JP2023044321A - 加飾部材、加飾部材付き表示装置 - Google Patents

加飾部材、加飾部材付き表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加飾部材に赤外線を透過させる。【解決手段】加飾部材10は、加飾積層体20を備える。加飾積層体20は、暗色層35を有する。暗色層35は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる。加飾部材10の可視光透過率は、2%以上75%以下である。加飾部材10の赤外線透過率は、70%以上である。【選択図】図5

Description

本開示は、加飾部材及び加飾部材を有する加飾部材付き表示装置に関する。
画像光を表示する表示装置が広く用いられている。このような表示装置は、画像非表示の状態では、通常、黒色に観察される。一方で、例えば自動車や家具、住宅建材等の表面部材においては、周辺環境との意匠性の調和が非常に重要視される。現在、自動車や家具、住宅建材等の種々の分野に適用される表示装置に対しても、単に画像を表示する機能が期待されているだけでなく、周囲環境との意匠性の調和も要求されている。
画像非表示の状態の表示装置と表示装置の周辺に配置される装置との意匠性の調和のために、表示装置の表示面及び表示装置の周辺に配置される装置に対面して、加飾部材を設けることが考えられている。例えば特許文献1に記載されているような加飾部材は、意匠部によって意匠を形成することで、周辺環境と調和する意匠を表示している。
特開2019-179197号公報
例えば自動車のコンソール等の表示装置の周辺に、赤外線を発信及び/又は受信する赤外線装置が配置されることが考えられている。したがって、加飾部材は赤外線装置にも対面して設けられる。赤外線装置が適切に機能するために、加飾部材が赤外線を十分に透過させることが求められる。
本開示の加飾部材は、加飾積層体を備える加飾部材であって、
前記加飾積層体は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる暗色層を有し、
当該加飾部材の可視光透過率は、2%以上75%以下であり、
当該加飾部材の赤外線透過率は、70%以上である。
本開示の加飾部材において、当該加飾部材のヘイズ値は、8%以下であってもよい。
本開示の加飾部材において、当該加飾部材の各位置において、L表色系におけるaの値及びbの値について、
[(a+(b1/2≦8
の関係を満たしてもよい。
本開示の加飾部材において、前記暗色層は、硫化ビスマス、ペリレンブラック顔料、ニグロシンブラック染料、または、ペリノン骨格またはキノリン骨格の黄色染料、アントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のマゼンタ色染料及びアントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のシアン色染料の混合物、のいずれかを含んでもよい。
本開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、意匠を形成する意匠層をさらに有し、
前記暗色層は、前記意匠層を一方の側から覆い、
前記意匠層は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させてもよい。
本開示の加飾部材において、前記意匠層は、意匠を形成する意匠部と、前記意匠部の非形成部である透過部と、を有してもよい。
本開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記意匠層を他方の側から覆う第2暗色層をさらに有し、
前記第2暗色層は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させてもよい。
本開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記意匠層の他方の側に積層された第2意匠層をさらに有し、
前記第2意匠層は、前記意匠層とは異なる意匠を形成し、
前記第2意匠層は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させてもよい。
本開示の加飾部材において、前記第2意匠層は、意匠を形成する第2意匠部と、前記第2意匠部の非形成部である第2透過部と、を有してもよい。
本開示の加飾部材において、前記意匠層は、光干渉顔料を含んでもよい。
本開示の加飾部材において、前記意匠層の可視光反射率は、ある位置から離れるにつれて小さくなっていてもよい。
本開示の加飾部材において、
前記意匠層は、意匠を形成する複数のドットを含み、
前記ドットの大きさは、2000μm以下であってもよい。
本開示の加飾部材において、
前記意匠層は、意匠を形成する複数のドットを含み、
前記意匠層の単位面積に対する前記ドットが設けられた面積の割合は、50%以下であってもよい。
本開示の加飾部材において、前記暗色層の可視光透過率は、ある位置から離間するにつれて小さくなっていてもよい。
本開示の加飾部材において、前記加飾積層体は、前記暗色層を保護する保護層をさらに有してもよい。
本開示の加飾部材において、前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明なヒートシール層をさらに有してもよい。
本開示の加飾部材において、前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明なバッカー層をさらに有してもよい。
本開示の加飾部材において、前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明粘着層をさらに有してもよい。
本開示の加飾部材において、
前記暗色層は、前記加飾積層体の表面をなしており、
前記暗色層は、粘着性を有してもよい。
本開示の加飾部材において、
前記加飾積層体に積層された光学機能層をさらに備え、
前記光学機能層は、前記加飾部材の表面をなしてもよい。
本開示の加飾部材において、前記加飾積層体に積層された透明成形体をさらに備えてもよい。
本開示の加飾部材付き表示装置は、
表示面を有する表示装置と、
赤外線を発信及び/又は受信する赤外線装置と、
前記表示面及び前記赤外線装置に対面して設けられた上述したいずれかの加飾部材と、を備える。
本開示の加飾部材付き表示装置において、前記表示装置は、光源と、前記光源からの光の一部を遮光することで画像を形成する遮光物と、を含んでもよい。
