JP2023056891A - 菌ウイルス低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、薬剤の消費量(残量)を管理し、その補給を行う工数(手間)を低減できる菌ウイルス低減装置を提供する。【解決手段】本発明の菌ウイルス低減装置Mは、筐体1と、筐体1に形成された、外部から内部に空気を吸い込む吸込み口2と、筐体1の内部に配置され、吸込み口2から吸い込んだ空気に、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源4-1、4-2と、筐体1に形成された、紫外線光源4-1、4-2によって紫外線が照射された空気を外部に吹き出す吹出し口3とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、菌およびウイルスを低減できる菌ウイルス低減装置に関する。
従来、例えばウイルス除去、除菌および消臭等の働きを持つ二酸化塩素ガスを発生する二酸化塩素ガス発生装置が知られており、この二酸化塩素ガス発生装置は、例えば特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示された二酸化塩素ガス発生装置は、二酸化塩素ガスを発生し、前記発生した二酸化塩素ガスを所定の空間に供給するガス発生部と、前記所定の空間の容積に基づいて、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度が所定の目標濃度範囲内となるように、前記ガス発生部における、前記二酸化塩素ガスを発生するオン時間と、前記二酸化塩素ガスの発生を停止するオフ時間とを制御する制御部とを備える。
ところで、前記特許文献1に開示された二酸化塩素ガス発生装置は、ガス発生部に、二酸化塩素ガスを発生させる薬剤が必要であるため、前記薬剤を消費すると、その補給が必要になる。このため、前記薬剤の消費量(残量)を管理し、その補給を行う工数(手間)がかかってしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、前記工数(手間)を低減できる菌ウイルス低減装置を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる菌ウイルス低減装置は、筐体と、前記筐体に形成された、外部から内部に空気を吸い込む吸込み口と、前記筐体の内部に配置され、前記吸込み口から吸い込んだ空気に、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源と、前記筐体に形成された、前記紫外線光源によって紫外線が照射された空気を外部に吹き出す吹出し口とを備える。
このような菌ウイルス低減装置は、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源を備え、前記薬剤を用いないので、前記薬剤の消費量(残量)を管理し、その補給を行う工数(手間)を低減できる。上記菌ウイルス低減装置は、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源を備えるので、菌およびウイルスを紫外線で低減できるだけでなくオゾンでも低減できるから、前記菌およびウイルスをより確実に低減できる。上記菌ウイルス低減装置は、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源を備えるので、オゾンを含む空気を吹き出せるから、外部の菌およびウイルスも低減できる。
他の一態様では、上述の菌ウイルス低減装置において、前記筐体の内部に配置され、前記吸込み口から前記吹出し口に至る流路を複数に分ける仕切り部材をさらに備える。
このような菌ウイルス低減装置は、仕切り部材をさらに備えるので、流量が仕切部材によって均一化されるから、流路を流れる空気の通過風速が均一化され、前記仕切り部材を備えない場合に較べて紫外線照射時間を平均化することができ稼働中における前記紫外線照射時間のバラツキが小さくなる。
他の一態様では、これら上述の菌ウイルス低減装置において、前記紫外線光源は、2個の第1および第2紫外線光源を備え、前記第1および第2紫外線光源ならびに前記仕切り部材は、前記第1紫外線光源、前記仕切り部材、前記第2紫外線光源の順で順次に並ぶように、前記筐体の内部に配置され、前記仕切り部材における前記第1紫外線光源に対向する第1面および前記仕切り部材における前記第2紫外線光源に対向する第2面は、鏡面である。
