JP4214062B2 - 小型船舶用パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、船外機や舵の操舵を電動モータでパワーアシストするようにした小型船舶用パワーステアリング装置に関するものである。
従来から船外機付きボートのパワーステアリング装置として電動モータによりパワーアシストする技術が提案されている(特許文献1参照)。
これは、運転席に配置されたステアリングハンドルの操作をワイヤを介してボート後部に操舵可能に支持した船外機に伝達してステアリングハンドルの操舵量に応じて船外機を回動するよう構成する一方、電動モータの回転力を減速ギヤを介して船外機を回動させるパワーアシスト機構を備える。前記ワイヤ部分に作用する操舵伝達力を感知する操舵力センサの出力信号および船外機のエンジン回転数信号等に応じて電子制御ユニット(ECU)により電動モータによるアシスト力を制御するようにしている。
特許第2652788号明細書
しかしながら、上記従来例では、電動モータや操舵力センサを船外機の近傍に配置するものであるため、プロペラ等から飛散してくる水が浸入しないように防水性を高める必要があり、また、取付けが複雑となり、製品コストの上昇を招く不具合があった。
また、ステアリングハンドルの操舵によりプッシュプル作動するワイヤの作用力を感知する操舵力センサを用いるものであるため、作動に伴うフリクションにより感知できる操舵力が減少・変化してその精度が低下し、結果としてアシスト力が抑制されたりして、操舵力を軽くすること及びフィーリングを良くすることに限界がある等の問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、防水性を考慮することなく軽い操舵力でフィーリング良く運転のし易い安価な小型船舶用パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、船体後部に水平方向に回動可能に配置した舵取り手段と、船体後部において舵取り手段を回動操舵させるリンク機構と、運転席のステアリングハンドルにより操舵操作されるギヤ装置と、前記ギヤ装置の出力をリンク機構に伝達する連結手段と、前記ステアリングハンドルからギヤ装置に入力される操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記ギヤ装置を少なくともトルクセンサの検出信号に応じて操舵操作方向にアシスト駆動する電動アクチュエータと、前記トルクセンサの検出信号を取り込み、演算して電動アクチュエータを駆動するコントローラと、を備える小型船舶用パワーステアリング装置であり、前記コントローラは、前記トルクセンサの検出信号に応じて電動アクチュエータの基本アシスト力信号を演算する基本アシスト力決定手段と、基本アシスト力信号に応じて電動アクチュエータの最終アシスト力信号を出力するサーボアンプ処理手段と、トルクセンサの検出信号を微分してその微分項を出力して電動アクチュエータのアシスト力の変動を抑制する補正信号を出力する補助アシスト力決定手段とを備え、前記基本アシスト力決定手段は、基本アシスト力信号の出力特性を複数備えてそのいずれかを選択するか若しくは基本アシスト力信号の出力特性を変化させる出力特性変更手段を備え、外部の切換スイッチ若しくは船速等の推進状態に応じて基本アシスト力信号の出力特性を変化させることを特徴とする。前記舵取り手段としては、船体後部に回動可能に配置した舵や推進装置を内蔵させた船外機がある。
第2の発明は、第1の発明において、コントローラは、トルクセンサの出力信号と電動アクチュエータの回転方向とからステアリングハンドルの切戻し状態を判定し、船速信号に応じて予め設定した戻り指令値を基本アシスト力信号に加減算して切戻し方向に増加させる戻り制御手段を備えることを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明において、コントローラは、船速信号に応じて予め設定した収斂ゲインに電動アクチュエータの作動速度を乗算して収斂指令値を求めて基本アシスト力信号から減算し、基本アシスト力信号を抑制する収斂制御手段を備えることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし第3の発明において、連結手段は、同一構成の2つのプッシュプルケーブルから構成した。
