JP2023062959A - 異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法 - Google Patents

異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ローラジャーナル軸受の異常を検出するセンサの故障が発生し難くすることができる異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法を提供する。【解決手段】異常検出システムは、固体燃料粉砕装置の外殻を為すハウジング11の内部に収容されるとともに粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラ13を回転自在に支持するローラジャーナル軸受59の異常検出システムである。ローラジャーナル軸受59を介して粉砕ローラ13を支持するとともにハウジング11に取り付けられるジャーナルヘッド45のハウジング11の外側に位置する先端部に設けられ、粉砕ローラ13の回転によってジャーナルヘッド45に生じる情報を検知する検知部80と、検知部80が検知した情報に基づいて、ローラジャーナル軸受59の異常を検出する検出部と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法に関するものである。
従来、バイオマス燃料や石炭等の固体燃料は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、粉砕テーブルへ投入された固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
粉砕ローラは、ローラジャーナル軸受を介してジャーナルヘッドに回転自由に設置されている。また、ジャーナルヘッドは、ミルのハウジングに揺動自由に設置されている。粉砕ローラは、粉砕時にミルのハウジングに設置された油圧シリンダ等によって、ジャーナルヘッドを介して粉砕荷重が負荷される。このため、ミルの運転中において、ローラジャーナル軸受は、油圧シリンダ等からの荷重を粉砕ローラに伝達しつつ回転している。
ローラジャーナル軸受は、負荷される荷重及び回転速度に応じて、転動面にピーリングやフレーキングが発生する。このため、使用によって寿命が短くなっていき、ついには損傷し寿命を迎える。このため、ローラジャーナル軸受の寿命を調べる目的で転動面の異常を検出することが知られている(例えば、特許文献1)。
転動面の異常は、ローラジャーナル軸受の振動として現れることが多い。このため、特許文献1に記載の装置は、粉砕ローラの内部に異常検知センサ(振動センサ)を設け、ローラジャーナル軸受の発する振動を検出し、ローラジャーナル軸受の異常診断を実施している。
特開2018-81012号公報
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、振動センサを粉砕ローラの内部に設けている。このように、ローラジャーナル軸受の異常を検出するセンサが振動源である粉砕ローラの直近に設置されていると、粉砕ローラから伝達される振動によってセンサが故障し易いという問題があった。また、センサが高温のミル内に設置されているので、センサが故障し易いという問題があった。このため、センサの信頼性が低下するという問題があった。
また、センサがミル内の粉砕ローラの内部に設置されているので、センサの設置又は交換を行うには、ミルの運転を停止し、かつ、粉砕ローラを分解しなければセンサの交換ができない。このため、故障やメンテナンスによりセンサを交換する場合や、既設のミルにセンサを追設する場合に、センサの交換又は追設作業が長期間化するという問題があった。交換又は追設作業中は、ミルを稼働することができないので、稼働率が低下するという問題があった。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ローラジャーナル軸受の異常を検出するセンサの故障が発生し難くすることができる異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法を提供することを目的とする。
また、センサの交換及び追設を行い易くすることができる異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る異常検出システムは、固体燃料粉砕装置の外殻を為すハウジングの内部に収容されるとともに粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラを回転自在に支持するローラジャーナル軸受の異常検出システムであって、前記ローラジャーナル軸受を介して前記粉砕ローラを支持するとともに前記ハウジングに取り付けられる支持部の前記ハウジングの外側に位置する設置部に設けられ、前記粉砕ローラの回転によって前記支持部に生じる情報を検知する検知部と、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常を検出する検出部と、を備える。
本開示の一態様に係る異常検出方法は、外殻を為すハウジングの内部に収容されるとともに粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラを回転自在に支持するローラジャーナル軸受の異常検出方法であって、前記ローラジャーナル軸受を介して前記粉砕ローラを支持するとともに前記ハウジングに取り付けられる支持部の前記ハウジングの外側に位置する設置部に設けられ検知部によって、前記粉砕ローラの回転によって前記支持部に生じる情報を検知する検知工程と、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常を検出する検出工程と、を備える。
本開示によれば、ローラジャーナル軸受の異常を検出するセンサの故障が発生し難くすることができる。
また、センサの交換及び追設を行い易くすることができる。
本開示の第1実施形態に係る固体燃料粉砕装置及びボイラを示す構成図である。 本開示の第1実施形態に係る粉砕ローラ周りを示した部分拡大縦断面図である。 本開示の第1実施形態に係るジャーナルヘッド周りを示した部分拡大正面図である。 本開示の第1実施形態に係るジャーナルヘッド周りを示した部分拡大斜視図である。 本開示の第1実施形態に係るミル及び制御部の機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第1実施形態に係る制御部が行うバンドフィルタ処理を示すグラフである。 本開示の第1実施形態に係る制御部が行うエンベローブ処理を示すグラフである。 本開示の第1実施形態に係る制御部が行うFFT処理を示すグラフである。 本開示の第1実施形態に係る制御部が行う高調波成分を軸受振動周波数に重ね合わせる処理を示すグラフである。 本開示の第2実施形態に係る制御部のハードウェア構成図である。 本開示の第2実施形態に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第2実施形態に係る粉砕ローラの荷重状態を示す部分拡大縦断面図である。 本開示の第2実施形態に係るローラ傾斜角を示す部分拡大縦断面図である。 本開示の第2実施形態に係るローラ傾斜角を示す部分拡大縦断面図である。 本開示の第2実施形態に係るギャップセンサの構成例を示す図である。 本開示の第2実施形態に係る余寿命推定処理のフローチャートを示した図である。 本開示の第2実施形態に係る余寿命の推定結果を示す図である。 本開示の第2実施形態の変形例に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第2実施形態の変形例に係る余寿命の予測結果を示す図である。 本開示の第2実施形態の変形例に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第2実施形態の変形例に係るメンテナンス計画に係るシステムの例を示す図である。 本開示の第2実施形態に係るローラジャーナル軸受の時間当たりの推定余寿命及び軸受異常度の変化を示すグラフである。
以下に、本開示に係る異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る発電プラント1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例としてバイオマス燃料や石炭等の固体燃料を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕部)10と、バンカ(貯蔵部)21と、給炭機(燃料供給機)25と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部50とを備えている。
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル12と、粉砕ローラ13と、減速機(駆動伝達部)14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ(駆動部)15と、回転式分級機(分級部)16と、給炭管(燃料供給部)17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、給炭管17とを収容する筐体である。
ハウジング11の天井部42の中央部には、給炭管17が取り付けられている。この給炭管17は、バンカ21から給炭機25を介して導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、給炭管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。給炭管17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間に挟み込んで粉砕する。
固体燃料が給炭管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)110から導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
粉砕テーブル12の外周には、一次空気流路110から流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
粉砕ローラ13は、給炭管17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。給炭管17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った偏心軸48によって、ハウジング11の側面部に偏心軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動・変位可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置(粉砕荷重付与部)46が設けられている。押圧装置46は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に粉砕荷重を付与する。粉砕荷重は、例えば、ミル10の外部に設置された油圧装置(図示省略)から供給される作動油の圧力により作動する油圧シリンダ(図示省略)によって与えられる。また、粉砕荷重は、ばね(図示省略)の反発力によって与えられてもよい。
なお、粉砕ローラ13の詳細な構造については後述する。
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転式分級機16は、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に給炭管17の周りを回転する。
なお、分級部としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路(微粉燃料供給管)120へ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
