JP2023057631A - 自立型パウチ - Google Patents

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勝郎 杉丸
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Abstract

【課題】パウチに取っ手を設ける場合において、耐久性があり、重心から偏ることなく、パウチが大型化することも無い構成を提供する。【解決手段】自立型パウチは、表面シート、裏面シート、および底面シートを有している。底面シートが表面シートおよび裏面シートに溶着されている。底面シートと表面シートの下部とが溶着された表側溶着部、および底面シートと裏面シートの下部とが溶着された裏側溶着部に取付孔がそれぞれ形成されている。取付孔には取っ手が取り付けられる。【選択図】図6

Description

本発明は、例えば自立した状態で保管等が可能な自立型パウチに関する。
例えば農薬や除草剤などの分野においては、水で希釈せずにそのまま散布できる液剤が、容器に充填された状態で販売されている。この種の液剤が充填された容器においては、当該容器に散布機などを接続して液剤を散布可能にする構成にできるほか、当該容器を使用者自身が傾けて液剤を散布する構成とすることもできる。
例えば特許文献1には、液剤が充填された容器と、当該容器に接続された電動式の散布機とが開示されている。容器には、使用者が持つための取っ手が形成されている。使用者は、片方の手で容器の取っ手を持ち、もう片方の手で散布機を持つことで、適宜移動しながら液剤を散布することができる。また、特許文献2には、液体等が充填された容器が開示され、使用者が取っ手を持って当該容器を傾けることで内容物を散布する様子が記載されている。
従来この種の容器は、剛性を有するプラスチック製とされていた。しかしながら近年、廃棄プラスチック削減が求められている。
この点、よりプラスチックの使用量を削減した容器、具体的にはフィルムやシートを袋状に成形したもの(いわゆるパウチ)を散布容器として利用する従来技術が知られている(例えば特許文献3~5)。このようにパウチを散布容器として用いる場合、使用者が把持可能な取っ手をパウチに設ける必要がある。パウチに取っ手を設ける従来技術としては、上記特許文献3~5に加え、特許文献6などが知られている。
国際公開第2015/038744号パンプレット 特開2018-62353号公報 実用新案登録第3209948号公報 実用新案登録第3089648号公報 特開2006-61058号公報 特開2015-63332号公報
ところが、特許文献3~6のようにパウチに取っ手を設ける場合、取っ手を設ける部分を確保するためにパウチの幅を大きく作る必要があり、パウチが大型化してしまうという問題がある。
また、取っ手を設けたパウチを散布容器として利用する場合、重量物である液剤を収容した状態で長時間にわたり取っ手を持って作業することになるので、取っ手部分の耐久性に懸念がある。
この点、例えば特許文献3は、取っ手を形成するための切断線の一部を底部シール部に達して形成することで強度を高める構成を開示している。ところがこの場合、特許文献3の図7に記載されているように、散布時においては取っ手部分が図面左右方向の一方に偏った位置にある。このため、取っ手とパウチの重心が鉛直線上に位置せず、重量物である液剤が入った状態で特許文献3の図7のように持つと、内部に収容されている液剤の重さでパウチが簡単に折れ曲がってしまい、その結果、散布方向が定まりにくくなり、散布が困難になるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、パウチに取っ手を設ける場合において、耐久性があり、パウチの重心から偏ることなく、しかも、パウチが大型化することも回避可能なものを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る自立型パウチは、表面シート、裏面シート、および底面シートを有するとともに、当該底面シートが前記表面シートおよび前記裏面シートに溶着されている。前記底面シートと前記表面シートの下部とが溶着された表側溶着部、および前記底面シートと前記裏面シートの下部とが溶着された裏側溶着部に取付孔がそれぞれ形成されている。前記取付孔には取っ手が取付可能になっている。
