JP2023047686A - 全固体電池とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】全固体電池に反りが発生するのを抑制すること。【解決手段】第1の電極層、固体電解質層、及び第2の電極層の各々が第1の方向に沿って複数積層され、前記第1の電極層が表出する第1の面と、前記第2の電極層が表出する第2の面とを備えた積層体と、前記第1の面に設けられ、かつ前記第1の電極層に接続された第1の外部電極と、前記第2の面に設けられ、かつ前記第2の電極層に接続された第2の外部電極とを有し、前記第1の電極層は、前記第1の外部電極に接続された第1の部分と、前記第1の外部電極から前記第2の外部電極に向かう第2の方向に沿って延びる第2の部分とを有し、前記第1の方向と前記第2の方向の各々と交叉する第3の方向に沿った前記第1の部分の第1の幅が前記第2の部分の第2の幅よりも広いことを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、全固体電池とその製造方法に関する。
近年、二次電池が様々な分野で利用されている。電解液を用いた二次電池には電解液の漏液等の問題がある。そこで、固体電解質を備え、他の構成要素も固体で構成した全固体電池の開発が行われている(特許文献1~4参照)。
特開平6-231796号公報 特開2011-216235号公報 特開2015-220106号公報 特開2020-166980号公報
全固体電池は、電極層用の電極ペーストと、固体電解質層用のグリーンシートとを複数積層し、それらを焼成することで作製される。このとき、電極層と固体電解質層の各々の熱収縮率の差に起因して全固体電池に反りが生じることがある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、全固体電池に反りが発生するのを抑制することを目的とする。
本発明に係る全固体電池は、第1の電極層、固体電解質層、及び第2の電極層の各々が第1の方向に沿って複数積層され、前記第1の電極層が表出する第1の面と、前記第2の電極層が表出する第2の面とを備えた積層体と、前記第1の面に設けられ、かつ前記第1の電極層に接続された第1の外部電極と、前記第2の面に設けられ、かつ前記第2の電極層に接続された第2の外部電極とを有し、前記第1の電極層は、前記第1の外部電極に接続された第1の部分と、前記第1の外部電極から前記第2の外部電極に向かう第2の方向に沿って延びる第2の部分とを有し、前記第1の方向と前記第2の方向の各々と交叉する第3の方向に沿った前記第1の部分の第1の幅が前記第2の部分の第2の幅よりも広いことを特徴とする。
上記全固体電池において、前記第2の電極層は、前記第2の外部電極に接続された第3の部分と、前記第2の方向に沿って延びる第4の部分とを有し、前記第3の部分の前記第3の方向に沿った第3の幅が前記第4の部分の第4の幅よりも広くてもよい。
上記全固体電池において、前記第1の方向から見て前記第1の電極層と前記第2の電極層とが重なる領域を有し、前記領域における前記第1の電極層と前記第2の電極層のいずれかの膜厚をT1、前記領域における前記固体電解質層の膜厚をT2としたときに、T1/T2≧1となってもよい。
上記全固体電池において、前記第1の幅は、前記第2の幅の1.01倍以上であり、前記第3の幅は、前記第4の幅の1.01倍以上でもよい。
上記全固体電池において、前記第1の幅は、前記第2の幅の1.02倍以上であり、前記第3の幅は、前記第4の幅の1.02倍以上でもよい。
上記全固体電池において、前記第1の幅は、前記第2の幅の1.05倍以上であり、前記第3の幅は、前記第4の幅の1.05倍以上でもよい。
上記全固体電池において、前記積層体は、前記第1の方向と前記第2の方向の各々に平行であり、かつ前記固体電解質層が表出する第3の面を更に有し、前記第1の部分と前記第3の面との間隔をD1、前記第2の部分と前記第3の面との間隔をD2としたときに、(D2-D1)≧0.1×D2でもよい。
上記全固体電池において、二つの前記第1の電極層に挟まれた第1の集電体層と、二つの前記第2の電極層に挟まれた第2の集電体層とを更に有してもよい。
本発明に係る全固体電池の製造方法は、第1の電極層、固体電解質層、及び第2の電極層の各々が第1の方向に沿って複数積層され、前記第1の電極層が表出する第1の面と、前記第2の電極層が表出する第2の面とを備えた積層体を形成する工程と、前記積層体を焼成する工程と、前記第1の面に、前記第1の電極層に接続された第1の外部電極を形成する工程と、前記第2の面に、前記第2の電極層に接続された第2の外部電極を形成する工程とを有し、前記第1の電極層は、前記第1の外部電極に接続された第1の部分と、前記第1の外部電極から前記第2の外部電極に向かう第2の方向に沿って延びる第2の部分とを有し、前記第1の方向と前記第2の方向の各々と交叉する第3の方向に沿った前記第1の部分の第1の幅が前記第2の部分の第2の幅よりも広いことを特徴とする。