本開示によれば、加飾部材に赤外線を透過させることができる。
図1は、加飾部材付き表示装置の全体を概略的に示す分解斜視図である。 図2は、加飾部材付き表示装置の一例の分解断面図である。 図3は、加飾部材付き表示装置の他の例の分解断面図である。 図4は、表示装置の一例を示す断面図である。 図5は、加飾部材の一例を示す断面図である。 図6は、加飾部材の他の例を示す断面図である。 図7は、加飾積層体の第1の例を示す断面図である。 図8は、加飾積層体の第2の例を示す断面図である。 図9は、加飾積層体の第3の例を示す断面図である。 図10は、加飾積層体の第4の例を示す断面図である。 図11は、加飾積層体の第5の例を示す断面図である。 図12は、加飾積層体の第6の例を示す断面図である。 図13は、加飾積層体の第7の例を示す断面図である。 図14は、加飾部材付き表示装置において表示装置が画像光を出射している状態を示す図である。 図15は、加飾部材付き表示装置において表示装置が画像光を出射していない状態を示す図である。 図16は、加飾積層体の一変形例を示す図である。 図17は、加飾積層体の他の変形例を示す図である。 図18は、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。 図19は、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。 図20は、加飾積層体のさらに他の変形例を示す図である。 図21は、意匠層の一変形例を示す図である。 図22は、暗色層の一変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において、「層」、「シート」及び「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「層」という用語は、シート或いはフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈されるよう意図されている。
図1は、本実施の形態の加飾部材付き表示装置1を概略的に示す分解斜視図である。図1に示されるように、加飾部材付き表示装置1は、表示装置5と、赤外線装置7と、加飾部材10と、を有している。表示装置5は、画像を表示する表示面6を有している。加飾部材10は、表示装置5の表示面6及び赤外線装置7に対面して配置されている。図示されている例では、表示装置5と赤外線装置7とは隣り合っているが、互いに離れていてもよい。加飾部材付き表示装置1は、画像の非表示状態と表示状態とをとることができる。画像の非表示状態では、加飾部材付き表示装置1は、加飾部材10が表示する意匠によって意匠性を付与される。画像の表示状態では、加飾部材付き表示装置1は、表示装置5の表示面6に表示される画像を表示する。
図示されている例では、加飾部材付き表示装置1は平板状に示されている。しかしながら、加飾部材付き表示装置1の各構成要素が湾曲することで、加飾部材付き表示装置1は、湾曲していてもよい。例えば、加飾部材10のみが湾曲していてもよいし、表示装置5の表示面6及び加飾部材10が湾曲していてもよい。
図2及び図3には、加飾部材付き表示装置1の一例及び他の例の断面図が示されている。図2及び図3に示されているように、加飾部材10は、光学機能層11と、透明成形体13と、加飾積層体20と、を有している。加飾積層体20は、暗色層35と、を少なくとも有している。図2及び図3に示されている例では、加飾積層体20は、意匠層30をさらに有している。暗色層35は、意匠層30を一方の側から覆っている。
図2に示されている一例では、加飾積層体20は、意匠層30に対して暗色層35が設けられた側が表示装置5に対面する側となるように配置されている。言い換えると、表示装置5は、加飾積層体20の暗色層35が意匠層30を覆う側に設けられている。一方、図3に示されている他の例では、加飾積層体20は、暗色層35に対して意匠層30が設けられた側が表示装置5に対面する側となるように配置されている。言い換えると、表示装置5は、加飾積層体20の暗色層35が意匠層30を覆う側とは逆側に設けられている。図2及び図3は、加飾積層体20の意匠層30及び暗色層35に対する表示装置5の位置を説明するための図であり、光学機能層11及び透明成形体13の位置は、図2及び図3に示されている例に限定されない。図2及び図3に示された例では、加飾積層体20は、意匠層30及び暗色層35のみを有しているが、後述する例に示すような、他の構成要素を有していてもよい。
表示装置5は、表示面6に画像を表示することができる。表示装置5は、表示面6から画像光を出射できる。表示装置5は、表示面6に画像を表示した状態と、表示面6に画像を表示しない状態と、をとることができる。表示装置5としては、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の任意の表示装置を用いることができる。このような表示装置5の表示面6は、典型的にはガラス面となっている。
あるいは、表示装置5は、光の一部を遮光物によって遮光することで明暗による画像を表示するものであってもよい。この場合、表示装置5は、図4に示すように、光を発する光源5aと、光源5aからの光の一部を遮光することで画像を形成する遮光物5bと、を含んでいる。遮光物5bは、表示する画像に対応した形状となっている。遮光物5bの非形成部が表示面6となる。光源5aとしては、遮光物5bが形成されていない部分を透過する光の強度を均一にするために、例えば面状に光を発する面光源装置が用いられることが好ましい。なお、遮光物5bは、加飾部材10と一体的に形成されていてもよい。
赤外線装置7は、赤外線を発信及び/又は受信する。赤外線装置7は、例えば赤外線センサである。例えば、赤外線装置7は、赤外線を発信して外部で反射した赤外線を受信することで、外部の物体の情報を検出する装置であってもよい。より具体的な例として、赤外線装置7は、赤外線を利用した位置検出センサであり、表示装置5の表示面6に対応した位置を検出するものであってもよい。しかしながら、赤外線装置7は、表示装置5とは独立して機能してもよい。例えば、赤外線装置7は、表示装置5の表示面6とは無関係に、外部の物体の位置や動作等の情報を検出してもよい。あるいは、赤外線装置7は、赤外線カメラであってもよい。赤外線装置7が発信及び/又は受信する赤外線の波長は、典型的には、900nm以上1000nm以下または1500nm以上1600nm以下である。
