JP2023059139A - 皮膚外用組成物 - Google Patents

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智 野村
Satoshi Nomura
純子 丸川
Junko Marukawa
友紀 ▲高▼木
Yuki Takagi
祐子 長谷川(寺田)
Hasegawa, (Terada) Yuko
圭祐 伊藤
Keisuke Ito
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Abstract

【課題】 ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用が高められた組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 (A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する外用組成物を調製する。このような外用組成物は、特には、皮膚外用組成物の形態である。このような外用組成物は、TRPA1活性を阻害することもできる。【選択図】 なし

Description

本発明は、カンフル及び抗ヒスタミン剤を含有する皮膚外用組成物に関する。
アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患、あるいは乾燥肌に伴う皮膚の痒みは、患者にとって非常に不快なものであり、日常生活に支障をきたすこともある。このような皮膚の痒みに耐えられず、掻痒することでその掻痒部位に掻破などの刺激が加わると、その症状がさらに悪化し、より強い痒みを生じるという悪循環を招くことも多い。従って、そのような痒みを伴う疾患や状態を改善するためには、先ず痒みを抑えることが重要である。
鎮痒剤としては、抗ヒスタミン剤が配合されたものや、ステロイドが配合されたものがあるが、全ての痒みに対応できるものではなく、新たな鎮痒剤の開発が望まれている。
痒みの機構について、イオンチャネルの一つであるTRPA1(transient receptor potential ankyrin 1)は、従来痛みに関係するチャネルとして研究が進んでいるが、近年ヒスタミンを介さないかゆみの伝達経路に関係することが報告されており(非特許文献1)、TRPA1の活性化を介して伝達する刺激によって、痒み刺激が脳に伝えられるとされている。
Wilson et al. (2013) "The Ion Channel TRPA1 Is Required for Chronic Itch" Journal of Neuroscience 29, 33 (22) 9283-9294
本発明は、ヒスタミン非依存性の痒みに作用する皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
上記課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明者らは、カンフルに抗ヒスタミン剤を組み合わせた組成物によって、TRPA1の活性化が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる皮膚外用組成物又は剤を提供する。
項1.
(A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する外用組成物。
項2.
さらに、プレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する、項1に記載の外用組成物。
項3.
水の含有量が、組成物全量に対して85質量%以下である、項1又は2に記載の外用組成物。
項4.
さらに、1種又は2種以上の抗酸化剤を含有する、項1~3のいずれか1項に記載の外用組成物。
項5.
(A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する皮膚冷却剤。
項6.
さらに、プレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する、項5に記載の皮膚冷却剤。
さらに、本発明は、以下の方法に関する。
項7.
(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによる、外用組成物に皮膚の冷却作用を付与する方法。
項8.
(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用を付与する方法。
項9.
(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、TRPA1(transient receptor potential ankyrin 1)の活性抑制作用を付与する方法。
項10.
さらにプレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を共存させる、項7~9のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、TRPA1の活性を抑制することができる組成物を提供することが可能となる。
[皮膚外用組成物]
本発明の皮膚外用組成物は、(A)カンフル、及び、(B)抗ヒスタミン剤を含有する。
((A)カンフル)
本発明に用いられるカンフルとしては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。天然品、合成品のいずれも利用することができ、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。カンフルとして、カンフルを含有する精油を使用することもできる。このような精油としては、例えば、樟脳油等が挙げられる。カンフルとしては、特に、dl-カンフル、d-カンフル、樟脳油が好ましい。
本発明において、組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは、0.01質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、7質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1.5質量%以下である。なお、カンフルを含有する精油を用いる場合には、配合される精油中のカンフルの含有量が上記範囲内となるように設定される。
((B)抗ヒスタミン剤)
本発明に用いられる抗ヒスタミン剤としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。また、市販品を用いることも可能である。
抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン、ブロモジフェンヒドラミン、クレマスチン、クロルフェノキサミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、オルフェナドリン、フェニルトロキサミンのようなエタノールアミン系抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミン、ジメチンデン、タラスチンのようなプロピルアミン系抗ヒスタミン剤、メピラミン、メタピリレン、トリペレナミンのようなエチレンジアミン系抗ヒスタミン剤、アリメマジン、ヒドロキシエチルプロメタジン、イソチペンジル、メキタジン、オキソメマジン、プロメタジンのようなフェノチアジン系抗ヒスタミン剤、ブクリジン、セチリジン、ホモクロルシクリジン、シクリジン、ヒドロキシジン、レボセチリジン、メクリジン、オキサトミドのようなピペラジン系抗ヒスタミン剤、ケトチフェン、オロパタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、テルフェナジン、アンタゾリン、アザタジン、バミピン、シプロヘプタジン、デプトロピン、エバスチン、エメダスチン、エピナスチン、メブヒドロリン、ミゾラスチン、ピメチキセン、ピロブタミン、キフェナジン、ルパタジン、トリプロリジン、アクリバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、ビラスチン、デスロラタジン、及びこれらの塩等が挙げられる。これらのうち、エタノールアミン系、プロピルアミン系、エチレンジアミン系などのアミン系抗ヒスタミン剤が好ましく、エタノールアミン系又はプロピルアミン系の抗ヒスタミン剤がより好ましい。
ここで、塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、無機酸塩、有機酸塩等が挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩のようなモノカルボン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等の多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のようなオキシカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩のような有機スルホン酸塩等が挙げられる。
具体的には、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ブロモジフェンヒドラミン塩酸塩、クレマスチンマレイン酸塩、クロルフェノキサミン塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ドキシラミンコハク酸塩、オルフェナドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジメチンデンマレイン酸塩、メタピリレン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、セチリジン塩酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、シクリジン塩酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、レボセチリジン塩酸塩、メクリジン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、オロパタジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、アンタゾリン塩酸塩、アザタジンマレイン酸塩、シプロヘプタジン塩酸塩、デプトロピンクエン酸塩、エメダスチンフマル酸塩、エピナスチン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ピメチキセンマレイン酸塩、ピロブタミンリン酸塩、キフェナジン塩酸塩、ルパタジンフマル酸塩、トリプロリジン塩酸塩、アゼラスチン塩酸塩等が挙げられる。
限定はされないが、抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン又はその塩、あるいは、クロルフェニラミン又はその塩が特に好ましい。
抗ヒスタミン剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において、組成物の全量に対する(B)成分の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.2質量%以上、さらに好ましくは、0.5質量%以上である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、3質量%以下であり、より好ましくは、2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、さらにより好ましくは、1.1質量%以下である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、0.1~3質量%、より好ましくは、0.2~2.5質量%以下、さらに好ましくは0.5~2質量%である。
組成物の全量に対して、ジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、1質量%でも良い。組成物の全量に対して、クロルフェニラミン又はその塩の含有量は、0.5質量%でも良い。
本発明において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の含有量が、0.01~3000質量部であり、好ましくは、0.02~1000質量部、より好ましくは、0.04~200質量部、さらに好ましくは、0.1~100質量部、特に好ましくは、0.3~50質量部、最も好ましくは、1~15質量部である。
本発明において、(A)成分に対するジフェンヒドラミン又はその塩の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の含有量が、0.01~3000質量部であり、好ましくは、0.02~1000質量部、より好ましくは、0.04~200質量部、さらに好ましくは、0.1~100質量部、特に好ましくは、0.3~50質量部、最も好ましくは、1~15質量部である。
本発明において、(A)成分に対するクロルフェニラミン又はその塩の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の含有量が、0.01~3000質量部であり、好ましくは、0.02~1000質量部、より好ましくは、0.04~200質量部、さらに好ましくは、0.1~100質量部、特に好ましくは、0.3~50質量部、最も好ましくは、1~10質量部である。
(水)
本発明の組成物は、水を含む液状組成物であっても良いが、水を含まない組成物であっても良い。配合される水の含有量は、限定はされないが、組成物の全量に対して、好ましくは、85質量%以下である。より好ましくは、20~70質量%、さらに好ましくは、35~65質量%である。組成物の剤形がクリーム剤である場合、組成物全量に対して、50~85質量%に設定することも可能である。組成物の剤形が軟膏である場合、配合される水の含有量は、組成物の全量に対して、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下、特に好ましくは、0.1質量%以下である。
