JP2023057325A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Download PDF

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Abstract

【目的】厚みが薄い場合であっても、優れたろう付け接合性および外面耐食性を発揮し得る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供する。【構成】心材の片面または両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、前記心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.10質量%以下である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材である。【選択図】なし

Description

本発明は、ろう付けにより製造されるアルミニウム合金製熱交換器のチューブ材やタンク、ヘッダ材として使用するのに適したろう付け接合性及び外面耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
ラジエータ、ヒータ、エバポレータ、コンデンサ等の自動車用熱交換器には、一般に軽量性と熱伝導性に優れたアルミニウム合金が使用されている。これらの熱交換器の製造方法は、例えば板材を曲げて流路を成形したり、プレス加工等により成型した板材を積層することにより多数の流路を形成した冷媒通路管を形成し、フィン材等の部材を組み合わせ、不活性ガス雰囲気中でフッ化物フラックスを用いてろう付け接合することにより行われている(例えば、特許文献1~特許文献6参照)。
特開2014-194051 特開2014-28389 特開2007-297673 特開2016-098405 特開2016-98404 特開2020-041189
近年の自動車の軽量化に伴い、熱交換器用材料も薄肉化が要求されており、この薄肉化された熱交換器用材料において、冷媒通路管用板材の高強度化や、薄肉材での成形性だけではなく、ろう付け性および耐食性を両立させることが求められるようになっている。
耐食性に関しては、例えばエバポレータでは、使用中に凝縮により生じる結露水によって外面側が腐食環境に曝露され、コンデンサにおいては、走行中に融雪塩を含んだロードスプラッシュ等によって同様に外面が腐食環境に曝される。例えば冷媒通路管が腐食により早期に貫通が生じた場合、冷媒が漏洩して熱交換器として十分に機能しなくなるため、冷媒通路管の外面には防食処理を施し、熱交換器の寿命を伸長させることが一般に行われている。
冷媒通路管の外面側の防食法の一つとしては、従来、犠牲陽極材としてAl-Zn系合金を外面にクラッドした板材を、管状に成形したり、プレス加工により成型し積層することにより冷媒通路管を形成する方法がある。
しかしながら、熱交換器の多くが冷媒通路管の外面にフィンを接合させる構造であるため、本手法では冷媒通路管の外面にろう材が存在しない場合、ろう材をクラッドしたフィン材を用いなければならない。この場合、フィンの表面に残留するろう材の影響によりフィン材の自己耐食性が低下したり、クラッドフィン材を用いる場合は製造コストがベアフィンに比べて高いため、熱交換器製造コストの上昇を招くという問題がある。
一方、冷媒通路管の外面に接合するフィンをベア材で形成した場合、フィンの自己耐食性を向上させることができ、かつ高伝導材を用いることにより熱交換器の性能も向上させることができ、さらにクラッドフィン材に比べてコストも低く抑えることができる。
しかしながら、この場合、冷媒通路管の外面にろう材を付与する必要があるため、上記Al-Zn系合金の表面に粉末状のろう材を塗布したり、またAl-Si系合金ろう材にZnを添加したものを外面にクラッドした板材を使用することになり、前者の場合は粉末ろう材のコストが高いため、熱交換器製造コストの上昇を招き、後者の場合はろう付け中にZnを含有した溶融ろうが流動してしまうため、ろう付け後に犠牲陽極材として必要な量のZnが冷媒通路管外表面に残存せず冷媒通路管の十分な防食効果が得られなかったり、またZnを含有した溶融ろうが接合部に流動することにより接合部の優先腐食を招くなどの難点がある。
これらの問題を解決するために、冷媒通路管の外面にクラッドされるAl-Zn系犠牲陽極材に一般的なAl-Si系合金ろう材のSi濃度よりも低濃度のSiを含有させ、犠牲陽極材の一部を溶融させることによりベアフィン材を接合し、かつ溶融する液相量を従来のAl-Si系合金ろう材よりも低減させることにより、ろう付け中に犠牲陽極材中のZnが流動することを抑制して、ろう付け後に冷媒通路管外表面に十分な量のZnを残存させ犠牲陽極効果を得る方法が考えられる。
しかし、この方法においては、添加するSi量が適正でないためベアフィン材を接合するのに十分な液相量が得られなかったり、Si以外の添加元素が適切でないため自己耐食性が低下したり、またSi添加量が適正でかつ添加元素が適切であっても、溶融により生じるろう付け後の凝固組織が初晶と共晶の2相となり、共晶の電位が初晶に比べて卑となるために共晶部の優先腐食が生じ、犠牲陽極材として作用するべき初晶部の早期脱落が生じて耐食性が低下するという問題がある。
この問題を解決するため、初晶を粗大化し、共晶の優先腐食が生じても初晶の脱落を抑制するとともに、初晶中にも電位の卑な部分を形成させることを目的として、外面クラッド材にMnを添加して初晶を粗大化するとともに初晶の脱落を抑制し、かつ初晶中にAl-Mn-Si系化合物を形成させることにより、このAl-Mn-Si系化合物の周囲に形成されるMn、Siの欠乏層が電位の卑な部分となって、相対的に共晶部の優先腐食を抑制する手法が考えられる。
しかしながら、Al-Mn-Si系化合物の欠乏層だけでは優先腐食を十分に抑制する効果を得られないという問題が生じる。
本発明は、アルミニウム合金製熱交換器のチューブ材、タンク材またはヘッダ材等として使用したときに、厚みが薄い場合であっても、優れたろう付け接合性及び外面耐食性を発揮し得る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、心材の片面または両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、前記心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.10質量%以下である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)心材の片面または両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、
前記心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、
前記皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.10質量%以下である
ことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(2)室温から600℃まで平均昇温速度50℃/分で昇温し、600℃で3分間保持する加熱試験において、皮材残存率が50~98重量%である上記(1)に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(3)前記心材が、さらに0.300質量%以下のCrおよび0.300質量%以下のZrから選ばれる一種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(4)前記心材が、さらに0.500質量%以下のMgを含むことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(5)前記心材が、さらに0.8質量%以下のSiおよび0.7質量%以下のFeから選ばれる一種以上を含有する上記(1)~(4)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(6)前記皮材が、さらに0.500質量%以下のMgを含むことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(7)前記皮材が、さらに0.050質量%以下のSrを含むことを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(8)前記皮材が、さらに0.30質量%以下のCrおよび0.30質量%以下のZrから選ばれる一種以上を含むことを特徴とする上記(1)~(7)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(9)前記皮材が、さらに0.100質量%以下のInおよび0.100質量%以下のSnから選ばれる一種以上を含むことを特徴とする上記(1)~(8)のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
を提供するものである。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、ろう付け加熱時に皮材中に少量の液相を生じてろう材として機能するとともに、ろう付加熱後もその成分の相当量が残存してろう付加熱後に犠牲防食材としても機能する。
すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、犠牲防食機能を有しかつ単層での加熱接合が可能なクラッド層として機能する。
このため、本発明によれば、厚みが薄い場合であっても、優れたろう付け接合性および外面耐食性を発揮し得る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することができる。
心材の片面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材におけるドロップ型流動性試験の加熱後の状態を示す概念図である。 心材の両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材におけるドロップ型流動性試験の加熱後の状態を示す概念図である。 逆T字試験の試験内容を説明するための概念図である。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、
心材の片面または両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、
前記心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、
前記皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.10質量%以下である
ことを特徴とするものである。
以下、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を構成する心材および皮材について説明するが、心材および皮材を構成する各成分量は、JIS H 1305に基づき、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定した値を意味する。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材に含有されるMnは、心材の強度を向上させる成分である。
心材中のMn含有量は、0.50~1.80質量であり、0.80~1.80質量%であることが好ましく、1.00~1.70質量%であることがより好ましい。
心材中のMn含有量が上記範囲内にあることにより、心材の強度を十分に向上し得るとともに、優れた圧延加工性を容易に付与することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材は、CuおよびTiから選ばれる一種以上を含む。
Cuは、心材の電位を貴にすることで耐食性を向上させる成分である。
心材中のCu含有量は、0.05質量%を超え0.20質量%未満であり、0.05 ~0.18質量%であることが好ましく、0.05~0.15質量%であることがより好ましい。
心材中のCu含有量が上記範囲内にあることにより、心材の耐食性を十分に向上し得るとともに、ろう付け中における皮材方向へのCuの拡散を抑制して皮材が電位的に貴化する(犠牲陽極効果が低下する)ことを抑制することができる。
Tiは、心材の電位を貴にすることで耐食性を向上させるとともに、心材の腐食を層状に進行させ、深さ方向への腐食の進行を抑制する成分である。
心材中のTi含有量は、0.05~0.30質量%未満であり、0.05~0.25質量%であることが好ましく、0.05~0.20質量%であることがより好ましい。
心材中のTi含有量が上記範囲内にあることにより、心材の耐食性を十分に向上し得るとともに、鋳造時における粗大晶出物の生成を抑制して、容易に板材化することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はCrおよびZrから選ばれる一種以上を含有してもよい。
CrおよびZrは、心材の結晶粒を粗大化するように機能し、結晶粒を粗大化することにより、ろう付け時に溶融ろうが結晶粒界に浸透することにより生じるエロージョンの発生を抑制し得る成分である。
心材中のCr含有量は、0.3000質量%以下が好ましく、0.0005~0.2800質量%がより好ましく、0.0005~0.2500質量%がさらに好ましい。
心材中のZr含有量は、0.3000質量%以下が好ましく、0.0001~0.2800質量%がより好ましく、0.0005~0.2500質量%がさらに好ましい。
心材中のCrまたはZrの含有量が0.3000質量%以下であることにより、鋳造時における粗大晶出物の生成を抑制して、容易に板材化することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はMgを含有してもよい。
Mgは、心材の強度を向上させる成分である。
心材中のMg含有量は、0.500質量%以下が好ましく、0.001~0.480質量%がより好ましく、0.001~0.450質量%がさらに好ましい。
心材中のMg含有量が0.500質量%以下であることにより、Mgによる微細析出により強度が上昇することに伴う成形性の低下を抑制することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はFeを含有してもよい。