したがって、第1の発明では、船体後部において舵取り手段を回動操舵させるリンク機構を連結手段を介して運転席側ステアリングハンドルにより駆動するギヤ装置を備え、ステアリングハンドルによりギヤ装置に入力される操舵トルクをトルクセンサにより検出してギヤ装置を電動アクチュエータにより操舵操作方向にアシスト駆動するよう構成したので、電動アクチュエータやトルクセンサは運転席のステアリングハンドルにより直接操作されるステアリング軸およびギヤ装置に付随させて配置でき、舵取り手段としての船外機等のプロペラ等から飛散してくる水の浸入を考慮する必要がなく、防水性を高める等の製品コストの上昇要因がなく、安価に提供することができる。しかも、トルクセンサはワイヤ等のフリクションを含まず、操縦者の操舵力を直接センシングできるので高精度に操舵トルクを検出することができ、ECUで演算して駆動する電動モータのアシスト力を高くして操舵力を軽くでき、しかも、フリクション成分を含んでいないため、操舵フィーリングも良好とできる。
また、コントローラを、トルクセンサの検出信号に応じて電動アクチュエータの基本アシスト力信号を演算する基本アシスト力決定手段と、基本アシスト力信号に応じて電動アクチュエータの最終アシスト力信号を出力するサーボアンプ処理手段と、トルクセンサの検出信号を微分してその微分項を出力して電動アクチュエータのアシスト力の変動を抑制する補正信号を出力する補助アシスト力決定手段とで構成したため、電動アクチュエータのコギングトルクや位相遅れによる出力変動が抑制され、操舵フィーリングを向上させることができる。
しかも、基本アシスト力決定手段を、基本アシスト力信号の出力特性を複数備えてそのいずれかを選択するか若しくは基本アシスト力信号の出力特性を変化させる出力特性変更手段を備え、外部の切換スイッチ若しくは船速等の推進状態に応じて基本アシスト力信号の出力特性を変化させるため、小型船舶の船速等の走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを得ることができる。
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、コントローラは、トルクセンサの出力信号と電動アクチュエータの回転方向とからステアリングハンドルの切戻し状態を判定し、船速信号に応じて予め設定した戻り指令値を基本アシスト力信号に加減算して切戻し方向に増加させる戻り制御手段を備えるため、左操舵から直進状態とするために右操舵に切り返して戻す場合(またその逆の場合)に、電動モータのフリクションや慣性により、ステアリングハンドルが戻りにくくなる状態を改善することができる。しかも、戻り制御手段の出力信号を、船速に応じて調整することにより、操舵フィーリングを小型船舶の船速等に応じて最適とできる。
第3の発明では、第1または第2の発明の効果に加えて、ントローラは、船速信号に応じて予め設定した収斂ゲインに電動アクチュエータの作動速度を乗算して収斂指令値を求めて基本アシスト力信号から減算し、基本アシスト力信号を抑制する収斂制御手段を備えるため、操舵にダンピング(制動)が働き、適度な操舵フィーリングを得ることができる。しかも、収斂制御手段の出力信号を、船速に応じて調整することにより、操舵フィーリングを小型船舶の船速等に応じて最適とできる。
第4の発明では、第1ないし第3の発明の効果に加えて、連結手段は、同一構成の2つのプッシュプルケーブルから構成したため、高い駆動力を伝達可能であり、電動モータによりパワーアシストされた駆動力を最適にリンク機構に伝達することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した小型船舶用パワーステアリング装置を示す斜視図であり、舵取り手段として船外機を備えるものを示す。以下では舵取り手段として船外機を備える小型船舶用パワーステアリングについて説明するが、推進装置を船体に備えて舵取りのみ(推進装置を内蔵しないもの)に利用される舵を装備する小型船舶用パワーステアリングに対しては、船外機を舵に代替することによりそのまま適用できるものである。
船体1の運転席に設置されてステアリングハンドル2の操舵操作をプッシュプルケーブル3の押引き動作に変換するギヤ装置4およびパワーアシスト装置5と、舵取り手段としての船外機6が取付けられた船体1の後部に配置されてプッシュプルケーブル3の押引き動作に応じて船外機6を旋回操舵させるリンク機構7とから構成している。
