JP7496907B1 - オゾン消臭除菌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オゾン臭を抑制すべく、オゾン分解を促進できるオゾン消臭除菌装置を提供する。【解決手段】内部の収容庫15に衣服Cや履物F等の被処理物を収容可能な筐体10と、収容庫15にオゾンを供給するオゾン供給部11と、収容庫15に設けられ、前記被処理物を保持する保持部12と、保持部12を振動させる振動部13とを備えているので、振動部によって保持部12を振動させることによって、被処理物が振動することで、オゾン分解を促進でき、オゾン臭を抑制できる。【選択図】図1

Description

本発明は、衣服や履物等の被処理物をオゾンによって消臭除菌するオゾン消臭除菌装置に関する。
オゾンを用いて消毒殺菌を行う装置の一例として、例えば特許文献1に記載の衣服消毒殺菌ボックスが知られている。
この衣服消毒殺菌ボックスは、筐体と、この筐体の一端側に回動可能に取り付けられ、当該筐体の内部空間を密閉状態又は開放状態とするための扉と、前記筐体内に設けられ、衣服を吊り下げるための吊下用部材と、前記筐体内に設けられ、当該筐体の内部空間が密閉状態である場合に当該内部空間にオゾンを充満させ、前記吊り下げられた衣服を消毒殺菌するためのオゾン発生装置とを備えている。
ところで、クリーンルーム用の無塵衣は1週間程度着用する場合があり、臭いが気になることがある。無塵衣の悪臭(臭い)の原因は、汗や皮膚のかけら等の有機物を常在菌が分解することで、臭いが発生するためである。臭いを完全に除去するためには、臭いの分解の他に、臭いの発生源である常在菌の除菌が必要となる。
このような消臭と除菌は、例えば上述した従来の衣服消毒殺菌ボックスを使用する、つまりオゾンガスを使用することによって可能である。
特開2022-84571号公報
しかしながら、従来の衣服消毒殺菌ボックスでは、使用後に当該衣服消毒殺菌ボックス内にオゾンが若干残留している場合があり、この場合、扉を開けて内部の衣服を取り出す際に、オゾン臭がすることがあり、衣服を着る着用者やその周囲の者がオゾン臭によって不快と感じることがある。オゾン臭は、オゾンは時間とともに自己分解することによって消失するが、人が完全に臭いを感じなくなるまでには、時間がかかるという問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、オゾン臭を抑制すべく、オゾン分解を促進できるオゾン消臭除菌装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のオゾン消臭除菌装置は、内部の収容庫に衣服や履物等の被処理物を収容可能な筐体と、
前記収容庫にオゾンを供給するオゾン供給部と、
前記収容庫に設けられ、前記被処理物を保持する保持部と、
前記保持部を振動させる振動部と、
を備えたことを特徴とする。
前記筐体には内部の収容庫に被処理物を出し入れ可能とする扉が設けられる。
オゾン供給部は、オゾン発生部を備えており、オゾン発生部としては、エキシマUVランプが好適に使用される。
保持部は、例えばハンガーに掛けられた衣服を吊るすための吊下用部材と、履物を支持する支持用部材とによって構成することができる。
振動部としては、例えば、ウーハースピーカー(超低音用)に商用電源(AC100V,50または60Hz)をトランスで低電圧化した電圧を加えて振動させる構成とし、当該ウーハースピーカーを保持部に取り付ければよい。
消臭除菌時間は、オゾン除菌では1ppm、60分で生菌の99.99%を除菌できるとされていることと、靴(履物)内部には浸透しにくいことを考慮し、例えば、オゾン発生4時間、自然分解2時間とする。
本発明においては、筐体内部の収容庫に衣服や履物等の被処理物を収容して保持部によって保持し、当該収容庫を密閉した後、オゾン供給部から収容庫にオゾンを供給するとともに、振動部によって保持部を振動させると、保持部によって保持された被処理物が振動することで、オゾン分解を促進でき、オゾン臭を抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記オゾン供給部は、前記筐体の内部でかつ前記収容庫の外側に設けられたオゾン発生部と、
前記筐体の内部でかつ前記収容庫の天井裏空間に設けられて、前記収容庫の天井から清浄化された空気を前記オゾン発生部で発生したオゾンとともに吹き出すファンフィルタユニットとを備え、
