JP2023063411A - 粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製剤に添加することで硬度、崩壊性等の特性を容易に制御することのできる新しい粒子を提供する。【解決手段】最大径1~800nmの粒子を、細胞壁を構成する成分から得るようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、熱安定性等の特性に優れた、細胞壁を構成する成分から得られる1~800nmの最大径を有する粒子に関するものである。
これまで、数多くの微細な粒子が様々な分野で用いられている。このような微細な粒子として、例えば、フラーレンやカーボンナノチューブ等のナノ粒子や、リポソーム等の天然物由来の微細な粒子が知られている。前者は耐熱性や耐溶剤性等の物性があり、後者は天然物由来で人体への適用が容易である等、多種多様な物性が認められている。
しかしながら、各技術分野において、このような微細な粒子の物性は、更なる向上が望まれているのが現状である。また、微細な粒子は、微細化、ナノ化していくほど製造が困難であり、その品質安定性や生産性の向上も望まれている。
このような微細な粒子を用いる技術分野のうち、本発明者らは、製剤の技術分野に着目した。すなわち、製剤の技術分野では、製剤化を容易にする、品質の安定化を図る、有用性を高める等の目的で、ほとんどすべての製剤に、賦形剤、安定剤、保存剤、成形助剤等の添加剤が添加されている(特許文献1参照)。しかし、製剤の硬度を高めるための添加剤を用いると、製剤の硬度は高まるものの、崩壊性が低下するという問題が生じる傾向にある。また、逆に製剤の崩壊性を重視すると、所望の硬度を得ることができないという問題が生じる傾向にある。
ところで、製剤のなかでも、医師等の処方箋が不要な一般用医薬品は、管理が厳格な医療用医薬品とは異なり、薬局等に陳列され、一般の人が容易に購入できるようになっている。しかしながら、薬局等の店舗構成によっては店内の温度が一定でないため、一般用医薬品は、医療用医薬品に比べ、より耐熱性、耐寒性が求められる傾向にある。また、食品、化粧品等も同様に、より耐熱性、耐寒性が求められる傾向にある。
特開2015-193600
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、製剤に添加することで硬度、崩壊性等の特性を容易に制御することができ、しかも、これらの特性を損なうことなく耐熱性、耐寒性を高めることができ、一般用医薬品に配合しても充分に特性を発揮することのできる、新しい微細な粒子を提供する。
本発明は、細胞壁を構成する成分から得られる、最大径が1~800nmの粒子を第1の要旨とする。
また、第1の要旨の粒子のうち、細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、球体であるものを第2の要旨とし、第1または第2の要旨の粒子のうち、細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、糖を主成分としているものを第3の要旨とする。
さらに、第1~第3の要旨のいずれかの粒子を製造する方法であって、細胞壁を溶解する工程と、該工程により得られた溶解物から粒子を分離する工程とを備える粒子の製造方法を第4の要旨とし、第1~第3の要旨のいずれかの粒子を製造する方法であって、細胞壁を構成する成分を含有する液体を準備し、該液体から粒子を分離する工程を備える粒子の製造方法を第5の要旨とする。
そして、第1~第3の要旨のいずれかの粒子を含有する組成物を第6の要旨とし、第6の要旨の組成物のうち、医薬組成物、食品組成物および化粧品組成物からなる群から選ばれた少なくとも一つである組成物を第7の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、様々な用途に適用可能な微細な粒子を得るため、種々の検討を重ねた。その結果、これまで明らかになっていない新しい微細な微粒子を見出した。この微細な粒子は、これまでの研究によって、分散性、耐熱性、耐寒性等に優れることが明らかにされている。
このように、本発明の粒子は、細胞壁を構成する成分から得られるものであるため、天然の食物繊維に由来する健康面の利益を享受することができる。しかも、最大径が、1~800nmと極めて小さく、水系および油系のいずれにも耐溶解性を有し、かつ耐熱性、耐寒性、耐乾燥性等に優れているため、幅広い製剤に配合することができる。また、本発明の粒子を製剤に用いると、硬度、崩壊性等の特性の制御を容易に行うことができ、所望の特性を備えた製剤を得ることができる。
なかでも、細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、球体であることで、流動性、分散性に優れるものとなる。
そして、細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、糖を主成分としていることで、相対的にアレルゲンとなりやすいタンパク質含量が少ない、あるいは全くなくなるため、服用に際し、より安全性の高いものとすることができる。
さらに、本発明の粒子を製造する方法であって、細胞壁を溶解する工程と、該工程により得られた溶解物から粒子を分離する工程とを備えるものは、細胞壁を有する生物を選択することで、所望の細胞壁を構成する成分を用いることができ、得られる粒子設計の自由度を高めることができる。
また、本発明の粒子を製造する方法であって、細胞壁を構成する成分を含有する液体を準備し、該液体から粒子を分離する工程を備えるものは、予め細胞壁を構成する成分以外の夾雑物を排除することができるため、効率よく粒子を製造することができる。