このような菌ウイルス低減装置は、前記仕切り部材における前記第1紫外線光源に対向する第1面および前記仕切り部材における前記第2紫外線光源に対向する第2面が鏡面であるので、空気に、第1および第2紫外線光源から、直接、紫外線を照射できるだけでなく、前記鏡面で反射した紫外線も照射できる。
他の一態様では、これら上述の菌ウイルス低減装置において、前記紫外線光源は、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させる照射量以上の紫外線を放射する。
このような菌ウイルス低減装置は、SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)のウイルスを死滅(不活化)できる。
他の一態様では、これら上述の菌ウイルス低減装置において、所定の閉空間内に配置された、これら上述の菌ウイルス低減装置であって、前記紫外線光源は、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるCT値(Concentration-Time Value)以上のオゾンを生成する紫外線を放射する。
このような菌ウイルス低減装置は、SARS-CoV-2のウイルスを死滅(不活化)できる。
本発明にかかる菌ウイルス低減装置は、前記薬剤の消費量(残量)を管理し、その補給を行う工数(手間)を低減できる。
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における菌ウイルス低減装置の構成を説明するための図である。図1Aは、筐体の天板を外した状態で菌ウイルス低減装置を上方から見た前記菌ウイルス低減装置の模式図であり、図1Bは、菌ウイルス低減装置を側方から見た前記菌ウイルス低減装置の模式図であり、図1Cは、菌ウイルス低減装置の電気的な構成を示す回路図である。図2は、紫外線光源の出力別における距離と照射照度との関係を示す図である。図2の横軸は、紫外線光源からの距離[cm]であり、その縦軸は、放射照度[μW/cm2]である。GLn(GL-n)は、紫外線光源の形名であり、数字nは、定格ランプ電力[W]を表し、大きい数字nほど紫外線出力が大きい。GLは、紫外線光源がメタルハライドランプであることを表している。なお、図1Aおよび図1Bには、方向関係の明確化のために、XYZ直角座標軸が示されている。図1Aにおいて、X方向は、紙面平面視にて左右方向であり、Y方向は、紙面平面視にて上下方向であり、Z方向は、紙面法線方向である。
実施形態における菌ウイルス低減装置Mは、例えば、図1に示すように、筐体1と、吸込み口2と、吹出し口3と、紫外線光源4(4-1、4-2)と、仕切り部材5とを備え、図1に示す例では、さらに、吸込みファン6と、吸込み口用フィルタ7と、吹出し口用フィルタ8とを備える。
筐体(ハウジング)1は、天板(図略)、底板および前記天板と前記底板との間で四周を囲む4枚の側壁板から成る、略直方体形状の箱形の容器である。筐体1は、紫外線光源4から照射される紫外線を遮光する材料で形成される。このような材料は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属(合金を含む)および樹脂等である。
吸込み口2は、筐体1に形成され、筐体1の外部から筐体1の内部に空気を吸い込む貫通開口である。図1に示す例では、吸込み口2は、前記天板における図1Aの紙面正面視にて上方左角に正方形で形成されている。なお、図1Aでは、前記天板は、外されているので、吸込み口2および吹出し口3は、破線で図示されている。
吹出し口3は、筐体1に形成され、紫外線光源4によって紫外線が照射された空気を筐体1の外部に吹き出す貫通開口である。図1に示す例では、吹出し口3は、前記天板における図1Aの紙面正面視にて下方右角に正方形で形成されている。
仕切り部材5は、筐体1の内部に配置され、吸込み口2から吹出し口3に至る流路を複数に分ける部材である。図1に示す例では、仕切り部材5は、1枚の略矩形形状の板材であり、Y方向の略中央位置に、X方向に沿ってX方向に延び、Z方向に筐体1の前記底板から立設されている。仕切り部材5におけるX方向の左端部と筐体1の左側壁板との間には、所定の間隔が開けられ、仕切り部材5におけるX方向の右端部と筐体1の右側壁板との間には、所定の間隔が開けられており、通風が確保されている。
紫外線光源4は、筐体1の内部に配置され、吸込み口2から吸い込んだ空気に、オゾンを生成する紫外線を照射する光源である。このような紫外線光源4は、波長253.7[nm]等の紫外線を放射する殺菌灯として市販されている。また、波長220[nm]以下の紫外線(好ましくは波長185[nm]の紫外線)は、空気中の酸素からオゾンを生成することが知られている。