前記ファンフィルタユニットが作動することによって、前記オゾン発生部で発生したオゾンが前記ファンフィルタユニットに吸い込まれ、前記天井から前記ファンフィルタユニットによって清浄化された空気とともに前記オゾンが吹き出されるようにしてもよい。
このような構成によれば、ファンフィルタユニットを作動させることによって、空気およびオゾン発生部で発生したオゾンがファンフィルタユニットに吸い込まれたうえで、天井からファンフィルタユニットによって清浄化された空気とともにオゾンが吹き出されるので、収容庫に収容されている被処理物に清浄化された空気およびオゾンが上方から降り注ぐようにして供給される。したがって、被処理物にオゾンを効率的に行き渡らせることができるとともに、被処理物に細かな異物が付着するのを抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記筐体の内部でかつ前記収容庫の外側に、空気循環路が設けられ、
前記空気循環路は、前記収容庫の下部空間、前記収容庫の側部空間および前記天井裏空間とを備え、
前記オゾン発生部は前記側部空間に設けられ、
前記ファンフィルタユニットが作動することによって、前記収容庫内の空気を、前記下部空間に吸い込み、前記側部空間を通して前記天井裏空間からオゾンとともに前記収容庫に吹き出して戻す際に、前記空気を前記ファンフィルタユニットで清浄化するようにしてもよい。
このような構成によれば、ファンフィルタユニットを作動させることによって、収容庫内の空気やオゾンが収容庫の下部空間に引き込まれ、側部空間を通って天井裏空間に入り、ファンフィルタユニットから収容庫に再び吹き出して戻す、つまり空気循環路によって収容庫内の空気やオゾンを循環させることができるので、収容庫外に空気やオゾンを排出させることなく、被処理物を消臭除菌できるとともに天井から吹き出す空気を清浄化できる。
また、被処理物に塵や埃等の異物が付着していた場合、ファンフィルタユニットから吹き出した空気およびオゾンの風流によって、異物を吹き飛ばして除去でき、除去された異物は収容庫から空気循環路を通ってファンフィルユニットによって除去される。このため、異物が収容庫に流入するのを防止できる。
本発明によれば、オゾン臭を抑制すべく、オゾン分解を促進できる。
本発明の実施形態に係るオゾン消臭除菌装置を示すもので、正面図である。 同、側面図である。 同、概略構成を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るオゾン消臭除菌装置の実験例を示すもので、収容庫に無塵衣・靴無し、振動の有無の場合のオゾン濃度を示すグラフである。 同、収容庫に無塵衣・靴有り、振動の有無の場合のオゾン濃度を示すグラフである。 図5に示すグラフにおける経過時間230分以降を拡大したグラフである。
以下、図面を参照して本発明に係るオゾン消臭除菌装置の実施形態について説明する。図1はオゾン消臭除菌装置の正面図、図2は同側面図である。
図1および図2に示すように、オゾン消臭除菌装置は、筐体10と、オゾン供給部11と、保持部12と、振動部13とを備えている。
筐体10は内部に衣服や履物等の被処理物を収容可能な収容庫15を有している。この収容庫15は、上部に配置された天井15aと、左右に対向して配置された側壁15b,15bと背面壁15cとを備えた略直方体状の空間となっており、下部は開口した開口部15dとなっている。
また、筐体10の正面側に扉16が開閉可能に設けられている。扉16は正面視における略中央部に縦長矩形状の透明なガラス板16aを備えており、当該ガラス板16aを通して内部が視認可能となっている。扉16はヒンジ16b,16bを軸として前後(図1において紙面と直交する方向)に回動可能となっており、開閉レバー16cを操作して、手前に引くことによって開くようになっている。
オゾン供給部11は、オゾン発生部20と、ファンフィルタユニット21とを備えている。
オゾン発生部20は、エキシマUVランプによって構成されており、オゾンを20mg/hで発生する。オゾン発生部20は、筐体10の内部でかつ収容庫15の外側に設けられている。具体的には、オゾン発生部20は、収容庫15の側部空間30aに設けられている。側部空間30aは、収容庫15を形成する一方(図1において左方)の側壁15bと、筐体10の左側端部を形成する外壁との間に設けられた横断面矩形状の空間であり、上下に延在している。この側部空間30aの上部にオゾン発生部20が設けられている。筐体10の正面側の左側端部の上部には、透明なガラス窓22が設けられている。このガラス窓22からオゾン発生部20を視認可能となっている。