Feは心材の強度を向上させる成分であるが、一方で耐食性を低下させる成分でもある。このため、心材中のFe含有量は、1.00質量%以下が好ましく、心材の耐食性を向上させる上では、0.01~0.10質量%がより好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はV、MoおよびNiから選ばれる一種以上を含有してもよい。
心材中のV、MoおよびNiの含有量は、各々、0.300質量%以下であることが好ましく、0.001~0.100質量%であることがより好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はPb、Li、CaおよびNaから選ばれる一種以上を含有してもよい。
心材中のPb、Li、CaおよびNaの含有量は、各々、0.1000質量%以下であることが好ましく、0.0001~0.0500質量%であることがより好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材はBを含有してもよい。
Bは心材の酸化防止効果を向上させる成分である。心材中のBの含有量は、0.100質量%以下であることが好ましく、0.001~0.050質量%であることがより好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材は、上記各成分やAl以外に不可避的不純物を含み得る。
本出願書類において、心材および以下に説明する皮材を構成する各成分の含有量は、発光分光分析装置により測定した値を意味する。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.00質量%以下である。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、ろう付け加熱時に皮材中に少量の液相を生じてろう材として機能するとともに、ろう付加熱後もその成分の相当量が残存してろう付加熱後に犠牲防食材としても機能する。
すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、犠牲防食機能を有しかつ単層での加熱接合が可能なクラッド層として機能する。
皮材の構成成分であるSiは、Alの融点を下げて流動性を高め、皮材中に少量の液相を生じ、ろうの機能を発揮する成分であり、このために、ろう付けにより皮材面にベアフィン材あるいはアルミニウム板材等の相手材を接合することを可能にする成分である。
皮材中のSi含有量は、3.00~10.00質量%であり、3.50~8.50質量%であることが好ましく、3.50~7.00質量%であることがより好ましい。
皮材中のSi含有量が上記範囲内にあることにより、皮材中に少量の適度な液相を生じさせ、相手材との接合部に健全なフィレットを形成し得るとともに、皮材の過度な溶融を抑制して、ろう付け時に、犠牲陽極効果を生じさせる皮材中のZnの流動を抑制することができる。
皮材の構成成分であるFeは、従来、Zn等と比較して耐食性向上効果が低いと考えられた成分であり、その含有量は制限することが好ましいとされていた。一方、本発明者等の検討によれば、Feは、Al-Fe系、Al-Fe-Si系、Al-Fe-Mn-Si系などの金属間化合物を形成し易く、その金属間化合物の周囲に形成されるFe、Si及びMnの欠乏層が電位の卑な部分となって、共晶部分の優先腐食を抑制し、耐食性を向上し得ることが見出された。
皮材中のFe含有量は、0.30~0.80質量%であり、0.30~0.70質量%であることが好ましく、0.30~0.60質量%であることがより好ましい。
皮材中のFe含有量が上記範囲内にあることにより、十分な耐食性を発揮し得るとともに、Fe化合物がカソードの起点となることにより生じる耐食性の低下を抑制することができる。
皮材の構成成分であるMnは、皮材の耐食性を向上させる成分である。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材にはSiが含まれているため、ろう付け時に一部が溶融しろう付け後は凝固組織となる。このため、皮材は初晶と共晶の2相となり、共晶部は初晶部に比べて電位が卑であるため初晶部より優先的に腐食することになる。共晶部が腐食してしまうと初晶部の周囲が無くなってしまうため、粒状のまま脱落してしまう。犠牲陽極効果を有する初晶部が脱落することは、犠牲陽極材が効果を発揮することなく消失してしまうことになるため、心材が早期に腐食して貫通に至る。
これを抑制するには初晶を粗大化し、共晶の優先腐食が生じても初晶が脱落するのを困難にするとともに、初晶中にも電位の卑な部分を形成させる必要がある。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材においては、皮材がMnを含有することにより、初晶を粗大化して、初晶の脱落を抑制することができ、かつ初晶中にAl-Mn-Si系化合物を形成し、Al-Mn-Si系化合物の周囲に形成されるMn、Siの欠乏層が電位の卑な部分となり、相対的に共晶部の優先腐食を抑制するよう機能する。
皮材中のMn含有量は、0.30~1.80質量%であり、0.30~1.50質量%であることが好ましく、0.30~1.30質量%であることがより好ましい。
皮材中のFe含有量が上記範囲内にあることにより、皮材の耐食性を十分に向上させつつ、Al-Mn-Si化合物形成による外面クラッド材のSi濃度低下を抑制してろう付け時における液相量の低下を抑制することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材を構成するFeとMnの合計含有量は、2.10質量%以下であり、0.60~2.00質量%が好ましく、0.60~1.90質量%がより好ましい。
皮材を構成するFeとMnの合計含有量が2.10質量%以下であることにより、ろう付け性を容易に発揮しつつ、ろう付け後における接合部の優先腐食を抑制し、初晶の脱粒を抑制して、所望の耐食性を容易に発揮することができる。
皮材の構成成分であるZnは、皮材の自然電位を卑にして、皮材を長期間に亘って犠牲陽極材として機能させる成分である。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材がZnを含有することにより、ろう付け時にZnが心材に拡散し心材の板厚方向にZnの濃度勾配を形成するよう機能する。これにより皮材が心材より電位的に卑化し犠牲陽極材として作用するため、板厚方向への腐食の進展を抑制することができる。
皮材中のZn含有量は、1.00~5.00質量%であり、1.50~4.50質量%であることが好ましく、2.00~4.00質量%であることがより好ましい。
皮材中のZn含有量が上記範囲内にあることにより、Znによる電位卑化効果を十分に発揮し得るとともに、ろう付け後に相手材との接合部に形成されたフィレットの早期腐食を効果的に抑制することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材はMgを含有してもよい。
皮材中のMg含有量は、0.500質量%以下が好ましく、0.001~0.400質量%がより好ましく、0.001~0.300質量%がさらに好ましい。