図5及び図6には、加飾部材10の層構成の一例及び他の例の断面図が示されている。図5及び図6に示されているように、光学機能層11は、加飾積層体20に積層されており、加飾部材10の表面をなしている。すなわち、光学機能層11は、加飾部材10の最外層をなしている。透明成形体13は、加飾積層体20に積層されている。図5に示されている例では、透明成形体13は、加飾部材10の表面をなしている。すなわち、透明成形体13は、光学機能層11とは異なる加飾部材10の最外層をなしている。一方、図6に示されている例では、透明成形体13は、光学機能層11と加飾積層体20との間に配置されている。
本明細書で用いる「透明」とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長400nm~700nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上、好ましくは80%以上であることを意味する。
光学機能層11は、加飾部材10に種々の機能を付与する。光学機能層11によって付与され得る機能としては、一例として、低反射機能(LR)、反射防止(AR)機能、防眩(AG)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、耐擦傷(HC)機能等を例示できる。光学機能層11は、これらの機能の複数を付与してもよい。特に、光学機能層11が低反射機能や反射防止機能を付与する場合、光学機能層11の可視光反射率は、5%以下となっていることが好ましい。
透明成形体13は、光学機能層11及び加飾積層体20を支持する。透明成形体13は、透明となっていることで、表示装置5からの画像光や加飾積層体20が表示する意匠を阻害しにくい。透明成形体13は、例えば熱可塑性の材料を成形することで設けられる。成形により、透明成形体13を所望の形状で設けることができる。透明成形体13の材料は、ガラスやアクリル、ポリカーボネート、ABS、PET、ポリプロピレン等の樹脂を例示できる。
加飾積層体20は、意匠を表示して、加飾部材付き表示装置1に意匠性を付与する。加飾積層体20は、様々な構成をとることができる。図7乃至図13には、それぞれ加飾積層体20の構成の別の例が示されている。以下、図7乃至図13に示された加飾積層体20の構成の各例について説明する。なお、各例で対応する部分に対しては同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
図7に示されている第1の例の加飾積層体20は、基材21と、意匠層30と、暗色層35と、透明粘着層29と、を有している。透明粘着層29は、加飾積層体20の表面をなしている。とりわけ、図7に示されている例では、基材21も加飾積層体20の表面をなしている。
基材21は、意匠層30及び暗色層35を適切に支持する支持体である。基材21により、加飾積層体20を適切な厚さにできる。基材21は、透明なフィルム状の部材である。基材21の材料としては、透明であり、意匠層30及び暗色層35を適切に支持し得るものであればいかなるものでもよいが、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリル積層からなる。基材21は、透明性や、意匠層30及び暗色層35の適切な支持性等を考慮すると、10μm以上500μm以下の厚みを有していることが好ましい。
透明粘着層29は、加飾積層体20を他の部材と接着するための層である。透明粘着層29は、いわゆるOCA(Optical Clear Adhesive)である。透明粘着層29の材料としては、例えば、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ゴム弾ポリマー等を挙げることができる。透明粘着層29は、十分な粘着性を奏し、且つ加飾積層体20が厚くなりすぎない程度の厚さを有している。例えば、透明粘着層29の厚さは、5μm以上300μm以下である。なお、透明粘着層29が意図せずに他の部材に接着しないよう、加飾積層体20を透明成形体13と貼り合わせる前において、透明粘着層29は、剥離可能に設けられた図示しないセパレート層に覆われていてもよい。
意匠層30は、加飾積層体20が表示する意匠を形成する。より詳しくは、意匠層30の各位置において外部から入射した光を反射させることで、外部から観察可能な意匠が形成される。意匠層30は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄を、意匠として形成できる。例えば、加飾部材付き表示装置1が設けられる周辺環境と調和させることができる意匠として、意匠層30は、木目調や大理石調の絵柄や幾何学模様を形成できる。とりわけ、意匠層30は、防眩性の意匠、マット調の意匠、グロス調の意匠や金属調の意匠を形成できる。
意匠層30は、意匠を適切に形成できるよう、種々の色の有機顔料や有機フィラー、染料を含んでいる。とりわけ、意匠層30が含む顔料は、光干渉顔料であることが好ましい。光干渉顔料としては、鱗片形状のマイカ、アルミニウム、ガラス等の基盤粒子に顔料が被覆されたものを例示できる。基盤粒子を被覆する顔料としては、酸化チタンが好ましい。光干渉顔料は、光を多重反射することで、所定の色を表現する。
意匠層30は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させることができる。これにより、意匠層30は、表示装置5からの画像光を各位置において透過させることができる。意匠層30には、入射した光の全てを透過させる部分があってもよい。すなわち、意匠層30の一部が、透明であってもよい。
意匠層30は、複数のドットを含んでいる。ドットは、例えば上述した種々の色の有機顔料や有機フィラー、染料からなる。複数のドットは、意匠を形成する。ドットの大きさは、2000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。ドットの大きさは、ドットの一方向に沿った長さのうちの最大の長さを意味する。意匠層30には、ドットが設けられた部分と、ドットが設けられていない部分が存在する。ドットが設けられていない部分において、意匠層30は、光を透過できる。意匠層30におけるドットの密度、言い換えると意匠層30の単位面積に対するドットが設けられた面積の割合は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