前記船外機6は、図2に示すように、エンジンハウジング10に内蔵する図示しないエンジンの回転をドライブシャフトハウジング11に内蔵する図示しないドライブシャフトを介してギヤハウジング12に内蔵した図示しないかさ歯車を介してプロペラ13に伝達するよう構成した船外機本体6Aを備え、プロペラ13の回転により小型船舶の推進力を発生させる。船外機本体6Aは、スイベルブラケット14に設けた上下方向軸14A(パイロットシャフト)により水平面内で転回可能に支持される。スイベルブラケット14は水平方向軸15A(クランプブラケットシャフト)を介して船体1のトランサムを把持して船体1に固定されるクランプブラケット15に支持され、スイベルブラケット14および船外機本体6Aは船舶側面から見て図中反時計方向に跳ね上げ可能である。
前記リンク機構7は、図3に示すように、船外機本体6Aに固定されて船体1側に延びたステアリングブラケット16にドラッグリンク17を介してプッシュプルケーブル3の押引き作動を伝達することにより、船外機6を操舵回動させる。このため、プッシュプルケーブル3のアウターケーブル3Aの端部金具3Bは、クランプブラケット15に固定され、アウターケーブル3Aの端部金具3Bから突出するプッシュプルケーブル3のインナーケーブルの先端ロッド3Cがドラッグリンク17に連結される。図示例では、アウターケーブル3Aの端部金具3Bは、クランプブラケット15およびスイベルブラケット14を共に貫通してナットによりクランプブラケット15に固定されることでクランプブラケットシャフト15Aを兼用するよう構成している。したがって、プッシュプルケーブル3のインナーケーブルの押引き移動により、ドラッグリンク17およびステアリグブラケット16を介して船外機本体6Aが上下方向軸14Aを介し水平面内で回動され、操舵される。ドラッグリンク17およびステアリングブラケット16はリンク機構7を構成している。
前記ギヤ装置4は、図4〜図10、特に、図8に示すように、ラックアンドピニオンにより構成している。前記ラックギヤ20は、その移動によりプッシュプルケーブル3のインナーワイヤを押引き作動させる。ピニオンギヤ21は出力軸22に一体に設けられている。出力軸22は、ステアリングハンドル2に連結されるステアリング軸23にトーションバー24を介して連結され、ウォームギヤ25およびウォームホイール26を介して電動アクチュエータとしての電動モータ27よりの駆動力を受けるよう構成している。即ち、出力軸22は、ピニオンギヤ21の両端である先端側軸受け22Aおよび大径軸受け22Bによりギヤケース19に回転可能に支持され、大径軸受け22Bに隣接してウォームホイール26を一体に固定して備え、後端(ステアリングハンドル2)側には、ステアリング軸23の先端を回転可能に支持し、トーションバー24の先端をセレーション等により固定して備える。また、出力軸22の後端には、トルクピン28が外方へ突出して配置されている。前記ギヤケース19は、運転席のダッシュボードDBに取付けねじ等により固定される。
前記ステアリング軸23は、軸受け29によってもギヤケース19に回転可能に支持され、後端部はステアリングハンドル2に連結され、中空状内部にはその後端をピンにより固定したトーションバー24を内蔵して備える。ステアリング軸23の外周には、ヘリカルスプライン若しくはインボリュートヘリカルセレーションにより係合するトルクリング30が装着されている。
前記トルクリング30は、図9に示すように、外周に設けた円周方向溝31と、軸方向に対して平行な前記出力軸22のトルクピン28に係合する溝32とを備え、内周には前記ステアリング軸23外周と係合するヘリカルスプライン若しくはインボリュートヘリカルセレーションとを備え、円周方向溝31にはトルクセンサ35として機能する位置検出装置の検出ピン36が嵌合している。このため、トルクリング30は出力軸22に対して、前記トルクピン28と溝32との係合により、軸方向に移動可能且つ一体に回転する。
また、トルクリング30は、ステアリングハンドル2の操作による操舵トルクをステアリング軸23からトーションバー24を介して出力軸22に伝達する際に、ステアリング軸23外周とのヘリカルスプライン若しくはヘリカルセレーションによる係合により、トーションバー24に生ずる振じれ量、即ち、出力軸22とステアリング軸23との相対回動量に応じて軸方向に移動し、この軸方向移動は円周方向溝31に係合した検出ピン36を軸方向に移動させ、トルクセンサ35により操舵トルクとして感知させる。