ファンフィルタユニット21は、ケーシング内にファンおよび高性能フィルタが内蔵されたものであり、ファンを作動させることによって、ケーシングに設けられた吸込口から空気を吸い込み、当該空気に含まれている塵や埃等の異物を高性能フィルタによって除去したうえで、ケーシングに設けられた吹出口から吹き出すようになっている。
なお、ファンフィルタユニット21の処理風量は、約3m/minである。
このようなファンフィルタユニット21は、筐体10の内部でかつ収容庫15の天井裏空間30bに設けられている。すなわち、ファンフィルタユニット21は吹出口を天井15a側に向けて当該天井15に設置され、吸込口は上方または側方に向けて開口している。また、天井15aには、ファンフィルタユニット21の吹出口から吹き出されたオゾンおよび空気を収容庫15に吹き出して供給する供給口が設けられている。
前記天井裏空間30bは、収容庫15を形成する天井15aと、筐体10の上部を形成する外壁との間に設けられた横断面矩形状の空間であり、左右に延在している。この天井裏空間30bと前記側部空間30aとは、側部空間30aの上端部で連通している。したがって、ファンフィルタユニット21を作動させると、側部空間30aに存在している空気とオゾン発生部20で発生したオゾンとが側部空間30aから天井裏空間30bに流入し、ファンフィルタユニット21の吸込口から吸い込まれたうえで、吹出口から吹き出されるようになっている。
また、筐体10の内部でかつ収容庫15の下方には、下部空間30cが設けられている。下部空間30cは、筐体10の下部を形成する外壁の内側に形成された横断面矩形状の空間であり、左右に延在している。この下部空間30cと前記側部空間30aとは、側部空間30aの下端部で連通している。また、収容庫15の下部は開口しており、この開口部15dを通して収容庫15と下部空間30cとは連通している。したがって、ファンフィルタユニット21を作動させると、収容庫15内に存在している空気とオゾン(残留オゾン)が下部空間30cに流入し、さらにこの下部空間30cから前記側部空間30aに流入するようになっている。
筐体10の内部でかつ収容庫15の外側に、空気循環路30が設けられている。この空気循環路30は、容庫15の下部空間30c、収容庫15の側部空間30aおよび天井裏空間30bによって構成されている。
そして、ファンフィルタユニット21を作動させることによって、収容庫15内の空気やオゾンが収容庫15の下部空間30cに引き込まれて流入し、側部空間30aを通って天井裏空間30bに流入し、ファンフィルタユニット21から収容庫15に再び吹き出して戻る、つまり空気循環路30によって収容庫15内の空気やオゾンを循環させることができるので、収容庫15外に空気やオゾンを排出させることなく、被処理物を消臭除菌できるとともに天井から吹き出す空気を清浄化できる。なお、空気循環路30による循環回数は120回/時である。
前記保持部12は、収容庫15に設けられており、吊下用部材32と支持用部材33とを備えている。吊下用部材32は、ハンガーHに掛けられた衣服C(例えばクリーンルーム用無塵衣)を吊るすためのハンガーパイプであり、収容庫15の上部において左右に延在して水平に設けられている。また、保持部12は吊下用部材32の両端部を支持する支柱34,34を備えており、当該支柱34,34の下端部は、支持用部材33に固定されている。これによって、吊下用部材32は収容庫15の上部において水平に支持されている。
支持用部材33は、靴やスリッパ等の履物Fを支持するためのものであり、外形形状が直方体状となるよう複数本の丸パイプ状の棒状部材33aを組み立てるとともに、直方体の内側に正面視(図1)において、上下2段の棒状部材33a,33aを左右に延在し、かつ平行となるように組み付け、さらに、上下2段の棒状部材33a,33aを側面視(図2)において、左右に所定間隔でかつ互いに平行に組み付けることによって、形成されたものである。このような支持用部材33には、図2に示すように、上下段においてそれぞれ左右方向に隣り合う棒状部材33a,33a間に履物Fが立てた状態で挿入され、当該履物Fが棒状部材33a,33aによって立てた状態で支持される。
また、図1に示すように、前記支柱34,34の下端部が支持用部材33の左右両端部に固定されるとともに、図2に示すように、支持用部材33の前後方向(図2において左右方向)の中央部に固定されている。これによって、支柱34,34は垂直に保持されている。