暗色層35は、表示装置5及び赤外線装置7を外部から観察されにくくする。暗色層35は、意匠層30を一方の側から覆っており、意匠層30によって形成される意匠を濃く明確にする。暗色層35は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる。暗色層35は、典型的には黒色となっている。暗色層35は、顔料または染料のいずれかのみを含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでいてもよい。暗色層35が含む顔料としては、硫化ビスマスやペリレンブラックを例示でき、染料としてはニグロシンブラック染料、ペリノン骨格染料、キノリン骨格染料、アントラキノン骨格染料を例示できる。暗色層35は、調色顔料、調色染料を含んでもよい。例えば暗色層35が赤みがかった黒色である場合、暗色層35は調色顔料として青色顔料または青色染料をさらに含んでもよい。あるいは、暗色層35は、イエロー、シアン、マゼンタの各色の顔料、染料を含んでいてもよい。例えば、暗色層35は、ペリノン骨格またはキノリン骨格の黄色染料、アントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のマゼンタ色染料及びアントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のシアン色染料の混合物を含んでいてもよい。暗色層35が顔料を含む場合、当該顔料は、粒径が300nm以下であることが好ましい。顔料の粒径は、暗色層35を形成する後述の塗工液に対して、例えば大塚電子株式会社製の濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000)を用いることで、レーザー回折法により測定できる。
図8に示されている第2の例の加飾積層体20は、図7に示した第1の例と同様に、基材21と、意匠層30と、暗色層35と、透明粘着層29と、を有しており、透明粘着層29は、加飾積層体20の表面をなしている。図8に示されている例では、基材21は、意匠層30と透明粘着層29との間に位置している。
図9に示されている第3の例の加飾積層体20は、基材21と、意匠層30と、暗色層35と、を有している。第3の例において、暗色層35は、加飾積層体20の表面をなしており、粘着性を有している。暗色層35が意図せずに他の部材に接着しないよう、加飾積層体20を透明成形体13と貼り合わせる前において、暗色層35は、剥離可能に設けられた図示しないセパレート層に覆われていてもよい。このような暗色層35は、例えば顔料または染料を含んで黒色となったOCAである。図9に示されている例では、基材21も加飾積層体20の表面をなしている。
このような暗色層35によれば、別途の粘着層を設けることなく、加飾積層体20を透明成形体13に接着可能である。このため、加飾積層体20を薄くできる。
図10に示されている第4の例の加飾積層体20は、図9に示した第3の例と同様に、基材21と、意匠層30と、暗色層35と、を有している。暗色層35は、加飾積層体20の表面をなしており、粘着性を有している。図10に示されている例では、基材21は、意匠層30と暗色層35との間に位置している。
図11に示されている第5の例の加飾積層体20は、基材21と、バッカー層27と、意匠層30と、暗色層35と、を有している。図11に示されている例において、基材21及びバッカー層27は、それぞれ加飾積層体20の表面をなしている。
バッカー層27は、意匠層30及び暗色層35を保護する層である。バッカー層27は、意匠層30が形成する意匠を阻害しないよう、透明となっている。バッカー層27は、例えば図示しない接着層によって、意匠層30または暗色層35に積層される。バッカー層27は、例えば透明な熱可塑性樹脂材料からなる。具体的な例として、バッカー層27は、ABS,PC,PMMA等からなる。バッカー層27の厚さは、例えば50μm以上1000μm以下である。
バッカー層27によって意匠層30及び暗色層35を保護することで、意匠層30及び暗色層35が適切に意匠を形成することができる。これにより、意匠層30が意図された意匠を形成することができる。
図12に示されている第6の例の加飾積層体20は、保護層23と、バッカー層27と、意匠層30と、暗色層35と、を有している。図12に示されている例において、保護層23及びバッカー層27は、それぞれ加飾積層体20の表面をなしている。
保護層23は、意匠層30及び暗色層35を保護する層である。典型的には、保護層23は、耐擦傷性を有したハードコート機能を有している。保護層23は、加飾積層体20が光学機能層11及び透明成形体13に積層される前において、PET等からなる図示しないフィルムに覆われていてもよい。保護層23は、例えば、電離放射線硬化性樹脂、光硬化樹脂、シロキサン結合を有する樹脂等からなる。保護層23の厚さは、例えば0.2μm以上20μm以下である。
保護層23が意匠層30を保護していることで、加飾部材10の外部から衝撃が加わる等しても、意匠層30が破損しにくい。したがって、意匠層30は、意図された意匠を形成できる。
図13に示されている第7の例の加飾積層体20は、保護層23と、ヒートシール層25と、意匠層30と、暗色層35と、を有している。図13に示されている例において、保護層23及びヒートシール層25は、それぞれ加飾積層体20の表面をなしている。
ヒートシール層25は、常温では接着性を有さないが、加熱されることで接着性を呈して他の部材と接着することが可能になる。ヒートシール層25は、表示装置5からの画像光や意匠層30が形成する意匠を阻害しないよう、透明となっている。ヒートシール層25は、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂からなる。ヒートシール層25の厚さは、例えば0.2μm以上20μm以下である。
加飾積層体20の表面をなしているヒートシール層25によれば、所望の形状の透明成形体13に加飾積層体20を適切に成形して設けることができる。すなわち、任意の形状の加飾部材10を容易に作製できる。
図7乃至図12に示した第1の例から第6の例の加飾積層体20は、透明粘着層29やバッカー層27を介して透明成形体13に貼り合わされることで、加飾部材10となる。一方、図13に示した第7の例の加飾積層体20は、ヒートシール層25の側に加熱された熱可塑性樹脂が成形されて透明成形体13となることで、加飾部材10となる。加飾積層体20がバッカー層27を介して透明成形体13に貼り合わされる場合、透明成形体13の材料は樹脂であることが好ましい。一方、加飾積層体20が透明粘着層29を介して透明成形体13に貼り合わされる場合やヒートシール層25の側に透明成形体13が成形される場合、透明成形体13の材料はガラスであることが好ましい。