なお、前記トルクリング30は、出力軸22に対してトルクピン28と軸方向溝32とにより軸方向に移動可能であり且つ回転方向に一体回転するよう連結し、ステアリング軸23に対して斜めとなるヘリカルスプライン若しくはヘリカルセレーションにより連結するものについて説明しているが、図示しないが、出力軸22に対して斜めとなるヘリカルスプライン若しくはヘリカルセレーションにより連結し、ステアリング軸23に対して軸方向に移動可能であり且つ回転方向に一体回転するよう連結するものであっても、前記と同様に作動させることができる。
前記ウォームホイール26はウォームギヤ25と係合している。前記ウォームギヤ25は、図10に示すように、ギヤケース19に回転可能に支持され、その一端には、クラッチプレート33が軸方向移動可能であり且つ一体回転するよう結合されている。前記クラッチプレート33は、アシストモータ27により回転駆動される駆動プレート34に当接および離脱可能となっている。そして、図示しないクラッチコイルが励磁されるとクラッチプレート33と駆動プレート34とは当接してアシストモータ27の駆動力をウォームギヤ25に伝達可能となり、クラッチコイルヘの励磁を解除すると両プレート33、34は互に離脱し、ウォームギヤ25およびウォームホイール26はアシストモータ27から切り離されて出力軸22側から回転される。アシストモータ27、ウォームギヤ25、ウォームホイール26は、パワーアシスト装置5を構成する。
図11は電動モータのコントローラ(ECU)を示したブロック図である。以下、ECUで実行される処理について詳細に説明する。ECU内で実行される処理は、主として、基本アシスト電流決定処理50と、補助アシスト電流決定処理51、52と、補助アシスト電流加算処理53、54と、フィードバック処理55によって構成されている。
基本アシスト電流決定処理50は、トルクセンサ35の出力信号の値、即ち、操舵者の操舵トルクの大きさに応じて、第1基本アシスト電流値を決定する処理である。この基本アシスト電流決定処理50は、予めEEPROMやCPUフラッシュメモリ又はプログラムのデータエリアに記憶されているデータの中から、操舵トルクの大きさ(トルクセンサ35の出力信号値)に対応するアシスト電流値に関するデータを、第1基本アシスト電流値として決定する処理である。この第1基本アシスト電流値は、図12に示すように、トルクセンサ35の出力信号に対して若干の不感帯をもち、その後、略出力信号の値の2乗に比例するようにされている。
図12には操舵トルクとアシスト電流の大きさを変えた3特性を示している。この特性は、3特性に限定されるものでなく最低2特性以上あれば切換え可能であり、また、切換えしないのであれば1特性であってもよい。アシスト電流の大きさを変えた特性は、ステアリングハンドル2の近傍に設けた切換えスイッチ49(ロータリスイッチやトグルスイッチ等)により選択できる。また、この特性は、船のステアリング径の大きさ、エンジン出力の大きさ、船速等によって操舵者の好みによって設定することができる。
補助アシスト電流決定処理51は、トルクセンサ35の出力信号を微分演算して電動モータ27に特有なコギングトルクを補正する処理であり、補助アシスト電流加算処理53は、補助アシスト電流決定処理51により微分演算されたトルクセンサ35の出力信号の値を、基本アシスト電流値に足し合わせる処理である。この補助アシスト電流決定処理51は、トルクセンサ35の出力信号を、例えば、デジタル微分51Aし、操舵トルクの値により可変とすることで補正出力値の振動を抑制するゲインテーブルの微分ゲインが乗算51Bされ、過大な補正にリミット51Cをかけて出力される。この補助アシスト電流決定処理51による出力信号が足し合わされた後の第2基本アシスト電流値が、電動モータ27への基本指令電流値となる。
