JP2023050974A - 熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びその製造方法 Download PDF

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Kenta Wakabayashi
修作 友井
Shusaku Tomoi
陽介 岡村
Yosuke Okamura
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Abstract

【課題】 共押出や加硫等の加熱の必要がなく、表面改質や接着成分配合等の前処理の必要もない熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 熱可塑性樹脂を第1の溶媒に溶かして熱可塑性樹脂溶液を作製し、熱可塑性樹脂溶液を基材フィルム4上に塗布して厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルム3を成膜することで積層フィルム5を形成し、積層フィルム5を第2の溶媒に入れて基材フィルム4を溶かすことで熱可塑性樹脂フィルム3を単体として分離し、熱可塑性樹脂フィルム3を加硫されたゴム層2の表面上に直接積層する。積層体1では、熱可塑性樹脂フィルム3が分子間力に基づいてゴム層2に対して接着されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びそれを製造する方法に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂フィルムをゴム層の表面に接着するにあたって、共押出や加硫等の加熱の必要がなく、表面改質や接着成分配合等の前処理の必要もない熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びその製造方法に関する。
タイヤの劣化原因の一つにオゾン劣化が挙げられる。オゾン劣化からタイヤ表面を保護する目的で、タイヤを構成するゴム組成物に老化防止剤やワックスを配合して耐オゾン性を向上させているが、このような対策は必ずしも十分ではない。
一方、タイヤ表面に樹脂フィルムを積層することにより、耐オゾン性を改善することが提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法においては、加硫済みタイヤの表面に樹脂層を配置し、これを熱圧処理することでタイヤ表面に樹脂層を接着している。しかしながら、この場合、熱圧処理がタイヤ自体を劣化させる要因になるため、必ずしも好ましいものではない。
また、樹脂フィルムをゴム層の表面に接着する方法として、共押出や加硫等の加熱に依存するものや(例えば特許文献2,3参照)、表面改質や接着成分配合等の前処理に依存するもの(例えば特許文献4,5参照)がある。しかしながら、前者は接着のタイミングが制限されるという欠点があり、後者は前処理に時間を要するという欠点がある。特に、接着処理の場合、樹脂フィルムやゴム層の物性が損なわれることがある。
特開2017-193087号公報 特開昭62-292504号公報 特開2013-10493号公報 特開2019-99690号公報 国際公開WO2008/29939号明細書
本発明の目的は、熱可塑性樹脂フィルムをゴム層の表面に接着するにあたって、共押出や加硫等の加熱の必要がなく、表面改質や接着成分配合等の前処理の必要もない熱可塑性樹脂とゴムとの積層体及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体は、厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルムが加硫されたゴム層の表面上に直接積層され、前記熱可塑性樹脂フィルムが分子間力に基づいて前記ゴム層に対して接着されていることを特徴とするものである。
一方、上記目的を達成するための本発明の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法は、 熱可塑性樹脂を第1の溶媒に溶かして熱可塑性樹脂溶液を作製し、前記熱可塑性樹脂溶液を基材フィルム上に塗布して厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルムを成膜することにより、前記基材フィルムと前記熱可塑性樹脂フィルムとからなる積層フィルムを形成し、前記積層フィルムを第2の溶媒に入れて前記基材フィルムを溶かすことにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを単体として分離し、前記熱可塑性樹脂フィルムを加硫されたゴム層の表面上に直接積層することを特徴とするものである。
本発明者は、熱可塑性樹脂とゴムとの積層体について鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂のナノフィルムは分子間力に基づいてゴム層に対して接着可能であり、しかもゴム層に対する追従性を十分に有することを知見し、本発明に至ったのである。
即ち、本発明では、厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルムが加硫されたゴム層の表面上に直接積層され、熱可塑性樹脂フィルムが分子間力に基づいてゴム層に対して接着されているので、両者を互いに接着するにあたって、共押出や加硫等の加熱の必要がなく、表面改質や接着成分配合等の前処理の必要もない。そのため、共押出や加硫等の加熱伴う不都合を回避することができる。特に、接着処理により熱可塑性樹脂フィルムやゴム層の物性が損なわれることもない。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法によれば、上述の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体を容易に得ることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂フィルムの引張弾性率はゴム層の引張弾性率よりも高く、5GPa以下であることが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂フィルムのゴム層に対する追従性を確保することができる。