皮材中のMg含有量が0.500質量%以下であることにより、皮材表面にフラックスを塗布したときにMgとの反応によるMgFの形成を抑制することができ、ろう付け中にフラックスによる酸化被膜の破壊を容易に進行させることができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材はSrを含有してもよい。
Srは、皮材中のSi粒子を微細分散させ、ろう付け時に生成する溶融ろうの液相を相互に結合し易くするよう機能し、これにより液相の流動性が向上しろう付け性を向上させる成分である。
皮材中のSr含有量は、0.050質量%以下が好ましく、0.005~0.045質量%がより好ましく、0.005~0.040質量%がさらに好ましい。
皮材中のSr含有量が上記範囲内にあることにより、ろう付け時における溶融ろうの液相の流動性やろう付け性の向上効果を容易に発揮し得るとともに、Al-Si-Sr系化合物の生成に伴う上記効果の低減を容易に抑制することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材はCrおよびZrから選ばれる一種以上を含有してもよい。
CrおよびZrは、ろう付け後の皮材の凝固組織中の初晶を粗大化するよう機能し、初晶を粗大化することにより初晶の脱落防止効果を発揮する成分である。
皮材中のCrおよびZrの含有量は、各々、0.300質量%以下が好ましく、0.001~0.280質量%がより好ましく、0.001~0.250質量%がさらに好ましい。
皮材中のCrおよびZrの含有量が、各々、0.300質量%以下であることにより、鋳造時における粗大晶出物の生成を抑制し、好適なろう付け接合性を容易に発揮することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材はInおよびSnから選ばれる一種以上を含有してもよい。
InおよびSnは、少量で電位卑化効果が得られるため、皮材がInおよびSnから選ばれる一種以上を含有することにより、皮材の電位が心材より卑化し、犠牲陽極効果を容易に向上させることができる。
皮材中のInおよびSnの含有量は、各々、0.100質量%以下が好ましく、0.001~0.150質量%がより好ましく、0.001~0.100質量%がさらに好ましい。
皮材中のInおよびSnの含有量が、各々、上記範囲内にあることにより、自己耐食性やろう付性を維持しつつ、犠牲陽極効果を容易に向上させることができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材はBを含有してもよい。
Bは、皮材の酸化防止効果を発揮する成分である。
皮材中のBの含有量は、0.100質量%以下が好ましく、0.001~0.080質量%がより好ましく、0.001~0.005質量%がさらに好ましい。
皮材中のBの含有量が、0.100質量%以下であることにより、酸化防止効果を容易に発揮することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、流動係数Kが、0.020~0.500であるものが好ましく、0.020~0.200であるものがより好ましく、0.040~0.100であるものがさらに好ましい。
本出願書類において、流動係数Kは、以下に示すドロップ型流動性試験により測定される値を意味する。
すなわち、測定対象となる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を、圧延方向を長手方向として幅25mm×長さ100mmに切り出して吊り下げ用の穴(6φ)を一個設けて後、重量(W0)を測定する。
その後、上記切断片を窒素ガス炉中に吊り下げ、室温から600℃までの平均昇温速度50℃/分で昇温し、到達温度600℃まで加熱し、更に、600℃で3分間保持する。加熱試験後、切断片下部のろう溜まり部(切断片の長手方向下部1/4に相当する部分)を切断して重量(WB)を測定する。
図1は、心材Cの片面に皮材Sを有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材1におけるドロップ型流動性試験の加熱後の状態を示す概念図であり、図2は、心材Cの両面に皮材S、Sを有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材1におけるドロップ型流動性試験の加熱後の状態を示す概念図である。
図1および図2に示すように、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材1を構成する皮材Sは、加熱処理によって溶融し、その厚さが図中破線で示す厚さから実線で示す厚さに変化し、切断片の下部1/4(心材の下方部Bを含む下方部分)にろう溜まり部を形成する。
このとき、上記ろう溜まり部の重量WBと、加熱試験前の切断片の重量W0から算出される「4WB-W0」は、上記加熱試験により切断片の上部3/4部分(心材の上方部Aを含む上方部分)から溶融した皮材重量の4倍量に相当する。
また、4×3/4×W0×クラッド率、すなわち「3W0×クラッド率」は、上記加熱試験前における切断片の上部3/4部分(心材の上方部Aを含む上方部分)における皮材重量の4倍量に相当する。
このため、上記加熱前後における皮材の溶融比率に相当する流動係数Kは、下記式(I)
K=(4WB-W0)/(3W0×クラッド率) (I)
により算出することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、室温から600℃まで平均昇温速度50℃/分で昇温し、600℃で3分間保持する加熱試験において、皮材残存率が、50~98重量%であるものが好ましく、80~98重量%であるものがより好ましく、90~96重量%であるものがさらに好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、ろう付け後は犠牲防食材として機能するが、上記加熱試験における皮材残存率が上記範囲未満だと、皮材の犠牲防食性が不十分となり、アルミニウム合金合わせ板の耐食性が低くなる。
なお、本出願書類において、皮材残存率(重量%)は、上記流動係数Kに基づいて、下記式(II)により算出した値を意味する。
皮材残存率(重量%)=(1-K)×100 (II)
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材残存率が上記範囲内にあることにより、ろう付け加熱後においてもその形状を一定程度維持し、ろう付け加熱後に犠牲防食材として機能する。
すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、ろう付け加熱時に皮材中に少量の液相を生じてろう材として機能するとともに、ろう付加熱後もその成分の相当量が残存してろう付加熱後に犠牲防食材としても機能する。
すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、犠牲防食機能を有しかつ単層での加熱接合が可能なクラッド層として機能する。