そして、本発明の粒子を含有する組成物は、天然の食物繊維に由来する健康面の利益を享受することができる。
また、その組成物が、医薬組成物、食品組成物および化粧品組成物からなる群から選ばれた少なくとも一つであると、本発明の粒子がアレルゲンとなりやすいタンパク質含量が少ない、あるいは全くないものであるため、安全性をより高めることができる。
なお、本発明において「主成分」とは、その材料の特性に影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、材料全体の50重量%以上である。
(a)は本発明の一実施の形態である粒子Aの集合体を示した写真であり、(b)は上記粒子Aの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)は上記粒子Aの粒子径の分布を示した図である。 上記粒子AのRaman分析スペクトルを示した図である。 (a)は上記粒子Aを超純水に分散させたものを凍結乾燥した状態を示した写真であり、(b)はその粒子Aを再度超純水に分散させた状態の写真であり、(c)はその粒子Aの透過型電子顕微鏡写真であり、(d)はその粒子Aの粒子径の分布を示した図である。 (a)は凍結乾燥した粒子を再度超純水に分散させ、超純水ごとオートクレーブした状態を示した写真であり、(b)はその粒子Aの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)はその粒子Aの粒子径の分布を示した図である。 (a)は凍結乾燥後の粒子Aを超純水に分散させて一週間経過後の状態を示した写真であり、(b)はその粒子Aの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)はその粒子Aの粒子径の分布を示した図である。 (a)は本発明の一実施の形態である粒子Bの透過型電子顕微鏡写真であり、(b)はその粒子Bの粒子径の分布を示した図である。 (a)は本発明の一実施の形態である粒子Cの集合体を示した写真であり、(b)はその粒子Cの透過型電子顕微鏡写真である。 (a)は本発明の一実施の形態である粒子Dの集合体を示した写真であり、(b)は上記粒子Dの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)は上記粒子Dの粒子径の分布を示した図である。 上記粒子DのRaman分析スペクトルを示した図である。 (a)は上記粒子Dを超純水に分散させたものを凍結乾燥した状態を示した写真であり、(b)はその粒子Dを再度超純水に分散させた状態を示した写真であり、(c)はその粒子Dの透過型電子顕微鏡写真であり、(d)はその粒子Dの粒子径の分布を示した図である。 (a)は凍結乾燥した粒子を再度超純水に分散させ、超純水ごとオートクレーブした状態を示した写真であり、(b)はその粒子Dの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)はその粒子Dの粒子径の分布を示した図である。 (a)は凍結乾燥後の粒子Dを超純水に分散させて一週間経過後の状態を示した写真であり、(b)はその粒子Dの透過型電子顕微鏡写真であり、(c)はその粒子Dの粒子径の分布を示した図である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。但し、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
本発明において「細胞壁を構成する成分」とは、植物界に属する生物、菌界に属する生物、原生生物界に属する生物、原核生物界に属する生物等の細胞にみられる細胞壁を形成する物質のことをいい、この物質を構成する糖類をも含む意味である。
上記植物界に属する生物としては、例えば、紅藻類、褐藻類、緑藻類、車軸藻類、コケ植物、シダ植物、種子植物等があげられる。また、上記菌界に属する生物としては、例えば、藻菌類、子のう菌類、担子菌類、地衣類等があげられ、原生生物界に属する生物としては、例えば、ケイ藻類があげられる。さらに、原核生物界に属する生物としては、例えば、細菌類、ラン藻類等があげられる。これらのなかでも、均一性が高いものを大量生産することが容易な点から、菌界、原生生物界、原核生物界に属する生物や、いわゆる藻類(紅藻類、褐藻類、緑藻類、車軸藻類、ケイ藻類、ラン藻類等)が材料として好ましく用いられ、とりわけ、菌界のなかでも、子のう菌類、担子菌類等に属する酵母が好ましく用いられる。また、得られた粒子が、製剤の添加剤としてより優れた効果を奏する点から、種子植物のうち、マメ科およびショウガ科に属するもの、緑藻類のうち、クロレラ科に属するもの、子のう菌類、担子菌類等のうち、サッカロマイセス属やシゾサッカロマイセス属に属する酵母が好ましく用いられる。
なお、細胞壁を構成する成分は、生物によって成分およびその配合が大きく異なっている。したがって、材料とする生物によって、粒子の構成糖の割合が異なっている。例えば、植物界に属する生物の細胞壁は、通常、2層構造になっており、セルロース、リグニン、ヘミセルロースが代表的な成分としてあげられる。そして、植物界に属する生物の中でも、その種族ごとにヘミセルロースの含有割合は大きく異なっている。また、藻類の中には2次細胞であるリグニンを有していないものがある。
さらに、酵母の細胞壁は、通常、単層になっており、β-グルカン、ガラクトマンナンが代表的な成分としてあげられる。また、細菌類に分類される乳酸菌の細胞壁は、通常、単層になっており、デキストラン、テイコ酸、細胞壁多糖が代表的な成分としてあげられる。
