JP2008118916A - 乳製品の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エマルションを含有する生クリーム等の液状乳製品の処理方法であって、品質を損なうことなく液状乳製品を凍結、保存および解凍処理でき、惹いては、原料乳と乳製品の季節による需給バランスなどに拘わりなく、市場に乳製品を安定供給し得る乳製品の処理方法を提供する。
【解決手段】乳製品の処理方法は、エマルションを含有する液状乳製品を液化ガス等と共に噴霧することにより、凍結した粉体状乳製品を製造し、これを−40〜−24℃で保存する。そして、原料乳の生産量などを考慮して必要に応じて解凍する。その際、加温された液状乳製品またはその液状食品原料に粉体状乳製品を混合する。混合においては、液状乳製品またはその液状食品原料と粉体状乳製品との混合比率を重量比で5〜95:95〜5とし、混合する際の液状乳製品またはその液状食品原料の最初の温度を40〜80℃に設定し、混合中における混合物の温度を40〜80℃に維持する。
【選択図】なし
【解決手段】乳製品の処理方法は、エマルションを含有する液状乳製品を液化ガス等と共に噴霧することにより、凍結した粉体状乳製品を製造し、これを−40〜−24℃で保存する。そして、原料乳の生産量などを考慮して必要に応じて解凍する。その際、加温された液状乳製品またはその液状食品原料に粉体状乳製品を混合する。混合においては、液状乳製品またはその液状食品原料と粉体状乳製品との混合比率を重量比で5〜95:95〜5とし、混合する際の液状乳製品またはその液状食品原料の最初の温度を40〜80℃に設定し、混合中における混合物の温度を40〜80℃に維持する。
【選択図】なし
Description
本発明は、乳製品の処理方法に関し、詳しくは、エマルションを含有する生クリーム等の液状乳製品を凍結保存し、原料乳と乳製品の季節による需給バランスの変動などに応じて解凍処理する乳製品の処理方法に関する。
エマルションを含有する液状乳製品は、主に、原料乳を分離して得られた乳脂肪、無脂乳固形分および水分から成る生クリーム、生クリーム等乳由来の油脂、植物油脂、脂肪以外の乳成分、各種食品用乳化剤、各種食品用安定剤、各種食品用甘味料等を配合したコンパウンドクリーム、植物油脂、脂肪以外の乳成分、各種食品用乳化剤、各種食品用安定剤、各種食品用甘味料等を配合した植物性クリーム等がある。斯かる液状乳製品は、生産調整などを目的としてホイップドクリームの形態で冷凍保存されることがあり、凍結を前提にした乳製品としては、例えば、凍結、解凍時のホイップ状態を維持するため、安定剤として、特定のエステル化度のペクチン等の多糖類を添加しものが提案されている。
特開2003−180280号公報
ところで、上記のエマルションを含有する液状乳製品を高品質のまま凍結保存し解凍し得るならば、原料乳と乳製品の季節による需給バランスの変動などに拘わりなく、市場に乳製品を安定供給することが出来る。しかしながら、通常、凍結保存された乳製品は、安定剤を添加するにせよ、実際、凍結時や保存中に乳化膜破壊を起こし易く、また、解凍処理も冷蔵温度または常温で長時間かけて処理されるために乳化膜破壊を起こし易く、何れにしても風味や食感が損なわれる傾向にある。しかも、長時間の解凍処理が生産性を低下させる要因となる。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エマルションを含有する生クリーム等の乳製品の処理方法であって、品質を損なうことなく前記の液状乳製品を凍結、保存および解凍処理でき、惹いては、原料乳と乳製品の季節による需給バランスの変動などに拘わりなく、液状乳製品やこれから得られる乳製品を市場に安定供給し得る乳製品の処理方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明では、原料乳の生産量の多い時期に製造されたエマルションを含有する液状乳製品を粉体状に急速凍結させて特定の冷凍温度で保存し、その後、原料乳の生産量の変動、液状乳製品の需要量などを考慮し、必要に応じて解凍する。その際、新たに製造された未凍結の液状乳製品またはその液状食品原料を準備し且つこれを特定の温度に加温すると共に、先に凍結保存した粉体状乳製品を前記の液状乳製品またはその液状食品原料に特定の割合で混合し、所定量の液状乳製品を得る様にした。これにより、凍結、保存および解凍時における乳化膜破壊を防止でき、原料乳の生産量の少ない時期に高品質の液状乳製品を必要量確保でき、市場に対して高品質の乳製品を需給バランスに拘らず安定供給することが出来る。