菌やウイルスを死滅させるために必要な紫外線照射量は、公知であり、例えば「河端俊治、原田常雄、”殺菌灯による水の消毒”、照明学会誌、36(3)、pp.89-96
1952」や「河本康太郎、”紫外線による空気殺菌法とその効果”、食品工業、pp.33-40、1970」等によれば、表1の通りである。表1によれば、SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)のウイルス(いわゆる新型コロナウイルス)を死滅(不活化)させるための紫外線照射量は、東京計器株式会社による数値であり、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるためには、紫外線光源4は、照射量3.0[mJ/cm2]以上の紫外線を放射すればよい。例えば、紫外線光源4にGL-6を用いた場合、図2から、紫外線光源4から4[cm]離れた位置で、放射照度が3[mW/cm2]となり、1秒間の照射で照射量は、3.0[mJ/cm2]となる((照射量[mJ/cm2])=(放射照度[mW/cm2])×(照射時間[s]))。このため、紫外線光源4で1秒間以上の照射を受けるように、菌ウイルス低減装置Mの流路長および風速が設定される((照射時間[sec])=(流路長[cm])/(風速[cm/sec]))。また、2021年7月5日付けの理化学研究所のプレスリリースによれば、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるための紫外線照射量は、15[mJ/cm2](=500[μJ/cm2]×30[sec])である。
1952」や「河本康太郎、”紫外線による空気殺菌法とその効果”、食品工業、pp.33-40、1970」等によれば、表1の通りである。表1によれば、SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)のウイルス(いわゆる新型コロナウイルス)を死滅(不活化)させるための紫外線照射量は、東京計器株式会社による数値であり、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるためには、紫外線光源4は、照射量3.0[mJ/cm2]以上の紫外線を放射すればよい。例えば、紫外線光源4にGL-6を用いた場合、図2から、紫外線光源4から4[cm]離れた位置で、放射照度が3[mW/cm2]となり、1秒間の照射で照射量は、3.0[mJ/cm2]となる((照射量[mJ/cm2])=(放射照度[mW/cm2])×(照射時間[s]))。このため、紫外線光源4で1秒間以上の照射を受けるように、菌ウイルス低減装置Mの流路長および風速が設定される((照射時間[sec])=(流路長[cm])/(風速[cm/sec]))。また、2021年7月5日付けの理化学研究所のプレスリリースによれば、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるための紫外線照射量は、15[mJ/cm2](=500[μJ/cm2]×30[sec])である。
菌やウイルスを死滅(不活化)させるために必要なオゾンのCT値[ppm分]は、公知であり、例えば、昭和薬科大学微生物研究室や北里大学ウイルス科等の公表によれば、表2の通りである。CT値(Concentration-Time Value)は、オゾン等の物質が菌やウイルスを不活化する力を表すときの評価指標であり、濃度[ppm]と暴露時間[min]との積から算出される。2020年5月14日付けの奈良県立医科大学のプレスリリースによれば、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるためのCT値は、60(オゾン濃度1[ppm]で暴露時間60[min])、あるいは、330(オゾン濃度6[ppm]で暴露時間55[min]である。SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるためには、紫外線光源4は、CT値60[ppm分]以上のオゾンを生成する紫外線を放射すればよい。