すなわち、本発明の粒子が、細胞壁を構成する成分から得られるものであることは、材料とする生物の種類ごとに、得られる粒子の構成糖の割合が定まることから導ける。例えば、カンゾウ(学名:Glycyrrhiza uralensis)は種子植物であるため、細胞壁は、セルロース、リグニン、ヘミセルロースを多く有しており、通常、構成糖としてグルコース60重量%前後、リグニン10~30重量%、その他10~30重量%となっている。一方、カンゾウを材料とする本発明の粒子は、後記の実施例1(表1、表2)で示すように、構成糖としてグルコースを64.8重量%有するとともにそれ以外の糖も含量は少ないものの多種有し、リグニンを14.0重量%有している。このように、カンゾウの細胞壁と、カンゾウを材料とする本発明の粒子とは、構成糖およびリグニンの割合が極めて近似している。なお、以下に示す成分組成は、特に記載がない限り、すべて重量基準(重量部、重量%)で示している。
また、クロレラは緑藻類に属するため、カンゾウと同様に、その細胞壁はセルロース、リグニン、ヘミセルロースを多く有している。そして、クロレラを材料とする本発明の粒子は、後記の実施例3(表3、表4)で示すように、構成糖としてグルコースを59.8重量%有するとともにそれ以外の糖も含量は少ないものの多種有し、リグニンを6.1重量%有している。なお、クロレラのリグニン含有量がカンゾウに比べて低くなっているのは、リグニンが植物進化の過程において最後に出現した代表的な成分であり、クロレラとカンゾウとの種別差に基づくものであると考えられる。
さらに、酵母は、通常、子のう菌類または担子菌類等に属しており、その細胞壁はβ-グルカン、ガラクトマンナンを多く有している一方、リグニンをほとんど含まない。これを反映するように、酵母を材料とする本発明の粒子は、後記の実施例4(表5、表6)で示すように、構成糖のほぼ全量がグルコースであり、リグニンを0.6重量%有する以外、グルコース以外の糖をほぼ有しない。
本発明の粒子は、このような細胞壁を構成する成分から得られるものであればよく、これらの成分を特定する必要はない。しかし、このような細胞壁を構成する成分を具体的にあげるとすれば、例えば、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、糖タンパク質、フェノール化合物等である。
上記ヘミセルロースとしては、例えば、キシログルカン、1,3-1,4-β-D-グルカン、キシラン、グルコマンナン、カロース等があげられる。上記ペクチンとしては、例えば、ホモガラクツロナン、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、アピオガラクツロナン、アラビノガラクタン、アラビナン、ガラクタン等があげられる。上記糖タンパク質としては、例えば、エクステンシン、アラビノガラクタンタンパク質等があげられる。上記フェノール化合物としては、例えば、リグニン等があげられる。
上記細胞壁を構成する成分は、複数の糖が結合した構成のものが多数含まれる。このような構成糖としては、例えば、グルコース、キシロース、ガラクトース、フコース、セロトリオース、セロテトラオース、キシラン、アラビノース、マンノース、ラムノース等があげられる。上記細胞壁を構成する成分には、これらの糖も含まれる。
本発明において「粒子」とは、電子顕微鏡で観察した際、その構造が、2層構造、2重膜構造、多層構造、多重膜構造にも見えるものを意味する。すなわち、本発明の粒子は、少なくとも最外層と内部とは異なる電子密度を有している。
本発明の粒子は、最大径が1~800nmであり、10~800nmであることがより好ましく、さらに好適には30~500nmであり、さらに好適には40~300nmである。そして、本発明において「粒子の最大径」とは、粒子が球体である場合にはその直径をいい、その他の形状である場合には、その最大長をいう。粒子の径は、例えば、得られた粒子を超純水に分散させ、その分散液を、濃厚系粒径アナライザーを用いて測定することができる。濃厚系粒径アナライザーを用いて粒子径を測定した場合、算出された平均粒子径をその粒子の最大径とし、算出された平均粒子径が、最大径で規定される範囲に入っていればよい。
本発明の粒子は、通常、カーボンナノチューブ等の尖った部分がない形状をしており、好ましくは球体の形状をしている。上記球体には、真球だけでなく、楕円体等の形状も含まれる。粒子の形状は、例えば、ネガティブ染色した粒子を、透過型電子顕微鏡で撮影し、その外観を観察することにより判別することができる。例えば、ペレット状に集合した粒子を超純水に分散させ、この分散液をメッシュに吸着させ、その上に染色液を載せる。そして、余剰の染色液を濾紙で吸い取り、乾燥させたものを、透過型電子顕微鏡で撮影することにより、粒子の外観を観察することができる。
本発明の粒子は、水系および油系のいずれの液体に対する分散性がよく、なかでも水系の液体に対する分散性が高い。また、その優れた分散性が長期間保たれる。粒子の分散性は、例えば、得られた粒子を超純水に分散させ、その分散液を透過型電子顕微鏡で撮影し、その分散の程度を観察することにより判別することができる。また、上記分散液を、一定期間保存後のものと対比することにより、分散性保持の程度を判別することができる。
本発明の粒子は、耐圧性および耐熱性に優れ、少なくとも2気圧までの加圧、121℃までの加熱により粒子径の変化がほぼない。粒子の耐圧性、耐熱性は、例えば、超純水に分散させた粒子と、この分散液を加圧および加熱したものとに含まれる粒子について、それぞれ濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出し、両者を対比したときに、両者において粒子径の分布が変動していないことから判別することができる。