なお、上述した第1の例から第6の例の加飾積層体20を、適宜に組み合わせることも可能である。
赤外線装置7が送信及び/又は受信する赤外線を適切に透過させるよう、加飾部材10の赤外線透過率は高くなっている。具体的には、加飾部材10の赤外線透過率は70%以上であり、好ましくは80%以上である。赤外線装置7が送信及び/又は受信する赤外線の波長は、典型的には900nm以上1000nm以下または1500nm以上1600nm以下である。したがって、好ましくは、900nm以上1000nm以下または1500nm以上1600nm以下の波長の赤外線に対する加飾部材10の透過率は70%以上であり、好ましくは80%以上である。
赤外線透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定できる。
加飾部材10の可視光透過率が低すぎると、表示装置5からの画像光が加飾部材10を適切に透過できず、画像光が観察されにくくなる。表示装置5からの画像光が適切に観察されるよう、加飾部材10の可視光透過率は、2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。とりわけ、表示装置5が液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等である場合、画像光を適切に透過させるために、加飾部材10の可視光透過率は、30%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることがさらにより好ましい。あるいは、表示装置5が光源5aと遮光物5bとを含むものである場合、光源5aとしてはLEDライトや蛍光灯のような輝度の高いものが用いられる。この場合、表示装置5からの画像が適切に観察され、且つ加飾部材10が意匠を適切に表示できるよう、加飾部材10の可視光透過率は、5%以上10%以下であることが好ましい。
一方、加飾部材10の可視光透過率が高すぎると、外部からの光が加飾部材10の特に意匠層30で十分に反射せず、加飾部材10が意匠を適切に表示できない。意匠が適切に表示されるよう、加飾部材10の可視光透過率は、75%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。
可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長400nm~700nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
加飾部材10を透過する画像光が適切に認識されるよう、加飾部材10のヘイズ値は小さくなっていることが好ましい。具体的には、加飾部材10のヘイズ値は8%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。暗色層35に含まれる顔料の粒径を小さくすることで、加飾部材10のヘイズ値を小さくできる。具体的には、暗色層35に含まれる顔料の粒径が300nm以下であると、加飾部材10のヘイズ値を8%にできる。
ヘイズ値とは、対象となる物体の全光線透過率に対する拡散透過率の比で表され、対象となる物体を透過する光の拡散率を意味する。全光線透過率とは、対象となる物体へ入光する光の量に対する、対象となる物体を透過する光の量の割合である。拡散透過率とは、対象となる物体へ入光する光に対する、直進方向以外の方向に対象となる物体を透過する光の量、すなわち拡散されて透過する光の量の割合である。全光線透過率と拡散透過率は、JIS K 7361に準拠したヘイズメーター(例えば、村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)によって測定することができる。
加飾部材10の彩度が大きい場合、加飾部材10を透過する光が意図された色から変化してしまうことがある。すなわち、表示装置5からの画像光が適切に観察されなくなることがある。画像光の色がほとんど変化することなく加飾部材10を透過することができるよう、加飾部材10の彩度は小さくなっていることが好ましい。具体的には、L表色系におけるaの値及びbの値について、
[(a+(b1/2≦8
の関係を満たすことが好ましく、
[(a+(b1/2≦4
の関係を満たすことがより好ましい。
表色系におけるL、a、bの各値は、例えば分光測色計(コニカミノルタ製「CM-700d」)を用いて、対象からの光の反射光により測定できる。
次に、本実施の形態の加飾部材付き表示装置1の作用について説明する。
表示装置5の表示面6に画像を表示しない状態では、図14に示すように、加飾部材付き表示装置1において、加飾部材10が意匠を表示する。より詳しくは、加飾積層体20が、意匠層30が形成する意匠を表示する。すなわち、加飾部材付き表示装置1に意匠性が付与される。表示された意匠によって、表示装置5の表示面6及び赤外線装置7が外部の観察者から観察されなくなり、意匠性において加飾部材付き表示装置1を周辺環境と調和させることができる。
一方、表示装置5が表示面6に画像を表示した状態では、図15に示すように、画像光は、加飾部材10を透過する。より詳しくは、加飾積層体20の意匠層30及び暗色層35の各位置において、入射した画像光の一部を透過させる。これにより、観察者は画像を観察することができる。すなわち、加飾部材付き表示装置1は、観察されることが意図された画像を表示することができ、外部の観察者は、画像を観察することができる。特に、加飾部材10の各位置で画像光を透過させることができるため、加飾部材付き表示装置1は、画像を鮮明に表示することができる。
加飾部材10及び加飾積層体20の製造方法の一例について説明する。ここで説明する例では、図7に示された第1の例の加飾積層体20を有する加飾部材10の製造方法ついて説明する。
基材21上に、例えば印刷によって意匠層30を設ける。意匠層30は、所望の意匠を形成するように設けられる。意匠層30は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させることができるよう、例えば十分に薄く設けられる。