本実施形態では、紫外線光源4は、仕切り部材5で仕切られた各流路に配置するために、2個の第1および第2紫外線光源4-1、4-2を備える。第1および第2紫外線光源4-1、4-2ならびに仕切り部材5は、第1紫外線光源4-1、仕切り部材5、第2紫外線光源4-2の順で順次に並ぶように、筐体1の内部に配置されている。より具体的には、第1紫外線光源4-1は、仕切り部材5と筐体1の上側壁板との間における、Y方向の略中央位置に、吸込み口2側に寄せてX方向に沿ってX方向に延びるように配置され、第2紫外線光源4-2は、仕切り部材5と筐体1の下側壁板との間における、Y方向の略中央位置に、吸込み口2側に寄せてX方向に沿ってX方向に延びるように配置されている。
そして、仕切り部材5における第1紫外線光源4-1に対向する第1面5aおよび仕切り部材5における第2紫外線光源4-2に対向する第2面5bは、鏡面となっている。例えば、第1および第2面5a、5bは、例えばアルミニウムやステンレス等の金属(合金を含む)で仕切り部材5が形成されることで鏡面とされる。第1および第2面5a、5bは、鏡面加工されることが好ましい。あるいは、例えば、第1および第2面5a、5bは、第1および第2面5a、5bに鏡面フィルムを貼り付けることで鏡面とされる。本実施形態では、筐体1の上側壁板における第1紫外線光源4-1に対向する内面1aおよび筐体1の下側壁板における第2紫外線光源4-2に対向する内面1bも、鏡面となっている。各内面1a、1bは、上述と同様に、筐体1が金属で形成されることで、あるいは、鏡面フィルムが貼り付けられることで、鏡面とされる。
吸込みファン6は、筐体1の外部から筐体1の内部に空気を吸い込むための電動ファンであり、吸込み口2に取り付けられている。
吸込み口用フィルタ7および吹出し口用フィルタ8は、空気中の粉塵、例えば10[μm]以上のサイズの粉塵を除去する不織布フィルタであり、吸込み口用フィルタ7は、吸込み口2に取り付けられ、吹出し口用フィルタ8は、吹出し口3に取り付けられている。これにより、吸込み口2および吹出し口3それぞれからの紫外線の漏洩が吸込み口用フィルタ7および吹出し口用フィルタ8それぞれによって低減される。
このような菌ウイルス低減装置Mは、電気的には、例えば図1Cに示すように、プラグ11と、コネクタ12と、フューズ13と、電源スイッチ14と、抵抗素子15と、パイロットランプ16と、第1および第2紫外線光源4-1、4-2と、吸込みファン6とを備える。
プラグ11は、商用周波数50[Hz]や60[Hz]商用電源を給電するコンセントに差し込まれて接続される、例えばE付きプラグである。
コネクタ12は、筐体1の側壁板に取り付けられ、筐体1外の電気回路(プラグ11側の電気回路)と、筐体1内の電気回路とを接続するための、例えばMC1 メタルコネクタであり、前記筐体1外の電気回路および前記筐体1内の電気回路それぞれが脱着できるようになっている。これにより筐体1内の電気回路のメンテナンス(例えば吸込みファンの取り替え、第1紫外線光源4-1の取り替え、第2紫外線光源4-2の取り替え等)が容易になる。
パイロットランプ(確認表示灯)16は、電源のオンオフを表示するためのランプであり、その点灯状態が外部から視認できるように、筐体1の側壁板に取り付けられている。
筐体1内の電気回路では、V相ラインには、フューズ13および電源スイッチ14が直列に接続され、この直列接続されたフューズ13および電源スイッチ14の下流側において、V相ラインとW相ラインとの線間に、直列接続された抵抗素子15およびパイロットランプ16、第1紫外線光源4-1、第2紫外線光源4-2、ならびに、吸込みファン6が並列で接続されている。
電源スイッチ14がオンされると、パイロットランプ16が点灯し、第1および第2紫外線光源4-1、4-2が点灯し、吸込みファン6が駆動され、菌ウイルス低減装置Mが稼動される。吸込みファン6の駆動により吸込む口2で、筐体1の外部から空気が、吸込み口用フィルタ7および吸込みファンを介して、筐体1の内部に吸い込まれる。この吸い込まれた空気は、仕切り部材5によって2つに分配され、一方の空気は、第1紫外線光源4-1によって紫外線の直射を受けるとともに、仕切り部材5の第1面5aおよび筐体1の上側壁板の内面1aで反射した紫外線の照射を受け、他方の空気は、第2紫外線光源4-2によって紫外線の照射を受けるとともに、仕切り部材5の第2面5bおよび筐体1の下側壁板の内面1bで反射した紫外線の照射を受ける。これにより空気中の菌およびウイルスが死滅または低減され、オゾンが生成され、空気中に含まれる。そして、前記一方の空気および前記他方の空気は、吹出し口3で合流し、筐体1の内部から、吹出し口用フィルタ8を介して、筐体1の外部へ吹き出される。オゾンを含み、菌およびウイルスを死滅または低減した空気が菌ウイルス低減装置Mから排出される。このオゾンを含む空気により、空気中やこの空気に当たる表面の菌およびウイルスを死滅または低減できる。特に、クローゼットやロッカー等の閉空間内に、菌ウイルス低減装置Mを設置して稼動させることにより、前記閉空間内で、菌およびウイルスを効果的に死滅または低減できる。
