以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
実施形態における除菌装置は、二酸化塩素ガス(ClO2ガス)によって所定の空間を除菌する装置であって、前記所定の空間を形成する空間形成体と、前記空間形成体によって形成された前記所定の空間に二酸化塩素ガスを供給する二酸化塩素ガス発生装置とを備える。前記二酸化塩素ガス発生装置は、二酸化塩素ガスを発生し、前記発生した二酸化塩素ガスを前記所定の空間に供給するガス発生部と、前記所定の空間の容積に基づいて、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度が所定の目標濃度範囲内となるように、前記ガス発生部における、前記二酸化塩素ガスを発生するオン時間と、前記二酸化塩素ガスの発生を停止するオフ時間とを制御する制御部とを備える。このような二酸化塩素ガス発生装置および除菌装置は、前記制御部を備え、前記ガス発生部のオン時間とオフ時間とを制御することによって、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度(以下、「ガス濃度」と適宜に略記する。)を制御できる。以下、このような二酸化塩素ガス発生装置および除菌装置について、第1ないし第3実施形態によって、より具体的に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態における除菌装置ASの構成について説明する。図1は、第1実施形態における除菌装置の構成を示す図である。図2は、図1に示す除菌装置に用いられる二酸化塩素ガス発生装置の構成を示す図である。図2Aは、上面図であり、図2Bは、図2Aに示すI−I断面線での断面図であり、図2Cは、天板および前後一対の側板を除いた場合の上面図(内部の構成図)であり、そして、図2Dは、右側面図である。図3は、図2に示す二酸化塩素ガス発生装置の電気的な構成を示す図である。
図1において、第1実施形態における除菌装置ASは、所定の空間を形成する第1空間形成体21と、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間に二酸化塩素ガスを供給する二酸化塩素ガス発生装置CGとを備え、第1空間形成体21は、本実施形態では、例えば、エアシャワー装置における、エアシャワーを実施するエアシャワールーム(区画室)である。除菌装置ASには、例えば特開2014−66467号公報等に開示されたエアシャワー装置を利用できる。より具体的には、除菌装置ASは、例えば、図1に示すように、第1空間形成体21と、左右一対の第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2と、ガス送風部23と、二酸化塩素ガス発生装置CGと、第1筐体24とを備える。
第1空間形成体21は、左右一対の第1および第2壁211−1、211−2と、天井212と、床213と、図略の前後一対の入口ドアおよび出口ドアとを備え、これら第1および第2壁211−1、211−2、天井212、床213、前記入口ドア、ならびに、前記出口ドアから、それら内部に前記所定の空間を形成する。
第1および第2壁211−1、211−2は、それぞれ、例えば鋼板製焼付塗装やステンレス鋼等の、適宜な所定の金属(合金を含む)から形成された矩形の板状体であり、所定の間隔を空けて互いに対向するように立設される。前記所定の間隔は、前記入口ドアから前記出口ドアへ人が余裕をもって通過でき、加圧空気(エアシャワー)によって前記人に付着した塵埃等を吹き飛ばせる適宜な距離である。第1および第2壁211−1、211−2には、それぞれ、後述する、複数の第1および第2噴出ノズル224−1、224−2を取り付けるための複数の開口(複数の第1および第2ノズル取付開口)が形成される。さらに、第1および第2壁211−1、211−2の各下部には、それぞれ、前記所定の空間内の気体を第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2の各内部へ吸引(導入)するための複数の開口(複数の第1および第2吸引開口)2111−1、2111−2が形成される。第1および第2壁211−1、211−2の各一方側端には、開閉可能に前記入口ドアが取り付けられ、第1および第2壁211−1、211−2の各他方側端には、開閉可能に前記出口ドアが取り付けられている。天井212は、適宜な所定の金属(合金を含む)から形成された矩形の板状体であり、その両側端で第1および第2壁211−1、211−2の各上端に固定して取り付けられる。天井212には、ガス送風部23を取り付けるための開口(送風部取付開口)が形成されている。床213は、適宜な所定の金属(合金を含む)から形成されたグレーティング板(格子板)であり、その両側端で第1および第2壁211−1、211−2の各下端に固定して取り付けられる。
第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2は、それぞれ、加圧空気を生成し、この生成した加圧空気を、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間内に、左右から噴出するものである。第1加圧空気送出部22−1は、第1空間形成体21における第1壁211−1の外側に配設され、第2加圧空気送出部22−2は、第1空間形成体21における第2壁211−1の外側に配設される。第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2は、左右対称である点を除き同一な構成であるので、以下、第1加圧空気送出部22−1について説明し、第2加圧空気送出部22−2は、その構成を括弧書きで示すことによって、その説明を省略する。第1加圧空気送出部22−1(22−2)は、第1流路形成体221−1(221−2)と、第1加圧空気用ブロア222−1(222−2)と、第1フィルタ部223−1(223−2)と、複数の第1噴出ノズル224−1(224−2)とを備える。
