JP2023051456A - アクチュエータ及び水上バイク - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺部材に加わる負担を軽減すること。【解決手段】アクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続されて水流方向変更部の角度を調整する長尺部材を、モータの駆動により回転して進退移動させる駆動部と、モータの過負荷を検出する検出部と、モータの過負荷に基づき、長尺部材が接続された駆動部の回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する基準位置設定部と、を備える。【選択図】図11A

Description

本発明は、アクチュエータ及び水上バイクに関する。
特許文献1には、水上バイクの船体に設けられているリバースゲートのアクチュエータに不具合が生じた場合でも、ノズルから噴射された水がリバースゲートに遮られないように制御して、水上バイクを前進させる技術が開示されている。
特許文献1に開示されているアクチュエータは、リバースゲートから伸びるロッドの端部に接続され回転運動を、ロッドが直線移動する直線運動に変換することで、当該ロッドを進退移動させるロッド駆動部と、該ロッド駆動部を回転させるモータと、ロッド駆動部の回転量を検出する検出装置とを備えている。
このように構成されている従来のアクチュエータは、船体の組み立て工場などに出荷された後、船体に設けられているロッドなどの長尺部材を介して、水流方向変更部に接続される。水流方向変更部は、手作業で船体に設置される。
特開2014-080041号公報
しかしながら、水流方向変更部の船体への取り付け位置にばらつきが生じた場合、ロッド駆動部の基準位置(例えばリバースポジションなど)がずれてしまうため、この状態で駆動部が動作すると、水流方向変更部が船体に接しているにも係わらず駆動部が長尺部材を前進又は後退させるように動作して、長尺部材に大きな負担がかかる場合がある。このため、特許文献1に開示されているアクチュエータでは、水流方向変更部の船体への取り付け位置にばらつきが生じた場合でも、長尺部材に加わる負担を軽減したいという要望に対応することができないという課題がある。
本発明の目的は、長尺部材に加わる負担を軽減することができるアクチュエータ及び水上バイクを提供することである。
本発明のアクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続されて前記水流方向変更部の角度を調整する長尺部材を、モータの駆動により回転して進退移動させる駆動部と、前記モータの過負荷を検出する検出部と、前記モータの過負荷に基づき、前記長尺部材が接続された駆動部の回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する基準位置設定部と、を備える。
本発明の水上バイクは、上記のアクチュエータを備える。
本発明によれば、長尺部材に加わる負担を軽減することができるアクチュエータ及び水上バイクを得ることができる。
本発明の実施の形態に係る水上バイク100の構成例を示す図 船体1が前進状態であるときの推進機構3の構成例を示す図 船体1が後退状態であるときの推進機構3の構成例を示す図 アクチュエータ10の構成例を示す図 ロッド駆動部11の構成例を示す図 ロッド駆動部12の構成例を示す図 本発明の実施の形態に係るECU13の構成例を示す図 アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート 基準位置を修正するECU13の構成例を示す図 アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート 船体1に取り付けられたときに基準位置の初期設定を設定するアクチュエータ10が備えているECU13の構成例を説明する図 アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[水上バイク100]
図1は本発明の実施の形態に係る水上バイク100の構成例を示す図である。水上バイク100は、船体1、原動機2、推進機構3、及びアクチュエータ10を備えている。
[原動機2]
原動機2は、推進機構3を駆動するモータ、内燃機関などである。原動機2は、船体1の内部に設けられているドライブシャフト4を介して、推進機構3に接続されている。
[ドライブシャフト4]
ドライブシャフト4は、推進機構3から延伸しているインペラシャフト31に接続されている。インペラシャフト31は、原動機2の回転力をインペラに伝達するためのシャフトである。
[アクチュエータ10]
アクチュエータ10は、推進機構3が備えている水流方向変更部の角度を調整するための装置である。なお、アクチュエータ10と水流方向変更部の詳細は後述する。
アクチュエータ10は、ロッド11a及びロッド12aを介して、水流方向変更部に接続されている。ロッド11a及びロッド12aは、水流方向変更部の角度を調整するための進退移動部材である。
[推進機構3]
推進機構3は、原動機2の回転力によって、船体1の周囲の水を吸引し、吸引した水を噴射することによって、船体1を推進させるための推進力を発生する機構である。
次に図2及び図3を参照して推進機構3の構成例を説明する。図2は船体1が前進状態であるときの推進機構3の構成例を示す図、図3は船体1が後退状態であるときの推進機構3の構成例を示す図である。
推進機構3は、インペラシャフト31、インペラ32、ノズル33、トリムゲート34、及びリバースゲート35を備えている。
[インペラシャフト31]
インペラシャフト31は、インペラ32に接続されている。インペラ32は、インペラシャフト31とともに回転することによって水を吸引し、吸引した水をノズル33から噴出する動翼である。
[ノズル33]
ノズル33は、インペラ32が回転することで吸引された水を特定の方向に噴出する排水口である。
[トリムゲート34]
トリムゲート34は、図1に示す船体1の水平方向に対する傾斜角度を変更するために、ノズル33が噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部の一例である。トリムゲート34は、ノズル33の後方に配置されている。
トリムゲート34には、図1に示すアクチュエータ10から伸びているロッド11aが接続されている。
ロッド11aが進退移動することにより、トリムゲート34は、ノズル33から噴出する水流の方向を転換するように動作する。
例えば、ロッド11aがトリムゲート34に向かって前進した場合、トリムゲート34の吹き出し口が下側に傾くため、ノズル33から噴出する水流は、斜め下方向に流れる。
ロッド11aがトリムゲート34から図1に示すアクチュエータ10に向かって後退した場合、トリムゲート34の吹き出し口が上側に傾くため、ノズル33から噴出する水流は、斜め上方向に流れる。
[リバースゲート35]
リバースゲート35は、トリムゲート34から噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部の一例である。リバースゲート35は、船体1の船首からトリムゲート34を見て、トリムゲート34の後方に配置されている。
リバースゲート35には、図1に示すアクチュエータ10から伸びているロッド12aが接続されている。ロッド12aが進退移動することにより、ロッド12aに接続されているリバースゲート35は、トリムゲート34から噴出する水流の方向を転換するように動作する。
例えば、ロッド12aがリバースゲート35から図1に示すアクチュエータ10に向かって後退した場合、リバースゲート35は、図2に示すように、トリムゲート34の吹き出し口を開放するように回転する。
この場合、トリムゲート34から噴出する水流WFは、図1に示す船体1の後方に向かって流れる。これにより船体1を前進させることができる。
この状態から、ロッド12aがリバースゲート35に向かって前進した場合、リバースゲート35は、図3に示すように、トリムゲート34の吹き出し口を塞ぐように回転する。
この場合、トリムゲート34から噴出する水流WFは、船体1の斜め前方に流れる。これにより、船体1を後退させることができる。
次に図4を参照してアクチュエータ10の構成例を説明する。図4はアクチュエータ10の構成例を示す図である。
アクチュエータ10は、ロッド11aを進退移動させるロッド駆動部11と、ロッド12aを進退移動させるロッド駆動部12と、ロッド駆動部11及びロッド駆動部12を制御するためのECU(Electronic Control Unit)13とを備えている。
ロッド11aにはロッド駆動部11が連結され、ロッド12aにはロッド駆動部12が連結されている。
次に図5を参照してロッド駆動部11の構成を具体的に説明する。図5はロッド駆動部11の構成例を示す図である。
[ロッド駆動部11]
ロッド駆動部11は、第1モータ11bと、第1モータ11bによって回転する回転部材11cと、第1モータ11bの回転量を検出するセンサ11dと、駆動部11eとを備えている。