一方、電源スイッチ14がオフされると、パイロットランプ16が消灯し、第1および第2紫外線光源4-1、4-2が消灯し、吸込みファン6が停止され、菌ウイルス低減装置Mが停止される。
以上説明したように、実施形態における菌ウイルス低減装置Mは、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源4を備え、前記薬剤を用いないので、前記薬剤の消費量(残量)を管理し、その補給を行う工数(手間)を低減できる。上記菌ウイルス低減装置Mは、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源4を備えるので、菌およびウイルスを紫外線で低減できるだけでなくオゾンでも低減できるから、前記菌およびウイルスをより確実に低減できる。上記菌ウイルス低減装置Mは、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源を備えるので、オゾンを含む空気を吹き出せるから、外部の菌およびウイルスも低減できる。
上記菌ウイルス低減装置Mは、仕切り部材5をさらに備えるので、流量が仕切部材によって均一化されるから、流路を流れる空気の通過風速が均一化され、前記仕切り部材を備えない場合に較べて紫外線照射時間を平均化することができ稼働中における前記紫外線照射時間のバラツキが小さくなる。
上記菌ウイルス低減装置Mは、仕切り部材5における第1および第2面5a、5bが鏡面であるので、空気に、第1および第2紫外線光源4-1、4-2から、直接、紫外線を照射できるだけでなく、前記鏡面で反射した紫外線も照射できる。
次に、一実施例について説明する。図3は、一実施例を説明するための図である。図3Aは、菌ウイルス低減装置Mをロッカー内に配置した様子を示し、図3Bは、菌の測定箇所を示す。図4は、風速測定系およびオゾン測定系を説明するための図である。図4Aは、風速測定系を示し、図4Bは、オゾン測定系を示す。
一実施例の菌ウイルス低減装置Mでは、筐体1は、外寸でX方向300[mm]、Y方向190[mm]およびZ方向85[mm]の容器である。第1および第2紫外線光源4-1、4-2には、Bireegoo社のModel:JP-T5-UVが用いられた。第1紫外線光源4-1と第2紫外線光源4-2とは、Y方向に90[mm]の間隔を開けて配置された。仕切り部材5として、X方向に110[mm]の板材、および、X方向に190[mm]の板材が用意された。
このような一実施例の菌ウイルス低減装置Mにおいて、仕切り部材5が無い場合、仕切り部材5に110[mm]の板材を用いた場合、および、仕切り部材5に190[mm]の板材を用いた場合それぞれについて、商用周波数別に、図1Aおよび図1Bに示す4カ所の第1ないし第4測定箇所S1~S4で紫外線照射強度の測定が実施された。紫外線照射強度の測定には、マザーツール製のYK-37UVSDが用いられた。その測定結果が表3に示されている。商用周波数60[Hz]および商用周波数50[Hz]のいずれにおいても、紫外線照射強度は、仕切り部材5が無い場合に較べて、仕切り部材5がある場合の方が高く、そして、紫外線照射強度は、仕切り部材5に110[mm]の板材を用いた場合に較べて、仕切り部材5に190[mm]の板材を用いた場合の方が高い。したがって、鏡面による紫外線の反射により、紫外線照射強度が高くなっている。以下では、仕切り部材5として190[mm]の板材が用いられている。
この一実施例の菌ウイルス低減装置Mでは、紫外線照射時間は、次のように求められた。そのために、まず、図4Aに示すように、吹出し口3に吹出し口用フィルタ8を介して中空四角柱状の84[mm]×84[mm]のダクトDTが配置され、風速計によって吹出し風速が10[sec]間の平均値として測定された。前記風速計には、カノマックス製のMODEL6501が用いられた。商用周波数60[Hz]の場合、3回の測定結果は、0.79[m/sec]、0.78[m/sec]および0.77[m/sec]であり、その平均値は、0.780[m/sec]であった。一方、商用周波数50[Hz]の場合、5回の測定結果は、0.83[m/sec]、0.81[m/sec]、0.72[m/sec]、0.76[m/sec]および0.81[m/sec]であり、その平均値は、0.786[m/sec]であった。