給炭管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、給炭管17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の中央部に供給する。給炭管17の上端には、給炭機25が接続されており、固体燃料が供給される。
給炭機25は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部22によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部22の途中には、バンカ21からの固体燃料の排出状態を切り替える弁(コールゲート、図示省略)を設けてもよい。給炭機25は、搬送部26と、給炭機モータ27とを備える。搬送部26は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部22の下端部から排出される固体燃料を、給炭機モータ27の駆動力によって給炭管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、制御部50からの信号によって、例えば、搬送部26のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機25やバンカ21よりも圧力が高くなっている。バンカ21と給炭機25を接続するダウンスパウト部22の内部は、燃料が積層状態となっている。この固体燃料層により、ミル10からバンカ21に向けて、一次空気と微粉燃料が逆流を抑制するためのシール性(マテリアルシール)を確保している。
粉砕前の木質チップや木質ペレットなどのバイオマス燃料は、石炭に比べて、大きさが一定である。例えば、粉砕前の石炭は2~50mmの塊状であるのに対し、木質ペレットは直径6~8mmで長さ40mm以下の円柱状であり、均質である。石炭がダウンスパウト部22内に積層している場合、大きなサイズの石炭の間の隙間を、小さなサイズの石炭が充填する状態となっており、密な積層状態となっている。一方で、バイオマス燃料がダウンスパウト部22内に積層している場合、石炭に比べてサイズが均一であるため、サイズの異なる粒子による隙間の充填効果が得られず、バイオマス燃料間に形成される隙間が大きくなる。このため、ミル10内部の一次空気と粉砕燃料が、ダウンスパウト部22内の固体燃料層内に形成される隙間を通過して、ミル10内部から給炭機25とダウンスパウト部22を経てバンカ21へ向かう逆流が発生して、ミル10内部の圧力が低下する可能性は、バイオマス燃料を使用する場合に、石炭燃料を使用する場合と比べて高くなる。
また、一次空気と粉砕燃料がバンカ21側へ逆流し、ミル10内部の圧力が低下すると、ミル10内部での粉砕燃料の搬送性の悪化、給炭機25内部やバンカ21上部での粉塵の発生、給炭機25やバンカ21やダウンスパウト部22の内部の固体燃料への着火、及びバーナ220への微粉燃料の搬送量の低下など、固体燃料粉砕装置100及びボイラ200の安定した運転に種々の問題が生じる可能性がある。
このため、給炭機25とミル10内部を接続する給炭管17の途中にロータリバルブ(図示省略)を設けて、ミル10内部から給炭機25とダウンスパウト部22を経てバンカ21へ向かう一次空気と粉砕燃料の逆流の発生を抑制するようにしてもよい。
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、例えば、ガス再循環通風機(図示省略)によってボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路110からハウジング11の内部へ送風する一次空気中の酸素濃度を調整してもよい。一次空気中の酸素濃度を調整することによって、例えば、着火性の高い(着火しやすい)固体燃料を使用する場合、ミル10からバーナ220に至るまでの経路において、固体燃料が着火することを抑制することができる。
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータを、制御部50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路110からハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給管120へ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口一次空気温度)や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の温度(ミル出口一次空気温度)を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、固体燃料の性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却されるため、ミル入口の一次空気温度は、例えば常温から約300度程度、ミル出口の一次空気温度は、例えば常温から約90度程度となる。
制御部50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機モータ27へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御部50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御部50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度(ミル出口一次空気温度)が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。なお、一次空気の温度の制御は、ミル入口における温度(ミル入口一次空気温度)に対して行ってもよい。
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
なお、制御部50の構成は上記説明の構成に限定されない。例えば、制御部50のハードウェア構成は、図11に示すように構成してもよい。図11に示す構成の詳細については後述する。
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
バーナ220は、微粉燃料供給管120から供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
次に、粉砕ローラ13の詳細及び異常検出システムについて図2から図9を用いて説明する。
まず、粉砕ローラ13の詳細な構成の例を図2から図4を用いて説明する。粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド(支持部)45によってハウジング11に支持されている。ジャーナルヘッド45は、粉砕ローラ13を取り付けるジャーナル軸52と、ジャーナル軸52を保持する本体56と、本体56の側部に固定して取り付けられた偏心軸48と、本体56の上面に上方へ延在するように取り付けられた支持アーム47と、本体56の下面に下方に突出するように設けられた突起部57を備える。
粉砕ローラ13の中心には、略円筒形状をした中空のハブ51が取り付けられている。粉砕ローラ13は、ハブ51を介して、ジャーナル軸52の先端部に取り付けられる。すなわち、粉砕ローラ13はジャーナル軸52に対してジャーナル軸受(ローラジャーナル軸受)59を介して取り付けられることによって、粉砕ローラ13は、ジャーナル軸52を中心に周方向に回転可能となっている。ローラジャーナル軸受59は、例えば、ころ軸受とされている。なお、後述するように、本実施形態では、ローラジャーナル軸受59の異常を検出する。偏心軸48は、軸線が略水平方向であり、粉砕テーブル12の円形形状の接線方向に延在するように配置されている。ジャーナルヘッド45は偏心軸48を中心に回動可能となっており、偏心軸48を中心に回動することにより、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の距離(リフト量X(図15参照))が変化する。
ハウジング11には、支持アーム47の上端部を押圧する押圧装置46が取り付けられている。押圧装置46は、長手方向に移動可能な状態でハウジング11に取り付けられた中間ピストン53と、ハウジング11の外周に取り付けられ中間ピストン53の外側端部を押圧する油圧荷重部54を備える。中間ピストン53の内側端部は、支持アーム47の上端部外周側に接触している。押圧装置46は、油圧荷重部54によって油圧荷重L1(図12参照)を発生させ、中間ピストン53を長手方向に移動させることにより、ジャーナルヘッド45を、偏心軸48を中心に揺動させる。すなわち、粉砕ローラ13は、押圧装置46によって粉砕テーブル12に押圧されている。
突起部57は、ジャーナルヘッド45が偏心軸48を中心に一定の位置まで揺動した場合に、ストッパ58に突き当たる。ストッパ58は、粉砕ローラ13の粉砕テーブル12を押圧する方向への移動量を制限する制限部材として機能する。
次に、異常検知システムについて説明する。異常検知システムは、粉砕ローラ13の駆動によってジャーナルヘッド45に生じる振動を検知する振動センサ80と、振動センサ80が検知した振動情報に基づいて、ローラジャーナル軸受59の異常(損傷等)を検出する制御部(検出部)50と、を備える。
図3及び図4に示すように、偏心軸48は、ハウジング11を貫通するように配置されている。これにより、偏心軸48の水平方向の先端部(設置部)48aは、ハウジング11の外側に位置している。すなわち、先端部48aは、ハウジング11の外部に露出している。
図3に示すように、先端部48aの端面には、台座81が固定されている。先端部48aと台座81とは、相対移動しないように固定されている。台座81は、水平方向に延びる脚部と、脚部の先端に固定される鉛直板部とを有する。鉛直板部の板面には、振動センサ80が固定されている。詳細には、第1センサ80a,第2センサ80b及び第3センサ80cが固定されている。台座81と第1センサ80a,第2センサ80b及び第3センサ80cとは、相対移動しないように固定されている。
第1センサ80aは、例えば、上下方向(図4のY軸方向)の振動を検知する。第2センサ80bは、例えば、偏心軸48の延在方向(図4のZ軸方向)の振動を検知する。第3センサ80cは、ジャーナル軸52の延在方向(図4のX軸方向)の振動を検知する。
なお、図4では偏心軸48の両端に先端部48aはあるが、1センサ81a,第2センサ80b及び第3センサ80cは先端部48aのいずれか一端に設ければよい。
上述のように、粉砕ローラ13等は偏心軸48の中心軸線(図3の一点鎖線参照)を中心として揺動可能にとされている。このため、ローラジャーナル軸受59の振動の内、上下方向(図4のY軸方向)の振動は、偏心軸48を中心とした回転運動として伝達される。したがって、上下方向の振動を検知する為のセンサは、偏心軸48の中心軸線上に設置しないことが望ましく、好ましくは、偏心軸48の外周部に接線方向の振動を検知可能となるように設置することが良い。これは、偏心軸48には振動がねじり方向(図3の矢印参照)の振動として伝達されるため、偏心軸48の中心軸線上に設置してしまうと、ねじり振動を検出する為のセンサを使用しなければならず、その他方向の軸方向振動を検知するセンサと共通にすることができなくなる可能性があるからである。
本実施形態では、図2および図3に示すように、第1センサ80a,第2センサ80b及び第3センサ80cの全てが偏心軸48の中心軸線上には位置していない。
振動センサ80を偏心軸48の先端部48aに設置すると、例えば、粉砕ローラ13の内部にセンサを設ける場合等と比較して、振動源であるローラジャーナル軸受59から振動センサ80までの距離が長くなる。このため、振動センサ80に伝達される振動が減衰してしまう可能性がある。振動が減衰してしまうと正確にローラジャーナル軸受59の異常を検出することができない可能性があるので、振動の減衰に対する対策を行うことが好ましい。