本発明の粒子は、耐寒性および耐乾燥性に優れ、-50から-80℃までの冷却、乾燥により粒子径の変化がほぼない。粒子の耐寒性および耐乾燥性は、例えば、超純水に分散させた粒子と、この分散液を凍結乾燥(-50℃)し、その乾燥物を再度超純水に分散させたものに含まれる粒子について、それぞれ濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出し、両者を対比したときに粒子径の分布が変動していないことから判別することができる。また、上記凍結乾燥物を-80℃で7日間保存後、超純水に分散させたものに含まれる粒子を、同様に対比させても粒子径の分布の変動はない。
なお、加圧、加熱、冷却、乾燥を行っても、本発明の粒子の構造は変化しない。このことは、粒子を超純水に分散させたものと、この分散液を加圧および加熱したもの、または冷却および乾燥したものを再度超純水に分散させたものを、電子顕微鏡でそれらに含まれる粒子の構造を対比観察することにより判別することができる。
これらは、従来のナノ粒子である、リポソーム等では得られなかった特性である。このような粒子は、例えば、細胞壁を溶解する工程と、該工程により得られた溶解物から粒子を分離する工程とを備える方法により製造することができる。
上記細胞壁を溶解する工程としては、例えば、加熱処理、超音波処理、分解酵素による処理、アルカリ分解処理等があげられる。これらは単独でもしくは組み合わせて用いることができる。なかでも、効率化と健康面への配慮の点から、加熱処理、分解酵素による処理が好ましく、とりわけ加熱処理が好ましい。
上記加熱処理としては、例えば、細胞壁を有する生物を液体に浸漬し、この液体ごとその生物を加熱することにより、細胞壁を構成する成分を液体に溶解させて溶解物を得ることがあげられる。より詳しく説明すると、まず、材料となる、細胞壁を有する生物を準備する。この生物はどのような状態であってもよいが、効率化の点から、乾燥、粉砕されていることが好ましい。上記準備した生物を別途用意した液体に浸漬し、通常、60℃以上で3分間以上、加熱し、溶解物を得るが、上記準備した生物が液体に浸漬された状態で加熱および乾燥されたものであれば、液体に浸漬した際にさらに加熱しなくてもよい。しかし、加熱時間が長いほど収率が高まる傾向がみられるため、加熱してもよい。上記液体としては、水、アルコール等の各種溶媒として用いられる液体を単独もしくは2種以上混合して用いてもよい。しかし、粒子を服用等することを考慮すると、健康面への配慮の点から、水もしくは水系の液体が好ましく用いられる。
なお、本発明において「細胞壁を構成する成分を液体に溶解させる」とは、基本骨格と基質とを分離する等して細胞壁の構造を崩壊させ、液体中に該成分が分散した系を形成することをいい、該成分のひとつである多糖をサイズの小さいものに分解する等により、液体中に分散させることも含む意味である。
つぎに、上記工程により得られた溶解物から、本発明の粒子を分離する工程としては、例えば、遠心分離、フィルターろ過、限外ろ過、超遠心分離等があげられる。これらは、材料となる細胞壁を有する生物の種類等に応じて、より適するものが用いられる。なかでも、操作の容易性の点から、遠心分離、フィルターろ過が好ましく、精製度を高める点から、これらを組み合わせて用いることが好ましい。
上記遠心分離としては、粒子のサイズにもよるが、例えば、溶解物を1万~100万Gで遠心分離し、その上清を採取する方法があげられる(粗分離工程)。さらに、より精製度を高めるために、例えば、上記上清をポアサイズ0.22~0.45μmのフィルターでろ過し、そのろ液を得るようにしてもよい(精密分離工程)。
このように、本発明の粒子は、細胞壁を構成する成分、例えばセルロース等に対し、末端分子の置換等を行うことを目的とする手法(例えば、苛性ソーダ、塩酸等を用いる手法)を採用していないため、安全性にも優れている。
上記製造例では、細胞壁を有する生物を材料として用いているが、生物ではなく、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、グルカン、プルラン、糖タンパク質、フェノール化合物等の細胞壁を構成する、具体的な成分を材料として用いてもよく、とりわけペクチン、グルカンが好ましい。すなわち、上記具体的な細胞壁を構成する成分のうち、少なくとも1成分を液体に溶解させ、細胞壁を構成する成分を含有する液体を準備し、上記液体から本発明の粒子を分離するようにしてもよい。これによると、細胞壁を構成する成分以外の、生物由来の夾雑物を予め排除することができるため、効率よく粒子を製造することができる。
本発明の粒子は、例えば、医薬品、食品、化粧品等の製剤に配合することにより、添加剤として各特性、例えば、硬度や崩壊性等の制御が可能になる。製剤において、添加剤を検討する際には、添加剤が主剤の配合量に制限を生じさせないことが重要になる。しかし、本発明の粒子は、製剤を構成する組成物に対し比較的少量の添加で各特性の制御が可能となるため、主剤の配合量に制限を生じさせることがなく、配合の自由度を高めることができる。
本発明の粒子を製剤に配合する場合には、製剤を構成する組成物全体に対し、0.01~95重量%含まれていることが好ましく、より好ましくは0.01~90重量%、さらに好ましくは0.1~50重量%、より一層好ましくは1~20重量%である。
つぎに、実施例を説明する。まず、本発明の粒子自体について検討を行い(実施例1~4)、ついで、これらの粒子を用いた製剤について検討を行った(実施例5~7、比較例1~3)。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
〔本発明の粒子自体についての検討〕