すなわち、自立型パウチを構成している底面シートと、表面シートおよび裏面シートとが溶着されて底面ガセットが形成されるので、この部分はシート複数枚分の厚みがあり強度が高い部分となる。この強度が高い部分に取っ手の取付孔を設けることで、取っ手の取付強度を十分に確保することができ、高い耐久性が得られる。また、自立型パウチの底部に取付孔を設けているだけなので、特許文献3~6のものに比べて自立型パウチが大型化することもない。さらに、自立型パウチの底部に取っ手が取り付けられることになるので、特許文献3のようにパウチから内容物を流出させる際に取っ手とパウチの重心とが偏り難くなり、パウチが容易に折れ曲がり難くなる。
本開示の他の形態では、前記表側溶着部および前記裏側溶着部の上下方向の寸法は、前記自立型パウチの幅方向中央部に対応する部分よりも幅方向両側に対応する部分が長く設定されている。前記取付孔は、前記表側溶着部の幅方向両側および前記裏側溶着部の幅方向両側にそれぞれ形成することができる。
すなわち、自立型パウチの表側溶着部および裏側溶着部の上下方向の寸法は、パウチの隅部およびその近傍の強度を確保するために、隅部に近い部分(自立型パウチの幅方向両側に対応する部分)が、隅部から離れた部分(自立型パウチの幅方向中央部に対応する部分)に比べて長くなっている。上下方向の寸法の長い幅方向両側に取付孔を形成することで、取付孔を形成するための領域をパウチにわざわざ設定する必要はなく、既存の領域の一部を有効に利用して取付孔を形成できる。これにより、パウチの大型化が回避される。
本開示の他の形態では、前記表面シートの上部と前記裏面シートの上部とが溶着された上部溶着部に、散布機が接続された可撓性ホースとの接続部が設けられている。
すなわち、通常、散布機によって液体等の散布を行う場合には、散布する液体を吸い上げるためのディップチューブが必要となる。この点、本形態の自立型パウチの場合、取っ手が底部に取り付けられているので、散布時には接続部が下部に位置することになる。このため、自立型パウチに収容されている液体が重力で自然と接続部まで下りてくることになるので、パウチ内の液体を吸い上げるためのディップチューブが不要となる。
本開示の他の形態では、前記表面シートの上部と前記裏面シートの上部とが溶着された上部溶着部に、斜め上方を向く散布口を有する散布部材が設けられている。
すなわち、自立型パウチに取っ手を取り付けて持つと、自立型パウチが上下反対になり、散布口が斜め下方を向くことになる。これにより、使用者は、斜め前方にむけて液体を散布できるので、例えば除草剤などの散布を容易に行うことができる。
本開示の他の形態では、表側から見た時、前記表側溶着部に形成された前記取付孔と、前記裏側溶着部に形成された前記取付孔とが重複している。
この構成によれば、取っ手を取り付ける際に、表側溶着部に形成された取付孔と、裏側溶着部に形成された取付孔とが重複する位置関係にあるので、両取付孔に取っ手を取り付ける作業が容易に行える。
以上説明したように、パウチに取っ手を設ける場合に、パウチの大型化を回避できるとともに、取っ手の取付部分の耐久性を高めることができ、しかも、内容物を流出させる際に取っ手とパウチの重心とが偏り難くなるので容易に流出させることができる。
本発明の実施形態に係る袋体を備えた液体散布装置を示す図である。 液体が収容された袋体を表側から見た正面図である。 図2におけるIII-III線断面図である。 図2におけるIV-IV線断面図である。 袋体とホース、ホースと電動散布具の接続要領を説明する図である。 取っ手を取り付けた袋体の使用時を示す正面図である。 散布部材が取り付けられた袋体の正面図である。 液体散布装置の使用時を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る袋体1を備えた液体散布装置Aを示すものである。液体散布装置Aは、液体を収容する袋体1と、液体を連続的に散布可能な電動散布具80と、袋体1と前記電動散布具80とを接続する可撓性ホース70とを備えている。袋体1は、図2等に示すように、いわゆるパウチである。図2は袋体1を表側から見た図、即ち正面図である。この袋体1に収容される液体は、例えば除草剤、農薬、肥料、水、除菌剤、殺菌剤、防カビ剤、洗剤、殺虫剤(害虫駆除剤)、害虫忌避剤、塗料、潤滑剤、溶剤等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、散布可能な各種液体であってもよい。また、袋体1に収容される液体は、上述した例のうち、1種のみであってもよいし、任意の2種を混合したものであってもよい。