このため、本実施形態では、ローラジャーナル軸受59から振動センサ80までの振動の伝達経路は最短かつ、剛性の高い構造としている。本実施形態では、図2に示すように、ローラジャーナル軸受59の振動は、ジャーナル軸52及びジャーナルヘッド45(本体56及び偏心軸48)を介して伝達される。したがって、これらの振動伝達経路となる部品の接合は、それぞれの部品同士に相対運動を許さない剛接合とされている。
詳細には、ローラジャーナル軸受59とジャーナル軸52との接合、ジャーナル軸52とジャーナルヘッド45(詳細には、本体56)との接合、本体56と偏心軸48との接合及び偏心軸48と振動センサ80(詳細には、台座81)との接合が剛接合とされている。
剛接合の具体的な例としては、焼き嵌めやテーパ圧入による接合等が挙げられる。また、一体物として製造することで剛接合としてもよく、締結具で強固に固定することで剛接合としてもよい。
また、伝達経路となる部品(ジャーナル軸52やジャーナルヘッド45の本体56や偏心軸48)は、各々、剛性を高めるために、長手方向と交差する方向で切断した際の断面が十分な面積を有している。このように構成することで、各部品の変形を抑制し、変形に起因して振動が減衰し難くすることができる。
また、ローラジャーナル軸受59から振動センサ80までの伝達経路となる各部品は、鋳鉄等の振動減衰能が高い材料ではなく、構造用炭素鋼又は鋳鋼等の振動減衰能が低い材料で形成されている。このように構成することで、振動の減衰を抑制することができる。
ローラジャーナル軸受59の異常時に発生する振動周波数は、ローラジャーナル軸受59の構造と粉砕ローラ13の回転速度によってある程度推定することができる。振動伝達経路となる部品の固有振動数(ノイズ)は、ローラジャーナル軸受59の異常時に発生すると予想される振動周波数(シグナル)と一致しないように設定されている。これは、振動伝達経路となる部品の固有振動数とローラジャーナル軸受59の異常時に発生する振動周波数が一致してしまうと、振動センサ80で検知された振動波形が、ローラジャーナル軸受59の異常振動によるものであるのか、振動伝達経路となる部品の固有振動数であるのかの判断が不能となる可能性があり、このような不具合を防止するためである。
なお、振動伝達経路となる部品の固有振動数は、計算により求めても良いし、現品のハンマリング試験等を行って実験的に求めても良い。また、振動伝達経路となる部品の固有振動数と、ローラジャーナル軸受59の異常時に発生する振動周波数とが仮に一致してしまった場合は、振動伝達経路となる部品のばね定数や質量を変更し、固有振動数を予想される振動周波数とずらすことが好ましい。また、特定の高調波成分(N次)のみが一致する場合は、その高調波を評価から外す処理を施してもよい。
本実施形態では、上述のように、振動伝達経路となる部品が多い。このため、振動センサ80で検知された振動の情報は、ローラジャーナル軸受59の振動の情報以外に、多くの振動の情報(ノイズ)を含んでいる。特に、図5に示すように、ミル10は、固体燃料の粉砕に伴う振動が外乱となり、ローラジャーナル軸受59から振動センサ80に振動が伝達されるまでに、ローラジャーナル軸受59の振動以外の大きな振動を多く含んでいる。このため、制御部50で振動の評価を行う前に受信した信号の処理を行うことが好ましい。
本実施形態の制御部50は、信号増幅器91、信号処理装置92、信号計算装置93及びプラント制御装置94等を有している。また、本実施形態の固体燃料粉砕装置100では、振動センサ80が検知した振動の信号を信号増幅器91(例えば、アンプ)で増幅する。そして、増幅した信号を信号処理装置92で処理し外乱を除去する。そして、処理した信号を信号計算装置93で計算し、ローラジャーナル軸受59の異常を検出する。また、信号計算装置93によって、ローラジャーナル軸受59の異常度合(損傷度合)や、ローラジャーナル軸受59の交換時期等を導出してもよい。また、信号計算装置93等で導出した情報を表示装置95に表示してもよい。
信号計算装置93は、導出した情報をプラント制御装置94に送信し、プラント制御装置94は、受信した情報に基づいて、ミル10等の発電プラント1を構成する各種装置を制御する。また、制御内容を表示装置96に表示してもよい。
次に、制御部50(信号処理装置92及び信号計算装置93)が行う信号処理の方法及び信号の計算方法の一例について図6から図9を用いて説明する。
制御部50は、まず、フィルタ処理を行う。フィルタ処理は、振動センサ80が検出した振動情報に対して、伝達経路となる部品の固有振動数の信号を除去し、必要周波数帯の信号のみをピックアップする処理である。フィルタ処理の詳細について図6を用いて説明する。図6の(a)は、振動センサ80が検出した信号値の経時変化を示している。また、図6の(c)は、伝達経路となる部品の固有振動数を示している。また、図6の(b)は、振動センサ80が検出した振動情報から、伝達経路となる部品の固有振動数の信号を除去した信号値を示している。すなわち、図6の(b)と(c)を足したものが(a)となる。
なお、フィルタ処理で、固体燃料の粉砕による振動の周波数の信号を除去してもよい。
次に、制御部50は、フィルタ処理を行った信号値(図6(b)及び図7(a)で示す信号値)に対して、エンベローブ処理(包絡線処理)を行う。エンベローブ処理は、ローラジャーナル軸受59の転動面に発生した傷の凹凸による細かい振動による信号を除去し、傷の外形を表す包絡線信号へ変換する処理である。エンベローブ処理を行うことで、図7(b)に示すように、信号値の各山が単純化される。
次に、制御部50は、エンベローブ処理を行った信号値(図7(b)及び図8(a)で示す信号値)に対して、周波数解析処理を行う。周波数解析処理は、例えば、高速フーリエ変換(FFT、Fast Fourier Transform)処理であり、周波数毎に信号の大きさを整理する処理である。FFT処理を行うことで、図8(b)に示すように、周波数に対する信号値の大きさの分布が示される。
次に、制御部50は、FFT処理を行った信号値(図8(b)及び図9(a)で示す信号値)に対して、ローラジャーナル軸受59の損傷時に発生する振動の周波数(特定周波数)とその整数倍となる高調波成分を重ね合わせる処理を行う。なお、この特定周波数は軸受固有の数値であり、軸受の寸法(内輪、外輪、転動体の径)と、回転速度より理論値を求めることができる。詳細には、この処理は、図9(a)の周波数差X1及び周波数差X2に対する信号値の大きさの平均値を、それぞれ導出する処理である。この処理を行うことで、図9(b)に示すように、周波数差に対する信号値の大きさの分布が示される。本実施形態では、周波数差X2近傍がローラジャーナル軸受59の異常周波数とされている。このため、図9(b)の例では、周波数差X2の信号値が大きくなっているので、ローラジャーナル軸受59に異常が発生していると判断することができる。
このようにして、制御部50(信号処理装置92及び信号計算装置93)は、信号処理及び計算を行う。なお、信号処理及び計算の方法は一例であり、上記説明の方法に限定されない。例えば、振動センサ80が検出した振動情報に含まれるノイズが十分に小さいと判断される場合には、フィルタ処理やエンベローブ処理を省略してもよい。
次に、制御部50(信号処理装置92及び信号計算装置93)が行うローラジャーナル軸受59の異常度合(損傷度合)を導出する方法の一例について説明する。
基本的に、ローラジャーナル軸受59の寿命消費が進むほど(すなわち、異常度合が進行するほど)、特定周波数(ローラジャーナル軸受59の異常時に発生する振動の周波数)とその整数倍となる高調波成分の振動が増加する。その閾値(どこまで振動が大きくなったら壊れるか)は下記の要領で評価する。
通常、ローラジャーナル軸受59の異常(損傷)は以下のように徐々に進行する。以下では、異常度合を異常度合が低い方から順番に、「創生期」「損傷初期」「損傷中期」「損傷後期」の4段階に分けて説明する。創生期には、10kHz以上の周波数領域の振動が増加する。このとき、ローラジャーナル軸受59の転動面には、極微小な傷が発生しているが、目視では光沢の差程度としか認識できない。損傷初期には、数kHz程度の周波数領域の振動が増加する。このとき、ローラジャーナル軸受59の転動面には転送痕が発生している。損傷中期には、数十Hz~1kHzの周波数領域の振動が増加する。このとき、ローラジャーナル軸受59の転動面には初期の剥離が発生している。損傷後期には、全周波数領域で振動が増加する。このとき、ローラジャーナル軸受59の転動面には明確な剥離が発生している。
このように、異常度合が進行するに従って、検出される振動信号の周波数領域が、低周波数側にシフトしていく。したがって、振動信号を周波数解析し、各周波数領域における特定周波数とその高調波成分の振動をそれぞれ処理し、該周波数領域における異常周波数の振動の増加を検知した場合に、該周波数領域に対応する度合まで、損傷が進行したと判断することができる。
なお、振動が増加したと判定する閾値として、振動加速度の場合は0.1~10Gの間で、機器の仕様に基づいて設定されることが好ましいが、一般的な構造であればISO-10816やJIS-B-0906に示されている値としても良い。
なお、異常度合の進行に応じてローラジャーナル軸受59のステータスを、表示装置95、96等に表示を行ってもよい。具体的には、例えば、創生期には、「正常、自衛的予備品の準備をお願いします。」と表示してもよい。また、損傷初期には、「損傷初期、予備品を購入して下さい。」と表示してもよい。また、損傷中期には、「損傷中期、交換を計画して下さい。」と表示してもよい。また、損傷後期には、「損傷後期、ローラジャーナル軸受を交換して下さい。」と表示してもよい。
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、振動センサ80がジャーナルヘッド45に設けられている。これにより、例えば、粉砕ローラ13の内部に振動センサ80を設ける場合と比較して、粉砕ローラ13で生じる振動が振動センサ80へ伝達され難くすることができる。したがって、粉砕ローラ13の振動に起因する振動センサ80の故障の発生を抑制することができる。また、振動センサ80がジャーナルヘッド45のハウジング11の外側に位置する偏心軸48の先端部48aに設けられている。これにより、振動センサ80がミル10のハウジング11内の粉砕された固体燃料や高温のガス(空気等)の影響を受け難いので、振動センサ80の故障の発生を抑制することができる。このように、振動センサ80を故障し難くすることができるので、振動センサ80の信頼性を向上させることができる。
また、振動センサ80がハウジング11の外側に位置する偏心軸48の先端部48aに設けられている。これにより、ミル10の運転を停止したりハウジング11や粉砕ローラ13の分解をしたりすることなく、振動センサ80にアクセスすることができる。このため、故障やメンテナンスにより振動センサ80を交換する場合や、既設のミルに振動センサ80を追設する場合等に、振動センサ80の交換又は追設作業を簡易化することができる。また、交換又は追設作業中であっても、ミル10を稼働することができるので、稼働率を向上することができる。
本実施形態では、制御部50は、振動センサ80が検知した振動に基づいて、ローラジャーナル軸受59の異常を検出する。粉砕ローラ13が固体燃料を粉砕すると粉砕ローラ13が振動する。粉砕ローラ13で生じた振動は、粉砕ローラ13からローラジャーナル軸受59を介してジャーナルヘッド45へ伝達される。このため、ローラジャーナル軸受59に異常が発生すると、ジャーナルヘッド45へ伝達される振動が変化する。したがって、ローラジャーナル軸受59の異常を検出することができる。