第1流路形成体221−1(221−2)は、第1壁211−1(211−2)に形成された複数の第1吸引開口2111−1(2111−2)から、複数の第1噴出ノズル224−1(224−2)に至る、気体を流通させる第1流路(第2流路)を形成する部材である。第1流路形成体221−1(221−2)は、例えば、直方体形状の箱体であり、その一面は、第1壁211−1(211−2)で構成されている(前記一面が第1壁211−1(211−2)と兼用されている)。第1加圧空気用ブロア222−1(222−2)は、第1噴出ノズル224−1(224−2)によって加圧空気を生成するように、気体の流れを発生するものであり、例えばターボファンや軸流ファン等を備えて構成される。第1フィルタ部223−1(223−2)は、例えば塵埃および菌を回収して空気を清浄するものであり、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを備えて構成される。第1噴出ノズル224−1(224−2)は、加圧空気を生成して前記所定の空間へ噴出する部材であり、第1壁211−1(211−2)に形成された前記第1ノズル取付開口(前記第2ノズル取付開口)に取り付けられる。これら第1加圧空気用ブロア222−1(222−2)、第1フィルタ部223−1(223−2)および第1噴出ノズル224−1(224−2)は、この順で第1吸引開口2111−1(2111−2)側から順次に、第1流路形成体221−1(221−2)内(第1流路上)に配設される。第1流路形成体221−1(221−2)内には、第1加圧空気用ブロア222−1(222−2)および第1フィルタ部223−1(223−2)を取り付けるためであって、前記第1流路(前記第2流路)を形成するための第1仕切り板(第2仕切り板)が設けられている。
このような構成の第1加圧空気送出部22−1(22−2)では、第1加圧空気用ブロア222−1(222−2)の作動によって、前記所定の空間から第1吸引開口2111−1(2111−2)を介して気体が吸引され、第1フィルタ部223−1(223−2)を介して第1噴出ノズル224−1(224−2)から、前記所定の空間へ、例えば20m/秒〜30m/秒の速さの加圧空気で噴出される。
ガス送風部23は、前記所定の空間に風を生じさせ、二酸化塩素ガス発生装置CGで生成された二酸化塩素ガスを前記風に乗せて前記所定の空間に供給するものである。ガス送風部23は、例えば、第1循環ファン231と、第3フィルタ部232と、気流整流部233とを備え、天井212に形成された前記送風部取付開口に取り付けられる。
第1循環ファン231は、例えば、軸流ファンやシロッコファン等を備えて構成される。第3フィルタ部232は、第1および第2フィルタ部223−1、223−2と同様であり、例えば塵埃および菌を回収して空気を清浄するものであり、例えば、HEPAフィルタを備えて構成される。なお、第1循環ファン231および第3フィルタ部232は、例えばファンフィルタユニット(FFU)を備えて構成されても良い。気流整流部233は、流通する気体を整流するものであり、例えば、気流の流通方向に所定の間隔を空けて配設された複数の多孔板を備えて構成される。これら第1循環ファン231、第3フィルタ部232および気流整流部233は、この順で天井212側に向かって順次に配置される。したがって、第3フィルタ部232は、第1循環ファン231と気流整流部233を介して前記所定の空間との間に配置される。
第1筐体24は、床213下から第1加圧空気送出部22−1の外側を介してガス送風部23に至る、気体を流通させる第3流路を形成するように、かつ、前記入口ドアおよび前記出口ドアが外部に臨むように、これら第1空間形成体21、第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2、ガス送風部23ならびに二酸化塩素ガス発生装置CGを収容する直方体形状の箱体である。前記第3流路上には、ガス送風部23の近傍(周辺)に、二酸化塩素ガス発生装置CGが配設されている。
このような構成のガス送風部23では、二酸化塩素ガス発生装置CGおよび第1循環ファン231それぞれの作動によって、前記所定の空間からグレーティング板の床213を介して気体が取り込まれ、第1加圧空気送出部22−1の外側を回って、二酸化塩素ガス発生装置CGを介してガス送風部23から、前記所定の空間へ、二酸化塩素ガスを含む空気が送出されて、前記所定の空間に供給される。
そして、このようなエアシャワー装置としても機能する除菌装置ASに用いられる、本実施形態の二酸化塩素ガス発生装置CGは、例えば、図2および図3に示すように、ガス発生部11(111、112−1、112−2)と、制御部12とを備え、図2および図3に示す例では、さらに、ファン13と、温度調整部14(141、142−1、142−2)と、稼働時間積算部15(151−1、151−2、152、152a、153、153a)と、第1および第2除塵フィルタ16、17と、電源部18(181〜187)と、これらガス発生部11、制御部12、ファン13、温度調整部14、稼働時間積算部15、第1および第2除塵フィルタ16、17、ならびに、電源部18を収容する箱形直方体形状の第2筐体(ハウジング)HSとを備える。
ガス発生部11は、二酸化塩素ガスを発生し、この発生した二酸化塩素ガスを第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間に供給するものである。本実施形態では、ガス発生部11で発生した二酸化塩素ガスは、ガス送風部23によって生じた風に載せられて前記所定の空間に供給される。ガス発生部11は、例えば、紫外線を放射する発光部112(112−1、112−2)と、発光部112から放射された紫外線を受光することによって二酸化塩素ガスを生成するガス源111とを備える。ガス源111は、通気性および紫外線透光性を持つ素材で形成された柱状の容器内に、粉末や粒状の亜塩素酸塩と無機物質担体と混合したものや、亜塩素酸塩の水溶液を無機物質担体に混合し乾燥させ固形化した亜塩素酸塩、を封入したものである。亜塩素酸塩は、亜塩素酸アルカリ金属塩や亜塩素酸アルカリ土類金属塩であり、例えば、亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸カルシウム等である。本実施形態では、ガス源111として、上述した、大幸薬品株式会社製のクレベリンLEDが用いられた。発光部112は、ガス源(本実施形態ではクレベリンLED、以下同じ)111の一方面に紫外線を照射しても良いが、本実施形態では、より効率よく二酸化塩素ガスを発生させるために、ガス源111の両面に紫外線を照射するために、2個の第1および第2発光部112−1、112−2を備えて構成される。第1発光部112−1は、図2および図6に示すように、ガス源111の一方面から距離Xだけ離して、第1発光部112−1における発光面の中央位置とガス源111における一方面の中央位置とが略同一直線上に位置し、かつ、第1発光部112−1の発光面とガス源111の一方面とが互いに平行となるように、第2筐体HS内に配設される。同様に、第2発光部112−2は、図2および図6に示すように、ガス源111の他方面から距離Xだけ離して、第2発光部112−2における発光面の中央位置とガス源111における他方面の中央位置とが略同一直線上に位置し、かつ、第2発光部112−2の発光面とガス源111の他方面とが互いに平行となるように、第2筐体HS内に配設される。前記距離Xは、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度(ガス濃度)が所定の目標濃度範囲内となるように、調整されるが、その設計については、後述する。第1および第2発光部112−1、112−2は、それぞれ、蛍光管を用いたブラックライトであって良いが、本実施形態では、省電力化のために、例えば波長350nmの紫外線を発光する紫外線LEDである。なお、紫外線の波長は、他の波長であっても良い。このようなガス発生部11は、図2に示すように、第2筐体HSの一方側(図2に示す例では前面側)に寄せて第2筐体HS内に配置されている。