(エタノール)
本発明の組成物は、エタノールの濃度が組成物の10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。本発明の組成物は、エタノールを含む組成物であっても良いが、エタノールを実質的に含まないか全く含まない組成物であっても良い。ここで、実質的に含まないとは、0.1質量%以下であることを指す。
(その他の成分)
本発明の医薬組成物には、上記(A)、及び、(B)成分の他に、さらに、プレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上を組み合わせて含有し得る。
プレドニゾロン、プレドニゾロン誘導体、又はその塩としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。プレドニゾロン誘導体は、好ましくは、有機酸でエステル化された誘導体であり、より好ましくは、吉草酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸及び/又はフランカルボン酸でエステル化された誘導体であり、さらに好ましくは吉草酸、酢酸、酪酸及び/又はプロピオン酸でエステル化された誘導体である。エステル化誘導体はモノエステル、ジエステル、トリエステル等の任意のエステル化誘導体であってよく、例えば、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(吉草酸酢酸プレドニゾロンともいう)等のように、2種以上の有機酸でエステル化された誘導体であってもよい。特に好ましくは、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(吉草酸酢酸プレドニゾロンともいう)である。
組成物の全量に対するプレドニゾロン、プレドニゾロン誘導体、又はその塩の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、好ましくは、0.05質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上、さらに好ましくは、0.15質量%以上である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、0.5質量%以下であり、より好ましくは、0.25質量%以下、さらに好ましくは、0.15質量%以下である。組成物の全量に対して、好ましくは、0.05~0.5質量%、より好ましくは、0.1~0.25質量%である。プレドニゾロン又はプレドニゾロン誘導体の含有量は、例えば、0.1質量%、0.15質量%、0.25質量%でも良い。
本発明において、(A)成分に対するプレドニゾロン、プレドニゾロン誘導体、又はその塩の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、0.007~500質量部であり、好ましくは、0.02~100質量部、より好ましくは、0.05~50質量部、さらに好ましくは、0.08~25質量部、特に好ましくは、0.1~10質量部、最も好ましくは、0.1~1.5質量部である。
アラントイン又はアラントインの誘導体としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。
組成物の全量に対するアラントイン又はアラントインの誘導体の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、好ましくは、質量0.01%以上、より好ましくは、質量0.1%以上、さらに好ましくは、質量0.2%以上である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、3質量%以下であり、より好ましくは、質量1%以下、さらに好ましくは、質量0.5%以下である。組成物の全量に対して、0.2質量%、0.5質量%であっても良い。
本発明において、(A)成分に対するアラントイン又はアラントインの誘導体の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、0.002~3000質量部であり、好ましくは、0.01~1000質量部、より好ましくは、0.03~100質量部、さらに好ましくは、0.05~50質量部、特に好ましくは、0.1~25質量部、最も好ましくは、0.13~5質量部である。
グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体、又はその塩としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。グリチルリチン酸の塩としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等が挙げられる。
組成物の全量に対するグリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.2質量%以上、さらに好ましくは、質量0.3%以上である。組成物の全量に対するグリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、好ましくは、1質量%以下であり、より好ましくは、0.7質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下である。組成物の全量に対して、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、好ましくは、0.1~1質量%、より好ましくは、0.2~0.5質量%である。グリチルリチン酸又はその塩の含有量は、0.2質量%、0.5質量%でも良い。
本発明において、(A)成分に対するグリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体、又はその塩の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、0.01~1000質量部であり、好ましくは、0.04~100質量部、より好ましくは、0.06~70質量部、さらに好ましくは、0.1~50質量部、特に好ましくは、0.2~10質量部、最も好ましくは、1~5質量部である。
グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体、又はその塩としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。グリチルレチン酸の誘導体としては、例えば、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。