すなわち、本発明の要旨は、エマルションを含有する液状乳製品を寒剤と共に噴霧することにより、凍結した粉体状乳製品を製造し、当該粉体状乳製品を−40〜−24℃で保存した後、加温された液状乳製品またはその液状食品原料に前記の粉体状乳製品を混合して当該粉体状乳製品を解凍する乳製品の処理方法であって、得られる混合物における前記の液状乳製品またはその液状食品原料と前記の粉体状乳製品との混合比率を重量比で5〜95:95〜5とし、しかも、混合する際の前記の液状乳製品またはその液状食品原料の温度を40〜80℃に設定し、更には、混合中における前記の混合物の温度を40〜80℃に維持することを特徴とする乳製品の処理方法に存する。
本発明に係る乳製品の処理方法によれば、粉体状に急速凍結させた液状乳製品を特定の温度で保存し、これを解凍する際、特定の温度に加温された未凍結の液状乳製品またはその液状食品原料に特定の割合で混合して急速解凍するため、当初の品質を損なうことなく、必要量の液状乳製品を得ることが出来る。従って、原料乳の生産量の多い時期に製造された液状乳製品を凍結保存することにより、原料乳と乳製品の季節による需給バランスなどに拘わりなく、高品質の液状乳製品またはこれから得られる乳製品を市場に安定供給できる。
本発明に係る乳製品の処理方法の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る乳製品の処理方法に使用される解凍処理装置の一例を示す断面図である。図2は、本発明に係る乳製品の処理方法に使用される解凍処理装置の他の例を示す断面図である。なお、以下の説明においては、乳製品の処理方法を「処理方法」と略記する。
本発明の処理方法は、エマルションを含有する液状乳製品または当該液状乳製品から製造される乳製品を市場に安定供給するために利用される。エマルションを含有する液状乳製品としては、典型的には牛乳、成分調整牛乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、脱脂無糖れん乳、脱脂加糖れん乳等の水中油型エマルション含有乳製品が挙げられる。上記のエマルションを含有する液状乳製品は、主に、乳脂肪、無脂乳固形分および水分から成り、通常、乳脂肪は0.1〜60重量%、無脂乳固形分は2〜40重量%、水分は20〜95重量%である。また、本発明で使用する生クリームとは、乳等省令で定義されている「クリーム」を意味する。更に、本発明において、エマルションを含有する液状乳製品には、植物性脂肪などの乳脂肪以外の脂肪を用いたコンパウンドクリーム、植物性クリームも含み、乳脂肪、無脂乳固形分の他、植物油脂、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤、キサンタンガム、グアーガム、カラギナン等の安定剤、砂糖、液糖等の甘味料が含まれていてもよい。
本発明の処理方法においては、先ず、エマルションを含有する液状乳製品を寒剤としての液化ガス等と共に噴霧、接触させることにより粉体状に急速凍結させた後、−40〜−24℃で保存する。寒剤としては、通常、液体窒素、液化炭酸ガス、液体空気などが使用される。凍結処理においては、エマルションを含有する液状乳製品をノズルから噴霧し、かつ、前記の寒剤、例えば液体窒素を寒剤噴射ノズルから噴射し、液体窒素のミストとエマルションを含有する液状乳製品のミストとを接触させることにより、氷結晶成長による脂肪球膜の破壊を惹起することなく、乳化状態を保持したままエマルションを含有する液状乳製品を粉体状(微粒子状)に急速凍結することが出来る。斯かる急速凍結方法は、特開2002−291407号公報などにも開示されている様に公知であり、液化ガス等を使用した各種フリーザーによって実施できる。