このため、本発明によれば、厚みが薄い場合であっても、優れたろう付け接合性および外面耐食性を発揮し得る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、心材と、該心材の片面または両面にクラッドされている皮材とを有するものである。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材としては、(1)心材の片面にのみ皮材がクラッドされている二層材の形態(心材/皮材)、(2)心材の両面に皮材がクラッドされている三層材の形態(皮材/心材/皮材)、(3)心材の片面に皮材がクラッドされているとともに他の面に犠牲陽極材がクラッドされている三層材の形態(皮材/心材/犠牲陽極材)、または(4)心材の片面に皮材と、材料強度を高めるための中間層がクラッドされているとともに他の面に犠牲陽極材がクラッドされている四層材の形態(皮材/中間層/心材/犠牲陽極材)を挙げることができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、心材の片面または両面にクラッドされる皮材のクラッド率(アルミニウム合金クラッド材の厚さに対する皮材の厚さの割合)は、3~30%が好ましく、5~25%がより好ましく、7~20%がさらに好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が、(2)心材の両面に皮材がクラッドされている三層材の形態を採る場合、心材の両面に各々形成されるろう材の組成やクラッド率は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
なお、本出願書類において、心材の片面または両面にクラッドされる皮材のクラッド率は、アルミニウム合金クラッド材の厚さおよび皮材の厚さを、各々断面観察により3箇所づつ測定したときの算術平均値に基づいて、下記式により算出される値を意味する。
(皮材の厚さの算術平均値/アルミニウム合金クラッド材の厚さの算術平均値)×100
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が、(3)心材の片面に皮材がクラッドされているとともに他の面に犠牲陽極材がクラッドされている三層材の形態を採る場合、犠牲陽極材としては、アルミニウムからなるものであるか、あるいは、8.00質量%以下のZnを含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるものが好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が、(4)心材の片面に皮材と、材料強度を高めるための中間層がクラッドされているとともに他の面に犠牲陽極材がクラッドされている四層材の形態を採る場合、中間層としては、アルミニウムからなるものであるか、あるいは、MgとMnを含有し残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるものが好ましい。
上記中間層がMgとMnを含有し残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる場合、Mgの含有量は、1.00質量%以下が好ましく、0.30~1.00質量%がより好ましく、0.50~1.00質量%がさらに好ましい。
上記中間層がMgとMnを含有し残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる場合、Mnの含有量は、1.80質量%以下が好ましく、0.80~1.75質量%がより好ましく、1.00~1.70質量%がさらに好ましい。
上記犠牲陽極材を構成するアルミニウムの純度は、特に制限されないが、99.0質量%以上が好ましく、99.5質量%以上がより好ましい。
犠牲陽極材に係るアルミニウム合金は、Znを含有することが好ましく、犠牲陽極材に含有されるZnは、電位を卑にする効果があり、犠牲陽極材と心材の電位差を形成することで、犠牲防食効果を発揮する。犠牲陽極材中のZn含有量は、8.00質量%以下が好ましく、3.00質量%以下がより好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材において、上記犠牲陽極材はFeを含有してもよい。
犠牲陽極材がFeを含有する場合、犠牲陽極材中のFe含有量は、1.00質量%以下が好ましく、0.05~0.80質量%がより好ましく、0.10~0.70質量%がさらに好ましい。
犠牲陽極材中のFeの含有量が上記範囲内にあることにより、強度を向上し易くなるとともに、熱間圧延時の変形抵抗が高くなり、心材との変形抵抗の差を小さくことができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、上記犠牲陽極材はMnを含有してもよい。
犠牲陽極材がMnを含有する場合、犠牲陽極材中のMn含有量は、1.80質量%以下が好ましく、0.10~1.50質量%がより好ましく、0.20~1.20質量%がさらに好ましい。
犠牲陽極材中のMnの含有量が上記範囲内にあることにより、ろう付時再結晶によりできる犠牲陽極材の結晶粒のサイズを調整することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、上記犠牲陽極材はMgを含有してもよい。
犠牲陽極材がMgを含有する場合、犠牲陽極材中のMg含有量は、1.00質量%以下が好ましく、0.05~1.00質量%がより好ましく、0.10~0.80質量%がさらに好ましい。
犠牲陽極材中のMgの含有量が上記範囲内にあることにより、犠牲陽極材の強度を容易に高めることができる。
本出願書類において、犠牲陽極材を構成する各成分の含有量は、発光分光分析装置(XPS)により測定した値を意味する。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材のクラッド率(アルミニウム合金クラッド材の厚さに対する犠牲陽極材の厚さの割合)は、3~30%が好ましく、5~25%がより好ましく、7~20%がさらに好ましい。
なお、本出願書類において、犠牲陽極材のクラッド率は、アルミニウム合金クラッド材の厚さおよび犠牲陽極材の厚さを、各々断面観察により3箇所づつ測定したときの算術平均値に基づいて、下記式により算出される値を意味する。
(犠牲陽極材の厚さの算術平均値/アルミニウム合金クラッド材の厚さの算術平均値)×100
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が冷媒通路管に用いられる場合、構成材として使用される板状のアルミニウム合金クラッド材の厚みは、0.15~0.50mm程度であることが好ましい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、皮材の表面が酸によりエッチング処理されてなるものであってもよい。
上記エッチングにより、表面に形成されたアルミニウムの酸化皮膜等を予め脆弱化しまたは除去することができる。
上記エッチング処理の詳細は、後述するとおりである。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を製造する方法について説明する。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を製造する方法としては、心材用鋳塊と、当該心材用鋳塊の片面上または両面上に皮材用鋳塊が積層された積層物に、少なくとも熱間加工と、冷間加工と、冷間加工での圧延のパス間における1回以上の中間焼鈍および最後の冷間加工のパス後における最終焼鈍から選ばれる1回以上の焼鈍処理と、を行うことにより、アルミニウム合金クラッド材を製造する方法(以下、アルミニウム合金クラッド材の製法Aと称する)を挙げることができる。