第1モータ11bは駆動部11eに接続されている。駆動部11eは、出力軸11e1、ハウジング11e2、ハウジング11e2に収納されている不図示の減速機構などを備えている。
当該減速機構は、第1モータ11bの回転力を減速して出力軸11e1に伝達するためのウォームギヤ、ウォームホイールなどを組み合わせた機構である。
出力軸11e1には回転部材11cが接続され、回転部材11cにはロッド11aの端部が連結されている。出力軸11e1とともに回転部材11cが回転することによって、第1モータ11bの回転運動を、ロッド11aが直線移動する直線運動に変換することができる。
回転部材11cは、回転部材11cの回転方向におけるニュートラルポジションPを中心にして、第1回転方向CDに回転し、又は、第1回転方向とは反対側の第2回転方向CCDに回転する。
ニュートラルポジションPは、回転部材11cがアップポジションPからダウンポジションPまで回転するときの中間位置である。
アップポジションPは、図2に示されるトリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に向かうように、トリムゲート34の角度を所定角度に設定する位置である。
アップポジションPは、例えば、図1に示される水上バイク100に設けられている不図示のボタンなどが押された場合に設定される回転部材11cの回転方向における基準位置に等しい。
また、アップポジションPは、例えば図1に示される船体1へアクチュエータ10を組み付けるために、船体1の組立て工場に向けてアクチュエータ10を出荷するときに設定される回転位置である。
ダウンポジションPは、図2に示されるトリムゲート34の吹き出し口が斜め下方に向かうように、トリムゲート34の角度を所定角度に設定する位置である。
第1回転方向CDは、図5に示す回転部材11cを時計回り方向に回転させる方向である。
回転部材11cがニュートラルポジションPから第1回転方向CDに向かってアップポジションPまで回転したときの回転角度θは、回転部材11cがニュートラルポジションPから第2回転方向CCDに向かってダウンポジションPまで回転したときの回転角度θと等しい。なお、回転部材11cのニュートラルポジションPは、ノズル33から噴出する水流WFが、トリム34の吹き出し口から略水平に流出される角度であれば、回転部材11cがアップポジションPからダウンポジションPまで回転するときの中間位置でなくてもよい。
回転部材11cの基準位置は、第1モータ11bの回転量に基づき、後述する基準位置設定部によって、所定の位置に設定される。基準位置を設定する方法の詳細は後述する。
センサ11dは、第1モータ11bの回転量を検出する回転量検出手段である。
例えば、センサ11dは、第1モータ11bの不図示のロータに設置された回転量検出用マグネットから発生する磁束の変化を検出し、磁束の変化に対応した電圧を、パルス信号として図4に示すECU13に送信する。
第1モータ11bの回転量は、第1モータ11bが回転するときにセンサ11dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値に基づき、図4に示すECU13によって算出される。パルスカウント値は、第1モータ11bの回転量に対応している。
なお、第1モータ11bの回転量は、第1モータ11bが回転するときのパルスカウント値に代えて、第1モータ11bが回転するときに計測される時間に基づき算出されてもよい。
この場合、例えば、第1モータ11bの回転量は、回転部材11cが、アップポジションPからダウンポジションPまで、又は、ダウンポジションPからアップポジションPまでの回転時間に対する第1モータ11bの回転時間の比に基づき、図4に示すECU13によって算出される。
センサ11dは、例えば第1モータ11bに内蔵されているホールIC(Integrated Circuit)である。第1モータ11bに内蔵されているセンサ11dを用いることによって、第1モータ11bの周囲に、回転量検出手段を設けるためのスペースを確保する必要がなくなる。このため、アクチュエータ10の設計の自由度が向上し、アクチュエータ10の設計変更に要する時間を短縮することができる。
なお、センサ11dには、第1モータ11bに内蔵されている回転量検出手段に代えて、第1モータ11bの外部に設けられている回転量検出手段を用いてもよい。この場合、当該回転量検出手段は、第1モータ11bの回転軸の回転量を検出して、検出した回転量を示す信号をECU13に送信する。
次に図6を参照してロッド駆動部12の構成例を説明する。図6はロッド駆動部12の構成例を示す図である。
[ロッド駆動部12]
ロッド駆動部12は、第2モータ12bと、第2モータ12bによって回転する回転部材12cと、第2モータ12bの回転量を検出するセンサ12dと、駆動部12eとを備えている。
第2モータ12bは、駆動部12eに接続されている。駆動部12eは、出力軸12e1、ハウジング12e2、ハウジング12e2に収納されている不図示の減速機構などを備えている。
当該減速機構は、第2モータ12bの回転力を減速して出力軸12e1に伝達するためのウォームギヤ、ウォームホイールなどを組み合わせた機構である。
出力軸12e1には回転部材12cが接続され、回転部材12cにはロッド12aの端部が連結されている。出力軸12e1とともに回転部材12cが回転することによって、第2モータ12bの回転運動を、ロッド12aが直線移動する直線運動に変換することができる。
回転部材12cは、回転部材12cの回転方向におけるニュートラルポジションPから、第1回転方向CDに回転し、又は、第1回転方向CDとは反対側の第2回転方向CCDに回転する。
ニュートラルポジションPは、回転部材12cがリバースポジションPからフォワードポジションPまで回転するときの中間位置である。ニュートラルポジションPにおいては、リバースバケット35は中間位置に位置するため、船体1は停止又は微速で前進する。
フォワードポジションPは、図2に示されるリバースゲート35がトリムゲート34の吹き出し口を開放するように、リバースゲート35の角度を所定角度に設定する位置である。
リバースポジションPは、図2に示されるリバースゲート35がトリムゲート34の吹き出し口を塞ぐように、リバースゲート35の角度を所定角度に設定する位置である。
リバースポジションPは、例えば、図1に示される水上バイク100に設けられている不図示のボタンなどが押された場合に設定される回転部材12cの回転方向における基準位置である。
また、リバースポジションPは、例えば、図1に示される船体1へアクチュエータ10を組み付けるために、船体1の組み立て工場に向けてアクチュエータ10を出荷するときに設定される回転位置である。
第1回転方向CDは、図6に示す回転部材12cを時計回り方向に回転させる方向である。
回転部材12cがニュートラルポジションPから第1回転方向CDに向かってリバースポジションPまで回転したときの回転角度θは、回転部材12cがニュートラルポジションPから第2回転方向CCDに向かってフォワードポジションPまで回転したときの回転角度θと等しい。なお、回転部材12cのニュートラルポジションPは、船体1が停止状態を維持でき、又は、船体1が微速で前進できるのであれば、回転部材12cがニュートラルポジションPから第1回転方向CDにリバースポジションPまで回転したときの回転角度の中間位置でなくてもよい。
回転部材12cの基準位置は、第2モータ12bの回転量に基づき、後述する基準位置設定部によって、所定の位置に設定される。
センサ12dは、第2モータ12bの回転量を検出する回転量検出手段である。
例えば、センサ12dは、第2モータ12bの不図示のロータに設置されている回転量検出用マグネットから発生する磁束の変化を検出し、磁束の変化に対応した電圧を、パルス信号として図4に示すECU13に送信する。
第2モータ12bの回転量は、第2モータ12bが回転するときにセンサ12dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値に基づき、図4に示すECU13によって算出される。パルスカウント値は、第2モータ12bの回転量に対応している。
なお、第2モータ12bの回転量は、第2モータ12bが回転するときのパルスカウント値に代えて、第2モータ12bが回転するときに計測される時間に基づき算出されてもよい。
この場合、例えば、第2モータ12bの回転量は、回転部材12cが、フォワードポジションPからリバースポジションPまで、又は、リバースポジションPからフォワードポジションPまでの回転時間に対する第2モータ12bの回転時間の比に基づき、図4に示すECU13によって算出される。
センサ12dは、例えば、第2モータ12bに内蔵されているホールICである。第2モータ12bに内蔵されているセンサ12dを用いることによって、第2モータ12bの周囲に、回転量検出手段を設けるためのスペースを確保する必要がなくなる。このため、アクチュエータ10の設計の自由度が向上し、アクチュエータ10の設計変更に要する時間を短縮することができる。
なお、センサ12dには、第2モータ12bに内蔵されている回転量検出手段に代えて、第2モータ12bの外部に設けられている回転量検出手段が用いられてもよい。この場合、当該回転量検出手段は、第2モータ12bの回転軸の回転量を検出して、検出した回転量を示す信号をECU13に送信する。