凍結させた粉体状乳製品は、樹脂製包装袋や剛性容器などの容器に収容し、冷凍庫において保存する。凍結させた粉体状乳製品の保存温度は−40〜−24℃とされる。保存温度を上記の範囲に規定する理由は次の通りである。すなわち、凍結させた粉体状乳製品を−24℃よりも高い温度で保存した場合には、保存中に乳化膜破壊が徐々に進行し、解凍した際に製造時の乳化状態が得られない。また、保存温度を−40℃未満に設定した場合には、製品の品質を維持できる反面、冷凍庫の運転コストの関係から冷凍コストが大幅に上昇し、液状乳製品のコストアップを惹起する。また、品質保持の観点から、保存時の温度は、−35℃未満の場合は±10℃の範囲、−30〜−35℃の場合は±5℃の範囲、−24〜−30℃の場合は±3℃の範囲に制御されるのが好ましい。
上記の様に凍結保存した粉体状乳製品は、原料乳の生産量の変動、液状乳製品の需要量などを考慮し、必要に応じて解凍する。その際、本発明においては、所定温度に加温された未凍結の液状乳製品、または、その液状食品原料に対し、上記の粉体状乳製品を混合して当該粉体状乳製品を解凍する。その場合、本発明においては、混合する際の前記の液状乳製品またはその液状食品原料の最初の温度を40〜80℃、好ましくは50〜60℃に設定する。更には、混合中における液状乳製品またはその液状食品原料と前記の粉体状乳製品との混合物の温度を40〜80℃、好ましくは50〜60℃に維持する。すなわち、上記の温度条件を維持しながら粉体状乳製品を解凍処理する。なお、上記の液状食品原料としては、果汁、液糖溶液、食品用乳化剤溶液、食品用安定剤溶液などが挙げられる。
凍結保存した粉体状乳製品を解凍する際に液状乳製品(新たに製造された液状乳製品)又はその液状食品原料の最初の温度ならびに混合中の混合物の温度を上記の範囲に維持する理由は次の通りである。すなわち、液状乳製品または液状食品原料の温度が40℃未満の場合は、粉体状乳製品解凍時エマルション中に固体脂が存在することにより、攪拌による乳化破壊が起こる。一方、液状乳製品または液状食品原料の温度が80℃を超えた場合は、風味が損なわれる。換言すれば、ベースとなる液状乳製品または液状食品原料の温度を上記の範囲に設定することにより、解凍速度をコントロール出来、かつ、品質を保持できる。
また、上記の解凍処理では、最終的に得られる混合物における液状乳製品またはその液状食品原料と粉体状乳製品との混合比率を重量比で5〜95:95〜5に設定される。ベースとなる液状乳製品またはその液状食品原料と解凍する粉体状乳製品との混合割合を上記の範囲に維持する理由は次の通りである。すなわち、凍結保存した粉体状乳製品の混合割合が5%未満の場合には、粉体状乳製品の利用効率が低く、原料乳と乳製品の季節による需給バランスの変動に対処するだけの経済効果が得られない。一方、粉体状乳製品の混合割合が95%を超えた場合には、処理する際に一時的に一層大きな熱を加える必要があり、設備が大型化する。
上記の解凍処理においては、図1又は図2に示す様な解凍処理装置(1A)、(1B)が使用される。図1に示す解凍処理装置(1A)は、加熱用のジャケット(2)が外周部に付設された処理槽(1)と、当該処理槽に挿入された攪拌手段(3)とから主として構成される。すなわち、液状乳製品または液状食品原料ならびに凍結保存した粉体状乳製品を収容する処理槽(1)と、当該処理槽の外周部に付設され且つ熱媒体が循環するジャケット(2)と、処理槽(1)内に挿入された撹拌羽根などの撹拌手段(3)と、処理槽(1)の底部に接続された製品取出流路(4)とから構成される。
解凍処理装置(1A)を使用した解凍処理においては、例えば新たに製造された液状乳製品(先に凍結保存した粉体状乳製品と同一成分のもの)をベースとして使用する場合、先ず、新たに製造された液状乳製品(8)を処理槽(1)に一定量収容する。次いで、撹拌手段(3)を作動させて液状乳製品(8)を撹拌しながら、ジャケット(2)に熱媒体を循環させることにより、処理槽(1)内の液状乳製品(8)を例えば50〜60℃に加温する。そして、液状乳製品(8)の温度を維持しながら、先に凍結保存した粉体状乳製品(9)を液状乳製品(8)に前述の割合で混合して解凍し、製品である液状乳製品(8)を所定量に増量する。なお、解凍処理後、処理槽(1)内の液状乳製品(8)は、製品取出流路(4)を通じて系外に取り出す。
