JP2023049453A - 電子装置および電子装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子装置における気密構造の信頼性を向上させること。【解決手段】電子部品2と、電子部品2が搭載される基材3と、一端開口が基材3に接合された状態で電子部品2を囲うガラスでなる枠材6と、枠材6の他端開口を閉塞するように枠材6と直接接合された蓋材7と、を備えた電子装置1を製造するための方法について、基材3と枠材6の一端開口との相互間に、ガラス材を含んだ封着材料層5を介在させる接合準備工程と、接合準備工程後に、封着材料層5にレーザーLを照射して軟化変形させることにより基材3と枠材6の一端開口とを接合する接合本工程と、を備えるようにした。【選択図】図8

Description

本開示は、電子装置および電子装置の製造方法に関する。
LED等の電子部品を備えた電子装置の一種として、紫外線LEDが発する光線により殺菌を行う装置がある。この種の電子装置においては、紫外線LEDが気密構造内に配置される。特許文献1には気密構造を有する電子装置の一例が開示されている。
同文献に開示された電子装置(発光デバイス1)は、LED(光源20)と、LEDが搭載される基材(第1の部材11)と、一端開口が基材に接合された状態でLEDを囲う枠材(第2の部材12)と、枠材の他端開口を閉塞するように枠材と接合された蓋材(カバー部材40)と、を備えている。
国際公開第2015/190242号
上記のような電子装置において、基材は、金属、金属酸化物セラミックス、LTCC又は金属窒化物セラミックスから構成される場合が多い。一方、枠材は、紫外線を透過させるガラスで構成される場合がある。この場合、電子装置の製造に際し、基材とガラスでなる枠材との両者を接合するにあたっては、レーザー照射により両者を直接溶着させて接合することがある。しかしながら、溶着のための条件出しや加工に時間が掛かる等、接合の難易度が高いことに起因して、気密性が損なわれやすくなる問題が生じていた。
以上の事情に鑑みて解決すべき技術的課題は、電子装置における気密構造の信頼性を向上させることである。
上記の課題を解決するための電子装置の製造方法は、電子部品と、電子部品が搭載される基材と、一端開口が基材に接合された状態で電子部品を囲うガラスでなる枠材と、枠材の他端開口を閉塞するように枠材と直接接合された蓋材と、を備えた電子装置を製造するための方法であって、基材と枠材の一端開口との相互間に、ガラス材を含んだ封着材料を介在させる接合準備工程と、接合準備工程後に、封着材料にレーザーを照射して軟化変形させることにより基材と枠材の一端開口とを接合する接合本工程と、を備えることを特徴とする。
本方法では、接合準備工程および接合本工程により基材と枠材とを接合する。すなわち、基材とガラスでなる枠材との両者を接合するにあたり、両者を直接溶着させて接合するのではなく、両者の相互間に介在させたガラス材を含んだ封着材料にレーザーを照射し、封着材料を軟化変形させることで接合する。これにより、両者を直接溶着させる場合のごとく条件出しや加工に時間が掛かるような不具合が回避され、接合の難易度が易化するのに伴い、製造される電子装置の気密構造の信頼性を向上させることが可能となる。
上記の方法では、封着材料の軟化点が550℃以下であることが好ましい。
封着材料の軟化点が過度に高い場合には、接合本工程においてレーザーを照射し、その高い軟化点まで封着材料を加熱する必要が生じる。この封着材料の加熱に伴い、基材や枠材の破損を招いてしまう恐れがある。しかしながら、封着材料の軟化点が550℃以下であれば、上述のような恐れを的確に排除することができる。
上記の方法では、30℃~200℃の温度範囲での封着材料の熱膨張係数が、35×10-7/℃~90×10-7/℃であることが好ましい。
このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を基材や枠材の熱膨張係数に整合させやすくなるため、接合本工程後の封着材料に残留する応力を小さくする上で有利となる。
上記の方法では、ガラス材が、ガラス組成として、モル%で、Bi 28~60%、B 15~37%、ZnO 0~30%、CuO+MnO 1~40%を含有することが好ましい。
このようにすれば、封着材料による封着強度(基材と枠材との接合強度)を高めることが可能となる。
上記の方法では、封着材料が、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、ウイレマイト、β-ユークリプタイト、及び、β-石英固溶体から選ばれる少なくとも一種の耐火性フィラー粉末を更に含むことが好ましい。
このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を基材や枠材の熱膨張係数に整合させやすくなり、その結果、接合本工程後の封着材料に不当な応力が残留し、破損が生じるような事態を防止する上で有利となる。
上記の方法では、接合本工程前に、基材を加熱することが好ましい。
このようにすれば、接合本工程におけるレーザーの照射時に基材側への熱伝導を阻害し得ることから、接合本工程において効率よく封着材料を軟化変形させることができる。
上記の方法では、接合本工程では、基材と枠材の一端開口とにより封着材料を押圧した状態でレーザーを照射することが好ましい。
このようにすれば、接合本工程におけるレーザーの照射時に封着材料の軟化変形を促進することが可能となる。
上記の方法では、枠材と蓋材とを接合した後に、接合準備工程および接合本工程を実行してもよい。一方で、接合本工程を実行した後に、枠材と蓋材とを接合してもよい。
上記の方法では、枠材と蓋材とを接合するに際し、枠材の他端開口と蓋材との両者を接触させた状態で、両者の接触部にレーザーを照射することにより、枠材と蓋材とを直接溶着することが好ましい。
このようにすれば、たとえば電子装置として発光装置を製造する場合に、枠材と蓋材との接合に伴って接合部に光を吸収する層が形成されてしまうような事態が回避されるため、発光装置における光の取出効率が悪化することを防止できる。
上記の課題を解決するための電子装置は、電子部品と、電子部品が搭載される基材と、一端開口が基材に接合された状態で電子部品を囲うガラスでなる枠材と、枠材の他端開口を閉塞するように枠材と直接接合された蓋材と、を備えた電子装置であって、ガラス材を含んだ封着材料を介して基材と枠材とが接合されていることを特徴とする。
本装置によれば、上記の電子装置の製造方法について既述の作用・効果を同様に得ることが可能である。
本開示に係る電子装置および電子装置の製造方法によれば、電子装置における気密構造の信頼性を向上させることが可能である。
電子装置を示す断面図である。 図1のA-A断面図である。 電子装置の製造方法を示す断面図である。 電子装置の製造方法を示す断面図である。 電子装置の製造方法を示す平面図である。 電子装置の製造方法における接合準備工程を示す断面図である。 電子装置の製造方法における接合準備工程を示す断面図である。 電子装置の製造方法における接合本工程を示す断面図である。
以下、実施形態に係る電子装置および電子装置の製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、電子装置1を例示している。
電子装置1は、電子部品2と、電子部品2が搭載された基材3と、電子部品2を内部に収容するように基材3の上に配置された保護キャップ4と、基材3と保護キャップ4とを接合している封着材料層5と、を備えている。なお、以下の説明では、便宜上、基材3側を下、保護キャップ4側を上として説明するが、上下方向はこれに限定されない。
電子部品2は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザーモジュール、LED、光センサー、撮像素子、光スイッチ等の光学デバイスが挙げられる。本実施形態では、電子部品2は紫外線LED(発光素子)であり、電子装置1は発光装置である。
基材3は、例えば金属、金属酸化物セラミックス、LTCC又は金属窒化物セラミックスから構成される。金属としては、例えば銅、金属シリコンなどが挙げられる。金属酸化物セラミックスとしては、例えば酸化アルミニウムなどが挙げられる。LTCCとしては、例えば結晶性ガラスと耐火性フィラーを含む複合粉末を焼結させたものなどが挙げられる。金属窒化物セラミックスとしては、例えば窒化アルミニウムなどが挙げられる。本実施形態では、基材3は、窒化アルミニウムから構成されている。窒化アルミニウムの30~380℃の温度範囲における熱膨張係数は、例えば46×10-7/℃である。また、本実施形態では、基材3は、上面3a及び下面3bがともに平面から構成される板状体である。なお、基材3は、上面3aのうち、電子部品2が搭載される部分に凹部が設けられていてもよい。