本発明によれば、全固体電池に反りが発生するのを抑制することができる。
全固体電池の外観図である。 図1のI-I線に沿う断面図である。 図1のII-II線に沿う断面図である。 第1の電極層とのその周囲の平面図である。 第1の電極層の拡大断面図である。 第2の電極層とのその周囲の平面図である。 第2の電極層の拡大断面図である。 積層体における各電極層の位置関係を示す斜視図である。 第1の方向から見た第1の電極層と第2の電極層の平面図である。 本実施形態に係る全固体電池の製造方法のフローチャートである。 比較例に係る第1の電極層とのその周囲の平面図である。 比較例に係る第2の電極層とのその周囲の平面図である。 比較例に係る積層体における各電極層の位置関係を示す斜視図である。
(実施形態)
図1は、全固体電池100の外観図である。図1に例示するように、全固体電池100は、直方体形状を有する積層チップ70と、積層チップ70の対向する2つの面に設けられた外部電極40a、40bとを備える。
図2は、図1のI-I線に沿う断面図である。図2に例示するように、積層チップ70は、固体電解質層11、第1の電極層12、及び第2の電極層14の各々を第1の方向Zに沿って複数積層した積層体60を有する。
積層体60は、第1の方向Zに平行な第1の面60aと第2の面60bとを有する。なお、第1の面60aと第2の面60bの各々は第2の方向Yに垂直な面でもある。第2の方向Yは、第1の方向Zに垂直であり、第1の外部電極40aから第2の外部電極40bに向かう方向である。
また、第1の面60aには第1の外部電極40aが設けられており、第1の電極層12が第1の外部電極40aと接続される。一方、第2の面60bには第2の外部電極40bが設けられており、第2の電極層14が第2の外部電極40bと接続される。
また、第1の電極層12と第2の電極層14は、いずれも正極活物質と負極活物質の両方を含む導電層である。正極活物質は特に限定されないが、ここではオリビン型結晶構造をもつ材料を正極活物質として使用する。このような正極活物質としては、例えば遷移金属とリチウムとを含むリン酸塩がある。オリビン型結晶構造は、天然のカンラン石(olivine)が有する結晶であり、X線回折において判別することができる。
オリビン型結晶構造をもつ電極活物質としては、例えばCoを含むLiCoPO等がある。この化学式において遷移金属のCoが置き換わったリン酸塩等を用いてもよい。ここで、価数に応じてLiやPOの比率は変動し得る。なお、遷移金属として、Co,Mn,Fe,Niなどを用いてもよい。
また、負極活物質としては、例えばチタン酸化物、リチウムチタン複合酸化物、リチウムチタン複合リン酸塩、カーボン、及びリン酸バナジウムリチウムのいずれかがある。
このように第1の電極層12と第2の電極層14の各々に正極活物質と負極活物質の両方を使用することにより各電極層12、14の類似性が高まる。その結果、第1の電極層12と第2の電極層14の各々が正極としても負極としても機能するようになり、全固体電池100の端子の取り付けを正負逆にしてしまった場合であっても、短絡検査において誤作動せずに実使用に耐えられる。なお、本実施形態はこれに限定されず、第1の電極層12として正極層を形成し、かつ第2の電極層13として負極層を形成することにより、全固体電池100に極性を持たせてもよい。
更に、第1の電極層12と第2の電極層14を作製する際に、これらの電極層に酸化物系固体電解質材料や、カーボンや金属等の導電助剤を添加してもよい。導電助剤の金属としては、例えばPd、Ni、Cu、及びFeのいずれかがある。更に、これらの金属の合金を導電助剤として使用してもよい。
また、第1の電極層12と第2の電極層14の層構造は特に限定されない。例えば、点線円内に示すように、導電性材料からなる第1の集電体層12bの両主面に第1の電極層12を形成することにより、第1の集電体層12bを第1の電極層12で挟むようにしてもよい。同様に、導電性材料からなる第2の集電体層14bの両主面に第2の電極層14を形成することにより、第2の集電体14bを第2の電極層14で挟むようにしてもよい。