次に図7を参照してECU13の構成例を説明する。図7は本発明の実施の形態に係るECU13の構成例を示す図である。
[ECU13]
ECU13は、CPU(Central Processing Unit)、メモリなどを含むマイクロコンピュータで構成される。ECU13は、判定処理部13A及び記憶部13dを備えている。判定処理部13Aは、第1モータ制御部13a、第2モータ制御部13b、及び基準位置設定部13cを備えている。
[第1モータ制御部13a]
第1モータ制御部13aは、不図示のトリム操作部から送信されるトリム操作信号基づき、第1モータ11bの回転量を調整する。不図示のトリム操作部は、図2に示すトリムゲート34の角度を調整するための人が操作するスイッチである。
[第2モータ制御部13b]
第2モータ制御部13bは、不図示のノズル操作部から送信されるノズル操作信号に基づき、第2モータ12bの回転量を調整する。ノズル操作部は、図2に示すリバースゲート35の角度を、前進シフト位置、後退シフト位置などに設定するためのスイッチである。
前進シフト位置に設定するとは、図6に示される回転部材12cの回転位置をフォワードポジションPに設定することである。
後退シフト位置に設定するとは、図6に示される回転部材12cの回転位置をリバースポジションPに設定することである。
[記憶部13d]
記憶部13dは、図5に示される回転部材11cの回転方向におけるニュートラルポジションP、リバースポジションP、及びダウンポジションPを示す情報と、これらの情報以外の情報とを記憶する。
また記憶部13dは、図6に示される回転部材12cの回転方向におけるニュートラルポジションP、フォワードポジションP、及びリバースポジションPを示す情報と、これらの情報以外の情報とを記憶する。
また記憶部13dは、センサ11dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値と、センサ12dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値とを記憶する。
[基準位置設定部13c]
基準位置設定部13cは、第1モータ11bの回転量に基づき、図5に示すロッド駆動部11の回転方向における基準位置であるアップポジションPを、所定の位置に設定する。基準位置設定部13cは、記憶部13dに保存されているアップポジションPに関する情報を、所定の位置に更新する。
また、基準位置設定部13cは、第2モータ12bの回転量に基づき、図6に示すロッド駆動部12の回転方向における基準位置であるリバースポジションPを、所定の位置に設定する。基準位置設定部13cは、記憶部13dに保存されているリバースポジションPに関する情報を、所定の位置に更新する。
次に、図8A及び図8Bを参照してアクチュエータ10の動作を説明する。ここでは、図5に示すロッド駆動部11の回転方向における基準位置を所定の位置に設定する場合における、アクチュエータ10の動作を説明する。
図8A及び図8Bはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。
図8Aに示すステップS1において、基準位置設定部13cは、第1モータ制御部13aを制御することによって、回転部材11cを第1回転方向CDに回転させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS2の処理を実行する。
ステップS2において、基準位置設定部13cは、回転部材11cを第1回転方向CDに回転させながら、センサ11dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS3の処理を実行する。
ステップS3において、基準位置設定部13cは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
拘束電流は、例えば、第1回転方向CDに回転する回転部材11cが、駆動することができない突き当て位置PUEまで回転したときに、第1モータ11bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
第1モータ11bに流れる電流は、例えばアクチュエータ10に内蔵されている不図示の電流センサによって検出される。
基準位置設定部13cは、不図示の電流センサによって検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
拘束電流を検出していない場合(ステップS3,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS1以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS3,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS4の処理を実行する。
拘束電流を検出した場合、ステップS4において、基準位置設定部13cは、回転部材11cが突き当て位置PUEまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。その後、基準位置設定部13cは、ステップS5の処理を実行する。
なお、基準位置設定部13cは、ステップS3において、第1モータ11bが過負荷状態であることを判定できればよく、拘束電流に代えて、ホールセンサ信号を検出してもよい。ホールセンサは、第1モータ11bに設けられている磁石から発生する磁束の変化を検出するセンサである。ホールセンサ信号は、磁束の変化に対応した信号である。
この場合、基準位置設定部13cは、ホールセンサ信号が途絶していない場合、ステップS1以降の処理を繰り返し、ホールセンサ信号が途絶した場合、第1モータ11bが過負荷状態であると判定して、ステップS4の処理を実行する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS5の処理を実行する。
ステップS5において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値を0にリセットした位置を突き当て位置PUEに設定する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS6の処理を実行する。
ステップS6において、基準位置設定部13cは、回転部材11cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ11dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS7の処理を実行する。
ステップS7において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が第1規定値に達したか否かを判定する。
第1規定値は、回転部材11cを突き当て位置PUEから所定距離離れた位置まで第2回転方向CCDに回転させた位置を、前述した回転部材11cの基準位置に設定するための値である。
パルスカウント値が第1規定値に達していない場合(ステップS7,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS6以降の処理を繰り返す。
パルスカウント値が第1規定値に達した場合(ステップS7,YES)、基準位置設定部13cは、図8Bに示すステップS8の処理を実行する。
パルスカウント値が第1規定値に達した場合、ステップS8において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS9の処理を実行する。
ステップS9において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させた位置を、前述した基準位置に設定する。これにより、回転部材11cのアップポジションPは、基準位置として設定される。その後、基準位置設定部13cは、ステップS10の処理を実行する。
ステップS10において、基準位置設定部13cは、基準位置を設定するまでに計測したパルスカウント値を記憶部13dに記録する。
例えば、図1に示す水上バイク100が備える不図示のボタンなどが押された後、トリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に向かうように、前述したトリム操作部が操作された場合、図7に示される第1モータ制御部13aは、記憶部13dに記憶された当該パルスカウント値を読み出す。そして、第1モータ制御部13aは、読み出したパルスカウント値に基づき、回転部材11cの回転位置を基準位置に設定する。これにより、トリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に傾くように、トリムゲート34が制御される。
基準位置設定部13cは、ステップS10の処理の後、ステップS11の処理を実行する。