アルミニウム合金クラッド材の製法Aにおいては、先ず、心材、皮材および必要に応じ犠牲陽極材に用いる各々所望の成分組成を有するアルミニウム合金を、それぞれ溶解、鋳造することによって、心材用鋳塊、皮材用鋳塊および必要に応じ犠牲陽極材用鋳塊を作製する。これら溶解、鋳造の方法は、特に限定されるものではなく通常の方法が用いられる。
次いで、心材用鋳塊、皮材用鋳塊および必要に応じ犠牲陽極材用鋳塊を、適宜、均質化処理することが好ましい。均質化処理温度は400~600℃が好ましく、均質化処理時間は2~20時間が好ましい。
次いで、心材用鋳塊、皮材用鋳塊および必要に応じ犠牲陽極材用鋳塊を、面削したり熱間圧延して所定の厚さにした後、所定の鋳塊を所定の順に重ね合わせ、積層物とする。
上記心材用鋳塊、皮材用鋳塊および必要に応じ犠牲陽極材用鋳塊は、各々、得ようとするアルミニウム合金クラッド材を構成する、心材、ろう材および犠牲陽極材の組成に対応した組成を有している。
アルミニウム合金クラッド材の製法Aにおいては、上記積層物に対し、少なくとも熱間加工と、冷間加工と、冷間加工での圧延のパス間に1回以上の中間焼鈍および最後の冷間加工のパス後における最終焼鈍から選ばれる1回以上の焼鈍処理を施す。
熱間加工では、所定の鋳塊を所定の順に積層した積層物を、400~500℃で熱間圧延することが好ましい。熱間圧延では、例えば、2~8mmの板厚となるまで圧延を行う。
冷間加工では、熱間加工を行って得られた熱間圧延物を、冷間で圧延する。冷間加工では、冷間での圧延を、複数回のパスで行う。
冷間加工において、冷間での圧延のパス間における1回または2回以上の中間焼鈍は、加熱温度が、200~500℃となるように行うことが好ましく、250~400℃となるように行うことがより好ましい。
中間焼鈍では、中間焼鈍温度まで昇温し、中間焼鈍温度に達した後、速やかに冷却を開始してもよいし、あるいは、中間焼鈍温度に達した後、中間焼鈍温度で一定時間保持後、冷却を開始してもよい。中間焼鈍温度での保持時間は、0~10時間、好ましくは1~5時間である。
冷間圧延後、得られた冷間圧延物に対し、適宜最終焼鈍を行う。
最終焼鈍は、加熱温度が、300~500℃となるように行うことが好ましく、350~450℃となるように行うことがより好ましい。
最終焼鈍では、最終焼鈍温度まで昇温し、最終焼鈍温度に達した後、速やかに冷却を開始してもよいし、あるいは、最終焼鈍温度に達した後、最終焼鈍温度で一定時間保持後、冷却を開始してもよい。最終焼鈍温度での保持時間は、0~10時間が好ましく、1~5時間がより好ましい。
上記中間焼鈍および最終焼鈍時における雰囲気は特に限定されないが、大気中の酸素濃度より酸素濃度が低い雰囲気中にて実施することが好ましい。大気中より酸素濃度が低い雰囲気中にて加熱することにより、ろう材表面における酸化皮膜の成長を抑制することができる。
アルミニウム合金クラッド材の製法Aにおいて、上記 中間焼鈍または最終焼鈍は、上記皮材用鋳塊を、厚さ10μm~50μmに圧延した状態で行うことが好ましく、厚さ20μm~50μmに圧延した状態で行うことがより好ましい。
中間焼鈍または最終焼鈍時における皮材用鋳塊の厚さを上記範囲内に制御することにより、所望のろう付特性を容易に発揮することができる。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材の製法Aにおいては、必要に応じ、酸を用いてクラッド材の表面をエッチング処理してもよい。
エッチング処理を行うことにより、熱間圧延時の加熱や、冷間圧延のパス間および最終パスの後の加熱時に形成されたアルミニウムの酸化皮膜等を脆弱化または除去することができる。
上記エッチング処理を行う時期は、熱間圧延を行った後、得られたアルミニウム合金クラッド材を用いてろう付を行うまでの間であれば、特に限定されない。
例えば、熱間圧延後のクラッド板にエッチング処理を施してもよいし、冷間圧延の途中のクラッド板にエッチング処理を施してもよい。また、中間焼鈍後または最終焼鈍後にエッチング処理を施してもよい。
さらに、前述した最終焼鈍が完了した後、酸化皮膜を有する状態でアルミニウム合金クラッド材を保管し、ろう付を行う直前にエッチング処理を施してもよい。
ろう付を行う際に上記酸化皮膜が脆弱化または除去されていれば、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を用いてろう付する際におけるろう付性を向上させることができる。
エッチング処理に用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ酸等の水溶液を使用することができる。これらの酸は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。酸化皮膜をより効率よく除去する観点からは、酸として、フッ酸と、フッ酸以外の酸とを含む混合水溶液を使用することが好ましく、フッ酸と硫酸との混合水溶液またはフッ酸と硝酸との混合水溶液を使用することがより好ましい。
エッチング処理時におけるエッチング量は、0.05~2.00g/mであることが好ましい。エッチング量を0.05g/m以上、より好ましくは0.10g/m以上とすることにより、ブレージングシート表面の酸化皮膜を十分に除去し、ろう付性をより向上させることができる。
アルミニウム合金クラッド材のろう付性向上の観点からは、エッチング量に上限は存在しない。しかし、エッチング量が過度に多くなると、処理時間に見合ったろう付性向上の効果を得にくくなるおそれがある。エッチング量を2.00g/m以下、より好ましくは0.50g/m以下とすることにより、かかる問題を容易に回避することができる。
アルミニウム合金クラッド材の製法Aにおいては、このようにして、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を得ることができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、熱交換器の冷媒通路管(熱交換器の冷媒が流通する流路管)等の構成材として使用することができ、例えば、本発明に係る板状の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を管状に加工して管状部材とした上で、この管状部材を単独でまたは複数組み合わせ、フィン材とまたは管状部材間でろう付け処理することにより、単一のまたは複数の冷媒通路を有する冷媒通路管とすることができる。
上記複数の冷媒通路を有する冷媒通路管は、ろう付けされた外表面が空気と接触することにより空気との熱交換を行うことができる。
冷媒通路内にはコルゲート加工したベアフィンを配置してもよい。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、ろう付け加熱時に皮材中に少量の液相を生じてろう材として機能するとともに、ろう付加熱後もその成分の一部が残存してろう付加熱後に犠牲防食材としても機能する。