一方、固体電解質層11の材料としては、例えばNASICON構造を有するリン酸塩系固体電解質がある。NASICON構造を有するリン酸塩系固体電解質は、高いイオン導電率を有すると共に、大気中で化学的に安定である。リン酸塩系固体電解質は特に限定されないが、ここではリチウムを含んだリン酸塩を使用する。当該リン酸塩は、例えばTiとの複合リン酸リチウム塩(LiTi(PO)をベースとし、Li含有量を増加させるためにAl,Ga,In,Y,Laなどの3価の遷移金属に一部置換させた塩である。そのような塩としては、Li1+xAlGe2-x(PO、Li1+xAlZr2-x(PO、及びLi1+xAlTi2-x(PO等のLi-Al-M-PO系リン酸塩(Mは、Ge,Ti,Zr等)がある。
また、第1の電極層12中のリン酸塩に含まれる遷移金属を予め添加したLi-Al-Ge-PO系リン酸塩を固体電解質層11の材料として用いてもよい。例えば、第1の電極層12にCoとLiのいずれかを含むリン酸塩が含有される場合には、Coを予め添加したLi-Al-Ge-PO系リン酸塩を固体電解質層11に含有させてもよい。これにより、第1の電極層12から固体電解質層11に遷移金属が溶出するのを抑制することができる。
図3は、図1のII-II線に沿う断面図である。図3に例示するように、積層体60は、第1の方向Zと第2の方向Yの各々に平行な第3の面60cと第4の面60dとを有する。
更に、積層体60は、第1の方向Zに垂直な第5の面60eと第6の面60fとを有する。第5の面60eは、配線基板に全固体電池100を実装するときに上側となる上面である。また、第6の面60fは、実装時に下側となる下面である。この例では積層体60の最外層は固体電解質層11であり、第3~第6の面60c~60fの各々は固体電解質層11の表面で画定される。
更に、第3~第6の面60c~60fの各々の表面には防湿層80が設けられる。防湿層80は、シリコンを含む無機酸化物の層であって、大気中の水分から積層体60を保護する役割を担う層である。なお、B、Bi、Zn、Ba、Li、P、Sn、Pb、Mg、及びNaのいずれかを防湿層80に添加してもよい。
図4は、第1の電極層12とのその周囲の平面図である。図4に示すように、第1の電極層12は、第1の外部電極40aに接続された第1の部分12xと、第1の部分12xから第2の方向Yに沿って延びる第2の部分12yとを有する。
また、第1の方向Zと第2の方向Yの各々に垂直な第3の方向Xに沿った第1の部分12xの第1の幅W1は、第3の方向Xに沿った第2の部分12yの第2の幅W2よりも広い。これにより、第1の電極層12は、平面視で概略T字型となる。
なお、この例ではW1≧1.01×W2とする。これにより、第1の電極層12と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを抑制することができる。また、より好ましくはW1≧1.02×W2とし、更に好ましくはW1≧1.05×W2とする。これにより、全固体電池100の角に応力が集中するのを抑制でき、反りの発生を更に効果的に抑制することができる。
図5は、第1の電極層12の拡大断面図である。図5においては、第1の電極層12の第1の部分12xと第3の面60cとの間隔をD1とし、第1の電極層12の第2の部分12yと第3の面60cとの間隔をD2としている。本実施形態では、これらの間隔D1、D2が(D2-D1)≧0.1×D2を満たすようにする。これにより、第1の電極層12と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを抑制することができる。より好ましくは(D2-D1)≧0.5×D2とし、更に好ましくは(D2-D1)≧1.0×D2、すなわち第1の部分12xが第3の面60cに露出するものとする。これにより、第1の電極層12と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを効果的に抑制することができる。しかも、第1の部分12xが第3の面60cに露出することで、第1の部分12xと第1の外部電極40aとが密着し、第1の電極層12と第1の外部電極40aとの密着強度が高まる。
図6は、第2の電極層14とのその周囲の平面図である。図4に示すように、第2の電極層14は、第2の外部電極40bに接続された第3の部分14xと、第3の部分14xから第2の方向Yに沿って延びる第4の部分14yとを有する。
また、第3の方向Xに沿った第3の部分14xの第3の幅W3は、第3の方向Xに沿った第4の部分14yの第4の幅W4よりも広い。これにより、第2の電極層14は、平面視で概略T字型となる。なお、この例ではW3≧1.01×W4とする。これにより、第2の電極層14と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを抑制することができる。また、より好ましくはW3≧1.02×W4とし、更に好ましくはW3≧1.05×W4とする。これにより、全固体電池100の角に応力が集中するのを抑制でき、反りの発生を更に効果的に抑制することができる。