制御部12は、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間の容積に基づいて、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度(ガス濃度)が所定の目標濃度範囲内となるように、ガス発生部11における、二酸化塩素ガスを発生するオン時間と、二酸化塩素ガスの発生を停止するオフ時間とを制御するものである。本実施形態では、第1および第2発光部112−1、112−2が紫外線をガス源111に照射すると、ガス源111から二酸化塩素ガスが発生し、第1および第2発光部112−1、112−2が紫外線のガス源11への照射を停止すると、ガス源111からの二酸化塩素ガスの発生が停止する。このため、制御部12は、第1および第2発光部112−1、112−2を発光する点灯時間を前記オン時間とし、第1および第2発光部112−1、112−2の発光を停止する消灯時間を前記オフ時間として、第1および第2発光部112−1、112−2における前記点灯時間と前記消灯時間とを制御する。なお、紫外線照射の開始と二酸化塩素ガス発生の開始との間にタイムラグがあっても良く、また、紫外線照射の停止と二酸化塩素ガス発生の停止との間にタイムラグがあっても良い。この場合、前記タイムラグを考慮して前記オン時間および前記オフ時間が制御される。前記オン時間(前記点灯時間)および前記オフ時間(前記消灯時間)の設計については、後述する。制御部12は、例えば、設定時間を可変できるプログラムタイマー12を備えて構成される。
ファン13は、第2筐体HSの天板の一方隅に形成されたファン用取付開口に取り付けられ、第2筐体HS内外で気体を吸排気するものである。ファン13は、例えば軸流ファンを備えて構成される。ファン13の外面には、例えば塵埃の第2筐体HS内への侵入を防ぐために、第1除塵フィルタ16が取り付けられている。また、第2筐体HSの天板の他方隅に形成されたフィルタ用取付開口には、例えば塵埃の第2筐体HS内への侵入を防ぐために、第2除塵フィルタ17が取り付けられている。このような構成では、ファン13が吸気するように作動すると、第1除塵フィルタ16およびファン13を介して第2筐体HS外から第2筐体HS内へ気体が吸気され、この吸気された気体は、第2筐体HS内を流通し、第2除塵フィルタ17から第2筐体HS外へ排気される。一方、ファン13が排気するように作動する場合には、ファン13および第1除塵フィルタ16の配設位置と、第2除塵フィルタ17の配設位置とが互いに交代される。このような配置でファン13が排気するように作動すると、第2除塵フィルタ17を介して第2筐体HS外から第2筐体HS内へ気体が吸気され、この吸気された気体は、第2筐体HS内を流通し、ファン13および第1除塵フィルタ16を介し第2筐体HS外へ排気される。これらの際に、ガス発生部11が作動していると(すなわち、第1および第1発光部112−1、112−2が紫外線を放射していると)、前記排気される気体には、二酸化塩素ガスが含まれる。
温度調整部14は、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度(ガス濃度)が前記所定の目標濃度範囲内となるように、ガス発生部11の温度を調整するものである。前記温度の設計については、後述する。本実施形態では、熱を放射するヒータ141と、前記ヒータ141の温度を制御する温度制御部142とを備える。ヒータ141は、本実施形態では、例えばセラミックヒータであり、ファン13の近傍、より詳しくは、ファン13の下部に配置される。このため、ファン13によって第2筐体HS外から吸引された気体は、ヒータ141で効率的に所定の温度に調整され、この調整された気体がガス発生部11のガス源111を流通する。これによってガス発生部11の温度が調整される。本実施形態では、ヒータ141がセラミックヒータを備えて構成されるので、温度制御部142は、ヒータ141に流れる電流をオンオフする温度調整用スイッチ142−1と、温度を測る図略の温度センサのセンサ出力に基づいて温度調整用スイッチ142−1のオンオフを制御する温度コントローラ142−2とを備える。なお、温度調整部14は、ヒータ141に加えて、熱を吸収するペルチェ素子をさらに備えても良い。
稼働時間積算部15は、ガス発生部11のガス源111の寿命を判定するために、本機の稼働時間、特に、ガス源111を照射する第1および第2発光部112−1、112−2の稼働時間を積算し測定するものである。稼働時間積算部15は、報知部151(151−1、151−2)と、リレー152と、アワーメータ153とを備える。報知部151は、ガス源111の寿命を報知するものであり、例えば、表示灯151−1と、外部出力端子151−2とを備える。表示灯151−1は、例えば、小型の電球(豆球)や、赤色や橙色等のLED等を備える。外部出力端子151−2は、表示灯151−1が外部から見えないような位置に当該二酸化塩素ガス発生装置CGが配置された場合に、外部から認識できるように配置された例えばブザーや第2表示灯を接続するための一対の端子である。アワーメータ153は、計時を行って積算時間を計るもので、本機稼働時のみ通電するリレー152のA接点152aからスタート信号が入力されて時間の積算が開始され、タイムアップすると、アワーメータ153の接点153aをオンし、表示灯151−1を点灯し、外部出力端子151−2をオン(通電)する。この点灯によってガス源111の寿命が報知される。一方、リセットスイッチによって、アワーメータ153の積算時間がリセットされ、接点153aもオフされ、表示灯151−1が消灯し、外部出力端子151−2がオフ(非通電)される。本実施形態では、ガス源111のクレベリンLEDが紫外線の照射を受けることによって、約300時間で二酸化塩素ガスの放出を終了するので(寿命が尽きるので)、アワーメータ153には設定時間として300時間が設定された。