ステップS11において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの第2回転方向CCDへの回転を再開させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS12の処理を実行する。
ステップS12において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が第2規定値に達したか否かを判定する。
第2規定値は、回転部材11cが、ステップS9で設定された基準位置から所定距離離れた位置まで第2回転方向CCDに回転した位置を、前述した回転部材11cのニュートラルポジションPに設定するための値である。
パルスカウント値が第2規定値に達していない場合(ステップS12,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS11以降の処理を繰り返す。
パルスカウント値が第2規定値に達した場合(ステップS12,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS13の処理を実行する。
パルスカウント値が第2規定値に達した場合、ステップS13において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させる。その後、ステップS14の処理を実行する。
ステップS14において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させた位置を、前述したニュートラルポジションPに設定する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS15の処理を実行する。
ステップS15において、基準位置設定部13cは、ニュートラルポジションPを設定するまでに計測したパルスカウント値を記憶部13dに記録する。その後、基準位置設定部13cは、一連の処理を終了する。
例えば、図1に示す水上バイク100が備える不図示のボタンなどが押されたとき、図7に示される第1モータ制御部13aは、記憶部13dに記憶された当該パルスカウント値を読み出す。そして、第1モータ制御部13aは、読み出したパルスカウント値に基づき、回転部材11cの回転位置をアップポジションPに設定する。
なお、図8A及び図8Bでは、回転部材11cの基準位置を設定する方法について説明したが、回転部材12cの基準位置を設定する方法も同様であるため、その説明を省略する。
次に図9を参照して、ロッド11a、12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正するECU13の構成例について説明する。図9は上記基準位置を修正するECU13の構成例を示す図である。
[ECU13]
ECU13は、CPU、メモリなどを含むマイクロコンピュータで構成される。ECU13は、上述した判定処理部13Aに代えて判定処理部13Bを備えている。判定処理部13Bは、上述した第1モータ制御部13a、第2モータ制御部13b、及び基準位置設定部13cに加え、判定部13e及び基準位置修正部13fを備えている。
[判定部13e]
判定部13eは、第1モータ11bの回転量に基づき、図5に示すロッド駆動部11の回転部材11cに接続されているロッド11aの駆動ストローク量が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
また、判定部13eは、第2モータ12bの回転量に基づき、図6に示すロッド駆動部12の回転部材12cに接続されているロッド12aの駆動ストローク量が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
[基準位置修正部13f]
基準位置修正部13fは、判定部13eによる判定の結果、ロッド11aの駆動ストローク量が所定範囲内にない場合、ロッド11aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正する。当該基準位置は、図5に示されるアップポジションPに相当する。
また基準位置修正部13fは、判定部13eによる判定の結果、ロッド12aの駆動ストローク量が所定範囲内にない場合、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正する。当該基準位置は、図6に示されるリバースポジションPに相当する。
次に図10A、図10B、及び図10Cを参照して、図9に示すECU13を備えているアクチュエータ10の動作を説明する。
ここでは図6に示す回転部材12cの基準位置であるリバースポジションPを修正する場合における、アクチュエータ10の動作例を説明する。
図10A、図10B及び図10Cはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。
図10Aに示すステップS21において、基準位置修正部13fは、原動機2が停止したか否かを判定する。例えば、図1に示す水上バイク100が備えている不図示のボタンなどが押されたとき、基準位置修正部13fは原動機2が停止したと判定する。
原動機2が停止していない場合(ステップS21,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS21以降の処理を繰り返す。
原動機2が停止した場合(ステップS21,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS22の処理を実行する。
ステップS22において、基準位置修正部13fは、まず、回転部材12cの回転目標位置をリバースポジションPに設定し、回転部材12cをリバースポジションPに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS23の処理を実行する。
ステップS23において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、突き当て位置PREに向けて回転部材12cを第1回転方向CDに回転させる。
突き当て位置PREは、回転部材12cの第1回転方向CDへの最大回転位置である。その後、基準位置修正部13fは、ステップS24の処理を実行する。
ステップS24において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第1回転方向CDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS25の処理を実行する。
ステップS25において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
拘束電流は、例えば、第1回転方向CDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。第2モータ12bに流れる電流は、例えばアクチュエータ10に内蔵されている不図示の電流センサによって検出される。
基準位置修正部13fは、不図示の電流センサによって検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
拘束電流を検出していない場合(ステップS25,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS23以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS25,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS26の処理を実行する。
拘束電流を検出した場合、ステップS26において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PREまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cのリバースポジションPから突き当て位置PREまでの第1駆動ストローク量を算出する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS27の処理を実行する。
ステップS27において、判定部13eは、ステップS26で算出した第1駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第1駆動ストローク総量を算出し、第1駆動ストローク総量が所定範囲を超えているか否かを判定する。
第1駆動ストローク総量が所定範囲を超えていない場合(ステップS27,NO)、基準位置修正部13fは、図10Cに示すステップS38以降の処理を実行する。
例えば、所定範囲が9.0mm~10.0mmであり、第1駆動ストローク総量が9.5mmの場合、第1駆動ストローク総量は所定範囲内に収まっているといえる。
ただし、ここでは、第1駆動ストローク総量が不明なため、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量が所定範囲内に収まっているか否かを確認するため、図10Cに示すステップS38以降の処理を実行する。ステップS38以降の処理に関しては後述する。
