JP2023053785A - 空調システム、および、電子制御装置 - Google Patents

空調システム、および、電子制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】乗員の意向に沿った内外気切替を実行可能な空調システムを提供する。【解決手段】車両に搭載される空調システムは、空調装置5、センサ2、21、除去機器および電子制御装置3を備える。空調装置5は、車室外空気を車室内に導入する外気導入モードと、車室内空気を循環させる内気循環モードとを切り替え可能である。センサ2、21は、車室外および車室内の少なくとも一方の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する。除去機器は、空調装置5に設けられ、外気導入モード時に車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を除去し、且つ、内気循環モード時に空調装置5を経由して車室内を循環する空気に含まれる所定の成分を除去する。電子制御装置3は、除去機器による所定の成分の除去効率とセンサ2、21の検出した所定の成分濃度とに基づいて、空調装置5が実行する外気導入モードと内気循環モードとを切り替える。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載される空調システム、および、電子制御装置に関するものである。
従来、車両用空調装置(以下、「空調装置」という)により外気導入モードと内気循環モードとを切り替えて車室内の空調を行う空調システムが知られている。以下、外気導入モードと内気循環モードとの切り替えを「内外気切替」という。
特許文献1に記載の空調システムは、空調装置の内外気切替を電子制御装置(以下、「ECU」という)により自動で行うものである。なお、ECUは、Electronic Control Unit の略である。ECUは、車外の空気に含まれる排ガスなどの汚染成分の濃度を検出するセンサから伝送される情報と、車外の光景を撮像するCCDカメラから伝送される画像情報に基づいて車外の空気の汚染度を判定する。そして、ECUは、車外の空気の汚染度が所定の閾値より小さいときに空調装置を外気導入モードとし、車外の空気の汚染度が所定の閾値より大きいときに空調装置を内気循環モードとするものである。
特開2003-335121号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ECUによる内外気切替の判定において、フィルタ効率の良し悪しが考慮されていない。空調装置が外気導入モードを実行する場合、車室外空気はフィルタを経由して車室内に導入される。そのため、フィルタによる異臭成分の除去効率(以下、「フィルタ効率」という)が良い場合には、車外の空気の汚染度が比較的高くても、外気導入モードを実行可能なこともある。
一般に、乗員は、窓曇りを防ぐ又は車室内を換気するといった意向から外気導入モードを好むことがある。また、乗員は、車室内に異臭等が発生した場合には、車室内空気を短時間で浄化したいといった意向もある。そのような乗員の意向に沿うためには、外気導入モードを実行可能なシーンでは、出来るだけ外気導入モードを実行することが好ましい。それに対し、特許文献1に記載の技術では、車室外空気の汚染度は比較的高いもののフィルタ効率を考慮すれば外気導入モードを実行可能なシーンであっても、ECUが空調装置を内気循環モードに切り替えてしまう。そのため、特許文献1の技術による内外気切替の制御は、外気導入モードを好む乗員の意向に沿わないことがある。
本発明は上記点に鑑みて、乗員の意向に沿った内外気切替を実行可能な空調システム、および、電子制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明によれば、車両に搭載される空調システムは、空調装置(5)、センサ(2、21)、除去機器(1)および電子制御装置(3)を備える。空調装置は、車室外空気を車室内に導入する外気導入モードと、車室内空気を循環させる内気循環モードとを切り替え可能である。センサは、車室外および車室内の少なくとも一方の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する。除去機器は、空調装置に設けられ、外気導入モード時に車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を除去し、且つ、内気循環モード時に空調装置を経由して車室内を循環する空気に含まれる所定の成分を除去する。電子制御装置は、除去機器による所定の成分の除去効率とセンサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、空調装置が実行する外気導入モードと内気循環モードとを切り替える。
これによれば、電子制御装置が、センサの検出した所定の成分濃度に加えて、除去機器による所定の成分の除去効率を考慮して外気導入モードと内気循環モードとの切り替えを行う。そのため、この空調システムは、外気導入モードを好む、または、車室内空気を短時間で浄化したいといった乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
請求項6に係る発明によれば、電子制御装置(3)は、車室外空気を車室内に導入する外気導入モードと、車室内空気を循環させる内気循環モードとを切り替え可能な空調装置(5)と、車室外および車室内の少なくとも一方の空気に含まれる所定の成分濃度を検出するセンサ(2、21)と、空調装置に設けられ、外気導入モード時に車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を除去し、且つ、内気循環モード時に空調装置を経由して車室内を循環する空気に含まれる所定の成分を除去する除去機器(1)と、を備える車両に搭載されている。この電子制御装置は、除去機器による所定の成分の除去効率とセンサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、空調装置が実行する外気導入モードと内気循環モードとを切り替えるように構成されている。
これによれば、請求項6に係る発明も、請求項1に係る発明と同一の作用効果を奏することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る空調システムが搭載された車両の概略構成を示す図である。 第1実施形態において内外気切替の方法を説明するためのグラフである。 第1実施形態において内外気切替の方法を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態に係る空調システムが搭載された車両の概略構成を示す図である。 第2実施形態において内外気切替の方法を説明するためのグラフである。 第2実施形態において内外気切替の方法を説明するためのフローチャートである。 第3実施形態において内外気切替の方法を説明するためのグラフである。 第3実施形態において内外気切替の方法を説明するためのフローチャートである。 第4実施形態に係る空調システムが搭載された車両の概略構成を示す図である。 第4実施形態において内外気切替の方法を説明するためのグラフである。 第4実施形態において内外気切替の方法を説明するためのフローチャートである。 第5実施形態において内外気切替の方法を説明するためのフローチャートである。 第6実施形態に係る空調システムが搭載された車両の概略構成を示す図である。 第6実施形態において所定の成分濃度の減衰速度の演算方法を説明するためのグラフである。 フィルタの交換時期の判定方法を説明するためのグラフである。 第7実施形態において所定の成分濃度の減衰速度の演算方法を説明するためのグラフである。 第8実施形態において所定の成分濃度の減衰速度の演算方法を説明するためのグラフである。 第9実施形態において所定の成分濃度の減衰速度の演算方法を説明するためのグラフである。 第10実施形態に係る空調システムが搭載された車両の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1~図3を参照しつつ説明する。図1に示すように、空調システムは、車両に搭載されて、車室内の空調と共に、車室内空気の浄化および換気を行うことの可能なシステムである。空調システムは、車室内の空調および換気を行う空調装置5、空気に含まれる所定の成分を除去する除去機器としてのフィルタ1、車室外の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室外センサ21、および、電子制御装置3(以下、「ECU」という)などを備えている。なお、図1では、車室外と車室内の空気に含まれる所定の成分を符号Cを付した複数の円で模式的に示している。
空調装置5は、車両のダッシュボード6の内側に設けられている。空調装置5は、ケーシング内の流路に設置した不図示の冷却機器と加熱機器によりケーシング内の流路を流れる空気の温度および湿度を調整し、その温度および湿度が調整された空調風を車室内に吹き出すことで車室内の空調を行うことが可能である。
また、空調装置5は、車室内の空気を循環させる内気循環モードと、車室外の空気を車室内に導入する外気導入モードとを切り替えて実行可能である。なお、内気循環モードと外気導入モードとの切り替えは、空調装置5に設けられた不図示の内外気切替ドアによる流路切替により実行される。空調装置5が外気導入モードを実行する際、車室外の空気が空調装置5に取り込まれ、フィルタ1を通過した後、温度および湿度を調整された空調風として複数の吹出口から車室内に吹き出される。