次に、この求めた風速に、ダクトDTの断面積を乗算することによって、吹出し風量が約0.33[m3/min](=0.78[m/s]×0.084[m]×0.084[m]×60[s])と求められた。吹出し風量0.33[m3/min]を筐体1の断面積(=190[mm]×85[mm])で割ることによって、筐体1内での風速が0.34[m/sec]と求められた。そして、筐体1の長さ300[mm]を筐体1内風速0.34[m/sec]で割ることによって、照明時間は.0.91[sec])と求められた。例えば、SARS-CoV-2のウイルスを死滅(不活化)させる照射量3[mJ/cm2]を得るためには、3.30[mW/cm2]の照射強度が必要となる。このため、図2から第1および第2紫外線光源4-1、4-2には、菌ウイルス低減装置Mの寸法を変えない場合、各光源4-1、4-2からの平均距離4[cm]で放射照度3.3[mW/cm2]が必要になり、GL6以上を用いる必要がある。
この一実施例の菌ウイルス低減装置Mにおけるオゾンの生成が次のように確認された。まず、図4Bに破線で示すように、図4Aと同様に、吹出し口3に吹出し口用フィルタ8を介して中空四角柱状のダクトDTが配置され、ダクトDT内の測定箇所S5およびダクトDT出口の測定箇所S6で測定が実施された。オゾンの測定には、佐藤商事のオゾンチェッカーOC-300が用いられた。その結果、測定箇所S5では、吹出し口3の局部濃度として0.166[ppm]のオゾンが測定され、測定箇所S6では、吹出し口3の平均濃度として0.062[ppm]のオゾンが測定された。したがって、オゾンの生成が確認された。
この一実施例の菌ウイルス低減装置Mについて、衣類に付着した付着菌の除菌が評価された。この評価では、図3Aに示すように、一実施例の菌ウイルス低減装置Mは、所定の閉空間を形成する、例えばロッカーRC内に配置された。このロッカーRCは、図略の扉を備える略直方体形状の収納容器であり、ロッカーRC内には、上方に配設された網棚NRと、この網棚NRの下で一方側壁から他方側壁まで渡された、ハンガーを掛けるハンガーポールHPとを備える。一実施例の菌ウイルス低減装置Mは、網棚NR上に載置され、ハンガーポールHPには、白衣を掛けた5個の第1ないし第5ハンガーA~Eが前記一方側壁から前記他方側壁へ向けて順次に所定の間隔を空けて等間隔に掛けられている。付着菌の測定箇所は、白衣WCにおいて、図3Bに示すように、紙面平面視にて、左側の上部(a)、中部(b)および下部(c)、ならびに、右側の上部(d)、中部(e)および下部(f)の6カ所である。
実験前に、ロッカーRC内に配置された一実施例の菌ウイルス低減装置Mが、一夜、稼動され、5着の白衣それぞれが一般雰囲気に曝され、第1ハンガーAの白衣における左側の上部(a)、第3ハンガーCの白衣における左側の中部(b)および第5ハンガーEの白衣における左側の下部(c)それぞれで付着菌が栄研化学製のペたんチェック25(登録商標)(表面積が約25[cm2]であるSDC一般生菌用寒天培地)によって測定され、その結果、それぞれ、74、37および0であった。その後、上述のように、ロッカーRC内のハンガーポールHPに第1ないし第5ハンガーA~Eが掛けられ、ロッカーRC内に配置された一実施例の菌ウイルス低減装置Mが、15時間、稼動され、ロッカーRC内のオゾン濃度は、0.118[ppm]であった。なお、ロッカーRC内の下部において、0~60[分]での時間経過に対するオゾン濃度は、稼働後、0分時点で0[ppm]であり、5分時点で0[ppm]であり、10分時点で0.006[ppm]であり、15分時点で0.038[ppm]であり、20分時点で0.048[ppm]であり、25分時点で0.053[ppm]であり、30分時点で0.51[ppm]であり、35分時点で0.53[ppm]であり、40分時点で0.53[ppm]であり、45分時点で0.063[ppm]であり、50分時点で0.065[ppm]であり、55分時点で0.07[ppm]であり、60分時点で0.77[ppm]であった。上記15時間経過後、第1ハンガーAの白衣における右側の上部(d)、第3ハンガーCの白衣における右側の中部(e)および第5ハンガーEの白衣における右側の下部(f)それぞれで付着菌が同様に測定され、その結果、それぞれ、0、2および0であった。なお、測定箇所の付着菌がぺたんチェック25(登録商標)に付着して除去されてしまうため、白衣の左右同位置で稼動前後の付着菌が評価された。したがって、菌ウイルス低減装置Mは、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源4-1、4-2を備えるので、オゾンを含む空気を吹き出せるから、外部の菌およびウイルスも低減できる。表2から、CT値60[ppm分]以上のオゾンを生成する紫外線を放射する紫外線光源4が用いられることにより、閉空間内において、SARS-CoV-2を死滅(不活化)できる。