振動部13は、保持部12を振動させるものであり、収容庫15の底部でかつ支持用部材33の下方に設置されている。振動部13は、矩形板状に形成されており、例えば、ウーハースピーカー(超低音用)に商用電源(AC100V,50または60Hz)をトランスで低電圧化した電圧を加えて振動させる構成となっている。このウーハースピーカーの上面が支持用部材33の下段の複数本の棒状部材33aに固定されている。
上述したように、収容庫15の下部は開口した開口部15dとなっているので、この開口部15dの中央側を振動部13が塞いでいるが、図1において振動部の13の左右幅寸法は、開口部15dの左右幅寸法より小さいので、振動部13の左右幅方向の両側において開口部15dは収容庫15と下部空間30cとを連通している。したがって、収容庫15内の空気やオゾンはこの連通した部位(下部循環口)を通って下部空間30cに入ることができる。
また、収容庫15と下部空間30cとを連通している連通部には、プレフィルタ35が設けられており、このプレフィルタ35によって、連通部を通る空気やオゾンに含まれている塵や埃等の異物が除去される。
また、振動部13は水平面において振動するともに、上下方向にも振動するようになっている。振動部13の振幅は、0.14mm(peak to peak)、振動数は、50または60Hz程度に設定されている。
このような振動部13が振動すると、振動部13とともに保持部12が振動し、これによって、保持部12に保持されている衣服Cおよび履物Fが振動する。
また、図1に示すように、筐体10の正面側でかつ左側部には、液晶の操作パネル40がガラス窓22の下方において設けられている。この操作パネル40は、本実施形態のオゾン消臭除菌装置の動作を設定するものであり、例えば、オゾン処理をスタートするスタートボタン、オゾン処理時間を設定する設定ボタン、オゾン処理中であることを報知する報知部等を備えている。スタートボタンをONにすると、オゾン供給部11および振動部13が作動する。すなわち、オゾン発生部20が起動してオゾンを発生するとともに、ファンフィルタユニット21が起動して、収容庫15にオゾンと清浄化された空気を吹き出すとともに、空気循環路30によって、収容庫15内の空気やオゾンを循環させ、同時に、振動部13によって、保持部12を振動させて、当該保持部12に保持されている衣服Cおよび履物Fを振動させる。
なお、振動部13をオゾン供給部11とは独立して作動するように構成してもよい。この場合、操作パネル40に振動部13を作動させるボタンを設ければよい。
また、前記扉16は、ソレノイド式電磁ロック41によって閉じた状態がロックされる、つまり施錠されるようになっており、ロック(施錠)中は操作パネル40の下方に設けられた表示灯42が点灯するようになっている。また、表示灯42は、非常解錠スイッチを兼ねており、長押しした場合解錠し、扉16を開けるとオゾン発生部20によるオゾン発生を停止させる。
以上のような構成のオゾン消臭除菌装置では、扉16を開けて筐体10内部の収容庫15に衣服Cや履物F等の被処理物を収容して保持部12によって保持し、当該収容庫15を扉16によって密閉した後、オゾン供給部11から収容庫15にオゾンを供給するとともに、振動部13によって保持部12を振動させると、保持部12によって保持された保持された被処理物(衣服Cや履物F等)が振動することで、オゾンが被処理物に行き渡って均一に接触するので、被処理物を効率よく消臭除菌できるとともにオゾン分解を促進でき、オゾン臭を抑制できる。
また、ファンフィルタユニット21を作動させることによって、空気およびオゾン発生部20で発生したオゾンがファンフィルタユニット21に吸い込まれたうえで、天井15aからファンフィルタユニット21によって清浄化された空気とともにオゾンが吹き出されるので、収容庫15に収容されている被処理物に清浄化された空気およびオゾンが上方から降り注ぐようにして供給される。したがって、被処理物にオゾンを効率的に行き渡らせることができるとともに、被処理物に細かな異物が付着するのを抑制できる。
さらに、ファンフィルタユニット21を作動させることによって、収容庫15内の空気やオゾンが収容庫15の下部空間30cに引き込まれて流入し、側部空間30aを通って天井裏空間30bに流入し、ファンフィルタユニット21から収容庫15に再び吹き出して戻る、つまり空気循環路30によって収容庫15内の空気やオゾンを循環させることができるので、収容庫15外に空気やオゾンを排出させることなく、被処理物を消臭除菌できるとともに天井15aから吹き出す空気を清浄化できる。