袋体1の内容量は、例えば100ml以上5000ml以下の範囲で設定することができる。後述するように、袋体1は使用者が手で持って使用するものであることから、液体を収容した状態で例えば5kg以下となるように内容量を設定することができ、また、長時間の使用を考慮して、液体を収容した状態で1kg以下となるように内容量を設定することもできる。袋体1は、使用時の安定性を考慮すると上下方向に長い形状とするのが好ましいが、これに限らず、幅方向の寸法が上下方向の寸法より長くてもよい。
図2および図3に示すように、袋体1は、表面シート10、裏面シート11、底面シート12および流出口形成部材14を有している。このように、複数枚のシート10~12を組み合わせて袋体1を構成し、その袋体1に液体Bを収容しているので、従来例のような剛性のあるプラスチック容器を散布用の容器として使用する場合に比べてプラスチックの使用量を削減できる。表面シート10、裏面シート11および底面シート12は、例えば柔軟性を有する樹脂製シート等で構成されており、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフィルムのうち、1層のみで構成されていてもよいし、任意の2つ以上を積層した複層構造であってもよい。また、表面シート10、裏面シート11および底面シート12は、例えばアルミニウム箔からなる層を有するシートであってもよく、この場合、樹脂からなる表面層と裏面層との間に、アルミニウム箔を積層した複層構造のシートとすることができる。その他にも、金属蒸着層や、各種樹脂層、接着層等を組み合わせて所望の特性、厚み、強度を持ったシートを得て、得られたシートにより、表面シート10、裏面シート11および底面シート12を構成してもよい。表面シート10、裏面シート11および底面シート12は後述するヒートシール性を有しているものなので、例えば基材層と、熱可塑性樹脂層とが積層された構造のものを用いることができる。基材層と、熱可塑性樹脂層とは、例えば溶融押出法や、ドライラミネーション法等によって積層して一体化することができる。
表面シート10、裏面シート11および底面シート12の厚みは任意の厚みに設定することができ、液体を収容した状態で長期間保管しても伸びることなく、また多少の衝撃によっても破れないような厚さにしておくことができる。具体的には、表面シート10、裏面シート11および底面シート12の厚みは、例えば50μm以上、また100μm以上とすることができ、表面シート10、裏面シート11および底面シート12の厚みの上限は500μm以下とすることができる。表面シート10、裏面シート11および底面シート12は、全て同じシートで構成されていてもよいし、部位によって異なるシートを組み合わせてもよい。
表面シート10、裏面シート11および底面シート12は、ヒートシール性を有している。ヒートシール性とは、例えば表面シート10と裏面シート11とを厚み方向に重ね合わせて強く密着させた状態で、両者の接触面の樹脂が溶融する温度以上まで加熱し、その後、当該樹脂が硬化する温度まで低下させることで、表面シート10と裏面シート11とを溶着させて気体や液体の出入りを抑止することができる性質である。つまり、表面シート10、裏面シート11および底面シート12は、熱を用いたシール法によって気密に、または液密に接合することができるものである。ヒートシール時の各種条件設定や、ヒートシール装置は、従来から周知である。
図2および図3は、袋体1を保管しているときや店舗等へ運搬しているときの姿勢を示しており、この時の姿勢を不使用時姿勢という。一方、図6および図8は、電動散布具80で液体を散布しているときの姿勢を示しており、不使用時姿勢にある袋体1を上下反対(天地逆)にした姿勢となっている。この時の姿勢を使用時姿勢という。不使用時姿勢の姿勢にある袋体1は、例えば水平面に載置した状態で倒れることなく、立ったままとなるように、底部の形状が設定されている。このような袋体1を自立型パウチ、またはスタンディングパウチ等と呼ぶことができる。袋体1は、パウチの他、収容袋、袋状容器等と呼ぶこともできる。表面シート10、裏面シート11および底面シート12を柔軟な樹脂製シートで構成していることで、袋体1は自由に形状が変化するが、各シート10~12は殆ど延びないので、液体が満量状態であっても袋体1が伸びるような変形はしない。
図2および図3に示すように、不使用時姿勢にあるときには、流出口形成部材14が袋体1の上部に位置付けられる。表面シート10は、袋体1の表側(正面側)を構成する部材であり、上下方向の長さが幅方向(図2および図3の左右方向)の長さよりも長く設定されている。裏面シート11は、袋体1の裏側(背面側)を構成する部材であり、表面シート10と同様な形状とされている。表面、裏面は、説明の便宜を図るために定義しているだけであり、図2に示す側が裏側であってもよい。また、表面を前面、裏面を後面と呼んでもよい。