組成物の全量に対するグリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.2質量%以上、さらに好ましくは、0.3質量%以上である。組成物の全量に対するグリチルレチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、好ましくは、1質量%以下であり、より好ましくは、0.7質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下である。組成物の全量に対して、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、好ましくは、0.1~1質量%、より好ましくは、0.2~0.5質量%である。グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体、又はその塩の含有量は、0.5質量%でも良い。
本発明において、(A)成分に対するグリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体、又はその塩の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、0.01~1000質量部であり、好ましくは、0.04~100質量部、より好ましくは、0.06~70質量部、さらに好ましくは、0.1~50質量部、特に好ましくは、0.2~10質量部、最も好ましくは、1~8質量部である。
本発明の医薬組成物には、上記(A)、及び、(B)成分の他に、さらに、抗酸化剤を含有し得る。抗酸化剤は、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。抗酸化剤としては、例えば、クエン酸水和物、無水クエン酸、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、リン酸、ソルビン酸塩、エリソルビン酸塩、コハク酸、トラネキサム酸、コウジ酸、エデト酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、L-システイン等の水溶性抗酸化剤、大豆レシチン、トコフェロール、トコフェロール誘導体、又はそれらの塩;ジブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと略する)、ブチルヒドロキシアニソール、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、トコトリエノール等の脂溶性抗酸化剤が挙げられる。特に脂溶性抗酸化剤が好ましい。
抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール又はその塩が特に好ましい。
組成物の全量に対する抗酸化剤の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。組成物の全量に対して、抗酸化剤の含有量は、好ましくは、2質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以下である。組成物の全量に対して、0.05質量%、0.1質量%、1質量%でも良い。
例えば、抗酸化剤として、ジブチルヒドロキシトルエンを含有する場合には、その含有量は、好ましくは、0.05~0.1質量%である。抗酸化剤として、トコフェロール又はその塩、特には、トコフェロール酢酸エステルを含有する場合には、その含有量は、好ましくは、0.1~1質量%である。
本発明において、(A)成分に対する抗酸化剤の含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、(A)成分1質量部に対して、0.001~2000質量部であり、好ましくは、0.01~1000質量部、より好ましくは、0.015~100質量部、さらに好ましくは、0.03~50質量部、特に好ましくは、0.05~25質量部、最も好ましくは、0.1~15質量部である。
本発明の医薬組成物には、上記(A)、及び、(B)成分の他に、さらに、各種の活性成分を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましくは、抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、抗菌・殺菌成分、局所麻酔剤等を組み合わせることもできる。
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、例えば、クロタミトン等が挙げられる。
抗菌・殺菌成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クレゾール、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、パラベン、フェノキシエタノール、塩化セチルピリジニウム、ミコナゾール若しくはその塩、クロロブタノール又は植物(例えば、アロエ、クララ、ローズマリー、クワ、ユーカリ、キナ、チョウジなど)に由来する成分等が挙げられる。
局所麻酔剤としては、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
(基剤、担体、添加物等)
本発明の組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)成分、及び、(B)成分の他に、基剤、担体、又は添加物等を含んでいてもよい。
基剤、担体、又は添加物等としては、例えば、界面活性剤、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油、シリコーン油、保湿成分、多価アルコール、増粘剤、清涼化剤、保存剤又は防腐剤、pH調整剤、キレート剤等が挙げられる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
界面活性剤は、成分の安定化に寄与し得る。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよい。