また、被処理物に塵や埃等の異物が付着していた場合、ファンフィルタユニット21から吹き出した空気およびオゾンの風流によって、異物を吹き飛ばして除去でき、除去された異物はプレフィルタ35によって大部分が除去され、さらに、収容庫15から空気循環路30を通ってファンフィルユニット21によって除去される。このため、異物が収容庫15に流入するのを防止できる。
(実験例)
次に実験例について説明する。
本実施形態のオゾン消臭除菌装置の収容庫15に衣服(無塵衣)Cおよび履物(靴)Fを収容し、保持部12に保持する。そして、振動部13の動作の有無別に、時間(分)の経過に伴う収容庫15内の所定の位置(測定点)におけるオゾン濃度(ppm)を測定した。
また、収容庫15に衣服(無塵衣)Cおよび履物(靴)Fを収容していない場合についても、振動部13の動作の有無別に、時間(分)の経過に伴う収容庫15内の所定の位置(測定点)におけるオゾン濃度(ppm)を測定した。
表1に、収容庫内(庫内)への衣服(無塵衣)および靴の投入(収容)の有無、振動部の振動の有無、収容庫内におけるオゾン濃度の測定点について、記載している。
(1)は、収容庫に無塵衣・靴無し、振動無しの場合、(2)は収容庫に無塵衣・靴無し、振動有りの場合、(3)は収容庫に無塵衣・靴有り、振動無しの場合、(4)は収容庫に無塵衣・靴無有り、振動有りの場合を示している。
測定点については、図3に示すオゾン消臭除菌装置の概略図中に×印で示している。
消臭除菌時間は、オゾン除菌では1ppm、60分で生菌の99.99%を除菌できるとされていることと、靴内部には浸透しにくいことを考慮し、オゾン発生4時間、自然分解2時間とした。また、無塵衣の収納数は10枚とした。
また、消臭除菌の実験を行う前に収容庫内のオゾン濃度の確認を行って、オゾン濃度が0ppmであることを確認した。また、コーキング(収容庫内の気密性を保持するために、隙間に充填された充填剤)等から発生するガスともオゾンが反応するため数回空焚きし、オゾン濃度が安定した後に濃度の確認を行った。
収容庫内の条件は表1のとおりである。収容庫内への衣服・靴の投入の有無、振動の有無の条件を変えて実験を行い、無塵衣・靴が無い場合および無塵衣・靴が有る場合について、図3に×印にて示す測定点でオゾン濃度を測定した。
図4に示すグラフは、収容庫に無塵衣・靴無し、振動の有無別の場合のオゾン濃度を示す。縦軸はオゾン濃度(ppm)、横軸が経過時間(分)である。
なお、図4において、「振動無天井」とは、振動無しで天井吹出し付近のオゾン濃度を測定した場合、「振動無中央」とは、振動無しで収容庫の中央部のオゾン濃度を測定した場合、「振動無循環口」とは、振動無しで収容庫下部の下部循環口付近のオゾン濃度を測定した場合を示す。同様に、「振動有天井」とは、振動有りで天井吹出し付近のオゾン濃度を測定した場合、「振動有中央」とは、振動有りで収容庫の中央部のオゾン濃度を測定した場合、「振動有循環口」とは、振動有りで収容庫下部の下部循環口付近のオゾン濃度を測定した場合を示す。
収容庫内のオゾン濃度は振動がない場合、最大で3ppm弱、振動がある場合、最大で2.5ppmとなり、どちらの場合も収容庫内の濃度の分布は非常によく拡散し易いことがわかる。
図5に示すグラフは、収容庫に無塵衣・靴有り、振動の有無別の場合のオゾン濃度を示し、図6に示すグラフは、図5に示すグラフにおける経過時間230分以降を拡大したグラフである。縦軸はオゾン濃度(ppm)、横軸が経過時間(分)である。
なお、図5および図6において、「振動無天井」とは、振動無しで天井吹出し付近のオゾン濃度を測定した場合、「振動無服内」とは、振動無しで収容庫内の無塵衣内の中央部のオゾン濃度を測定した場合、「振動無靴内」とは、振動無しで収容庫内の靴内部のオゾン濃度を測定した場合を示す。同様に、「振動有天井」とは、振動有りで天井吹出し付近のオゾン濃度を測定した場合、「振動有服内」とは、振動有りで収容庫内の無塵衣内の中央部のオゾン濃度を測定した場合、「振動有靴内」とは、振動有りで収容庫内の靴内部のオゾン濃度を測定した場合を示す。
収容庫に無塵衣・靴有りで振動がない場合、収容庫内のオゾンの最大濃度が1.5ppmとなり、図4に示す無塵衣・靴無しの場合の半分となった。