すなわち、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材において、皮材は、犠牲防食機能を有しかつ単層での加熱接合が可能なクラッド層として機能する。
このため、本発明によれば、厚みが薄い場合であっても、優れたろう付け接合性および外面耐食性を発揮し得る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することができる。
本発明のクラッド材は、心材用アルミニウム合金、皮材用アルミニウム合金を連続鋳造により造塊し、得られた鋳塊を常法に従って均質化処理し、皮材用アルミニウム合金についてはさらに熱間圧延した後、心材用アルミニウム合金の鋳塊にクラッドして、熱間クラッド圧延、必要に応じて中間焼鈍し、冷間圧延した後、最終焼鈍することにより製造される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれに限定されない。
(実施例)
連続鋳造により、表1に示す化学成分を有する心材用鋳塊と皮材用鋳塊を各々作製した(表1に示す心材用鋳塊または皮材用鋳塊を構成する各成分量は、JIS H 1305の規定に基づき、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定した値を意味し、具体的には、心材用鋳塊の全原料または皮材用鋳塊の全原料を鋳造炉に投入して溶解・攪拌した後、得られた溶湯から少量の溶湯を分析用の鋳型に注いで作製した分析用試料を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置により測定した値を意味する。)。
次いで、各心材用鋳塊を均質化した後面削を施し、心材用鋳塊の板厚を所定の厚さとした。また、各皮材用鋳塊を均質化した後、熱間圧延を行い、皮材用鋳塊の板厚を所定の厚さとした。
このようにして得られた表1に示す化学組成を各々有する心材用鋳塊および皮材用鋳塊の組み合わせにおいて、各々皮材用鋳塊/心材用鋳塊となるように積層し、心材用鋳塊の片面上に皮材用鋳塊が積層された二層構造の積層物を得た。
上記積層物において、皮材用鋳塊の厚さは、二層構造を有する積層物の厚さの10%に相当する。
得られた積層物に480℃で熱間圧延を行って心材用鋳塊と皮材用鋳塊とを接合した後、冷間圧延を施し、400℃で3時間最終焼鈍を施すことにより、厚さ0.4mmの二層構造を有するアルミニウム合金クラッド材(O材)1~7を製造した。
得られたアルミニウム合金クラッド材について、以下の試験1~5を施すことにより、その特性を評価した。結果を表2に示す。
(試験1:引張試験)
得られた各アルミニウム合金クラッド材を幅100mm×長手250mmに切断し、得られた切断片の両面にフッ化物系フラックスを約5g/mの塗布量で塗布して乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、平均50℃/minの昇温速度で600℃(到達温度)まで加熱するろう付加熱を行った。
上記ろう付け加熱後の切断片をJIS Z 2201の5号試験片に加工した上で、常温でJIS Z 2241に規定により引張り試験を行い、引張強さが110MPa以上のものを良好(○)、110MPa未満のものを不良(×)と評価した。
(試験2:逆T字試験)
図3に示すように、得られた各アルミニウム合金クラッド材を幅25mm×長手60mmに切断して切断片1とし、得られた切断片1の皮材側表面を水平板の試験面とし、幅25×長手55mmの3003合金板2(1.0mm厚さ、O材)を垂直板として、上記水平に配置した上記切断片1上に上記3003合金板2を垂直に配置した状態で、窒素ガス雰囲気中、平均50℃/minの昇温速度で600℃(到達温度)まで加熱するろう付加熱を実施することにより両者をろう付けして接合して接合物を得た。
上記接合物を構成する水平板(切断片1)の長手方向中央部における3003合金板2との接合位置(図3中符号rで示す位置)を樹脂埋めした上で、接合物を垂直方向に切断し、図中斜線部で示す切断面を形成した上で、係る切断面における水平板と垂直板との接合部における隙間の有無を観察した。隙間が生じていないものを良好(○)、隙間が生じていたものを不良(×)と評価した。
(試験3:流動試験)
得られた各アルミニウム合金用クラッド材を幅25mm×長手100mmに切断し、得られた切断片に吊り下げ用の穴(φ6)を一つ設けた後、重量(W0)を測定した。
その後、上記切断片を窒素ガス炉中に吊り下げ、室温から600℃までの平均昇温速度50℃/分で昇温し、到達温度600℃まで加熱し、更に、600℃で3分間保持した。加熱試験後、切断片下部のろう溜まり部(B…切断片の長手方向下部1/4に相当する部分)を切断して重量(WB)を測定し、下記式
K=(4WB-W0)/(3W0×クラッド率)
により、各流動係数Kを求めた。
上記流動係数Kが0.020~0.500であるものを流動性良好(〇)、上記流動係数が0.020未満または0.050超であるものを流動性不良(×)と評価した。
(試験4:皮材残存率)
上記流動係数Kより、下記式により皮材残存率を算出した。
皮材残存率(重量%)=(1-K)×100
上記皮材残存率が50~98重量%であるものを残存性良好(〇)、上記皮材残存率が50重量%未満または98重量%超であるものを残存性不良(×)と評価した。
(試験5:腐食試験)
得られた各アルミニウム合金クラッド材を幅100×長手250mmに切断し、得られた切断片の両面にフッ化物系フラックスを約5g/mの塗布量で塗布して乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、平均50℃/minの昇温速度で600℃(到達温度)まで加熱するろう付加熱を行った。
上記ろう付け加熱後の切断片から幅50×長手60mmの試験片を切断して試験片とし、その重量を測定した。次いで、試験片の表面をアセトンにより脱脂し、皮材面に幅40×長手50mmの暴露面を残し、それ以外(端部及び背面を含む)をマスキングした。常温にて1日乾燥した後、耐食性を評価するためにSWAAT試験(ASTM-G85-A3)を6週間行い、その後、酸洗浄して腐食生成物を除去し、1cmあたりの重量減少量(g/cm)を求めた。
また、皮材の表面から腐食形態を観察し、皮材が均一に腐食しているものを「全面腐食」、局部的な孔食が顕著に見られるものを「局部腐食」と判定した。重量減少量が16mg/cm未満で腐食形態が「全面腐食」のものを耐食性良好(○)、重量減少量が16mg/cm未満で腐食形態が「局部腐食」のものを耐食性不良(×)、重量減少量が16mg/cm以上のものを耐食性不良(××)と評価した。
Figure 2023057325000001
Figure 2023057325000002
表2に示すように、本発明に係るアルミニウム合金クラッド材(O材)1~7は、いずれも、ろう付け後の引張強さが110MPaを超え、逆T字試験における接合部状態は良好で、皮材の流動係数は0.040以上で流動性に優れるとともに、皮材残存率が50~98重量%で残存性に優れ、また、SWAAT試験において、試験期間6週間で貫通が生じているものや、重量減少量が16mg/cm未満であって、優れたろう付け性および耐食性を有するものであることが分かる。
(比較例)
