JP4249823B2 - 小型船舶用ノズル駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水上オートバイなどの小型船舶のジェット推進ノズルの上下方向の角度(トリムアングル)を調整するためのノズル駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水上バイクのジェット推進ノズルは、ポンプによって加圧された水を船体後方に噴出するようにしており、このジェット推進ノズルの上下方向の角度(トリムアングル)は操船性を大きく左右する。従来より、例えば発進時や旋回時あるいは二人乗り時などの操船状況に応じて、ジェット推進ノズルのトリムアングルを変化させることができるようなノズル駆動装置が知られている。
【0003】
水上オートバイ等の小型船舶のトリムアングルを操作するためのノズル駆動装置は、ノズル駆動ケーブルを用いた機械式のものと、モータを用いた電動式とに大別され、応答性やコスト面では機械式が有利であるといわれている。例えば図13に示した水上オートバイ1(パーソナルウォータビークルあるいはウォータクラフトと称されることもある)のノズル駆動装置は、ハンドルバー2に設けたグリップ3にノズル駆動ケーブル(図示せず)を接続し、グリップ3を回転させることによってこのノズル駆動ケーブルを操作し、ノズル(水噴出口)4のトリムアングルを変えるようにしている。上記ノズル4は、少なくとも3段階に傾きを変化させることができる。すなわち中立位置(NEUTRAL )とアップポジション(UP)とダウンポジション(DOWN)とである。ノズル4には操船中に水噴出の推力により復元力(反力)が作用する。
【0004】
この種の機械式ノズル駆動装置は、グリップ3の操作力がノズル駆動ケーブル等を介して直接ノズル4に伝達されるため、ノズル4の水噴出による反力がノズル駆動ケーブルを介してグリップ3に作用する。このため大型の水上オートバイなどでは、ノズル4の噴出力が大きいときにかなり大きなグリップ操作力を必要とすることから、トリムアングルを操作しにくいという問題を生じる。
【0005】
一方、電動式のノズル駆動装置は、グリップの回転位置を検出するためのグリップ位置検出機構を備えたグリップ部と、グリップ位置検出機構から出力される電気信号に基いて作動するモータを備えたアクチュエータ部と、アクチュエータ部の動きをノズルに伝達するための力伝達ケーブルなどから構成されている。こうした電動式のノズル駆動装置は、アクチュエータ部のモータに高出力のものを用いることにより、大型の水上オートバイなどにも比較的容易に対処することができるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電動式のノズル駆動装置の場合、機械式のものに代りえる早い応答性と低コストが要求されるが、大型のジェット推進ノズルでは、ノズル側がかなり高負荷になるため、応答性を向上させるにはどうしても大きなモータを使用したアクチュエータ部が必要となり、コストが高くなってしまう。
【0007】
従って本発明の目的は、小型でかつ応答性に優れたアクチュエータ部を有する電動式のノズル駆動装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を果たすための本発明のノズル駆動装置は、請求項1に記載したように構成され、グリップの位置に応じた電気信号がグリップ位置センサから制御部に出力され、この信号をもとに制御部がアクチュエータ部のモータを作動させ、プッシュプルケーブル等の力伝達部材を介して、ノズルのトリムアングル制御を行なう。このアクチュエータ部に採用されているモータは、コイル部が励磁したときに回転するロータの回転運動を、出力軸の軸線方向の動きにダイレクトに変換する直動形モータであるため、モータをアクチュエータ部にコンパクトに収めることができる。
【0009】
この発明は請求項1に記載したように、前記アクチュエータ部のモータが、前記出力軸の基準位置を検出するための第1のセンサと、前記ロータの回転量を検出する第2のセンサとを内蔵し、前記制御部は、前記第1のセンサと第2のセンサと前記グリップ位置センサとの各出力に基いて、前記ノズルが所望のトリムアングル位置となるように前記モータの回転を制御して前記出力軸を前記軸線方向に移動させることを含んでいる。またこの発明は請求項2に記載したように、前記グリップ部が、グリップをトリムアングルに応じた位置に止めるためのロック機構と前記グリップ位置センサとを有することも含んでいる。