補助アシスト電流決定処理52は、トルクセンサ35の出力信号を微分演算して電動モータ27の位相遅れを補正する処理であり、補助アシスト電流加算処理54は、補助アシスト電流決定処理52により微分演算されたトルクセンサ35の出力信号の値を最終段のアシスト指令電流値に足し合わせる処理である。この補助アシスト電流決定処理52は、トルクセンサ35の出力信号を、例えば、応答性と分解能の高いアナログ微分器によりアナログ微分52Aし、操舵トルクの値により可変とすることで補正出力値の振動を抑制するゲインテーブルの微分ゲインが乗算52Bされ、位相遅れ補正および変化量補正のリミット52Cをかけて出力される。この補助アシスト電流決定処理52の出力信号が足し合わされた後のアシスト電流値が、電動モータ27を駆動するドライバPWMヘの最終指令電流値となり、PWMを経由して電動モータ27を駆動する。
このようにトルクセンサ35の出力信号の微分値を第1基本アシスト電流値に足し合わせる理由及び最終段のアシスト電流値に足し合わせる理由は、以下の理由による。
まず、第1の理由としては、トルクセンサ35が操舵トルクを検出してからウォームギヤ25を介してウォームホイール26にアシスト力が伝達されるまでの時間(以下、「遅れ時間」と称する。)を短くすることを目的としている点が挙げられる。即ち、アシストの応答性を向上することを目的としている。したがって、トルクセンサ35により検出される操舵トルクが急変(急激に変化)した場合においても、その急変した操舵トルクに応じたアシスト力で操舵力をアシストすることができる。
第2の理由としては、アシスト電流値が発振してしまうことを防止することを目的としている点が挙げられる。微分することにより、位相を90度進ませて、発振してしまうことを防止することができる。
前記フィードバック処理55は、電動モータ27に流れる電流値をアシスト電流指令値に一致するようにするための処理である。電動モータ27が回転すると電動モータ27が発電機と同様に発電して逆起電圧が発生し、電動モータ27に流れる電流値を小さくする。このため、操舵トルクに応じたアシスト力よりも小さなアシスト力で操舵力がアシストされ、フィーリングが悪くなる。この現象を防ぐために、アシスト電流指令値に電動モータ27に流れている電流値をフィードバックして減算することで、モータ電流値をアシスト電流指令値と一致させる処理を行う。
図13は、小型船舶の速度(以下、船速という)に応じて第1基本アシスト電流値の特性を変更するようにしたECUを示すブロック図である。図13に示す基本アシスト電流決定処理50も、トルクセンサ35の出力信号の値、即ち、操舵者の操舵トルクの大きさに応じて、第1基本アシスト電流値を決定するものであるが、船速センサ56より移動平均された船速信号が入力され、図14に示すように、船速が小さい範囲ではアシスト電流も小さく、船速が大きくなるに連れてアシスト電流を増加させる特性としている。前記アシスト特性は、船速に合わせて操舵トルクに対する電動モータ27へのアシスト電流を大きく流すようにしており、船速に関係なく同じ操舵トルクで操舵することができる。
なお、スクリュが一個である船外機付きボートや推進装置を船体自体に備える小型船舶であってもスクリュが一個である場合には、スクリュの回転により進行方向が左右いずれか一方へ偏る傾向があり、この傾向は船速の上昇によって増加される。このような場合には、船速に応じて偏る一方側のアシスト力を弱め、他方側のアシスト力を強めるような特性を持たせることが必要となる。また、エンジン回転数、船外機のトリム角、船の大きさによっても操舵トルクは影響を受けるので、これらの状態量をセンサ又はスイッチ等から取り込み、予め入力してある個々の条件における最適なアシスト量を自動的に設定および選択するようにしてもよい。
また、前記船速信号は、補助アシスト電流決定処理51にも入力され、船速信号の大きさにより可変とすることで補正出力値の振動発生を抑制する微分ゲインを乗算51Dして、補助アシスト電流決定処理51の補正出力値を船速によっても補正するようにしている。
さらに、前記船速信号は、戻り制御処理57および収斂制御処理58にも利用されている。即ち、戻り制御処理57は、左操舵から直進状態とするために右操舵に切り返して戻す場合(またその逆の場合)に、電動モータ27のフリクション及び慣性により、ステアリングハンドル2が戻りにくくなる状態を改善するものである。このために、ステアリングハンドル2の戻し時に電動モータ27の回転方向(セルフアライニングトルクの方向)にアシスト電流を加え、戻りをアシストするようにする。