粉砕ローラ13が固体燃料を粉砕する際に発生する振動の周波数やローラジャーナル軸受59から振動センサ80までの伝達経路の固有振動数は、ローラジャーナル軸受59の状態(正常か異常か)によって変動するものではない。本実施形態では、振動センサ80で検知された振動の情報から、このようなローラジャーナル軸受59の状態によって変動するものではない周波数成分を除去している。したがって、ローラジャーナル軸受59の異常を検出する精度を向上させることができる。
本実施形態では、制御部50が、振動センサ80が検知した振動の情報に対して周波数ごとに信号の大きさを整理する処理(周波数解析)を行う。これにより、より正確にローラジャーナル軸受59の異常を検出することができる。
本実施形態では、制御部50が、振動センサ80が検知した振動の情報に基づいて、ローラジャーナル軸受59の異常の進行度合いを検出する。ローラジャーナル軸受59の異常(例えば、損傷)が進行すると、ジャーナルヘッド45の振動が変化する。このため、制御部50がローラジャーナル軸受59の異常の進行度合いを検出することができる。
本実施形態では、ジャーナルヘッド45とローラジャーナル軸受59とは、相対移動しないように接合されている。また、ジャーナルヘッド45と振動センサ80とは、相対移動しないように接合されている。これにより、ジャーナルヘッド45とローラジャーナル軸受59との接合部分及びジャーナルヘッド45と振動センサ80との接合部分において、ローラジャーナル軸受59からの情報が変化し難い。したがって、ローラジャーナル軸受59の情報を適切に振動センサ80で検知することができる。よって、より正確にローラジャーナル軸受59の異常を検出することができる。
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
振動センサ80の設置場所は、偏心軸48の先端部48aに限らず、ローラジャーナル軸受59の近傍であって、ミル10のハウジング11の外側であって、かつ、振動伝達時の減衰が小さい箇所であればいずれでも構わない。例えば、図2の破線で示すように、ジャーナル軸52の基端部(粉砕ローラ13が設けられている端部とは反対側の端部)がミル10のハウジング11の外側に位置している構造の場合は、ジャーナル軸52の基端部に振動センサ80を設けてもよい。
また、1つのミル10に複数の粉砕ローラ13が設けられていて、ローラジャーナル軸受59も複数設けられている場合は、各粉砕ローラ13に対し振動センサ80を設置することが好ましい。これは損傷状況については各粉砕ローラ13で状況が異なる可能性があるからである。また、各粉砕ローラ13に対して振動センサ80を設置せずに、代表の粉砕ローラ13のみに振動センサ80を設置してもよい。この場合には、軽微な異常が検出された時点で全てのローラジャーナル軸受59を交換するなど、ローラジャーナル軸受59の損傷がミル10全体の異常に波及することがないよう、予防措置を行うことが望ましい。
また、1つのローラに2つ以上のローラジャーナル軸受59が設置されている場合は、異なる仕様の軸受を用いることで、軸受の損傷時に発生する特定周波数が異なるようにして、振動センサ80にて検知される周波数差から、いずれのローラジャーナル軸受59が損傷したかを推定できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ローラジャーナル軸受59の異常を検出するのに、振動センサ80を用いたが、ローラジャーナル軸受59の異常検出に用いるセンサは、振動センサ(加速度センサ)に限定されない。例えば、速度センサ、変位センサ又は歪みゲージや音響センサを用いてもよい。
また、振動センサ80は、容易に交換可能に設置されていてもよい。また、ミル10のメンテナンス時に一時的に取り外しが可能に設置されることが望ましい。
また、振動センサ80はローラジャーナル軸受59から生じるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向(図4参照)の振動を各々検知可能となるように設置することが好ましいが、必要に応じ、いずれかを省略してもよい。なお、本実施形態では、上述のように、X軸方向とはジャーナル軸52の延在方向であり、Y軸方向とは上下方向であり、Z軸方向とは偏心軸48の延在方向である。また、振動センサ80は1方向のみの振動を検知してもよく、本実施形態のように複数方向の振動を検出してもよい。振動センサ80が少なくとも異なる2方向の振動を検知可能とすると、様々な態様の振動を検知することができるので、制御部50において、ローラジャーナル軸受59の異常の検出精度を向上させることができる。また、異なる2方向は、直交する方向同士であるとより好適である。
また、ローラジャーナル軸受59は、通常ローラジャーナル軸受59の下部側、すなわち粉砕部側にて荷重を負担する際に、転動面の傷が振動として伝達される。例えば、振動センサ80を用いた場合、軸受の損傷による振動は上下方向の変位として発生するため、ジャーナル軸52を上下方向の振動として伝達し、ジャーナルヘッド45で90°向きを変えて、偏心軸48の先端部48aの振動センサ80へは、ねじり振動(X、Y軸方向に変位する振動)として伝達され、検知される。したがって、Z軸方向の振動を検知するセンサ(第2センサ80b)については、X、Y軸方向の振動を検知するセンサ(第1センサ80a及び第3センサ80c)に比較して重要度は小さい。このため、振動センサ80を省略する場合は、まず第2センサ80bから省略してもよい。なお、各センサからの出力については、別々に計算しても良く、途中で値を合算しても良い。
また、振動センサ80に防水、防塵、防爆等のカバーを設けてもよい。ただし、カバーを設ける場合には、信号の検知に影響の無いようにすることが好ましい。
また、振動センサ80から制御部50までは、外部ノイズの影響を受けにくいシールドケーブル、光ケーブルなどで配線してもよい。
また、異常検知システムは、常時計測を行う常設監視計器としてもよく、また、必要に応じて一時的に計測を行うスポット計測としても構わない。スポット計測とする場合は、計測を行うタイミングを適切に設定することが好ましい。例えば、ローラジャーナル軸受59の使用開始当初(新品時)に実施して基本データを取り、一定期間使用後の余寿命が減少したタイミングでデータを取ることとしても構わない。ただし、スポット計測の場合は、計測を行っていない時に、急速にローラジャーナル軸受59の状態が悪化したとしても検知できない可能性があるので、異常検知システムは常設とする方が好ましい。
また、スポット計測を行う場合、ミル10の運転条件(使用する固体燃料種、固体燃料供給量など)はできるだけ同一条件で実施することが好ましい。このようにすることで、ミル10の運転条件の差によるバラツキを抑え、軸受異常の判定精度を向上させることができる。常設の場合は、各運転条件によるデータを蓄積することで、運転条件毎の異常判定閾値を自動的に設定するように構成されることが好ましい。
また、制御部50が行う信号処理の適用順序は、目的を逸脱しない範囲でミル10の運転状態を加味して適宜変更しても良い。また、上記で説明した処理以外にも、追加の処理を加えても良い。例えば、振動の伝達経路となる部品の固有振動数と、ローラジャーナル軸受59異常時に発生する振動の周波数のうち特定の高調波成分(N次)のみが一致する場合は、その高調波の周波数域の信号を、評価から外す処理を施してもよい。
また、軸受異常判定の閾値は、過去の運転実績データから類推した標準値を使用しても良い。また、MT法(Maharanobis Taguchi System)により、変化傾向を捉えて異常検知判定としてもよい。なお、ミル10の運転条件により振動情報信号が変化する為、ミル10の運転条件に応じて、異常判定閾値を変化させることが好ましい。
また、制御部50が異常と判定した場合は、異常検知の情報をプラント制御装置94の表示装置96に表示してもよい。また、それをトリガーとしてミル10の運転条件の変更(例えば、燃料供給量の減操作など)、ローラジャーナル軸受59の詳細点検、交換、部品手配等を行ってもよい。なお、情報の表示先はプラント制御装置94に限らず、登録されたパソコンやスマートフォン等の情報端末にメール等で情報を発信しても良い。また、現場表示のみとしても良い。異常検知システムをプラント制御装置94から独立したシステムとする場合には、プラント制御装置94の改造を省略することができる。
また、制御部50が異常と判定した場合は、メーカ(ミル10の製作納入者)に情報を連絡するシステムとしてもよい。メーカは異常判定情報を受信した場合にユーザ(ミル10の使用者)に対して適切な提案(精密診断、部品購入、工事時期調整等)を行ってもよい。また、情報はメーカ、ユーザ以外の第三者に連絡されても良く、例えば軸受メーカに連絡され、軸受の生産枠調整が行われても良く、メンテナンス会社に連絡されてメンテナンス予算確保などに使用されても良い。
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。本実施形態では、制御部50が余寿命推定システムを備える点で第1実施形態と異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る余寿命推定システムは、例えば、以下のように構成される。
制御部50は、ローラジャーナル軸受59における余寿命の推定を行う。すなわち、制御部50は、粉砕テーブル12との間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラ13のローラジャーナル軸受59の余寿命推定システムとしての機能を有している。なお、余寿命推定システムとしての機能は、制御部50とは別の制御装置に設けることとしてもよい。
図10は、本実施形態に係る制御部50のハードウェア構成の一例を示した図である。
図10に示すように、制御部50は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU111と、CPU111が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)121と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)130と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)140と、ネットワーク等に接続するための通信部150とを備えている。これら各部は、バス180を介して接続されている。
また、制御部50は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
なお、CPU111が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM121に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でHDD140等に記録されており、このプログラムをCPU111がRAM130等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM121やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDD140はソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
図11は、制御部50が備える余寿命推定に関する機能を示した機能ブロック図である。図11に示されるように、制御部50は、取得部62と、推定部63とを備えている。
取得部62は、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報の計測値と、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報の計測値とを取得する。取得部62では、ローラジャーナル軸受59の余寿命推定において実際の運転状態を反映するために重要な、粉砕ローラ13にかかる荷重に関する情報の計測値と、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報とを取得している。
粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報とは、図12に示すように、粉砕ローラ13における粉砕テーブル12から受ける荷重L2に関する情報である。粉砕テーブル12からの荷重L2とは、粉砕テーブル12の上面に供給されて粉砕される固体燃料に対して粉砕ローラ13が押圧されることによって粉砕テーブル12から受ける力(荷重)である。すなわち、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13の接触面もしくは粉砕ローラ13と粉砕テーブル12の隙間が最小と設定するときの近接した対面に垂直な方向に粉砕ローラ13が受ける力である。粉砕テーブル12からの荷重L2は、粉砕テーブル12の回転軸と平行な軸AX1に沿って作用する(例えば、回転軸方向となる)。なお、図12における粉砕テーブル12の形状は一例であり該形状に限定されない。
本実施形態では、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報として、押圧装置46における付加荷重(粉砕ローラ13を粉砕する固体燃料を介して粉砕テーブル12に向けて押し付ける押圧力)、すなわち油圧荷重部54における油圧荷重L1を取得する場合について説明する。油圧荷重(付加荷重)L1については、粉砕テーブル12に対して粉砕ローラ13を押圧制御する際に制御されるパラメータであり設置されたセンサによって実測値が計測され取得部62へ出力される。センサは例えばロードセルや感圧センサなどの圧力センサが使用できる。なお、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報としては、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関するパラメータであれば油圧荷重(付加荷重)L1に限定されず適用することができる。例えば、粉砕ローラ13に掛かる荷重やローラジャーナル軸受59に掛かる荷重を直接的にセンサによって計測し、取得することとしてもよい。
粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報とは、図13(ローラ傾斜角を示す部分拡大縦断面図)に示すように、ローラ傾斜角θに関する情報である。ローラ傾斜角θとは、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾きであり、粉砕テーブル12の回転軸方向の軸(または回転軸と平行な軸)AX1と、粉砕ローラ13の回転軸AX2に垂直な軸(垂直な面)AX3とがなす角である。
本実施形態では、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報として、粉砕ローラ13のリフト量Xを用いる。粉砕ローラ13のリフト量Xとは、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との距離である。リフト量Xは粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に粉砕される固体燃料が存在することで生じる距離である。粉砕ローラ13は偏心軸48を中心に回動するため、リフト量Xは、偏心軸48に対して粉砕ローラ13が上下に移動した場合における粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との距離となる。リフト量Xは、本実施形態では、例えば図15のようなギャップセンサによって取得される。リフト量Xはリニア移動センサ、静電容量距離センサやレーザ距離センサなどでもよい。図7では、偏心軸48に対して計測バー71とギャップセンサ72が設けられている。計測バー71は、偏心軸48の回転(粉砕ローラ13の回転)に伴って回転する。ギャップセンサ72は設置位置が固定されており、ギャップセンサ72と計測バー71との間の距離を計測する。図14及び図15において、粉砕ローラ13の中心軸(AX3)と偏心軸48との距離Lとリフト量Xとの比と、ギャップセンサ72における計測バー71の長さlとギャップ値xとの比は等しくなる。このため、以下の式(1)によりギャップセンサ72よりリフト量Xを算出することができる。
Figure 2023062959000002
なお、式(1)において、L及びlは設計値であり、xはギャップセンサ72より取得できるため、リフト量Xが算出可能となる。なお、リフト量Xの計測は、押圧装置46の動作量、例えば中間ピストン53の移動量から算出してもよいし、直接的にリフト量Xが計測可能であればリフト量Xを計測することとしてもよい。
取得部62では、リフト量Xを取得することとしてもよいし、ギャップセンサ72の出力であるギャップ値xを取得することとしてもよい。また、突起部57及びストッパ58により粉砕ローラ13の移動量に制限が設けられ、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間に隙間が設けられている場合は、ギャップ値xの0(零)点を粉砕ローラ13と粉砕テーブル12の隙間が最小とする点として置いてもよく、同様にギャップセンサ72のギャップ値xの0(零)点をギャップセンサ72と計測バー71との間の距離が最小とする点として置いてもよい。
なお、本実施形態では、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報として粉砕ローラ13のリフト量Xを用いることとしているが、ローラ傾斜角θに関する情報であれば粉砕ローラ13のリフト量Xに限定されず用いることが可能である。また、ローラ傾斜角θを直接的にセンサ等で計測して取得することとしてもよい。また、後述するように、本実施形態では、粉砕ローラ13のリフト量Xからローラ傾斜角θを算出し、スラスト荷重Lsとラジアル荷重Lrとを算出して余寿命推定に使用しているが、粉砕ローラ13のリフト量Xを取得した場合にはローラ傾斜角θの算出を介さずに、スラスト荷重Ls及びラジアル荷重Lrの算出や余寿命推定を行うこととしてもよい。この場合には、取得部62は、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報の計測値と、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13のリフト量Xに関する情報の計測値とを取得する。粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13のリフト量Xに関する情報は、リフト量Xに関する情報であればリフト量Xに限定されず用いることが可能である。
推定部63は、取得部62において取得した情報に基づいて、ローラジャーナル軸受59の余寿命を推定する。具体的には、推定部63は、ローラジャーナル軸受59に負荷されるラジアル荷重Lrとスラスト荷重Lsとを算出し、ラジアル荷重Lrとスラスト荷重Lsとに基づいてローラジャーナル軸受59の余寿命を推定する。
図12は、粉砕ローラ13周りの各荷重の関係を示した図(部分拡大縦断面図)である。図12に示すように、油圧荷重L1によって、粉砕ローラ13が粉砕テーブル12へ押し付けられるため、粉砕テーブル12からの荷重L2が粉砕ローラ13へ掛かっている。粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間には粉砕される固体燃料が存在してもよい。そして、粉砕テーブル12からの荷重L2は、粉砕ローラ13を介してローラジャーナル軸受59に対しても掛かっている。ローラジャーナル軸受59の受ける荷重L2をラジアル成分とスラスト成分とに分解することで、ローラジャーナル軸受59におけるラジアル荷重Lrとスラスト荷重Lsを算出することができる。推定部63では、ラジアル荷重Lrとスラスト荷重Lsとにより、ローラジャーナル軸受59の余寿命を推定している。なお、ラジアル荷重Lrとスラスト荷重Lsを用いてローラジャーナル軸受59の寿命を推定する方法については、公知の手法を用いることが可能である。
具体的には、推定部63には、取得部62において取得した油圧荷重L1とリフト量Xが入力される。なお、推定部63には、ギャップ値xが入力され上述の計算によりリフト量Xを算出することとしてもよい。推定部63では、入力された油圧荷重L1に基づいて、粉砕テーブル12からのローラジャーナル軸受59の受ける荷重L2を算出する。粉砕ローラ13では、油圧荷重L1に基づいて粉砕テーブル12へ向けて、粉砕される固体燃料を介して押圧されているため、油圧荷重L1と粉砕テーブル12からの荷重L2とは相関関係を有している。このため、推定部63では、油圧荷重L1から粉砕テーブル12からの荷重L2を算出することができる。なお、各種センサを用いた計測器により取得部62において粉砕テーブル12からの荷重L2が直接的に取得可能な場合には、取得した粉砕テーブル12からの荷重L2を用いることとしてもよい。また、油圧荷重L1から荷重L2を算出する際、油圧荷重L1に加え、粉砕ローラ13とそれを支持する部材の自重による荷重を加味してもよい。
そして、推定部63では、入力されたリフト量Xに基づいて、ローラ傾斜角θを算出する。ローラ傾斜角θは、以下の式(2)により算出される。
Figure 2023062959000003
図13のように、式(2)において、θはローラ傾斜基準角であり、リフト量Xが0(零)の時(すなわち粉砕ローラ13と粉砕テーブル12とが接している、もしくは粉砕ローラ13と粉砕テーブル12の隙間が最小とするときの状態)のローラ傾斜角θである。そして、Δθは、ローラ傾斜基準角に対するローラ傾斜角θの変化量であり、Δθはリフト量Xと距離Lとの比の逆正接関数の値となる。すなわち、リフト量Xが小さい場合にはローラ傾斜角θは大きくなり、リフト量Xが大きくなるとローラ傾斜角θは小さくなっていく。
このように、推定部63において、粉砕テーブル12からの荷重L2及びローラ傾斜角θが算出されると、図14の関係のように、スラスト荷重Ls及びラジアル荷重Lrが算出される。スラスト荷重Lsは、粉砕テーブル12からの荷重にsin(θ)を乗ずることによって算出され、ラジアル荷重Lrは、粉砕テーブル12からの荷重にcos(θ)を乗ずることによって算出される。
このようにして、推定部63では、ローラジャーナル軸受59にかかるスラスト荷重Ls及びラジアル荷重Lrが算出され、スラスト荷重Ls及びラジアル荷重Lrに基づいて余寿命推定を行う。余寿命推定の方法については、スラスト荷重Ls及びラジアル荷重Lrに基づくものであれば様々な方法を適用することが可能である。
次に、上述の制御部50による余寿命推定処理の一例について図16を参照して説明する。図16は、本実施形態に係る余寿命推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図16に示すフローは、例えば、運転員等によって余寿命推定の開始指示がされた場合に実行される。なお、余寿命推定処理は、運転員等による開始指示がなくとも、定期的に実行されることとしてもよい。
まず、油圧荷重L1及びリフト量Xの実測値を取得する(S101)。
次に、リフト量Xに基づいて、ローラ傾斜角θを算出する(S102)。
次に、ローラジャーナル軸受59に負荷されるラジアル荷重Lr及びスラスト荷重Lsを算出する(S103)。
次に、ラジアル荷重Lr及びスラスト荷重Lsを用いて、ローラジャーナル軸受59の余寿命を推定する(S104)。なお、余寿命の推定に関しては、推定方法に応じて、ラジアル荷重Lr及びスラスト荷重Ls以外の情報(例えばローラジャーナル軸受59の設計値等)を用いることが可能である。
次に、上述の余寿命推定処理による効果について図17を参照して説明する。図17は、運転時間に対する発電プラント負荷及びジャーナル軸受に掛かる荷重の変化と、運転時間に対する余寿命の変化とを示している。図17では、参考例として、設計値として最大荷重が掛かり続けていると想定して余寿命を推定した場合を示している。