【0010】
請求項3に記載したノズル駆動装置は、制御部に、前記モータの作動中にエンジンを強制失火させて前記ノズルからの噴出反力を低減させるエンジン失火制御機能を有する失火出力回路を設けたことにより、アクチュエータ部が作動している間はエンジン出力を自動的に低下させる。これにより、ジェット推進ノズルの水噴射の反力を一時的に弱め、比較的小さな力でノズルを駆動することができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について、図1から図12を参照して説明する。
【0012】
図1に示すジェット推進ノズル4は、小型船舶(例えば図13に示す水上オートバイ1)の船体後部に設けられている。このジェット推進ノズル4は、軸5を中心に上下方向に揺動可能であり、以下に述べる電動式のノズル駆動装置6によって、上下方向の中立位置(NEUTRAL)を境に、アップ(UP)側に2段階、ダウン(DOWN)側に2段階の合計5段階にトリムアングルを調整できるようになっている。ただし、トリムアングルの切替数は5段階以外であってもよいし、あるいは無段階的(連続的)にトリムアングルを変化させることができるように構成されていてもよい。
【0013】
ノズル駆動装置6は、操舵用ハンドルバー2の左側の端部に設けたグリップ3を有するグリップ部7と、船体側に設けたアクチュエータ部8と、アクチュエータ部8などの制御をつかさどる制御部9と、ジェット推進ノズル4に接続されるプッシュプルケーブル10などを備えて構成されている。プッシュプルケーブル10は、アウタチューブ11の内側に力伝達部材として機能するロッド12を挿通したものであり、ロッド12が図1中の矢印F1方向に引かれたときにノズル4が例えばアップ側に駆動され、ロッド12が矢印F2方向に押されたときにノズル4が例えばダウン側に動くようになっている。
【0014】
図2に示すようにグリップ3の芯材である筒状のグリップインナ13は、ハンドルバー2に固定されるハウジング14によって、ハンドルバー2の軸まわりに回転自在に保持されている。
グリップインナ13の端部には、グリップインナ13と同軸上に、例えば平歯車等の第1のギヤ15が設けられている。図3に示すように第1のギヤ15の歯部15aに第2のギヤ(例えば平歯車)16が噛み合っている。第2のギヤ16の歯数は第1のギヤ15の歯数よりも少なく、グリップ3を回転させたときにその回転が第1のギヤ15から第2のギヤ16に一定比で増速されて伝達されるようになっている。なお、第1のギヤ15は第2のギヤ16と噛み合う範囲のみに歯部15aを有していればよいから、第1のギヤ15の全周に歯部15aを設けなくてもよい。
【0015】
第2のギヤ16と同軸上に、グリップ3の回転位置を検出する手段として機能するグリップ位置センサ17の軸17aが設けられている。グリップ位置センサ17の一例はポテンショメータであり、図4に示すようにねじ18によってハウジング14に固定されている。従ってグリップ3を回転させたとき、ギヤ15,16を介してセンサ17の軸17aが回転し、グリップ3の回転位置(角度)に比例した信号、すなわちトリムアングル制御に用いる電気信号を出力することができる。この実施形態の場合、上記電気信号はアナログ信号である。
【0016】
なお、ノズル4のトリムアングル制御は、例えばUP1,UP2,中立,DOWN1,DOWN2の5種類の位置を切換えるから、グリップ位置センサ17としては前記ポテンショメータのような無段階式のセンサの代りに、グリップ3の回転位置に応じて独立に作動する複数個の接点式スイッチを用いてもよい。
【0017】
図5,図6に示すようにアクチュエータ部8はモータ20を備えている。モータ20の一例は、アクチュエータ部8のフレーム21に固定したカバー22と、カバー22の内部に設けたコイル部23と、コイル部23に通電(励磁)したときに回転する中空のロータ24と、ロータ24の中心部に形成した雌ねじ部25に螺合する雄ねじ部26を有する出力軸27などを備えている。このモータ20は、ロータ24が回転したときにその回転方向と回転量に応じて、出力軸27が軸線方向に螺進する直動形モータである。
【0018】
モータ20のカバー22の端部に、ダストカバーとして機能するベローズ30の基部30aが固定されている。ベローズ30の先端部30bは、出力軸27の軸線方向中間部に固定されている。ベローズ30は出力軸27の軸線方向に伸縮自在であり、出力軸27が軸線方向に移動するときに出力軸27と一体にベローズ30が軸線方向に伸縮するようになっている。