ここで、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等);アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、アルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);アミノ酸系界面活性剤(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸カリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);エーテルカルボン酸塩(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等);α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等);グリセリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル);ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル等);シリコーン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);アルキルグルコシド;等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸などの直鎖状飽和脂肪酸(常温で固体);オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコサペンタエン酸、パクセン酸又はドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸(常温で液体);又は、イソステアリン酸又はラノリン脂肪酸などの分岐状脂肪酸、又は12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~22の高級アルコールやステロール類等が挙げられる。好ましくは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、などの直鎖飽和アルコール(常温で固体);オレイルアルコール、セラキルアルコールのような不飽和アルコール(常温で液体);又は、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、ワセリン、パラフィン、セレシン、イソパラフィン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、ポリブテン、ポリエチレン末、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン及び軽質流動パラフィンのような炭化水素が挙げられる。
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、キョウニン油、ホホバ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、サザンカ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シア脂、オレンジ油、カミツレ油等の油脂類等が挙げられる。
ロウ類としては、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セラックロウ、ミツロウのようなロウ類等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸イヌリン、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、などのシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油等が挙げられる。
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸等を含む);ヒアルロン酸の塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸亜鉛、低分子ヒアルロン酸亜鉛等);ヒアルロン酸誘導体(アセチル化ヒアルロン酸又はその塩(例えば、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛等)、架橋型ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸クロスポリマーNa等)、カルボキシメチルヒアルロン酸Na、不飽和ヒアルロン酸又はその塩、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、カチオン化ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等)、ヒアルロン酸ジメチルシラノール等);コンドロイチン硫酸又はその塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸カリウム等);ヘパリン類似物質、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体;多価アルコール;PPG-17ブテス-17、PPG-25ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシアルキレンジグリセリルなどのアルキレンオキシド;グリコシルトレハロース、トレハロース;セラミド、グルコシルセラミド、コレステロール、フィトステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の2-メタクロイルオキシホスホリルコリン含有重合体;乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等とそれらの加水分解物;ヒドロキシエチルウレア;植物(たとえば、アロエ、海藻、カッコン、クロレラ、レモングラス、カミツレ、ハマメリス、チャ、シソ、グレープフルーツ、アマチャヅルなど)に由来する成分、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ヒドロキシ基を2個以上有する低分子が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、グァーガム、スクレロチウムガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストラン、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ビオサッカリドガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、塩化トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルグァーガム、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール及びその誘導体、クロロブタノール、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。);ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、テレビン油等の精油等が挙げられる。
保存剤又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルイソチアゾリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、ならびにそれらの塩、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