表1に示す化学組成を各々有する心材用鋳塊および皮材用鋳塊の組み合わせに代えて、表3に示す化学組成を各々有する心材用鋳塊および皮材用鋳塊の組み合わせを採用し、心材用鋳塊の片面上に皮材用鋳塊が積層された二層構造の積層物を得た以外は、実施例と同様にして厚さ0.4mmの二層構造を有する比較用アルミニウム合金クラッド材(O材)11~26の製造を試みた。
得られた比較用アルミニウム合金用クラッド材11~26において、実施例と同様にして試験1~5を施すことにより、ろう付け性および耐食性を評価した。試験結果を表4に示す。
Figure 2023057325000003
Figure 2023057325000004
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材11は、皮材のSi濃度が高いためろうが流動して板厚が減少し、試験1のろう付後の引張強度が110MPaに満たず、また、試験4の皮材残存率が50重量%未満(30重量%)と低く、試験5の腐食試験において局部的な孔食が顕著に見られる局部腐食を生じるものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材12は、皮材のSi量が少ないため、十分な液相を確保できずろうの流動性が低下して、逆T字試験において隙間を生じる(未接合となる)ものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材13は、皮材のZn濃度が高いために皮材が早期に腐食し、試験5の腐食試験において耐食性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材14は、皮材のFeとMnの含有量の合計が2.2質量%と多いため、Al-Fe-Si系、Al-Fe-Mn系、Al-Fe-Mn-Si系などの化合物が多く生成してろうの流動性を低下させ、また、試験5の腐食試験において耐食性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材15は、皮材のSr濃度が高いためにAl-Si-Sr系化合物を生成してろうの流動性を低下させ、また、試験5の腐食試験において重量減少量が16.30g/cmとなる耐食性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材16、17の製造時においては、皮材中のCr,Zrの含有量が多く、皮材の鋳造時に粗大晶出物が生成したため鋳造を中止した。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材18は、皮材のIn濃度が高いために、ろうの流動性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材19は、皮材のSn濃度が高いために、ろうの流動性が低く、ろう付加熱中に皮材から蒸発したSnが接合面の濡れ性を阻害し、逆T字試験において隙間を生じて健全な接合部を得られないものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材20は、心材のCu濃度が高いために、ろうの流動性が低く、また、心材から皮材に拡散したCuにより皮材の犠牲陽極効果が低下し、試験5の腐食試験において耐食性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材21の製造時においては、圧延時に耳割れが激しくクラッド材を製造することができなかった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材22、23、24の製造時においては、心材中のCr,Ti,Zrの含有量が多く、心材の鋳造時に粗大晶出物が生成したため鋳造を中止した。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材25は、心材中のMg含有量が多く、心材から拡散したMgが炉内の酸素と結合してろう付性を阻害するMgOがろう材表層に生成したため、十分なろうの流動性が得られず、また、心材から皮材に拡散したMg濃度が高いために、皮材中にカソードの起点となる微細析出が増加し、試験5の腐食試験において耐食性が低いものであった。
表4に示すように、比較用アルミニウム合金用クラッド材26は、皮材中にFeを含有しないために、試験5の腐食試験において局部的な孔食が顕著に見られる局部腐食を生じる耐食性が低いものであった。

Claims (9)

  1. 心材の片面または両面に皮材を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、
    前記心材は、0.50~1.80質量%のMnを含有するとともに、0.05質量%を超え0.20質量%未満のCuおよび0.05~0.30質量%のTiから選ばれる一種以上を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、
    前記皮材は、3.00~10.00質量%のSi、0.30~0.80質量%のFe、0.30~1.80質量%のMnおよび1.00~5.00質量%のZnを含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、前記FeおよびMnの合計含有量が2.10質量%以下である
    ことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 室温から600℃まで平均昇温速度50℃/分で昇温し、600℃で3分間保持する加熱試験において、皮材残存率が50~98重量%である請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記心材が、さらに0.300質量%以下のCrおよび0.300質量%以下のZrから選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 前記心材が、さらに0.500質量%以下のMgを含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  5. 前記心材が、さらに0.8質量%以下のSiおよび0.7質量%以下のFeから選ばれる一種以上を含有する請求項1~請求項4のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  6. 前記皮材が、さらに0.500質量%以下のMgを含むことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  7. 前記皮材が、さらに0.050質量%以下のSrを含むことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  8. 前記皮材が、さらに0.300質量%以下のCrおよび0.300質量%以下のZrから選ばれる一種以上を含むことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  9. 前記皮材が、さらに0.100質量%以下のInおよび0.100質量%以下のSnから選ばれる一種以上を含むことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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