電源部18は、商用交流電力の供給を受け、当該除菌装置ASにおける電源の必要な各部に必要な電力を供給する回路である。より具体的には、電源部18は、商用交流電力の配線と接続するためのメタルコネクタ181と、ヒータ141の異常高温を感知すると通電を遮断するバイメタル182と、過電流で通電を遮断するヒューズ183と、商用交流電力の通電をオンオフする電源スイッチ(本機の主電源スイッチ)184と、抵抗素子185と、パイロットランプ186と、商用交流電力から電圧24Vの直流電力を生成するパワーサプライ187とを備える。バイメタル182は、その機能から、図2に示すように、ヒータ141の近傍(周辺)に配設される。
メタルコネクタ181は、3個のE端子、U端子およびV端子を備える。メタルコネクタ181のE端子は、アース(接地)線として用いられる。メタルコネクタ181のU端子は、直列に接続されたヒューズ183および電源スイッチ184を介して制御部(本実施形態ではプログラムタイマ)12の入力側に接続される。メタルコネクタ181のV端子は、バイメタル182を介して制御部12の入力側に接続される。制御部12の入力側には、さらに、直列に接続された抵抗素子185およびパイロットランプ186、ならびに、パワーサプライ187が接続される。これによって、電源スイッチ184がオンされると、パワーサプライ187が動作し、パイロットランプ186が点灯し、電源スイッチ184がオフされると、パワーサプライ187の動作が停止し、パイロットランプ186が消灯する。
パワーサプライ187の出力側には、アワーメータ153、ならびに、直列に接続された表示灯151−1およびアワーメータ153の接点153aが、互いに並列に接続される。外部出力端子151−2は、表示灯151−1に並列に接続される。制御部(本実施形態ではプログラムタイマ)12の出力側には、ファン13、第1発光部112−1、第2発光部112−2、直列に接続された温度調整用スイッチ142−1およびヒータ141、温度コントローラ142−2、ならびに、リレー152が、互いに並列に接続される。
(動作設計)
次に、第1実施形態の除菌装置ASに用いられた二酸化塩素ガス発生装置CGの制御におけるオン時間およびオフ時間(本実施形態では点灯時間および消灯時間)の設計について説明する。図4は、ガス発生部の温度と二酸化塩素ガスの濃度との関係を示す図である。図5は、発光部とガス源と間の距離と、二酸化塩素ガスの濃度と、の関係を示す図である。図4および図5の各横軸は、[分]単位で表す時間(経過時間)であり、それらの各縦軸は、[ppb]単位で表す二酸化塩素ガスの濃度である。図6は、発光部とガス源と間の距離と、照明光とガス源との重なり面積と、の関係を説明するための図である。図6Aないし図6Cは、紫外線LEDとクレベリンLEDとの間の距離Xが20[mm]である場合を示し、図6Dないし図6Fは、紫外線LEDとクレベリンLEDとの間の距離Xが25[mm]である場合を示し、そして、図6Gないし図6Iは、紫外線LEDとクレベリンLEDとの間の距離Xが30[mm]である場合を示す。図6A、図6Dおよび図6Gは、紫外線LEDの正面図であり、図6B、図6Eおよび図6Hは、紫外線LEDとクレベリンLEDとの配置状態を示す上面図であり、そして、図6C、図6Fおよび図6Iは、紫外線LEDの照明光(紫外線)とクレベリンLEDとの重なり面積を説明するための図である。図7は、所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を計算する際に用いられた計算モデルを説明するための図である。図8は、初期値0[ppb]の初期状態で二酸化塩素ガスの発生を開始した場合において、図7に示す計算モデルに基づく計算式から求めた、二酸化塩素ガスの濃度の時間変化を示す図である。図9は、初期値40[ppb]の初期状態で二酸化塩素ガスの発生を停止した場合において、図7に示す計算モデルに基づく計算式から求めた、二酸化塩素ガスの濃度の時間変化を示す図である。図10は、初期値30[ppb]の初期状態で二酸化塩素ガスの発生を開始した場合において、図7に示す計算モデルに基づく計算式から求めた、二酸化塩素ガスの濃度の時間変化を示す図である。図8ないし図10の各横軸は、[分]単位で表す時間(経過時間)であり、それらの各縦軸は、[ppb]単位で表す二酸化塩素ガスの濃度である。
前記オン時間および前記オフ時間の設計の前に、まず、第1空間形成体(本実施形態ではエアシャワールーム)21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度の温度依存性について実測した。この実測では、第1および第2発光部112−1、112−2は、それぞれ、φ46[mm]×H57[mm]、消費電力0.7[W]の紫外線LEDであり、ガス源111は、H59.5[mm]×W57[mm]×D24[mm]のクレベリンLEDである。クレベリンLEDの断面(受光面)は、互いに等しい長さの2本の平行線と、前記2本の平行線の両端それぞれに配置され前記両端それぞれに連結される2個の半円形とから成る角丸長方形(陸上競技場のトラック形状、長円形)である。ファン13は、消費電力8[W]で風量0.5m3/分の製番MU825Sである。前記所定の空間内には、ガス送風部23によって前記第3流路を介して循環する0.4m/秒の一様流が通風された。第1および第2発光部112−1、112−2の各発光面とガス源111の各面との間の距離Xは、ここでは30[mm]に設定された。そして、第1に、二酸化塩素ガス発生装置CGにおけるファン13は、第2筐体HSの外部から内部へ気体を吸引する押込方式で動作され、温度コントローラ142−2は、20℃、25℃および30℃それぞれに設定された。第2に、二酸化塩素ガス発生装置CGにおけるファン13は、第2筐体HSの内部から外部へ気体を排気する排気方式で動作され、温度コントローラ142−2は、20℃、25℃および30℃それぞれに設定された。そして、これら各ケースについて、時間経過に従って、前記所定の空間におけるガス濃度が測定された。その結果が図4に示されている。この図4から分かるように、時間経過に従ってガス濃度は、各ケース(α1〜α8)共に、単調に増加するが、排気方式の各ケース(α5〜α8)よりも、押込方式の各ケース(α1〜α4)の方が高濃度になっている(すなわち、単位時間当たりの二酸化塩素ガスの発生量が多い)。押込方式の各ケース(α1〜α4)の中でも、設定温度25℃のケース(α1)で最も高いガス濃度が得られている(すなわち、単位時間当たりの二酸化塩素ガスの発生量が最も多い)。