また、無塵衣内の濃度は収容庫内の80%程度で最大1.3ppm、靴の内部は収容庫内の30%程度で最大0.5ppmとなった。
また、自然分解後、測定上はほぼ0となるがわずかにオゾン臭があった。
以上により、収容庫に無塵衣・靴を収容し、振動無しの場合、無塵衣・靴の消臭除菌にオゾンが使用され、オゾン供給から240分(4時間)でオゾン供給を停止し、自然分解120分(2時間)後に、オゾン濃度はほぼ0となるが、オゾン臭が残ることが分かった。
収容庫に無塵衣・靴有りで振動が有る場合、収容庫内のオゾンの最大濃度が1.3ppmとなった。無塵衣内のオゾン濃度は収容庫内とほぼ差がない結果となったが、靴の内部は収容庫内の25%程度で最大0.35ppmとなった。
オゾンの自然分解後、測定上はオゾン濃度がほぼ0なのは振動がない場合と同じであるが、オゾン臭は殆ど感じられなかった。
以上により、振動することでオゾン濃度は上がりにくくなるが、代わりにオゾンの分解も早くなっている(促進される)と推定できる。また、振動がない場合、靴の内部のオゾン濃度は最大0.5ppmであるのに対し、振動がある場合、靴の内部のオゾン濃度は最大0.35ppmとなり、振動によりオゾン分解が促進されることがわかる。
表2は、本実施形態のオゾン消臭除菌装置によって、オゾン消臭除菌(オゾン発生4時間+分解2時間)を行った際の残存するオゾンの臭いの有無を確認した結果を示すものである。
被験者6人(A~F)に振動無しの場合と、振動有りの場合にオゾン臭を感じるかと、気になるレベルの臭いかを確認した。結果を以下に示す。
表2において、〇印はオゾン臭はしないと感じた場合、△印はオゾン臭が僅かにあるが気にならないと感じた場合、×印はオゾン臭があり気になると感じた場合を示す。
オゾンの嗅覚閾値は、0.01~0.02ppm程度と幅がある為、振動が無い場合、被験者の半数(三人)はオゾン臭はしないと感じ、二人がオゾン臭が僅かにあるが気にならないと感じ、一人がオゾン臭があり気になると感じた。
一方、振動が有る場合、被験者の一人だけが、オゾン臭が僅かにあるが気にならないと感じたが、その他の五人は、オゾン臭はしないと感じた。
また、振動が無い場合にオゾン臭を感じた被験者は、振動を加えることでオゾン臭が減少した又は無くなる結果となった。
以上により、振動によりオゾン分解が促進され、消臭されることが分かる。
10 筐体
11 オゾン供給部
12 保持部
13 振動部
15 収容庫
20 オゾン発生部
21 ファンフィルタユニット
30 空気循環路
30a 側部空間
30b 天井裏空間
30c 下部空間

Claims (3)

  1. 内部の収容庫に衣服や履物等の被処理物を収容可能な筐体と、
    前記収容庫にオゾンを供給するオゾン供給部と、
    前記収容庫に設けられ、前記被処理物を保持する保持部と、
    前記保持部を振動させる、振動数が50Hzまたは60Hzの振動部と、
    を備え
    前記振動部によって前記保持部を振動させて、当該保持部に保持された前記被処理物を振動させることによって、オゾン分解を促進して、オゾン臭を抑制することを特徴とするオゾン消臭除菌装置。
  2. 前記オゾン供給部は、前記筐体の内部でかつ前記収容庫の外側に設けられたオゾン発生部と、
    前記筐体の内部でかつ前記収容庫の天井裏空間に設けられて、前記収容庫の天井から清浄化された空気を前記オゾン発生部で発生したオゾンとともに吹き出すファンフィルタユニットとを備え、
    前記ファンフィルタユニットが作動することによって、前記オゾン発生部で発生したオゾンが前記ファンフィルタユニットに吸い込まれ、前記天井から前記ファンフィルタユニットによって清浄化された空気とともに前記オゾンが吹き出されることを特徴とする請求項1に記載のオゾン消臭除菌装置。
  3. 前記筐体の内部でかつ前記収容庫の外側に、空気循環路が設けられ、
    前記空気循環路は、前記収容庫の下部空間、前記収容庫の側部空間および前記天井裏空間とを備え、
    前記オゾン発生部は前記側部空間に設けられ、
    前記ファンフィルタユニットが作動することによって、前記収容庫内の空気を、前記下部空間に吸い込み、前記側部空間を通して前記天井裏空間からオゾンとともに前記収容庫に吹き出して戻す際に、前記空気を前記ファンフィルタユニットで清浄化することを特徴とする請求項2に記載のオゾン消臭除菌装置。
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