下記に示す手順で本発明の粒子をそれぞれ作製した。そして、得られた各粒子について、下記の各項目に従い、外観の観察(実施例1~4)、粒子径の分布の算出(実施例1,2,4)、構成糖およびリグニンの分析(実施例1,3,4)、Raman分析(実施例1,4)、耐熱性、耐寒性および耐乾燥性の評価(実施例1,4)、水分散性および保存性の評価(実施例1,4)を行った。
〔実施例1〕
カンゾウ〔根およびストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)、栃本天海堂社製、トチモトのカンゾウP〕を沸騰させた後に95℃にした水に浸漬し、50分間加熱を続けて、溶解物を得た。次にこの溶解物を20,000Gで遠心分離を行い、比較的大きなサイズの夾雑物を取り除いた上清を得た。この上清を140,000Gで遠心分離することにより、ペレット状に集合した粒子Aを得た。精製度を高めるために、ペレット状に集合した粒子Aを水に分散させ、この分散液を20,000Gで20分間遠心分離して夾雑物を取り除き、その上清を0.45μmフィルター(Merck社製,Millex-HV,0.45μm,PVDF)にて濾過し、そのろ液をさらに0.22μmフィルター(Millex-GV,0.22μm,PVDFガンマ線滅菌済)で濾過し、このろ液を140,000Gで遠心分離し、精製度を高めた粒子Aの集合体であるペレットを得た〔図1(a)〕。
(外観の観察)
この粒子Aをネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡により撮影した写真を図1(b)に示す。すなわち、ペレット状に集合し精製度が高まった粒子Aを超純水に分散させ、この分散液をコロジオン貼付メッシュ(日新イーエム社製)に吸着させ、その上に酢酸ウラニル(染色剤)を載せる。そして、余剰の酢酸ウラニルを濾紙で吸い取り、乾燥させたものを、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM-1400TC)で撮影したものである。粒子Aの代表的なものは、図1(b)に示されるとおり、その最大径が約200nmの球体をしていた。
(粒子径の分布の算出)
上記ペレット状に集合し精製度が高まった粒子Aについて、これを超純水で分散させ、その分散液を濃厚系粒径アナライザー(大塚電子社製、FPAR-1000)を用いて、ヒストグラム法により粒子径の分布を算出した。その結果を図1(c)に示す。図1(c)に示されるとおり、粒子Aの粒子径は、193nmを平均粒子径とする正規分布を示していた。
(構成糖の分析)
上記粒子Aの構成糖の分析は、以下のとおり行った。すなわち、まず、ペレット状に集合し精製度が高まった粒子Aを真空乾燥機にて60℃で約1日乾燥させたものを供試試料(無水ベース)とし、この供試試料の適量(約0.3g)を天秤でビーカーへ量り取り、72%硫酸3mLを加え、30℃で撹拌しながら1時間放置した。この反応液を精製水84mLと混釈しながら耐圧瓶に完全に移した後、120℃で1時間オートクレーブで加熱分解した。加熱分解後、分解液と残渣をろ別し、ろ液と残渣の洗液を加えて100mLに定容したものを検液とした。また、分解時の糖の過分解を補正するために、単糖を用いた回収率試験を並行して行った。検液中の単糖(ラムノース、リボース、キシロース、アラビノース、フルクトース、マンノース、グルコース、ガラクトース)については、高速液体クロマトグラフ法(蛍光検出器)により定量を行った。分析に使用した装置は、ジーエルサイエンス社製、GL-7400 HPLC systemである。得られた分解液の単糖濃度と試料分解量から、試料中の構成糖量を算出した。得られた結果を下記の表1に示す。なお、表1の結果は、単糖の回収率試験より求めた分解時の糖過分解補正係数(Sf)を用い構成糖量を補正したものである。また、フルクトースは過分解されやすいため、Sfが大きな値となり、含まれる誤差が大きい。よって、過分解補正後のフルクトース量は参考値扱い(例えば表1中では「※2」として記載)としている。これらは以下の構成糖の分析において同じである。
Figure 2023063411000002
上記粒子Aは、その構成糖の分析結果を上記の表1に示すとおり、構成糖の65重量%近くがグルコースであり、そして、その他に、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、ラムノース等を有している。この結果は、カンゾウの細胞壁を構成する成分の多くが、セルロースおよびヘミセルロースであることと相関するものである。すなわち、セルロースは多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子であり、加熱分解により、グルコースに分解されるものである。また、ヘミセルロースは、グルコースとβ-グルカン等が結合し、通常、網状構造をとる多糖類の総称であり、加熱分解により、グルコースだけでなく、ガラクトース等の多種の糖に分解されるものである。上記構成糖の分析は、粒子Aを加熱分解等したものを検液とし、この検液中の単糖を測定したものであり、グルコースが多く、かつガラクトース等の多種の糖を含有するという結果は、粒子Aにはセルロースおよびヘミセルロースが多く含まれていることと矛盾しない。
(リグニンの分析)