【0019】
出力軸27の先端部27aには中継ナット31を介してプッシュプルケーブル10のロッド12の一端12aが連結されている。プッシュプルケーブル10のアウタチューブ11の一端(ハブ)11aはフレーム21に固定されている。このため出力軸27が軸線方向に移動すると、アウタチューブ11に対してロッド12がプル方向(矢印F1で示す方向)あるいはプッシュ方向(矢印F2で示す方向)に移動する。図1に示すようにロッド12の他端12bは、ノズル4のトリムアングル操作をなすための機構部4aに連結される。こうした構成により、モータ20が作動したときにプッシュプルケーブル10のロッド12が前記プル方向またはプッシュ方向に移動し、ノズル4のトリムアングルをアップあるいはダウン側に変化させることができる。
【0020】
図5等に示すように前記モータ20は、基準位置検出手段として機能する第1のセンサ33と、出力軸27に設けた被検出部材34を備えている。この実施形態では、第1のセンサ33として機械式のマイクロスイッチを用いているが、磁気式センサや光学式センサを使用してもよい。このセンサ33は、出力軸27が基準位置にあるとき(図5に示すように出力軸27がロータ24の雌ねじ部25に最も深く入り込んだ状態にあるとき)に、被検出部材34がセンサ33に接することによってセンサ33の接点がオン状態となる。また、図6に一例を示すように出力軸27が基準位置以外にあるときには、被検出部材34がセンサ33から離れることにより、オフ状態に切り替わるようになっている。
【0021】
モータ20のカバー22の内側に、モータ20の移動量(回転量)を検出する手段として機能する第2のセンサ35が設けられている。このセンサ35の一例は磁気素子である。ロータ24にはセンサ35と対向可能な位置に磁石36が設けられており、ロータ24が回転するときに磁石36がセンサ35の近傍を通過するたびにセンサ35に電気パルスが発生するようになっている。
【0022】
ロータ24が1回転すると、雌ねじ部25に螺合している出力軸27がねじ部25,26のピッチ相当分だけ軸線方向に移動する。このため第2のセンサ35が発生するパルス数をカウントすることにより、出力軸27の相対移動量すなわちプッシュプルケーブル10のロッド12の移動量を検出することができる。この移動量の最小単位はねじ部25,26のピッチで決まる。このため、例えば磁石36をロータ24の円周上に等間隔で複数設けることにより、移動量の検出最小単位をさらに細かくすることができる。なお、第2のセンサ35は前記実施形態のような磁気素子に限らず、例えば光学素子などを用いてもよい。
【0023】
ノズル4のトリムアングル制御を行なう際には、アクチュエータ部8の出力軸27の絶対位置を検出する必要がある。この実施形態の場合には、前記基準位置(図5の状態)からの出力軸27の相対移動量を前記センサ33,35を用いて検出し、制御部9に記憶することにより、出力軸27の絶対位置を算出する方式を用いている。なお、センサ33,35等からなる検出機構部をモータ20に内蔵する代りに、モータ20の外側に同様の検出機構部を設けるか、あるいは出力軸27の絶対位置を検出可能な検出手段を用いてもよい。
【0024】
制御部9は、図7に示す制御回路9aを備えている。制御回路9aは水上オートバイ1に搭載されているバッテリーBを電源として作動する。制御回路9aの中央制御部9bはマイクロコンピュータ等を用いたものであり、予め組込まれたプログラムに従って制御全般をつかさどるようになっている。
【0025】
グリップ位置は、本実施形態では前述のグリップ位置センサ17によって、グリップ3の回転角度に応じたアナログ電圧で入力される。このアナログ信号は制御部9内でディジタル値に変換され、ディジタル値に応じて、中央制御部9bのプログラムにおいて前述の5種類のトリムアングル(UP1,UP2,中立,DOWN1,DOWN2)に分類される。
【0026】
また、アクチュエータ部8の出力軸27の移動量は第2のセンサ35が検出するパルス数によって相対的に検出される。出力軸27の移動方向に関してはパルスに違いがないため、出力軸27の絶対位置を知るためには基準位置(図5に示す状態)の認識と、移動方向の区別が必要となる。そこでこの実施形態では、プログラム上、以下に述べるように処理している。
【0027】
