバブルの大きさにまでは分裂しなかった窒素マイクロバブルも、ブラインWs中に供給される。
ここで、ナノミキサ20として利用可能な混合装置としては、上述した静止型の他、機械式のものも存在する。また、公知の混合装置には、超高速回転方式のものや、加圧溶解法を利用したものなどもある。
機械式混合装置は、流体内で回転体を回転させて気泡を発生させる。超高速回転方式は、刃の高速回転により渦を発生させ、渦の崩壊により気泡を微細化する。超高速回転方式は、低濃度のマイクロバブルを生成し、マイクロバブルを連続的に生成することが可能である。加圧溶解法は、高圧下で気体を過飽和溶解し、圧力解放により高濃度のマイクロバブルを生成する。これらのタイプの混合装置により窒素ナノバブルを生成できれば、ナノミキサ20に、これらの方式を採用したものを用いることが可能である。
<窒素マイクロバブルや窒素ナノバブルの機能>
図8(a)~(d)は、氷スラリー中における窒素ナノバブルの機能を模式的に示している。図8(a)~(d)において、Oは酸素(酸素分子)を表しており、Nは窒素(窒素分子)を表している。さらに、Nの文字が付された丸の図形は、窒素マイクロバブルや窒素ナノバブルを示している。図6(b)~(d)では、窒素マイクロバブルに符号50が付され、窒素ナノバブルに符号52が付されている。
図8(a)においては、ブラインWs中に大気中の酸素が溶解し、ブラインWsが溶存酸素飽和状態となっている。図8(b)に示すように、ブラインWsに、窒素マイクロバブル50や窒素ナノバブル52が連続して供給されると、ブラインWsに窒素マイクロバブル50や窒素ナノバブル52が溶解し、混合される。これにより、ブラインWs中では、酸素が放散し(酸素放散化が起こり)、酸素が、相対的に粒形が大きい窒素マイクロバブル50に入り込む。
続いて、図8(c)に示すように、酸素を内包した窒素マイクロバブル50が、図8(d)に示すように、ブラインWs内で浮上する。ブラインWsの液面54に達した窒素マイクロバブル50は、破裂し、内包されていた酸素が、大気中に放出される。ブラインWsでは、酸素が窒素に置換され(窒素置換が行われ)、窒素が残留する。液体窒素の供給を連続して行うことにより、ブラインWs中の酸素が追い出される。ブラインWs中の溶存酸素量は減少し、窒素ナノバブルの密度(ナノバブル密度)が上昇する。この結果、窒素が溶解したブラインWsが製造される。
窒素マイクロバブル50は、窒素ナノバブル52に比べて、ブラインWs中において早く浮上する。このため、窒素マイクロバブル50は、窒素置換の効率を向上することに効果的である。また、窒素ナノバブル52は、ブラインWs中に、相対的に長時間滞在するため、低酸素状態を維持することに効果的である。
このように、ブラインWsに窒素マイクロバブル50や窒素ナノバブル52を供給することで、ブラインWsにおける酸素濃度が低下し、窒素濃度が上昇する。ブラインWsの溶存酸素量は、例えば、1.0~0.3mg/Lとされる。より好適には、溶存酸素量は、0.6~0.3mg/L、更に好適には0.4~0.3mg/Lとされる。
<氷スラリーの用途と利点>
前述したように、ブラインWsは、被冷蔵物となる鮮魚に対して等張となるよう調整されたものである。ブラインWsにはディスク部14が浸され、ディスク部14には液体窒素が通されている。ディスク部14は液体窒素により冷却され、ディスク部14には、氷が付着する。ディスク部14に付着した氷は、掃き取り部16により掃き取られ、ディスク部14から分離する。分離した氷(フレークアイス)は、ブラインWsに混合され、氷スラリーが製造される。
ブラインWsには、窒素マイクロバブルや窒素ナノバブルが供給されている。ブラインWsに混合されたフレークアイスには、各種の窒素バブルのうち、少なくとも窒素ナノバブルが分散している。フレークアイスは、溶存酸素量が下げられたブラインWsを凍らせて製造されたものである。したがって、貯留タンク12から氷スラリーを取り出し、鮮魚の冷蔵用の容器(冷蔵用容器、図示略)に氷スラリーを移し、冷蔵用容器に鮮魚を入れることにより、鮮魚は、溶存酸素量が小さい氷スラリーにより冷蔵されることとなる。冷蔵用容器に入れられる被冷蔵物は、生きたままの魚や貝類であってもよい。
魚等の鮮度は、主に血液や油脂分の酸化と腐敗(好気性細菌の増殖)により左右される。酸化や腐敗は、変色、異臭(酸化臭・腐敗臭)の発生、変質(硬化・軟化)、食味・食感の悪化などの要因となる。酸化や腐敗は、好気性細菌の増殖により発生する。そして、酸化や腐敗の大きな原因となるのは、酸素である。
第1実施形態の氷スラリーを用いることにより、溶存酸素量の少ない環境で、鮮魚を冷蔵することができる。このため、溶存酸素量を低下させていない従来の氷スラリーにより魚を冷蔵した場合に比べ、魚の酸化や、好気性細菌の増殖を抑制できる。そして、あたかも酸素のない(少ない)海水の中で魚を冷蔵しているような環境を提供できる。このような氷スラリーは、「窒素ナノバブル含有等張氷スラリー」又は「酸欠等張氷スラリー」などと称することが可能なものである。
また、氷スラリーの製造にあたって、ディスク部14が液体窒素により冷却されている。このため、ディスク部14を容易に温度低下させることができる。さらに、フレークアイスや氷スラリーの製造を、効率よく行うことができる。
