JP2023058473A - 皮膚外用組成物 - Google Patents

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友紀 ▲高▼木
Yuki Takagi
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Abstract

【課題】 酸化亜鉛を配合し、そのマスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することを目的とする。別の実施態様において、本発明は、マスト細胞への脱顆粒抑制作用を有する金属塩を探索することを目的とし、当該金属塩を配合することにより、マスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛を含有する皮膚外用組成物を調製する。別の実施態様において、(C)アルミニウム塩を有効量含有する、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用の皮膚外用組成物を調製する。【選択図】 図2

Description

本発明は、皮膚外用組成物に関する。
アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患、あるいは乾燥肌に伴う皮膚の痒みは、患者にとって非常に不快なものであり、日常生活に支障をきたすこともある。このような皮膚の痒みに耐えられず、掻痒することでその掻痒部位に掻破などの刺激が加わると、その症状がさらに悪化し、より強い痒みを生じるという悪循環を招くことも多い。従って、そのような痒みを伴う疾患や状態を改善するためには、先ず痒みを抑えることが重要である。この痒みを抑える手段の一つとしては、痒みの伝達経路を抑制又は遮断する方法も挙げられる。
皮膚組織のマスト細胞は、アレルゲン等の抗原に起因する刺激を受けて活性化し、脱顆粒応答を起こして、細胞内からヒスタミンを遊離させる。このマスト細胞の作用により、痒み、赤み(発赤)、腫れ等の炎症反応が惹起される。このような反応は、抗原の認識から5分から数時間程度で反応が起こるため、即時型(I型)アレルギーと呼ばれる。
マスト細胞からの脱顆粒抑制はアレルギー治療薬を創薬するターゲットの一つとされており、例えば、クロモグリク酸ナトリウムは、マスト細胞の脱顆粒応答を抑制することで即時型アレルギーをブロックできる点で、臨床上重要な位置付けにある。
酸化亜鉛は、皮膚外用剤において、その収斂作用から制汗用途、又は皮膚の保護用途で使用されているが、マスト細胞の脱顆粒を抑えることも知られている(非特許文献1)。
Molecular Immunology 66 (2015) 139-146.
酸化亜鉛のマスト細胞への脱顆粒抑制作用は、そのメカニズムの詳細は十分に解明されていない。特に外用剤として酸化亜鉛を用いた場合に、どのような成分と共に共存することによって、その作用を増減させるのかは検討されていない。
よって、本発明は、酸化亜鉛を配合し、そのマスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することを目的とする。
別の実施態様において、本発明は、マスト細胞への脱顆粒抑制作用を有する金属塩を探索することを目的とし、当該金属塩を配合することにより、マスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することを目的とする。
上記課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明者は、プレドニゾロン及び/又はその誘導体と、酸化亜鉛とを特定の配合比率で共存させ、皮膚外用組成物を調製することにより、マスト細胞への脱顆粒抑制作用を顕著に高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、別の実施態様において、本発明者は、他の金属塩における効果を検討した結果、アルミニウム塩がマスト細胞への脱顆粒抑制作用を有することを新たに見出した。また、プレドニゾロン及び/又はその誘導体と、アルミニウム塩とを共存させることで、マスト細胞への脱顆粒抑制作用が更に高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる皮膚外用組成物を提供する。
項1.
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛を含有し、
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体1質量部に対して、(B)酸化亜鉛の含有量が、0.01~20質量部である、皮膚外用組成物。
項2.
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(C)アルミニウム塩を含有し、
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体1質量部に対して、(C)アルミニウム塩の含有量が、0.1~11質量部である、皮膚外用組成物。
項3.
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体が、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
項4.
掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用である、項1~3のいずれか1に記載の皮膚外用組成物。
項5.
マスト細胞の脱顆粒を抑制することを特徴とする、項1~4のいずれか1に記載の皮膚外用組成物。
さらに、本発明は、以下の方法に関する。
項6.
(C)アルミニウム塩を有効量含有する、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用の皮膚外用組成物。
さらに、本発明は、以下の方法に関する。
項7.