図2に示すように、袋体1は、上部シール部20、左側部シール部21、右側部シール部22、表側底部シール部23および裏側底部シール部24(図3および図4に示す)を有している。上部シール部20、左側部シール部21および右側部シール部22は、表面シート10と裏面シート11との溶着部である。また、表側底部シール部23は、表面シート10と底面シート12とが溶着された表側溶着部であり、また、裏側底部シール部24は、裏面シート11と底面シート12とが溶着された裏側溶着部である。
すなわち、表面シート10の上部と裏面シート11の上部とは互いにヒートシール法によって溶着された上部シール部(上部溶着部)20を構成している。また、表面シート10の左側部と裏面シート11の左側部とは互いにヒートシール法によって溶着されて左側部シール部(左側部溶着部)21を構成している。また、表面シート10の右側部と裏面シート11の右側部とは互いにヒートシール法によって溶着されて右側部シール部(右側部溶着部)22を構成している。上部シール部20の上下方向の寸法、左側部シール部21の左右方向の寸法、および右側部シール部22の左右方向の寸法は、例えば5mm程度とすることができる。
また、図3に示すように、底面シート12は、液体Bの収容状態で袋体1の奥行方向に延びるように配置される。底面シート12の表側部分12aは下方向に折り曲げられており、この底面シート12の表側部分12aと表面シート10の下部とは互いにヒートシール法によって溶着されて表側底部シール部23を構成している。また、底面シート12の裏側部分12bは下方向に折り曲げられており、この底面シート12の裏側部分12bと裏面シート11の下部とは互いにヒートシール法によって溶着されて裏側底部シール部24を構成している。
底面シート12における表側部分12aと裏側部分12bとの間の部分が袋体1の奥行方向に延びていることで、袋体1の底部の奥行寸法が上部の奥行寸法に比べて長くなる。これにより、液体が収容された状態の袋体1が安定して自立する。また、表面シート10の左側部と裏面シート11の左側部とが互いに溶着されていることから、底面シート12の奥行方向の寸法は、袋体1の左端に近づくほど短くなっている。同様に、表面シート10の右側部と裏面シート11の右側部とが互いに溶着されていることから、底面シート12の奥行方向の寸法は、袋体1の右端に近づくほど短くなっている。
図2に示すように、表側底部シール部23の上下方向の寸法は、左右方向中央部が最も短く、左側へ行くほどおよび右側へ行くほど長く設定されている。つまり、表側底部シール部23の上下方向の寸法は、袋体1の幅方向中央部に対応する部分よりも当該袋体1の幅方向両側に対応する部分が長い。従って、表面シート10の下部と底面シート12の表側部分12aとの溶着部分である表側底部シール部23の左側および右側はそれぞれ表側拡大シール部23aとされている。表側拡大シール部23aの上下方向の寸法は、例えば10mm以上、または20mm以上とすることができる。尚、表側底部シール部23の表側拡大シール部23a以外の部分の上下方向の寸法は、例えば10mm未満、また5mm以下とすることができ、上部シール部20の上下方向の寸法と同じであってもよい。
同様に、裏側底部シール部24の上下方向の寸法は、左右方向中央部が最も短く、左側へ行くほどおよび右側へ行くほど長く設定されている。従って、裏面シート11の下部と底面シート12の裏側部分12bとの溶着部分である裏側底部シール部24の左側および右側はそれぞれ裏側拡大シール部24a(図4に示す)とされている。
表側拡大シール部23aおよび裏側拡大シール部24aを設けることで、袋体1の下側の隅部の強度を向上させることができる。これにより、例えば密閉状態の袋体1が落下した時のように内圧が急激に高まったときの袋体1の破裂を抑制することができる。要するに、表側拡大シール部23aおよび裏側拡大シール部24aは、補強部であり、例えば底部ガセット等と呼ぶことができる部分である。表側拡大シール部23aおよび裏側拡大シール部24aは、必要に応じて設ければよい。尚、袋体1の内部に液体Bを収容する際には、左側部シール部21、右側部シール部22、表側底部シール部23および裏側底部シール部24を形成して上方のみ開放した状態にしておき、この上方から液体Bを収容した後、上部シール部20を形成して密封すればよい。