保護キャップ4は、基材3に接合された状態で電子部品2を囲う枠材6と、枠材6を上方から覆って閉塞する蓋材7と、枠材6と蓋材7とを接合する接合部8と、を備えている。接合部8は、枠材6と蓋材7とが直接溶着(直接接合)された溶着部9から形成されている。なお、保護キャップ4の表面には各種機能膜を形成することが好ましく、例えば、光反射ロスを低減するために、蓋材7の上下面7a,7bの少なくとも一方に反射防止膜を形成することが好ましい。反射防止膜は、蓋材7の上下面7a,7bにそれぞれ形成することが好ましい。反射防止膜は、蓋材7の上下面7a,7bの少なくとも一方のうち、枠材6の貫通孔Hに対応する部分のみに形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。反射防止膜としては、例えば、相対的に屈折率が低い低屈折率層と、相対的に屈折率が高い高屈折率層と、が交互に積層された誘電体多層膜が好ましい。これにより、各波長における反射率を制御しやすくなる。反射防止膜は、例えば、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。電子部品2から出射された光の波長帯(例えば、250~350nm)における反射防止膜の反射率は、例えば1%以下、0.5%以下、0.3%以下、特に0.1%以下であることが好ましい。
枠材6は、中心に厚み方向(上下方向)に延びる貫通孔Hを有する筒状体である。これにより、枠材6の上端および下端のそれぞれに開口が形成されている。枠材6は、貫通孔Hに対応する空間に収容された電子部品2の周囲を取り囲む。枠材6の上端開口は、平面視で環状をなす上端面6aにより形作られ、枠材6の下端開口は、同様に平面視で環状をなす下端面6bにより形作られている。図示例では、枠材6は、四角筒で構成されているが、円筒などの他の形状であってもよい。なお、枠材6の内壁面6cは、蓋材7を通じた紫外線の取り出し効率を向上させるために、枠材6の下端面6b側から上端面6a側に向かうに連れて内側から外側に移行する傾斜面で構成されている。内壁面6cは、非傾斜面(垂直面)であってもよい。貫通孔Hは、枠材6の元材に、エッチング加工、レーザー加工、サンドブラスト加工などを施すことにより形成することができる。
枠材6の内壁面6cには、電子部品2から出射した光を反射するための反射膜が形成されていてもよい。反射膜は、例えばアルミニウム、金などの金属や、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどのセラミックスを含有させた樹脂塗料やガラスペーストなどから構成されることが好ましい。
反射膜の厚みは、例えば0.1~100μmであることが好ましい。
電子部品2から出射した光の波長帯(例えば、250~350nm)における反射膜の反射率は、好ましくは10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上であることが好ましく、特に好ましいのは70%以上である。ここで、反射率は、日立ハイテクサイエンス製UH-4150を用いて250~350nmの波長範囲の各波長における透過率を測定することにより、算出できる。
反射膜を枠材6の内壁面6cに形成する方法としては、スプレーコート法を用いることが望ましい。スプレーコート法を用いる場合、枠材6の上下端面6a,6b(上下端開口)の平坦部をマスクで保護した状態で枠材6の内壁面6cにスプレーコート液(反射膜となる液)を塗布し、その後にマスクを剥がすことで、枠材6の内壁面6cに反射膜を簡単に形成できる。なお、反射膜の形成方法は、これに限定されず、例えばディップコート法なども用いることができる。ディップコート法を用いる場合、貫通孔Hを有する枠材6をディップコート液(反射膜となる液)に浸漬し、その後に枠材6の表面の不要部分(上下端面6a,6bなど)に形成された反射膜を研磨などにより除去することで、枠材6の内壁面6cに反射膜を形成できる。この場合、不要部分の反射膜を除去する際に、枠材6の上端面6aを研磨することで、蓋材7との接合時の面精度を整えることができる。
枠材6は、30~380℃の温度範囲における熱膨張係数が30×10-7~100×10-7/℃であるガラスから構成されている。枠材6の熱膨張係数は、好ましくは40×10-7/℃以上、より好ましくは50×10-7/℃以上、更に好ましくは60×10-7/℃以上、特に好ましくは70×10-7/℃以上である。また、枠材6の熱膨張係数は、好ましくは95×10-7/℃以下、特に好ましくは90×10-7/℃以下である。このようにすれば、枠材6の熱膨張係数が、金属、金属窒化物セラミックスなどから構成される基材3の熱膨張係数と整合する。
枠材6を構成するガラスは、紫外線透過ガラスであることが好ましい。詳細には、枠材6を構成するガラスにおいて、光路長0.7mm、波長200nmにおける透過率は、好ましくは10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、枠材6を構成するガラスにおいて、光路長0.7mm、波長250nmにおける透過率は、好ましくは50%以上、60%以上、70%以上、特に好ましくは80%以上である。さらに、枠材6を構成するガラスにおいて、光路長0.7mm、波長250nmにおける透過率をT250とし、光路長0.7mm、波長300nmにおける透過率をT300としたときに、T250/T300の値は、好ましくは0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.85以上、特に好ましくは0.9以上である。このようにすれば、枠材6が例えば石英ガラスで構成されるような場合に比べて、紫外線の透過率が同等レベルになり、紫外線LEDからなる電子部品2から出射される光を問題なく透過させることができ、紫外線の取り出し効率を高いレベルで維持できる。
枠材6を構成するガラスにおいて、歪点は、好ましくは430℃以上、460℃以上、480℃以上、500℃以上、520℃以上、530℃以上、特に好ましくは550℃以上である。
枠材6を構成するガラスにおいて、軟化点は、好ましくは1000℃以下、950℃以下、900℃以下、850℃以下、特に好ましくは800℃以下である。このようにすれば、枠材6と蓋材7とをレーザー接合などにより直接溶着する場合に、枠材6が容易に軟化するため、接合時間を短くすることができる。
枠材6を構成するガラスにおいて、102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1580℃以下、1550℃以下、1520℃以下、1500℃以下、1480℃以下、特に好ましくは1470℃以下である。102.5dPa・sにおける温度が高すぎると、溶融性が低下して、ガラスの製造コストが高騰しやすくなる。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。なお、102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当し、この温度が低いほど溶融性が向上する。
枠材6を構成するガラスの液相温度は、好ましくは1150℃未満、1120℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1030℃以下、980℃以下、960℃以下、950℃以下、特に好ましくは940℃以下である。また、枠材6を構成するガラスの液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.3dPa・s以上、104.5dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.1dPa・s以上、105.3dPa・s以上、特に好ましくは105.5dPa・s以上である。このようにすれば、耐失透性が向上する。ここで、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を顕微鏡観察にて測定した値である。「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
枠材6を構成するガラスのヤング率は、好ましくは55GPa以上、60GPa以上、65GPa以上、特に好ましくは70GPa以上である。ヤング率が低すぎると、枠材6の変形、反り、破損が発生しやすくなる。ここで、「ヤング率」は、共振法により測定した値を指す。
