JP2023053930A - 冷凍デザート食品 - Google Patents

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Chie Kawasaki
淳也 荒木
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Abstract

【課題】電子レンジ加熱により、温かいソースと冷たいデザートを同時に得ることができる、新感覚の冷凍デザート食品の提供。【解決手段】電子レンジ加熱により解凍して冷たいデザートとなる冷凍生地部11と、温かいソースとなる冷凍ソース部12と、が積層された冷凍デザート食品1であって、冷凍ソース部12は、電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態に配置されている、冷凍デザート食品1。【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍デザート食品に関する。
最近の食品の加熱において、家庭用、業務用ともに電子レンジによる加熱が広く使われている。電子レンジによる加熱は、マイクロ波の照射による。電子レンジにより加熱されやすいか否かは、加熱対象の誘電物性(誘電率、誘電損率)に依る。加熱対象毎に誘電物性が異なるため、加熱のされやすさに違いが生じる。特に、水は氷よりも10倍程度、誘電特性が高く、氷よりも水の方が早く加熱されることが知られている。
冷凍食品を解凍する場合、加熱前の凍結状態に含まれる氷と、解凍後に生じる水が共存する。つまり、誘電特性が異なる氷と水が共存することから加熱されやすさに差が生じ、結果として解凍ムラが生じやすくなる。
冷凍食品分野において、ケーキやムース等のデザートをそのまま冷凍した冷凍デザート食品が普及している。冷凍デザート食品は、電子レンジを用いて解凍すると上記のような理由により、解凍ムラが生じやすい。このため美味しく食べるために冷蔵庫内や常温での自然解凍が推奨される。
一方で、電子レンジによる加熱を前提とする冷凍デザートが提案されている。
例えば特許文献1は、デザート生地とそれに添えるソースを、実質的に重ならない態様で、電子レンジ内の同一平面上に配置することにより、一度の電子レンジ加熱操作で、デザート生地においては温かく、ソースにおいては冷製感が味わえる温度に容易に解凍・加熱することが可能な冷凍デザート食品を開示している。
特許第4130918号公報
デザート業界においては、新感覚のデザートの提案が求められる。
例えばケーキなどの焼成生地と、フルーツソースやクリームなどのソースを組み合わせて、美観も楽しめるデザートが多く提供されている。しかし、その際の焼成生地とソース類の組み合わせについては、訓練されたパティシエなどが行う場合が多く、複雑な作業や高度な技術が求められており、簡単に提供することは困難であった。
本発明は、一度の電子レンジ加熱により、適度に温められたソース類が冷たいデザートの下に広がる、新感覚の冷凍デザート食品を、容易に提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の[1]~[12]を包含する。
[1]電子レンジ加熱により解凍して冷たいデザートとなる冷凍生地部と、温かいソースとなる冷凍ソース部と、が積層された冷凍デザート食品であって、前記冷凍ソース部は、電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態に配置されている、冷凍デザート食品。
[2]前記冷凍ソース部が異なる2種以上のソースから構成される、[1]に記載の冷凍デザート食品。
[3]前記冷凍ソース部は比重が異なる2種以上のソースから構成される、[1]又は[2]に記載の冷凍デザート食品。
[4]前記冷凍ソース部は、第1の冷凍ソース部と、第1の冷凍ソース部よりも比重が小さい第2の冷凍ソース部とを有し、前記第2の冷凍ソース部は、前記第1の冷凍ソース部の外周に存在する、[2]に記載の冷凍デザート食品。
[5]前記冷凍ソース部は、1種又は2種以上のソースから構成され、冷凍具材を備える、[1]~[4]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[6]前記冷凍ソース部の形状は円柱であり、前記冷凍生地部の形状は円柱又は逆円錐台である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[7]前記冷凍ソース部が、解凍後に流動性を有するソースである、[1]~[6]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[8]前記冷凍生地部は、焼成生地食品の冷凍品及び冷凍ゲル食品のいずれか一方又は両方である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[9]前記冷凍生地部と、前記冷凍ソース部の間にさらに第2の冷凍生地部を備える、[1]~[8]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[10]前記第2の冷凍生地部は、メレンゲクッキー、チョコレート、クッキー、クランブル、スポンジケーキからなる群より選択される1種以上である、[9]に記載の冷凍デザート食品。
[11]前記冷凍生地部が前記冷凍ソース部と接する面とは反対の面に、さらに冷凍ソース部Aを備える、[1]~[10]のいずれか1つに記載の冷凍デザート食品。
[12]前記冷凍ソース部と、前記冷凍ソース部Aのいずれか一方又は両方が、異なる2種以上のソースから構成される、[11]に記載の冷凍デザート食品。
本発明によれば、一度の電子レンジ加熱により、適度に温められたソース類が冷たいデザートの下に広がる、新感覚の冷凍デザート食品を、容易に提供することができる。
本実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 本実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 本実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 本実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 解凍前の比較例1の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の比較例1の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例1の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の実施例1の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の比較例2の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の比較例2の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例2の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の実施例2の冷凍デザート食品の写真図である。 高台を設けて電子レンジ解凍した例の写真図である。 解凍前の比較例3の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の比較例3の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例11の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の実施例11の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例27の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例27の冷凍デザート食品を、冷凍ソース部が皿に接触する態様で皿に載置した際の写真図である。 解凍後の実施例27の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例28の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の実施例28の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍前の実施例31の冷凍デザート食品の写真図である。 解凍後の実施例31の冷凍デザート食品の写真図である。 第3実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 第3実施形態の冷凍デザート食品を解凍した後の全体模式図である。 2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造の例を示す模式図である。 2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造の例を示す模式図である。 2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造の例を示す模式図である。 2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造の例を示す模式図である。 第4実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 第4実施形態の冷凍デザート食品の模式図である。 実施例32で製造した冷凍デザートの断面の模式図である。 実施例32で製造した冷凍デザートの外観写真図である。 電子レンジで解凍後の冷凍デザート330の外観写真図である。 実施例33の冷凍デザートの外観写真図である。 実施例33の冷凍デザートを、電子レンジ加熱した後の外観写真図である。