ナノミキサ20は、ディスク部14を経た液体窒素を再利用して、食塩水に、窒素ナノバブル等を含ませている。液体窒素は、ディスク部14の冷却と、窒素ナバブルの生成の両方に兼用されている。したがって、液体窒素を有効に、且つ、効率よく活用できる。
<氷スラリーを用いた冷蔵システム>
被冷蔵物の冷蔵にあたり、氷スラリーを収容する冷蔵用容器は、被冷蔵物の輸送や保存に使用される。冷蔵用容器は、断熱構造のものや、断熱材を周囲に配置したものなどとする。冷蔵用容器における氷スラリーの温度は、被冷蔵物(ここでは鮮魚)を、傷付けずに保存できる状態を保てるように決定される。
例えば、氷スラリーの温度は、-1℃程度を保てるように管理される。氷スラリーの温度の管理は、冷蔵容器を、氷スラリーの温度を保てるような環境で使用することにより行うことが可能である。また、氷スラリーの温度が上がり、溶けてしまった場合には、新たな氷スラリーと入れ替えることで、被冷蔵物の周辺温度を維持することが可能である。このように被冷蔵物を、-1℃程度の氷スラリーで冷蔵することで、被冷蔵物を高品質に保ったまま、被冷蔵物の輸送や保存を行うことが可能となる。
鮮魚の周りの環境の温度を、魚体が凍結しない程度のマイナスの(負の)温度帯とすることで、魚体を、長期間に亘り高鮮度で維持することが可能となる。また、氷スラリーの温度は、全体に亘り均一に保たれ易いため、冷蔵用容器内に温度ムラが生じ難い。このため、鮮魚も、温度ムラなく冷蔵される。さらに、第1実施形態では、氷スラリーが魚体と同浸透圧であるため、水分が魚体に入り込み難い。このため、魚体に水膨れが生じ難い。また、-1℃程度の氷スラリーは、雪状の柔らかい氷スラリーである。このため、魚体が傷付きにくい。
第1実施形態の氷スラリーや氷は、以下の(a)~(c)の条件を満たす。
(a)融解完了時の温度が0℃未満である
(b)融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内である
(c)温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃である
このような条件を満たす氷スラリーや氷が、魚等の動植物や、人間(ヒト)の移植用の臓器などの冷蔵に適していることは、出願人が承継した特願2016-150299号(特開2018-17490号公報、前掲の特許文献1)に開示されている。以下に、特許文献1の記載を援用する。なお、援用した記載における「発明者」は、特許文献1に開示された発明の発明者を指している。また、援用した記載における各種の技術事項は、特に支障が生じない限りは、「本発明」を、例えば「第1実施形態」と読み替えることで、第1実施形態に適用できる。
[0227]
本発明における氷は上記の(c)の条件を満たしているので、動植物又はその部分は凍結せず、低温な状態を維持する能力に優れている。また、上記(a)及び(b)の条件を満たしているので、低温な状態を維持する能力がより一層優れている。この点について、
以下に説明する。
[0228]
水に溶質を融解した場合、その水溶液の凝固点が低下するという凝固点降下が生じることが知られている。凝固点降下の作用により、従来の食塩等の溶質が融解した水溶液は、凝固点降下により凝固点が低下している。つまり、そのような水溶液からなる氷は、真水からなる氷より低い温度で凝固した氷である。ここで、氷が水に変化するときに必要な熱を「潜熱」というが、この潜熱は温度変化を伴わない。このような潜熱の効果により、凝固点が低下した氷は、融解時に真水の凝固点以下の温度で安定な状態が続くため、冷熱エネルギーを蓄えたような状態が持続することになる。よって、本来であれば、被冷却物の冷蔵能が真水からなる氷より高くなるはずである。しかし、例えば、外部より冷却することで製造されたような従来の氷では、冷却の際に自身の温度が経時的に早く上がる等、実際は被冷蔵物を冷蔵する能力が十分なものではないことを本発明者らは発見した。その理由を本発明者らは検討したところ、従来の方法では、食塩等の溶質を含有する水溶液から氷を製造したとしても、実際は、水溶液が凍る前に溶質を含まない氷が先に製造されてしまい、結果として製造されるのは溶質を含まない氷と溶質との混合物となってしまうか、あるいは、凝固点の低下した氷はほんの僅かしか生成されないため、冷蔵能の高い氷が製造されていなかったことがわかった。
[0229]
これに対し、本発明者らは、所定の方法により(詳細は後述する)、凝固点が低下した水溶液の氷を製造することに成功した。このような本発明の氷は、上述の(a)~(c)の条件を満たすものであるため、動植物又はその部分を凍結させずに冷蔵する能力に優れている。
[0230]
以下、本発明の製造方法において用いられる上記の(a)~(c)の条件を満たす、溶質を含有する水溶液の氷について、詳細に説明する。
[0231]
(融解完了時の温度)
上記(a)に関して、本発明の氷は、溶質を含む水溶液であるため、真水(溶質を含まない水)の凝固点より凝固点の温度が低下している。そのため、融解完了時の温度が0℃未満であるという特徴を有する。「融解完了時の温度」とは、本発明の氷を融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことで氷の融解を開始させ、全ての氷が融解して水になった時点におけるその水の温度のことを指す。