枠材6を構成するガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~80%、Al+B 1~45%、LiO+NaO+KO 0~25%、MgO+CaO+SrO+BaO 0~25%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、枠材6を構成するガラスについての各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りが無い限り、質量%を表す。
SiOは、ガラスの骨格を形成する主成分である。SiOの含有量は、好ましくは50~80%、55~75%、58~70%、特に好ましくは60~68%である。SiOの含有量が少なすぎると、ヤング率、耐酸性が低下しやすくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下しやすくなることに加えて、クリストバライト等の失透結晶が析出しやすくなって、液相温度が上昇しやすくなる。
AlとBは、耐失透性を高める成分である。Al+Bの含有量は、好ましくは1~40%、5~35%、10~30%、特に好ましくは15~25%である。Al+Bの含有量が少なすぎると、ガラスが失透しやすくなる。一方、Al+Bの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ガラスが失透しやすくなる。
Alは、ヤング率を高める成分であるとともに、分相、失透を抑制する成分である。Alの含有量は、好ましくは1~20%、3~18%、特に好ましくは5~16%である。Alの含有量が少なすぎると、ヤング率が低下しやすくなり、またガラスが分相、失透しやすくなる。一方、Alの含有量が多すぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下しやすくなる。
は、溶融性、耐失透性を高める成分であり、また傷の付きやすさを改善して強度を高める成分である。Bの含有量は、好ましくは3~25%、5~22%、7~19%、特に好ましくは9~16%である。Bの含有量が少なすぎると、溶融性、耐失透性が低下しやすくなり、またフッ酸系の薬液に対する耐性が低下しやすくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、ヤング率、耐酸性が低下しやすくなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高めるとともに、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。LiO+NaO+KOの含有量は、好ましくは0~25%、1~20%、4~15%、特に好ましくは7~13%である。LiO+NaO+KOの含有量が少なすぎると、溶融性が低下しやすくなる。一方、NaOの含有量が多すぎると、熱膨張係数が不当に高くなるおそれがある。
LiOは、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高めるとともに、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。LiOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、特に好ましくは0~0.1%である。LiOの含有量が少なすぎると、溶融性が低下しやすくなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなるおそれがある。一方、LiOの含有量が多すぎると、ガラスが分相しやすくなる。
NaOは、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高めるとともに、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。NaOの含有量は、好ましくは0~25%、1~20%、3~18%、5~15%、特に好ましくは7~13%である。NaOの含有量が少なすぎると、溶融性が低下しやすくなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなるおそれがある。一方、NaOの含有量が多すぎると、熱膨張係数が不当に高くなるおそれがある。
Oは、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高めるとともに、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。KOの含有量は、好ましくは0~15%、より好ましくは0.1~10%、特に好ましくは1~5%である。KOの含有量が多すぎると、熱膨張係数が不当に高くなるおそれがある。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、高温粘性を下げて溶融性を高める成分である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0~25%、0~15%、0.1~12%、1~5%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなる。
MgOは、高温粘性を下げて溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量は、好ましくは0~10%、0~8%、0~5%、特に好ましくは0~1%である。MgOの含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。
CaOは、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高める成分である。またアルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量は、好ましくは0~15%、より好ましくは0.5~10%、特に好ましくは1~5%である。CaOの含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなる。なお、CaOの含有量が少なすぎると、上記の溶融性を高める効果、及び、原料コストを低廉化する効果を享受しにくくなる。
SrOは、耐失透性を高める成分である。SrOの含有量は、好ましくは0~7%、0~5%、0~3%、特に好ましくは0~1%未満である。SrOの含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなる。
BaOは、耐失透性を高める成分である。BaOの含有量は、好ましくは0~7%、0~5%、0~3%、0~1%未満である。BaOの含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなる。
上記成分以外にも、任意成分として、以下に列挙する他の成分を導入してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、合量で10%以下、5%以下、特に3%以下が好ましい。
ZnOは、溶融性を高める成分であるが、ガラス組成中に多量に含有させると、ガラスが失透しやすくなる。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、0~1%未満、特に好ましくは0~0.1%である。
ZrOは、耐酸性を高める成分であるが、ガラス組成中に多量に含有させると、ガラスが失透しやすくなる。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、0~0.5%、特に好ましくは0.001~0.2%である。
FeとTiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Fe+TiOの含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、0.1~40ppm以下、特に好ましくは1~20ppmである。Fe+TiOの含有量が多すぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下しやすくなる。なお、Fe+TiOの含有量が少なすぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