一方、図2に示す解凍処理装置(1B)は、前述の解凍処理装置(1A)と同様に、液状乳製品または液状食品原料ならびに凍結保存した粉体状乳製品を収容する処理槽(1)と、当該処理槽の外周部に付設された加熱用のジャケット(2)と、処理槽(1)内に挿入された撹拌羽根などの攪拌手段(3)と、処理槽(1)の底部に接続された製品取出流路(4)とを備えている。更に、解凍処理装置(1B)は、製品取出流路(4)から分岐して処理槽(1)に戻る循環流路(5)を備え、当該循環流路には、ポンプ(6)及び加熱手段としてのプレート式の熱交換器(7)が介装されている。
すなわち、解凍処理装置(1B)は、収容された乳製品を処理槽(1)から取り出して再び当該処理槽に戻す循環流路(5)を備え、当該循環流路に加熱手段としての熱交換器(7)が介装されている点が解凍処理装置(1A)と相違する。プレート式の熱交換器(7)は、被加熱流体(液状乳製品)が流れる熱交換用プレート(流路)をケーシング内に配置し、外部の加熱循環機構(図示省略)によりケーシングに熱媒体を供給、循環させるものであり、より効率的に液状乳製品を加熱することが出来る。
解凍処理装置(1B)を使用した解凍処理においては、前述の処理と同様に、例えば新たに製造された液状乳製品(8)を処理槽(1)に一定量収容する。次いで、撹拌手段(3)を作動させて液状乳製品(8)を撹拌し、かつ、ジャケット(2)に熱媒体を循環させ、更に、ポンプ(6)を作動させて処理槽(1)内の液状乳製品を循環流路(5)に循環させながら、熱交換器(7)に熱媒体を循環させることにより、処理槽(1)内の液状乳製品(8)を例えば50〜60℃に加温する。そして、前述の処理と同様に、処理槽(1)内の液状乳製品(8)の温度を維持しながら、先に凍結保存した粉体状乳製品(9)を液状乳製品(8)に前述の割合で混合して解凍し、製品である液状乳製品(8)を所定量に増量する。そして、解凍処理を終了したならば、製品取出流路(4)に付設された切替弁を操作し、製品取出流路(4)を通じて処理槽(1)内の液状乳製品(8)を系外に取り出す。
なお、凍結保存した粉体状乳製品を解凍処理する方法としては、凍結保存した粉体状乳製品を袋に充填、密封し、50〜60℃の温水中に前記の袋を浸漬させることにより凍結保存した粉体状乳製品を解凍した後、新たに製造された液状乳製品または液状食品原料に対し、解凍された前記の乳製品を混合する方法もある。しかしながら、解凍効率、作業性および品質保持の観点からは、上記の図1及び図2に示す様な装置を使用する方法が好ましい。
上記の様に、本発明においては、原料乳の生産量の多い時期に製造されたエマルションを含有する液状乳製品を粉体状に急速凍結させて特定の冷凍温度で保存し、その後、原料乳の生産量の変動、液状乳製品の需要量などを考慮し、必要に応じて解凍する。その際、新たに製造された未凍結の液状乳製品、または、先に製造された未凍結の液状乳製品、あるいは、液状乳製品の液状食品原料を準備してこれを特定の温度に加温すると共に、凍結保存した粉体状乳製品を前記の液状乳製品またはその液状食品原料に特定の割合で混合して解凍し、所定量の液状乳製品を得る。
すなわち、本発明においては、原料乳の生産量が多い時期に製造されたエマルションを含有する液状乳製品を凍結する。その際、エマルションを含有する液状乳製品を液化ガス等と共に噴霧することにより粉体状に急速凍結させるため、氷結晶成長による脂肪球膜の破壊を生じることなく、製品と同様の乳化状態を保持することが出来る。また、凍結された粉体状乳製品を保存する際、−40〜−24℃で保存することにより、乳化膜破壊を生じることなく、製品と同様の品質を保持できる。そして、凍結保存した粉体状乳製品は、原料乳の生産量が少ない時期に解凍利用する。その場合、40〜80℃に加温された未凍結の液状乳製品またはその液状食品原料に対して粉体状乳製品を混合し、かつ、混合の際にこれら混合物の温度を40〜80℃に維持し、しかも、混合物における液状乳製品またはその液状食品原料と粉体状乳製品との混合比率が重量比で5〜95:95〜5となる様に混合することにより、乳化膜破壊を起こすことなく凍結保存した粉体状乳製品を効率的に解凍する。これにより、当初の品質を損なうことなく、必要量の液状乳製品を確保することが出来る。