ゴム層を構成するゴム組成物はジエン系ゴムを含むことが好ましい。ジエン系ゴムは二重結合を有し、その二重結合部分がオゾンと反応しオゾン劣化が生じやすいため、ジエン系ゴムを含むゴム組成物に熱可塑性フィルムを積層することで効果的にオゾン劣化を抑制することができる。
熱可塑性樹脂フィルムは裁断化されていることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを裁断化した後にゴム層の表面上に直接積層することにより、ゴム層の表面が湾曲している場合であっても、熱可塑性樹脂フィルムの積層を容易に行うことができる。特に、熱可塑性樹脂フィルムを裁断化して該熱可塑性樹脂フィルムの裁断片を含む懸濁液を作製した後、懸濁液をゴム層の表面上に塗布して乾燥させることにより、熱可塑性樹脂フィルムをゴム層の表面上に直接積層することが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂フィルムの積層時の作業性を高めることができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムは2層以上に積層されていることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを耐オゾン性の改善に用いる場合、熱可塑性樹脂フィルムを2層以上に積層することにより、耐オゾン性を高めることができる。
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が必要とされるゴム層を備えた各種のゴム製品に対して適用可能である。そのようなゴム製品としては、例えば、タイヤ、ホース、チューブ、コンベアベルト、防舷材等を挙げることができる。特に、タイヤの耐オゾン性を改善する場合に好適である。
本発明に係る熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の一例を示す断面図である。 (a)~(d)は本発明に係る熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法の一例を示す工程図である。 (a)~(f)は本発明の他の実施形態からなる熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法を示す工程図である。 (a)~(f)は本発明の更に他の実施形態からなる熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法を示す工程図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の一例を示すものである。図1に示すように、本発明の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体1は、加硫されたゴム層2の表面上に厚さTが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルム3が直接積層された構造を有している。熱可塑性樹脂フィルム3は接着剤を介することなく分子間力に基づいてゴム層2に対して接着されている。
ゴム層2を構成するゴム組成物のゴム成分としては、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br-IIR、Cl-IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br-IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M-CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を挙げることができる。特に、ジエン系ゴムが好ましい。また、ゴム組成物には、カーボンブラック等の補強剤、軟化剤、老化防止剤、加硫促進剤、硫黄等の配合剤を適宜配合することができる。
一方、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN-アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース(CA)、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕、ポリスチレン(PS)等を挙げることができる。
図2(a)~(d)は本発明に係る熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法の一例を示すものである。上述した積層体1は、例えば、以下の工程A~Dによって製造される。
工程A:図2(a)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂を第1の溶媒3aに溶かして熱可塑性樹脂溶液3bを作製する。第1の溶媒3aは、熱可塑性樹脂フィルム3に使用される熱可塑性樹脂を可溶であれば、特に限定されるものではない。第1の溶媒3aとして、例えば、アセトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒や、水、アルコールと水との混合溶媒等を用いることができる。熱可塑性樹脂溶液の濃度は樹脂種によって異なるが、熱可塑性樹脂がPSの場合は20~40mg/mL、EVOHの場合は40~60mg/mLであることが好ましい。