次に、意匠層30上に暗色層35を形成する塗工液を塗布する。塗工液には、硫化ビスマスやペリレンブラック等の黒色顔料や、アゾ系ブラック染料、ニグロシンブラック染料、ペリノン骨格染料、キノリン骨格染料、アントラキノン骨格染料等の黒色染料を含んでいる。塗工液は、調色顔料、調色染料を含んでもよい。あるいは、塗工液は、イエロー、シアン、マゼンタの各色の顔料、染料を含んで黒色となっていてもよい。例えば、塗工液は、ペリノン骨格またはキノリン骨格の黄色染料、アントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のマゼンタ色染料及びアントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のシアン色染料の混合物を含んで、黒色となっていてもよい。塗工液に含まれる顔料の粒径は、300nm以下である。塗工液は、例えば紫外線硬化樹脂からなる。塗工液に紫外線を照射すると、塗工液が硬化して、暗色層35が形成される。
その後、暗色層35上に透明粘着層29を設ける。これにより、図7に示された第1の例の加飾積層体20が作製される。加飾積層体20が透明粘着層29を介して透明成形体13に貼り合わされることで、加飾部材10が製造される。
加飾部材を、表示装置だけでなく赤外線装置にも対面して配置することが考えられている。例えば、自動車のコンソールに表示装置及び赤外線装置を配置し、表示装置及び赤外線装置に対面して加飾部材を配置することが考えられている。表示装置及び赤外線装置を外部から観察されにくくして、加飾部材によって周辺環境と調和する意匠性を付与できる。しかしながら、従来の加飾部材では、暗色層としてカーボンブラックやチタンブラック等の顔料を含む。このような顔料を含む暗色層は、赤外線透過率が50%未満であり、赤外線が十分に透過しない。このため、加飾部材に対面して配置された赤外線装置が適切に機能しないことがある。
本実施の形態の加飾部材10の赤外線透過率は、70%以上となっている。加飾部材10は、特に波長900nm以上1000nm以下又は1500nm以上1600nm以下の赤外線の透過率が、70%以上となっている。このような加飾部材10は、赤外線装置7が適切に機能できる程度に、赤外線を透過させることができる。
加飾部材10の赤外線透過率は、加飾部材10が有する各層の材料を適切に選択することで、高くできる。とりわけ、加飾部材10において赤外線を多く吸収し得る層、具体的には暗色層35が含む材料を適切に選択することで、高くできる。本実施の形態において、暗色層35は、硫化ビスマス、ペリレンブラック顔料、ニグロシンブラック染料、または、ペリノン骨格またはキノリン骨格の黄色染料、アントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のマゼンタ色染料及びアントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のシアン色染料の混合物、のいずれかを含む。これらの材料は、赤外線、特に波長900nm以上1000nm以下又は1500nm以上1600nm以下の赤外線の透過率が高い。これらの材料を含む暗色層35によれば、加飾部材10の赤外線透過率を高くしながら、暗色層35を適切な暗色にできる。これらの材料は、耐熱性等を有しており、耐久性がある。すなわち、外部から熱等が加わっても、変質しにくい。言い換えると、暗色層35の色や赤外線透過率が変化しにくい。
顔料に入射した光の一部は拡散反射され得るため、顔料の粒径が大きすぎると、暗色層35を透過する光のヘイズが大きくなってしまう。このため、加飾部材10を透過する画像光が意図されたように観察されにくくなる。したがって、暗色層35に含まれる顔料の粒径は小さいこと、具体的には、暗色層35を形成する塗工液に含まれる顔料の粒径が300nm以下であることが好ましい。
加飾部材10のヘイズ値は、8%以下となっている。すなわち、加飾部材10を透過する光は十分に拡散しにくくなっている。このため、加飾部材10を透過する光、特に表示装置5からの画像光が加飾部材10を介しても鮮明に観察される。すなわち、画像光を適切に観察させることができる。
加飾部材10の各位置において、L表色系におけるaの値及びbの値について、
[(a+(b1/2≦8
の関係を満たしている。すなわち、加飾部材10の彩度は小さくなっている。このため、加飾部材10を透過する光、特に表示装置5からの画像光が加飾部材10を介しても意図された色で観察されやすくなる。すなわち、画像光を適切に観察させることができる。
加飾部材10において、加飾積層体20は、意匠を形成する意匠層30をさらに有している。意匠層30によって、加飾部材10が表示する意匠を意匠性の高いものにできる。
意匠層30は、光干渉顔料を含んでいる。光干渉顔料は光を多重反射することで色を表現するため、意匠層30を透過する光の特定の波長が吸収されて透過する光が色づいてしまうことが少ない。このため、表示装置5からの画像光が加飾部材10を透過しても、画像光を意図された色で観察させることができる。
意匠層30において意匠を形成するドットの大きさは、2000μm以下である。意匠層30の単位面積に対するドットが設けられた面積の割合は、50%以下である。意匠を形成するドットが適切な大きさや密度となっていることで、意匠層30は、光を適切に透過させることができる。これにより、表示装置5からの画像光が加飾部材10を適切に透過できる。
図2に示す例では、表示装置5は、加飾部材10の一方の側、すなわち暗色層35が意匠層30を覆う側に設けられている。この場合、意匠層30によって形成される意匠は、暗色層35を介することなく観察される。したがって、加飾部材10は、意匠を明るく表示することができる。暗色層35によって、意匠層30が形成する意匠が濃く明確に表示される。これにより、表示装置5に優れた意匠性を付与することができる。
図3に示す例では、表示装置5は、加飾部材10の他方の側、すなわち暗色層35が意匠層30を覆う側とは逆側に設けられている。この場合、意匠層30によって形成される意匠は、暗色層35を介して観察される。暗色層35が視認されるため、暗色層35の厚さの分だけ、意匠層30によって形成される意匠が奥まって観察される。特に、意匠を観察する方向によって、意匠の奥行きが変化して観察される。これにより、表示装置5に優れた意匠性を付与することができる。
以上のように、本実施の形態の加飾部材10は、加飾積層体20を備える加飾部材であって、加飾積層体20は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる暗色層35を有し、加飾部材10の可視光透過率は、2%以上75%以下であり、加飾部材10の赤外線透過率は、70%以上である。このような加飾部材10は、画像光等の可視光を透過させ、または、意匠を表示しながら、赤外線を透過させることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図を参照しながら、加飾部材10の変形例について説明する。なお、図16乃至図20に示されている変形例では、意匠層及び暗色層以外の構成要素については省略されている。