[0232]
融解完了時の温度は0℃未満であれば特に限定されず、溶質の種類、濃度を調整することで適宜変更することができる。融解完了時の温度は、より冷蔵能が高いという点で、温度が低い方が好ましく、具体的には、-1℃以下(-2℃以下、-3℃以下、-4℃以下、-5℃以下、-6℃以下、-7℃以下、-8℃以下、-9℃以下、-10℃以下、-11℃以下、-12℃以下、-13℃以下、-14℃以下、-15℃以下、-16℃以下、-17℃以下、-18℃以下、-19℃以下、-20℃以下等)であることが好ましい。他方、凝固点を、被冷却物の凍結点に近づけた方が好ましい場合もあり(例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等)、このような場合は、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、-21℃以上(-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上等)であることが好ましい。
[0233]
(溶質濃度の変化率)
上記(b)に関して、本発明の氷は、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある。)が30%以内であるという特徴を有する。特許文献1に記載されたような方法においても、わずかに凝固点の低下した氷が生じる場合もあるが、そのほとんどは溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物であるため、冷蔵能が十分なものでない。このように溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物が多く含まれる場合、氷を融解条件下においた場合、融解に伴う溶質の溶出速度が不安定であり、融解開始時に近い時点である程、溶質が多く溶出し、融解が進むとともに溶質の溶出する量が少なくなり、融解が完了時に近い時点程、溶質の溶出量が少なくなる。これに対し、本発明の氷は、溶質を含む水溶液の氷からなるものであるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率が30%である。なお、「融解過程で氷から発生する水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意の時点での発生する水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液中の溶質の質量の濃度を意味する。
[0234]
本発明の氷における溶質濃度の変化率は30%以内であれば特に限定されないが、その変化率が少ない方が、凝固点の低下した水溶液の氷の純度が高いこと、つまり、冷蔵能が高いことを意味する。この観点から、溶質濃度の変化率は、25%以内(24%以内、23%以内、22%以内、21%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内等)であることが好ましい。他方、溶質濃度の変化率は、0.1%以上(0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上等)であってもよい。
[0235]
(温度)
上記の(c)に関して、本発明における氷は、温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃であることを特徴とする。かかる範囲を満たせば、氷の温度は限定されないが、凍結点の温度に近い程、低温に維持する効果が高い。このことから、本発明における氷は、凍結点+0.4℃以下であることが好ましく、凍結点+0.3℃以下であることがより好ましく、凍結点+0.2℃以下であることがさらに好ましく、凍結点+0.1℃以下であることがより一層好ましく、凍結点+0.05℃以下であることが特に好ましい。他方、氷の温度が高いほど、動植物又はその部分の凍結を防止する効果に優れる。このことから、氷の温度は、凍結点+0.01℃以上であることがより好ましく、凍結点+0.05℃以上であることがさらに好ましく、凍結点+0.1℃以上であることがより一層好ましく、凍結点+0.2℃以上であることがさらに一層好ましく、凍結点+0.3℃以上であることがなお好ましく、凍結点+0.4℃以上であることが特に好ましい。なお、動植物又はその部分の凍結点は、「動植物又はその部分」の全体の凍結点であってもよく、「動植物又はその部分」の少なくとも一部の凍結点であってもよい。
[0236]
(溶質)
本発明の氷に含まれる溶質の種類は、水を溶媒としたときの溶質であれば特に限定されず、所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。溶質としては、固体状の溶質、液状の溶質等が挙げられるが、代表的な溶質としては、塩類(無機塩、有機塩等)が挙げられる。特に、塩類のうち、食塩(NaCl)は、凝固点の温度を過度に下げすぎず、生鮮動植物又はその一部の冷却に適してことから好ましい。また、食塩は海水に含まれるものであるため、調達が容易であるという点でも好ましい。また、液状の溶質としては、エチレングリコール等が挙げられる。なお、溶質は1種単独で含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