図2に示すように、袋体1の上部における左側は斜めに切り欠かれている。袋体1の上部における左側が斜めに切り欠かれていることにより、袋体1の上部における左側は、左端へ行くほど下に位置するように傾斜して延びる傾斜部10aとなっている。傾斜部10aには、流出口形成部材14が設けられている。流出口形成部材14は、合成樹脂が成形されて固化することによって得られた樹脂成形体である。具体的には、流出口形成部材14は、例えば表面シート10および裏面シート11に溶着する樹脂材で構成されており、基部14aと、基部14aから袋体1の外部へ突出する筒部14bとを有している。基部14aは、筒状に形成されており、表面シート10と裏面シート11との間に配置され、基部14aの外周面が両シート10、11に溶着されることにより、基部14aの外周面と、両シート10、11との間がシールされるとともに、基部14aが両シート10、11に固定される。基部14aの内部に形成されている通路は、袋体1の内部と連通している。また、基部14aの内部に形成されている通路と、筒部14bの内部とは互いに連通している。
筒部14bの軸線は、鉛直線に対して傾斜しており、その傾斜角度は、例えば30゜以上、または40゜以上に設定されている。筒部14bの軸線の鉛直線に対する傾斜角度は、例えば80゜以下、または70゜以下に設定されている。尚、筒部14bの軸線は鉛直方向に延びていてもよい。
図5に示すように、筒部14bの突出方向先端面には、袋体1に収容した液体が流出する流出口14cが形成されている。筒部14bの外周面には、螺旋状に延びるネジ山14dが形成されている。図2に示すように、不使用時には、筒部14bにキャップ15が取り付けられている。キャップ15の内周面には、図示しないネジ溝が形成されており、このネジ溝に筒部14bのネジ山14dを螺合させてキャップ15を締めることにより、流出口14cが閉塞されている。一方、使用開始前には、キャップ15を緩めて外すことにより、流出口14cを開放することができる。尚、キャップ15は、流出口14cに圧入することによって当該流出口14cを閉塞する構造であってもよい。
筒部14bが袋体1の上部に設けられているので、流出口14cは底面シート12とは上下方向反対側に設けられることになる。また、筒部14bが上方に向けて突出しているので、筒部14bの突出方向先端面に開口する流出口14cは上方に向くことになる。特に、この実施形態では、筒部14bが左斜め上方に向けて突出しているので、流出口14cも左斜め上方に向く。尚、筒部14bが鉛直上向きに突出している場合、流出口14cも鉛直上方に向くことになる。また、筒部14bが右斜め上方に突出していてもよく、この場合、流出口14cも右斜め上方に向くことになる。つまり、流出口14cの向きは真上であってもよいし、斜め上であってもよい。また、流出口14cの位置は袋体1の右側であってもよいし、左右方向中央部であってもよい。傾斜部10aは右側に設けられていてもよいし、傾斜部10aを省略してもよい。
(取っ手の構造)
本実施形態では、袋体1の下部に取っ手60が着脱可能に取り付けられている。取っ手60は、使用時に使用者が持つ部分であり、把持部とも呼ぶことができる。すなわち、図2に示すように、取っ手60を取り付けるための取付孔23bが袋体1の左右方向両側にそれぞれ形成されている。左側の取付孔23bは、左側の表側拡大シール部23aを厚み方向に貫通するように形成されている。また、右側の取付孔23bは、右側の表側拡大シール部23aを厚み方向に貫通するように形成されている。取付孔23bの形状は、特に限定されるものではないが、例えば円形等とすることができる。
裏側にも表側と同様に、取っ手60を取り付けるための取付孔24bが袋体1の左右方向両側にそれぞれ形成されている。左側の取付孔24bは、左側の裏側拡大シール部24aを厚み方向に貫通するように形成されている。また、右側の取付孔24bは、右側の裏側拡大シール部24aを厚み方向に貫通するように形成されている。図4に示すように、表側の取付孔23bと、裏側の取付孔24bとは、同じ高さであるとともに、左右方向の位置も同じに設定されている。したがって、袋体1を表側または裏側から見たとき、表側の取付孔23bと裏側の取付孔24bとが重複する位置関係にある。尚、表側の取付孔23bと裏側の取付孔24bとが完全に重複していてもよいし、一部が重複していてもよい。
図6に示すように、取っ手60は、袋体1の左側(幅方向一側)に形成された取付孔23b、24bに取り付けられる第1被取付部60aと、袋体1の右側(幅方向他側)に形成された取付孔23b、24bに取り付けられる第2被取付部60bと、第1被取付部60aから第2被取付部60bまで延びる本体部60cとを有している。取っ手60の材料としては、例えば柔軟性を有する樹脂材を挙げることができ、シート10~12と同程度の柔軟性もしくはシート10~12よりも硬い樹脂材を使用できる。尚、取っ手60の材料と、シート10~12の材料とは同じであってもよい。