第1駆動ストローク総量が所定範囲を超えている場合(ステップS27,YES)、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量が所定範囲を超えた原因を特定するため、図10Bに示すステップS28以降の処理を実行する。
当該原因は、原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が増加することによるリバースポジションPの突き当て位置PFE側への位置ずれ、異物の挟み込みによるアクチュエータ10の故障などである。
例えば、所定範囲が9.0mm~10.0mmであり、第1駆動ストローク総量が10.5mmである場合、基準位置修正部13fは、リバースポジションPが突き当て位置PFE側に、僅かにずれていると判定する。
突き当て位置PFEは、回転部材12cの第2回転方向CCDへの最大回転位置である。
図10Bに示すステップS28において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。その後、基準位置修正部13fは、ステップS29の処理を実行する。
ステップS29において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、回転部材12cを突き当て位置PFEに向けて第2回転方向CCDに回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS30の処理を実行する。
ステップS30において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS31の処理を実行する。
ステップS31において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
拘束電流は、例えば、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PFEまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
基準位置修正部13fは、検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
拘束電流を検出していない場合(ステップS31,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS29以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS31,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS32の処理を実行する。
拘束電流を検出した場合、ステップS32において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cの突き当て位置PREから突き当て位置PFEまでの第2駆動ストローク量を算出する。
なお、基準位置修正部13fは、ステップS31において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PFEに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。その後、判定部13eは、ステップS33の処理を実行する。
ステップS33において、判定部13eは、ステップS32で算出した第2駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第2駆動ストローク総量を算出し、第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えているか否かを判定する。
第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えていない場合(ステップS33,YES)、ステップS34の処理が実行される。
ステップS34において、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10の突き当て位置PFE付近に異物が挟まっているか、前述した減速機構を構成しているギアに噛み込みが発生するなどして、アクチュエータ10が故障していると判定する。
例えば当該所定範囲が48.0mm~50.0mmであり、第2駆動ストローク総量が40.0mmである場合、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10が故障していると判定する。すなわち、基準位置修正部13fは、位置ずれの原因がアクチュエータ10の故障であると判定する。
その後、基準位置修正部13fは、ステップS35の処理を実行する。
ステップS35において、基準位置修正部13fは、例えば、回転部材12cを突き当て位置PREに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS36の処理を実行する。
ステップS36において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
拘束電流は、回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
拘束電流を検出していない場合(ステップS36,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS35以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS36,YES)、アクチュエータ10の点検又は交換が必要なため、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼することなく、一連の処理を終了させる。
なお、基準位置修正部13fは、ステップS36において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PREに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。
図10Bに示すステップS33に戻り、第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えている場合(ステップS33,NO)、基準位置修正部13fは、例えば原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が増加して、回転部材12cの基準位置がずれていると判定する。
例えば、当該所定範囲が48.0mm~50.0mmであり、第2駆動ストローク総量が50.5mmである場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置が0.5mm程度ずれていると判定する。
この場合、基準位置修正部13fは、ステップS37の処理を実行する。
ステップS37において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信する。
当該信号を受信した基準位置設定部13cは、ロッド駆動部12を駆動することで検出されるパルス信号をカウントすることで得られる第2モータ12bの回転量に基づき、ロッド駆動部12のリバースポジションPを修正する。
次に図10Cに示すステップS38以降の処理に関して説明する。
ステップS38において、判定部13eは、図10Aに示されるステップS27で算出された第1駆動ストローク総量が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
第1駆動ストローク総量が所定範囲内である場合(ステップS38,YES)、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置がずれていないと判定し、ステップS39の処理を実行する。
例えば、所定範囲が9.0mm~10.0mmであり、第1駆動ストローク総量が9.1mmの場合、第1駆動ストローク総量は所定範囲内に収まっているといえる。この場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置がずれていないと判定する。
ステップS39において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信することなく、ロッド駆動部12をリバースポジションPまで回転させて、一連の処理を終了する。
ステップS38に戻り、第1駆動ストローク総量が所定範囲内ではない場合(ステップS38,NO)、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量が所定範囲内ではない原因を特定するため、ステップS40の処理を実行する。
当該原因は、原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が減少することによるリバースポジションPの突き当て位置PRE側への位置ずれ、異物の挟み込みによるアクチュエータ10の故障などである。