一方、空調装置5が内気循環モードを実行する際、車室内の空気が空調装置5に取り込まれ、フィルタ1を通過した後、温度および湿度を調整された空調風として複数の吹出口から車室内に吹き出される。なお、図1では、複数の吹出口のうち、フェイス吹出口7のみを図示しており、フット吹出口とデフロスタ吹出口の図示を省略している。
除去機器としてのフィルタ1は、空調装置5の流路内に組み込まれている。フィルタ1は、例えば、通気性を有する不織布などの集塵用の濾材に活性炭などの脱臭剤を担持させたものがひだ状に折り曲げられ、集塵および脱臭機能を有するものが採用される。この構成により、空調装置5の有する不図示のブロワが作動して空気がフィルタ1を通過すると、その空気に含まれる所定の成分がフィルタ1によって除去される。
フィルタ1は、外気導入モードと内気循環モードのいずれにおいても、空気が通過する位置に取り付けられている。そのため、空調装置5が外気導入モードを実行する際、フィルタ1は、車室外から空調装置5に取り込まれて車室内に吹き出される空気に含まれる所定の成分を捕集し除去する。一方、空調装置5が内気循環モードを実行する際、フィルタ1は、車室内から空調装置5に取り込まれて再び車室内に吹き出される空気に含まれる所定の成分を捕集し除去する。
除去機器としてのフィルタ1が除去可能な所定の成分として、例えば、二酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、オゾン(O)、一酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、揮発性有機化合物(VOC)、高揮発性有機化合物(VVOC)、総揮発性有機化合物(TVOC)、食品臭および体臭の少なくとも1つを含む気体が挙げられる。なお、VOCはVolatile Organic Compoundsの略であり、VVOCはVery Volatile Organic Compoundsの略であり、TVOCはTotal Volatile Organic Compoundsの略である。
第1実施形態の車室外センサ21は、車室外の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する。車室外センサ21が検出する所定の成分は、フィルタ1が除去可能な所定の成分の少なくとも1つである。車室外センサ21は、車両のうち車室外のどこの位置に設置されていてもよい。車室外センサ21が検出した情報は、ECUに伝送される。
ECUは、車室外センサ21から入力される情報や各種プログラム等を記憶するROM、RAM、フラッシュメモリ等の記憶部、および情報処理や演算処理を行うプロセッサを有するマイクロコンピュータと、その周辺回路とで構成されている。記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。ECUは、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各種演算処理および制御処理を行い、出力ポートに接続された各機器の作動を制御する。
具体的に、本実施形態のECUは、フィルタ1による所定の成分の除去効率(以下、「フィルタ効率」という)と、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度とに基づいて、外気導入モードと内気循環モードとの切り替え(すなわち、内外気切替)を行うように構成されている。
なお、フィルタ効率とは、フィルタ1の上流側から下流側へ所定の成分を含む空気を流したときにフィルタ1が所定の成分を捕集・除去する割合をいう。具体的に、フィルタ効率は、フィルタ1の上流側から下流側へ所定の成分を含む空気を流したときに、上流側の空気に含まれる成分濃度と下流側の空気に含まれる成分濃度との差を、上流側の空気に含まれる成分濃度で除算した値として表される。
ここで、ECUが実行する内外気切替の方法について、図2および図3を参照して説明する。
図2は、ECUが実行する内外気切替の方法を説明するためのグラフである。図2のグラフでは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度が人に不快を感じさせる程度に高い状態を想定している。
図2のグラフでは、横軸をフィルタ効率としている。また、図2のグラフでは、縦軸を、車室外からフィルタ1を経由して車室内に侵入する所定の成分濃度としている。
図2のグラフの実線Aに示すように、車室外空気に含まれる所定の成分濃度が高い状態において、その車室外からフィルタ1を経由して車室内に侵入する所定の成分濃度は、フィルタ効率が良いほど低く、フィルタ効率が悪いほど高くなっている。
なお、図2中に横に延びる破線で記載した所定の濃度閾値Th_cは、車室内に侵入する所定の成分濃度によって乗員が不快に感じない程度の濃度に設定されている。この所定の濃度閾値Th_cは、実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。
図2のグラフの上側に示したように、実線Aと所定の濃度閾値Th_cとの交点Pよりも右側の領域では、所定の濃度閾値Th_cより実線Aが低いので、外気導入モードが実行される。それは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度が高い状態であっても、フィルタ効率が良い場合には、フィルタ1によって車室外から車室内に侵入する成分濃度が低減するので、乗員が不快に感じないからである。
それに対し、図2のグラフの上側に示したように、実線Aと所定の濃度閾値Th_cとの交点Pよりも左側の領域では、所定の濃度閾値Th_cより実線Aが高いので、内気循環モードが実行される。それは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度が高い状態で、且つ、フィルタ効率が悪い場合には、仮に外気導入モードとすると、車室外から車室内に侵入する成分濃度が高くなり、乗員が不快に感じてしまうからである。そのため内気循環モードにすることで、車室外から所定の成分が車室内に侵入することを防ぐことができる。
続いて、ECUが実行する内外気切替の方法を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、図3のステップS10でECUは、車室外センサ21から伝送される情報により、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度を検知する。
次に、ステップS11でECUは、フィルタ効率を演算する。フィルタ効率は、例えば、フィルタ1の使用期間に基づく演算、フィルタ1の使用期間と使用環境に基づく演算、所定の条件が成立するたびにフィルタ1による所定の成分濃度の減衰速度を測定した結果に基づく演算など、種々の方法により求めることが可能である。
続いて、ステップS12でECUは、車室外からフィルタ1を経由して車室内に侵入する所定の成分濃度を演算する。この演算は、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度と、フィルタ効率に基づいて演算される。すなわち、図2のグラフに示したように、車室外からフィルタ1を経由して車室内に侵入する所定の成分濃度は、フィルタ効率が良いほど低くなり、フィルタ効率が悪いほど高くなる。
次に、ステップS13でECUは、車室外から車室内に侵入する所定の成分濃度と、ECUに記憶されている所定の濃度閾値Th_cとを比較する。
ECUは、車室外から車室内に侵入する所定の成分濃度が、所定の濃度閾値Th_cより低いと判定すると(すなわち、ステップS13の判定Yes)、処理をステップS14に進める。ステップS14でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ECUは、車室外から車室内に侵入する所定の成分濃度が、所定の濃度閾値Th_cより高いと判定すると(すなわち、ステップS13の判定No)、処理をステップS15に進める。ステップS15でECUは、空調装置5を内気循環モードとする。
その後、ECUは、上述したステップS10~ステップS15の処理を所定の制御時間間隔ごとに繰り返し実行する。
以上説明した第1実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、空調システムの備えるECUは、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、空調装置5の内外気切替を行う。
これによれば、ECUが、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度に加えて、フィルタ効率を考慮して内外気切替を行うので、外気導入モードを好む乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
(2)第1実施形態では、ECUは、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分濃度(すなわち、車室外から車室内に侵入する所定の成分濃度)を演算する。そして、ECUは、演算された所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cよりも低いときに空調装置5を外気導入モードとし、演算された所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cよりも高いときに空調装置5を内気循環モードとする。