[0237]
本発明の氷に含まれる溶質の濃度は特に限定されず、溶質の種類、冷蔵対象物等を考慮した上での所望の凝固点、使用する氷の用途等に応じて、適宜選択することができる。例えば、溶質として食塩を用いた場合は、水溶液の凝固点をより下げて、高い冷蔵能を得ることができるが、適宜その濃度を変更してもよく、例えば、食塩の濃度は0.5%(w/v)以上(1%(w/v)以上、2%(w/v)以上、3%(w/v)以上、4%(w/v)以上、5%(w/v)以上、6%(w/v)以上、7%(w/v)以上、8%(w/v)以上、9%(w/v)以上、10%(w/v)以上、11%(w/v)以上、12%(w/v)以上、13%(w/v)以上、14%(w/v)以上、15%(w/v)以上、16%(w/v)以上、17%(w/v)以上、18%(w/v)以上、19%(w/v)以上、20%(w/v)以上等)であってもよく、23%(w/v)以下(20%(w/v)以下、19%(w/v)以下、18%(w/v)以下、17%(w/v)以下、16%(w/v)以下、15%(w/v)以下、14%(w/v)以下、13%(w/v)以下、12%(w/v)以下、11%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下等)であってもよい。
[0238]
冷蔵対象である動植物又はその部分とそれを冷蔵する氷が融解した水溶液との間で浸透圧が生じると、動植物又はその部分の内部の成分がブリーディングして外に流出したり、あるいは、氷に含まれる溶質が動植物又はその部分に流入したりする現象を生じる。これを抑制するためには、上記の氷を構成する水溶液の溶質の濃度を動植物又はその部分と等張となるように調整することが好ましいが、本発明のような上記(a)及び(b)の条件を満たさない水溶液の氷では、実際に氷を冷蔵対象物に接触させても、冷蔵対象である動植物又はその部分とそれを冷蔵する氷が融解した水溶液との間で浸透圧が生じやすく、持続的な等張を実現しにくい。その理由は、本発明のような上記(a)及び(b)の条件を満たさない水溶液の氷とは、要するに、純粋な水溶液自身の氷でなく、実際は真水からなる氷と溶質との混合物がそのほとんどを占めるものであることに起因していると考えられる。このような混合物の場合、融解開始時の溶質の溶出濃度が高くなる傾向にあり、溶出濃度の変化率が大きいため、上記(b)の条件を満たさないようなものであり、水溶液を凍らせるときにおいては濃度が等張となるように調整しても、冷蔵に使用して氷が融解する際には持続的な等張を実現することができない。これに対し、本発明における水溶液の氷は、水溶液自身の氷であるために上記(b)の条件を満たすものであり、融解過程において溶質の溶出濃度の変化が少ないため、持続的な等張を実現できる。
[0239]
他方、上述の等張は、溶質の濃度の調整が実現するための一要因であるが、溶質の濃度を調整することで氷の融点が変化する。そうすると、上記(c)の条件を満たすようにするために(つまり、温度が動植物又はその部分の凍結点~凍結点+0.5℃と丁度できるようにするために)溶質の濃度を調整した場合、動植物又はその部分との等張を実現できるための濃度に調整することは困難である。しかしながら、本発明の氷は、その製造時において残存する製氷熱(詳細は後述する)を調整することで、凝固点、融点を調整することができるため、上記(c)の条件を満たし、かつ、上記の等張をより確実に実現することができる。
[0240]
本発明における氷は、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水、の氷であることが好ましい。海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、海水魚等を海で捕獲してその場で被冷蔵物を製造する際には、その場で調達が容易できる。また、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、動植物又はその部分を食用として利用したり、移植等のための臓器として使用する場合には、安全性が高い点で有用である。さらに、海水、海水に塩を追加した水、又は海水の希釈水は、コストの削減も可能となる。
[0241]
冷蔵対象である動植物又はその部分は、特に限定されないが、生鮮動植物又はその部分の冷蔵に好適である。生鮮動植物としては、例えば、海水魚等の生鮮魚、生鮮野菜等が挙げられる。生鮮動植物の部分としては、動物(ヒト等)の臓器が挙げられる。これらのうち、特に、本発明における動植物は、生鮮魚、生鮮野菜等特の食用のものであることが好ましい。また、冷蔵対象を海水魚とした場合、水溶液のNaCl濃度を0%超2%未満とすることが好ましい。これにより、冷蔵対象を海水魚とした場合において本発明における氷が上記(c)の条件を満たしかつ海水魚との等張を実現することができる。さらに、水溶液のNaCl濃度を0%超2%未満であると融解完了温度を-1℃以下にすることができるため、海水魚において微生物の繁殖を抑制できる点でも、有用である。また、冷蔵対象の動植物の部分としては、動物の臓器(例えば、移植用の臓器)が好適である。臓器は、例えば同じ人間由来で同じ等張濃度であっても、凍結点が異なる場合があるが、上述のとおり、本発明によると、氷が上記(c)の条件を満たしかつ等張を実現することができる点で有用である。