上述した実施の形態では、加飾積層体20は、意匠層30と、暗色層35と、を有している。しかしながら、加飾積層体20において、意匠層30が省略されていてもよい。この場合、加飾積層体20は、暗色層35による暗色の意匠を表示する。このような加飾部材10でも、表示装置5の表示面6及び赤外線装置7が外部の観察者から観察されなくなり、意匠性において加飾部材付き表示装置1を周辺環境と調和させることができる。
図16に示されている加飾積層体20の変形例において、意匠層30は、意匠を形成する意匠部31と、意匠部31の非形成部である透過部33と、を有している。上述した実施の形態と同様に、意匠層30は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させることができる。したがって、意匠部31は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させることができる。意匠部31の断面形状は、図示されている例のように矩形形状であってよいが、台形形状等であってもよい。透過部33は、図16に示された例のように、穴等の空隙であってもよいし、例えば透明な樹脂によって形成されてもよい。透過部33に入射した光は、妨げられることなく透過する。
このような意匠層30を有する加飾部材10によれば、意匠部31が形成する意匠だけでなく、意匠部31と透過部33とのパターンによっても、意匠を形成することができる。これにより、加飾部材10は、意匠性に優れた意匠を表示することができる。
図17に示されている加飾積層体20の変形例において、加飾積層体20は、第2暗色層45をさらに有している。第2暗色層45は、意匠層30を他方の側から覆っている。すなわち、暗色層35と第2暗色層45との間に、意匠層30が位置している。第2暗色層45は、暗色層35と略同一の構成を有している。すなわち、第2暗色層45は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる。第2暗色層45が含む材料は、上述した暗色層35に含まれる材料と同じである。したがって、第2暗色層45は、赤外線、特に波長900nm以上1000nm以下又は1500nm以上1600nm以下の赤外線の透過率が高い。第2暗色層45の厚さは、暗色層35の厚さとは異なっていてもよい。
このような第2暗色層45を有する加飾部材10は、暗色層35によって意匠層30が形成する意匠を濃く明確に表示し、且つ第2暗色層45によって意匠層30が形成する意匠を奥まって表示することができる。これにより、加飾部材10は、意匠性に優れた意匠を表示することができる。
図18に示されている加飾積層体20の変形例において、加飾積層体20は、第2意匠層40をさらに有している。第2意匠層40は、意匠層30の他方の側に積層されている。第2意匠層40は、意匠層30とは異なる意匠を形成する。第2意匠層40は、意匠層30と略同一の構成を有している。すなわち、第2意匠層40は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させる。
このような第2意匠層40を有する加飾部材10は、複数の意匠を重ねて表示することができる。これにより、加飾部材10は、意匠性に優れた意匠を表示することができる。
図19に示されている加飾積層体20の変形例では、加飾積層体20は、第2意匠層40をさらに有し、第2意匠層40は、意匠を形成する第2意匠部41と、第2意匠部41の非形成部である第2透過部43と、を有している。第2意匠部41は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させることができる。第2意匠部41の断面形状は、図示されている例のように矩形形状であってよいが、台形形状等であってもよい。第2透過部43は、図19に示された例のように、穴等の空隙であってもよいし、例えば透明な樹脂によって形成されてもよい。透過部33に入射した光は、妨げられることなく透過する。図16に示された例と同様に、意匠層30は、意匠を形成する意匠部31と、意匠部31の非形成部である透過部33と、を有している。図21に示されているように、意匠層30の透過部33と、第2意匠層40の第2透過部43とは、少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。一方、第2意匠層40が意匠層30に適切に積層されるよう、第2意匠部41は、意匠部31に少なくとも部分的に重なっている。
このような加飾積層体20を有する加飾部材10によれば、第2意匠部41が形成する意匠だけでなく、第2意匠部41と第2透過部43とのパターンによっても、意匠を形成することができる。したがって、加飾部材10が意匠性に優れた意匠を表示することができる。透過部33と第2透過部43とが重なっている部分において、光をより多く透過させることができる。したがって、表示装置5からの画像光がより明瞭に観察される。
図20に示されている加飾積層体20の変形例では、加飾積層体20は、意匠層30と、暗色層35と、第2意匠層40と、第2暗色層45と、を有している。第2暗色層45は、意匠層30を他方の側から覆っている。第2意匠層40は、意匠層30の他方の側であって、第2暗色層45の他方の側に積層されている。意匠層30は、意匠部31と、意匠部31の非形成部である透過部33と、を有している。第2意匠層40は、第2意匠部41と、第2意匠部41の非形成部である第2透過部43と、を有している。図19に示された例と同様に、意匠層30の透過部33と、第2意匠層40の第2透過部43とは、少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。
このような加飾積層体20を有する加飾部材10は、第2暗色層45を有することで、暗色層35によって意匠層30が形成する意匠を濃く明確に表示し、且つ第2暗色層45によって意匠層30が形成する意匠を奥まって表示することができる。第2意匠部41が形成する意匠だけでなく、第2意匠部41と第2透過部43とのパターンによっても、意匠を形成することができる。これにより、加飾部材10は、優れた意匠性を有する意匠を表示することができる。