これによれば、車室外空気に所定の成分が含まれていても、車室外からフィルタ1を経由して車室内に導入される空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cより低いときは、外気導入モードが選択され実行される。したがって、この空調システムは、外気導入モードを好む乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してセンサの搭載位置と、ECUが実行する内外気切替の方法を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図4に示すように、第2実施形態の空調システムが備えるセンサ2は、車室内の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室内センサ2である。車室内センサ2が検出する所定の成分は、フィルタ1が除去可能な所定の成分の少なくとも1つである。車室内センサ2は、車室内のどこの位置に設置されていてもよい。車室内センサ2が検出した情報は、ECUに伝送される。
第2実施形態の空調システムが備えるECUが実行する内外気切替の方法について、図5および図6を参照して説明する。
図5は、車室内で所定の成分濃度を検出した場合に、ECUが実行する内外気切替の方法を説明するためのグラフである。図5のグラフでは、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が人に不快を感じさせる程度に高い状態を想定している。一方、車室外の空気はきれいな状態であり、所定の成分が殆ど含まれていない状態を想定している。
図5のグラフでは、横軸をフィルタ効率としている。また、図5のグラフでは、縦軸を浄化時間としている。本実施形態において、浄化時間とは、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cより低くなる時間である。その所定の濃度閾値Th_cは、第1実施形態で説明したものと同様に、所定の成分濃度によって乗員が不快に感じない程度の濃度に設定されたものである。このことは、後述する第3、第4実施形態でも同じである。
図5のグラフの実線T_inは、仮に空調装置5を内気循環モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cより低くなる時間(以下、「内気モード浄化時間」という)を示している。空調装置5を内気循環モードとすれば、車室内空気が空調装置5のフィルタ1を経由して循環することで、車室内の所定の成分濃度が低減する。ECUは、車室内センサ2の検出した車室内の所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、内気モード浄化時間を演算することが可能である。図5のグラフの実線T_inに示すように、フィルタ効率が良いほど内気モード浄化時間は短くなり、フィルタ効率が悪いほど内気モード浄化時間は長くなる。
一方、図5のグラフの破線T_outは、仮に空調装置5を外気導入モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値Th_cより低くなる時間(以下、「外気モード浄化時間」という)を示している。車室外空気がきれいな状態のとき、空調装置5を外気導入モードとすれば、車室内の所定の成分濃度が換気により低減する。詳細には、外気導入モードにより車室外の空気が車室内に導入されると、車室内の気圧が高くなり、車両に設けられた不図示の換気口から車室内空気は車外に排出される。そのため、ECUは、車室内センサ2の検出した車室内の所定の成分濃度に基づいて、外気モード浄化時間を演算することが可能である。すなわち、フィルタ効率に関わらず、車室内の所定の成分濃度が低いほど外気モード浄化時間は短くなり、車室内の所定の成分濃度が高いほど外気モード浄化時間は長くなる。なお、外気モード浄化時間が短くなると、図5において破線T_outは下方へ移動する。一方、外気モード浄化時間が長くなると、図5において破線T_outは上方へ移動する。
図5のグラフの上側に示したように、実線T_inと破線T_outとの交点Pよりも右側の領域では、実線T_inが破線T_outよりも浄化時間が短いので、内気循環モードが実行される。それは、フィルタ効率が良い場合には、空調装置5のフィルタ1を経由して車室内空気を循環させることで、車室内の所定の成分濃度を、外気導入モードよりも短時間で低減できるからである。
それに対し、図5のグラフの上側に示したように、実線T_inと破線T_outとの交点Pよりも左側の領域では、実線T_inが破線T_outよりも浄化時間が長いので、外気導入モードが実行される。それは、フィルタ効率が悪い場合には、内気モード浄化時間が長くなるので、空調装置5を外気導入モードとした方が車室内の所定の成分濃度を換気により短時間で低減できるからである。
続いて、ECUが実行する内外気切替の方法を、図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、図6のステップS20でECUは、車室内センサ2から伝送される情報により、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検知する。
次に、ステップS21でECUは、フィルタ効率を演算する。フィルタ効率は、第1実施形態で説明したように、種々の方法により求めることが可能である。
続いて、ステップS22でECUは、内気モード浄化時間を演算する。内気モード浄化時間は、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度と、フィルタ効率に基づいて演算される。すなわち、図5のグラフの実線T_inで示したように、内気モード浄化時間は、フィルタ効率が良いほど短くなり、フィルタ効率が悪いほど長くなる。
次に、ステップS23でECUは、外気モード浄化時間を演算する。外気モード浄化時間は、車室内センサ2の検出した車室内の所定の成分濃度に基づいて演算される。すなわち、図5のグラフの破線T_outで示したように、外気モード浄化時間は、フィルタ効率に関わらず、車室内の所定の成分濃度が低いほど短くなり、車室内の所定の成分濃度が高いほど長くなる。
続いて、ステップS24でECUは、内気モード浄化時間と外気モード浄化時間とを比較する。
ECUは、外気モード浄化時間が内気モード浄化時間より短いと判定すると(すなわち、ステップS24の判定Yes)、処理をステップS25に進める。ステップS25でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ECUは、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間より短いと判定すると(すなわち、ステップS24の判定No)、処理をステップS26に進める。ステップS26でECUは、空調装置5を内気循環モードとする。
その後、ECUは、上述したステップS20~ステップS26の処理を所定の制御時間間隔ごとに繰り返し実行する。
以上説明した第2実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏する。
第2実施形態では、空調システムの備えるECUは、車室内空気に含まれる所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて内気モード浄化時間を演算する。また、ECUは、車室内空気に含まれる所定の成分濃度に基づいて外気モード浄化時間を演算する。そして、ECUは、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間よりも短いときに内気循環モードとし、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間よりも長いときに外気導入モードとする。
これによれば、車室内空気に含まれる所定の成分濃度が高い場合、フィルタ効率を考慮して車室内空気の浄化時間が短くなるように内外気切替が実行される。そのため、この空調システムは、車室内空気を短時間で浄化したい乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態に対してECUが実行する内外気切替の方法を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第3実施形態の空調システムが備えるECUが実行する内外気切替の方法について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、車室内で所定の成分濃度を検出した場合に、ECUが実行する内外気切替の方法を説明するためのグラフである。図7のグラフでは、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が人に不快を感じさせる程度に高い状態を想定している。一方、車室外の空気はきれいな状態であり、所定の成分が殆ど含まれていない状態を想定している。
図7のグラフでは、横軸をフィルタ効率としている。また、図7のグラフでは、縦軸を浄化時間としている。そして、図7のグラフの実線T_inは、内気モード浄化時間を示している。ECUは、車室内センサ2の検出した車室内の所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、内気モード浄化時間を演算することが可能である。
一方、図7中に横に延びる破線で記載した所定の時間閾値Th_tは、例えば、車室外空気がきれいな状態で空調装置5を外気導入モードとしたときに車室内の空気が換気により浄化されると想定される時間として設定されている。この所定の時間閾値Th_tは、ECUに記憶されている。
図7のグラフの上側に示したように、実線T_inと所定の時間閾値Th_tとの交点Pよりも右側の領域では、実線T_inが時間閾値Th_tよりも浄化時間が短いので、内気循環モードが実行される。それは、フィルタ効率が良い場合には、空調装置5のフィルタ1を経由して車室内空気を循環させることで、車室内の所定の成分濃度を短時間で低減できるからである。