Feは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Feの含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、40ppm以下、20ppm以下、10ppm以下、特に好ましくは1~8ppmである。Feの含有量が多すぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下しやすくなる。なお、Feの含有量が少なすぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。Fe2+の割合が少なすぎると、深紫外線での透過率が低下しやすくなる。よって、酸化鉄中のFe2+/(Fe2++Fe3+)の質量割合は、好ましくは0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、特に好ましくは0.5以上である。
TiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。TiOの含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、40ppm以下、20ppm以下、10ppm以下、特に好ましくは0.5~5ppmである。TiOの含有量が多すぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下しやすくなる。なお、TiOの含有量が少なすぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
Sbは、清澄剤として作用する成分である。Sbの含有量は、好ましくは1000ppm以下、800ppm以下、600ppm以下、400ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、特に好ましくは50ppm未満である。Sbの含有量が多すぎると、深紫外域での透過率が低下しやすくなる。
SnOは、清澄剤として作用する成分である。SnOの含有量は、好ましくは2000ppm以下、1700ppm以下、1400ppm以下、1100ppm以下、800ppm以下、500ppm以下、200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。SnOの含有量が多すぎると、深紫外域での透過率が低下しやすくなる。
、Cl及びSOは、清澄剤として作用する成分である。F+Cl+SOの含有量は10~10000ppmであることが好ましい。F+Cl+SOの好適な下限範囲は10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、300ppm以上、特に500ppm以上であり、好適な上限範囲は3000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、特に800ppm以下である。また、F、Cl、SOの各々の好適な下限範囲は10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、300ppm以上、特に500ppm以上であり、好適な上限範囲は3000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、特に800ppm以下である。これらの成分の含有量が少なすぎると、清澄効果を発揮しにくくなる。一方、これらの成分の含有量が多すぎると、清澄ガスがガラス中に泡として残存するおそれがある。
枠材6を構成するガラスは、例えば、各種ガラス原料を調合して、ガラスバッチを得た上で、このガラスバッチを溶融し、得られた溶融ガラスを清澄、均質化し、所定形状に成形することで作製することができる。
枠材6を構成するガラスの製造工程において、ガラス原料の一部として、還元剤を用いることが好ましい。このようにすれば、ガラス中に含まれるFe3+が還元されて、深紫外線での透過率が向上する。還元剤として、木粉、カーボン粉末、金属アルミニウム、金属シリコン、フッ化アルミニウム等の材料が使用可能であるが、その中でも金属シリコン、フッ化アルミニウムが好ましい。
枠材6を構成するガラスの製造工程において、ガラス原料の一部として、金属シリコンを用いることが好ましく、その添加量は、ガラスバッチの全質量に対して0.001~3質量%、0.005~2質量%、0.01~1質量%、特に0.03~0.1質量%が好ましい。金属シリコンの添加量が少なすぎると、ガラス中に含まれるFe3+が還元されず、深紫外線での透過率が低下しやすくなる。一方、金属シリコンの添加量が多すぎると、ガラスが茶色に着色する傾向がある。
ガラス原料の一部として、フッ化アルミニウム(AlF)を用いることも好ましく、その添加量は、ガラスバッチの全質量に対して、F換算で0.01~5質量%、0.05~4質量%、0.1~3質量%、0.2~2質量%、0.3~1質量%が好ましい。一方、フッ化アルミニウムの添加量が多すぎると、Fガスがガラス中に泡として残存するおそれがある。フッ化アルミニウムの添加量が少なすぎると、ガラス中に含まれるFe3+が還元されず、深紫外線での透過率が低下しやすくなる。
枠材6を構成するガラスの製造工程において、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で枠材6の元となるガラス板を成形することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性を有する樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス板を成形する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面となるべき面は樋状構造物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、薄型のガラス板を作製しやすくなるとともに、表面を研磨しなくても、板厚ばらつきを低減することができる。結果として、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、樋状構造物の構造や材質は、所望の寸法や表面精度を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行う際に、力を印加する方法も特に限定されない。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。
枠材6を構成するガラスの成形方法として、オーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、スロットダウンドロー法、リドロー法、フロート法等を採択することもできる。
枠材6を構成するガラスとしては、具体的には、例えば、日本電気硝子株式会社製のBU-41を使用できる。BU-41の30~380℃の温度範囲における熱膨張係数は、例えば42×10-7/℃である。なお、枠材6を構成するガラスとしては、上記BU-41の他、石英ガラスを使用してもよい。
枠材6の厚み(上下方向寸法)は、電子部品2よりも大きいことが好ましく、電子部品2よりも0.01~1mm大きいことが好ましく、0.05~0.5mm大きいことがより好ましく、0.1~0.2mm大きいことが最も好ましい。
蓋材7は、石英ガラスから構成される。本実施形態における「石英ガラス」には、溶融石英と合成石英とが含まれる。溶融石英ガラスの30~380℃の温度範囲における熱膨張係数は例えば6.3×10-7/℃であり、合成石英ガラスの30~380℃の温度範囲における熱膨張係数は例えば4.0×10-7/℃である。また、本実施形態では、蓋材7は、上面7a及び下面7bがともに平面から構成される板状体である。
蓋材7の厚み(上下方向寸法)は、0.1~1.0mmであることが好ましく、0.2~0.8mmであることがより好ましく、0.3~0.6mmであることが最も好ましい。
溶着部9は、レーザー接合により形成される。詳細には、溶着部9は、レーザーの照射領域において、枠材6及び蓋材7の少なくとも一方を溶融した後に、その溶融部を固化させることにより形成される。つまり、溶着部9は、例えば、枠材6及び蓋材7の少なくとも一方の材料から構成され、枠材6及び蓋材7以外の材料を実質的に含まないことが好ましい。
溶着部9は、貫通孔Hの周囲で同心環状に複数(図示例では二つ)形成されているが、一つのみが形成されていてもよい。複数の溶着部9は、互いに貫通孔Hの径方向に離間しているが、径方向で重なっていてもよい。各溶着部9は、平面視で四角環状に構成されるが、これに限らず、円環状その他の環形状に構成され得る。