図示しないが、第1被取付部60aは、例えば、袋体1の表側から取付孔23b、24bに挿通するピン状部と、ピン状部の先端部に固定されて当該ピン状部の取付孔23b、24bからの抜けを阻止する抜け止め部とを備えている。また、第1被取付部60aは、取付孔23b、24bに引っ掛けることが可能なフック等で構成されていてもよい。要するに、第1被取付部60aは、取付孔23b、24bに係止または係合して抜けないような構造であればよい。第2被取付部60bも同様に構成することができる。
不使用時姿勢を前提として説明した時、取っ手60の本体部60cは、袋体1の下部から離れる方向に湾曲している。本体部60cの長手方向中間部の幅が長手方向の端部に比べて広く形成されていてもよい。これにより、取っ手60を手で持ったときの負荷を軽減できる。取っ手60の長さは任意に設定することができるが、取っ手60を持った手を自然に下ろしたときに袋体1の一部が地面等に接触しないように設定するのが好ましい。
尚、取っ手60は、例えば接着または溶着されていてもよい。また、取っ手60となる部分を、表面シート10、裏面シート11および底面シート12の少なくとも1つに一体成形していてもよい。すなわち、指を入れることが可能な輪状の部分を、表面シート10、裏面シート11および底面シート12の少なくとも1つに一体成形しておくことで、それを取っ手として使用することができる。また、取っ手60は、例えば紐状の部材で構成されていてもよく、その場合、紐状の部材の両端部をそれぞれ取付孔23b、24bに結びつける等してもよい。
使用時姿勢にある時、取っ手60の左右方向中央部と、袋体1の左右方向中央部とは、同一鉛直線上に位置している。液体が収容された状態の袋体1の重心は左右方向中央部またはその近傍にあるので、取っ手60の中央部と、袋体1の重心とが左右方向について略一致する。これにより、袋体1が容易に変形し難くなる。
図7に示すように、袋体1の上部シール部20には、散布部材30が設けられていてもよい。散布部材30は、流出口形成部材14の筒部14bに対して着脱自在に取り付けられている。具体的には、散布部材30は、筒部14bを囲むように形成された接続筒部31を有しており、接続筒部31の内周面には、図示しないネジ溝が形成されており、このネジ溝に筒部14bのネジ山14dを螺合させることにより、散布部材30が流出口形成部材14に取り付けられた状態になる。接続筒部31の内部と、流出口14cとは連通する。
散布部材30は、接続筒部31の先端部から上方へ向けて拡径しながら延びる拡径筒部32を有している。接続筒部31と拡径筒部32とは連通している。拡径筒部32の先端面には、多数の散布口33aを有する先端板33が設けられている。散布口33aは、左斜め上方を向いている。尚、散布口33aは、右斜め上方を向いていてもよいし、真上を向いていてもよい。
(電動散布具)
次に、図1に示す電動散布具80の構成について説明する。電動散布具80は、器具本体81と、管部82と、ノズル部83とを備えている。器具本体81には、図示しないがポンプ、ポンプを駆動する電動モータ、電動モータに電力を供給する電池等が設けられている。器具本体81は使用者が片手で握って持つことができるように構成されている。器具本体81には、ON/OFFの操作スイッチ81aも設けられている。使用者が操作スイッチ81aを操作することで、電動モータを作動させること、作動中の電動モータを停止させることが可能になっている。
管部82は、器具本体81の先端部から突出するように設けられている。管部82の内部には、ポンプから吐出された液体が流通するようになっている。ノズル部83は管部82の先端部に設けられている。管部82の内部を流通した液体は、ノズル部83から吐出される。ノズル部83は、液体をシャワー状に噴射するものであってもよいし、霧状に噴射するものであってもよい。
図5に示すように、器具本体81の基端部には、ポンプの吸込側に連通する吸入口81bが形成されている。尚、電動散布具80は、例えば散布機等を呼ぶこともできる。
また、電動散布具80以外にも、手動式ポンプを有する散布機や、トリガー操作によって液体を散布する散布機等を使用することもできる。
(可撓性ホース)
図5に示すように、可撓性ホース70は、その本体部分が例えば柔軟性を有する樹脂製のチューブ(フレキシブルチューブ)等で構成されている。可撓性ホース70の本体部分の長さは任意に設定することができるが、例えば、100cm以上とすることができる。この程度の長さとしておくことで、後述する使用時に、袋体1を片手で持ったまま、もう一方の手で電動散布具80を上下、左右に動かして散布範囲を広げることができる。