それに対し、図7のグラフの上側に示したように、実線T_inと所定の時間閾値Th_tとの交点Pよりも左側の領域では、実線T_inが時間閾値Th_tよりも浄化時間が長いので、外気導入モードが実行される。それは、フィルタ効率が悪い場合には、空調装置5を外気導入モードとした方が車室内の所定の成分濃度を換気によって短時間で低減できるからである。
続いて、ECUが実行する内外気切替の方法を、図8のフローチャートを参照して説明する。
まず、図8のステップS30でECUは、車室内センサ2から伝送される情報により、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検知する。
次に、ステップS31でECUは、フィルタ効率を演算する。フィルタ効率は、第1実施形態で説明したように、種々の方法により求めることが可能である。
続いて、ステップS32でECUは、内気モード浄化時間を演算する。内気モード浄化時間は、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度と、フィルタ効率に基づいて演算される。すなわち、図7のグラフの実線T_inで示したように、内気モード浄化時間は、フィルタ効率が良いほど短くなり、フィルタ効率が悪いほど長くなる。
次に、ステップS33でECUは、内気モード浄化時間と所定の時間閾値Th_tとを比較する。
ECUは、内気モード浄化時間が所定の時間閾値Th_tより長いと判定すると(すなわち、ステップS33の判定Yes)、処理をステップS34に進める。ステップS34でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ECUは、内気モード浄化時間が所定の時間閾値Th_tより短いと判定すると(すなわち、ステップS33の判定No)、処理をステップS35に進める。ステップS35でECUは、空調装置5を内気循環モードとする。
その後、ECUは、上述したステップS30~ステップS35の処理を所定の制御時間間隔ごとに繰り返し実行する。
以上説明した第3実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏する。
第3実施形態では、空調システムの備えるECUは、車室内空気に含まれる所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて内気モード浄化時間を演算する。そして、ECUは、内気モード浄化時間が所定の時間閾値Th_tよりも短いときに内気循環モードとし、内気モード浄化時間が所定の時間閾値Th_tよりも長いときに外気導入モードとする。
これによれば、第3実施形態の空調システムも、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第3実施形態では、外気モード浄化時間を演算しなくてもよいので、第2実施形態に比べて、ECUによる情報処理量を低減することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第2実施形態に対してセンサの搭載位置と、ECUが実行する内外気切替の方法を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図9に示すように、第4実施形態の空調システムが備えるセンサは、車室外の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室外センサ21と、車室内の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室内センサ2とを含んでいる。車室外センサ21と車室内センサ2が検出する所定の成分は、フィルタ1が除去可能な所定の成分の少なくとも1つである。車室外センサ21と車室内センサ2が検出した情報は、ECUに伝送される。
第4実施形態の空調システムが備えるECUが実行する内外気切替の方法について、図10および図11を参照して説明する。
図10は、車室外と車室内でそれぞれ所定の成分濃度を検出した場合に、ECUが実行する内外気切替の方法を説明するためのグラフである。図10のグラフでは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度と、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度のどちらも、人に不快を感じさせる程度に高い状態を想定している。
図10のグラフでは、横軸をフィルタ効率としている。また、図10のグラフでは、縦軸を浄化時間としている。
図10のグラフの実線T_inは、内気モード浄化時間を示している。ECUは、車室内センサ2の検出した車室内の所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、内気モード浄化時間を演算することが可能である。図10のグラフの実線T_inに示すように、フィルタ効率が良いほど内気モード浄化時間は短くなり、フィルタ効率が悪いほど内気モード浄化時間は長くなる。
一方、図10のグラフの破線T_outは、外気モード浄化時間を示している。空調装置5を外気導入モードとすると、車室外空気がフィルタ1を経由して車室内に導入される。このとき、フィルタ効率が良ければ、車室外空気に含まれる所定の成分がフィルタ1により除去され、車室内には所定の成分濃度が十分に低減された空気が導入される。これにより、車室内の気圧が高くなり、車両に設けられた不図示の換気口から所定の成分を含む車室内空気は車外に排出される。それに対し、フィルタ効率が次第に悪くなると、車室外からフィルタ1を経由して車室内に導入される空気に含まれる所定の成分濃度も次第に高くなるので、浄化時間も次第に長くなる。さらに、フィルタ効率が一定以上悪くなると、車室外から高い濃度の所定の成分が導入されるので、車室内空気の浄化ができなくなる。そのため、ECUは、車室外センサ21および車室内センサ2の検出した所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、外気モード浄化時間を演算することが可能である。
すなわち、図10のグラフの破線T_outに示すように、フィルタ効率が良いときは、外気モード浄化時間は短くなり、フィルタ効率が悪くなるに従い外気モード浄化時間は次第に長くなる。そして、フィルタ効率が一定の効率よりも悪い場合には、車室内空気の浄化ができなくなる。
図10のグラフに示すように、実線T_inと破線T_outとの交点P1、P2は、2か所に形成される。以下の説明では、2か所の交点P1、P2のうち、フィルタ効率が良い方の交点を第1交点P1と呼び、フィルタ効率が悪い方の交点を第2交点P2と呼ぶこととする。
図10のグラフの上側に示したように、第1交点P1よりも右側の領域では、実線T_inが破線T_outよりも浄化時間が短いので、内気循環モードが実行される。それは、フィルタ効率が良い場合には、空調装置5のフィルタ1を経由して車室内空気を循環させることで、車室内の所定の成分濃度を、外気導入モードよりも短時間で低減できるからである。
また、図10のグラフの上側に示したように、第1交点P1と第2交点P2との間の領域では、破線T_outが実線T_inよりも浄化時間が短いので、外気導入モードが実行される。この領域では、空調装置5を外気導入モードとした方が車室内の所定の成分濃度を換気により短時間で低減できるからである。
また、図10のグラフの上側に示したように、第2交点P2よりも左側の領域では、内気循環モードが実行される。この領域では、空調装置5を外気導入モードとしても車室内空気の浄化がでないからである。
続いて、ECUが実行する内外気切替の方法を、図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、図11のステップS40でECUは、車室外センサ21から伝送される情報により車室外の空気に含まれる所定の成分濃度を検知し、さらに、車室内センサ2から伝送される情報により車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検知する。
次に、ステップS41でECUは、フィルタ効率を演算する。フィルタ効率は、第1実施形態で説明したように、種々の方法により求めることが可能である。
続いて、ステップS42でECUは、内気モード浄化時間を演算する。内気モード浄化時間は、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度と、フィルタ効率に基づいて演算される。すなわち、図10のグラフの実線T_inで示したように、内気モード浄化時間は、フィルタ効率が良いほど短くなり、フィルタ効率が悪いほど長くなる。
次に、ステップS43でECUは、外気モード浄化時間を演算する。外気モード浄化時間は、車室外センサ21および車室内センサ2の検出した所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて演算される。すなわち、図10のグラフの破線T_outで示したように、外気モード浄化時間は、フィルタ効率が良いときは短くなり、フィルタ効率が悪くなるに従い長くなる。さらに、フィルタ効率が一定の効率よりも悪い場合には車室内空気の浄化ができないので、外気モード浄化時間は無限または算出不能となる。
続いて、ステップS44でECUは、内気モード浄化時間と外気モード浄化時間とを比較する。