本実施形態は、冷凍生地部と冷凍ソース部と、が積層された冷凍デザート食品である。
冷凍生地部は、解凍後にも焼成生地やゲルとして固体であり、電子レンジ加熱により解凍して冷たいデザートの主体となる。
本明細書において「冷たいデザート」とは、冷たさを味わえる、冷たいと感じる温度のデザートを意味し、0℃を超え50℃以下、好ましくは10℃以上40℃以下の温度であるデザートを意味する。
生地部の温度は、生地部の中心部分で縦に分割し、生地部の上部、中心部、底面部、側面部(側面の中央部)の各部位について、サーモカメラを用いて表面温度を測定し、最も高い温度を生地部の温度とする。
冷凍ソース部は、電子レンジ加熱により流動性を有する液体、またはゾル状の温かいソースとなる。
本明細書において、「温かいソース」とは、温度が30℃以上80℃以下、好ましくは40℃以上60℃以下である流動状態のソースを意味する。温かいソースの温度が上記の範囲であると、香り立ちが鮮明なソースとなりやすい。
ソースの温度は、サーモカメラを用いてソース表面を数か所測定し、最も高い温度をソース温度とする。
<第1実施形態>
図1に第1実施形態の冷凍デザート食品1の一例の模式図を示す。
冷凍デザート食品1は、冷凍生地部11と、冷凍ソース部12とを備える。冷凍生地部11は、冷凍ソース部12の上に積層されている。
≪冷凍生地部≫
冷凍生地部11は、逆円錐台形状である。
逆円錐台とは、円錐台の上下を逆さにした立体図形である。円錐台とは、円錐を底面に平行な面で切り、小円錐の部分を除いた立体図形である。
冷凍生地部は図1に示す形状に限定されない。冷凍生地部は、円柱形状、直方体形状や立方形状を含む多角形柱形状に限られず、ひし形、星形、ハート形、うさぎや猫等の動物形、ツリーや花等の植物形等、自由な形状をとることができる。
冷凍生地部11の上底面の直径R11は、適宜設計変更が可能である。直径R11の例は、4cm以上10cm以下であり、5cm以上8cm以下である。
冷凍生地部11の下底面の直径R12は、上底面の直径R11から-3cm以上-0.5cm以下の範囲とすることが好ましい。
冷凍生地部11の高さH11は、適宜設計変更が可能である。H11の例は、2cm以上5cm以下、2.5cm以上4cm以下である。
冷凍生地部11は、穀物粉を含有する生地を焼成して得られる焼成生地食品の冷凍品である。穀物粉としては、例えば小麦粉、大麦粉、えん麦粉、ライ麦粉、米粉、コーン粉等が挙げられる。
焼成生地食品としては、スポンジケーキ、フォンダンショコラ、チョコテリーヌ、チーズケーキ、クレープ、ワッフル、スフレ、パン、パイ、カヌレ、シュークリーム、パンケーキ、どら焼きの皮、饅頭の皮、カステラ等が挙げられる。
また、冷凍生地部は冷凍ゲル食品であってもよい。冷凍ゲル食品としては、冷凍ゼリー、冷凍ムース、冷凍プリン、冷凍水ようかんが挙げられる。
冷凍生地部11は、焼成生地食品や冷凍ゲル食品の単体からなってもよく、焼成生地食品と冷凍ゲル食品との複合体や、焼成生地食品や冷凍ゲル食品と他の成分との複合体であってもよい。
冷凍生地部11は、例えば焼成生地食品と生クリームとの積層体であってもよく焼成生地食品と生クリームとジャムの積層体であってもよい。また、焼成生地食品の側面に生クリームが塗布されていてもよい。
冷凍生地部11は、例えば冷凍ゲル食品と生クリームとの積層体であってもよく冷凍ゲル食品と生クリームとジャムの積層体であってもよい。また、冷凍ゲル食品の側面に生クリームが塗布されていてもよい。
冷凍生地部11は、例えば焼成生地食品と冷凍ゲル食品と生クリームとの積層体であってもよく焼成生地食品と冷凍ゲル食品と生クリームとジャムの積層体であってもよい。また、焼成生地食品と冷凍ゲル食品のいずれか一方又は両方の側面に生クリームが塗布されていてもよい。
≪冷凍ソース部≫
冷凍ソース部12は、円柱形状である。冷凍ソース部12の大きさは、冷凍生地部の大きさやデザートの種類により適宜設計変更が可能である。例えばグラム換算で、冷凍生地部:冷凍ソース部が4:1~2:1となる割合に調整することが好ましい。
冷凍ソース部の形状は限定されない。冷凍ソース部は、円柱形状、直方体形状や立方形状を含む多角形柱形状に限られず、ひし形、星形、ハート形、うさぎや猫等の動物形、ツリーや花等の植物形等、自由な形状をとることができる。
冷凍ソース部と冷凍生地部の形状は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
製造効率を向上させる観点から、冷凍ソース部と冷凍生地部の形状を同じ形状にしてもよく、冷凍デザートの美観を向上させる観点から、異なる形状同士を組み合わせてもよい。
冷凍ソース部12の大きさの一例は、直径R13が4cm以上12cm以下、4.5cm以上10cm以下であり、高さH12が0.5cm以上2.0cm以下、0.6cm以上1.5cm以下である。
冷凍ソース部12は、フルーツソース、アングレーズソース、抹茶ソース、キャラメルソース、クリームソース、カスタードソース、チョコレートソース、アップルシナモンソース、ラムレーズンソース、コーヒーソース、さくらソース、黒蜜ソース、メープルシロップの冷凍品が挙げられる。
冷凍ソース部12は、冷凍前のソースのBrixが10以上40以下であることが好ましい。
冷凍ソース部12は、電子レンジの庫内の載置面と接触が可能に配置されている。より具体的には、冷凍ソース部12が冷凍生地部11と接する面と反対側の面12aが、電子レンジの庫内の載置面と接触する面である。
電子レンジ加熱において、加熱対象物を均一に加熱するためにマイクロ波を対象物に均一に照射する工夫がされている。具体的には、加熱対象物を載置するテーブル部を回転させる、マイクロ波を回転して照射する等が挙げられる。しかしながら、このような工夫にもかかわらず、冷凍食品の解凍においては、解凍ムラが発生しやすいことが知られている。
そこで、冷凍食品が電子レンジでどのように解凍されるかについて本発明者が検証したところ、マイクロ波を均一に照射しているにもかかわらず、加熱対象物の底部から解凍が進むことが見いだされた。本発明者はこの点に着目し、本発明を完成させた。
本発明においては、冷凍生地部が、冷凍ソース部の上に積層されているため、電子レンジで加熱する際には冷凍ソース部が電子レンジの庫内の載置面と直接、又は皿などの伝導伝熱性を有する媒体を介して接触する。載置面は通常常温程度であり凍結されている冷凍ソース部よりも温かい。このため、載置面から冷凍ソース部への伝導伝熱により、冷凍ソース部に含まれる水分の一部が、氷の状態から水の状態へと変化する。
水は氷よりも10倍程度誘電特性が高いため、電子レンジによる冷凍ソース部の加熱が速く進み、先に冷凍ソース部が解凍する。
その結果として、解凍したソース部が先に温められ、ソース部から揮発性が高いフレーバーを放出することも可能になる。
このような作用は、冷凍ソース部の形状や冷凍生地部の形状に依らず発揮される。
一方、冷凍生地部には載置面からの伝導伝熱が届きにくいため、冷凍生地部に含まれる水は氷の状態が維持される。氷は誘電特性が低いため、冷凍生地部の加熱は冷凍ソース部よりも遅くなり、その結果、比較的長く冷たい状態が維持される。
上述の作用により本発明によれば、一度の電子レンジ加熱により、風味、特に香り立ちが良く、温かいソースが底部に広がり、その上に冷たいままの状態の生地部を有するデザート食品を提供することができる。
なお、電子レンジの底面は、マイクロ波の加熱によっては加熱されないように設計されており、庫内の載置面は、室温を維持し、マイクロ波によって部分的に加熱されることは生じ得ない。
冷凍ソース部12の面12aは、電子レンジの庫内の載置面と直接接触していてもよく、冷凍ソース部12と載置面との間に、伝導伝熱性を有する媒体を介して接触していてもよい。このような媒体としては、紙皿、磁器皿、陶器皿、ガラス皿等が挙げられる。
冷凍ソース部12の面12aは、電子レンジの庫内の載置面と直接平面接触していることが好ましく、冷凍ソース部12と載置面との間に、伝導伝熱性を有する媒体を介して平面接触していることが好ましい。
<第1実施形態の変形例>
冷凍デザート食品1は、冷凍生地部11と冷凍ソース部12との間に第2の冷凍生地部を備えていてもよい。第2の冷凍生地部としては、メレンゲクッキー、チョコレート、クッキー、クランブル、スポンジケーキからなる群より選択される1種以上が挙げられる。
冷凍デザート食品の種類によっては、先に解凍した冷凍ソース部12の水分が遅れて解凍された冷凍生地部11に移り、生地部がべちゃべちゃした食感となる場合がある。一方、第2の冷凍生地部を備えると、冷凍ソース部12から冷凍生地部11へ水分が移動しにくくなり、冷たいデザートの食感を調整しやすくなる。
また、第2の冷凍生地部の伝導伝熱性が低い場合には、上に設置した冷凍生地部の昇温と解凍をより遅らせることも可能である。
<第2実施形態>
図2に第2実施形態の冷凍デザート食品2の模式図を示す。
冷凍デザート食品2は、冷凍生地部21と、冷凍ソース部22とを備える。冷凍生地部21は、冷凍ソース部22の上に積層されている。
冷凍デザート食品2は、冷凍ソース部22の面22aが電子レンジの庫内の載置面と接触する面である。
冷凍デザート食品2において、冷凍生地部21及び冷凍ソース部22は円柱形状である。
冷凍デザート食品2において、冷凍生地部の直径R21と、冷凍ソース部の直径R22は同寸である。
R21、R22の例は、4cm以上10cm以下であり、5cm以上8cm以下である。
冷凍生地部21の高さH21は、適宜設計変更が可能である。H21の例は、2cm以上5cm以下、2.5cm以上4cm以下である。
冷凍ソース部22の高さH22は、適宜設計変更が可能である。H22の例は、0.5cm以上2.0cm以下、0.6cm以上1.5cm以下である。
<第2実施形態の変形例1>
図3に第2実施形態の変形例を記載する。
冷凍デザート食品3は、冷凍生地部31と冷凍ソース部32とを備える。冷凍生地部31は、冷凍ソース部32の上に積層されている。
冷凍デザート食品3は、冷凍ソース部32の面32aが電子レンジの庫内の載置面と接触する面である。
冷凍デザート食品3において、冷凍生地部31及び冷凍ソース部32は円柱形状である。
冷凍生地部31の直径R31の例は、4cm以上10cm以下であり、5cm以上8cm以下である。
冷凍ソース部32の直径R32は、R31から+0.5cm以上+2cm以下の範囲とすることが好ましい。
冷凍生地部31の高さH31は、適宜設計変更が可能である。H31の例は、2cm以上5cm以下、2.5cm以上4cm以下である。
冷凍ソース部32の高さH32は、適宜設計変更が可能である。H32の例は、0.5cm以上2.0cm以下、0.6cm以上1.5cm以下である。
<第2実施形態の変形例2>
冷凍デザート食品2及び冷凍デザート食品3は、冷凍生地部と冷凍ソース部との間に第2の冷生地部を備えていてもよい。第2の冷凍生地部としては、メレンゲクッキー、チョコレート、クッキー、クランブル、スポンジケーキ等が挙げられる。
<第2実施形態の変形例3>
図2~3に示す冷凍デザート食品2及び3は、冷凍生地部及び冷凍ソース部がそれぞれ円柱形状であるが、この形状は適宜設計変更が可能である。
例えば、冷凍生地部及び冷凍ソース部はそれぞれ円柱、立方体、直方体、角柱またはこれらの組み合わせであってもよい。
<第2実施形態の変形例4>
図4に冷凍デザート食品4を示す。冷凍デザート食品4は、冷凍生地部41と冷凍ソース部42と第2の冷凍生地部43とを備える。
冷凍生地部41は、ホイップクリーム部41a、ジャム部41b、ムース部41c、スポンジケーキ部41d、を備える。
第2の冷凍生地部43は、ホワイトチョコレートである。
冷凍デザート食品4のように、冷凍生地部が焼成生地食品と冷凍ゲル食品と生クリームとの複合体であると、複数の味と食感を楽しむことができる。
本実施形態の冷凍デザート食品で使用する包装容器はその内容物を容易に取り出すことができれば、特に限定されない。例えば、プラスチックカップ、紙製カップ、ガラスカップなどが用いることができる。とくに、容器から容易に冷凍デザート商品を取り出せるものが望ましく、蛇腹カップなどに収容して提供することが好ましい。蛇腹カップは、広げる前はカップとして、広げると蛇腹状の皿に変形するカップである。
<第3実施形態>
図25に示す冷凍デザート5は、冷凍生地部50と、冷凍ソース部51とを備える。
冷凍生地部50についての説明は、第1実施形態における冷凍生地部の説明と同様である。
冷凍ソース部51は、2種以上のソースを有していてもよい。
本発明の一態様において2種以上のソースとは、味、色彩又は材質が異なるソースである。
本発明の一態様において2種以上のソースとは、比重が異なるソースである。
図26の全体図6は、図25に示す冷凍デザート5を電子レンジで加熱した後の全体図である。全体図6は、皿61、生地部62及びソース部63を備える。皿61の上に、ソース部63と生地部62がこの順で積層されている。
図25に示す冷凍デザート5を電子レンジ加熱すると、冷凍ソース部51が先に解凍し、ソース部63となる。冷凍生地部50は冷たい状態が維持された生地部62となる。
図25に示す冷凍デザート5を電子レンジ加熱すると、適度に温められたソース部63が冷たい生地部の下に広がるデザートが得られる。冷凍ソース部51が2種以上のソースを有することで、意匠性に優れたソース部63を皿の上に形成でき、かつおいしいデザートを得ることができる。
2種以上のソースの組み合わせは、フルーツソース、クリームソース、カスタードソース、チョコレートソース、アップルシナモンソース、ラムレーズンソース、コーヒーソース、さくらソース、抹茶ソース、黒蜜ソース、キャラメルソース、メープルシロップからなる群より選択される2種以上の組み合わせが挙げられる。
フルーツソースとしては、ストロベリーソース、ブルーベリーソース、マンゴーソース、キウイソース、ラズベリーソース、オレンジソース、メロンソース等が挙げられる。
クリームソースとしては、生クリーム、アングレーズソースが挙げられる。
本実施形態において、2種以上のソースは目的とする味やデザートの意匠によって適宜選択できる。2種以上のソースの比重、密度、粘度などの特性を異なったものを使用することによって、それぞれの解凍特性、解凍後の流動性などによりソースの模様などを変えることができる。
本実施形態において「比重の異なるソース」とは、容積に対する重量の割合を測定した比重の差が0.1以上のソースを意味する。
比重とは、100mL当たりの重量%をいう。例えば、10mLの重量が50gである場合、比重は0.5となる。
比重の異なるソースは、ソースを泡立てて、気泡入りのソースとすることで調製できる。
例えばかさ高く泡立ったソースは比重が小さくなり、気泡の含有量がすくないソースは比重が高くなる。ソースへの気泡の含有量は、所望の比重となるよう、適宜調整すればよい。
本実施形態では、例えば、比重が異なるソース同士や、粘度が異なるソース同士を組み合わせることによって、ソース同士が混合せず、それぞれ別々に解凍される。解凍された後のソースはそれぞれの有する物性に起因して流動性が異なり、別の挙動を示す。例えば、比重が重いソースは流動性が高く、ソースの下部に速く流出するのに対し、気泡などを含有させたことにより比重を軽く調整したソースは、流動性が低く、ソースの上部に遅く広がる。
その結果、花模様、ハート模様、縞模様、渦巻き模様、動物模様、キャラクター模様等の所望の模様を有するソース部を形成できる。
2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造は、所望の模様や味によって適宜設計変更が可能である。
2種以上のソースを備える冷凍ソース部の構造の例を、図27~30に示す。
図27に示す冷凍ソース部7は、第1の冷凍ソース部71と、第2の冷凍ソース部72とを備える。図27の例において、第2の冷凍ソース部72及び第1の冷凍ソース部71は円柱形状であり、中心が一致する。また、本実施形態の一例において、第2の冷凍ソース部は、第1の冷凍ソース部の外周に存在する。
第1の冷凍ソース部71と、第2の冷凍ソース部72はそれぞれ電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態である。
第1の冷凍ソース部71と、第2の冷凍ソース部72は、第1の冷凍ソース部71を構成するソース方が第2の冷凍ソース部72を構成するソースよりも比重が重いソースであることが好ましい。これにより、外側に位置する第1の冷凍ソース部71が先に解凍し、所望の模様を形成できる。
図28に示す冷凍ソース部8は、第1の冷凍ソース部81と、第2の冷凍ソース部82とを備える。図28の例において、第2の冷凍ソース部82及び第1の冷凍ソース部81は円柱形状であり、中心が一致する。