溶着部9は、厚み方向において、枠材6と蓋材7とに連続して跨って形成されている。なお、本実施形態では、溶着部9の内部において、枠材6と蓋材7との間には界面がない。もちろん、溶着部9の内部において、枠材6と蓋材7との間に界面が残っていてもよい。
溶着部9の幅S1は、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましく、10~50μmであることが最も好ましい。溶着部9の厚みS2は、10~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましく、10~100μmであることが最も好ましい。
溶着部9の平面方向の残留応力の最大値は、10MPa以下であることが好ましく、7MPa以下であることがより好ましく、5MPa以下であることが最も好ましい。平面方向の残留応力の最大値は、10mm×10mm以上の寸法を有するガラス板において、ユニオプト社製複屈折測定機:ABR-10Aを用いて、接合部付近の複屈折(単位:nm)を計測し、平面方向の残留応力に換算した場合の最大値である。また、光学的な複屈折の測定、すなわち直交する直線偏光波の光路差の測定により、ガラス板中の残留応力値を見積ることが可能であり、残留応力により発生する偏差応力F(MPa)は、F=D/CWの式で表記される。「D」は光路差(nm)であり、「W」は偏光波が通過した距離(cm)であり、「C」は光弾性定数(比例定数)であり、通常、20~40(nm/cm)/(MPa)の値になる。なお、平面方向の残留応力には、引張応力と圧縮応力が存在するが、ここでは両者の絶対値を評価するものとする。
封着材料層5は、基材3の上面3aと枠材6の下端開口(下端面6b)との相互間に介在した状態で基材3と枠材6とを接合している。基材3と枠材6とが封着材料層5により接合されることで、基材3および保護キャップ4の両者により電子部品2を包囲する気密構造が形成される。封着材料層5は、ガラス材を含んだ封着材料で構成される。本実施形態における封着材料層5は、封着材料とビークルを混練して作製される封着材料ペーストを基材3に塗布、乾燥、脱バインダー、及び焼結することにより作製される。封着材料層5および封着材料の詳細については、以下の電子装置の製造方法で説明する。
図3~図8は、上記の電子装置1の製造方法を例示している。
電子装置1の製造方法は、保護キャップ4を得るために枠材6と蓋材7とを接合する第一接合工程と、電子部品2が搭載された基材3と保護キャップ4とを接合する第二接合工程と、を備えている。
第一接合工程では、まず、図3に示すように、枠材6と蓋材7とを準備する。次に、同図に二点鎖線で示すように、枠材6の上端面6aと蓋材7の下面7bとを直接接触させる。その後、図4に示すように、レーザー照射装置10により、枠材6と蓋材7との接触部に対してレーザーLを集光して照射する。レーザーLは、枠材6及び蓋材7の少なくとも一方側から照射される。本実施形態では、レーザーLは、蓋材7側から照射される。これにより、接触部を溶着して溶着部9を形成すると共に、溶着部9により枠材6と蓋材7とを接合する。
枠材6の上端面6a及び蓋材7の下面7bのそれぞれの算術平均粗さRaは、2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましく、0.5nm以下であることが更に好ましく、0.2nm以下であることが最も好ましい。算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を意味する。このようすれば、枠材6及び蓋材7が互いに接合面間の分子間力(オプティカルコンタクト)により密着するため、レーザー接合前におけるハンドリング性が向上する。
レーザーLとしては、ピコ秒オーダーやフェムト秒オーダーのパルス幅を有する超短パルスレーザが好適に使用される。
レーザーLの波長は、ガラス部材を透過する波長であれば特に限定されるものではないが、例えば、400~1600nmであることが好ましく、500~1300nmであることがより好ましい。レーザーLのパルス幅は、10ps以下であることが好ましく、5ps以下であることがより好ましく、200fs~3psであることが最も好ましい。レーザーLの集光径は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
レーザーLの繰り返し周波数は、連続的な熱蓄積を生じさせる程度であることが必要であり、具体的には100kHz以上であることが好ましく、200kHz以上であることがより好ましく、500kHz以上であることが更に好ましい。
また、1パルスを複数に分配させ、パルス間隔を更に短くして照射する手法(バーストモード)を利用することが好ましい。これにより、熱蓄積が生じやすくなり、溶着部9を安定して形成することができる。
図5に示すように、レーザーLは、貫通孔Hの周囲で、貫通孔Hに沿った環状軌道Tを描くように走査される。この場合において、レーザーLは、その照射領域Rが環状軌道T上で重なりながら環状軌道Tを一周するように走査される。あるいは、レーザーLは、その環状軌道Tを複数回にわたって周回するように走査される。なお、溶着部9を同心環状に複数形成する場合には、レーザーLを走査する環状軌道Tも同心環状に複数設定される。
また、貫通孔Hを囲むように4本の直線を井桁状に交差させることにより、枠状に接合部を形成してもよい。このような形態を利用すれば、複数の保護キャップ4を一度に作製することも可能となるため、電子装置1の製造効率を高めることができる。
第二接合工程は、基材3と枠材6とを接合するための準備として、基材3と枠材6の下端開口(下端面6b)との相互間に封着材料層5を介在させる接合準備工程(図6及び図7)と、接合準備工程後に、封着材料層5にレーザーLを照射して軟化変形させることにより基材3と枠材6の下端開口とを接合する接合本工程(図8)と、を含んでいる。
接合準備工程では、はじめに基材3に封着材料ペーストを塗布する。封着材料ペーストは、基材3の上面3aのうち、後に枠材6の下端面6bと重ね合わされる箇所に塗布する。本実施形態では、基材3の上面3aの縁部に沿って封着材料ペーストを塗布している。基材3への封着材料ペーストの塗布は、周知の方法で行うことができる。例えば、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等で行うことができる。
封着材料ペーストの作製に際してビークルと混錬される封着材料は、一般的に、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末とを含む複合粉末であり、必要に応じて、着色顔料等のレーザー吸収材を添加する場合もある。また、ガラス粉末の熱膨張係数が低い場合(一例として、30℃~300℃の温度範囲における熱膨張係数が90×10-7/℃以下)は、ガラス粉末単独を封着材料として用いる場合もある。封着材料は、後の接合本工程でのレーザー照射によって軟化流動(軟化変形)し、これに伴って基材3と枠材6とを一体化する材料である。ビークルは、一般的に、有機樹脂と溶媒の混合物、つまり有機樹脂が溶解した粘稠液を指し、ビークル中に封着材料を分散させることで封着材料ペーストが得られる。なお、ビークル中に、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加する場合もある。
封着材料として、上記のとおりガラス粉末単独を用いてもよいが、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末とを含む複合粉末を用いることが好ましい。複合粉末として、60~100体積%のガラス粉末と0~40体積%の耐火性フィラー粉末とを含有する複合粉末を用いることが好ましく、65~95体積%のガラス粉末と5~35体積%の耐火性フィラー粉末とを含有する複合粉末を用いることが更に好ましい。耐火性フィラー粉末は、封着材料の熱膨張係数を基材3および枠材6の熱膨張係数と整合しやすくするために添加する。その結果、接合本工程後において、封着材料層5の周辺に不当な応力が残留し、電子装置1が破損してしまうような事態を防止することができる。一方、耐火性フィラー粉末の含有量が多すぎると、ガラス粉末の含有量が相対的に少なくなるため、封着材料層5の表面平滑性が低下して、基材3の上面3aと封着材料層5との密着性が低下して、封着強度が低下しやすくなる。