まず、基準位置信号がオン状態にあるとき、アクチュエータ積算位置がゼロにクリアされる。次に基準位置信号がオフ状態にある場合、モータ20が基準位置より遠ざかる方向に回転しているときには上記センサ35がパルスが発生するたびにアクチュエータ積算位置を1加算する。逆に、基準位置に近付く方向に回転しているときにはアクチュエータ積算位置を1減算する。この値を基準位置からの移動量として使用する。
【0028】
制御部9は、アクチュエータ部8を両方向に駆動可能なドライバー回路37、エンジンの回転パルスを取り込む回路38、エンジン回転を強制低下させるための失火出力回路39なども備えている。
【0029】
図8〜図10に示すように、グリップ部7はロック機構40とディテント機構41とを備えている。ロック機構40は、ロックレバー50と、ロックレバー50の一部50aが係合可能な受入れ溝51を有する受け部52を備えている。ロックレバー50は軸53を中心に回転自在である。図9に示すようにハウジング14に前記5種類のポジションに対応した位置に5箇所の受入れ溝51が形成されている。各受入れ溝51間にリブ57が形成されている。
【0030】
ロックレバー50が受入れ溝51のいずれか1箇所と係合しているとき、リブ57によってグリップ3の回転が阻止され、ロックレバー50が図8中の矢印A方向(リリース方向)に操作されたときにロックレバー50が受入れ溝51から外れることによりグリップ3を回転させることができるようにしている。ロックレバー50はねじりばね58によって受入れ溝51と係合する方向に付勢されている。
【0031】
グリップ3に目印60(図10に示す)が設けられている。ハウジング14にはグリップ3の各ポジションに応じた位置にポジション表示(図示せず)が設けられており、グリップ3が上記5種類のポジションのうちのどこに位置しているかが目視によって確認できるようにしている。
【0032】
ディテント機構41は、係合子として機能する2個のボール71,72と、前記第1のギヤ15と一体に回転するディテントボディ74とを含んでいる。ボール71,72は、ハウジング14に形成されたボール収容孔76,77に収容され、ばね78,79によってボール収容孔76,77から出る方向に付勢されている。
【0033】
ディテントボディ74の中心部にハンドルバー2が通るセンタ孔80が形成されているとともに、このセンタ孔80を中心とする同一円周上に4箇所の受け穴81,82,83,84が形成されている。この実施例の場合、全ての受け穴81〜84は互いに等しい穴間ピッチP2 (45°)で配置されている。ボール71,72のピッチP1 は穴間ピッチP2 の1.5倍(67.5°)である。
【0034】
グリップ3が中立位置(NEUTRAL )にあるときには第1のボール71が第2の受け穴82に嵌合している。この状態でロックレバー50を図8中の矢印A方向に押し、図10中の(UP1)の位置までグリップ3を回転させると、ディテント機構41の第2のボール72が第3の受け穴83に嵌合し、その瞬間にグリップ3の回転抵抗が増加するとともに節動感が生じるため、手が受ける感触によってポジションがUP1に切換わったことがわかる。さらにグリップ3を図10中の(UP2)の位置まで回転させると、第1のボール71が第1の受け穴81に嵌合する。このときも節動感が生じるためUP2に切換わったことがわかる。
【0035】
上記とは逆に、グリップ3を図10中の(DOWN1)に示す位置まで回転させると、第2のボール72が第4の受け穴84に嵌合する。このときも節動感が生じるため、DOWN1に切換わったことがわかる。さらにグリップ3を(DOWN2)の位置まで回転させると、今度は第1のボール71が第3の受け穴83に嵌合する。このときも節動感が生じるためDOWN2に切換わったことがわかる。
【0036】
次にアクチュエータ部8と制御部9等の作用について、図11に示すフローチャート(通常操作)と、図12に示すフローチャート(エンジン失火制御)等を参照して説明する。
【0037】
この実施形態では、アクチュエータ部8の出力軸27の基準位置からの相対移動量に基いて、出力軸27の絶対位置を算出しているため、制御初期にまず基準位置を認識する必要がある。制御部9に電源が投入されると、出力軸27が前記基準位置まで動くように駆動信号が出力され、出力軸27が基準位置まで移動する。出力軸27に固定されている被検出部材34が基準位置検出用の第1のセンサ33に到達すると、第1のセンサ33がオンに切り替わり、その信号が制御部9に入力される。そして制御部9からモータ20を停止させる信号が出力され、モータ20が停止することによって出力軸27が基準位置で停止する。このときに、中央制御部9bのプログラム上でアクチュエータ積算位置がゼロにクリアされる。