図28の例において、第1の冷凍ソース部81は電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態である。
第1の冷凍ソース部81と、第2の冷凍ソース部82は、第1の冷凍ソース部81を構成するソース方が第2の冷凍ソース部82を構成するソースよりも比重が重いソースであることが好ましい。
比重が重いソースのみを、電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態とすることで、第1の冷凍ソース部81と第2の冷凍ソース部82の解凍速度に差が付けやすく、所望の模様を形成しやすい。
図29に示す冷凍ソース部9は、第1の冷凍ソース部91と、第2の冷凍ソース部92とを備える。図29の例において、第2の冷凍ソース部92は、逆円錐台である。
第1の冷凍ソース部91と、第2の冷凍ソース部92は、第1の冷凍ソース部91を構成するソース方が第2の冷凍ソース部92を構成するソースよりも比重が重いソースであることが好ましい。
図30に示す冷凍ソース部10は、第1の冷凍ソース部101と、第2の冷凍ソース部102とを備える。
第3実施形態において、2種以上のソースの好ましい組み合わせの例を以下に記載する。
・フルーツソースとクリームソースの組み合わせ。
・フルーツソースとカスタードソースとの組み合わせ。
・フルーツソースとチョコレートソースとの組み合わせ。
・抹茶ソースとクリームソース
<第4実施形態>
本発明の一態様において、冷凍デザートが備える冷凍ソース部は、1種又は2種以上のソースと、具材とを備えていてもよい。
図31に、第4実施形態の冷凍デザート110の模式図を示す。
図31に示す冷凍デザート110は、冷凍生地部111、冷凍ソース部112及び冷凍具材113を備える。冷凍デザート110は、冷凍ソース部112及び冷凍生地部111がこの順に積層されている。冷凍具材113は、冷凍ソース部112の上であって、冷凍生地部111とは独立して存在する。
冷凍生地部111についての説明は、第1実施形態における冷凍生地部の説明と同様である。
冷凍ソース部112についての説明は、第3実施形態における冷凍ソース部の説明と同様である。
冷凍具材113は、冷凍フルーツ、冷凍ナッツ、冷凍した食べられる花、冷凍餅等、タピオカ、ナタデココなどのゲル化物の冷凍品が挙げられる。
図32に、第4実施形態の冷凍デザート120の模式図を示す。
図32示す冷凍デザート120は、冷凍生地部121、冷凍ソース部122及び冷凍具材123を備える。冷凍デザート120は、冷凍ソース部122及び冷凍生地部121がこの順に積層されている。冷凍具材123は、冷凍ソース部122の内部に存在する。
第4実施形態の冷凍デザートを電子レンジ加熱すると、適度に温められたソース部が冷たい生地部の下に広がるデザートが得られる。さらに冷凍具材は冷たい具材として喫食できる。
<第5実施形態>
本発明の一態様において、冷凍生地部が冷凍ソース部と接する面とは反対の面に、さらに冷凍ソース部Aを備えていてもよい。
冷凍ソース部Aは、冷凍ソース部A1と、冷凍生地部Aとを有する。
冷凍ソース部A1の説明は、前記冷凍ソース部12の説明と同様である。
冷凍生地部Aの説明は、前記冷凍生地部11の説明と同様である。
本発明の一態様において、冷凍ソース部と冷凍ソース部Aのいずれか一方又は両方が、異なる2種以上のソースから構成されてもよい。例えば、第1の冷凍ソース部と、第1の冷凍ソース部よりも比重が小さい第2の冷凍ソース部とを有し、第2の冷凍ソース部は、第1の冷凍ソース部の外周に存在し、冷凍生地部が冷凍ソース部と接する面とは反対の面に、さらに冷凍ソース部Aを備え、冷凍ソース部Aは、冷凍ソース部A1と、冷凍生地部Aとを有し、冷凍生地部Aは、前記冷凍ソース部A1の外周に存在していてもよい。
<冷凍デザート食品の製造方法1>
冷凍デザート食品は、冷凍生地デザート部と冷凍ソース部とをそれぞれ別々に製造し、得られた冷凍ソース部の上に冷凍生地部を積層することにより製造できる。
<冷凍デザート食品の製造方法2>
また、所望の形状のカップの底部に冷凍生地部の原料を入れ、任意で第2の冷凍生地部の原料を積層し、さらにその上に冷凍ソース部の原料を積層し、得られた積層体を冷凍することにより製造できる。
冷凍デザート食品の製造方法2により得られた冷凍デザート食品を、冷凍ソース部が下になるようひっくり返して電子レンジ加熱することにより、冷凍ソース部は温かいソースとなり、冷凍生地部は冷たいデザートとなる。
<冷凍デザート食品の製造方法3>
2種以上のソースを備える冷凍ソース部を備える冷凍デザート食品を製造する場合には、冷凍ソース部を製造する際に、第1のソースと第2のソースを所望の構造になるよう充填すればよい。
本実施形態において、ソースの比重を所望の範囲に調整する方法としては、ソースを泡立ててソースに気泡を含有させてもよく、気泡を含有させた成分をソースの混合することで、ソースに気泡を含有させてもよい。
<冷凍デザート食品の喫食方法>
本実施形態の冷凍デザート食品の解凍には、ターンテーブル式の電子レンジであってもよく、フラットテーブル式の電子レンジであってもよい。
電子レンジの庫内の常温の載置面に冷凍デザート食品の冷凍ソース部が接する状態で載置し、加熱する。
解凍の条件は冷凍デザート食品の種類によって適宜調整すればよいが、例えば500Wで30秒間から1分間の一度の加熱により喫食することができる。
<試験例1>
冷凍ソース部と、冷凍生地部として電子レンジ加熱では解凍しない冷凍ゲルを積層した冷凍デザート食品を製造し、電子レンジ加熱時の解凍様式を検証した。
(冷凍生地部の製造)
表1に記載した配合通り各材料を混合し、加熱して溶解させ、ゲル材料を得た。50gのゲル材料を逆円錐台形状の型に流し込み、冷却した後、冷凍庫内に静置することにより、冷凍生地部としてのゲル部を得た。ゲル化剤としてはケルコゲルHM(ジェランガム、DSP五協フード&ケミカル株式会社)を使用した。
逆円錐台形状の型の寸法は、具体的には下底面が直径5.5cmの円であり、上底面が直径4.5cmの円であり、高さが2.7cmとした。
製造したゲル部は電子レンジ加熱(500Wで1分間)でも溶解しなかった。
Figure 2023053930000002
(冷凍ソース部の製造)
表2に記載の配合に従い各材料を混合し、糖分が溶解するまで加熱した。これにより、Brix15、Brix27のそれぞれの処方のソースを得た。得られたソース、それぞれ15gを円柱型に流し込み、冷却した後、冷凍することによって、冷凍ソース部をそれぞれ得た。
円柱型の寸法は、具体的には底面の直径が5cmの円、高さ0.7cmとした。
Figure 2023053930000003
(冷凍デザート食品の製造)
≪実施例1≫
Brixを15に調整した冷凍ソース部を皿の上に直接置き、その上に直接、上底面が冷凍ソース部に接する態様で、ゲル部を重ねた。これにより、冷凍ソース部がゲル部の下に配置した冷凍デザート食品を得た。
≪実施例2≫
Brixを27に調整した冷凍ソース部をゲル部に用いた以外は、実施例1と同様に冷凍デザート食品を得た。
≪比較例1≫
逆円錐台形状のゲル部を皿の上に直接置き、その上に直接、Brixを15に調整した冷凍ソース部を配置した。このとき、ゲル部の上底面が冷凍ソース部と接するよう配置した。これにより、冷凍ソース部がゲル部の上に配置した冷凍デザート食品を得た。
≪比較例2≫
Brixを27に調整した冷凍ソース部を用いた以外は、比較例1と同様の方法により冷凍デザート食品を得た。
(皿について)
実施例1~2、比較例1~2の冷凍デザート食品を載せる皿として、一片14.9cmの正方形の縁に、高さ2cmの耳部を付けた紙製の皿を使用した。
(電子レンジによる解凍方法)
実施例1~2、比較例1~2の冷凍デザート食品を、紙皿に入れたまま電子レンジを用いて500Wで50秒間、解凍した。
電子レンジの解凍条件は下記の通りである。
電子レンジの機種:SHARP RE-TS3-W5 (ターンテーブル方式)
周波数:2450MHz
出力:500W
ターンテーブルの直径:470mm
解凍時に、目視によってその解凍状況を確認し、ソースの溶け出す秒数を計測した。
(温度の測定方法)
ソース部については、所定の解凍時間後、直ぐに、サーモカメラ(testo 875-2 株式会社テスト製。以下同じ)にてソース表面を数か所測定し、最も高い温度を計測した。
ゲル部については、所定の解凍時間後、直ぐに、ゲル部の中心部分で縦に分割し、ゲル部の上部、中心部(ゲルの底部から1.35mmの中央部)、底面部、側面部(側面の中央部)の各部位について、サーモカメラを用いて表面温度を測定した。
解凍開始時のターンテーブルの温度は30℃であり、室温相当の温度であった。
その解凍状態を確認した結果を表3に示す。
Figure 2023053930000004