従って、本発明によれば、原料乳の生産量の多い時期に製造されたエマルションを含有する液状乳製品を凍結保存することにより、原料乳と乳製品の季節による需給バランスの変動などに拘わりなく、高品質の液状乳製品またはこれから得られる乳製品を市場に安定供給できる。換言すれば、生産量が多い時期の低コストの原料乳を使用して製造されたエマルションを含有する乳製品を凍結保存し、原料乳の生産量が少ない時期に製造された乳製品または液状食品原料に対して、凍結保存した粉体状乳製品を混合使用するため、原料乳の生産量のばらつきに拘わりなく、かつ、製造コストの高騰を惹起することなく、高品質の液状乳製品を安定して供給できる。
本発明の処理方法により生クリームを処理した。8月に原料乳を購入し、脂肪率47%の生クリームを2500kg製造し、これを本発明の処理方法に基づいて粉体状に急速凍結して保存した。その後、12月に原料乳を購入し、解凍時のベースとして、上記と同様の成分の生クリームを200kg製造した。また、解凍時のベースとして、植物性クリーム及び液糖溶液をそれぞれ200kg、200kg準備した。次いで、ベースの生クリーム、植物性クリーム及び液糖溶液に対し、先に凍結保存した粉体状の生クリームを一定の割合でそれぞれ混合し、製品としてのクリーム類を得た。そして、上記の各処理に対し、冷凍保存した際の温度条件、解凍時の温度条件の相違による品質の変化を確認したところ、以下の様な結果が得られた。
実施例1〜3:
本発明の処理方法に基づき、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−80℃、−40℃、−24℃の各温度で1ヶ月間保存した後、別途製造された脂肪率47%の生クリームに対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合の際、別途製造されたベースとなる生クリームは、55℃に加温してその温度を保持し、また、混合比率は、ベースとなる生クリームを20重量%(100g)、凍結保存した粉体状の生クリームを80重量%(400g)とした。
本発明の処理方法に基づき、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−80℃、−40℃、−24℃の各温度で1ヶ月間保存した後、別途製造された脂肪率47%の生クリームに対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合の際、別途製造されたベースとなる生クリームは、55℃に加温してその温度を保持し、また、混合比率は、ベースとなる生クリームを20重量%(100g)、凍結保存した粉体状の生クリームを80重量%(400g)とした。
そして、得られた還元クリームは、冷却して5℃で12時間以上貯蔵した後、その物性を評価した。評価においては、クリームの状態(目視評価)、温水中に分散した際の油滴の有無(目視評価)、脂肪率、粘度、脂肪粒径および遊離脂肪率を測定し、また、ホイップ性評価として、ホイップ時間、ホイップ時の容量の増加(オーバーラン)及び硬度を測定した。その結果、表に示す様に、得られた還元クリームは、凍結前の乳化状態と同様の乳化状態を保持しており、かつ、ホイップ性においても凍結前と同等であることが確認された。
比較例1:
保存温度を−18℃に設定した点を除き、実施例1〜3と同様の方法で脂肪率47%の生クリームを凍結、保存した後、解凍し、得られた還元クリームの評価を行った。その結果、表に示す様に、凍結後の保存温度が高いため、保存中に氷結晶成長が促進して乳化膜破壊が起こり、得られたクリームにおいては、凍結前の乳化状態を保持していないことが確認された。