工程B:図2(b)に示すように、工程Aで作製された熱可塑性樹脂溶液3bを基材フィルム4上に塗布して厚さTが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルム3を成膜することにより、基材フィルム4と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層フィルム5を形成する。基材フィルム4は熱可塑性樹脂フィルム3とは異なる樹脂で形成されている。
工程C:図2(c)に示すように、工程Bで形成された積層フィルム4を第2の溶媒4aに入れて基材フィルム4を溶かすことにより、熱可塑性樹脂フィルム3を単体として分離する。第2の溶媒4aは、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂は不溶であると共に基材フィルム4を構成する樹脂を可溶であれば、特に限定されるものではない。第2の溶媒4aとして、例えば、アセトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒や、水、アルコールと水との混合溶媒等を用いることができる。
工程D:図2(d)に示すように、工程Cで作製された熱可塑性樹脂フィルム4を加硫済みのゴム層2の表面上に直接積層する。これにより、ナノフィルムである熱可塑性樹脂フィルム4は分子間力に基づいてゴム層2に対して接着され、ゴム層2と熱可塑性樹脂フィルム4とからなる積層体1を得ることができる。
上述した積層体1は、厚さTが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルム3が加硫済みのゴム層2の表面上に直接積層され、熱可塑性樹脂フィルム3が分子間力に基づいてゴム層2に対して接着されているので、両者を互いに接着するにあたって、共押出や加硫等の加熱の必要がなく、表面改質や接着成分配合等の前処理の必要もない。そのため、共押出や加硫等の加熱伴う不都合を回避することができる。また、接着処理によりゴム層2や熱可塑性樹脂フィルム3の物性が損なわれることもない。そして、分子間力を利用して接着性を発現させているので、ゴムや樹脂の種類や配合や構造に依存することなく両者の接合が可能となる。
ここで、熱可塑性樹脂フィルム3の厚さTが2000nmよりも大きいと、ナノフィルム特有の追従性や接着性の発現が低下する。また、熱可塑性樹脂フィルム3の厚さTが100nm未満ではフィルムの強度の低下や取り扱い性の悪化などが生じる。特に、熱可塑性樹脂フィルム3の厚さTは100nm以上800nm以下の範囲にあると良い。
積層体1において、熱可塑性樹脂フィルム3の引張弾性率はゴム層2の引張弾性率よりも高く、5GPa以下であると良い。これにより、熱可塑性樹脂フィルム3のゴム層2に対する追従性を確保することができる。熱可塑性樹脂フィルム3の引張弾性率が5GPaよりも大きいと追従性が低下し、ゴム層2の延伸時に熱可塑性樹脂フィルム3が剥がれ易くなる。引張弾性率はJIS-K7161に準拠して測定されるものである。但し、ゴムの場合はJIS3号ダンベルを使用し、23℃の温度条件下において500mm/minの引張速度で測定するものとする。
熱可塑性樹脂フィルム3は裁断化されていると良い。熱可塑性樹脂フィルム3を裁断化した後にゴム層2の表面上に直接積層することにより、ゴム層2の表面が湾曲している場合であっても、熱可塑性樹脂フィルム3の積層を容易に行うことができる。特に、熱可塑性樹脂フィルム3を裁断化して該熱可塑性樹脂フィルム3の裁断片を含む懸濁液を作製した後、懸濁液をゴム層2の表面上に塗布して乾燥させることにより、熱可塑性樹脂フィルム3をゴム層2の表面上に直接積層すると良い。この場合、熱可塑性樹脂フィルム3の積層時の作業性を高めることができる。熱可塑性樹脂フィルム3の裁断片は、その最大寸法が10mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、100μm~300μmの範囲にあるのが最も好ましい。
また、熱可塑性樹脂フィルム3は2層以上に積層されていると良い。熱可塑性樹脂フィルム3を耐オゾン性の改善に用いる場合、熱可塑性樹脂フィルム3を2層以上に積層することにより、耐オゾン性を高めることができる。
図3(a)~(f)は本発明の他の実施形態からなる熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法を示すものである。本実施形態では、スピンコートによりフィルムを形成している。図3(a)において、回転板11は回転軸12を有し、その軸廻りに回転するように構成されている。回転板11は例えば酸化ケイ素(SiO2)により形成されている。先ず、基材フィルム4を構成する熱可塑性樹脂(PVA)の溶液を作製し、図3(b)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂(PVA)の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で20秒間回転させて、回転板11上に基材フィルム4を成膜する。次に、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂(PS)を溶媒(アセトン)に溶かして熱可塑性樹脂(PS)の溶液を作製し、図3(c)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂(PS)の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で20秒間回転させて、基材フィルム4上に熱可塑性樹脂フィルム3を成膜する。これにより、基材フィルム4と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層フィルム5を形成する。次に、図3(d)に示すように、積層フィルム5を溶媒(水)に入れて基材フィルム4を溶かすことにより、熱可塑性樹脂フィルム3を単体として分離する。次に、図3(e)に示すように、熱可塑性フィルム3を不織布6上にすくい取る。その後、図3(f)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム3に対して加硫済みのゴム層2を接触させることにより、熱可塑性樹脂フィルム3をゴム層2の表面上に直接積層する。これにより、ゴム層2と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層体1を効率良く製造することができる。