なお、閉空間のオゾン濃度C[ppb](体積濃度)は、次式1によって求めることができる。ここで、Cは、時間経過後の閉空間1[m3]当たりのオゾン濃度[ppb]であり、Ciは、閉空間の初期オゾン濃度[ppb]であり、C0は、菌ウイルス低減装置Mが置かれている閉空間の外気の初期オゾン濃度[ppb]であり、QSは、菌ウイルス低減装置Mの風量[m3/h]であり、Q0は、閉空間からの漏れ量[m3/h]であり、QRは、菌ウイルス低減装置Mから出て再び菌ウイルス低減装置Mへ戻るリターン空気量[m3/h]である。CiとC0とは、実質的に同じものであるが、CiがC0より大きい場合やCiがC0より小さい場合をシミュレートできるように、式1では別に取り扱っている。mは、一般に混合係数と呼ばれ、瞬時に一様拡散する場合は、m=1であり、通常、1/5~1/10である。ρは、オゾンの密度[g/l]であり、ρ=2.14[g/l]である。 Mは、オゾン発生量[mg/h]であり、dは、吸込みファン6によるオゾンの減衰率を表し、γは、菌ウイルス低減装置Mの機器処理率、すなわち再循環率を表す。Vは、閉空間の体積[m3]である。
一例では、菌ウイルス低減装置Mが60[Hz]の商用電源で稼動され、Ci=0[ppb]、C0=0[ppb]、QS=18[m3/h]、Q0=16[m3/h]、QR=4[m3/h]、m=0.2、ρ=2.14[g/l]、M=.235[mg/h]、d=0.8、γ=0.2、V=0.765[m3]とした場合、上記式1による、経過時間[分]に対するオゾン濃度[ppb]は、図5に示すようになり、60[分]経過後のオゾン濃度は、126[ppb]となる。図5は、一例として、閉空間における、経過時間に対するオゾン濃度を示す図であり、その横軸は、経過時間[分]であり、その縦軸は、オゾン濃度[ppb]である。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
M 菌ウイルス低減装置
1 筐体;2 吸込み口;3 吹出し口;4-1 第1紫外線光源;4-2 第2紫外線光源;5 仕切り部材;5a 第1面;5b 第2面
1 筐体;2 吸込み口;3 吹出し口;4-1 第1紫外線光源;4-2 第2紫外線光源;5 仕切り部材;5a 第1面;5b 第2面
Claims (5)
- 筐体と、
前記筐体に形成された、外部から内部に空気を吸い込む吸込み口と、
前記筐体の内部に配置され、前記吸込み口から吸い込んだ空気に、オゾンを生成する紫外線を照射する紫外線光源と、
前記筐体に形成された、前記紫外線光源によって紫外線が照射された空気を外部に吹き出す吹出し口とを備える、
菌ウイルス低減装置。 - 前記筐体の内部に配置され、前記吸込み口から前記吹出し口に至る流路を複数に分ける仕切り部材をさらに備える、
請求項1に記載の菌ウイルス低減装置。 - 前記紫外線光源は、2個の第1および第2紫外線光源を備え、
前記第1および第2紫外線光源ならびに前記仕切り部材は、前記第1紫外線光源、前記仕切り部材、前記第2紫外線光源の順で順次に並ぶように、前記筐体の内部に配置され、
前記仕切り部材における前記第1紫外線光源に対向する第1面および前記仕切り部材における前記第2紫外線光源に対向する第2面は、鏡面である、
請求項1または請求項2に記載の菌ウイルス低減装置。 - 前記紫外線光源は、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させる照射量以上の紫外線を放射する、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の菌ウイルス低減装置。 - 所定の閉空間内に配置された、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の菌ウイルス低減装置であって、
前記紫外線光源は、SARS-CoV-2のウイルスを死滅させるCT値以上のオゾンを生成する紫外線を放射する、
菌ウイルス低減装置。
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