次に、第1空間形成体(本実施形態ではエアシャワールーム)21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度の前記距離Xの依存性について実測した。上述同様のガス源111、第1および第2発光部112−1、112−2ならびにファン13が用いられ、前記所定の空間内には、0.4m/秒の一様流が通風された。効率よく二酸化塩素ガスを発生できるように、上述から、ファン13は、押込方式で作動され、設定温度は、25℃とされた。そして、前記距離Xは、20[mm]、25[mm]、30[mm]、35[mm]および40[mm]それぞれに設定された。そして、これら各ケースについて、時間経過に従って、前記所定の空間におけるガス濃度が測定された。その結果が図5に示されている。この図5から分かるように、時間経過に従ってガス濃度は、各ケース(β1〜β5)共に、単調に増加するが、前記距離Xが25[mm]であるケース(β1)で最も高いガス濃度が得られている。以下、ガス濃度の高濃度順に、30[mm]のケース(β2)、35[mm]のケース(β3)、40[mm]のケース(β4)そして20[mm]のケース(β5)となっている。これは、図6に示すように、第1および第2発光部112−1、112−2の紫外線LED112における発光面が円形である一方、ガス源111のクレベリンLEDにおける紫外線を受ける面(受光面)が長円形であり、そして、上記各寸法から、20[mm]のケース(β5)は、前記発光面が前記受光面に近すぎて図6Cに示すように、前記受光面全体に紫外線が当たらない。そして、25[mm]のケース(β1)は、図6Fに示すように、紫外線LEDの発光によって形成される紫外線の照射面全体が前記受光面全体に略一致して当たる。一方、30[mm]〜40[mm]の各ケース(β2〜β4)は、前記発光面が前記受光面から離れすぎて例えば図6Iに示すように、前記受光面が前記照射面に包含され、全ての紫外線を受光できない。また、距離Xが離れるほど、単位面積当たりの紫外線の強度も低下する。このような理由により、図5に示す測定結果が得られたものと考えられる。
以上の結果を踏まえ、本実施形態では、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間は、図7に示すようにモデル化された。この図7に示すモデルでは、前記所定の空間内に、気体の流れを発生するためのファンと、前記ファンによって生成された気体の流れに二酸化塩素ガスを乗せる二酸化塩素ガス発生装置とが配置され、外部から前記所定の空間に外気導入量Qo[m3/時]が流入し、前記所定の空間から外部に外部導出量Qe[m3/時]が流出するものとする。導入外気量Qoおよび排気量Qeは、例えば、加圧空気の噴出に起因して、あるいは、入口ドアや出口ドアの開閉に起因して、空間形成体21によって形成される前記所定の空間と外部との間で発生する気体の出入り量を表し、これらは、バランス(平衡)するものとする(Qo=Qe)。このようなモデルに対し、建築における部屋(室)の二酸化炭素の換気の設計に用いられる式を参考に、前記所定の空間のガス濃度C[ppb]を求める計算式(1)が考案された。
ここで、Qs[m3/時]は、空間形成体21によって形成された前記所定の空間(本実施形態ではエアシャワールーム)内の循環空気量である。Qr[m3/時]は、前記所定の空間内のリターン空気量である。γは、機器処理率である。dは、ファンによる二酸化塩素ガス濃度の減衰率である。Ci[ppb]は、二酸化塩素ガスの濃度の初期値である。Co[ppb]は、導入外気量Qoの二酸化塩素ガス濃度である。mは、一般に混合係数と呼ばれ、瞬時一様拡散する場合にm=1である。ρ[g/l]は、二酸化塩素ガスの密度であり、ρ=3.04[g/l]である。V[m3]は、前記所定の空間の容積(体積)である。t[時]は、時間である。M[mg/時]は、二酸化塩素ガス発生量である。そして、発生濃度係数kは、図4および図5に示す実験結果から、クレベリンLED111を用いる場合、ファン13を押込方式で作動させ、前記距離を25[mm]に設定し、そして、前記温度を25[℃]に設定すると、0.65[mg/時]となり、単位時間当たりの二酸化塩素ガスの発生量が最も多くなるので、この場合を「1.0」に設定し、次表1のように設定された。したがって、二酸化塩素ガス発生量M[mg/時]は、発生濃度係数kに0.65[mg/時]を乗算することによって求められる。なお、表1において、To[℃]は、本実施形態では、ヒータ141の前記設定温度である。X[mm]は、発光部112とガス源111との距離である。
この計算式1を用いることによって、前記オン時間(点灯時間)と前記オフ時間(消灯時間)が設計できる。例えば、第1空間形成体21のサイズが幅1.5[m]で奥行きが1.0[m]で高さ2.5[m]とすると、前記所定の空間の容積Vは、3.75[m3]である。このモデルのファンに製番UM−610(3AC)を用いると、Qs=726[m3/時]、Qr=721[m3/時]、γ=0.993、d=0.9となる。混合係数mは、0.2に設定され、Qo=5[m3/時]に設定され、Co=0[ppb]に設定される。このような場合において、目標濃度範囲が例えば30[ppb]〜40[ppb]に設定され、前記所定の空間におけるガス濃度が0[ppb]である初期状態(Ci=0)から前記目標濃度範囲の上限値に到達するまでに要する時間をt=0.5[時](30[分])に設定した場合、前記表1から、例えば、発生濃度係数k=0.9が採用でき、二酸化塩素ガス発生量M[mg/時]は、0.9×0.65=0.585と求められる。発生濃度係数k=0.9の場合は、表1に2通りがあり、設定温度To=30[℃]の場合には、距離X=25[mm]に設定され、設定温度To=25[℃]の場合には、距離X=30[mm]に設定され、これらのうちのいずれかを採用すればよい。これら各値を計算式1に代入すると、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度は、立ち上がりから、時間経過に従って図8に示すように変化する。
前記目標濃度範囲の上限値に到達したので、次に、二酸化塩素ガス発生装置をオフすることによって、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度が前記目標濃度範囲の下限値まで下げられる。このオフ時間(消灯時間)は、Ci=40[ppb]として計算式1によって時間tを求めればよい。この場合、計算式1から、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度は、Ci=40[ppb]の状態から、時間経過に従って図9に示すように変化する。これによって、オフ時間は、t=10[分]と求まる。前記目標濃度範囲の下限値に到達したので、次に、二酸化塩素ガス発生装置をオンすることによって、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度が前記目標濃度範囲の上限値まで上げられる。このオン時間(点灯時間)は、Ci=30[ppb]として計算式1によって時間tを求めればよい。この場合、計算式1から、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度は、Ci=30[ppb]の状態から、時間経過に従って図10に示すように変化する。これによって、オン時間は、t=14[分]と求まる。以下、このオフ時間10[分]とオン時間14[分]とを繰り返すことによって、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度は、30[ppb]〜40[ppb]の間で変動し、目標濃度範囲内となる。