実施例1は、ソースが21秒で溶け出し、50秒の加熱後のソース部の温度は50℃となっており、適度に溶解していた。また、ソースのイチゴの香り立ちが良い状態で解凍された。
比較例1は、ソースの溶け出しには48秒かかり、50秒の加熱後でもソース部の温度は18.5℃としかならず、ソースが十分には解凍されないことが明らかになった。
また、実施例2及び比較例2は、実施例1及び比較例1よりも、ソースが溶け始める時間が少しずつ早くなり、また、50秒加熱後のソース温度は高くなることが明らかになった。
Brixが高くなることにより、ソースの溶け出しの時間が早まり、ソース及びゲルともに温まりやすくなった。官能的にも比較例1及び2は、ソースから甘味は感じるものの香りは弱いのに対し、実施例1及び2は甘酸っぱい味とともに甘いイチゴの香りを強く感じることができた。
また、実施例1~2、比較例1~2の解凍前後の状態を図5~図12にそれぞれに示す。
図5に示す解凍前の比較例1を電子レンジで解凍すると、図6に示すようにソースは完全には溶けず、一部ゲルの上に残留した。
図7に示す解凍前の実施例1を電子レンジで解凍すると、図8に示すようにソースが完全に溶解し、ゲルの下に広がった。
図9に示す解凍前の比較例2を電子レンジで解凍すると、図10に示すようにソースは完全には溶けず、一部ゲルの上に残留した。
図11に示す解凍前の実施例2を電子レンジで解凍すると、図12に示すようにソースが完全に溶解し、ゲルの下に広がった。
次に50秒加熱時のゲル部の各部の温度を測定した結果を表4に示す。
Figure 2023053930000005
比較例1については全体的に加熱されており、中心部が41℃、底部が30℃と加熱されているのに対し、実施例1については、底部が22℃まで加熱されるものの、それ以外の部位は加熱されず、中心部でも9℃にまでしか加熱されないことが示唆された。
また、実施例2及び比較例2の場合にも、実施例1及び比較例1の場合よりも温度が高いものの同様の傾向を示し、ソースが上の場合にはゲル中心部が50℃まで上昇するのに対し、ソースが下の場合には底部が30℃まで上昇することが明らかになった。
以上の結果よりソース部を下部にすることにより、ソースのみを加熱し、溶解することができ、ゲル部は加熱されずに冷たい状態を維持することができることが明らかになった。
一方、ソース部を上にした場合には、ソースは加熱されず温度が低いものの、ゲル部の中心部は加熱され、温かくなることが示唆された。
上記試験例1の結果より、ソースとその上の食品の載置の順番を変えることによってそれぞれの加温の状況、それに伴ってゲルの温度分布、ソースの解凍状況を変えることができることが明らかになった。
<試験例2>
次に、電子レンジでの加熱の程度において、冷凍デザート食品に接する電子レンジの部材であるターンテーブルやフラットテーブルなどの底部の状態が、冷凍デザート食品の加温に影響を与えているか否かを調べるために、冷凍デザート食品を置く面からの伝導伝熱の有無による解凍状況を確認する試験を行った。
具体的には、実施例1と同様に紙皿をターンテーブル上に直接置き加熱した場合と(実施例3~6)、紙皿の下に段ボールで高台をつけ、ターンテーブルと直接は接触せず解凍した場合(実施例7~10)について比較を行った。高台を設けた状態の写真を図13に示す。
また、その際にソースの糖濃度(Brix)を変えることによって、糖濃度がこの解凍状況にどのような影響を与えるかについても併せて検討した。
(試験方法)
冷凍ソース部は、表5の配合で各材料を混合し、試験例1と同様の方法により製造した。さらに、試験例1と同様の方法によりゲル部及び冷凍デザート食品を製造した。
Figure 2023053930000006
実施例7~10においては、解凍の際にターンテーブルと紙皿の間に高台を設置し、ターンテーブルと紙皿が直接接しないようにした。これにより、ターンテーブルから紙皿、および冷凍デザート食品への直接的な伝導伝熱を減少させ、伝導伝熱の影響を検証した。
高台は、1.5cm×17cm×0.5cmの段ボールによる台紙2本を紙トレーの両端に設置し、ターンテーブルから紙皿を浮かせることとした。
電子レンジで500W、40秒間、解凍を行い、目視により解凍の状況を観察した。
加熱後のソース及びゲルの温度の測定は、試験例1と同様の方法で行った。その結果を表6に記載する。
Figure 2023053930000007
解凍開始時のターンテーブルの温度はいずれも28℃であり、試験室の温度と同じ温度であった。
まず、Brix10においては、ターンテーブルに直接接する場合(実施例3)に25秒、高台を設置し、直接には接しない場合(実施例7)に38秒で溶け始めた。これに対し、Brixが高くなるにつれて溶け始め時間が短くなり、Brixが上がるにつれて溶け始めが早くなることが明らかになった。糖度が上がることにより水の部分が少なくなり、そのために、より溶けやすくなるためと推察される。
次にターンテーブルに接していることの影響を確認したところ、ターンテーブルに直接接した実施例3では25秒で溶けだすのに対し、ターンテーブルに接していない実施例7では38秒かかり、13秒の差があった。また、同様の傾向は他のBrixでも見られ、ターンテーブルに直接接触させた場合の方が早く溶け始め、底部に接触することが解凍を促進することが示唆された。
また、ソースのBrixと、ターンテーブルに接触しているか否かの関係について検討すると、実施例3は実施例7よりも溶け出し時間は13秒短く、25秒から溶け出した。これに対し、実施例6と実施例10の溶けだし時間の差は4秒しかなかった。この結果から、Brixが低い場合に、ターンテーブルへの接触がソースの溶け出し時間に影響を与えることが明らかになった。
次に、加熱後のソース温度について検討した。
表6に示す結果から、ソースのBrixが高くなるにつれてソース温度が高くなり、実施例3では43.8℃、実施例7では36.7℃であった。このことから、ターンテーブルに接触することによりソースが高温になることが明らかになった。
また、Brixとターンテーブルへの接触の有無の影響について検討したところ、溶けだし時間と同様に、Brixが高いほどソース温度の差は小さくなる傾向にあることが示唆された。
さらに、実施例1と同様の方法で、ゲル内の温度分布について検討した。その結果を表7に示す。
Figure 2023053930000008
ゲルの上部や側面部においては、Brix10のサンプルである実施例3及び実施例7では温まりに差が見られなかった。一方、ゲルの底部の温度は、実施例3では28.7℃、実施例7では20.5℃であり、ターンテーブルに接触する実施例3の方が、より温まっていることが示された。同様の傾向はほかのBrixでも見られ、Brix40である実施例6と実施例10では、底部の温度差が15℃もあり、ターンテーブルへの接触の有無によるゲル底部の温度への影響が顕著に見られた。
また、ゲルの上部、側面については温度上昇が小さいが、中心部、底部は加熱による温度上昇が大きかった。ターンテーブルへの接触の影響、Brixが高くなることの影響は中心部、底部の方が大きいことが示された。
ターンテーブルに紙皿を接触させて設置させると、常温であるターンテーブルが、紙皿を介して冷凍であるソースと接する。これにより、ソースの一部が温まり、解凍が始まり、冷凍ソース部の氷が水の状態に変化する。水は氷よりも誘電物性が高い。解凍により生じた水部を中心に周囲に熱が伝わり、冷凍ソース部の解凍が進むと推察される。
すなわち冷凍ソース部の解凍に、常温であるターンテーブルからの伝導伝熱による一部の解凍が影響を与え、冷凍ソース部がターンテーブルと接触することによって冷凍ソース部全体の解凍が促進されると考えられる。
また、高台を設置した場合には、高台を設置しない場合に比べて解凍時間は遅くなった。しかし、高台を設置しても、冷凍ソース部が先に解凍し、ソースが温かく、香り立ちが良い状態にすることができた。さらに、ゲル部は30℃程度までしか温まらず、冷凍ソース部を上下いずれに積層するかによる解凍様式は、解凍速度の違いはあるものの高台の有無によらず同様であることが明らかになった。
<試験例3>
上記試験例1及び試験例2では糖分が主原料のソースにおいて検討を行った。試験例3において、牛乳、卵黄などのタンパク質、脂肪分が入ったアングレーズソースを用いて、同様の試験を行った。
ソースを表8に示す処方で、下記に示す方法で調整した以外は、試験例2と同様の方法で実験を行った。
Figure 2023053930000009
表8に記載の材料を用い、下記の操作でアングレーズソースを作製した。
まず、鍋に牛乳を入れ、中火にかけ、沸騰する直前まで加熱した(A)。
次に、ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れて、泡立て器で混合した(B)。
次に、(A)に(B)を入れ、卵黄が固まらないように攪拌した(C)。
次に、(C)を弱火で加熱しながら、ダマが生じないよう攪拌した。