封着材料の軟化点は、好ましくは550℃以下、より好ましくは520℃以下、特に好ましくは480℃以下である。封着材料の軟化点が高すぎると、封着材料層5の表面平滑性を高めにくくなる。また、接合本工程でのレーザーLの照射時に過度に封着材料(封着材料層5)の温度を高める必要が生じるため、これに起因して基材3や枠材6が破損しやすくなる。封着材料の軟化点の下限は特に設定されないが、ガラス粉末の熱的安定性を考慮すると、封着材料の軟化点は350℃以上が好ましい。ここで、「軟化点」は、マクロ型DTA装置で測定した際の第四変曲点に相当する。
ガラス粉末は、封着材料層5による封着強度(基材3と枠材6との接合強度)を高める観点から、ビスマス系ガラスが好ましい。更に、ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi 28~60%、B 15~37%、ZnO 0~30%、CuO+MnO(CuOとMnOの合量) 1~40%を含有することが好ましい。各成分の含有範囲を上記のように限定した理由を以下に説明する。なお、ガラス粉末についての各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りが無い限り、モル%を表す。
Biは、軟化点を低下させるための主要成分である。Biの含有量は、好ましくは28~60%、より好ましくは33~55%、特に好ましくは35~45%である。Biの含有量が少なすぎると、軟化点が高くなりすぎて、軟化流動性が低下しやすくなる。一方、Biの含有量が多すぎると、接合本工程でのレーザーLの照射の際にガラスが失透しやすくなり、この失透に起因して、軟化流動性が低下しやすくなる。
は、ガラス形成成分として必須の成分である。Bの含有量は、好ましくは15~37%、より好ましくは19~33%、特に好ましくは22~30%である。Bの含有量が少なすぎると、ガラスネットワークが形成されにくくなるため、レーザーLの照射の際にガラスが失透しやすくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、ガラスの粘性が高くなり、軟化流動性が低下しやすくなる。
ZnOは、耐失透性を高める成分である。ZnOの含有量は、好ましくは0~30%、より好ましくは3~25%、更に好ましくは5~22%、特に好ましくは5~20%である。ZnOの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、かえって耐失透性が低下しやすくなる。
CuOとMnOは、レーザー吸収能を大幅に高める成分である。CuOとMnOの合量は、好ましくは1~40%、より好ましくは3~35%、更に好ましくは10~30%、特に好ましくは15~30%である。CuOとMnOの合量が少なすぎると、レーザー吸収能が低下しやすくなる。一方、CuOとMnOの合量が多すぎると、軟化点が高くなりすぎて、レーザーLを照射しても、ガラスが軟化流動しにくくなる。またガラスが熱的に不安定になり、レーザーLの照射時にガラスが失透しやすくなる。なお、CuOの含有量は、好ましくは1~30%、特に好ましくは10~25%である。MnOの含有量は、好ましくは0~25%、より好ましくは1~25%、特に好ましくは3~15%である。
上記成分以外にも、ガラス組成として、例えば以下に列挙する他の成分を添加してもよい。
SiOは、耐水性を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは0~5%、より好ましくは0~3%、更に好ましくは0~2%、特に好ましくは0~1%である。SiOの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。また接合本工程でのレーザー照射の際にガラスが失透しやすくなる。
Alは、耐水性を高める成分である。Alの含有量は0~10%、0.1~5%、特に0.5~3%が好ましい。Alの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
LiO、NaO及びKOは、耐失透性を低下させる成分である。よって、LiO、NaO及びKOの含有量は、それぞれ0~5%、0~3%、特に0~1%未満が好ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0~20%、0~10%、特に0~5%が好ましい。
Feは、耐失透性とレーザー吸収能を高める成分である。Feの含有量は、好ましくは0~10%、より好ましくは0.1~5%、特に好ましくは0.4~2%である。Feの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、かえって耐失透性が低下しやすくなる。
Sbは、耐失透性を高める成分である。Sbの含有量は、好ましくは0~5%、特に好ましくは0~2%である。Sbの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、かえって耐失透性が低下しやすくなる。
また、封着材料に含まれるガラス粉末としては、上記ビスマス系ガラスだけでなく、亜鉛系ホウ酸系ガラス、銀リン酸系ガラスまたはテルル系ガラスの何れかを使用することもできる。亜鉛ホウ酸系ガラスは、ビスマス系ガラスに比べて、熱膨張係数が低いという特徴を有する。銀リン酸系ガラスとテルル系ガラスは、ビスマス系ガラスと比較して、低温で軟化流動しやすく、レーザーLの照射後に生じる熱歪みを低減し得るため、熱的信頼性及び機械的信頼性を高めることができるという特徴を有する。更に、銀リン酸系ガラスとテルル系ガラスは、ビスマス系ガラスと同様に、耐火性フィラー粉末を混合すると、封着材料層5の機械的強度を高めることができ、且つ封着材料層5の熱膨張係数を低下させることができる。
亜鉛ホウ酸系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO+ZnO 40~80%、B 5~25%、Al 0~20%、MgO 0~20%を含有することが好ましい。
SiO+ZnOの含有量(SiOとZnOの合量)は、好ましくは40~80%、より好ましくは45~70%、特に好ましくは50~65%である。SiO+ZnOの含有量が少なすぎると、耐候性が低下しやすく、またガラス化しにくくなる。一方、SiO+ZnOの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
SiOの含有量は、好ましくは15~45%、より好ましくは20~40%、特に好ましくは22~36%である。SiOの含有量が少なすぎると、耐候性が低下しやすく、またガラス化しにくくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
ZnOの含有量は、好ましくは20~55%、より好ましくは25~50%、特に好ましくは30~45%である。ZnOの含有量が少なすぎると、溶融時の失透性が強くなり、均質なガラスを得にくくなる。一方、ZnOの含有量が多すぎると、耐候性が低下しやすくなる。
モル比SiO/ZnO(SiOの含有量をZnOの含有量で除した値)は、好ましくは0.6~2.0、より好ましくは0.7~1.8、特に好ましくは0.8~1.7である。モル比SiO/ZnOが小さすぎると、ガラスが分相しやすくなり、また耐候性が低下しやすくなる。一方、モル比SiO/ZnOが大きすぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
は、ガラスの網目形成成分であり、軟化流動性を高める成分である。Bの含有量は、好ましくは5~25%、より好ましくは7~23%、特に好ましくは8~20%である。Bの含有量が少なすぎると、結晶性が強くなるため、軟化流動性が損なわれて、封着強度を確保することが困難になる。一方、Bの含有量が多すぎると、耐候性が低下する傾向がある。
Alは、ガラスを安定化する成分である。Alの含有量は、好ましくは0~20%であり、より好ましくは2~18%、特に好ましくは5~15%である。Alの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。一方、Alの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
MgOは、ガラスの粘性を下げる成分である。MgOを所定量含有させることにより、SiOを多量に含有する場合であっても低温焼結が可能になる。MgOの含有量は、好ましくは0~20%、より好ましくは3~18%、特に好ましくは5~15%である。MgOの含有量が少なすぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。一方、MgOの含有量が多すぎると、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