なお、上述では、目標濃度範囲における上限値と下限値との間で変動するように、オン時間とオフ時間とが設定されたが、目標濃度範囲における上限値以下の第1所定値と下限値以下の第2所定値との間で変動するように、オン時間とオフ時間とが設定されても良い。また、上述では、Ci=0[ppb]から目標濃度範囲の上限値40[ppb]までの所要時間は、30[分](0.5[時間])に設定されたが、これより短時間化する場合には、発生濃度係数kが0.9より大きい例えば1.0の場合を採用すれば良く、これに応じて、表1から設定温度Toや距離Xが求められ、計算式1からオン時間とオフ時間とが求められる。あるいは、ガス発生部11が増設されても良い(例えば、ガス源111と発光部112(112−1、112−2)との組を2組(2セット)や3組(3セット)。一方、これより長時間化する場合には、発生濃度係数kが0.9より小さい例えば0.8や0.7や0.6等の場合を採用すれば良く、これに応じて、表1から設定温度Toや距離Xが求められ、計算式1からオン時間とオフ時間とが求められる。
(動作および実測結果)
次に、第1実施形態の除菌装置ASおよび二酸化塩素ガス発生装置CGの動作およびその実測結果について説明する。図11は、図8ないし図10に示す二酸化塩素ガスの濃度の各時間変化に基づいて設定したオン時間とオフ時間で、図1に示す除菌装置の二酸化塩素ガス発生装置を制御した場合における、エアシャワールーム内における二酸化塩素ガスの濃度の実測結果を示す図である。図11の横軸は、[分]単位で表す時間(経過時間)であり、その縦軸は、[ppb]単位で表す二酸化塩素ガスの濃度である。
まず、上述の設計に基づき、例えば、ヒータ141の温度を25[℃]に制御するべく、温度コントローラ142−2が25[℃]に設定され、第1および第2発光部(ここでは紫外線LED)112−1、112−2の各発光面とガス源(ここではクレベリンLED)111の各面との間の距離Xは、30[mm]に設定された。ファン13は、押込方式で作動するように設定された。目標濃度範囲は、上述と同様に30[ppb]〜40[ppb]であり、このため、制御部(ここではプログラムタイマー)12には、立ち上がりのオン時間に30[分]が設定され、次に10[分]のオフ時間と14[分]のオン時間とを繰り返すように設定された。
このように設定された後に、二酸化塩素ガス発生装置CGの電源スイッチが184がオンされ、除菌装置ASにおける図略の電源スイッチがオンされる。二酸化塩素ガス発生装置CGの電源スイッチが184がオンされると、制御部12によって、ファン13が作動すると共に第1および第2発光部112−1、112−2が作動し、紫外線がガス源111に照射され、二酸化塩素ガスが発生する。除菌装置ASにおける図略の電源スイッチがオンされると、ガス送風部23が作動し、その第1循環ファン231の作動によって、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間からグレーティング板の床213を介して気体が取り込まれ、第1加圧空気送出部22−1の外側を回って、二酸化塩素ガス発生装置CGを介してガス送風部23から、前記所定の空間へ、二酸化塩素ガスを含む空気が送出されて、前記所定の空間に供給される。立ち上げの所要時間の30分が経過すると、制御部12によって、ファン13が停止すると共に第1および第2発光部112−1、112−2が停止し、二酸化塩素ガスの発生が停止する。オフ時間の10分が経過すると、制御部12によって、ファン13が作動すると共に第1および第2発光部112−1、112−2が作動し、二酸化塩素ガスが発生する。オン時間の14分が経過すると、制御部12によって、ファン13が停止すると共に第1および第2発光部112−1、112−2が停止し、二酸化塩素ガスの発生が停止する。オフ時間の10分経過すると、制御部12によって、ファン13が作動すると共に第1および第2発光部112−1、112−2が作動し、二酸化塩素ガスが発生する。以下、同様に、オン時間の動作とオフ時間の動作が繰り返される。この場合において、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度の実測結果が図11に示されている。図11から分かるように、上述のようにオン時間とオフ時間とを繰り返すことで、第1空間形成体21によって形成される前記所定の空間におけるガス濃度は、30[ppb]〜40[ppb]であり、前記目標濃度範囲内となっている。
また、第1実施形態における除菌装置ASの除菌効果について実測した。前記実測では、二酸化塩素ガス発生装置CGおよびガス送風部23それぞれを作動させ、二酸化塩素ガス発生装置CGをガス濃度が30[ppb]、50[ppb]および150[ppb]それぞれとなるように制御し、12時間経過前後それぞれについて、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間における浮遊菌、および、その清浄度を測定した。その結果が表2の上段に示されている。そして、第1実施形態における除菌装置ASから第1ないし第3フィルタ部223−1、223−2、232を除いた場合についても同様に測定した。その結果が表2の下段に示されている。なお、表2において、「事前雰囲気」の行は、二酸化塩素ガス発生装置CGおよびガス送風部23それぞれを作動させる前の状態における測定結果を示し、「一夜後AS内」の行は、二酸化塩素ガス発生装置CGおよびガス送風部23それぞれを作動させ、12時間経過後の状態における実測結果を示す。表2から分かるように、各ケース全てにおいて、浮遊菌は、12時間経過後に減少し、第1実施形態における除菌装置ASでは、菌が検出できなかった。したがって、循環一様流中において、各ガス濃度の二酸化塩素ガスに除菌効果が認められる。また、表2から分かるように、第1ないし第3フィルタ部223−1、223−2、232が無い場合でも充分に除菌効果が認められる。