[0242]
冷蔵の方法は、特に限定されず、氷を直接冷蔵対象に接触させて冷蔵してもよく、間接的に(例えば、氷を容器等に収納させ、該容器を冷蔵対象物に接触させて)冷蔵してもよい。氷を直接冷蔵対象物に接触させる方法は、乾燥も防げるという点でメリットもあるので好ましい。また、氷を冷蔵対象に直接接触させる場合、その氷が上記の(b)の条件を満たさないような氷であると、等張を実現できないため、直接接触することで冷蔵対象へ悪影響(ブリーディング、溶質成分の冷蔵対象への流入等)が生じるが、本発明における氷は上記の(b)の条件を満たすものであるため、持続的な等張を実現することで冷蔵対象への悪影響を抑制しつつ、直接接触によるメリットも享受できる。
[0243]
本発明の製造方法により製造された氷は冷蔵能に優れるため、被冷蔵物の製造に適している。このような被冷蔵物の製造に使用できるものとしては、氷以外に、エタノール等の不凍液として使用される有機溶媒が挙げられるが、これらの不凍液より氷の方が熱伝導率が高く、比熱が高い。そのため、本発明における氷のような溶質を溶解させて凝固点が低くなった氷は、不凍液のような他の0℃未満の冷媒より、冷蔵能が優れている点においても有用である。
[0244]
本発明の製造方法において、上記の氷以外の成分を冷蔵に用いてもよく、例えば、上記の氷以外に水を用いることで、氷と水との混合物により冷蔵してもよい。例えば、氷に含まれる溶質と同一の溶質を含有する水をさらに冷蔵に用いる場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度は近い方が好ましい。その理由は、以下のとおりである。
[0245]
氷の溶質濃度が水の溶質濃度より高い場合、氷の温度が水の飽和凍結点より低いため、溶質濃度が低い水を混合した直後に水分が凍結する。一方、氷の溶質濃度が水の溶質濃度より低い場合、氷の飽和凍結点よりも水の飽和凍結点のほうが低いため氷が融解し、氷と水との混合物からなる冷媒の温度が低下する。つまり、氷と水との混合物の状態(氷スラリーの状態)を変動させないようにするためには、上述のとおり、混合する氷と水の溶質濃度を同程度とすることが好ましい。また、氷と水との混合物の状態で冷蔵する場合、水は、上記氷が融解してなるものであってもよく、別途調製したものであってもよいが、上記氷が融解してなるものであることが好ましい。
[0246]
具体的には、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が、75:25~20:80であることがより好ましく、70:30~30:70であることがさらに好ましく、60:40~40:60であることがより一層好ましく、55:45~45:55であることがさらに一層好ましく、52:48~48:52であることが特に好ましく、50:50であることが最も好ましい。特に、溶質として食塩を用いる場合、氷における溶質の濃度と、水における溶質の濃度との比が上記範囲内にあることが好ましい。
第1実施形態の氷スラリーは、上述のような公知技術を利用したうえで、窒素ナノバブルを含んでいることから、溶存酸素量が少なく、一層優れた冷蔵の特性を発揮する。さらに、第1実施形態に係る氷スラリーの製造の際には、フレークアイスの製作に用いられた液体窒素が、窒素ナノバブルの生成に再利用される。したがって、液体窒素が有効に活用され、安価に、低酸素な氷スラリーを製造できる。
<第1実施形態に係る実施例>
図9(a)~(c)は、本実施形態の氷スラリー製造システム10や氷スラリー製造装置11を用いて製造された氷スラリーの使用結果を示している。本実施例では、氷スラリーを用いて鮮魚(ここではサンマ)を冷蔵し、4日間に亘り保存した。図9(a)~(c)は、保存後のサンマの写真をグレースケールで示している。
図9(a)や(b)に示すように、魚体56の色や目58などに、保存による劣化はみられなかった。臭いについても、4日前と同じであり、変化はなった。また、血液60についても、通常の冷蔵であれば、1日経過すると茶色に変化し、鮮魚の時と異なる臭いが感じられるが、本実施形態の氷スラリーを用いることにより、4日経っても、依然として外観上は鮮血と変わらず、臭いの変化も感じられなかった。このように、絶大な劣化防止効果が観察された。
図10は、このような実験結果を示した図表である。通常の氷を用いてサンマの保存を行った場合に対して、第1実施形態の氷スラリーを用いた場合には、サンマの魚体、目、血液、及び、臭いのいずれについても良好な結果が得られた。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態で製造した氷スラリーは、特許文献1で開示された氷や氷スラリーと同様に、鮮魚だけでなく、その他の被冷蔵物にも適用が可能である。第2実施形態においては、氷スラリーが、人間(ヒト)の臓器の輸送に用いられる。