上記成分以外にも、ガラス組成として、他の成分(例えば、LiO、NaO、KO、CaO、SrO、BaO、MnO、Ta、Nb、CeO、Sb等)を7%まで(好ましくは3%まで)含有してもよい。
一方、環境面の観点から、ガラス組成として、実質的に鉛成分(例えばPbO等)を含有せず、実質的にF、Clも含有しないことが好ましい。
銀リン酸系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、AgO 10~50%、P 10~35%、ZnO 3~25%、遷移金属酸化物 0~30%を含有することが好ましい。
AgOは、ガラスを低融点化させると共に、水に溶けにくいため、耐水性を高める成分である。AgOの含有量は10~50%、特に20~40%が好ましい。AgOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下しやすくなると共に、耐水性が低下しやすくなる。一方、AgOの含有量が多すぎると、ガラス化が困難になる。
は、ガラスを低融点化させる成分である。その含有量は10~35%、特に15~25%が好ましい。Pの含有量が少なすぎると、ガラス化が困難になる。一方、Pの含有量が多すぎると、耐候性、耐水性が低下しやすくなる。
ZnOは、耐失透性を高める成分であり、その含有量は3~25%、5~22%、特に9~20%が好ましい。ZnOの含有量が上記範囲外になると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下しやすくなる。
遷移金属酸化物は、レーザー吸収特性を有する成分であり、その含有量は0~30%、1~30%、特に3~15%が好ましい。遷移金属酸化物の含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。
成分として、CuOを添加すれば、レーザー吸収特性を高めることができる。CuOの含有量は0~30%、1~30%、特に3~15%が好ましい。CuOの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下しやすくなる。
上記成分以外にも、ガラス組成として、例えば以下に列挙する他の成分を添加してもよい。
TeOは、ガラス形成成分であり、ガラスを低融点化させる成分である。TeOの含有量は0~40%、特に10~30%が好ましい。
Nbは、耐水性を高める成分である。Nbの含有量は0~25%、特に1~12%が好ましい。Nbの含有量が多すぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下しやすくなる。
LiO、NaO及びKOは、耐失透性を低下させる成分である。よって、LiO、NaO及びKOの含有量は、それぞれ0~5%、0~3%、特に0~1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0~20%、0~10%、特に0~5%である。
テルル系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、TeO 20~80%、Nb 0~25%、遷移金属酸化物 0~40%を含有することが好ましい。
TeOは、ガラス形成成分であり、ガラスを低融点化させる成分である。TeOの含有量は20~80%、特に40~75%が好ましい。
Nbは、耐水性を高める成分である。Nbの含有量は0~25%、1~20%、特に5~15%が好ましい。Nbの含有量が多すぎると、ガラスの粘性が高くなって、流動性が低下しやすくなる。
遷移金属酸化物は、レーザー吸収特性を有する成分であり、その含有量は0~40%、5~30%、特に15~25%が好ましい。遷移金属酸化物の含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。
遷移金属酸化物の中では、CuOが、レーザー吸収特性を高める効果が高く、熱的安定性を高める効果も高い。CuOの含有量は0~40%、5~30%、特に15~25%が好ましい。CuOの含有量が多すぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下しやすくなる。
上記成分以外にも、ガラス組成として、例えば以下に列挙する他の成分を添加してもよい。
LiO、NaO及びKOは、耐失透性を低下させる成分である。よって、LiO、NaO及びKOの含有量は、それぞれ0~5%、0~3%、特に0~1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0~20%、0~10%、特に0~5%である。
ガラス粉末の平均粒径D50は、好ましくは15μm未満、より好ましくは0.5~10μm、特に好ましくは1~5μmである。ガラス粉末の平均粒径D50が小さい程、ガラス粉末の軟化点が低下する。ここで、「平均粒径D50」は、レーザー回折法により体積基準で測定した値を指す。
耐火性フィラー粉末としては、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、ウイレマイト、β-ユークリプタイト、β-石英固溶体から選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましく、特にβ-ユークリプタイト又はコーディエライトを含むことが好ましい。これらの耐火性フィラー粉末は、熱膨張係数が低いことに加えて、機械的強度が高く、しかもガラス粉末との適合性が良好である。
耐火性フィラー粉末の平均粒径D50は、好ましくは2μm未満、特に0.1μm以上、且つ1.5μm未満である。耐火性フィラー粉末の平均粒径D50が大きすぎると、封着材料層5の表面平滑性が低下しやすくなると共に、封着材料層5の平均厚みが大きくなりやすく、結果として、接合本工程でのレーザーLの照射精度が低下しやすくなる。
耐火性フィラー粉末の99%粒径D99は、好ましくは5μm未満、4μm以下、特に0.3μm以上、且つ3μm以下である。耐火性フィラー粉末の99%粒径D99が大きすぎると、封着材料層5の表面平滑性が低下しやすくなると共に、封着材料層5の平均厚みが大きくなりやすく、結果として、レーザーLの照射精度が低下しやすくなる。ここで、「99%粒径D99」は、レーザー回折法により体積基準で測定した値を指す。
封着材料は、レーザー吸収特性を高めるために、更にレーザー吸収材を含んでもよいが、レーザー吸収材は、ガラスの失透を助長する作用を有する。更にレーザー吸収材を導入すると、封着材料のレーザー吸収特性が高くなりすぎて、基材3と封着材料層5のレーザー吸収特性の差が大きくなりやすい。よって、封着材料層5中のレーザー吸収材の含有量は、好ましくは10体積%以下、5体積%以下、1体積%以下、0.5体積%以下、特に実質的に含有しないことが好ましい。なお、レーザー吸収材として、Cu系酸化物、Fe系酸化物、Cr系酸化物、Mn系酸化物及びこれらのスピネル型複合酸化物等が使用可能である。
封着材料の熱膨張係数は、好ましくは35×10-7~90×10-7/℃、40×10-7~70×10-7/℃、特に45×10-7~65×10-7/℃である。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数が基材3や枠材6の熱膨張係数に整合して、封着領域(封着材料層5の周辺)に残留する応力が小さくなる。なお、「熱膨張係数」は、30~200℃の温度範囲において、TMA(押棒式熱膨張係数測定)装置で測定した値である。
ここで、封着材料の具体例を挙げる。第一例としては、ビスマス系ガラス粉末とβ―ユークリプタイトとの複合粉末材料(日本電気硝子社製BF-0901、30~380℃における熱膨張係数4.9ppm/℃)が挙げられる。第二例としては、亜鉛ホウ酸系ガラス粉末(日本電気硝子社製GP-014、30~380℃における熱膨張係数4.3ppm/℃)が挙げられる。
封着材料ペーストは、通常、三本ローラー等により、封着材料とビークルとを混練、分散することにより作製される。ビークルは、上記のとおり有機樹脂と溶媒とを含む。有機樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。