例えば、所定範囲が9.0mm~10.0mmであり、第1駆動ストローク総量8.5mmである場合、基準位置修正部13fは、リバースポジションPが突き当て位置PRE側に、僅かにずれていると判定する。
ステップS40において、基準位置修正部13fは、図10Bに示すステップS30で計測したパルスカウント値を0にリセットする。その後、基準位置修正部13fは、ステップS41の処理を実行する。
ステップS41において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、回転部材12cを突き当て位置PFEに向けて第2回転方向CCDに回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS42の処理を実行する。
ステップS42において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS43の処理を実行する。
ステップS43において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
拘束電流は、例えば、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PFEまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
拘束電流を検出していない場合(ステップS43,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS41以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS43,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS44の処理を実行する。
拘束電流を検出した場合、ステップS44において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cの突き当て位置PREから突き当て位置PFEまでの第2駆動ストローク量を算出する。
なお、基準位置修正部13fは、ステップS43において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PFEに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。その後、判定部13eは、ステップS45の処理を実行する。
ステップS45において、判定部13eは、ステップS44で算出した第2駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第2駆動ストローク総量を算出し、第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えているか否かを判定する。
第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えていない場合(ステップS45,YES)、ステップS46の処理が実行される。
ステップS46において、基準位置修正部13fは、突き当て位置PFEとは反対側の突き当て位置PRE付近に、異物が挟まっているか、前述した減速機構を構成しているギアに噛み込みが発生するなどしてアクチュエータ10が故障していると判定する。
例えば当該所定範囲が48.0mm~50.0mmであり、第2駆動ストローク総量が40.0mmである場合、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10が故障していると判定する。
その後、基準位置修正部13fは、ステップS47の処理を実行する。
ステップS47において、基準位置修正部13fは、例えば、回転部材12cを突き当て位置PREに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS48の処理を実行する。
ステップS48において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。なお、基準位置修正部13fは、ステップS48において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、第2モータ12bが過負荷状態であることを判定してもよい。
拘束電流は、回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
拘束電流を検出していない場合(ステップS48,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS47以降の処理を繰り返す。
拘束電流を検出した場合(ステップS48,YES)、アクチュエータ10の点検又は交換が必要なため、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼することなく、一連の処理を終了させる。
ステップS45に戻り、第2駆動ストローク総量が所定範囲を超えている場合(ステップS45,NO)、基準位置修正部13fは、例えば原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が減少して、回転部材12cの基準位置がずれていると判定する。
例えば、当該所定範囲が48.0mm~50.0mmであり、第2駆動ストローク総量が50.5mmである場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置が0.5mm程度ずれていると判定する。
この場合、基準位置修正部13fは、ステップS49の処理を実行する。
ステップS49において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信する。
当該信号を受信した基準位置設定部13cは、ロッド駆動部12を駆動することで検出されるパルス信号をカウントすることで得られる第2モータ12bの回転量に基づき、ロッド駆動部12のリバースポジションPを修正する。
(変形例)
なお、本実施の形態に係るアクチュエータ10は、船体1に取り付けられたときに基準位置の初期設定を設定することも可能である。以下では、船体1に取り付けられたときに基準位置の初期設定を設定するアクチュエータ10の構成例について説明する。
図11Aは船体1に取り付けられたときに基準位置の初期設定を設定するアクチュエータ10が備えているECU13の構成例を説明する図である。
図11Aに示すECU13は、上述した判定処理部13A及び判定処理部13Bに代えて判定処理部13Cを備えている。
[判定処理部13C]
判定処理部13Cは、前述した第1モータ制御部13a、第2モータ制御部13b、及び基準位置設定部13cに加えて、検出部13gを備えている。
[検出部13g]
検出部13gは、第1モータ11b及び第2モータ12bの過負荷を検出する。例えば検出部13gは、第1回転方向CC又は第2回転方向CCDに回転する回転部材11cが、駆動することができない突き当て位置まで回転することによって、モータ電流が所定の値にまで上昇した場合、第1モータ11bが過負荷状態であると判定する。
また、検出部13gは、第1回転方向CC又は第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが、駆動することができない突き当て位置まで回転することによって、モータ電流が所定の値にまで上昇した場合、第2モータ12bが過負荷状態であると判定する。
なお、検出部13gは、例えば、回転部材11cが回転するときに計測される単位時間当たりのパルス数が所定値未満となった場合、第1モータ11bが過負荷状態であると判定してもよい。
また、検出部13gは、回転部材12cが回転するときに計測される単位時間当たりのパルス数が所定値未満となった場合、第2モータ12bが過負荷状態であると判定してもよい。
このように過負荷を検出した検出部13gは、過負荷を検出したことを示す信号を、基準位置設定部13cに送信する。
[基準位置設定部13c]
基準位置設定部13cは、検出部13gから送信された信号に基づき、長尺部材が接続されている駆動部11e又は駆動部12eの回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する。
長尺部材は、例えばロッド11a又はロッド12aである。なお、長尺部材は、ロッド11a又はロッド12aに限定されず、リバースゲート35又はトリムゲート34の角度を調整するためのケーブルでもよい。
次に図11B及び図11Cを参照して、変形例に係るアクチュエータ10の動作を説明する。図11B及び図11Cはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、ロッド駆動部12の回転方向における基準位置を所定の位置に設定する場合における、アクチュエータ10の動作を説明する。なお、ロッド駆動部11の回転方向における基準位置を設定する動作は、ロッド駆動部12の回転方向における基準位置を所定の位置に設定する動作と同様のため、説明を省略する。