参考例では、発電プラント1の負荷が定格負荷(例えば、100%負荷)で運転されていると想定した場合に、発電プラント1の負荷に比例してローラジャーナル軸受59に掛かる荷重も最大となることが想定されている。このため、余寿命は運転時間に対して直線的に減っていき、図17における運転時間T2でメンテナンスが必要な時期と推定される。
これに対して、本実施形態では、油圧荷重L1として粉砕ローラ13に係る荷重を逐次計測しているため、実際の発電プラント1の運転状態に対応したローラジャーナル軸受59に掛かる荷重を取得することができる。図17の実際のローラジャーナル軸受59に掛かる荷重(折れ線グラフ)のように、最大荷重よりも低くなる場合があるため、ローラ傾斜角θの実測値を考慮して余寿命を推定した場合に、参考例と比較して運転時間に対する余寿命の低減が緩やかになる。特に、図17の期間Taでは、ローラジャーナル軸受59に掛かる荷重が低いため、余寿命消費量が少なくなる。なお、期間Taは運転状態に応じて変化するため、図17に示す期間に限定されない。
例えば、図17において現在の地点を運転時間T1とすると、現在から過去所定期間の余寿命推移を直線的に延長することによって、メンテナンスが必要な時期として運転時間T3を推定することも可能となる。
本実施形態の余寿命推定によれば、実際の運転状態に応じてローラジャーナル軸受59の余寿命をより高精度に推定することが可能となる。このため、参考例と比較してより正確なメンテナンス必要時期を推定することができ(運転時間はT2<T3)、ミル10をより効率的に運用することが可能となる。
なお、本実施形態では、油圧荷重L1及びリフト量Xの実測値を用いて余寿命を推定することとしているが、ローラジャーナル軸受59の回転速度(粉砕ローラ13の回転速度)の実測値も用いて余寿命を推定することとしてもよい。この場合には、取得部62は、ローラジャーナル軸受59の回転速度に関する情報の実測値を取得し、推定部63では、ローラジャーナル軸受59の回転速度に関する情報の実測値も加味して余寿命を推定する。例えば、粉砕テーブル12上の粉砕された固体燃料に対して粉砕ローラ13のスリップ現象が発生した場合に、ローラジャーナル軸受59の回転速度が低下ないし停止してしまう場合がある。そのため、実際のローラジャーナル軸受59の回転速度を検知する回転速度センサを設置して回転速度の実計測値を余寿命の推定時に加味しても良い。ローラジャーナル軸受59の回転速度の実測値を考慮することにより、ローラジャーナル軸受59の回転速度を一定と想定して余寿命を推定する場合と比較して、より推定精度を向上させることができる。センサとしては、例えば、ロータリーエンコーダのような回転位置センサの他、回転速度センサ、重力方向の変化や遠心力を捉える加速度センサを用いてもよい。また、計測された情報をミル10外部へ伝達する方法としては、有線通信手段にて伝達しても良く、また、何らかの無線通信手段を用いて伝達してもよい。
なお、本実施形態では、油圧荷重L1及びリフト量Xの実測値を用いて余寿命を推定することとしているが、ローラジャーナル軸受59の潤滑剤の状態も用いて余寿命を推定することとしてもよい。この場合には、取得部62は、ローラジャーナル軸受59の潤滑剤の状態に関する情報の実測値を取得し、推定部63では、ローラジャーナル軸受59の潤滑剤の状態に関する情報の実測値も加味して余寿命を推定する。例えば、粉砕された固体燃料の微粉粒子が粉砕ローラ13のローラジャーナル軸受59箱内の潤滑油に混入した場合、ローラジャーナル軸受59寿命が極端に短くなる場合がある。このため、潤滑剤の状態として、例えばローラジャーナル軸受59箱内に潤滑油の状態(汚染、劣化など)を検知するセンサを設置して、潤滑油の状態からの影響を余寿命の推定時に加味しても良い。潤滑剤の状態も加味することにより、余寿命の推定精度をより向上させることができる。潤滑剤の汚染原因の大半は粉砕ローラ13のシール部(オイルシール部)から固体燃料が粉砕された微粉粒子の侵入による汚濁である。そして、微粉粒子が侵入する原因としてはシール部のシールエア圧力が不足することによるものが多いため、シールエア圧力の変化を検知するセンサを設置して、シールエア圧力の不足による影響を余寿命の推定時に加味することとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムによれば、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報及び粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13の傾斜角に関する情報を、計測値として取得し、ローラジャーナル軸受59の余寿命を推定する。このため、粉砕ローラ13を備えているミル10の運転状態の変動に対して余寿命推定への影響を考慮した対応が可能となり、余寿命の推定精度を向上させることができる。なお、粉砕テーブル12に対する粉砕ローラ13のリフト量Xによれば、ローラジャーナル軸受59に掛かる荷重の方向が推定できるため、粉砕ローラ13のリフト量Xを用いてローラジャーナル軸受59の余寿命を推定することができる。
また、余寿命がより正確に推定されることによって、より適切なタイミングでローラジャーナル軸受59のメンテナンス(交換等)を実施することができる。すなわち、より長くローラジャーナル軸受59を使用することができるため、ミル10のメンテナンス頻度を低減させることができる。このため、メンテナンスコストを低減することができる。また、ミル10および発電プラント1の稼働率を向上させることができる。
〔変形例1〕
次に、本開示の第2実施形態の変形例に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムについて説明する。
本変形例では、将来の余寿命の変化推移を推定する。以下、本変形例に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムについて、第2実施形態と異なる点について主に説明する。
本変形例における制御部50では、図18に示すように、予測部64を備える。
予測部64は、ミル10の運転状態と、運転状態に対応した余寿命推移特性とが予め蓄積されたデータベースに基づいて、推定部63において推定した余寿命の推移より将来の余寿命の推移を予測する。余寿命推定特性とは、運転状態によって推移する余寿命の特性を示した情報であり、具体的には図19のA、B、Cに示すような曲線特性(直線でもよい)である。すなわち、データベースには、ミル10の過去または現在まで運転情報が格納されている。データベースには、寿命推定対象のミル10の過去または現在までの運転データを格納することとしてもよいし、構成が類似する他のミル10の過去運転データを格納することとしてもよい。また、実運転データだけでなく、仮想的にシミュレーションしたデータをデータベースに格納することとしてもよい。データベースは制御部50に設けられてもよい(記憶部)し、別装置に設けられることとしてもよい。運転状態は、固体燃料の種類(炭種情報)、固体燃料の供給量(給炭量)、粉砕ローラ13に掛かる荷重に関する情報(油圧荷重)、ミル10に設けられた分級機(回転式分級機16)の回転数(分級機回転数)、及びミル10内へ流入するガスとミル10から排出されるガスとの差圧(ミル10内の差圧であり、ミル10の負荷状況を示す指標となる。例えば、粉砕テーブル12の上側雰囲気と下側雰囲気との間で発生する。)の少なくともいずれか1つを含む。なお、運転状態としては、ローラジャーナル軸受59の寿命に影響を与えるパラメータであれば上記に限定されず含むことができる。また、類似する運転状態どうしで運転時間に対する余寿命の変化が、例えば、明らかに突飛と判断される運転情報(推定する余寿命)を除いて±10%以内での一致あり、さらに好ましくは±5%以内での一致あれば、類似した運転状態のデータのなかでも優先順位を上げて類似していると判断してもよい。
具体的には、予測部64は、データベースを参照して、余寿命推定対象となっているミル10の運転状態に類似した運転状態のデータを選定し、類似した運転状態のデータに対応する余寿命推移特性を選定及び取得する。類似した運転状態のデータとは、余寿命推定対象となっているミル10の運転状態に対して、余寿命影響度が類似すると推定される運転状態のデータである。例えば、運転状態として固体燃料の種類を用いる場合には、余寿命推定対象となっているミル10の固体燃料に対して、余寿命影響度の観点から影響が似ていると想定される固体燃料を含む運転状態が、類似する運転状態となる。なお、運転状態の各パラメータにおいて、類似判断の優先順位を設定し、優先順位の高いパラメータ(例えば、固体燃料の種類)について類似判断を行うこととしてもよい。
図19は、余寿命推定対象となっているミル10に対して、類似した運転状態の余寿命推移特性を選定した例である。図19では、余寿命推移特性として、特性A、特性B、及び特性Cが選定された例を示している。そして、図19では、余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果であるE1(1回目の推定結果)、E2(2回目の推定結果)、En(n回目の推定結果)を示している。
予測部64は、選定した余寿命推移特性(A、B、C)の中から、余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果のE1からEnまでの推定結果を基にした推移特性Eに類似する推移特性をもつ余寿命推移特性(A、B、C)を特定する。図19の例では、E1からEnまでの推移特性が、特性Bに類似しているため、特性Bが特定される。このため、余寿命推定対象となっているミル10は、将来的に特性Bのように運転時間に対する余寿命特性が推移し、寿命到達時期Tbに達すると推定される。このように過去または現在までのデータベースに対して推移特性Eを参照することで、将来の余寿命推移をミル10の運転状態も加味して予測することができるため、より精度よく余寿命を推定することが可能となる。余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果の推移特性Eについては、竣工時から現在までの推移特性としてもよいし、現在から過去所定期間における推移特性としてもよいし、運転状態が大きく変化した(例えば固体燃料の種類が変化した)期間を選定して推移特性としてもよい。
なお、図19の例のように、余寿命推定対象となっているミル10に対してした余寿命の推定結果の推移特性と、選定した余寿命推移特性とで完全に対応する場合でなくても、選定した余寿命推移特性の中から類似する推移特性が選定されればよい。また、選定した余寿命推移特性の中に余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果の推移特性と類似する推移特性が過去または現在までのデータベースにない場合には、選定した余寿命推移特性に基づいて予測をすることとしてもよい。例えば、図19において、余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果の推移特性が特性Aと特性Bの間に特性A側との差と特性B側との差の比で位置している場合には、特性Aと特性Bとに基づいて、余寿命推定対象となっているミル10の将来の余寿命推移を予測することとしてもよい。この場合には、例えば、特性Aと特性Bの中間線を特性A側との差と特性B側との差の案分比で生成して余寿命推移予測を行う。