ビークルに添加する有機樹脂として、アクリル酸エステル(アクリル有機樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。ビークルに用いる溶剤として、N、N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、α-ターピネオール、高級アルコール、γ-ブチルラクトン(γ-BL)、テトラリン、テルペン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3-メトキシ-3-メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン等が使用可能である。
基材3への封着材料ペーストの塗布が完了すると、次いで、塗布された封着材料ペーストでなる塗布膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥は自然乾燥でもよいが、乾燥効率の観点から、電気炉、乾燥炉で行うことが好ましい。
次に、塗布膜を乾燥させてなる乾燥膜に対して、電気炉等を用いた基材3の全体加熱により脱バインダー処理を行い、且つガラス粉末の軟化点以上の温度で加熱して軟化流動させると、表面平滑性が高い封着材料層5が得られる。なお、乾燥膜に対して、レーザー光の照射によって焼結処理を行うこともできる。
封着材料層5の平均厚さは、好ましくは10.0μm未満、特に好ましくは1.0μm以上、且つ7.0μm未満である。封着材料層5の平均厚みが小さい程、封着材料層5、基材3、及び枠材6の熱膨張係数が不整合であっても、レーザーLの照射後(接合本工程後)に封着領域に残留する応力を低減することができる。また接合本工程でのレーザーLの照射精度を高めることもできる。なお、上記のように封着材料層5の平均厚みを規制する方法としては、封着材料ペーストを薄く塗布する方法、封着材料層5の表面を研磨処理する方法が挙げられる。
封着材料層5の平均幅(図6に示す封着材料層5の左右方向における平均寸法)は、好ましくは3500μm未満、1200μm未満、特に150μm以上、且つ800μm未満である。封着材料層5の平均幅を狭くすると、レーザーLの照射後に封着領域に残留する応力を低減することができる。更に基材3の縁部(枠材6と重なり合う箇所)の幅を狭小化することができ、気密構造のデバイスとして機能する有効面積を拡大することができる。
以上のようにして、図6に示した封着材料層5が基材3上に形成されると、次に、図7に二点鎖線で示すように、基材3の上面3aと枠材6の下端面6aとを封着材料層5を介して重ね合わせる。これにより、接合準備工程が完了する。
接合準備工程が完了すると、次に、接合本工程を実行する。接合本工程では、はじめにレーザーLの照射に先行して基材3を予備加熱する。予備加熱では、例えば250℃~450℃の温度となるまで基材3を加熱する。これにより、レーザーLの照射時に基材3側への熱伝導を阻害し得るため、効率よく封着材料層5を軟化変形させることができる。ただし、基材3の予備加熱は必須ではなく、省略してもよい。
基材3の予備加熱が完了すると、次に、図8に示すように、レーザー照射装置10により封着材料層5に対してレーザーLを集光して照射する。レーザーLは、基材3と枠材6とのうち、レーザーLを透過する枠材6側から照射される。これにより、封着材料層5を軟化変形させて基材3と枠材6とを接合する。なお、レーザーLを照射する際には、基材3と枠材6の下端開口との両者3,6により、両者3,6の相互間に挟まった封着材料層5を上下から押圧する。これにより、封着材料層5の軟化変形を促進することが可能となる。ただし、封着材料層5の押圧は必須ではなく、省略してもよい。
基材3の上面3a及び枠材6の下端面6bのそれぞれの算術平均粗さRaは、2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましく、0.5nm以下であることが更に好ましく、0.2nm以下であることが最も好ましい。
封着材料層5に照射するレーザーLとしては、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、赤外レーザーは、取扱いが容易な点で好ましい。
レーザーLの照射時におけるレーザー光のビーム形状は、特に限定されない。ビーム形状としては、円形、楕円形、矩形が一般的であるが、その他の形状でもよい。また、レーザーLの照射時におけるレーザー光のビーム径は0.3~3.5mmが好ましい。
レーザーLの照射を行う雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気でもよく、窒素雰囲気等の不活性雰囲気でもよい。以上のようにして接合本工程が完了すると、電子装置1が製造される。この電子装置1に備わった封着材料層5には、元は封着材料に含まれたガラス粉末であったものがガラス材として含有されている。
ここで、上記の実施形態に対しては、以下のような変形例を適用することも可能である。上記の実施形態では、電子装置1の製造にあたり、枠材6と蓋材7とを接合した後、接合準備工程および接合本工程を実行して基材3と枠材6とを接合しているが、接合の順番は逆であってもよい。つまり、接合準備工程および接合本工程を実行して基材3と枠材6とを接合した後、枠材6と蓋材7とを接合するようにしてもよい。
1 電子装置
2 電子部品
3 基材
5 封着材料層
6 枠材
7 蓋材
L レーザー

Claims (11)

  1. 電子部品と、前記電子部品が搭載される基材と、一端開口が前記基材に接合された状態で前記電子部品を囲うガラスでなる枠材と、前記枠材の他端開口を閉塞するように前記枠材と直接接合された蓋材と、を備えた電子装置を製造するための方法であって、
    前記基材と前記枠材の一端開口との相互間に、ガラス材を含んだ封着材料を介在させる接合準備工程と、
    前記接合準備工程後に、前記封着材料にレーザーを照射して軟化変形させることにより前記基材と前記枠材の一端開口とを接合する接合本工程と、
    を備えることを特徴とする電子装置の製造方法。
  2. 前記封着材料の軟化点が550℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
  3. 30℃~200℃の温度範囲での前記封着材料の熱膨張係数が、35×10-7/℃~90×10-7/℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置の製造方法。
  4. 前記ガラス材が、ガラス組成として、モル%で、Bi 28~60%、B 15~37%、ZnO 0~30%、CuO+MnO 1~40%を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  5. 前記封着材料が、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、ウイレマイト、β-ユークリプタイト、及び、β-石英固溶体から選ばれる少なくとも一種の耐火性フィラー粉末を更に含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  6. 前記接合本工程前に、前記基材を加熱することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  7. 前記接合本工程では、前記基材と前記枠材の一端開口とにより前記封着材料を押圧した状態でレーザーを照射することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  8. 前記枠材と前記蓋材とを接合した後に、前記接合準備工程および前記接合本工程を実行することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  9. 前記接合本工程を実行した後に、前記枠材と前記蓋材とを接合することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  10. 前記枠材と前記蓋材とを接合するに際し、前記枠材の他端開口と前記蓋材との両者を接触させた状態で、前記両者の接触部にレーザーを照射することにより、前記枠材と前記蓋材とを直接溶着することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
  11. 電子部品と、前記電子部品が搭載される基材と、一端開口が前記基材に接合された状態で前記電子部品を囲うガラスでなる枠材と、前記枠材の他端開口を閉塞するように前記枠材と直接接合された蓋材と、を備えた電子装置であって、
    ガラス材を含んだ封着材料を介して前記基材と前記枠材とが接合されていることを特徴とする電子装置。
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