ソースにとろみが出てきたら加熱を止め、濾し器でこしながらボウルに移した。さらに、バニラエッセンスを数滴入れかき混ぜ、ボウルを氷水で冷やし、アングレーズソースを得た。アングレーズソース15gを高さ0.7cm、直径5cmの円柱型の型に入れ、-20℃で一昼夜静置することにより凍結し、冷凍ソース部とした。
試験例1と同様の方法によりゲル部及び冷凍デザート食品を製造した。
また、試験例2と同様の方法で紙皿に段ボールで高台を設置することによりターンテーブルと直接は接触せず加熱した場合の試験についても行った。
高台の有無、ソースのBrix及び冷凍ソース部の位置について、表9に記載する。
Figure 2023053930000010
500W、40秒間、電子レンジで解凍を行い、目視により解凍の状況を観察した。40秒間でソースが溶け出さない場合には、別途、溶け出しが確認できるまで加熱を行い、溶けだし時間を測定した。
図14に示す解凍前の比較例3を電子レンジで解凍すると、図15に示すように冷凍ソース部は完全には溶けず、一部ゲルの上に残留した。
図16に示す解凍前の実施例11を電子レンジで解凍すると、図17に示すように冷凍ソース部が完全に溶解し、ゲルの下に広がった。
異なるBrixのソースを用いた場合、皿の下に高台を設置した場合にも同様の傾向にあった。
試験例3について、溶け始め秒数、ソース温度等について、表10に記載する。
Figure 2023053930000011
溶け始め時間については、冷凍ソース部を上にした比較例3の場合には78秒であり、比較例4の場合には35秒かかった。これに対し、ソースを下にした実施例である実施例11と13は、溶け始め時間が30秒から40秒であり、実施例12と14は、溶け始め時間が18秒から20秒と、冷凍ソース部を下にした方が溶け始め時間が短かった。
また、ソース温度についても、40秒の電子レンジ加熱においては、冷凍ソース部を上にした比較例3は23℃、比較例4は24.5℃であった。これに対し、冷凍ソース部を下にした場合には、実施例11及び13は20~33℃、実施例12及び14は56.4~58.7℃と、比較例よりもソース温度が高かった。
以上のように、ソース温度の上がり方は試験例1、試験例2のソースよりも遅いものの、冷凍ソース部が下の場合の方が、上の場合よりも早く溶け始め、ソース温度が高くなるという試験例1、試験例2のソースと同様の傾向を示すことが明らかになった。
試験例1、試験例2のフルーツソースを、卵黄、乳を含んでいるアングレーズソースに置き換えた場合にも、ゲルの温度分布は試験例1、試験例2と同様であり、ゲルの上部と側面の温度上昇は小さかった。これに対し、ゲルの中心部、底部の方が加熱による温度上昇が大きく、また、ターンテーブルへの接触の影響、Brixが高くなることの影響はゲルの中心部、底部の方が大きいことが示された。
フルーツソースと比較して解凍に要する時間がかかるために、それぞれの差は小さいものの、アングレーズソースは同様の傾向を示していた。
アングレーズソースの解凍状況の傾向としては、冷凍ソース部が下の場合には、上の場合よりも早く溶け始め、それに伴いソース温度も高くなる傾向にあり、フルーツソースと同様の傾向が確認できた。また、ソースのBrixが上がった場合にはフルーツソースと同様に溶け始めが早くなる傾向にあった。
さらに、高台を設置して、ターンテーブルからの伝導伝熱を抑えた場合と、高台を設けない場合の差は、フルーツソースと比較すると小さかった。これは、アングレーズソースの溶け始めまでの時間が長いために、その間に冷凍アングレーズソース部全体の解凍が一部始まってしまったためと推測された。
また、溶け出す傾向はイチゴソースを使用した場合と同様であるが、牛乳や卵黄を使用したアングレーズソースは溶け出しまで時間がかかることが示された。タンパク質、脂質分などの成分がソースに含まれることにより、氷が水に解凍する際に他の成分が影響を与え、溶け出しが遅くなったものと推測される。
以上のように、ソースに乳、卵などの成分を含んだ冷凍ソース部であっても、冷凍ソース部の解凍のしやすさにより、適した条件が異なるものの、フルーツソースと同様の解凍状況となることが明らかになった。
<試験例4>
以上のように、本発明においては、冷凍ソース部の解凍にターンテーブルに接する箇所からの伝導伝熱が関与していることが示唆された。そのため、今まで用いていたターンテーブル式の電子レンジではなく、庫内に皿や凹凸が無く、平らな形状であるフラットテーブル式の電子レンジを用いて加熱した。
フラットテーブル式の電子レンジを使用した以外は試験例2と同様の方法で試験を行った。
電子レンジの機種:SHARP RE-7600P (フラットテーブル式)
周波数:2450MHz
また、紙皿を電子レンジの庫内に直接載置し加熱した場合を実施例15~18とし、試験2と同様の方法により高台を設置して電子レンジ加熱した場合を実施例19~22とした。
ソースの解凍特性について、結果を表11に記載する。
Figure 2023053930000012
解凍開始時のフラットテーブルの温度はいずれも28℃であり、試験室内の温度と同じ温度であった。
冷凍ソース部のBrixが低いほうが溶け出し時間が遅く、また、高台を設置した方(実施例19~22)が溶け出し時間が遅く、その差はBrixが高くなるほど少なくなった。
また、40秒間加温時のソース温度については、試験2の場合よりもソース温度が低く、Brixが10のソースはソースが温まっておらず、高台の有無に関わらず20℃でほぼ同じであった(実施例15、19)。
また、Brix20の場合には、高台がある場合(実施例20)はソース温度が21℃までしか加温されなかったのに対し、高台なく、フラットテーブルに接している場合(実施例16)には34.5℃とソース温度が高くなり、ソース温度に13.5℃の違いがみられた。さらに、Brixが高くなった場合には高台の有無の影響が少なくなり、ほぼ同様のソース温度となった。
ゲルの温度分布について、結果を表12に記載する。
Figure 2023053930000013
ゲルの温度は、上部、中心部、側面部においては、フラットテーブルに接触しているか否かに関わりなく、温まっていなかった。しかし、ソース部と設置している底部においては、Brixが10、20と低い場合、フラットテーブルと接触している場合においては、温まりやすいことが示された。
試験例2と試験例4を比較すると、ターンテーブル方式とフラットテーブル方式では、温まりに僅かなばらつきはあるものの、温まりかたの傾向は同様であった。
<試験例5>
冷凍のフォンダンショコラと冷凍ソースを組み合わせた場合の電子レンジ加熱の影響について確認を行った。
フォンダンショコラには中央部にチョコを含み、その周りにチョコレート味のケーキ生地で囲んだ冷凍ケーキである。
(フォンダンショコラの製造)
表13の配合に従って、以下の配合でフォンダンショコラを作成した。
Figure 2023053930000014
(ガナッシュの製造)
(1)生クリームに溶解したビタースイートチョコレートに加え、泡立て器で混ぜ合わせ、冷却した。
(2)(1)を10gずつにし、俵形に成型し、再度冷凍庫で冷やし固め、ガナッシュを作成した。
(チョコレート生地の製造)
(1)ビタースイートチョコレート及びバターを入れ、湯煎し溶解させた。
(2)卵を割りほぐし、グラニュー糖を加え、泡立て器で混ぜ合わせた。
(3)(1)のチョコレートを(2)のボウルに、少量ずつ加えながら混ぜ合わせた。
(4)(3)に薄力粉とココアを加え、泡立て器で混ぜ合わせ、チョコレート生地を作成した。
(5)チョコレート生地をセルクル型の中1/2程度に流し込み、冷凍させたガナッシュを中央に置き、上からさらに生地を流し入れる。生地は、1つあたり40gずつ流しいれた。
(6)220℃に予熱したオーブンで10分焼く。
(7)フォンダンショコラをセルクル型から外し、室温で常温になるまで静置し、-20℃で冷凍させた。
冷凍されたケーキの重量は、48gであった。
(ソースの製造)
ソースは、表14に記載の配合に従い材料を混合し、15gを円柱型に冷凍することによって作成した。Brixは27となるよう設定した。
Figure 2023053930000015
(冷凍デザート食品の製造)
冷凍ソース部とゲル部は表15に示す方法で組み合わせた。すなわち、フォンダンショコラの横に離しておいた場合(比較例5)、上(比較例6)に置いた場合、また、ソース部を下に置いた場合(実施例23~25)、また、もともと解凍時に使用する紙皿の上において冷凍しておいた場合(比較例5、6、実施例23)、別の紙皿状で冷凍しておいた後に常温の紙皿に移し替え加熱を行ったもの(実施例24)、常温の磁器の皿に移し替え加熱を行ったもの(実施例25)などを作成し、試験に供した。
Figure 2023053930000016
また、解凍は、電子レンジで500W、40秒加熱を行い、ソースが溶け出しについて目視で確認し、サーモグラフィーで温度変化を記録した。