ステップS51において、基準位置設定部13cは、第2モータ制御部13を制御することによって、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させ、ステップS52において、過負荷を検出したか否かを判定する。
過負荷を検出していない場合(ステップS52,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS51以降の処理を繰り返す。
基準位置設定部13cは、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転することによって過負荷を検出した場合(ステップS52,YES)、ステップS53において、回転部材12cの現在の回転位置を突き当て位置PFEに設定し、ステップS54において、過負荷を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。これにより、回転部材12cが第1回転方向CDに回転するときの原点位置が設定される。
次にステップS55において、基準位置設定部13cは、第1回転方向CDへの回転部材12cの回転を開始させる。
過負荷を検出していない場合(ステップS56,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS56の処理を繰り返す。
基準位置設定部13cは、第1回転方向CDに回転する回転部材12cが突き当て位置PREまで回転することによって過負荷を検出した場合(ステップS56,YES)、ステップS57において、過負荷を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。
これにより、回転部材12cが突き当て位置PREから突き当て位置PFEに向かって回転するときの原点位置が設定される。
原点位置を設定した後、基準位置設定部13cは、回転部材12cの第2回転方向CCDへの回転を開始し(ステップS58)、パルスカウント値を計測する(ステップS59)。
ステップS60において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が規定値(例えば250)に達したか否かを判定する。当該規定値は、回転部材12cを突き当て位置PREから突き当て位置PFEに向かって所定距離離れた位置まで回転させた位置を、フォワードポジションP(基準位置)の初期位置に設定するための値である。
パルスカウント値が規定値に達していない場合(ステップS60,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS59以降の処理を繰り返す。パルスカウント値が規定値に達した場合(ステップS60,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS61において、回転部材12cの回転を停止させる。
ステップS62において、基準位置設定部13cは、回転部材12cの現在位置を記憶部13dに記憶させて、一連の処理が終了する。現在位置は、回転部材12cが停止するまでに計測されたパルスカウント値に基づき設定される。
このように、基準位置設定部13cは、長尺部材(ロッド12a)が水流方向変更部(リバースゲート35)に向かって前進するように回転する駆動部12eが突き当て位置PREに到達したことで生じる過負荷に基づき、駆動部12eの当該回転方向における基準位置(例えばフォワードポジションP)を第1の所定の位置に設定することができる。
なお、基準位置設定部13cは、長尺部材(ロッド12a)が水流方向変更部(リバースゲート35)から遠ざかる方向に後退するように回転する駆動部12eが突き当て位置PFEに到達したことで生じる過負荷に基づき、駆動部12eの当該回転方向における基準位置(例えばフォワードポジションP)を第1の所定の位置に設定するに設定してもよい。
(他の構成例)
図11B及び図11Cでは、突き当て位置PREを基準にしてフォワードポジションPの初期位置に設定する動作例を説明したが、基準位置設定部13cは、突き当て位置PFEを基準にしてフォワードポジションPの初期位置に設定してもよい。また、基準位置設定部13cは、突き当て位置PREを基準にしてリバースポジションPの初期位置に設定してもよい。
このように、フォワードポジションPとリバースポジションPの初期位置を設定する動作例を、図12A及び図12Bを参照して説明する。図12A及び図12Bはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS71において、基準位置設定部13cは、第2モータ制御部13を制御することによって、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させ、ステップS72において、過負荷を検出したか否かを判定する。
過負荷を検出していない場合(ステップS72,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS71以降の処理を繰り返す。
基準位置設定部13cは、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転することによって過負荷を検出した場合(ステップS72,YES)、ステップS73において、回転部材12cの現在の回転位置を突き当て位置PFEに設定し、ステップS74において、過負荷を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。これにより、回転部材12cが第1回転方向CDに回転するときの原点位置が設定される。
次にステップS75において、基準位置設定部13cは、第1回転方向CDへの回転部材12cの回転を開始させる。過負荷を検出していない場合(ステップS76,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS76の処理を繰り返す。
基準位置設定部13cは、第1回転方向CDに回転する回転部材12cが突き当て位置PREまで回転することによって過負荷を検出した場合(ステップS76,YES)、ステップS77において、回転部材12cの現在位置を記憶部13dに記録する。現在位置は、回転部材12cが突き当て位置PFEから突き当て位置PREまで回転するときに計測されたパルスカウント値に基づき設定される。
次に、ステップS78において、基準位置設定部13cは、回転部材12cが突き当て位置PFEに位置するときのパルス数(例えば0)に所定のパルス数(例えば50)加えた位置を、フォワードポジションP(基準位置)の初期位置に設定する。
さらに、ステップS79において、基準位置設定部13cは、回転部材12cが突き当て位置PREまで回転するときに計測したパルスカウント値に基づき、突き当て位置PREから所定のパルス数(例えば20パルス)を減じることによって算出した位置を、リバースポジションP(基準位置)の初期位置に設定する。
基準位置の初期位置を設定した後、基準位置設定部13cは、回転部材12cの第2回転方向CCDへの回転を開始し(ステップS80)、パルスカウント値を計測する(ステップS81)。
ステップS82において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が規定値(例えば250)に達したか否かを判定する。パルスカウント値が規定値に達していない場合(ステップS82,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS81以降の処理を繰り返す。
パルスカウント値が規定値に達した場合(ステップS82,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS83において、回転部材12cの回転を停止させる。
ステップS84において、基準位置設定部13cは、回転部材12cの現在位置、すなわち回転部材12cが停止した位置までに計測されたパルスカウント値を、記憶部13dに記録する。これにより、フォワードポジションPの初期位置が設定される。これに
より、一連の処理が終了する。
このように、基準位置設定部13cは、長尺部材(ロッド12a)が水流方向変更部(リバースゲート35)から遠ざかる方向に後退するように回転する駆動部12eが突き当て位置PREに到達したことで生じる過負荷に基づき、長尺部材が前進するときの基準位置(例えばフォワードポジションP)の設定が完了した後、駆動部12eの当該回転方向における基準位置(例えばリバースポジションP)を第2の所定の位置に設定することができる。
なお、基準位置設定部13cは、長尺部材(ロッド12a)が後退するときの基準位置(例えばフォワードポジションP)の設定が完了した後、長尺部材が水流方向変更部に向かって前進するように回転する駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる過負荷に基づき、駆動部の当該回転方向における基準位置(例えばリバースポジションP)を第2の所定の位置に設定してもよい。
以上に説明したように、本実施の形態に係るアクチュエータ10は、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続されて水流方向変更部の角度を調整する長尺部材を、モータの駆動により回転して進退移動させる駆動部と、モータの過負荷を検出する検出部と、モータの過負荷に基づき、長尺部材が接続された駆動部の回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する基準位置設定部と、を備えている。
この構成により、例えば、水流方向変更部の船体への取り付け位置がずれてしまい、ロッド駆動部の基準位置(例えばリバースポジションなど)がずれている場合でも、モータの過負荷に基づき、基準位置を所定の位置に設定することができる。従って、基準位置が所定の位置に設定された状態で駆動部が動作しても、水流方向変更部が船体に接することがなくなり、長尺部材に大きな負担が加わることを防止できる。
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
(1)アクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続されて前記水流方向変更部の角度を調整する長尺部材を、モータの駆動により回転して進退移動させる駆動部と、前記モータの過負荷を検出する検出部と、前記モータの過負荷に基づき、前記長尺部材が接続された駆動部の回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する基準位置設定部と、を備える。
(2) 前記検出部は、前記水流方向変更部が船体に接することで生じる前記モータの過負荷を検出する。
(3)前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前記水流方向変更部に向かって前進するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第1の所定の位置に設定する。
(4)前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前進するときの前記基準位置の設定が完了した後、前記長尺部材が前記水流方向変更部から遠ざかる方向に後退するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第2の所定の位置に設定する。
(5)前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前記水流方向変更部から遠ざかる方向に後退するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第1の所定の位置に設定する。
(6)前記基準位置設定部は、前記長尺部材が後退するときの前記基準位置の設定が完了した後、前記長尺部材が前記水流方向変更部に向かって前進するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第2の所定の位置に設定する。
(7)前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体を前進又は後進させるリバースゲートである。
(8)前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体の水平方向に対する傾斜角度を変更するトリムゲートである。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、本開示に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
なお、本実施の形態では、基準位置として、アップポジションP又はリバースポジションPを所定の位置に設定する場合について説明したが、所定の位置は、アップポジションP又はリバースポジションPに限定されるものではない。所定の位置は、例えば、アップポジションP又はリバースポジションPに代えて、ニュートラルポジションPであってもよいし、ダウンポジションP又はフォワードポジションPであってもよい。
例えば、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置として、フォワードポジションPを所定の位置に設定する場合、アクチュエータ10は、リバースポジションPを所定の位置に設定する制御と同様の制御を、船体1への電源投入後に行う。
このように、フォワードポジションPを所定の位置に設定する場合、図2に示すロッド12aが船体1の内部に引き込まれる。この場合、トリムゲート34に回転可能に支持されているリバースゲート35は、船体1に形成されている隙間に入り込むように、反時計回り方向に回転する。
このため、リバースゲート35の周囲に人がいる場合でも、リバースゲート35が時計回り方向に回転する場合(図3参照)に比べて、より安全に、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を、所定の位置に設定することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
本発明に係るアクチュエータ及び水上バイクは、長尺部材に加わる負担を軽減することができる。
1 船体
2 原動機
3 推進機構
4 ドライブシャフト
10 アクチュエータ
11 ロッド駆動部
11a ロッド
11b 第1モータ
11c 回転部材
11d センサ
11e 駆動部
11e1 出力軸
11e2 ハウジング
12 ロッド駆動部
12a ロッド
12b 第2モータ
12c 回転部材
12d センサ
12e 駆動部
12e1 出力軸
12e2 ハウジング
13 ECU
13A 判定処理部
13B 判定処理部
13C 判定処理部
13a 第1モータ制御部
13b 第2モータ制御部
13c 基準位置設定部
13d 記憶部
13e 判定部
13f 基準位置修正部
13g 検出部
31 インペラシャフト
32 インペラ
33 ノズル
34 トリムゲート
35 リバースゲート
100 水上バイク
CD 第1回転方向
CCD 第2回転方向
ダウンポジション
DE 突き当て位置
フォワードポジション
FE 突き当て位置
ニュートラルポジション
リバースポジション
RE 突き当て位置
アップポジション
UE 突き当て位置
WF 水流

Claims (9)

  1. 噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続されて前記水流方向変更部の角度を調整する長尺部材を、モータの駆動により回転して進退移動させる駆動部と、
    前記モータの過負荷を検出する検出部と、
    前記モータの過負荷に基づき、前記長尺部材が接続された駆動部の回転方向における基準位置を、所定の位置に設定する基準位置設定部と、
    を備えるアクチュエータ。
  2. 前記検出部は、前記水流方向変更部が船体に接することで生じる前記モータの過負荷を検出する、請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前記水流方向変更部に向かって前進するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第1の所定の位置に設定する、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前進するときの前記基準位置の設定が完了した後、前記長尺部材が前記水流方向変更部から遠ざかる方向に後退するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第2の所定の位置に設定する、請求項3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記基準位置設定部は、前記長尺部材が前記水流方向変更部から遠ざかる方向に後退するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第1の所定の位置に設定する、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
  6. 前記基準位置設定部は、前記長尺部材が後退するときの前記基準位置の設定が完了した後、前記長尺部材が前記水流方向変更部に向かって前進するように回転する前記駆動部が突き当て位置に到達したことで生じる前記過負荷に基づき、前記駆動部の当該回転方向における前記基準位置を第2の所定の位置に設定する、請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体を前進又は後進させるリバースゲートである、請求項1から6の何れか一項に記載のアクチュエータ。
  8. 前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体の水平方向に対する傾斜角度を変更するトリムゲートである、請求項1から6の何れか一項に記載のアクチュエータ。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載のアクチュエータを備えた水上バイク。
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