【0038】
図11のフローチャートは通常操作の場合を示している。前述したようにグリップ3の回転位置はプログラム上で5つのポジションに分類され、さらに各ポジションに対応するアクチュエータ部8の目標位置(出力軸27の目標位置)が予め決まっている。ここで目標値をXgとし、それが実際とり得る値をX1 〜X5 とする。なおX1 は基準位置(=0)、X1 <X2 <X3 <X4 <X5 とする。また現在のアクチュエータ積算位置をXaとする。
【0039】
通常操作では、プログラム上、グリップ位置とアクチュエータ積算位置が常時一致するように比較制御が繰り返し行なわれる。よって以下のような動作が行なわれる。
(1)Xg=Xaのとき、グリップ位置とアクチュエータ位置が等しいため、モータ20は動作しない。
(2)Xg>Xaのとき、グリップ位置が大となり、出力軸27が基準位置と反対方向に移動するように、制御部9よりモータ20を駆動させる信号が出力される。モータ20はベローズ30を伸ばす方向に出力軸27を動かす。このとき、出力軸27の移動と共に第2のセンサ35がとらえたパルスが制御部9に取り込まれ、パルス数に応じてXaが加算される。加算された結果、Xg=Xaになると、制御部9よりモータ20を停止させる信号が出力され、モータ20が停止する。
(3)Xg<Xaのとき、グリップ位置が小となり、制御部9よりアクチュエータ部8の出力軸27が基準位置の方向に移動するようにモータ20を駆動させる信号が出力される。モータ20はベローズ30を縮める方向に出力軸27を動かす。このとき出力軸27の移動と共に第2のセンサ35からパルスが制御部9に取り込まれ、パルス数に応じてXaが減算される。減算された結果、Xg=Xaになると、モータ20を停止させる信号が制御部9より出力され、モータ20が停止する。
【0040】
なお、初期基準位置合わせ直後はXa=X1 =0となっているので、このときグリップ位置がX1 ならモータ20はそのまま停止し、それ以外なら前記(2)と同様の動作が行なわれる。
【0041】
図12のフローチャートは、アクチュエータ部8が作動しているときのエンジン失火制御を示している。前述したようにノズル4の水噴出による反力がプッシュプルケーブル10を介してアクチュエータ部8に作用するため、モータ20の動作に対して対して大きな負荷となる。そこでこの実施形態では、以下に述べるようなエンジンの失火制御を行なうことにより、アクチュエータ動作中のノズル噴出力を低減させている。
【0042】
前述した通常操作において、アクチュエータ部8のモータ20が動作しているとき、つまりモータ20に駆動信号が出力されている間、以下の動作を繰り返し行なう。目標とするエンジン回転数をNとする。エンジンの実際の回転数を読み取り、それがN以上のとき、制御部9よりエンジン側の失火回路に任意のデューティパルスを出力する。このデューティパルスは、エンジンが停止することなく適度に失火機能が働くような値に設定されている。このとき、船体側のスロットル開度とは無関係にエンジン回転数が低下するが、それが目標回転数Nよりも下がった時点で失火出力をオフするように制御を繰り返し、エンジン回転数がほぼNで安定するようにする。
【0043】
この実施形態の場合、失火機能の目標回転数Nをほぼアイドリング回転数としており、失火機能を働かせたときにノズル4からの水の噴出が一時的に弱まるため、モータ20の駆動時の負荷となるノズル反力が減少し、モータ20を効率良く動作させることができる。モータ20の動作完了後は直ちにこの失火制御も終了するため、ジェット推進ノズル4の操作性への影響は実質的に生じない。
【0044】
【発明の効果】
請求項1に記載した本発明は、ロータの回転を出力軸の軸線方向の動きに直接変換する直動形モータをアクチュエータ部に採用したことにより、アクチュエータ部をコンパクトに構成することができる。また請求項1に記載した発明によれば、アクチュエータ部に第1のセンサと第2のセンサを内蔵したことにより、アクチュエータ部のさらなるコンパクト化が可能となる。請求項2に記載した発明によれば、従来から使われている機械式ノズル駆動装置のグリップ操作感を損なうことなく、グリップ部にグリップ位置センサを内蔵した電動式ノズル駆動装置を提供できる。