可撓性ホース70の本体部分の基端部には、袋体1の筒部14bに接続される基端側接続部71が設けられている。基端側接続部71は、筒部14bを覆うように形成されている。基端側接続部71の内周面には、ネジ山14dに螺合するネジ溝71aが形成されている。基端側接続部71のネジ溝71aに筒部14bのネジ山14dを螺合させて基端側接続部71を締め込むことで、可撓性ホース70の基端部を筒部14bの内部と連通させることができる。基端側接続部71を緩めれば筒部14bから取り外すことができる。つまり、流出口形成部材14は、電動散布具80に接続された可撓性ホース70との接続部である。
可撓性ホース70の本体部分の先端部には、電動散布具80の吸入口81bに接続される先端側接続部72が設けられている。先端側接続部72は、筒状をなしており、吸入口81bに嵌入することによって当該吸入口81bと接続されるようになっている。
(液体散布装置Aの使用時)
次に、液体散布装置Aの使用時について説明する。まず、図5に示すように、袋体1を不使用時姿勢とした状態で、キャップ15を外した後、可撓性ホース70の基端側接続部71を筒部14bに接続する。また、可撓性ホース70の基端側接続部71を電動散布具80の吸入口81bに接続する。また、取っ手60を取付孔23b,24bに取り付ける。以上が準備工程である。
その後、散布工程に移行する。図8に示すように、可撓性ホース70を袋体1および電動散布具80に接続した後、使用者は、袋体1の取っ手60を片手で持ち、別の手で電動散布具80の器具本体81を持つ。
袋体1を持つとき、取っ手60が袋体1の下部に取り付けられているので、不使用時姿勢にある袋体1が上下反転して使用時姿勢となり、取っ手60が袋体1の上部に位置付けられる一方、袋体1の流出口14c(図5に示す)が当該袋体1の下部に位置付けられることになる。袋体1が使用時姿勢にあるときには、流出口14cが下方に向いている。図7に示す取っ手用開口部61が袋体1に形成されている場合には、取っ手用開口部61が袋体1の上部に位置付けられることになる。
そして、使用者が操作スイッチ81aを操作してポンプを作動状態にすると、袋体1の内部の液体が吸引されて可撓性ホース70を介して吸入口81bから器具本体81に吸い込まれる。器具本体81に吸い込まれた液体は、管部82を流通した後、ノズル部83から吐出される。電動散布具80の電動モータを作動させている間は、液体を連続的に散布することができる。
液体が除草剤や農薬、害虫駆除剤の場合、例えば家庭菜園、生け垣、果樹、高所の庭木等に散布することができる。電動散布具80を用いることで、低い箇所から高い箇所まで容易に散布可能である。また、雑草対策や、病害虫予防に液体散布装置Aを使用することもできる。
液体の散布中、袋体1の流出口14cが下方に向いていることで、当該流出口14cに接続した可撓性ホース70が垂れ下がるときの姿勢に無理が無くなる。これにより、電動散布具80と流出口14cの間の可撓性ホース70が折れにくく、スムーズな散布が可能になる。電動散布具80は、下へ向けて使用することもできるし、上へ向けて使用することもできる。可撓性ホース70の長さが十分に確保されているので、いずれの場合も、袋体1の高さを変える必要はなく、持った手を自然に下げておけばよい。尚、場合によっては袋体1の高さを変えてもよいが、基本的には、器具本体81が袋体1よりも上方に位置している。
液体を散布するとき、袋体1に収容されている液体Bが当該袋体1の下部にある流出口14cから流出するので、従来例のものが備えていたディップチューブが不要になる。この結果、袋体1の内部の液体Bが減ってきて袋体1が負圧で潰れたとしても、ディップチューブが折れるという問題が生じ得ない。従って、液残りの問題が生じず、使用者が特別な操作を行うことなく、袋体1内の液体Bを最後まで散布することができる。
袋体1の内部の液体Bが無くなると、新しい別の袋体1を用意して付け替えればよい。液体Bが無くなった袋体1は、廃棄することになるが、この時、ディップチューブが無いので、袋体1を廃棄する際に邪魔にならず、ディップチューブの抜き差し作業も不要であり、使用者の取り扱いが容易になる。また、液が手に付着することもない。
また、図7に示すように、散布部材30を流出口形成部材14の筒部14bに取り付けることもできる。この場合、電動散布具80は使用せず、取っ手60を持って袋体1を上下反転させる。そうすると、散布部材30が有する散布口33aが斜め下方を向くので、袋体1に収容されている液体が散布口33aから斜め前方にむけて散布される。これにより、例えば除草剤などの散布を容易に行うことができる。