上記粒子Aのリグニンの分析は、以下のとおり行った。本来、リグニン測定は、試料中の可溶分(油分、タンニン、ポリフェノール等)を有機溶剤等で事前に除去するのが定法であるが、上記リグニンの分析では抽出を行っていない。すなわち、上記リグニンの分析では、酸不溶性リグニンの定量として、上記構成糖分析でろ別し得られた残渣を105℃で乾燥し重量をはかり分解残渣率を算出し、さらに、残渣中の灰分を測定し補正することで、酸不溶性リグニン濃度を算出した。また、酸可溶性リグニンの定量として、上記構成糖分析でろ別し得られたろ液を、ダブルビーム分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、U-2001型)を用いて210nmの波長で測定し、下記の式(1)に従い、カバ(植物名)の酸可溶性リグニンの吸光係数を用いて濃度を算出した。得られた結果を下記の表2に示す。なお、カバのリグニンの吸光係数は110L・g-1cm-1近傍であることが知られている。
Figure 2023063411000003
Figure 2023063411000004
上記表2に示されるとおり、上記粒子Aは、酸不溶性および酸可溶性のリグニンを14.0重量%程度有している。この結果からも、粒子Aが、植物界に属する生物の細胞壁を由来としていることが裏付けられる。
(Raman分析)
上記粒子AのRaman分析は、粒子Aを少量(0.5mm四方程度)スライドガラスに載せたものに対し、inVia Reflexラマンマイクロスコープを用い、下記の条件により行った。すなわち、LD励起グレーンレーザー(波長532nm)を用い、使用対物レンズ50倍、照射レーザービーム径1.5μm、照射レーザーパワー1mW以下、測光ラマンシフト範囲4000~150cm-1、波数分解能6cm-1、積算回数10回とし、データベースとのスペクトル波形比較照合によるライブラリー検索により分析を行った。得られたスペクトルを図2に示す。
上記分析の結果、上記粒子Aはセルロースに近いスペクトルを有することがわかった。セルロースは、細胞壁を構成する多糖類成分であり、構成糖はグルコースである。また、3500~3300cm-1を中心とした幅の広いピークは主に水酸基に帰属するものであり、2900cm-1近傍にみられるピークはC-H結合に帰属するものである。水酸基およびC-H結合は、いずれも糖類にみられる基であることからも、粒子Aが植物界に属する生物の細胞壁を由来としていることがわかる。
(耐熱性、耐寒性および耐乾燥性)
まず、精製度を高めた粒子Aを超純水に分散させたものを凍結乾燥し〔図3(a)〕、その乾燥物を再度超純水に分散させたもの〔図3(b)〕を、上記外観の観察と同様に観察し〔図3(c)〕、上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出した〔図3(d)〕。つぎに、上記凍結乾燥物を超純水に分散させたもの〔図4(a)〕を、さらにオートクレーブにより加熱加圧(121℃、20分間)し、上記外観の観察と同様に観察し〔図4(b)〕、上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出した〔図4(c)〕。これらの結果を対比させて考察した結果、凍結乾燥を行っても、加熱加圧を行っても、粒子Aの外観および粒子径に大きな変化はみられず、粒子Aは、耐熱性、耐寒性および耐乾燥性に優れることがわかった。
(水分散性および保存性)
上記凍結乾燥物を超純水に分散させたもの〔図4(a)〕を、4℃の雰囲気下で1週間保存したものを図5(a)に示す。また、この保存後の分散液に含まれる粒子Aを、上記外観の観察と同様に観察し〔図5(b)〕、上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出した〔図5(c)〕。これらの結果は、いずれも粒子Aの外観および粒子径に大きな変化はみられないことを示しており、長期低温保存によっても、粒子Aの水分散性は保たれ、しかも保存性に優れることがわかった。
〔実施例2〕
ショウガ(ショウキョウ)(学名:Zingiber officinale、栃本天海堂社製、ショウキョウ刻み)を用い、実施例1と同様にして精製度を高めた粒子Bの集合体であるペレットを得た。
(外観の観察)
実施例1と同様にして、粒子Bを透過型電子顕微鏡により撮影した写真を図6(a)に示す。図6(a)によると、粒子Bは、その最大径が約200nmの球体であった。
(粒子径の分布の算出)
上記ペレット状に集合した粒子Bについて、実施例1と同様にして粒子径の分布を算出した。その結果を図6(b)に示す。図6(b)に示されるとおり、粒子Bの粒子径は、230nmの平均粒子径とする正規分布を示していた。
〔実施例3〕
クロレラ(ヤエヤマクロレラ、八重山殖産社製)を用い、実施例1と同様にして精製度を高めた粒子Cの集合体であるペレットを得た。図7(a)に、精製度を高めた粒子Cの集合体であるペレットを得た際の写真を示す。
(外観の観察)
実施例1と同様にして、粒子Cを透過型電子顕微鏡により撮影した写真を図7(b)に示す。粒子Cは、図7(b)に示されるとおり、その最大径が約400nmの球体であった。
(構成糖の分析)
上記粒子Cの構成糖の分析を、適量の試料として粒子Cを約0.15gを用いた以外は、実施例1と同様にして行った。その構成糖の分析結果を下記の表3に示す。
Figure 2023063411000005
上記表3に示されるとおり、粒子Cの構成糖の60重量%近くがグルコースである。そして、その他に、ガラクトース、フルクトース、ラムノース、リボース、マンノース等を有している。この結果は、カンゾウと同様に、クロレラの細胞壁を構成する成分の多くが、セルロースおよびヘミセルロースであることと相関するものである。すなわち、グルコースが多く、それ以外の多種の糖を含有するという結果は、粒子Cにはセルロースおよびヘミセルロースが多く含まれていることと矛盾しない。
(リグニンの分析)
上記粒子Cのリグニンの分析を、適量の試料として粒子Cを約0.15g用いた以外は、実施例1と同様にして行った。そのリグニンの分析結果を下記の表4に示す。