本発明の他の実施形態からなる熱可塑性樹脂とゴムとの積層体は、同じく図3(a)~(f)で製造することができる。本実施形態においても、スピンコートによりフィルムを形成している。図3(a)において、酸化ケイ素(SiO2)により形成された回転板11は回転軸12を有し、その軸廻りに回転駆動するように構成されている。先ず、基材フィルム4を構成する熱可塑性樹脂(PS)の溶液を作製し、図3(b)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂(PS)の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で60秒間回転させた状態で、回転板11上に基材フィルム4を成膜する。次に、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂(EVOH)を溶媒(水とイソプロパノールが1:1となる70℃の混合溶媒)に溶かして熱可塑性樹脂(EVOH)の溶液を作製し、図3(c)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で60秒間回転させた状態で、基材フィルム4上に熱可塑性樹脂フィルム3を成膜する。これにより、基材フィルム4と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層フィルム5を形成する。次に、図3(d)に示すように、積層フィルム5を溶媒(アセトン)に入れて基材フィルム4を溶かすことにより、熱可塑性樹脂フィルム3を単体として分離する。次に、図3(e)に示すように、熱可塑性フィルム3を不織布6上にすくい取る。その後、図3(f)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム3に対して加硫済みのゴム層2を接触させることにより、熱可塑性樹脂フィルム3をゴム層2の表面上に直接積層する。これにより、ゴム層2と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層体1を効率良く製造することができる。
図4(a)~(f)は本発明の他の実施形態からなる熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法を示すものである。本実施形態においても、スピンコートによりフィルムを形成している。図4(a)において、回転板11は回転軸12を有し、その軸廻りに回転するように構成されている。回転板11は例えば酸化ケイ素(SiO2)により形成されている。先ず、基材フィルム4を構成する熱可塑性樹脂(PVA)の溶液を作製し、図4(b)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂(PVA)の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で20秒間回転させて、回転板11上に基材フィルム4を成膜する。次に、熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂(PS)を溶媒(アセトン)に溶かして熱可塑性樹脂(PS)の溶液を作製し、図4(c)に示すように、回転板11上に熱可塑性樹脂(PS)の溶液を滴下し、回転板11を例えば4000rpmの回転速度で20秒間回転させて、基材フィルム4上に熱可塑性樹脂フィルム3を成膜する。これにより、基材フィルム4と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層フィルム5を形成する。次に、図4(d)に示すように、積層フィルム5を溶媒(水)に入れて基材フィルム4を溶かすことにより、熱可塑性樹脂フィルム3を単体として分離する。次に、図4(e)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム3をホモジナイザーにより裁断化し、多数の裁断片3Xを含む懸濁液を作製する。その後、図4(f)に示すように、多数の裁断片3Xを含む懸濁液をゴム層2の表面上に塗布して乾燥させることにより、熱可塑性樹脂フィルム3をゴム層2の表面上に直接積層する。これにより、ゴム層2と熱可塑性樹脂フィルム4とからなる積層体1を効率良く製造することができる。
上述した実施形態ではスピンコートにより熱可塑性樹脂フィルム3を形成した場合について説明したが、本発明では成膜方法が特に限定されるものではなく、基材フィルム4上にロールを用いて熱可塑性樹脂フィルム3を塗布することも可能である。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂を第1の溶媒に溶かして熱可塑性樹脂溶液を作製し、該熱可塑性樹脂溶液を基材フィルム上に塗布して熱可塑性樹脂フィルムを成膜することで基材フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとからなる積層フィルムを形成し、該積層フィルムを第2の溶媒に入れて基材フィルムを溶かすことで熱可塑性樹脂フィルムを単体として分離し、該熱可塑性樹脂フィルムを加硫されたゴム層の表面上に直接積層することにより、実施例1~9の試験片を得た。
また、ゴム層の単体からなる比較例1の試験片と、熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いた比較例2の試験片と、熱可塑性樹脂フィルムを厚くした比較例3の試験片と、熱可塑性樹脂フィルムを接着剤でゴム層に接着した比較例4の試験片とをそれぞれ得た。但し、ポリエーテルエーテルケトンは溶媒に不溶であるため製作不可であった。