(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛及び/又は(C)アルミニウム塩を組成物中で共存させることを含む、該組成物に掻痒抑制効果を付与する方法。
本発明により、酸化亜鉛を配合し、マスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することが可能となる。別の実施態様においては、本発明により、アルミニウム塩を配合し、マスト細胞への脱顆粒抑制作用が高められた組成物を提供することが可能となる。
図1は、試験例1のマスト細胞における抗アレルギー試験の結果を示したグラフである。 図2は、試験例2のマスト細胞における抗アレルギー試験2の結果を示したグラフである。 図3は、試験例3のマスト細胞における抗アレルギー試験3の結果を示したグラフである。 図4は、試験例4のマスト細胞における抗アレルギー試験4の結果を示したグラフである。
[皮膚外用組成物]
一つの実施態様において、本発明の皮膚外用組成物は、(A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛を含有する。
((A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体)
本発明に用いられるプレドニゾロン及び/又はその誘導体としては、医薬品において用いられるものであれば特に限定されない。また、市販品を用いることも可能である。プレドニゾロン及び/又はその誘導体としては、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル、及び、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられるが、これに限定されない。プレドニゾロン及び/又はその誘導体としては、発明の効果をより顕著に奏する観点から、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが好ましい。
本発明において、組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.05質量%以上、より好ましくは、0.075質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.25質量%以下であり、より好ましくは、0.15質量%以下である。組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.05~0.25質量%、より好ましくは、0.075~0.15質量%、さらに好ましくは、0.1~0.15質量%である。
((B)酸化亜鉛)
本発明に用いられる酸化亜鉛としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。また、市販品を用いることも可能である。
本発明において、組成物の全量に対する(B)成分の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、1.5質量%以上である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下である。組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、好ましくは、0.1~5質量%、より好ましくは、0.5~4質量%、さらに好ましくは、1.5~3質量%である。
本発明において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を顕著に高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の含有量が、20質量部以下であり、好ましくは18質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下であり、さらに好ましくは13質量部以下であり、さらにより好ましくは12質量部以下であり、さらにより好ましくは11質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以下である。また本発明において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を顕著に高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(B)成分の含有量が、0.01~20質量部であり、好ましくは、0.1~20質量部、より好ましくは、1~20質量部、さらに好ましくは、3~15質量部、最も好ましくは、6~10質量部である。
((C)アルミニウム塩)
本発明に用いられるアルミニウム塩としては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。また、市販品を用いることも可能である。本発明に用いられるアルミニウム塩としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を顕著に高める観点から、クロルヒドロキシアルミニウムが好ましい。
本発明において、組成物の全量に対する(C)成分の含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.2質量%以下である。組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは、0.01~15質量%、より好ましくは、0.05~0.5質量%、さらに好ましくは、0.1~0.2質量%である。
本発明において、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を顕著に高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(C)成分の含有量が、11質量部以下であり、好ましくは10質量以下であり、より好ましくは9質量以下であり、さらに好ましくは8質量以下であり、さらにより好ましくは7質量以下であり、さらにより好ましくは6質量以下であり、さらにより好ましくは5質量以下であり、さらにより好ましくは4質量以下であり、特に好ましくは3.4質量部以下であり、最も好ましくは2.7質量部以下である。また、本発明において、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を顕著に高める観点から、(A)成分1質量部に対して、(C)成分の含有量が、0.1~11質量部であり、好ましくは、0.3~5質量部、より好ましくは、0.6~3.4質量部、更により好ましくは、1.3~3.4質量部、特に好ましくは1.3~2.7質量部である。
(水)
本発明の皮膚外用組成物は、水を含む液状組成物であっても良いが、水を含まない組成物であっても良い。配合される水の含有量は、限定はされないが、組成物の全量に対して、好ましくは、20~95質量%、より好ましくは、30~80質量%、さらに好ましくは、40~70質量%である。組成物の剤形が軟膏である場合、配合される水の含有量は、組成物の全量に対して、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、1質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
(その他の成分)
本発明の皮膚外用組成物には、上記(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分等の他に、さらに、各種の活性成分を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましくは抗ヒスタミン剤、抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、抗炎症成分、抗菌・殺菌成分、局所麻酔剤等を組み合わせることもできる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、ブロモジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリンのようなエタノールアミン系抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミンのようなプロピルアミン系抗ヒスタミン剤、イソチペンジルのようなフェノチアジン系抗ヒスタミン剤及びこれらの塩等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、例えば、クロタミトン等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、アラントイン及びその誘導体(例えば、アルクロキサ、アラントインなど)、グリチルリチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなど)、グリチルレチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルなど)、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