図11は、人間(ヒト)の臓器の輸送や保存のために使用される冷蔵用容器80を模式的に示している。図11の例では、冷蔵用容器80は、直方体状の容器本体82を有している。容器本体82の上部は開口しており、図示を省略した蓋によって閉じることができる。容器本体82と蓋のとの間にはシール構造(図示略)が形成されており、シール構造によって、外気の進入や、内部の冷気の漏れが防止される。蓋としては、ヒンジ部(図示略)を介して回動するものや、容器本体82から分離できるものなどを例示できる。
容器本体82の壁84には中空構造が採用されており、壁84の内部には、容器用氷スラリー(図示略)が満たされている。図10に符号88で示すのは、容器用氷スラリー管である。容器用氷スラリー管88は、容器本体82の内部空間に容器用氷スラリーを注入したり、容器本体82の中の容器用氷スラリーを外に排出したりするのに用いられる。容器用氷スラリー管88は、容器用氷スラリーの注入の際に、壁84の中の空気を排出したり、容器用氷スラリーが融解した水溶液を排出したりすることなどにも用いられる。
容器用氷スラリーの温度は、-2℃~-3℃程度である。容器用氷スラリーとしては、例えば、硝酸カリウム(KNO)の9.7%水溶液から製造され、共晶点が-2.8℃のもの、炭酸ナトリウム(NaCO)の5.9%水溶液から製造され、共晶点が-2.1℃のもの、又は、エタノールの5%水溶液から製造され、凝固点が-2.1℃のもの、などを例示できる。
容器本体82の内側の凹部には、二点鎖線で示すように冷蔵用氷スラリー90が貯留されている。冷蔵用氷スラリー90は、第1実施形態の氷スラリーと同様に、被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張になるよう、塩分濃度が調整された塩水のブラインから製造されている。さらに、冷蔵用氷スラリー90には、第1実施形態と同様に窒素ナノバブルが含まれており、溶存酸素量は1.0~0.3mg/Lである。より好適には、冷蔵用氷スラリー90の溶存酸素量は、0.6~0.3mg/L、更に好適には0.4~0.3mg/Lである。
冷蔵用氷スラリー90の温度は、-1℃程度である。冷蔵用氷スラリー90により冷蔵される被冷蔵物は、人間(ヒト)の移植用臓器(例えば肝臓、楕円により模式的に示す)92である。第1実施形態でも説明したように、-1℃程度の温度帯は、移植用臓器92を凍結させず、長期間に亘って鮮度を保つことを可能とする。さらに、冷蔵用氷スラリー90は、溶存酸素量が低く抑えられているので、より長期間に亘り移植用臓器92の鮮度を保つことが可能である。
現在、肝臓などの移植用臓器92は、提供者が死亡してから12時間以内に輸送する必要がある。また、移植用臓器92が酸素に触れてしまうのは好ましくない。したがって、第1実施形態と同様の氷スラリーを冷蔵用氷スラリー90として使用し、冷蔵用容器80により移植用臓器の輸送や保存を行うことは、臓器移植を成功させるためにも有効である。
以上、本発明に係る各実施形態を説明した。各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 :氷スラリー製造システム
11 :氷スラリー製造装置
12 :貯留タンク
14 :ディスク部
16 :掃き取り部
18 :液体窒素タンク
20 :ナノミキサ
22 :モータ
24 :回転シャフト
Ws :ブライン

Claims (7)

  1. 被冷蔵物の冷蔵に用いられる氷スラリーであって、
    前記被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張であって窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含んだ食塩水と、前記食塩水が凍結したフレークアイスとの混合物であり、
    溶存酸素が1.0mg/L以下であることを特徴とする氷スラリー。
  2. 温度が-1℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の氷スラリー。
  3. 被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水を貯える氷スラリー製造槽と、
    前記食塩水が凍結したフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する氷製作部と、
    前記氷製作部に液体窒素を供給する液体窒素供給源と、
    前記氷製作部を経た前記液体窒素を用いて前記食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含ませるナノバブル供給部と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造システム。
  4. 被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張であり窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含んだ食塩水を凍結させてフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する氷製作部を備えたことを特徴とする氷スラリー製造装置。
  5. 前記氷製作部は、液体窒素の冷熱を利用して前記食塩水を冷却し、