フォンダンショコラの横部にソースを置いた場合(比較例5)では、ソースは溶け出すまでに18秒と短く、ソースもフォンダンショコラも最も温まっている状態であった。温まったケーキと温まったソースをからめて食べることはできたが、ソースとケーキの間の温度差などによる組み合わせを楽しむことができなかった。
次に、フォンダンショコラの上部にソースを置いた場合(比較例6)には、ソースは、溶け出すまでに40秒と時間がかかり、50秒間の加熱では十分には温まらなかった。フォンダンショコラは強く加熱されており、特に中心部の温度が高く、中のチョコレートが強く加熱されていた。
それに対して、ソースを下に、フォンダンショコラを上に置いた場合(実施例23)、ソースは20秒で溶け始め、50秒加熱後にはソースは適度に加熱されていた。またフォンダンショコラは温まりすぎず喫食するのに好ましい結果であった。
以上のように、ケーキとソースを重ねずに電子レンジで温めた場合には、それぞれが温まり、ケーキ、ソースとも温かいものが得られるのに対し、ケーキとソースを重ねた場合には、各部位ごとに温まり方が異なり、ソースとケーキの温まり方が異なることが明らかになった。また、ケーキ部をフォンダンショコラにした場合にも、ゲルを用いた場合と同様の温度変化をすることが明らかになり、ソースを下にした場合には、溶けた温かいソースの上に適度な温度のケーキが乗ったものが今までの試験例と同様に得られることが明らかになった。
また、これらの組み合わせをあらかじめセッティングしたものを冷凍した場合だけではなく、冷凍したソース、ケーキをそれぞれ用意し、常温の紙皿、磁器皿に喫食時にセッティングした場合についても検証した。
常温の紙皿の上に、冷凍したソース、その上に冷凍したフォンダンショコラを載せ、その後に電子レンジ加熱した場合(実施例24)には、冷凍状態のものと同様に、20秒で溶け始め、同様にソースは適度に加熱され、ソースの香り立ちも良好であり、またケーキも温まりすぎず、適度な温度であった。
また、磁器の皿の上に、移し替えて電子レンジ加熱した場合(実施例25)には、紙皿のものより、溶け始めが早く、紙皿の場合と同様に解凍することができた。
以上のように、ソースとケーキを並べて電子レンジ加熱した場合には、それぞれソース、ケーキが別個に加熱され温まり、その温度差を楽しむことはできなかった。
また、ソースとケーキを重ねたまま紙皿などの皿にのせて冷凍する場合のみではなく、冷凍したソース、ケーキを、常温の皿にのせた場合にも同様の傾向であった。
<試験例6>
冷凍のチョコレートテリーヌと冷凍ソースを組み合わせた場合の電子レンジ加熱の影響について確認を行った。
チョコレートテリーヌは、カカオバターを主成分としたチョコレートを主原料とし、卵、バターなどを合わせて焼き上げたチョコレートケーキである。温度変化によりカカオバターの状態が変わり、風味が変わることが知られているため、本発明のソースと組み合わせて、電子レンジにより加熱することにより、その風味がどのように変化するのかについて検証した。
ソースの有無、及びソースとチョコレートテリーヌの載置方法を変更させた以外は、試験例5と同様の方法で行った。
(チョコレートテリーヌの調整方法)
表16に従い、以下の方法で作成した。
(1)チョコレートとバターを湯せん溶かす。
(2)(1)とは別のボウルに卵をほぐし、砂糖を加え、混ぜ合わせる。
(3)(1)に(3)を混合し、なめらかになるまで混ぜる。
(4)小麦粉を加え、混ぜ合わせる。
(5)型に40gずつ入れる。
(6)160℃で40分で湯煎焼きする。
Figure 2023053930000017
(イチゴソース)
試験例5と同様の方法で作成した。
解凍は、電子レンジで500W、30秒加熱を行い、目視により解凍の状況を観察した。温度の測定方法は、試験例1と同様の方法で行った。その結果を表17に記載する。
Figure 2023053930000018
まず、ソースがない場合(比較例7)、チョコレートテリーヌは一様に温まり、滑らかな食感であった。特に上部が加熱されていた。
次に、ソースが上にある場合(比較例8)には、ソースは、20秒で溶け始め、30秒の加熱では温まりきらず、15℃の冷たいソースが得られた。テリーヌは中心部が温まり柔らかくなっていた。
ソースが下にある場合(実施例26)、ソースは、10秒で溶け始め、温度が39.7℃の温かいソースが得られた。テリーヌは中心部も30℃であり、冷たい結果であり、生チョコレート風の食感を維持しており、ソースとからめることによって良好に食べることができた。
チョコレートテリーヌは、冷やして食べることにより、生チョコレートを食べるような食感が得られることが知られているが、ソースを下において電子レンジで加熱することによって、冷えたままのテリーヌの下に温かいソースが溶けている状態のものを作成することができ、適度な食感を得ることができた。
<試験例7>
次に、これらの解凍特性を生かした商品形態について検討した。
実施例27、28として、紙カップに重層するソースの上に載せたムースを製造した。
(製造方法)
紙カップ内にムース20g(表18)を底部に入れ、その上に順にホワイトチョコレート及び/またはメレンゲ(表19)、いちごソース20g(表14)を重層させたムースを作成した(図18)。
Figure 2023053930000019
Figure 2023053930000020
ソース部が底部になるよう、ひっくり返し、紙カップから外し、皿にのせ(図19)電子レンジで500W、30秒間、加熱を行った。
ソースは完全に溶けて、ムースの下に広がり、良好な外観であった(図20)イチゴの香りを強く感じた。ムース部は冷たく、アイスケーキのような食感を有し、好ましい結果であった。また、ソースはそれぞれ50℃前後まで温められているのに対し、ムース部は加熱されておらず、温度差を感じることができた(表22)。
また、メレンゲとムースの間にチョコレートを挟んだところ、チョコレート層があることでソースがムースにしみこまず、また、チョコレートの冷たさ、固さが適度な風味であった。
実施例29、30として、ソースの上に、スポンジケーキ、ムースを重ねたケーキを製造した。
(製造方法)
いちごソース20g(表14)を底部に置き、その上に順にスポンジケーキ(表20)、ムース(表18)、ジャム、ホイップを順に重ねたものを作成した(図21)。
Figure 2023053930000021
そのケーキを電子レンジで解凍したところ、ソースは溶けて、良好なイチゴの香りがした(図22)。また、ムース、ホイップ、ジャムは冷たい状態のままで、アイスケーキのような食感があり、おいしかった。
また、スポンジケーキとソースの間にホワイトチョコレートの層を作ることによってスポンジケーキへのソースの染み込みを防ぐことができ、スポンジのふわっとした食感を保持することができた。
ソースはともに50℃前後まで温まり、ケーキは10~20℃程度までしか温まらなかった。温かいソースと冷たいケーキの温度差を楽しむことができた。
実施例31として、いちごソースを下に置いたチーズケーキを製造した。
(製造方法)
いちごソース15g(表14)を底部に置き、その上にチーズケーキ40g(表21)を置いた(図23)。500Wの電子レンジで20秒間加熱し、試食した。温度変化は30秒加熱したものから測定した。
Figure 2023053930000022
(評価結果)
20秒の加熱でソースは完全に溶けていた(図24)。
また、ソースは54.2℃まで温まっていたのに対し、チーズケーキは30秒間加熱に11~27℃にまでしか加熱されていなかった。20秒加熱時に喫食したところ、半解凍状態のチーズケーキと温まって、香り立ちの良いソースであり、からめて食べるとおいしく食することができた。
Figure 2023053930000023
Figure 2023053930000024
Figure 2023053930000025
<実施例32>
2種のソースを組み合わせた冷凍デザートを製造した。
[冷凍ソース部の調整]
まず、表25の配合に従い、濃縮果汁と水を混合し、オレンジソース331を調製した。
Figure 2023053930000026
次に、ホイップクリームを配合したアングレーズソースを調製した。
最初に、表26の配合に従い、アングレーズソースを調整した。すなわち、あらかじめ鍋で温めていた牛乳と生クリームに、グラニュー糖、シナモン、オレンジ皮と溶きほぐした卵黄をいれ、中火にかけ、沸騰する直前(80℃程度)まで加熱し、冷却し、アングレーズソースを得た。
オレンジソース331の比重は1、アングレーズソース332の比重は0.7であった。
Figure 2023053930000027
次に、表27の配合に従い、生クリームに洋酒を添加後、生クリームをツノが立つまで泡立てた。
Figure 2023053930000028
次に、表28記載の配合で、アングレーズソースとホイップクリームとを混合し、ホイップクリームを配合したアングレーズソース332とした。