ECUは、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間より長いと判定すると(すなわち、ステップS44の判定Yes)、処理をステップS45に進める。ステップS45でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ECUは、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間より短いと判定すると(すなわち、ステップS44の判定No)、処理をステップS46に進める。ステップS46でECUは、空調装置5を内気循環モードとする。
その後、ECUは、上述したステップS40~ステップS46の処理を所定の制御時間間隔ごとに繰り返し実行する。
以上説明した第4実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏する。
第4実施形態では、空調システムの備えるECUは、車室内空気に含まれる所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて内気モード浄化時間を演算する。また、ECUは、車室外空気に含まれる所定の成分濃度と車室内空気に含まれる所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて外気モード浄化時間を演算する。そして、ECUは、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間よりも短いときに内気循環モードとし、内気モード浄化時間が外気モード浄化時間よりも長いときに外気導入モードとする。
これによれば、車室内空気に含まれる所定の成分濃度が高い場合、車室外空気および車室内空気に含まれる所定の成分濃度とフィルタ効率などを考慮して車室内空気の浄化時間が短くなるように内外気切替が実行される。そのため、この空調システムは、車室内空気を短時間で浄化したい乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態に対してECUが実行する内外気切替の方法を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第5実施形態の空調システムが備えるセンサ2は、第1実施形態と同じく、車室外の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室外センサ21である。
第5実施形態の空調システムが備えるECUが実行する内外気切替の方法を、図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、図12のステップS50でECUは、車室外センサ21から伝送される情報により、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度を検知する。
次に、ステップS51でECUは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度と、ECUに記憶されている所定の濃度閾値Th_cとを比較する。所定の濃度閾値Th_cは、所定の成分濃度によって乗員が不快に感じない程度の濃度に設定され、ECUに予め記憶されている。
ECUは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度が、所定の濃度閾値Th_cより低いと判定すると(すなわち、ステップS51の判定Yes)、処理をステップS52に進める。ステップS52でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ECUは、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度が、所定の濃度閾値Th_cより高いと判定すると(すなわち、ステップS51の判定No)、処理をステップS53に進める。
ステップS53でECUは、空調装置5に搭載されているフィルタ1のフィルタ効率を演算する。フィルタ効率は、第1実施形態で説明したように、種々の方法により求めることが可能である。
続いて、ステップS54でECUは、フィルタ効率と、所定のフィルタ効率閾値Th_fとを比較する。所定のフィルタ効率閾値Th_fは、一般的に、外気導入モードにおいて車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を十分に除去可能なフィルタ効率として設定され、ECUに予め記憶されている。
ステップS54でECUは、フィルタ効率が所定のフィルタ効率閾値Th_fより高いと判定すると(すなわち、ステップS54の判定Yes)、処理をステップS52に進める。ステップS52でECUは、空調装置5を外気導入モードとする。
それに対し、ステップS54でECUは、フィルタ効率が所定のフィルタ効率閾値Th_fより低いと判定すると(すなわち、ステップS54の判定No)、処理をステップS55に進める。ステップS55でECUは、空調装置5を内気循環モードとする。
その後、ECUは、上述したステップS50~ステップS55の処理を所定の制御時間間隔ごとに繰り返し実行する。
以上説明した第5実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏するものである。
第5実施形態でも、空調システムの備えるECUは、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度とフィルタ効率とに基づいて、内外気切替を行う。
これによれば、ECUが、車室外センサ21の検出した所定の成分濃度に加えて、フィルタ効率を考慮して内外気切替を行うので、外気導入モードを好む乗員の意向に沿った内外気切替を実行できる。
(第6~第10実施形態)
第6~第10実施形態について説明する。第6~第10実施形態では、ECUがフィルタ1の交換時期を判定し、その結果を乗員に知らせるものについて説明する。
(第6実施形態)
第6実施形態について図13~図15を参照しつつ説明する。図13に示すように、空調システムは、除去機器としてのフィルタ1、車室内の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出するセンサ2、ECUおよび報知装置4などを備えている。
フィルタ1は、空調装置5の流路内に組み込まれている。空調装置5のブロワが作動してフィルタ1を空気が通過すると、その空気に含まれる所定の成分が除去される。なお、本実施形態では、除去機器としてのフィルタ1が空調装置5に組み込まれているので、空調装置5の作動時は、除去機器の作動時に相当する。すなわち、除去機器の作動時とは、除去機器による所定の成分の除去機能が発揮される状態をいう。
空調装置5が内気循環モードを実行する際、車室内の空気が空調装置5のケーシング内に取り込まれ、フィルタ1を通過した後、温度および湿度を調整された空調風として車室内に吹き出される。その際、フィルタ1は、車室内から取り込まれて再び車室内に吹き出される空気に含まれる所定の成分を除去する。
一方、空調装置5が外気導入モードを実行する際、車室外の空気が空調装置5のケーシング内に取り込まれ、フィルタ1を通過した後、温度および湿度を調整された空調風として車室内に吹き出される。その際、フィルタ1は、車室外から取り込まれて車室内に吹き出される空気に含まれる所定の成分を除去する。
空調装置5は、車室内に空調風を吹き出す空調モードとして、フェイス吹出口7から空調風を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口7と不図示のフット吹出口から空調風を吹き出すバイレベル(B/L)モード、フット吹出口から空調風を吹き出すフットモード、不図示のデフロスタ吹出口から空調風を吹き出すデフロスタモード、および、フット吹出口とデフロスタ吹出口から空調風を吹き出すフット/デフロスタモードなどを実行可能である。
センサ2は、車室内の空気に含まれる所定の成分の濃度を検出する車室内センサである。センサ2が検出する所定の成分は、フィルタ1が除去可能な所定の成分の少なくとも1つである。センサ2は、車室内のどこの位置に設置されていてもよい。センサ2が検出した情報は、ECUに伝送される。
本実施形態のECUは、空調装置5の作動時(すなわち、除去機器の作動時)において所定の検知条件となるごとに所定の成分濃度の減衰速度を演算する。そして、ECUは、その所定の成分濃度の減衰速度に基づいて、フィルタ1の交換時期を判定するように構成されている。なお、フィルタ1の交換時期とは、フィルタ1の寿命と言い換えることもできる。
ここで、ECUが実行するフィルタ1の交換時期の判定方法について、図14および図15を参照して説明する。
図14は、ECUが実行する所定の成分濃度の減衰速度の演算方法を説明するためのグラフである。図14のグラフでは、横軸を検知時間とし、縦軸を成分濃度としている。そして、フィルタ1を新品のものに交換してから1回目の濃度計測の結果を実線M_1で示し、2回目の濃度計測の結果を破線M_2で示し、N回目の濃度計測の結果を破線M_nで示している。
ECUは、時刻T0から濃度計測を開始する。ECUが濃度計測を開始する条件として、空調装置5の作動時(すなわち、除去機器の作動時)であることが挙げられる。そして、ECUは、所定の検知条件において、所定の成分濃度の減衰速度を演算する。第6実施形態において、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する際の所定の検知条件は、成分濃度が所定の濃度C1になったときを検知開始時とし、別の所定の濃度C2に減衰したときを検知終了時とすることを含んでいる。なお、所定の濃度C1と別の所定の濃度C2は、フィルタ1の交換時期を判定するために適切な濃度として実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。なお、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、上記の条件に加えて、空調装置5が内気循環モードで作動していること、空調装置5の有するブロワが所定の動作レベルで動作していること、および、空調装置5が所定の空調モードを実行していることなども含んでいる。