【0045】
請求項3に記載した発明によれば、アクチュエータ作動時にジェット推進ノズルの出力を低減させることができるため、ノズル反力を下げることによって、アクチュエータ部に比較的出力の小さいモータを採用することができ、従来装置に比較して安価でかつ小形な電動式のノズル駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す水上オートバイ用ノズル駆動装置の側面図。
【図2】 図1に示されたノズル駆動装置のグリップ部の正面図。
【図3】 図2中のIII-III線に沿うグリップ部の断面図。
【図4】 図2中のIV−IV線に沿うグリップ部の断面図。
【図5】 図1に示されたノズル駆動装置のアクチュエータ部の断面図。
【図6】 図5に示されたアクチュエータ部の作動態様を示す断面図。
【図7】 図1に示されたノズル駆動装置の制御部のブロック図。
【図8】 図1に示されたノズル駆動装置のグリップ部のロック機構とディテント機構を示す断面図。
【図9】 図8に示されたロック機構の一部の正面図。
【図10】 図8に示されたディテント機構の作動態様を示す正面図。
【図11】 図1に示されたノズル駆動装置の制御部の機能を示すフローチャート。
【図12】 図1に示されたノズル駆動装置の制御部の失火制御機能を示すフローチャート。
【図13】 水上オートバイの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…水上オートバイ
2…ハンドルバー
3…グリップ
4…ノズル
6…ノズル駆動装置
7…グリップ部
8…アクチュエータ部
9…制御部
10…プッシュプルケーブル(力伝達部材)
17…グリップ位置センサ
20…モータ
27…出力軸
33…第1のセンサ(基準位置検出手段)
35…第2のセンサ(モータ移動量検出手段)
40…ロック機構
Claims (3)
- 船体後部にアップ側とダウン側に揺動可能なジェット推進ノズルを有する小型船舶に用いるノズル駆動装置であって、
前記ジェット推進ノズルをアップ側あるいはダウン側に操作するための機構部に接続される力伝達部材と、
操舵用のハンドルバーに回転自在に設けたグリップを有するグリップ部と、
前記グリップを中立位置を境にして第1の方向に回転させた時と第2の方向に回転させた時とで異なる電気信号を発生するグリップ位置センサと、
前記力伝達部材を駆動するモータを備えたアクチュエータ部と、
前記グリップ位置センサからの前記電気信号に基いて前記ノズルをアップ側あるいはダウン側に移動させるように前記モータの回転を制御する制御部とを具備し、
前記アクチュエータ部のモータは、
コイル部が励磁されたときに回転するロータと、
前記ロータの回転力を軸線方向の動きに変換するねじ部を有しかつ前記力伝達部材を接続する出力軸を有する直動形モータであり、該モータは、前記出力軸の基準位置を検出するための第1のセンサと、前記ロータの回転量を検出する第2のセンサとを内蔵し、
前記制御部は、前記第1のセンサと第2のセンサと前記グリップ位置センサとの各出力に基いて、前記ノズルが所望のトリムアングル位置となるように前記モータの回転を制御して前記出力軸を前記軸線方向に移動させることを特徴とする小型船舶用ノズル駆動装置。 - 前記グリップ部は、前記グリップをトリムアングルに応じた位置に止めるためのロック機構と前記グリップ位置センサとを有することを特徴とする請求項1記載のノズル駆動装置。
- 船体後部にアップ側とダウン側に揺動可能なジェット推進ノズルを有する小型船舶に用いるノズル駆動装置であって、
前記ジェット推進ノズルをアップ側あるいはダウン側に操作するための機構部に接続される力伝達部材と、
操舵用のハンドルバーに回転自在に設けたグリップを有するグリップ部と、
前記グリップを中立位置を境にして第1の方向に回転させた時と第2の方向に回転させた時とで異なる電気信号を発生するグリップ位置センサと、
前記力伝達部材を駆動するモータを備えたアクチュエータ部と、
前記グリップ位置センサからの前記電気信号に基いて前記ノズルをアップ側あるいはダウン側に移動させるように前記モータの回転を制御する制御部とを具備し、
前記制御部は、
前記モータの作動中にエンジンを強制失火させて前記ノズルからの噴出反力を低減させるエンジン失火制御機能を有することを特徴とする小型船舶用ノズル駆動装置。
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