図7は、第2の電極層14の拡大断面図である。図7においては、第2の電極層14の第3の部分14xと第3の面60cとの間隔をD3とし、第2の電極層14の第4の部分14yと第3の面60cとの間隔をD4としている。本実施形態では、これらの間隔D3、D4が(D4-D3)≧0.1×D4を満たすようにする。これにより、第2の電極層14と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを抑制することができる。より好ましくは(D4-D3)≧0.5×D4とし、更に好ましくは(D4-D3)≧1.0×D4、すなわち第3の部分14xが第3の面60cに露出するものとする。これにより、第2の電極層14と固体電解質層11の各々の収縮率の差に起因して全固体電池100に反りが発生するのを効果的に抑制することができる。しかも、第3の部分14xが第3の面60cに露出することで、第3の部分14xと第2の外部電極40bとが密着し、第2の電極層14と第2の外部電極40bとの密着強度が高まる。
図8は、積層体60における各電極層12、14の位置関係を示す斜視図である。図8に示すように、第1の電極層12の第1の部分12xは第1の面60aに露出し、第2の電極層14の第3の部分14xは第2の面60bに露出する。
図9は、第1の方向Zから見た第1の電極層12と第2の電極層14の平面図である。図9に示すように、第1の電極層12の第1の部分12xと、第2の電極層14の第3の部分14xは、領域Rにおいて相互に重なる。本実施形態では、領域Rにおける第1の電極層12と第2の電極層14のいずれかの膜厚をT1とし、当該領域Rにおける固体電解質層11の膜厚T2としたときに、T1/T2≧1とする。このように固体電解質層11の膜厚T2を小さくすることで、全固体電池において各電極層11、14が占める割合が増え、全固体電池の容量が増大する。更に好ましくは、T1/T2≧10とし、より好ましくはT1/T2≧50とする。これにより、固体電解質層11の薄厚化に伴うショートやリーク電流の増大を防止しつつ、固体電解質層11の厚膜化に伴う容量低下や応答性低下を防止できる。
一例として、本実施形態では、第1の電極層12の膜厚を2μm~100μm、より好ましくは5μm~50μmとする。また、第2の電極層14の膜厚は2μm~100μm、より好ましくは5μm~50μmである。この範囲を採用することで、各電極層12、14の薄厚化に伴う容量低下を防止し、かつ各電極層12、14の厚膜化に伴う積層精度の低下を防止できる。更に、固体電解質層11の膜厚は2μm~50μm、より好ましくは5μm~25μmである。この範囲を採用することで、固体電解質層11の薄厚化に伴うショートやリーク電流の増大を防止しつつ、固体電解質層11の厚膜化に伴う容量低下や応答性低下を防止できる。
上記した本実施形態によれば、図4に示したように、第1の幅W1を第2の幅W2よりも広くするため、第1の面60aに露出する第1の電極層12の面積が増大する。そのため、焼成後の積層体60が冷却するときに固体電解質層11と第1の電極層12との間に熱収縮率に差が生じても、第1の部分12xに広く存在する第1の電極層12が固体電解質層11の収縮を抑えるように作用するため、第1の部分12xとその近傍の積層体60に反りが発生し難くなる。
同様に、図6に示したように、第3の幅W3を第4の幅W4よりも広くするため、第2の面60bに露出する第2の電極層14の面積が増大する。その結果、焼成後の積層体60が冷却するときに固体電解質層11と第2の電極層14との間に熱収縮率に差が生じても、第3の部分14xに広く存在する第2の電極層14が固体電解質層11の収縮を抑えるように作用するため、第3の部分14xとその近傍の積層体60に反りが発生し難くなる。
しかも、幅が広い第1の部分12xと第3の部分14xにより、第1の面60aと第2の面60bの近傍における積層体60の強度が高まるため、全固体電池100の機械的強度を高めることもできる。
次に、本実施形態に係る全固体電池の製造方法について説明する。図10は、本実施形態に係る全固体電池の製造方法のフローチャートである。
(セラミック原料粉末作製工程)