一方、このように二酸化塩素ガス発生装置CGが動作している際に、前記入口ドアが開閉されると、第1および第2加圧空気送出部22−1、22−2が作動し、加圧空気が前記所定の空間に予め設定された所定の時間(例えば15秒や30秒等)噴出される。この場合において、前記加圧空気には、二酸化塩素ガスが含まれるので、エアシャワー中に除塵だけでなく除菌もでき、さらに、第1および第2フィルタ部223−1、223−2で回収された菌をこの二酸化塩素ガスで除菌でき、第1および第2フィルタ部223−1、223−2における菌回収能力の低下を抑制できる。第3フィルタ部232も同様に、二酸化塩素ガスで除菌でき、第3フィルタ部232における菌回収能力の低下を抑制できる。
以上説明したように、本実施形態における除菌装置ASおよび二酸化塩素ガス発生装置CGは、制御部12を備え、ガス発生部11のオン時間(点灯時間)とオフ時間(消灯時間)とを制御することによって、第1空間形成体21によって形成された前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を制御できる。
また、上記除菌装置ASおよび二酸化塩素ガス発生装置CGは、ガス発生部11の温度をさらに調整するので、より効果的に、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を制御できる。特に、二酸化塩素ガスを効率的に発生する温度に、ガス発生部11の温度を調整することによって、二酸化塩素ガスの濃度が初期値(0を含む)である初期状態(制御部12によるガス発生部11の制御開始)から、二酸化塩素ガスの濃度が所定値となる目標状態までの所要時間を短くできる。
また、上記除菌装置ASおよび二酸化塩素ガス発生装置CGは、発光部112とガス源111との距離Xをさらに調整するので、より効果的に、前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を制御できる。特に、二酸化塩素ガスを効率的に発生する距離に、発光部112とガス源111との距離Xを設定することによって、前記初期状態から前記目標状態までの所要時間を短くできる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
第1実施形態の除菌装置ASにおける第1空間形成体21は、エアシャワー装置における、エアシャワーを実施するエアシャワールーム(区画室)であるが、これに限定されるものではなく、他の装置であっても良い。第2実施形態では、前記所定の空間を形成する空間形成体は、ロッカーにおける物品を収容する収容庫である。
図12は、第2実施形態における除菌装置の構成を示す図である。より具体的には、図12において、第2実施形態における除菌装置CRは、第2空間形成体31と、二酸化塩素ガス発生装置CGと、第2循環ファン32と、第4フィルタ部33と、気流整流部34と、これら第2空間形成体31、二酸化塩素ガス発生装置CG、第2循環ファン32、第4フィルタ部33および気流整流部34を収容する第4筐体35とを備える。第2実施形態の除菌装置CRにおける二酸化塩素ガス発生装置CG、第2循環ファン32、第4フィルタ部33および気流整流部34は、それぞれ、第1実施形態の除菌装置ASにおける二酸化塩素ガス発生装置CG、第1循環ファン231、第3フィルタ部232および気流整流部233と同様であるので、その説明を省略する。なお、気流整流部34は、省略されて良い。
第2空間形成体31は、第1空間形成体21と同様に、所定の空間を形成する部材であり、本実施形態では、ロッカーにおける物品を収容する収容庫である。より具体的には、第2空間形成体31は、図略の開閉可能な扉を持つ直方体形状の箱体である。第2空間形成体31内には、一方側壁から他方側壁との間に、例えばハンガー等に掛けられた例えば無塵衣等の衣類を吊すことができるように、棒状のロッド312が掛け渡されている。第2空間形成体31の天井には、気流整流部34を取り付けるための開口(気流整流部取付開口)が形成され、前記一方側壁の下部には、前記所定の空間内の気体を後述の第4流路へ吸引(導出)するための複数の開口(複数の第3吸引開口)311が形成される。
第4筐体35は、複数の第3吸引開口311から第2空間形成体31の前記一方側壁の外側を介して気流整流部34に至る、気体を流通させる第4流路を形成するように、かつ、前記図略の扉が外部に臨むように、これら第2空間形成体31、二酸化塩素ガス発生装置CG、第2循環ファン32、第4フィルタ部33および気流整流部34を収容する。本実施形態では、第2空間形成体31の前記一方側壁に対向する前記他方側壁、その奥壁およびその床は、それぞれ、第4筐体35の他方側壁、奥壁および床と兼用されている。気流整流部34は、前記気流整流部取付開口に取り付けられ、固定される。これら二酸化塩素ガス発生装置CG、第2循環ファン32および第4フィルタ部33は、この順で第3吸引開口311から気流整流部34に向かって順次に配置される。したがって、第4フィルタ部33は、循環ファン32と気流整流部34を介して前記所定の空間との間に配置される。
このような構成の除菌装置CRでは、二酸化塩素ガス発生装置CGおよび第2循環ファン32それぞれの作動によって、前記所定の空間から複数の第3吸引開口311を介して気体が取り込まれ、第2空間形成体31における前記一方側壁の外側を回って、二酸化塩素ガス発生装置CG、第2循環ファン32および第4フィルタ部33を介して気流整流部34から、前記所定の空間へ、二酸化塩素ガスを含む空気が送出されて、前記所定の空間に供給される。このため、第2空間形成体31に収納された物品、例えば、ロッド312に吊された無塵衣や床面上に載置された物品等が二酸化塩素ガスによって除菌される。そして、第4フィルタ部33で回収された菌をこの二酸化塩素ガスで除菌でき、第4フィルタ部33における菌回収能力の低下を抑制できる。さらに、二酸化塩素ガス発生装置CGは、上述のように設計されるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏し、第2空間形成体31によって形成された前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を制御できる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態における除菌装置の構成を示す図である。第3実施形態では、前記所定の空間を形成する空間形成体は、建物の部屋である。より具体的には、図13において、第3実施形態における除菌装置HRは、第3空間形成体41と、二酸化塩素ガス発生装置CGと、第3循環ファン42と、第5フィルタ部43とを備える。第3実施形態の除菌装置HRにおける二酸化塩素ガス発生装置CG、第3循環ファン42および第5フィルタ部43は、それぞれ、第1実施形態の除菌装置ASにおける二酸化塩素ガス発生装置CG、第1循環ファン231および第3フィルタ部232と同様であるので、その説明を省略する。