保存温度を−18℃に設定した点を除き、実施例1〜3と同様の方法で脂肪率47%の生クリームを凍結、保存した後、解凍し、得られた還元クリームの評価を行った。その結果、表に示す様に、凍結後の保存温度が高いため、保存中に氷結晶成長が促進して乳化膜破壊が起こり、得られたクリームにおいては、凍結前の乳化状態を保持していないことが確認された。
比較例2〜4:
解凍処理の際、ベースとなる未凍結の生クリームとして7℃の生クリームを使用した点を除き、実施例1〜3と同様の方法で脂肪率47%の生クリームを凍結、保存した後、解凍し、得られた還元クリームの評価を行った。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
解凍処理の際、ベースとなる未凍結の生クリームとして7℃の生クリームを使用した点を除き、実施例1〜3と同様の方法で脂肪率47%の生クリームを凍結、保存した後、解凍し、得られた還元クリームの評価を行った。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
実施例4:
実施例1と同様に、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−24℃で1ヶ月間保存した後、別途準備した脂肪率45%の市販の植物性クリームに対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合および解凍の条件は実施例1と同様である。そして、実施例1と同様に、還元クリームを評価した。評価においては、冷蔵されていた脂肪率47%の生クリーム80重量%と脂肪率45%の植物性クリーム20重量%を混合した混合クリームとの比較を行った。その結果、表に示す様に、得られた還元クリームは、混合クリームと同様の乳化状態を保持し、かつ、ホイップ性においても混合クリームと同等であることが確認された。すなわち、組成の異なるエマルションを含有する液状乳製品に対し、凍結保存した粉体状乳製品を混合解凍しても、混合品(混合クリーム)と同様の物性、ホイップ性を有することが確認された。
実施例1と同様に、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−24℃で1ヶ月間保存した後、別途準備した脂肪率45%の市販の植物性クリームに対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合および解凍の条件は実施例1と同様である。そして、実施例1と同様に、還元クリームを評価した。評価においては、冷蔵されていた脂肪率47%の生クリーム80重量%と脂肪率45%の植物性クリーム20重量%を混合した混合クリームとの比較を行った。その結果、表に示す様に、得られた還元クリームは、混合クリームと同様の乳化状態を保持し、かつ、ホイップ性においても混合クリームと同等であることが確認された。すなわち、組成の異なるエマルションを含有する液状乳製品に対し、凍結保存した粉体状乳製品を混合解凍しても、混合品(混合クリーム)と同様の物性、ホイップ性を有することが確認された。
比較例5:
解凍処理の際、ベースとなる未凍結のクリームとして7℃の植物性クリームを使用した点を除き、実施例4と同様に、凍結保存した粉体状の生クリームを市販の植物性クリームに混合して解凍した。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
解凍処理の際、ベースとなる未凍結のクリームとして7℃の植物性クリームを使用した点を除き、実施例4と同様に、凍結保存した粉体状の生クリームを市販の植物性クリームに混合して解凍した。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
実施例5:
実施例1と同様に、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−24℃で1ヶ月間保存した後、別途準備した30%液糖溶液に対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合および解凍の条件は実施例1と同様である。そして、実施例1と同様に、還元クリームを評価した。評価においては、冷蔵されていた脂肪率47%の生クリーム80重量%と30%液糖溶液20重量%を混合した混合クリームとの比較を行った。その結果、表に示す様に、得られた還元クリームは、混合クリームと同様の乳化状態を保持し、かつ、ホイップ性についても混合クリームと同等であることが確認された。