Figure 2023053930000029
[冷凍生地部の製造]
冷凍生地部として、表29の配合に従い、以下の手順により、チョコクッキー生地を製造した。
常温に静置したバターにグラニュー糖をすり混ぜ、更に溶きほぐした卵黄を混ぜ合わせた。ここに振るった薄力粉とココアパウダー、バニラオイル、塩を添加し、混合して生地を得た。
得られた生地を2mm程度に伸ばして型で抜き、さらに、中心部を丸くくり抜いた。くり抜いた生地を160℃に予熱したオーブンで、12分焼成し、チョコクッキー生地333を得た。
Figure 2023053930000030
[クリームの調整]
表30の配合に従い、以下の手順でクリームを調製した。
まず、ゼラチンと水を合わせ、10分静置しふやかした。次に、あらかじめ鍋に入れ温めておいた牛乳、生クリームに、グラニュー糖、オレンジ皮、卵黄を混ぜたものを沸騰直前(80℃程度)まで加熱し、クリーム液を得た。ふやかしたゼラチンとクリーム液とを混合し、さらに湯煎したチョコレートと混合した。ここに洋酒、レーズン及びセミドライリンゴを細かく刻んだものを加え混合した。その後冷蔵庫内で静置し、冷却してクリーム334を得た。
Figure 2023053930000031
[冷凍生地部の製造]
冷凍生地部として、表31の配合に従い、チョコレート生地を製造した。
乳化剤、卵、グラニュー糖を混合し、起泡させた。ここにあらかじめ溶かしたバター及びチョコレートを加え混ぜ、次いで振るったカカオパウダーとコーンスターチを混ぜ合わせ、生地を得た。
得られた生地を直径4cmのシリコン型に9g充填し、200℃に予熱したオーブンで15分焼成し、チョコレート生地335を得た。
Figure 2023053930000032
[冷凍デザートの組み立て]
組み立てた冷凍デザート330の断面の模式図を図33に示す。
焼成直後の熱いチョコレート生地335の中心上部に、よく冷やしたクリーム334を11g充填した。ケーキ部を冷凍庫で冷却し、型からはずし、ケーキ部を得た。直径4cmの円柱状に窪みのあるプラスチックトレーにオレンジソース331を3g充填し、次いでホイップクリームを配合したアングレーズソース332を円の中心部から7g充填し、2層のソースを作成した。充填直後の2層のソース部の上に、ケーキ部をのせて接着した。ケーキ部の上部にチョコクッキー生地333を乗せ、クッキー生地の中心にオレンジソース331を充填し接着し、一昼夜冷凍し、冷凍デザートを得た。
組み立てた冷凍デザート330の外観写真を図34に示す。
冷凍デザート330を600Wで20秒解凍し、ソース部の温度及びデザート部の温度の測定を行った。
温度の測定は、上記と同様の方法で行った。
電子レンジで解凍後の冷凍デザート330の外観写真を図35に示す。
ケーキ下部に配置した2層の冷凍ソースは、20秒の電子レンジ加熱で全て溶解し41℃まで温まることが確認された。重ね合わせた2層の冷凍ソースは混ざることなく皿の上に広がり、異なった比重のソースを組み合わせることにより、視覚的にも特徴的なデザートが作られることが確認できた。
また、冷凍ケーキ生地の下部に2層の冷凍ソース部を重ね合わせた場合でも、単層のソースを使用した場合と同様に、電子レンジ加熱により下部のソース部から溶け出し温まることが明らかになった。
また、チョコレート生地は、程よく解凍され、温度は19℃程度であった。さらに、チョコレート生地内部中央に配置したクリームにおいても電子レンジ加熱により19℃程度までしか加熱されず、温まりすぎることがとなく、口中で冷たく感じ、かつ、滑らかな食感を有していた。
また、上部に配置されたクッキー生地も、温まりすぎることはなく、サクッとした食感を保持していた。
通常、今回のように冷凍ソースを下部に有していない冷凍ケーキを電子レンジ加熱した場合、中心部分にマイクロ波が集中し、加温されるため、中心部は温かくなる場合が多かった。これに対して、今回の冷凍ソース部と冷凍ケーキ部の配置を工夫することによって、中心部に温まりやすい部材入れた場合にも、電子レンジ加熱で温まらず、冷たいまま食することができる商品を提供できることがわかった。
以上のように、2種のソースを使用した場合においても、1種類のソースを使用した場合と同様にソースは温まり、ケーキは程よく解凍された冷たく、温冷を感じられるデザートを提供することができた。
さらにその構成を組み合わせることによって、視覚的に、また、冷たさに対する味覚的に、特徴的な商品が製造できることが示唆された。
<実施例33>
冷凍ソース部に具材を含んだ場合の、ソース及びケーキの解凍状況を以下の方法により確認した。
表25に記載のオレンジソースと同様の手順で、Brixは32のオレンジソースを調整した。
生地部は、セルクルムースピスタチオ(テーブルマーク株式会社製)を使用した。
32gのオレンジソースを直径7.5cmの円型に充填し、充填直後のソース部の上にこのケーキ部をのせ、ケーキ部周縁にオレンジを並べて接着した。その後、一昼夜冷凍庫に静置し、実施例33の冷凍デザートを得た。
実施例33の冷凍デザートの外観写真を図36に示す。
600Wの電子レンジで40秒間の加熱を行い、解凍状況の確認を行った。
実施例33の冷凍デザートを、電子レンジ加熱した後の外観写真を図37に示す。
600Wの電子レンジで40秒間の解凍を行ったところ、ソース部は、48.9℃まで温まっていた。それに対し、ソース上部のムース部は20.4℃、具材ソースの上に載置したオレンジは11.5℃であったことから、程よく解凍され冷たい状況であった。
以上の結果から、冷凍ソース部の上に、冷凍果実などの冷凍された具材を載せることにより、ソースは解凍して温まり、ケーキとともに、冷凍具材(冷凍果実)も冷たい結果で食することができることが明らかになった。
1、2、3:冷凍デザート食品、11、21、31、41、111、121:冷凍生地部、12、22、32、42、51、112、122:冷凍ソース部、43:第1の冷凍生地部、61:皿、62:生地部、63:ソース部、71、81、91、101:第1の冷凍ソース部、72、82、92、102:第2の冷凍ソース部、113、123:冷凍具材、330:冷凍デザート、331:オレンジソース、332:アングレーズソース、333:チョコクッキー生地、334:クリーム、335:チョコレート生地

Claims (12)

  1. 電子レンジ加熱により解凍して冷たいデザートとなる冷凍生地部と、温かいソースとなる冷凍ソース部と、が積層された冷凍デザート食品であって、
    前記冷凍ソース部は、電子レンジの庫内の載置面と直接、又は伝導伝熱性を有する媒体を介して接触が可能な状態に配置されている、冷凍デザート食品。
  2. 前記冷凍ソース部が異なる2種以上のソースから構成される、請求項1に記載の冷凍デザート食品。
  3. 前記冷凍ソース部は比重が異なる2種以上のソースから構成される、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  4. 前記冷凍ソース部は、第1の冷凍ソース部と、第1の冷凍ソース部よりも比重が小さい第2の冷凍ソース部とを有し、
    前記第2の冷凍ソース部は、前記第1の冷凍ソース部の外周に存在する、請求項2に記載の冷凍デザート食品。
  5. 前記冷凍ソース部は、1種又は2種以上のソースから構成され、冷凍具材を備える、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  6. 前記冷凍ソース部の形状は円柱であり、
    前記冷凍生地部の形状は円柱又は逆円錐台である、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  7. 前記冷凍ソース部が、解凍後に流動性を有するソースである、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  8. 前記冷凍生地部は、焼成生地食品の冷凍品及び冷凍ゲル食品のいずれか一方又は両方である、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  9. 前記冷凍生地部と、前記冷凍ソース部の間にさらに第2の冷凍生地部を備える、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  10. 前記第2の冷凍生地部は、メレンゲクッキー、チョコレート、クッキー、クランブル、スポンジケーキからなる群より選択される1種以上である、請求項9に記載の冷凍デザート食品。
  11. 前記冷凍生地部が前記冷凍ソース部と接する面とは反対の面に、さらに冷凍ソース部Aを備える、請求項1又は2に記載の冷凍デザート食品。
  12. 前記冷凍ソース部と前記冷凍ソース部Aのいずれか一方又は両方が、異なる2種以上のソースから構成される、請求項11に記載の冷凍デザート食品。
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