まず、上述の固体電解質層11を構成するリン酸塩系固体電解質の粉末を作製する。例えば、原料と添加物とを混合し、固相合成法などを用いることにより、固体電解質層11を構成するリン酸塩系固体電解質の粉末を作製することができる。得られた粉末を乾式粉砕することにより、所望の平均粒径に調整することができる。例えば、5mmφのZrOボールを用いた遊星ボールミルで、所望の平均粒径に調整する。
添加物には焼結助剤が含まれる。焼結助剤として、例えば、Li-B-O系化合物、Li-Si-O系化合物、Li-C-O系化合物、Li-S-O系化合物,及びLi-P-O系化合物のいずれかのガラス成分を使用し得る。
(グリーンシート作製工程)
次に、得られた粉末を、結着材、分散剤、及び可塑剤等と共に、水性溶媒又は有機溶媒に均一に分散させて、湿式粉砕を行うことにより所望の平均粒径を有する固体電解質スラリを得る。このとき、ビーズミル、湿式ジェットミル、各種混錬機、高圧ホモジナイザーなどを用いることができ、粒度分布の調整と分散とを同時に行うことができる観点からビーズミルを用いることが好ましい。
そして、得られた固体電解質スラリにバインダを添加して固体電解質ペーストを得る。固体電解質ペーストを塗工することにより、固体電解質層11用のグリーンシートが得られる。塗工方法は特に限定されず、スロットダイ方式、リバースコート方式、グラビアコート方式、バーコート方式、ドクターブレード方式などを用いることができる。湿式粉砕後の粒度分布は、例えば、レーザ回折散乱法を用いたレーザ回折測定装置を用いて測定することができる。
(電極層用ペースト作製工程)
次に、第1の電極層12と第2の電極層14とを作製するための電極層用ペーストを作製する。例えば、正極活物質、負極活物質、及び固体電解質材料をビーズミル等で高分散化し、セラミックス粒子のみからなるセラミックスペーストを作製する。また、カーボンブラック等のカーボン粒子を含むカーボンペーストを作製し、セラミックスペーストにカーボンペーストを混錬してもよい。
(積層工程)
次に、グリーンシートの一方の主面に電極層用ペーストを印刷する。次いで、印刷後の複数のグリーンシートを交互にずらして150枚積層し、それをダイサーで所定のサイズにカットすることで積層体60を得る。なお、その積層体60の最上層と最下層はグリーンシートとなる。
(焼成工程)
次に、酸素を含む焼成雰囲気中で積層体60を焼成する。電極層用ペーストに含まれるカーボン材料の消失を抑制するために、焼成雰囲気の酸素分圧を2×10-13atm以下とすることが好ましい。一方、リン酸塩系固体電解質の融解を抑制するために酸素分圧を5×10-22atm以上とすることが好ましい。
その後、積層体60の各面60a、60bに金属ペーストを塗布してそれを焼き付けることにより第1の外部電極40aと第2の外部電極40bを形成する。なお、スパッタ法やめっき法で第1の外部電極40aと第2の外部電極40bを形成してもよい。
なお、焼成後の第1の電極層12の膜厚は14μmであり、第2の電極層14の膜厚は10μmである。また、焼成後の固体電解質層11の膜厚は8μmである。
(塗布工程)
次に、積層体60の第3~第6の面60c~60fにジブチルエーテル又はジブチルエーテル系の溶媒にテトラアルコキシシランを溶解させた溶液を塗布する。その後、その溶液を100℃~150℃程度の温度に加熱することにより防湿層80を得る。以上により、全固体電池100の基本構造が完成する。
本実施形態に従って全固体電池を作製した。図4~図7に示した各パラメータW1~W4及びD1~D4を、W1=1.1×W2、W3=1.1×W4、(D2-D1)=0.7×D2、(D4-D3)=0.7×D4となるようにした。作製した全固体電池チップは第1の電極層12、第2の電極層14ともに固体電解質層11と厚み差があるものの、焼成においてそれぞれの電極層が固体電解質層11の収縮を抑えることができ、反りがみられなかった。
(比較例)
図11は、比較例に係る第1の電極層12とのその周囲の平面図である。図11に示すように、比較例においては第1の電極層12は平面視で矩形状である。
そのため、図4の本実施形態と比較して、比較例では第1の面60aの近傍における固体電解質層11の収縮を第1の電極層12で抑えることができず、積層体60に反りが生じてしまう。
図12は、比較例に係る第2の電極層14とのその周囲の平面図である。図12に示すように、比較例に係る第2の電極層14は、第1の電極層12と同様に平面視で矩形状である。そのため、図11の第1の電極層12と同じ理由によって積層体60に反りが生じてしまう。
図13は、比較例に係る積層体における各電極層の位置関係を示す斜視図である。図13に示すように、比較例においては第1の面60aに第1の電極層12が露出し、第2の面60bに第2の電極層14が露出する。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