具体的には、電動モータ27の端子間電圧(電動モータ27の回転方向)と操舵トルク(ステアリングハンドル2の回転方向)とが比較されてステアリングハンドル2の切込み状態か戻り状態かが判定57Aされ、戻り状態である場合には、船速信号に応じて予めテーブル57Bで設定した戻り指令電流値を、その出力値が急激に変化したり過大とならないようローパスフィルタ57Cおよびリミッタ57Dを経由させて、戻り指令電流値を第1基本アシスト電流値に、電動モータ27の回転方向に応じて加減算してステアリングハンドル2を戻し方向にアシストする。なお、この戻り制御処理57は、ステアリングハンドルの戻りおよび切込みの変移点でのチャタリングを防止するため、不感帯を設けることが望ましい。
前記収斂制御処理58は、舵取り手段としての船外機が一機では、プロペラ回転数の増加に伴い船尾からみてプロペラ13の回転方向と同じ方向、例えば、右回転の場合は右方向に操舵力が発生し、ステアリングハンドル2を保持していないと舵を取られる虞があること、また、ステアリングハンドル2の戻し速度が速くなると電動モータ27及びステアリングハンドル2の慣性で操舵を戻しすぎ(オーバシュート)たりする虞があることに対し、ダンピングをとるよう制御するものである。
具体的には、船速信号に応じて予めテーブル58Aで設定した収斂ゲインに電動モータ27の回転数を乗算して収斂電流値を求め、その電流値が急激に変化したり過大とならないようローパスフィルタ58Bおよびリミッタ58Cを経由させて、第1基本アシスト電流値を収斂電流値により減算して、電動モータ27の回転数が上昇し過ぎることを抑制する。
以上の構成になる小型船舶用パワーステアリング装置においては、ステアリングハンドル2を中立状態から、例えば、右(左)に操舵すると、ステアリング軸23およびトルクリング30が右(左)へ回動し、トーションバー24を介して出力軸22を右(左)に回動させ、ラックアンドピニオン20、21を介してプッシュプルケーブル3のインナーケーブルを端部金具3Bから押出(端部金具内に引き戻し)し、ドラッグリンク17を介してステアリングブラケット16および船外機6を水平面内において反時計方向(時計方向)に回動させる。船外機6が反時計方向(時計方向)に回動ずることで船体1に右回り(左回り)のモーメントが作用し、船体1は右方向(左方向)に旋回しつつ前進する。
上記操舵において、トーションバー24が操舵力に応じて損じれ、この損じれはトルクリング30をトーションバー24のねじれ方向に応じてその軸方向位置を変化させ、この変化は検出ピン36を移動させてトルクセンサ35により操舵トルクとして検出される。検出された操舵トルクは、ECUに入力され、前述したように、基本アシスト電流が決定され、補助アシスト電流決定処理51、52、補助アシスト電流加算処理53、54が実行されて、PWMより電動モータ27が駆動され、且つフィードバック処理55されて、ステアリングハンドル2の操舵操作をアシストする。
図15は小型船舶用パワーステアリング装置のプッシュプルケーブル3の別の実施例を示し、第1の実施例においては一本のプッシュプルケーブル3を用いてリンク機構7を操作するものであるのに代えて、二本のプッシュプルケーブル3を用いてリンク機構7を操作するようにしたものである。二本のプッシュプルケーブル3のインナーケーブルの先端3Cはいずれもドラッグリンク17に連結されるものであるが、一本目のプッシュプルケーブル3の端部金具3Bはクランプブラケットシャフト15Aを兼用するも、残りのプッシュプルケーブル3の端部金具3Bはクランプブラケット15に固定されるもののシャフト15Aは兼用しないよう構成する。このように、二本のプッシュプルケーブノレ3を用いることで、伝達する操作力を大きくすることができる。
図16および図17は、小型船舶用パワーステアリング装置のさらに別の実施例を示し、第1実施例ではギヤ装置4としてラックアンドピニオンを用いるものであるのに代えて、円形のギヤ装置4Aを用いるようにしたものである。即ち、図16においては、出力軸22のピニオン21に噛み合うドラム状のギヤ42を用い、ドラム状ギヤ42にはワイヤが巻付けられる溝43を設け、この溝43に巻付けられるワイヤを介してリンク機構7のドラッグリンク17を押し引き作動させるようにしたものである。図17においては、出力軸22のピニオン21に噛み合うドラム状の内接ギヤ44を用い、ドラム45の外周にはワイヤが巻付けられる溝46を設け、この溝46に巻付けられるワイヤを介してリンク機構7のドラッグリンク17を押し引き作動させるようにしたものである。この場合の内接ギヤ44はドラム45全周に設けることなく一部に扇状に設けるようにしたものである。