Figure 2023063411000006
上記の表4に示されるとおり、粒子Cには、リグニンが6.1重量%程度含まれている。この結果からも、粒子Cが、植物界に属する生物の細胞壁を由来としていることが裏付けられる。
〔実施例4〕
酵母(MCフードスペシャリティーズ社製、乾燥ビール酵母)および酵母(日本ガーリック社製、天然ビール酵母)を同量ずつ混合したものを用い、実施例1と同様にして精製度を高めた粒子Dの集合体であるペレットを得た〔図8(a)〕。
(外観の観察)
実施例1と同様にして、粒子Dを透過型電子顕微鏡により撮影した写真を図8(b)に示す。粒子Dは、図8(b)に示されるとおり、その最大径が約70nmの球体であった。
(粒子径の分布の算出)
上記ペレット状に集合した粒子Dについて、実施例1と同様にして粒子径の分布を算出した。その結果を図8(c)に示す。図8(c)に示されるとおり、粒子Dの粒子径は、66nmの平均粒子径とする正規分布を示していた。
(構成糖の分析)
上記粒子Dの構成糖の分析を、実施例1と同様にして行った。その結果を下記の表5に示す。表5に示される結果より、上記粒子Dの構成糖は、ほぼ全量がグルコースである。この結果は、酵母の細胞壁の多くがβ-グルカンで構成され、ヘミセルロースおよびリグニンをほぼ含有していないことに相関する。すなわち、β-グルカンは、グルコースのみからなる多糖類であるため、上記結果は、粒子Dにはβ-グルカンが多く含まれ、ヘミセルロースおよびリグニンを有しないことと矛盾しない。
Figure 2023063411000007
(リグニンの分析)
上記粒子Dのリグニンの分析を、実施例1と同様にして行った。その結果を下記の表6に示す。表6に示される結果より、上記粒子Dには、リグニンがほとんど含まれていないことがわかった。この結果からも、粒子Dが、酵母の細胞壁を由来としていることが裏付けられる。
Figure 2023063411000008
(Raman分析)
上記粒子DのRaman分析を、実施例1と同様にして行った。得られたスペクトルを図9に示す。分析の結果、上記粒子Dは、酵母の細胞壁の構成糖であるβ-グルカンの一種であるセルロースに近いスペクトルを有することがわかった。また、図9においても、主に水酸基に帰属する3500~3300cm-1を中心とした幅の広いピークがみられ、C-H結合に帰属する2900cm-1近傍のピークがみられた。水酸基およびC-H結合は、いずれも糖類にみられる基であることからも、粒子Dは酵母の細胞壁に由来としていると考えることができる。
(耐熱性、耐寒性および耐乾燥性)
まず、精製度を高めた粒子Dを超純水に分散させたものを凍結乾燥した〔図10(a)〕。そして、その凍結乾燥物を再度超純水に分散させたもの〔図10(b)〕を、上記外観の観察と同様にして観察し〔図10(c)〕、上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出した〔図10(d)〕。つぎに、上記凍結乾燥物を超純水に分散させたもの〔図11(a)〕を、さらにオートクレーブにより加熱加圧(121℃、20分間)し、上記外観の観察と同様に観察し〔図11(b)〕、上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出した〔図11(c)〕。これらの結果を対比させて考察した結果、凍結乾燥を行っても、加熱加圧を行っても、粒子Dの外観および粒子径に大きな変化はみられず、粒子Dは、耐熱性、耐寒性および耐乾燥性に優れることがわかった。
(水分散性および保存性)
上記凍結乾燥物を超純水に分散させたもの〔図10(b)〕を、4℃の雰囲気下で1週間保存したものを図12(a)に示す。また、この保存後の分散液に含まれる粒子Dを、上記外観の観察と同様に観察したものを図12(b)に示す。そして、この保存後の分散液に含まれる粒子Dを上記濃厚系粒径アナライザーで粒子径の分布を算出したものを図12(c)に示す。これらの結果は、いずれも粒子Dの外観および粒子径に大きな変化はみられないことを示しており、長期保存によっても、粒子Dは水分散性が保たれ、保存性に優れることがわかった。
〔本発明の粒子を用いた製剤についての検討〕
つぎに、実施例1,3,4で作製した粒子を用いた製剤(実施例5~7)と、これらの粒子を用いない製剤(比較例1~3)とを作製し、それぞれの溶出率(%)を算出した。また、実施例7および比較例3については、硬度および崩壊性の測定も行った。
〔実施例5、比較例1〕
実施例1で作製した粒子Aおよび下記の材料を準備し、これらの材料を撹拌混合し得られた混合物を、滑沢としてステアリン酸マグネシウムが塗布された臼杵を備えた打錠機(市橋精機社製、HANDTAB-100)を用いて6kNで圧縮し、120mgの製剤(直径7mm、曲率半径10mm)である実施例5を得た。また、比較例1として、粒子Aの代わりに乳糖を用いた以外は実施例5と同様にして120mgの製剤(本発明の粒子を用いない製剤)を作製した。下記の表7に、実施例5および比較例1の配合を示す。
Figure 2023063411000009
実施例5および比較例1について、下記の項目にしたがって溶出率(%)を算出した。その結果を後記の表8に示す。
(溶出率(%)の算出)
溶出試験器(富山産業社製、NTR-3000)を用いて、第16改正日本薬局方溶出試験法にしたがってその溶出率(%)を算出した。なお、上記試験は、試験液として精製水900mLを用い、パドル法にて行った。そして、試験開始60分後まで定期的に試験液をサンプリングし、0.45μmのメンブランフィルターを通したものを測定試料とした。得られた各測定試料の275nmにおける吸光度を、紫外可視吸光光度計(島津製作所社製、UV-1800)を用いて測定した。得られた吸光度を下記の式(2)に当てはめ、試験開始t分後における溶出率(%)を算出した。