11 :固体電解質層
12 :第1の電極層
12b :第1の集電体層
12x :第1の部分
12y :第2の部分
14 :第2の電極層
14b :第2の集電体層
14x :第3の部分
14y :第4の部分
40a :第1の外部電極
40b :第2の外部電極
60 :積層体
60a~60f :第1~第6の面
70 :積層チップ
80 :防湿層
100 :全固体電池

Claims (9)

  1. 第1の電極層、固体電解質層、及び第2の電極層の各々が第1の方向に沿って複数積層され、前記第1の電極層が表出する第1の面と、前記第2の電極層が表出する第2の面とを備えた積層体と、
    前記第1の面に設けられ、かつ前記第1の電極層に接続された第1の外部電極と、
    前記第2の面に設けられ、かつ前記第2の電極層に接続された第2の外部電極とを有し、
    前記第1の電極層は、前記第1の外部電極に接続された第1の部分と、前記第1の外部電極から前記第2の外部電極に向かう第2の方向に沿って延びる第2の部分とを有し、
    前記第1の方向と前記第2の方向の各々と交叉する第3の方向に沿った前記第1の部分の第1の幅が前記第2の部分の第2の幅よりも広いことを特徴とする全固体電池。
  2. 前記第2の電極層は、前記第2の外部電極に接続された第3の部分と、前記第2の方向に沿って延びる第4の部分とを有し、
    前記第3の部分の前記第3の方向に沿った第3の幅が前記第4の部分の第4の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記第1の方向から見て前記第1の電極層と前記第2の電極層とが重なる領域を有し、前記領域における前記第1の電極層と前記第2の電極層のいずれかの膜厚をT1、前記領域における前記固体電解質層の膜厚をT2としたときに、T1/T2≧1となることを特徴とする請求項2に記載の全固体電池。
  4. 前記第1の幅は、前記第2の幅の1.01倍以上であり、
    前記第3の幅は、前記第4の幅の1.01倍以上であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の全固体電池。
  5. 前記第1の幅は、前記第2の幅の1.02倍以上であり、
    前記第3の幅は、前記第4の幅の1.02倍以上であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の全固体電池。
  6. 前記第1の幅は、前記第2の幅の1.05倍以上であり、
    前記第3の幅は、前記第4の幅の1.05倍以上であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の全固体電池。
  7. 前記積層体は、前記第1の方向と前記第2の方向の各々に平行であり、かつ前記固体電解質層が表出する第3の面を更に有し、
    前記第1の部分と前記第3の面との間隔をD1、前記第2の部分と前記第3の面との間隔をD2としたときに、(D2-D1)≧0.1×D2であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の全固体電池。
  8. 二つの前記第1の電極層に挟まれた第1の集電体層と、
    二つの前記第2の電極層に挟まれた第2の集電体層とを更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の全固体電池。
  9. 第1の電極層、固体電解質層、及び第2の電極層の各々が第1の方向に沿って複数積層され、前記第1の電極層が表出する第1の面と、前記第2の電極層が表出する第2の面とを備えた積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、
    前記第1の面に、前記第1の電極層に接続された第1の外部電極を形成する工程と、
    前記第2の面に、前記第2の電極層に接続された第2の外部電極を形成する工程とを有し、
    前記第1の電極層は、前記第1の外部電極に接続された第1の部分と、前記第1の外部電極から前記第2の外部電極に向かう第2の方向に沿って延びる第2の部分とを有し、
    前記第1の方向と前記第2の方向の各々と交叉する第3の方向に沿った前記第1の部分の第1の幅が前記第2の部分の第2の幅よりも広いことを特徴とする全固体電池の製造方法。

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