実施例1~9及び比較例1~4において、ゴム層のゴム種、熱可塑性樹脂フィルムの樹脂種、熱可塑性樹脂フィルムの引張弾性率、熱可塑性樹脂フィルムの厚さ、熱可塑性樹脂フィルムの層数、フィルム裁断化の有無、接着層の有無は表1の通りである。ここで、NR/BRは天然ゴム及びブタジエンゴムであり、PSはポリスチレン(Acros organic社製:17889-0250)であり、EVOHはビニルアルコール/エチレン共重合体(三菱ケミカル株式会社製:ソアノールD2908)である。接着剤としては、セメダイン社製のスーパーXを使用した。また、ゴム層の引張弾性率は2MPaである。
これら試験片について、下記試験方法により、接着性、耐オゾン性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
接着性:
各試験片をゴム層の面方向に沿って20%延伸し、その延伸時における熱可塑性樹脂フィルムとゴム層との接着状態を観察した。20%延伸時に剥離を生じない場合を「○」で示し、20%延伸時に剥離を生じた場合を「×」で示した。但し、比較例1,2は接着性の評価から除外した。
耐オゾン性:
各試験片について、JIS-K6259に規定される試験方法に準拠して静的オゾン劣化試験を行った。その際、試験温度を40℃とし、オゾン濃度を50ppmとし、伸長率を20%とし、72時間後の判定とした。比較例1を基準とし、耐オゾン性が比較例1よりも大幅に良化した場合を「◎」で示し、耐オゾン性が比較例1よりも良化した場合を「○」で示し、耐オゾン性が比較例1と同等である場合を「△」で示し、耐オゾン性が比較例1よりも悪化した場合を「×」で示した。但し、比較例2~4は耐オゾン性の評価から除外した。
Figure 2023050974000002
この表1から判るように、実施例1~9は、接着剤を用いなくても接着性が良好であり、しかも、比較例1との対比において耐オゾン性が改善されていた。比較例2は、PEEKが溶媒に不溶であるため試験片を製作することができなかった。比較例3は、熱可塑性樹脂フィルムの厚さが過大であるため接着性が不十分であった。比較例4は熱可塑性樹脂フィルムを接着剤でゴム層に接着したものである。
1 積層体
2 ゴム層
3 熱可塑性樹脂フィルム
3a 第1の溶媒
3b 熱可塑性樹脂溶液
3X 裁断片
4 基材フィルム
4a 第2の溶媒
5 積層フィルム

Claims (11)

  1. 厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルムが加硫されたゴム層の表面上に直接積層され、前記熱可塑性樹脂フィルムが分子間力に基づいて前記ゴム層に対して接着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂とゴムとの積層体。
  2. 前記熱可塑性樹脂フィルムの引張弾性率が前記ゴム層の引張弾性率よりも高く、5GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体。
  3. 前記ゴム層を構成するゴム組成物がジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体。
  4. 前記熱可塑性樹脂フィルムが裁断化されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体。
  5. 前記熱可塑性樹脂フィルムが2層以上に積層されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体。
  6. 熱可塑性樹脂を第1の溶媒に溶かして熱可塑性樹脂溶液を作製し、
    前記熱可塑性樹脂溶液を基材フィルム上に塗布して厚さが100nm以上2000nm以下である熱可塑性樹脂フィルムを成膜することにより、前記基材フィルムと前記熱可塑性樹脂フィルムとからなる積層フィルムを形成し、
    前記積層フィルムを第2の溶媒に入れて前記基材フィルムを溶かすことにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを単体として分離し、
    前記熱可塑性樹脂フィルムを加硫されたゴム層の表面上に直接積層することを特徴とする熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂フィルムの引張弾性率が前記ゴム層の引張弾性率よりも高く、5GPa以下であることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
  8. 前記ゴム層を構成するゴム組成物がジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂フィルムを裁断化した後に前記ゴム層の表面上に直接積層することを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
  10. 前記熱可塑性樹脂フィルムを裁断化して該熱可塑性樹脂フィルムの裁断片を含む懸濁液を作製した後、前記懸濁液を前記ゴム層の表面上に塗布して乾燥させることにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記ゴム層の表面上に直接積層することを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂フィルムを2層以上に積層することを特徴とする請求項6~10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂とゴムとの積層体の製造方法。
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