本発明の一実施形態を示す小型船舶用パワーステアリング装置の斜視図。 同じく舵取り手段としての船外機を示す側面図。 同じくリンク機構の平面図。 パワーステアリング装置のギヤ装置およびパワーアシスト装置の平面図。 パワーステアリング装置のギヤ装置およびパワーアシスト装置の側面図。 パワーステアリング装置のギヤ装置およびパワーアシスト装置のハンドル側からの側面図。 パワーステアリング装置のギヤ装置およびパワーアシスト装置のギヤ装置側の側面図。 パワーステアリング装置のギヤ装置およびパワーアシスト装置の断面図。 パワーステアリング装置のトルクリングの拡大図。 パワーステアリング装置のパワーアシスト装置の断面図。 電動モータの制御システムを示したブロック図。 基本アシスト電流値によるアシスト特性を示す特性図。 電動モータの制御システムを示した別のブロック図。 図13における基本アシスト電流値によるアシスト特性を示す特性図。 小型船舶用パワーステアリング装置のプッシュプルケーブル3の別の実施例を示す斜視図。 小型船舶用パワーステアリング装置のさらに別の実施例を示す断面図。 小型船舶用パワーステアリング装置のさらに別の実施例を示す断面図。
符号の説明
1 船体
2 ステアリングハンドル
3 プッシュプルケーブル(連結手段)
4、4A ギヤ装置
5 パワーアシスト装置
6 舵取り手段としての船外機
7 リンク機構
20 ラツク
21 ピニオン
22 出力軸
23 ステアリング軸
24 トーションバー
25 ウォームギヤ
26 ウォームホイール
27 電動モータ(電動アクチュエータ)
30 トルクリング
35 トルクセンサ

Claims (4)

  1. 船体後部に水平方向に回動可能に配置した舵取り手段と、船体後部において舵取り手段を回動操舵させるリンク機構と、運転席のステアリングハンドルにより操舵操作されるギヤ装置と、前記ギヤ装置の出力をリンク機構に伝達する連結手段と、前記ステアリングハンドルからギヤ装置に入力される操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記ギヤ装置を少なくともトルクセンサの検出信号に応じて操舵操作方向にアシスト駆動する電動アクチュエータと、前記トルクセンサの検出信号を取り込み、演算して電動アクチュエータを駆動するコントローラと、を備える小型船舶用パワーステアリング装置であり、
    前記コントローラは、前記トルクセンサの検出信号に応じて電動アクチュエータの基本アシスト力信号を演算する基本アシスト力決定手段と、基本アシスト力信号に応じて電動アクチュエータの最終アシスト力信号を出力するサーボアンプ処理手段と、トルクセンサの検出信号を微分してその微分項を出力して電動アクチュエータのアシスト力の変動を抑制する補正信号を出力する補助アシスト力決定手段とを備え、
    前記基本アシスト力決定手段は、基本アシスト力信号の出力特性を複数備えてそのいずれかを選択するか若しくは基本アシスト力信号の出力特性を変化させる出力特性変更手段を備え、外部の切換スイッチ若しくは船速等の推進状態に応じて基本アシスト力信号の出力特性を変化させることを特徴とする小型船舶用パワーステアリング装置。
  2. 前記コントローラは、トルクセンサの出力信号と電動アクチュエータの回転方向とからステアリングハンドルの切戻し状態を判定し、船速信号に応じて予め設定した戻り指令値を基本アシスト力信号に加減算して切戻し方向に増加させる戻り制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の小型船舶用パワーステアリング装置。
  3. 前記コントローラは、船速信号に応じて予め設定した収斂ゲインに電動アクチュエータの作動速度を乗算して収斂指令値を求めて基本アシスト力信号から減算し、基本アシスト力信号を抑制する収斂制御手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の小型船舶用パワーステアリング装置。
  4. 前記連結手段は、同一構成の2つのプッシュプルケーブルから構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の小型船舶用パワーステアリング装置。
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