第3空間形成体41は、第1空間形成体21と同様に、所定の空間を形成する部材であり、本実施形態では、建物の部屋(室)である。これら第3循環ファン42、二酸化塩素ガス発生装置CGおよび第5フィルタ部43は、この順で重ねられ、第3空間形成体41内に配設される。したがって、第5フィルタ部43は、第3循環ファン42と二酸化塩素ガス発生装置CGを介して前記所定の空間との間に配置される。
このような構成の除菌装置HRでは、二酸化塩素ガス発生装置CGおよび第3循環ファン42それぞれの作動によって、第3空間形成体41によって形成された前記所定の空間に風を生じさせ、二酸化塩素ガス発生装置CGで生成された二酸化塩素ガスを前記風に乗せて第5フィルタ部43を介して前記所定の空間に供給する。このため、第3空間形成体41内の人や物品等が二酸化塩素ガスによって除菌され、建物内に除菌空間を構築できる。そして、第5フィルタ部43で回収された菌をこの二酸化塩素ガスで除菌でき、第5フィルタ部43における菌回収能力の低下を抑制できる。さらに、二酸化塩素ガス発生装置CGは、上述のように設計されるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏し、第3空間形成体41によって形成された前記所定の空間における二酸化塩素ガスの濃度を制御できる。
なお、これら第1ないし第3実施形態において、第1ないし第3フィルタ部223−1、223−2、233、第4フィルタ部33、第5フィルタ部43は、省略されても良い。
また、これら第1ないし第3実施形態で用いられた二酸化塩素ガス発生装置CGにおける紫外線LEDは、交流電力を給電できるように、交流を直流に整流する整流回路を内蔵する装置であるが、このような整流回路を内蔵しない紫外線LEDが用いられても良い。
図14は、図1に示す除菌装置に用いられる二酸化塩素ガス発生装置の電気的な他の構成を示す図である。この整流回路の非内蔵な紫外線LEDを用いた二酸化塩素ガス発生装置CGaは、より具体的には、例えば、図14に示すように、ガス発生部11a(111、112D−1、112D−2)と、制御部12と、ファン13と、温度調整部14(141、142−1、142−2)と、稼働時間積算部15(151−1、151−2、152、152a、153、153a)と、第1および第2除塵フィルタ16、17と、電源部18(181〜187)と、第1および第2AC−DCコンバータ19−1、19−2と、これらガス発生部11a、制御部12、ファン13、温度調整部14、稼働時間積算部15、第1および第2除塵フィルタ16、17、電源部18、ならびに、第1および第2AC−DCコンバータ19−1、19−2を収容する箱形直方体形状の第2筐体(ハウジング)HSとを備える。なお、図14は、電気的な構成を示すため、ガス源111、第1除塵フィルタ16および第2除塵フィルタ17は、その図示が省略されている。この図14に示す二酸化塩素ガス発生装置CGaにおける制御部12、ファン13、温度調整部14(141、142−1、142−2)、稼働時間積算部15(151−1、151−2、152、152a、153、153a)、第1および第2除塵フィルタ16、17、ならびに、電源部18(181〜187)は、それぞれ、その電気的な接続態様を含め、図2および図3に示す二酸化塩素ガス発生装置CGにおける制御部12、ファン13、温度調整部14(141、142−1、142−2)、稼働時間積算部15(151−1、151−2、152、152a、153、153a)、第1および第2除塵フィルタ16、17、ならびに、電源部18(181〜187)と同様であるので、その説明を省略する。
第1および第2AC−DCコンバータ19−1、19−2は、それぞれ、交流電力を直流電力に変換する定電流電源である。ガス発生部11aは、ガス発生部11における第1および第2発光部112−1、112−2としての第1および第2紫外線LED112−1、112−2に代え、第1および第2紫外線LED112D−1、112D−2を用いる点を除き、ガス発生部11と同様であるので、その説明を省略する。第1および第2紫外線LED112D−1、112D−2は、それぞれ、整流回路を内蔵していない点を除き、第1および第2紫外線LED112−1、112−2と同様であるので、その説明を省略する。
第1AC−DCコンバータ19−1は、その入力端子で制御部12(本実施形態ではプログラムタイマー12)に接続され、第1AC−DCコンバータ19−1には、制御部12を介して交流電力が供給される。第1AC−DCコンバータ19−1は、その出力端子で第1紫外線LED112D−1に接続され、前記供給された交流電力を、予め設定された所定の電流値である定電流の直流電力に変換し、この変換した定電流の直流電力を、その出力端子から第1紫外線LED112D−1に供給する。第1紫外線LED112D−1は、第1AC−DCコンバータ19−1から定電流の直流電力の供給を受けると、例えば波長350nmの紫外線を発光する。同様に、第2AC−DCコンバータ19−2は、その入力端子で制御部12(本実施形態ではプログラムタイマー12)に接続され、第2AC−DCコンバータ19−2には、制御部12を介して交流電力が供給される。第2AC−DCコンバータ19−2は、その出力端子で第2紫外線LED112D−2に接続され、前記供給された交流電力を、予め設定された所定の電流値である定電流の直流電力に変換し、この変換した定電流の直流電力を、その出力端子から第2紫外線LED112D−2に供給する。第2紫外線LED112D−2は、第2AC−DCコンバータ19−2から定電流の直流電力の供給を受けると、例えば波長350nmの紫外線を発光する。第1紫外線LED112D−1は、その発光した紫外線をガス源111の一方面へ照射し、第2紫外線LED112D−2は、その発光した紫外線をガス源111の他方面へ照射する。ガス源111は、これら各紫外線の照射を受けることで、二酸化塩素ガスを生成する。
なお、図14に示す例では、第1および第2紫外線LED112D−1、112D−2それぞれに、個別に、第1および第2AC−DCコンバータ19−1、19−2それぞれが設けられたが、前記第1AC−DCコンバータ19−1(または前記第2AC−DCコンバータ19−2)に比し2倍の定電流容量を持つ1個のAC−DCコンバータ19が共用され、この1個のAC−DCコンバータ19が、第1および第2紫外線LED112D−1、112D−2それぞれへ給電しても良い。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。