溶出率(%)=試験開始t分後の吸光度/試験開始60分後の吸光度×100・・・(2)
Figure 2023063411000010
この結果から、混合物全体に対し、わずか16.7重量%の粒子Aの添加で、試験開始から30分後および40分後の時点で、約2倍の溶出率の遅延が確認できた。これより、粒子Aは、徐放型錠剤の添加剤としての機能を有していることがわかった。
〔実施例6、比較例2〕
実施例3で作製した粒子Cおよび下記の材料を準備し、これらの材料を撹拌混合し得られた混合物を実施例5と同様にして、120mgの製剤(直径7mm、曲率半径10mm)である実施例6を得た。また、比較例2として、粒子Cの代わりに乳糖を用いた以外は実施例6と同様にして120mgの製剤(本発明の粒子を用いない製剤)を作製した。下記の表9に、実施例6および比較例2の配合に示す。
Figure 2023063411000011
実施例6および比較例2について、実施例5および比較例1と同様に上記の項目に従い、試験開始t分後における溶出率(%)を算出した。その結果を下記の表10に示す。
Figure 2023063411000012
この結果から、混合物全体に対し、わずか16.7重量%の粒子Cの添加で、試験開始から10分後の時点で、約2倍の溶出率の遅延が確認できた。これより、粒子Cは、徐放型錠剤の添加剤としての機能を有していることがわかった。
〔実施例7、比較例3〕
実施例4で作製した粒子Dおよび下記の材料を準備し、これらの材料を撹拌混合し得られた混合物を、打錠機(市橋精機社製、HANDTAB-100)を用いて8kNで圧縮し、200mgの製剤(直径8mm、曲率半径12mm)である実施例7を得た。また、比較例3として、粒子Dの代わりに乳糖を用いた以外は実施例7と同様にして200mgの製剤(本発明の粒子を用いない製剤)を作製した。下記の表11に、実施例7および比較例3の配合を示す。
Figure 2023063411000013
実施例7および比較例3について、上記の項目に準じて試験開始70分後まで定期的に試験液をサンプリングし、吸光度を測定した。得られた値を下記の式(3)に当てはめ、試験開始t分後における溶出率(%)を算出した。その結果を下記の表12に示す。
溶出率(%)=試験開始t分後の吸光度/試験開始70分後の吸光度×100・・・(3)
Figure 2023063411000014
この結果から、混合物全体に対し、わずか10重量%の粒子Dの添加で、試験開始から5分後の時点から40分後の時点までの間で、約2倍の溶出率の亢進が確認できた。これより、粒子Dは、速溶解・崩壊型錠剤の添加剤としての機能を有していることがわかった。
また、実施例7および比較例3について、下記の項目にしたがって硬度および崩壊時間の測定を行った。その結果を後記の表13に示す。
(硬度の測定)
ロードセル式錠剤硬度計(岡田精工社製、ポータブルチェッカーPC-30)を用い、製剤の直径方向に徐々に荷重を加え、製剤が破砕した時の荷重をその製剤の硬度として測定した。測定はn=5で行い、その平均を製剤の硬度として採用した。
(崩壊時間の測定)
崩壊試験器(富山産業社製、NT-200)を用い、第16改正日本薬局方崩壊試験法にしたがってその崩壊時間(崩壊性)を測定した。なお、上記試験においては、試験液として精製水1000mLを使用し、測定温度は37±2℃とした。製剤が試験液に崩壊・分散するまでに要した時間を崩壊時間とした。
Figure 2023063411000015
上記表13に示された結果より、実施例7は、比較例3に対し硬度が高いことがわかった。しかしながら、実施例7は硬度が高いにもかかわらず、比較例3に対し製剤の崩壊までの時間が短くなっている。すなわち、本発明の粒子を製剤に用いると、硬度、崩壊性、および薬物の溶出性等の特性を制御する、今までにない非常に優れた添加剤になり得ることがわかった。
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
本発明の粒子は、医薬品、食品、化粧品等に代表される製剤の添加剤等に適している。
A 粒子

Claims (7)

  1. 細胞壁を構成する成分から得られる、最大径が1~800nmの粒子。
  2. 細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、球体である請求項1記載の粒子。
  3. 細胞壁を構成する成分から得られる粒子が、糖を主成分としている請求項1または2記載の粒子。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子を製造する方法であって、細胞壁を溶解する工程と、該工程により得られた溶解物から粒子を分離する工程とを備えることを特徴とする粒子の製造方法。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子を製造する方法であって、細胞壁を構成する成分を含有する液体を準備し、該液体から粒子を分離する工程を備えることを特徴とする粒子の製造方法。
  6. 請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子を含有することを特徴とする組成物。
  7. 上記組成物が、医薬組成物、食品組成物および化粧品組成物からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項6記載の組成物。
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