なお、予測部64による処理(データベースにおける類似した運転状態の選定や、選定した余寿命推移特性における余寿命推定対象となっているミル10に対してした余寿命の推定結果の推移特性に類似する推移特性をもつ余寿命推移特性の選定や、選定した余寿命推移特性に基づく将来の余寿命推移の予測)については、予め設定したアルゴリズムで処理してもよいし、AIを用いて適切に処理することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムによれば、運転状態と余寿命推移特性とが対応づけられたデータベースに基づくことで、推定部63において推定した余寿命の推移より将来の余寿命の推移を予測することができる。将来の余寿命の推移をより正確に予測することができ、より適切なタイミングでローラジャーナル軸受59のメンテナンス(交換等)を実施することができる。すなわち、より長くローラジャーナル軸受59を使用することがでるため、ミル10のメンテナンス頻度を低減させることができる。このため、メンテナンスコストを低減することができる。また、ミル10および発電プラント1の稼働率を向上させることができる。
〔変形例2〕
次に、本開示の第2実施形態の変形例に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムについて説明する。
本変形例では、推定された余寿命に基づいてメンテナンス計画を作成する。以下、本変形例に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムについて、第2実施形態及び第2実施形態の変形例1と異なる点について主に説明する。
本変形例における制御部50では、図20に示すように、計画部65を備える。
計画部65は、推定された余寿命に基づいて、メンテナンス計画を行う。具体的には、推定部63において推定した余寿命や、予測部64において推定した余寿命から、将来のどの時期に寿命を完全に消費してしまうかを判断して、計画部65でメンテナンス計画を行う。なお、上述のようにより正確に余寿命を推定することができるため、寿命を完全に消費する前に適正な余裕をもって計画を立てることが可能となる。
計画部65では、例えば、推定される寿命到達時期に対して、所定期間前にメンテナンス計画を行う。所定期間とは、例えばローラジャーナル軸受59の手配から交換に要する期間等のメンテナンスを安全で効率的な工程で行うために必要な期間に基づいて設定される。メンテナンス計画では、例えば、メンテナンス時期、メンテナンス時期を調整するための運転方案、及び複数台のミル10における負荷分担調整の少なくとも1つを含んで計画を行う。
メンテナンス時期とは、推定された余寿命に基づいて設定されるローラジャーナル軸受59の交換をすべき時期(推奨時期)である。メンテナンス時期は、例えば推定される寿命到達時期に対して所定の余裕度を加味して設定される。
メンテナンス時期を調整するための運転方案とは、ミル10に対する運転方案であり、メンテナンス時期を調整するためのものである。例えば、メンテナンス時期がすでに設定されており、推定される寿命到達時期よりも後である場合には、寿命を延長するための運転方案が計画される。具体的には、固体燃料の種類の変更や、固体燃料に粉砕する微粉度の緩和等である。運転状態を適切にすることで、より安全で効率的な工程にて寿命を延ばし、適切な時期にメンテナンスを行うことが可能となる。なお、予め設定されたメンテナンス時期が推定される寿命到達時期よりも前である場合には、余寿命の余裕が大きくならないように負荷を上げる運転方案を計画することで、余寿命を有効に活用することとしてもよい。
複数台のミル10における負荷分担調整とは、複数台設けられたミル10間で負荷分担を適切に調整することである。例えば、複数台におけるミル10のメンテナンス時期を合わせる、または段階的に時期を設定する(例えば、メンテナンス間隔を複数のミル10で等間隔とする)等のために各ミル10の負荷分担の調整を計画する。例えば複数台のミル10のうち1台のミル10の寿命到達地点が他のミル10と比較して早い場合には、該ミル10の負荷を低減して、他のミル10の負荷を上昇して負担させることによって、複数台のミル10の寿命到達地点を合わせるように調整することができる。
図21は、メンテナンス計画に係るシステムの例である。図21のように、ユーザ側において、ミル10の余寿命推定情報が情報集約システム101に集約されており、装置メーカ側のサーバ102において、集約システムに集約された情報を取得し、計画システム103で計画を行い、ユーザへ提案を行う。なお、図21では計画部65が計画システム103として装置メーカ側に設けられる場合を例示しているが、ユーザにおける固体燃料粉砕装置側に設けられることとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る余寿命推定システム及び固体燃料粉砕装置、並びに余寿命推定方法、並びに余寿命推定プログラムによれば、推定された余寿命によりメンテナンス計画を行うことで、メンテナンスを設定する時期に余裕をもって計画を立てることができる。このため、ミル10及び発電プラント1の稼働率を向上させることができる。
次に、ローラジャーナル軸受59の異常検知システムと、余寿命推定システムとを併用する方法の一例について、図22を用いて説明する。
図22は、時間経過に伴うローラジャーナル軸受59の推定余寿命及び異常度(損傷の進行度合い)を示している。また、一点鎖線が設定負荷にて求めたローラジャーナル軸受59の余寿命の推移を示している。また、実線が余寿命推定システムで実負荷から求めた余寿命の推移を示している。また、破線が異常検知システムで検出した異常信号(所定の周波数領域における軸受異常周波数の信号)の大きさを示している。t1は、設定負荷にて求めた余寿命がゼロ(すなわち、設計上の寿命)を示している。t1における余寿命推定システムで実負荷から求めた余寿命との差分(余寿命の差分D)が設計寿命で軸受を交換していた場合に対する余裕分を示している。また、t3は、ローラジャーナル軸受59の損傷により使用不能となるタイミングである。すなわち、実際の寿命を示している。t2は、異常検出システムの検出結果を用いて導出した交換タイミングである。
このように、異常検知システムと、余寿命推定システムとを併用することで、余寿命推定システムのみを用いる場合と比較して、余裕の少ない領域でもローラジャーナル軸受59の使用を継続することができる。
本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
一般的に、異常検出システムでは、ローラジャーナル軸受59の振動の増大は把握できるものの、どこまで増大したらローラジャーナル軸受59が使用不能となるのか、その明確な閾値は基本的には実機で一度ローラジャーナル軸受59が使用不能となるまで使用して、使用不能となるまでの信号の推移を確認してみないと判らないという可能性があった。しかしながら、実機で軸受が損傷するまでの試験を実施するには長期間を要するため、異常検出システムだけでは、ローラジャーナル軸受59の寿命の延長には結びつけにくいという課題が有った。
一方、本実施形態のように、ローラジャーナル軸受59の異常検知システムと、余寿命推定システムとを併用することで、定常的な寿命消費は余寿命推定システムで、異常検知は異常検知システムでローラジャーナル軸受59の監視を行うことができる。これにより、ローラジャーナル軸受59の信頼性を確保しつつ、寿命を延長することができる。
詳細には、余寿命推定システムは、上述したように、粉砕ローラ13の稼動情報(例えば、粉砕ローラ13に作用する荷重や粉砕ローラ13の回転速度)からローラジャーナル軸受59の余寿命を評価するものである。すなわち、ローラジャーナル軸受59の「疲れ寿命」を可視化するものである。これは「計算上のローラジャーナル軸受59の寿命」について評価するものである。
しかしながら、実際のローラジャーナル軸受59の寿命は、疲れ寿命のみではなく、その他多くの要素が絡んでいる。例えば、潤滑油中の混入物によって転動面に傷が付き、ローラジャーナル軸受59の寿命を促進させることが考えられる。
一方、異常検知システムは、ローラジャーナル軸受59の経時的な使用に伴って生じた転動面の損傷を、例えば振動などによって間接的に検知するものである。すなわち、余寿命推定システムがローラジャーナル軸受59の計算上の寿命を評価するのに対し、異常検知システムはローラジャーナル軸受59の実寿命を評価する。
このような両者を併用することで、計算上の「疲れ寿命」の他、例えば潤滑油中の混入物等による「疲れ寿命以外の影響」も加味したローラジャーナル軸受59の寿命の評価が可能となる。また、疲れ寿命については両者で評価することができ、より高精度なローラジャーナル軸受59のメンテナンスが可能となる。
なお、両者で評価を行うことで、寿命監視による計算寿命と、異常検知による実寿命に食い違いが出る可能性がある。このような場合には、例えば、計算寿命よりも実寿命が先行した場合や、疲れ寿命以外の要素が支配的となっていることが考えられ、例えば、潤滑油交換頻度の増加や、油粘度の変更等で混入物を減らすなど、その結果をメンテナンス方針へ反映しても良い。
なお、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
使用する固体燃料は、本開示に限定されず、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)などを用いることができる。さらに、それらの固体燃料を組み合わせて使用してもよい。
以上説明した実施形態に記載の異常検出システム及び固体燃料粉砕装置並びに異常検出方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る異常検出システムは、固体燃料粉砕装置(100)の外殻を為すハウジング(11)の内部に収容されるとともに粉砕テーブル(12)との間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラ(13)を回転自在に支持するローラジャーナル軸受(59)の異常検出システムであって、前記ローラジャーナル軸受(59)を介して前記粉砕ローラ(13)を支持するとともに前記ハウジング(11)に取り付けられる支持部(45)の前記ハウジング(11)の外側に位置する設置部(48a)に設けられ、前記粉砕ローラ(13)の回転によって前記支持部(45)に生じる情報を検知する検知部(80)と、前記検知部(80)が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受(59)の異常を検出する検出部(50)と、を備える。
上記構成では、検知部が支持部に設けられている。これにより、例えば、粉砕ローラの内部に検知部を設ける場合と比較して、粉砕ローラで生じる振動が検知部へ伝達され難くすることができる。したがって、粉砕ローラの振動に起因する検知部の故障の発生を抑制することができる。また、検知部が支持部のハウジングの外側に位置する設置部に設けられている。これにより、検知部がミルのハウジング内の高温のガス(空気等)の影響を受け難いので、検知部の故障の発生を抑制することができる。このように、検知部を故障し難くすることができるので、検知部の信頼性を向上させることができる。
また、検知部が支持部のハウジングの外側に位置する設置部に設けられている。これにより、固体燃料粉砕装置の運転を停止したりハウジングや粉砕ローラの分解をしたりすることなく、検知部にアクセスすることができる。このため、故障やメンテナンスにより検知部を交換する場合や、既設の固体燃料粉砕装置にセンサを追設する場合等に、検知部の交換又は追設作業を簡易化することができる。また、交換又は追設作業中であっても、固体燃料粉砕装置を稼働することができるので、稼働効率を向上することができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出システムは、前記検知部(80)は、前記支持部(45)の振動の情報を検知し、前記検出部(50)は、前記検知部(80)が検知した振動の情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受(59)の異常を検出する。