    前記氷製作部を経た前記液体窒素を用いて前記食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを含ませるナノバブル供給部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の氷スラリー製造装置。
  6. 被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを供給する第1工程と、
    前記食塩水に前記食塩水が凍結したフレークアイスを混合し、溶存酸素が1.0mg/L以下である氷スラリーを製造する第2工程と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造方法。
  7. 氷製作部に液体窒素を供給して前記氷製作部を冷却する第1工程と、
    前記氷製作部により、被冷蔵物と等張もしくはほぼ等張の食塩水を凍結させたフレークアイスを製作し、前記フレークアイスを前記食塩水に混合する第2工程と、
    前記氷製作部を経た前記液体窒素を用いて前記食塩水に、窒素マイクロバブル及び窒素ナノバブルのうち少なくとも窒素ナノバブルを供給する第3工程と、を備えたことを特徴とする氷スラリー製造方法。

JP2021174973A 2021-10-26 2021-10-26 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法 Pending JP2023064608A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021174973A JP2023064608A (ja) 2021-10-26 2021-10-26 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法
PCT/JP2022/040013 WO2023074763A1 (ja) 2021-10-26 2022-10-26 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法
KR1020247013906A KR20240060858A (ko) 2021-10-26 2022-10-26 얼음 슬러리, 얼음 슬러리 제조 시스템, 얼음 슬러리 제조 장치, 및 얼음 슬러리 제조 방법
EP22887088.7A EP4424159A1 (en) 2021-10-26 2022-10-26 Ice slurry, ice slurry production system, ice slurry production device, and ice slurry production method
CN202280071837.8A CN118176398A (zh) 2021-10-26 2022-10-26 冰浆、冰浆制造系统、冰浆制造装置以及冰浆制造方法
CL2024001257A CL2024001257A1 (es) 2021-10-26 2024-04-23 Suspensión de hielo, sistema de producción de una suspensión de hielo, dispositivo de producción de una suspensión de hielo y método de producción de una suspensión de hielo

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021174973A JP2023064608A (ja) 2021-10-26 2021-10-26 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023064608A true JP2023064608A (ja) 2023-05-11

Family

ID=86158058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021174973A Pending JP2023064608A (ja) 2021-10-26 2021-10-26 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP4424159A1 (ja)
JP (1) JP2023064608A (ja)
KR (1) KR20240060858A (ja)
CN (1) CN118176398A (ja)
CL (1) CL2024001257A1 (ja)
WO (1) WO2023074763A1 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5125031A (ja) 1974-08-26 1976-03-01 Tokyo Shibaura Electric Co
JP3706873B2 (ja) 1996-01-23 2005-10-19 最上 賢一 静止型流体混合装置
JP6473928B2 (ja) 2015-02-17 2019-02-27 ニッカ株式会社 粉粒体散布装置