まず、ECUは、所定の成分濃度の減衰速度を演算するため、成分濃度が所定の濃度C1から別の所定の濃度C2に減衰するまでの時間を測定する。図14に示した例では、成分濃度が所定の濃度C1から別の所定の濃度C2に減衰するまでの時間は、1回目の濃度計測では、時刻T1から時刻T4までの時間である。2回目の濃度計測では、時刻T2から時刻T5までの時間である。N回目の濃度計測では、時刻T3から時刻T6までの時間である。
次に、ECUは、各回の濃度計測ごとに、所定の濃度C1と別の所定の濃度C2との濃度差を、濃度計測で測定した時間で除算し、所定の成分濃度の減衰速度を演算する。すなわち、所定の成分濃度の減衰速度とは、単位時間当たりの所定の成分濃度の減衰量である。なお、図14のグラフでは、各回の濃度計測ごとの所定の成分濃度の減衰速度は、所定の濃度C1から別の所定の濃度C2の間における実線M_1、破線M_2、破線M_nの傾きとして表されている。
続いて、ECUは、各回の濃度計測で演算した所定の成分濃度の減衰速度と、所定の閾値Thとを比較し、フィルタ1の交換時期を判定する。図15は、そのフィルタ1の交換時期の判定方法を説明するためのグラフである。図15のグラフでは、横軸を検知回数とし、縦軸を所定の成分の減衰速度としている。そして、各回の濃度計測ごとに演算した所定の成分濃度の減衰速度をプロットしている。ECUは、所定の成分の減衰速度が所定の閾値Thより遅くなった状態が複数回(本実施形態では例えば2回)連続して生じたときにときに、フィルタ1が交換時期にあると判定する。図15のグラフに示したように、本実施形態では、ECUは、Z回目で、フィルタ1が交換時期にあると判定する。なお、フィルタ1が交換時期にあると判定するための連続回数は、本実施形態で例示した2回に限らず、フィルタ1交換時期の判定精度が高くなるよう、3回以上に設定してもよい。
また、ECUがフィルタ1の交換時期の判定に用いる所定の閾値Thは、フィルタ1の交換時期を判定するために適切な減衰速度として、実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。なお、この所定の閾値Thは、空調装置5の有するブロワが所定の動作レベルで動作する条件の下で設定されたものである。また、この所定の閾値Thは、空調装置5が所定の空調モードを実行する条件の下で設定されたものである。
そのため、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5の有するブロワが、所定の閾値Thを設定したときのブロワの動作レベルと同じ動作レベルで動作していることを含んでいる。空調装置5の有するブロワの動作レベルが異なれば、フィルタ1を通過する風量が異なるため、所定の成分濃度の減衰速度も異なってくるからである。
また、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5が所定の閾値Thが設定された空調モードと同じ空調モードを実行していることを含んでいる。空調モードが異なれば、車室内の風流れの状態が異なるため、所定の成分濃度の減衰速度も異なってくるからである。
なお、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5が内気循環モードで作動していることを含んでいる。仮に、空調装置5が外気導入モードで作動していれば、車室外から車室内に導入される空気質、および、車室内から不図示の換気口を経由して車室外に排出される空気流量により、所定の成分濃度の減衰速度も異なってくるからである。
このように、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件、および、フィルタ1の交換時期を判定する判定条件を適切に設定することで、その判定精度を高めることが可能である。ECUによる判定結果は、報知装置4に伝送される。
図13に示すように、報知装置4は、例えば、車両のダッシュボード6などに設置される表示機により構成されている。報知装置4は、ECUの判定結果に基づいて、フィルタ1が交換時期にあることを表示画面に表示する。これにより、乗員等は、現在使用されているフィルタ1が交換時期にあることを知ることができる。
以上説明した第6実施形態の空調システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)第6実施形態では、空調システムの備えるECUは、空調装置5の作動時において所定の検知条件となるごとに演算される所定の成分濃度の減衰速度に基づいてフィルタ1の交換時期を判定するように構成されている。
これによれば、ECUは、フィルタ1の交換時期を、現在使用中のフィルタ1による所定の成分濃度の減衰速度(すなわち、現在使用中のフィルタ性能)に基づいて判定する。そのため、この判定には、フィルタ1の使用環境などが考慮されるので、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
また、空調装置5にフィルタ1を組み込む場合でも、車室内のどの場所にセンサ2を設置してもよく、空調装置5の流路にセンサ2を取り付ける必要が無い。そのため、空調装置5の性能低下が生じることが無い。
(2)第6実施形態では、ECUは、空調装置5の作動時において所定の検知条件となるごとに演算される所定の成分濃度の減衰速度が、所定の閾値Thより遅くなったときにフィルタ1が交換時期にあると判定する。
これによれば、ECUは、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
(3)第6実施形態では、ECUは、空調装置5の作動時において所定の検知条件となるごとに演算される所定の成分濃度の減衰速度が所定の閾値Thより遅くなった状態が複数回連続して生じたときにフィルタ1が交換時期にあると判定する。
これによれば、仮に、検出条件のばらつきやセンサ2の検出誤差などがある場合でも、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
(4)第6実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、成分濃度が所定の濃度C1になったときを検知開始時とし、別の所定の濃度C2に減衰したときを検知終了時とすることを含んでいる。
これによれば、図14に示したように、一般に、空調装置5の作動開始時では成分濃度の減衰速度が大きく、成分濃度が薄くなるに従って成分濃度の減衰速度も次第に遅くなる。また、空調装置5の作動開始時では、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度にばらつきがある。それに対し、本実施形態では、ECUは、各回の濃度計測において、検知開始時と検知終了時の成分濃度C1、C2を一定の濃度に定めて、その間の成分濃度の減衰速度を適切に演算する。したがって、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
(5)第6実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5が内気循環モードで作動していることを含んでいる。
これによれば、空調装置5が外気導入モードで作動していると、車室外から車室内に導入される空気質、および、車室内から車室外に排出される空気流量により、ECUは、フィルタ性能を正確に判定することが困難になる。それに対し、本実施形態では、空調装置5を内気循環モードとすることで、車室外空気が車室内に導入されることや、車室内空気が車室外に排出されることが無い。そのため、ECUは、フィルタ性能を正確に判定でき、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
(6)第6実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5の有するブロワが、所定の動作レベルで動作していることを含んでいる。
これによれば、空調装置5の有するブロワの動作レベルが変わると、フィルタ1を通過する風量が変わるので、ECUは、フィルタ性能を正確に判定することが困難になる。それに対し、本実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する際に、空調装置5の有するブロワの動作レベルを、所定の動作レベルとすることで、フィルタ1を通過する風量の変動に起因するフィルタ性能の誤差が低減される。そのため、ECUは、フィルタ性能を正確に判定でき、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
なお、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する際のブロワの動作レベルは、フィルタ1の交換時期の判定に用いる閾値Thを設定した際のブロワの動作レベルと同じにするのが好ましい。
(7)第6実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5が、所定の空調モードで実行していることを含んでいる。
これによれば、空調装置5が実行する空調モードに応じて車室内の風の流れ方が異なるので、ECUは、フィルタ性能を正確に判定することが困難になる。それに対し、本実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する際に、空調装置5を所定の空調モードとすることで、車室内の風の流れ方に起因するフィルタ性能の誤差が低減される。そのため、ECUは、フィルタ性能を正確に判定でき、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