実施例1と同様に、脂肪率47%の生クリームを粉体状に急速凍結し、−24℃で1ヶ月間保存した後、別途準備した30%液糖溶液に対して凍結保存した粉体状の生クリームを混合解凍し、還元クリームを得た。混合および解凍の条件は実施例1と同様である。そして、実施例1と同様に、還元クリームを評価した。評価においては、冷蔵されていた脂肪率47%の生クリーム80重量%と30%液糖溶液20重量%を混合した混合クリームとの比較を行った。その結果、表に示す様に、得られた還元クリームは、混合クリームと同様の乳化状態を保持し、かつ、ホイップ性についても混合クリームと同等であることが確認された。
比較例6:
解凍処理の際、ベースとして7℃の30%液糖溶液を使用した点を除き、実施例5と同様に、凍結保存した粉体状の生クリームを30%液糖溶液に混合して解凍した。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
解凍処理の際、ベースとして7℃の30%液糖溶液を使用した点を除き、実施例5と同様に、凍結保存した粉体状の生クリームを30%液糖溶液に混合して解凍した。その結果、表に示す様に、解凍時の解凍温度が低いため、解凍時に乳化膜破壊が起こり、得られたクリームは、液体状に戻らずゲル状に固化した。
1A:解凍処理装置
1B:解凍処理装置
1 :処理槽
2 :ジャケット
3 :攪拌手段
4 :製品取出流路
5 :循環流路
7 :熱交換器
8 :液状乳製品
9 :粉体状乳製品
1B:解凍処理装置
1 :処理槽
2 :ジャケット
3 :攪拌手段
4 :製品取出流路
5 :循環流路
7 :熱交換器
8 :液状乳製品
9 :粉体状乳製品
Claims (3)
- エマルションを含有する液状乳製品を寒剤と共に噴霧することにより、凍結した粉体状乳製品を製造し、当該粉体状乳製品を−40〜−24℃で保存した後、加温された液状乳製品またはその液状食品原料に前記の粉体状乳製品を混合して当該粉体状乳製品を解凍する乳製品の処理方法であって、得られる混合物における前記の液状乳製品またはその液状食品原料と前記の粉体状乳製品との混合比率を重量比で5〜95:95〜5とし、しかも、混合する際の前記の液状乳製品またはその液状食品原料の温度を40〜80℃に設定し、更には、混合中における前記の混合物の温度を40〜80℃に維持することを特徴とする乳製品の処理方法。
- 乳製品が起泡性水中油型乳化組成物である請求項1に記載の処理方法。
- 乳製品が生クリームである請求項1又は2に記載の処理方法。
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JP2006306137A JP2008118916A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 乳製品の処理方法 |
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---|---|---|---|---|
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WO2012176687A1 (ja) * | 2011-06-22 | 2012-12-27 | ビタミン乳業株式会社 | 冷凍耐性クリーム及びその製造方法 |
JPWO2016035693A1 (ja) * | 2014-09-02 | 2017-06-15 | 雪印メグミルク株式会社 | 乳脂肪クリームおよびその製造方法 |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006306137A patent/JP2008118916A/ja not_active Withdrawn
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