JP3204991U (ja) * 2016-04-13 2016-06-30 株式会社松井製作所 合成樹脂成形用水循環装置
JP2018017490A (ja) 2016-07-29 2018-02-01 ブランテック株式会社 フレークアイス製造装置、氷、冷媒、氷の製造方法、被冷却物の製造方法、動植物又はその部分の被冷蔵物の製造方法、動植物又はその部分の冷蔵剤、被冷凍生鮮動植物又はその部分の製造方法、被解凍物又はその加工物、及び生鮮動植物又はその部分の凍結剤
JP7093946B2 (ja) * 2018-07-25 2022-07-01 株式会社日本トリム 鮮度保持装置及び鮮度保持方法
JP2020085425A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 ブランテック株式会社 冷却システム

Also Published As

Publication number Publication date
CN118176398A (zh) 2024-06-11
WO2023074763A1 (ja) 2023-05-04
KR20240060858A (ko) 2024-05-08
EP4424159A1 (en) 2024-09-04
CL2024001257A1 (es) 2024-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4769963B2 (ja) 魚介類の保存方法
JP4079968B2 (ja) 窒素ガス封入氷、窒素ガス封入氷製造装置、窒素ガス封入氷製造方法、鮮魚保存装置及び鮮魚保存方法
TWI715675B (zh) 冰、冷媒、被冷卻物之製造方法、動植物或其部分之被冷藏物之製造方法、動植物或其部分之冷藏劑、及生鮮動植物或其部分之凍結劑
JP2013533908A (ja) 超小型の氷、その使用、および製造装置
JP2018017490A (ja) フレークアイス製造装置、氷、冷媒、氷の製造方法、被冷却物の製造方法、動植物又はその部分の被冷蔵物の製造方法、動植物又はその部分の冷蔵剤、被冷凍生鮮動植物又はその部分の製造方法、被解凍物又はその加工物、及び生鮮動植物又はその部分の凍結剤
WO2023074763A1 (ja) 氷スラリー、氷スラリー製造システム、氷スラリー製造装置、及び、氷スラリー製造方法
CA3004245C (en) Ice, refrigerant, ice production method, method for producing cooled article, method for producing refrigerated article of plant/animal or portion thereof, refrigerating material for plant/animal or portion thereof, method for producing frozen fresh plant/animal or portion thereof, defrosted article or processed article thereof, and freezing material for ...
WO2018212335A1 (ja) 状態変化制御装置及び状態変化制御方法
JP2002115945A (ja) 生鮮食品の鮮度保持方法とそれに使用する塩含有氷の製造方法と生鮮食品の鮮度保持システム
JP2007282550A (ja) 加工水、加工水製造装置、加工漬け方法
WO2010076886A1 (ja) 多機能性有機物低温加工処理装置
CN105860935A (zh) 一种有抑菌作用的低温相变纳米储冷材料的制备工艺
JP2004159522A (ja) 活物・生鮮物保存用氷
CN105838330A (zh) 一种结晶焓值高的低温相变纳米储冷材料的制备工艺
WO2023214574A1 (ja) 無酸素海水シャーベット氷の製造方法、その製造システム及び製造装置
JP2008118916A (ja) 乳製品の処理方法
JP2017138066A (ja) 鮮度保持気体貯蔵氷、鮮度保持気体貯蔵氷の生成方法、鮮度保持気体貯蔵氷の生成装置および鮮度保持気体貯蔵氷の利用方法
JP3123268U (ja) 窒素ガス封入氷、窒素ガス封入氷製造装置
JP2004514457A (ja) 塩漬け肉製品を冷凍する方法
JP6482691B1 (ja) 塩分が含有された微細氷の製造装置
KR20170099108A (ko) 해수 제빙기
JP3128073U (ja) 加工水製造装置
Hung et al. CHANGE OF TEMPERATURE AND DISSOLVED OXYGEN
JP2022028740A (ja) 輸送方法及び保冷方法
JP2006177635A (ja) フレーク状氷の製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20240612

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20240920

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20241010