[製造方法]
本発明の医薬組成物の製造方法は特に限定されず、適宜設定できる。
具体的には、必要に応じ各成分を加熱溶解して、混合後、水浴で冷却しながら撹拌し、その後室温で静置する方法が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
[製剤形態]
本発明の組成物は、例えば、医薬品又は医薬部外品に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加物と共に混合して皮膚外用組成物とすることができる。
本発明の組成物の形態は特に限定されないが、皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。このような形態としては、例えば、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、貼付剤、容器に収容した固形剤(スティック剤、球形剤、半球形剤)等が挙げられる。これらの製剤は、第18改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、クリーム剤又は軟膏剤が好ましい。
[pH]
本発明の組成物のpHは、通常pH3.0~7.5であり、pH3.0~7.0であることが好ましく、pH3.0~6.5であることがさらに好ましく、pH3.5~6.0であることがさらにより好ましく、pH3.8~5.5であることが特に好ましい。なお、このpHは、例えば、pH調整剤の使用により調整することができる。ただし、pH測定が不能又は困難な製剤形態については、この限りではない。
[容器]
本発明の組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器、スティックタイプの容器等を例示できる。これらの容器に収容することで、本発明の組成物を所望の患部に直接的に又は間接的に塗布することができる。ノズルやスポンジは、患部の狭い範囲又は広い範囲に塗布できるように、先細又は大きな径に設計することも可能である。患部に本実施形態に係る組成物を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。
また、容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)等を例示できる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合する等 して組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。
[皮膚冷却剤、冷却作用付与方法]
本発明はまた、(A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する皮膚冷却剤;又は、(A)カンフルを含有する外用組成物に、(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることを含む、該組成物の冷却作用付与方法を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[皮膚外用組成物]に記載した内容に準じる。
[掻痒抑制効果の付与方法]
本発明はまた、(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることを含む、該組成物に掻痒抑制効果を付与する方法を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[皮膚外用組成物]に記載した内容に準じる。
[ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用を付与する方法]
本発明はまた、(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用を付与する方法を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[皮膚外用組成物]に記載した内容に準じる。
本発明はまた、(A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、TRPA1(transient receptor potential ankyrin 1)の活性を抑制する方法を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[皮膚外用組成物]に記載した内容に準じる。
[用途]
本発明の組成物は、特には、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、ヒスタミン非依存性の痒み抑制用として有効であり、TRPA1の活性を抑制することにより改善される症状や状態に対して用いられてもよい。限定はされないが、本発明の組成物は、例えば、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、湿疹(頭皮湿疹や手湿疹を含む、皮膚湿疹)、皮フ炎、かゆみ、かぶれ、じんましん、ただれ、あせも、しもやけ、虫さされ、又は乾燥等が原因のかゆみ等に対して作用を有する。さらに、皮膚の修復機能を有することもできる。本発明の組成物はまた、ひりひりする、じんじんする、といった感覚や掻くと赤みが広がる痒み、繰り返し痒くなる、重症化した痒みに対しても作用を有する。
皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)として適用される製品に使用されることが好ましい。皮膚の適用部位としては、手(手のひら、手の甲、手指)、顔、足、頭、首元、胸元、脇、背中、腰回り、肘の裏、膝の裏の皮膚が挙げられる。本発明によれば、ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用が高められるため、皮膚外用剤の他、眼用軟膏剤、鼻用軟膏剤、鼻用クリーム剤等の各種剤形においても利用できる。本発明の医薬組成物は、用途等に応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1.TRPA1活性抑制試験]
<使用細胞>
hTRPA1遺伝子を保持するT-REx-293細胞株の調製
hTRPA1のmRNAを、ヒトWI38細胞から抽出した。安定的にhTRPA1を発現させたHEK細胞は、Invitrogen社のテトラサイクリン制御T-REx発現システムを用いて作成した。hTRPA1 mRNAを鋳型としてRT-PCRにより増幅させたhTRPA1のcDNAを、哺乳類細胞用遺伝子発現ベクターであるpcDNA4/TO(invitrogen社製)へ組み込み、invitrogen社の遺伝子導入試薬であるLipofectamin 2000 reagentを用いてT-REx-293細胞に導入した。pcDNA4/TOにはZeocinが組み込まれており、T-REx-293細胞にT-Rexシステムを維持するためのプラスミド(ブラストサイジン耐性遺伝子)が保持されている。抗生物質であるZeocin500μg/mL及びブラストサイジン10μg/mLを用いて安定的にhTRPA1遺伝子を保持するT-REx-293細胞株を樹立した。