なお、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する際の空調モードは、フィルタ1の交換時期の判定に用いる閾値Thを設定した際の空調モードと同じにするのが好ましい。
(第7~第9実施形態)
第7~第9実施形態について説明する。第7~第9実施形態は、第6実施形態に対して、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件の一部を変更したものであり、その他については第6実施形態と同様であるため、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
(第7実施形態)
第7実施形態の空調システムが備えるECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する方法について、図16を参照して説明する。図16のグラフも、図14と同様に、横軸を検知時間とし、縦軸を成分濃度としている。そして、フィルタ1を新品のものに交換してから1回目の濃度計測の結果を実線M_1で示し、2回目の濃度計測の結果を破線M_2で示し、N回目の濃度計測の結果を破線M_nで示している。
第7実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する所定の検知条件は、センサ2が検出する所定の成分濃度が所定の濃度C11になったときを検知開始時とし、検知開始時から所定の検知時間DTが経過したときを検知終了時刻とすることを含んでいる。なお、所定の成分濃度C11と所定の検知時間DTは、フィルタ1の交換時期を判定するために適切な濃度および検知時間として実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。
まず、ECUは、所定の成分濃度の減衰速度を演算するため、各回の濃度計測ごとに、成分濃度が所定の成分濃度C11になった時刻(すなわち、検知開始時の時刻)と、その検知開始時から所定の検知時間DTが経過した検知終了時の成分濃度を測定する。図16に示した例では、1回目の濃度計測では、検知開始時の時刻はT11、所定の検知時間DTが経過した検知終了時刻T14の成分濃度はC14である。2回目の濃度計測では、検知開始時の時刻はT12、所定の検知時間DTが経過した検知終了時刻T15の成分濃度はC13である。N回目の濃度計測では、検知開始時の時刻はT11、所定の検知時間DTが経過した検知終了時刻T16の成分濃度はC12である。
次に、ECUは、各回の濃度計測ごとに、検知開始時の成分濃度C11と各回の検知終了時の成分濃度との濃度差を、所定の検知時間DTで除算し、所定の成分濃度の減衰速度を演算する。なお、図16のグラフでは、各回の濃度計測ごとの所定の成分濃度の減衰速度は、各回における検知開始時から検知終了時までの実線M_1、破線M_2、破線M_nの傾きとして表されている。
続いて、ECUは、第6実施形態と同じく、各回の濃度計測で演算した所定の成分濃度の減衰速度と、所定の閾値Thとを比較し、フィルタ1の交換時期を判定する。その判定結果は、報知装置4の表示画面に表示される。
以上説明した第7実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、成分濃度が所定の濃度C11になったときを検知開始時とし、検知開始時から所定の検知時間DTが経過したときを検知終了時とすることを含んでいる。
これによれば、図16に示したように、一般に、空調装置5の作動開始時では成分濃度の減衰速度が大きく、成分濃度が薄くなるに従って成分濃度の減衰速度も次第に遅くなる。また、空調装置5の作動開始時では、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度にばらつきがある。それに対し、第7実施形態では、ECUは、各回の濃度計測において、検知開始時の成分濃度を一定の濃度に定めて、所定の検知時間DTにおける成分濃度の減衰速度を適切に演算できるので、フィルタ1の交換時期の判定精度を向上できる。
(第8実施形態)
第8実施形態の空調システムが備えるECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する方法について、図17を参照して説明する。図17のグラフも、図14および図15と同様に、横軸を検知時間とし、縦軸を成分濃度としている。そして、フィルタ1を新品のものに交換してから1回目の濃度計測の結果を実線M_1で示し、2回目の濃度計測の結果を破線M_2で示し、N回目の濃度計測の結果を破線M_nで示している。
第8実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する所定の検知条件は、空調装置5の作動開始時を検知開始時刻T0とし、所定の成分濃度が所定の成分濃度C22になったときを検知終了時とすることを含んでいる。なお、検知終了時を定める所定の成分濃度C22は、フィルタ1の交換時期を判定するために適切な成分濃度として実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。
まず、ECUは、所定の成分濃度の減衰速度を演算するため、各回の濃度計測ごとに、検知開始時の成分濃度と、成分濃度が所定の成分濃度C22になったときの時刻(すなわち、検知終了時刻)を測定する。図17に示した例では、1回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC21、検知終了時刻はT21である。2回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC21、検知終了時刻はT22である。3回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC21、検知終了時刻はT23である。
次に、ECUは、各回の濃度計測ごとに、検知開始時の成分濃度と各回の検知終了時の成分濃度C22との濃度差を、検知開始時刻T0から検知終了時刻までの時間で除算し、所定の成分濃度の減衰速度を演算する。なお、図17のグラフでは、各回の濃度計測ごとの所定の成分濃度の減衰速度は、各回における検知開始時刻T0から検知終了時刻までの実線M_1、破線M_2、破線M_nの傾きとして表されている。
続いて、ECUは、第6実施形態と同じく、各回の濃度計測で演算した所定の成分濃度の減衰速度と、所定の閾値Thとを比較し、フィルタ1の交換時期を判定する。その判定結果は、報知装置4の表示画面に表示される。
以上説明した第8実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5の作動開始時を検知開始時刻T0とし、所定の成分濃度が所定の成分濃度C22になったときを検知終了時とすることを含んでいる。この方法によっても、ECUは、各回の濃度計測において、所定の成分濃度の減衰速度を演算することができる。
(第9実施形態)
第9実施形態の空調システムが備えるECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する方法について、図18を参照して説明する。図18のグラフも、図14および図15と同様に、横軸を検知時間とし、縦軸を成分濃度としている。そして、フィルタ1を新品のものに交換してから1回目の濃度計測の結果を実線M_1で示し、2回目の濃度計測の結果を破線M_2で示し、N回目の濃度計測の結果を破線M_nで示している。
第9実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算する所定の検知条件は、空調装置5の作動開始時を検知開始時刻T0とし、その検知開始時刻T0から所定の検知時間DTが経過したときを検知終了時刻とすることを含んでいる。なお、所定の検知時間DTは、フィルタ1の交換時期を判定するために適切な検知時間として実験などにより予め設定され、ECUに記憶されている。
まず、ECUは、所定の成分濃度の減衰速度を演算するため、各回の濃度計測ごとに、検知開始時の成分濃度と、検知開始時から所定の検知時間DTが経過したときの成分濃度を測定する。図18に示した例では、1回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC31、検知終了時刻T30の成分濃度はC34である。2回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC31、検知終了時刻T30の成分濃度はC33である。3回目の濃度計測では、検知開始時の成分濃度はC31、検知終了時刻T30の成分濃度はC32である。
次に、ECUは、各回の濃度計測ごとに、検知開始時の成分濃度と各回の検知終了時の成分濃度との濃度差を、検知時間DTで除算し、所定の成分濃度の減衰速度を演算する。なお、図18のグラフでは、各回の濃度計測ごとの所定の成分濃度の減衰速度は、各回における検知開始時刻T0から検知終了時刻T30までの実線M_1、破線M_2、破線M_nの傾きとして表されている。
続いて、ECUは、第6実施形態と同じく、各回の濃度計測で演算した所定の成分濃度の減衰速度と、所定の閾値Thとを比較し、フィルタ1の交換時期を判定する。その判定結果は、報知装置4の表示画面に表示される。
以上説明した第9実施形態では、ECUが所定の成分濃度の減衰速度を演算するための所定の検知条件は、空調装置5の作動時を検知開始時刻T0とし、その検知開始時刻T0から所定の検知時間DTが経過したときを検知終了時刻とすることを含んでいる。この方法によっても、ECUは、各回の濃度計測において、所定の成分濃度の減衰速度を演算することができる。