抗菌・殺菌成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クレゾール、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、パラベン、フェノキシエタノール塩化セチルピリジニウム、ミコナゾール若しくはその塩、クロロブタノール又は植物(例えば、アロエ、クララ、ローズマリー、クワ、ユーカリ、キナ、チョウジなど)に由来する成分等が挙げられる。
局所麻酔剤としては、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
(基剤、担体、添加物等)
本発明の組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分等の他に、基剤、担体、又は添加物等を含んでいてもよい。
基剤、担体、又は添加物等としては、例えば、界面活性剤、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油、シリコーン油、保湿成分、多価アルコール、増粘剤、清涼化剤、酸化防止剤、保存剤又は防腐剤、pH調整剤、キレート剤等が挙げられる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
界面活性剤は、成分の安定化に寄与し得る。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよい。
ここで、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等);アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、アルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);アミノ酸系界面活性剤(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸カリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);エーテルカルボン酸塩(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等);α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等);グリセリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル);ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル55等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸などの直鎖状飽和脂肪酸(常温で固体);オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコサペンタエン酸、パクセン酸又はドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸(常温で液体);又は、イソステアリン酸又はラノリン脂肪酸などの分岐状脂肪酸、又は12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~22の高級アルコールやステロール類などが挙げられる。好ましくは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、などの直鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、セラキルアルコールのような不飽和アルコール;又は、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、ワセリン、パラフィン、セレシン、イソパラフィン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、ポリブテン、ポリエチレン末、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン及び軽質流動パラフィンのような炭化水素が挙げられる。
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、キョウニン油、ホホバ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、サザンカ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シア脂、オレンジ油、カミツレ油等の油脂類等が挙げられる。
ロウ類としては、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セラックロウ、ミツロウのようなロウ類等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸イヌリン、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、ジメチルポリシロキサンなどのシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油等が挙げられる。
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸等を含む);ヒアルロン酸の塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸亜鉛、低分子ヒアルロン酸亜鉛等);ヒアルロン酸誘導体(アセチル化ヒアルロン酸又はその塩(例えば、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛等)、架橋型ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸クロスポリマーNa等)、カルボキシメチルヒアルロン酸Na、不飽和ヒアルロン酸又はその塩、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、カチオン化ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等)、ヒアルロン酸ジメチルシラノール等);コンドロイチン硫酸又はその塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸カリウム等);ヘパリン類似物質、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体;多価アルコール;PPG-17ブテス-17、PPG-25ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシアルキレンジグリセリルなどのアルキレンオキシド;グリコシルトレハロース、トレハロース;セラミド、グルコシルセラミド、コレステロール、フィトステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の2-メタクロイルオキシホスホリルコリン含有重合体;乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等とそれらの加水分解物;ヒドロキシエチルウレア;植物(たとえば、アロエ、海藻、カッコン、クロレラ、レモングラス、カミツレ、ハマメリス、チャ、シソ、グレープフルーツ、アマチャヅルなど)に由来する成分、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ヒドロキシ基を2個以上有する低分子が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル酸系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、グァーガム、スクレロチウムガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストラン、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ビオサッカリドガム、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、塩化トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルグァーガム、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール及びその誘導体、カンフル、クロロブタノール、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。);ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、テレビン油等の精油等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体(酢酸トコフェロール等)、トコトリエノール、亜硫酸水素塩、次亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
保存剤又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルイソチアゾリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルギニン、グリシンなど)、ならびにそれらの塩、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
[製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、適宜設定できる。
具体的には、必要に応じ各成分を加熱溶解して、混合後、冷却しながら撹拌し、その後室温で静置する方法が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
[製剤形態]
本発明の組成物は、例えば、医薬品に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加物と共に混合して皮膚外用組成物とすることができる。
本発明の組成物の形態は特に限定されないが、皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。このような形態としては、例えば、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、貼付剤、容器に収容した固形剤(スティック剤、球形剤、半球形剤)等が挙げられる。これらの製剤は、第18改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、クリーム剤、ゲル剤、又は軟膏剤が好ましい。
[pH]
本発明の組成物のpHは、通常pH3.0~7.5であり、pH3.0~7.0であることが好ましく、pH3.0~6.5であることがさらに好ましく、pH3.5~6.0であることがさらにより好ましく、pH3.8~5.5であることが特に好ましい。なお、このpHは、例えば、pH調整剤の使用により調整することができる。ただし、pH測定が不能又は困難な製剤形態については、この限りではない。
[容器]
本発明の組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器、スティックタイプの容器等を例示できる。これらの容器に収容することで、本発明の組成物を所望の患部に直接的に又は間接的に塗布することができる。ノズルやスポンジは、患部の狭い範囲又は広い範囲に塗布できるように、先細又は大きな径に設計することも可能である。患部に本実施形態に係る組成物を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。
また、容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)等を例示できる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合する等 して組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。
[掻痒抑制効果の付与方法]
本発明はまた、プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、酸化亜鉛又はアルミニウム塩を組成物中で共存させることを含む、該組成物に掻痒抑制効果を付与する方法を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[皮膚外用組成物]に記載した内容に準じる。本発明の方法によれば、酸化亜鉛のマスト細胞への脱顆粒抑制作用が顕著に高められるため、皮膚外用剤の他、点眼剤、眼用軟膏剤等の各種剤形においても利用され得る。
[用途]
限定はされないが、本発明の組成物は、例えば、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用として有効であり、マスト細胞の脱顆粒を抑制することにより改善される症状や状態に対して用いられてもよく、即時型(I型)アレルギーの改善に用いられてもよい。マスト細胞の脱顆粒現象としては、IgE依存性の脱顆粒が挙げられる。放出されるケミカルメディエーターとしては、ヒスタミン、トリプターゼ、セロトニン、胆汁酸、IL-31、サブスタンスP等が挙げられる。
限定はされないが、本発明の組成物は、例えば、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、湿疹(頭皮湿疹や手湿疹を含む、皮膚湿疹、赤みを伴う湿疹)、皮フ炎、かゆみ、かぶれ、じんましん、ただれ、あせも、しもやけ、虫さされ、又は乾燥等が原因のかゆみ等に対して作用を有する。このため、本発明の組成物は、例えば、乾燥肌の皮膚に対しても好適に用いられる。かゆみとしては、かきむしりたいような激しいかゆみ、ひりつくようなかゆみ、痛みを伴うかゆみに好適に用いられる。さらに、皮膚の修復機能を有することもできる。一つの実施態様において、このような用途は、下記実施例において示される、マスト細胞の脱顆粒抑制作用に基づくものであり、特には、ヒスタミンが主たるケミカルメディエーターとなる、マスト細胞のIgE依存性の脱顆粒を抑制する作用に基づくものであり得る。
皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)として適用される製品に使用されることが好ましい。皮膚の適用部位としては、手(手のひら、手指)、顔、足、頭、首元、胸元、脇、背中、腰回り、肘の裏、膝の裏の皮膚が挙げられる。本発明の組成物は、用途等に応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。適用量は、使用者により異なるものの、プレドニゾロン及び/又はその誘導体が1回あたり、1FTU(finger tip unit)となるように適用することが好ましい。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、特に記載がない限り、質量%である。
[試験例1.マスト細胞における抗アレルギー試験]