<細胞培養>
hTRPA1を安定発現するT-REx-293細胞は10%FBS,100unit/mL penicillin,100mg/mL streptomysin,250ng/mL amphotericin Bを含むDMEM培地を用いて、37℃、5%二酸化炭素存在下で培養した。継代の際には200μg/mL Zeocin,5μg/mL ブラストサイジンを加え、最大継代数は60以下で行った。
具体的には前培養として60mm dishにセミコンフルエントになるようにT-REx-293細胞を培養した後、PBS(-)で洗浄した。1×トリプシン/EDTA処理によりdishから細胞を剥がし、DMEM培地を加えた。その後、15mLチューブに移し、800rpmにて室温で4分間、遠心分離した。DMEM培地のみを吸引除去し、タッピングにより細胞をほぐした後、新たなDMEM培地を加え、約40×10cell/mLになるように細胞数を調整した細胞懸濁液を作成した。この時、受容体発現のために1μg/mLtetracyclineを加えた。作成した細胞懸濁液を96ウェルプレートに100μLずつ分注し、37℃、5%COインキュベーターで一晩インキュベートして試験に使用した。
<カンフル及び抗ヒスタミン剤によるTRPA1活性抑制確認試験>
シンナムアルデヒドによりTRPA1の活性を惹起させ、シンナムアルデヒドと共に被験試料(実施例及び比較例)を上記細胞に投与し、被験試料によって、TRPA1活性が阻害されるかどうかを確認した。各被検試料は表1及び表2に示す。表1及び表2の単位は特に指定がない限り、全てμg/mlである。ここで、用いたカンフルは、すべてdl-カンフルである。
Figure 2023059139000001
Figure 2023059139000002
Ca2+濃度指示薬(Fluo-8(AAT Bioquest, Inc.社製)を用いて、TRPA1活性の変化を観察した。Ca2+濃度指示薬を予めhTRPA1を保持したT-REx-293細胞内に取り込ませておき、マイクロプレートリーダーにて蛍光量を測定した。
具体的には以下のプロトコールに従って実施した。前日に細胞培養を行っていた96ウェルプレートをインキュベーターより取り出し、DMEM培地をデカンテーションで除去した。100μL/ウェルの緩衝液(pH 7.4、5.37 mM KCl、0.44 mM KHPO、137 mM NaCl、0.34 mM NaHPO、5.56 mM D-glucose、20 mM HEPES、1 mM CaCl2、0.1% bovine serum albumin、2.5 mM probenecid.、残余 精製水)で優しく洗浄し、3μM Fluo-8で溶解した同上の緩衝液を50μLずつウェルに添加した後、37℃、5%COインキュベーターで1時間処理した。インキュベーター処理後、Fluo-8が入った同上の緩衝液をデカンテーションで除去し、100μL/ウェルの同上の緩衝液で優しく洗浄した。さらに、180μL/ウェルの同上の緩衝液を添加した。細胞に添加する被験試料溶液は最終濃度の10倍濃度の溶液として調製した。具体的には、最終濃度の1000倍濃度の被験試料をDMSOに溶解させた後、被験試料のDMSO溶液を緩衝液に1/100量添加する事で調製した。Flexstation II (レジスタードトレードマーク) 又はFlexstation III (レジスタードトレードマーク) マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)で測定を開始した。マイクロプレートリーダー測定開始30秒後に10倍濃度の被験試料溶液を各ウェルに20μLずつ添加し、添加後160秒~200秒間における蛍光量の最大値を測定し、ΔF値を算出した。ΔF値は下記式で算出した。
ΔF=(160~200秒の蛍光量の最大値)/(0~30秒の平均蛍光量)
測定は3回行い、ΔF値の平均値を算出した後、シンナムアルデヒドのみを添加した比較例(比較例1-2、実施例1-1~6に対しては比較例1-1を基準とし、比較例1-4、実施例1-7~12に対しては比較例1-3を基準とする)に対して、各成分を同時に添加した場合の抑制率(%)を算出した。抑制率(%)は以下の式に基づき、算出した。
抑制率(%)=(シンナムアルデヒドのみのΔF値―各比較例又は実施例のΔF値)/ シンナムアルデヒドのみのΔF値×100
表1及び表2に示す通り、シンナムアルデヒドと同時添加した場合、カンフル50μg/mL及びクロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩の添加によりTRPA1の活性が抑制された。この傾向は、カンフル50μg/mLを25μg/mLにしたこと以外は同じ試験液を使用した場合も同様であった(表3及び表4)。なお、クロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩の単独添加では、活性の抑制は見られなかった。表1及び表2と同様に、用いたカンフルは、すべてdl-カンフルである。
Figure 2023059139000003
Figure 2023059139000004
次に、カンフル及びクロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩と共に、アラントイン、グリチルリチン酸二カリウム、又はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを添加した場合のTRPA1の活性への影響を検討した。用いたカンフルは、すべてdl-カンフルである。各基準例及び実施例を表5~表10に示す。表5~表10の単位は特に指定がない限り、全てμg/mlである。抑制率は、各表の左端列の参考例を基準として値を算出した。
抑制率(%)=(基準例のΔF値―各実施例のΔF値)/基準例のΔF値×100
以下結果を併せて表5~10に示す。
Figure 2023059139000005
Figure 2023059139000006
Figure 2023059139000007
Figure 2023059139000008
Figure 2023059139000009
Figure 2023059139000010
カンフル及びクロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩と共に、アラントイン、グリチルリチン酸二カリウム、又はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを添加した場合、さらにTRPA1の活性が抑制されることがわかった。
したがってカンフルとクロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩の組み合わせにより、TRPA1の活性が抑制され、さらに、これらにアラントイン、グリチルリチン酸二カリウム又はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを添加することで、活性の抑制作用が強められることがわかった。なお、アラントイン、グリチルリチン酸二カリウム、又はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの単独添加では、活性の抑制は見られなかった。
[試験例2.官能評価試験1]
表11に示す試験例の組成物を常法にて調製した。表11の単位は全て質量%である。試験例1と同様に、用いたカンフルは、すべてdl-カンフルである。各試験例をミクロスパーテルで取り、健常な成人4名の前腕部分に塗布し、塗布直後の清涼感、香りについて評価した。評価は5段階で行い、平均値を算出し比較した。
1:感じない、2:少し感じる、3:感じる、4:よく感じる、5:非常に感じる
また、足の脛に赤みを伴った痒みを感じる成人1名については、比較例2-1、実施例2-6、2-7について塗布してから5分後の痒み、赤みの改善度合いについて1~5段階で評価を行った。さらに左前腕外側に赤みを伴った痒みを感じる成人1名、左手甲と指に赤みを伴った痒みを感じる成人1名について、比較例2-1、実施例2-6、2-7を塗布してから5分後の赤みの改善度合いについて1~5段階で評価を行った。なお、1は全く改善しない、5はとても改善したことを示す。
結果を合わせて表11に示す。
Figure 2023059139000011
カンフル単独に比べ、クロルフェニラミンマレイン酸塩又はジフェンヒドラミン塩酸塩の組み合わせにより、清涼感やカンフルの香りを感じやすくなり、さらに、これらにプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、アラントイン又はグリチルリチン酸二カリウムを添加することで、よりその効果が増強された。また、痒みや赤みについても同様の傾向が確認できた。
[試験例3.官能評価試験2]
表12及び13に示す試験例の組成物を調製した。なお比較例3-1,3-2、及び3-3としては市販されている製品を使用した。表12に示す組成物はクリ-ム剤、表13に示す組成物は軟膏剤である。表12及び表13の単位は全てmg/gである。各組成物を成人の人差し指の先から第一関節の長さ(1FTU=約0.5g)とり、健常な成人11名の前腕部分に塗布し、塗布した組成物がややテカる程度に5cm×5cm内の範囲にやさしく塗り広げた。塗布直後、20分後の「ひんやり感/爽快感/ス-ッと感」、「薬効感」について5段階で評価した。
1:全く感じない、2:やや感じない、3:どちらでもない、4:感じる、5:とても感じる。結果を表10に合わせて示す。なお、薬効感とは痒みが出た場合に痒みが静まりそうな感覚、又は効果がありそうな感覚を示す。
Figure 2023059139000012
Figure 2023059139000013
クリーム剤では、比較例3-1と比較し、カンフルとジフェンヒドラミン塩酸塩を含有する実施例3-1でひんやり感や薬効感が感じられることが確認できた。また、軟膏剤でも比較例3-2、3-3と比較し、カンフルとクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する実施例3-2でひんやり感や薬効感が感じられることが確認できた。
[試験例4.冷却作用評価試験]
表14に示す組成物を調整した。表14の単位は全てmg/gである。前腕内側の試験部位(2cm×2cm)に印をつけ、表面温度計(HORIBA INFRARED THERMOMETER IT-545)を用いて試験部位の皮膚温を測定した。その後、試験部位に製剤を約18mg塗布し、直後の皮膚温を測定し、冷却作用(%)を算出した。冷却作用(%)は下記式(1)の通り算出した。
冷却作用(%)=(塗布前の皮膚温度-塗布直後の皮膚温度)/塗布前の皮膚温度×100
結果を表14に合わせて示す。
Figure 2023059139000014
カンフルと添加物のみの組成物に比べ、カンフルと抗ヒスタミン剤を含有する実施例4-1~4-2で冷却作用が確認できた。さらに、これらにプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、アラントイン又はグリチルリチン酸二カリウムを添加することで、よりその効果が増強された。
[処方例]
下記表15~16に製剤例を示す。単位はすべて質量%である。なお、表15はクリーム剤、表16は、軟膏剤である。
Figure 2023059139000015
Figure 2023059139000016

Claims (10)

  1. (A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する外用組成物。
  2. さらに、プレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1に記載の外用組成物。
  3. 水の含有量が、組成物全量に対して85質量%以下である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
  4. さらに、1種又は2種以上の抗酸化剤を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の外用組成物。
  5. (A)カンフル及び(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を含有する皮膚冷却剤。
  6. さらに、プレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する、請求項5に記載の皮膚冷却剤。
  7. (A)カンフルを含有する外用組成物に、(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによる、外用組成物に皮膚の冷却作用を付与する方法。
  8. (A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、ヒスタミン非依存性の痒み抑制作用を付与する方法。
  9. (A)カンフルを含有する外用組成物に(B)1種又は2種以上の抗ヒスタミン剤を共存させることによって、TRPA1(transient receptor potential ankyrin 1)の活性抑制作用を付与する方法。
  10. さらにプレドニゾロン、プレドニゾロンの誘導体、アラントイン、アラントインの誘導体、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はグリチルレチン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を共存させる、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
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