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。第10実施形態は、第6実施形態等に対してセンサ2および報知装置4の構成を変更したものであり、その他については第6実施形態と同様であるため、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図19に示すように、第10実施形態では、センサ2a、2b、2cは、例えば、ダッシュボード6の下、車室内天井のうち中央部、および、車室内天井のうち車両後方部の少なくとも1カ所に設けられている。このように、センサ2a、2b、2cは、車室内のどこの位置に設置されていてもよい。
また、第10実施形態では、報知装置4aは、例えば、音声を出力するスピーカーにより構成されている。報知装置4aは、ECUの判定結果に基づいて、フィルタ1が交換時期にあることを音声で知らせる。これにより、乗員等は、現在使用されているフィルタ1が交換時期にあることを知ることができる。
以上説明した第10実施形態においても、上述した第6実施形態等と同一の作用効果を奏することができる。
(他の実施形態)
(1)上記第1実施形態では空調システムの備えるセンサを、車室外センサ21として説明したが、これに限らず、車室内センサ2としてもよい。その場合、車室内センサ2は、外気導入モードの際に車室外からフィルタ1を経由して車室内に導入される空気に含まれる所定の成分濃度を検出し、ECUはその成分濃度が所定の閾値より低い場合に、空調装置5を外気導入モードとする。
(2)上記第1~第5実施形態では、除去機器は、空調装置5の流路内に組み込まれるフィルタ1として説明したが、それに限らず、例えば、除去機器は、空調装置5の流路内または吹出口に設置されるイオナイザ装置であってもよい。
また、上記第6~第10実施形態では、除去機器は、空調装置5の流路内に組み込まれるフィルタ1として説明したが、それに限らず、例えば、除去機器は、空調装置5とは別に車両搭載される空気清浄装置のフィルタ1であってもよく、或いは、イオナイザ装置であってもよい。
(3)上記第6~第10実施形態では、報知装置4は、表示機またはスピーカーとして説明したが、それに限らず、例えば、報知装置4は、ランプ、ブザーであってもよく、或いは、乗員等の有するスマートフォンなどの通信機器にメッセージを送信する装置でもよい。
(4)上記第6~第10実施形態では、ECUは、所定の成分濃度の減衰速度に基づいて除去機器としてのフィルタ1の交換時期を判定することについて説明したが、それに限らず、所定の成分濃度の減衰速度に基づいてフィルタ1の種類を判別してもよい。具体的には、車両に搭載されているフィルタ1が除塵フィルタであるか、又は、脱臭フィルタであるかを判定し、その結果を報知装置4により乗員等に知らせてもよい。車両に搭載されているフィルタ1が、所定の成分を吸着しない除塵フィルタである場合、空調装置5の作動時において所定の検知条件となるごとに演算される所定の成分濃度が殆ど減衰しない。その演算結果に基づいて、ECUは、そのフィルタ1が除塵フィルタであるか、又は、脱臭フィルタであるかを判定できる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
本発明に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
1 フィルタ(除去機器)
2 車室内センサ
21 車室外センサ
3 電子制御装置(ECU)
5 空調装置

Claims (6)

  1. 車両に搭載される空調システムにおいて、
    車室外空気を車室内に導入する外気導入モードと、車室内空気を循環させる内気循環モードとを切り替え可能な空調装置(5)と、
    車室外および車室内の少なくとも一方の空気に含まれる所定の成分濃度を検出するセンサ(2、21)と、
    前記空調装置に設けられ、外気導入モード時に車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を除去し、且つ、内気循環モード時に前記空調装置を経由して車室内を循環する空気に含まれる所定の成分を除去する除去機器(1)と、
    前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、前記空調装置が実行する外気導入モードと内気循環モードとを切り替える電子制御装置(3)と、を備える空調システム。
  2. 前記センサは、少なくとも車室外の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する車室外センサ(21)を含んでおり、
    前記電子制御装置は、前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記車室外センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、車室外から前記除去機器を経由して車室内に導入される空気に含まれる所定の成分濃度を演算し、
    演算された所定の成分濃度が所定の濃度閾値(Th_c)よりも低いときに外気導入モードとし、
    演算された所定の成分濃度が所定の濃度閾値よりも高いときに内気循環モードとする、請求項1に記載の空調システム。
  3. 前記センサは、少なくとも車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する車室内センサ(2)を含んでおり、
    前記電子制御装置は、前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記車室内センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、内気循環モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値より低くなる時間としての内気モード浄化時間と、外気導入モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値より低くなる時間としての外気モード浄化時間とを演算し、
    前記内気モード浄化時間が前記外気モード浄化時間よりも短いときに内気循環モードとし、
    前記内気モード浄化時間が前記外気モード浄化時間よりも長いときに外気導入モードとする、請求項1に記載の空調システム。
  4. 前記センサは、少なくとも車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する車室内センサを含んでおり、
    前記電子制御装置は、前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記車室内センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、内気循環モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値より低くなる時間としての内気モード浄化時間を演算し、
    前記内気モード浄化時間が所定の時間閾値(Th_t)よりも短いときに内気循環モードとし、
    前記内気モード浄化時間が所定の時間閾値よりも長いときに外気導入モードとする、請求項1に記載の空調システム。
  5. 前記センサは、車室内の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する車室内センサと、車室外の空気に含まれる所定の成分濃度を検出する車室外センサとを含んでおり、
    前記電子制御装置は、前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記車室内センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、内気循環モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値より低くなる時間としての内気モード浄化時間を演算し、
    前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記車室内センサおよび前記車室外センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、外気導入モードとしたときに車室内の空気に含まれる所定の成分濃度が所定の濃度閾値より低くなる時間としての外気モード浄化時間を演算し、
    前記内気モード浄化時間が前記外気モード浄化時間よりも短いときに内気循環モードとし、
    前記内気モード浄化時間が前記外気モード浄化時間よりも長いときに外気導入モードとする、請求項1に記載の空調システム。
  6. 車室外空気を車室内に導入する外気導入モードと、車室内空気を循環させる内気循環モードとを切り替え可能な空調装置(5)と、車室外および車室内の少なくとも一方の空気に含まれる所定の成分濃度を検出するセンサ(2、21)と、前記空調装置に設けられ、外気導入モード時に車室外から車室内に導入される空気に含まれる所定の成分を除去し、且つ、内気循環モード時に前記空調装置を経由して車室内を循環する空気に含まれる所定の成分を除去する除去機器(1)と、を備える車両に搭載される電子制御装置(3)において、
    前記除去機器による所定の成分の除去効率と前記センサの検出した所定の成分濃度とに基づいて、前記空調装置が実行する外気導入モードと内気循環モードとを切り替えるように構成されている電子制御装置。
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