(液体散布装置のパッケージ)
液体散布装置Aは、袋体1、可撓性ホース70、取っ手60および電動散布具80で構成されているので、袋体1、可撓性ホース70、取っ手60および電動散布具80を1つのパッケージに収容して店頭に陳列してもよい。パッケージは、例えば袋であってもよいし、ケース等であってもよい。また、袋体1を除いて、可撓性ホース70、取っ手60および電動散布具80を1つのパッケージに収容して店頭に陳列してもよい。この場合、袋体1は、別途購入して可撓性ホース70に接続すればよい。つまり、袋体1、可撓性ホース70、取っ手60および電動散布具80のセット、または、可撓性ホース70、取っ手60および電動散布具80のセットを構成できる。
また、図7に示すように、散布部材30を有する場合には、袋体1、取っ手60および散布部材30を1つのパッケージに収容して店頭に陳列してもよい。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る袋体1を構成している底面シート12と、表面シート10および裏面シート11とが溶着されて底部が補強されるので、この補強された部分はシート複数枚分の厚みがあり強度が高い部分となる。この強度が高い部分に取っ手60の取付孔23b、24bを設けることで、取っ手60の取付強度を十分に確保することができ、高い耐久性が得られる。また、袋体1の底部に取付孔23b、24bを設けているだけなので、袋体1が大型化することもない。さらに、袋体1の底部に取っ手60が取り付けられることになるので、液体を流出させる際に取っ手60と袋体1の重心とが偏り難くなり、袋体1が容易に折れ曲がり難くなる。
また、液体散布装置Aは、流出口14cを有する袋体1と、液体を連続的に散布可能な電動散布具80と、袋体1の流出口14cと電動散布具80の吸入口80bとを接続する可撓性ホース70とを有しており、電動散布具80による液体の散布時に、流出口14cが袋体1の下部に位置付けられるようになっている。これにより、剛性のあるプラスチック容器を散布用の容器として使用せずにプラスチックの使用量を削減しながら液残り無く散布することができるとともに、ディップチューブが不要になって使用者の取り扱いを容易にすることができる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る液体散布装置は、各種液体を散布する場合に利用できる。
A 液体散布装置
1 袋体
10 表面シート
11 裏面シート
12 底面シート
14c 流出口
23 表側底部シール部(表側溶着部)
24 裏側底部シール部(裏側溶着部)
23b、24b 取付孔
30 散布部材
33a 散布口
60 取っ手
60a 第1被取付部
60b 第2被取付部
60c 本体部
70 可撓性ホース
80 電動散布具(散布機)

Claims (5)

  1. 表面シート、裏面シート、および底面シートを有するとともに、当該底面シートが前記表面シートおよび前記裏面シートに溶着された自立型パウチであって、
    前記底面シートと前記表面シートの下部とが溶着された表側溶着部、および前記底面シートと前記裏面シートの下部とが溶着された裏側溶着部に取付孔がそれぞれ形成され、
    前記取付孔に取っ手が取り付けられる自立型パウチ。
  2. 請求項1に記載の自立型パウチにおいて、
    前記表側溶着部および前記裏側溶着部の上下方向の寸法は、前記自立型パウチの幅方向中央部に対応する部分よりも幅方向両側に対応する部分が長く設定され、
    前記取付孔は、前記表側溶着部の幅方向両側および前記裏側溶着部の幅方向両側にそれぞれ形成されている自立型パウチ。
  3. 請求項2に記載の自立型パウチにおいて、
    前記表面シートの上部と前記裏面シートの上部とが溶着された上部溶着部に、散布機が接続された可撓性ホースとの接続部が設けられている自立型パウチ。
  4. 請求項2に記載の自立型パウチにおいて、
    前記表面シートの上部と前記裏面シートの上部とが溶着された上部溶着部に、斜め上方を向く散布口を有する散布部材が設けられている自立型パウチ。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の自立型パウチにおいて、
    表側から見たとき、前記表側溶着部に形成された前記取付孔と、前記裏側溶着部に形成された前記取付孔とが重複している自立型パウチ。
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