骨髄細胞を、IL-3とSCFを添加した培地で3~4日に1回培地交換を行いながら6週間以上、37℃、5%COにて培養した。前記骨髄細胞は、C57/BL6J系統マウスの腕又は足の骨由来である。セルソーター(SH800Z、ソニー株式会社製)にて骨髄細胞がマスト細胞に分化した時の指標であるCD117およびFcεRIαを解析し、いずれも発現していることを確認した。培地で6週以上培養した細胞について、IgEを添加した培地で37℃、5%CO、24時間培養して感作した。感作後の細胞を1.0x10cells/wellにて96wellプレート(Corinig社製)に播種した。播種後の細胞には任意の濃度バッファーに溶解した酸化亜鉛またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを添加し15分室温で静置した。その後、さらに惹起剤であるDNP-BSAを添加して37℃、1時間インキュベートした。インキュベート後に遠心分離により細胞を除いてから培養上清を回収した。上清にβ-ヘキソアミニダーゼ(β-Hex)の基質である4-ニトロフェニル2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシドを添加し、30分37℃でインキュベートしてから吸光マイクロプレートリーダーVersa Max(Molecular Devices社製)にて吸光度(405nm)を測定した。Triton-Xにて処理した時の吸光度を100%としたときの相対値としてβ-Hex放出の割合を算出した。β-Hex放出に関する結果を図1に示す。
次に、酸化亜鉛とプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを添加した場合の脱顆粒への影響を検討した。結果を図1に示す。
図1に示される通り、酸化亜鉛またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルをDMSOを溶媒としてそれぞれ単剤で添加した場合、DMSOのみを添加した場合と同程度のβ-Hex放出量が検出された。一方、酸化亜鉛とプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを同時添加した場合、酸化亜鉛(22.8%)またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル単体(23.3%)と比較してβ-Hex量が低下した(19.5%,p<0.01,vs酸化亜鉛単体又はPVA単体、Trukey-Kramer test、n=3)。
したがって、酸化亜鉛とプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの組み合わせにより、マスト細胞の脱顆粒抑制が増強されることが示された。
[試験例2.マスト細胞における抗アレルギー試験2]
試験例1と同様の試験を、酸化亜鉛およびプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの濃度を変えて行った。結果を図2示す。
図2に示される通り、酸化亜鉛またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを、DMSOを溶媒としてそれぞれ単剤で添加した場合、DMSOのみを添加した場合と同程度のβ-Hex放出量が検出された。一方、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルと酸化亜鉛の添加した質量比1:20(0.25:5)、1:10(0.5:5)にて同時添加した場合、酸化亜鉛またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル単体と比較してβ-Hex量が低下した(p<0.05,vs酸化亜鉛単体、Dunnet‘s test、n=3)。
[試験例3.マスト細胞における抗アレルギー試験3]
試験例1と同様の試験を、クロルヒドロキシアルミニウム(図中では「ACH」と表記する。以下同じ。)について行った。なお、クロルヒドロキシアルミニウムは、(C)アルミニウム塩における一つの実施形態であり、必ずしも、当該成分に限定されない。結果を図3に示す。
図3に示される通り、クロルヒドロキシアルミニウムをDMSOを溶媒として単剤で添加した場合、濃度依存的にβ-Hex量が低下した(p<0.01,vsDMSO、Dunnet‘s test、n=3)。すなわち、クロルヒドロキシアルミニウムが、単剤であっても、マスト細胞の脱顆粒抑制作用を有することが確認された。
[試験例4.マスト細胞における抗アレルギー試験4]
試験例1と同様の試験を、クロルヒドロキシアルミニウムおよびプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの組み合わせにおいて行った。結果を図4に示す。
図4に示される通り、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルをDMSOを溶媒としてそれぞれ単剤で添加した場合、DMSOのみを添加した場合と同程度のβ-Hex放出量が検出された。一方、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルとクロルヒドロキシアルミニウムの添加濃度比1:2.7(11.3:30)、1:0.67(45:30)にて同時添加した場合、酸化亜鉛またはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル単体と比較してβ-Hex量が低下した(p<0.01,vsクロルヒドロキシアルミニウム単体、Dunnet‘s test、n=3)。
したがって、クロルヒドロキシアルミニウムのマスト細胞の脱顆粒抑制効果はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルとの組み合わせにより増強されることが示された。
[試験例5.実使用試験]
表1に記載の皮膚外用組成物を製造し、使用したところ、比較例と比べ実施例を塗布した際にかきむしりたくなるような激しい痒みの改善、及び、赤みを伴う痒みの改善が、日常的に乾燥肌に悩むユーザー2名にて確認された。上述の試験例を考慮すると、マスト細胞の脱顆粒抑制作用が確認された本発明の組成物は、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用に好適であることが確認された。
Figure 2023058473000002
[処方例]
下記表2~表4に処方例を示す。単位はすべて質量%である。
Figure 2023058473000003
Figure 2023058473000004
Figure 2023058473000005
製剤例1~16を人に適用した場合、マスト細胞の脱顆粒が抑制されることで痒みの緩和が確認される。

Claims (7)

  1. (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛を含有し、
    (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体1質量部に対して、(B)酸化亜鉛の含有量が、0.01~20質量部である、皮膚外用組成物。
  2. (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(C)アルミニウム塩を含有し、
    (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体1質量部に対して、(C)アルミニウム塩の含有量が、0.1~11質量部である、皮膚外用組成物。
  3. (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体が、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
  4. 掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用である、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
  5. マスト細胞の脱顆粒を抑制することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
  6. (C)アルミニウム塩を有効量含有する、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、抗アレルギー用の皮膚外用組成物。
  7. (A)プレドニゾロン及び/又はその誘導体、並びに、(B)酸化亜鉛及び/又は(C)アルミニウム塩を組成物中で共存させることを含む、該組成物に掻痒抑制効果を付与する方法。
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