上記構成では、検出部は、検知部が検知した振動に基づいて、ローラジャーナル軸受の異常を検出する。粉砕ローラが固体燃料を粉砕すると粉砕ローラが振動する。粉砕ローラで生じた振動は、粉砕ローラからローラジャーナル軸受を介して支持部へ伝達される。このため、ローラジャーナル軸受に異常が発生すると、支持部へ伝達される振動が変化する。したがって、ローラジャーナル軸受の異常を検出することができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出システムは、複数の方向の振動の情報を検知する。
上記構成では、様々な態様の振動を検知することができるので、検出部において、ローラジャーナル軸受の異常の検出精度を向上させることができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出システムは、前記検出部(50)は、前記検知部(80)が検知した振動の情報に対して、前記粉砕ローラ(13)が前記固体燃料を粉砕する際に発生する振動の周波数を有する成分及び/又は前記ローラジャーナル軸受(59)から前記検知部(80)までの伝達経路の固有振動数を有する成分を除去する処理を行う。
粉砕ローラが固体燃料を粉砕する際に発生する振動の振動数やローラジャーナル軸受から検知部までの伝達経路の固有振動数は、ローラジャーナル軸受の状態(正常か異常か)によって変動するものではない。上記構成では、このようなローラジャーナル軸受の状態によって変動するものではない振動数を除去している。したがって、ローラジャーナル軸受の異常を検出する精度を向上させることができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出システムは、前記検出部(50)は、前記検知部(80)が検知した振動の情報に対して周波数ごとに信号の大きさを求める処理を行う。
上記構成では、検出部が、検知部が検知した振動の情報に対して周波数ごとに信号の大きさを整理する処理を行う。これにより、より正確にローラジャーナル軸受の異常を検出することができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出システムは、前記検出部(50)は、前記検知部(80)が検知した振動の情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受(59)の異常の進行度合いを検出する。
上記構成では、検出部が、検知部が検知した振動の情報に基づいて、ローラジャーナル軸受の異常の進行度合いを検出する。ローラジャーナル軸受の異常(例えば、損傷)が進行すると、支持部の振動が変化する。このため、検出部がローラジャーナル軸受の異常の進行度合いを検出することができる。
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、外殻を為すハウジング(11)と、前記ハウジング(11)の内部に収容される粉砕テーブル(12)と、前記ハウジング(11)の内部に収容され、前記粉砕テーブル(12)との間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラ(13)と、前記ハウジング(11)に取り付けられ、前記粉砕ローラ(13)を支持する支持部(45)と、前記粉砕ローラ(13)を前記支持部(45)に対して回転自在に支持するローラジャーナル軸受(59)と、上記のいずれかに記載の異常検出システムと、を備える。
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記支持部(45)と前記ローラジャーナル軸受(59)とは、相対移動しないように結合されていて、前記支持部(45)と前記検知部(80)とは、相対移動しないように結合されている。
上記構成では、支持部とローラジャーナル軸受とは、相対移動しないように接合されている。また、支持部と検知部とは、相対移動しないように接合されている。これにより、支持部とローラジャーナル軸受との接合部分及び支持部と検知部との接合部分において、ローラジャーナル軸受からの情報が変化し難い。したがって、ローラジャーナル軸受の情報を適切に検知部で検知することができる。よって、より正確にローラジャーナル軸受の異常を検出することができる。
なお、支持部とローラジャーナル軸受とは、例えば、焼嵌めや圧入によって、相対移動しないように接合されていてもよい。また、支持部と検知部とは、例えば、ボルト等によって相対移動しないように接合されていてもよい。また、「相対移動しないように接合されている」とは、ローラジャーナル軸受の振動を支持部に設けられた検知部で適切に検知できる程度に接合していればよく、多少の相対移動が許容されることはもちろんである。
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、上記のいずれかに記載の異常検出システムと、前記粉砕ローラの稼動情報に基づいて前記ローラジャーナル軸受の余寿命を推定する余寿命推定システムと、を備え、前記異常検出システムが導出した情報と、前記余寿命推定システムが導出した情報とに基づいて、前記ローラジャーナル軸受の余寿命を推定する。
上記構成のように、ローラジャーナル軸受の異常検知システムと、余寿命推定システムとを併用することで、定常的な寿命消費は余寿命推定システムで、異常検知は異常検知システムでローラジャーナル軸受の監視を行うことができる。これにより、ローラジャーナル軸受の信頼性を確保しつつ、寿命を延長することができる。
また、本開示の一態様に係る異常検出方法は、外殻を為すハウジング(11)の内部に収容されるとともに粉砕テーブル(12)との間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラ(13)を回転自在に支持するローラジャーナル軸受(59)の異常検出方法であって、前記ローラジャーナル軸受(59)を介して前記粉砕ローラ(13)を支持するとともに前記ハウジング(11)に取り付けられる支持部(45)の前記ハウジング(11)の外側に位置する設置部(48a)に設けられ検知部(80)によって、前記粉砕ローラ(13)の回転によって前記支持部(45)に生じる情報を検知する検知工程と、前記検知部(80)が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受(59)の異常を検出する検出工程と、を備える。
1 発電プラント
10 ミル(粉砕部)
11 ハウジング
12 粉砕テーブル
13 粉砕ローラ
14 減速機(駆動伝達部)
15 ミルモータ(駆動部)
16 回転式分級機(分級部)
16a ブレード
17 給炭管(燃料供給部)
18 分級機モータ
19 出口ポート
21 バンカ(貯蔵部)
22 ダウンスパウト部
25 給炭機(燃料供給機)
26 搬送部
27 給炭機モータ
30 送風部(搬送用ガス供給部)
30a 熱ガス流路
30b 冷ガス流路
30c 熱ガスダンパ
30d 冷ガスダンパ
31 一次空気通風機(PAF)
32 押込通風機(FDF)
33 誘引通風機(IDF)
34 空気予熱器(熱交換器)
40 状態検出部(温度検出手段、差圧検出手段)
41 底面部
42 天井部
45 ジャーナルヘッド(支持部)
46 押圧装置(粉砕荷重付与部)
47 支持アーム
48 偏心軸
48a 先端部(設置部)
50 制御部(検出部)
51 ハブ
52 ジャーナル軸
53 中間ピストン
54 油圧荷重部
56 本体
57 突起部
58 ストッパ
59 ジャーナル軸受(ローラジャーナル軸受)
62 取得部
63 推定部
64 予測部
65 計画部
71 計測バー
72 ギャップセンサ
80 振動センサ(検知部)
80a 第1センサ
80b 第2センサ
80c 第3センサ
81 台座
91 信号増幅器
92 信号処理装置
93 信号計算装置
94 プラント制御装置
95 表示装置
96 表示装置
100 固体燃料粉砕装置
101 情報集約システム
102 サーバ
103 計画システム
110 一次空気流路(搬送用ガス流路)
111 CPU
120 微粉燃料供給流路(微粉燃料供給管)
121 ROM
130 RAM
140 HDD
150 通信部
180 バス
200 ボイラ
210 火炉
220 バーナ(燃焼装置)

Claims (10)

  1. 固体燃料粉砕装置の外殻を為すハウジングの内部に収容されるとともに粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラを回転自在に支持するローラジャーナル軸受の異常検出システムであって、
    前記ローラジャーナル軸受を介して前記粉砕ローラを支持するとともに前記ハウジングに取り付けられる支持部の前記ハウジングの外側に位置する設置部に設けられ、前記粉砕ローラの回転によって前記支持部に生じる情報を検知する検知部と、
    前記検知部が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常を検出する検出部と、を備える異常検出システム。
  2. 前記検知部は、前記支持部の振動の情報を検知し、
    前記検出部は、前記検知部が検知した振動の情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常を検出する請求項1に記載の異常検出システム。
  3. 前記検知部は、複数の方向の振動の情報を検知する請求項2に記載の異常検出システム。
  4. 前記検出部は、前記検知部が検知した振動の情報に対して、前記粉砕ローラが前記固体燃料を粉砕する際に発生する振動の周波数を有する成分及び/又は前記ローラジャーナル軸受から前記検知部までの伝達経路の固有振動数を有する成分を除去する処理を行う請求項2または請求項3に記載の異常検出システム。
  5. 前記検出部は、前記検知部が検知した振動の情報に対して周波数ごとに信号の大きさを求める処理を行う請求項2から請求項4のいずれかに記載の異常検出システム。
  6. 前記検出部は、前記検知部が検知した振動の情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常の進行度合いを検出する請求項2から請求項5のいずれかに記載の異常検出システム。
  7. 外殻を為すハウジングと、
    前記ハウジングの内部に収容される粉砕テーブルと、
    前記ハウジングの内部に収容され、前記粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラと、
    前記ハウジングに取り付けられ、前記粉砕ローラを支持する支持部と、
    前記粉砕ローラを前記支持部に対して回転自在に支持するローラジャーナル軸受と、
    請求項1から請求項6のいずれかに記載の異常検出システムと、を備える固体燃料粉砕装置。
  8. 前記支持部と前記ローラジャーナル軸受とは、相対移動しないように結合されていて、
    前記支持部と前記検知部とは、相対移動しないように結合されている請求項7に記載の固体燃料粉砕装置。
  9. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の異常検出システムと、
    前記粉砕ローラの稼動情報に基づいて前記ローラジャーナル軸受の余寿命を推定する余寿命推定システムと、を備え、
    前記異常検出システムが導出した情報と、前記余寿命推定システムが導出した情報とに基づいて、前記ローラジャーナル軸受の余寿命を推定する固体燃料粉砕装置。
  10. 外殻を為すハウジングの内部に収容されるとともに粉砕テーブルとの間で固体燃料を粉砕する粉砕ローラを回転自在に支持するローラジャーナル軸受の異常検出方法であって、
    前記ローラジャーナル軸受を介して前記粉砕ローラを支持するとともに前記ハウジングに取り付けられる支持部の前記ハウジングの外側に位置する設置部に設けられ検知部によって、前記粉砕ローラの回転によって前記支持部に生じる情報を検知する検知工程と、
    前記検知部が検知した情報に基づいて、前記ローラジャーナル軸受の異常を検出する検出工程と、を備える異常検出方法。
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