図21には、正面方向から観察した意匠層30の変形例が示されている。図21に示されている変形例では、意匠層30の可視光反射率は、ある位置から離間するにつれて小さくなっている。とりわけ、図示されている例では、意匠層30の可視光反射率は、中心を通る直線から離間するにつれて小さくなっている。言い換えると、意匠層30が形成する意匠が、中心を通る直線から離間するにつれて濃くなっている。
このような意匠層30を有する加飾部材10は、優れた意匠性を有する意匠を表示することができる。
図22には、正面方向から観察した暗色層35の変形例が示されている。図22に示されている変形例では、暗色層35の可視光透過率は、ある位置から離間するにつれて小さくなっている。とりわけ、図示されている例では、暗色層35の可視光透過率は、中心を通る直線から離間するにつれて小さくなっている。言い換えると、暗色層35の暗色が、中心を通る直線から離間するにつれて濃くなっている。
このような暗色層35を有する加飾部材10によれば、意匠層30によって形成される意匠がある位置から離間するにつれて濃く明確に表示される。このため、加飾部材10は、優れた意匠性を有する意匠を表示することができる。
とりわけ、図21に示された意匠層30の変形例と図22に示された暗色層35の変形例との組み合わせにおいて、暗色層35の可視光透過率の変化は、意匠層30の可視光反射率の変化と対応していることが好ましい。具体的には、同じ位置から離間するにつれて、意匠層30の可視光反射率が小さくなり、暗色層35の可視光透過率が小さくなることが好ましい。このような意匠層30及び暗色層35を有する加飾部材10は、優れた意匠性を有する意匠を表示することができる。
なお、当然に、各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
1 加飾部材付き表示装置
5 表示装置
6 表示面
10 加飾部材
11 光学機能層
13 透明成形体
20 加飾積層体
21 基材
23 保護層
25 ヒートシール層
27 バッカー層
29 透明粘着層
30 意匠層
31 意匠部
33 透過部
35 暗色層
40 第2意匠層
41 第2意匠部
43 第2透過部
45 第2暗色層

Claims (23)

  1. 加飾積層体を備える加飾部材であって、
    前記加飾積層体は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる暗色層を有し、
    当該加飾部材の可視光透過率は、2%以上75%以下であり、
    当該加飾部材の赤外線透過率は、70%以上である、加飾部材。
  2. 当該加飾部材のヘイズ値は、8%以下である、請求項1に記載の加飾部材。
  3. 当該加飾部材の各位置において、L表色系におけるaの値及びbの値について、
    [(a+(b1/2≦8
    の関係を満たす、請求項1または2に記載の加飾部材。
  4. 前記暗色層は、硫化ビスマス、ペリレンブラック顔料、ニグロシンブラック染料、または、ペリノン骨格またはキノリン骨格の黄色染料、アントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のマゼンタ色染料及びアントラキノン骨格またはキノフタロン骨格のシアン色染料の混合物、のいずれかを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾部材。
  5. 前記加飾積層体は、意匠を形成する意匠層をさらに有し、
    前記暗色層は、前記意匠層を一方の側から覆い、
    前記意匠層は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾部材。
  6. 前記意匠層は、意匠を形成する意匠部と、前記意匠部の非形成部である透過部と、を有する、請求項5に記載の加飾部材。
  7. 前記加飾積層体は、前記意匠層を他方の側から覆う第2暗色層をさらに有し、
    前記第2暗色層は、各位置において入射した光の一部を吸収しながら他の一部を透過させる、請求項5または6に記載の加飾部材。
  8. 前記加飾積層体は、前記意匠層の他方の側に積層された第2意匠層をさらに有し、
    前記第2意匠層は、前記意匠層とは異なる意匠を形成し、
    前記第2意匠層は、各位置において入射した光の少なくとも一部を透過させる、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の加飾部材。
  9. 前記第2意匠層は、意匠を形成する第2意匠部と、前記第2意匠部の非形成部である第2透過部と、を有する、請求項8に記載の加飾部材。
  10. 前記意匠層は、光干渉顔料を含む、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の加飾部材。
  11. 前記意匠層の可視光反射率は、ある位置から離れるにつれて小さくなっている、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の加飾部材。
  12. 前記意匠層は、意匠を形成する複数のドットを含み、
    前記ドットの大きさは、2000μm以下である、請求項5乃至11のいずれか一項に記載の加飾部材。
  13. 前記意匠層は、意匠を形成する複数のドットを含み、
    前記意匠層の単位面積に対する前記ドットが設けられた面積の割合は、50%以下である、請求項5乃至11のいずれか1項に記載の加飾部材。
  14. 前記暗色層の可視光透過率は、ある位置から離間するにつれて小さくなっている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の加飾部材。
  15. 前記加飾積層体は、前記暗色層を保護する保護層をさらに有する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の加飾部材。
  16. 前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明なヒートシール層をさらに有する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の加飾部材。
  17. 前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明なバッカー層をさらに有する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の加飾部材。
  18. 前記加飾積層体は、前記加飾積層体の表面をなす透明粘着層をさらに有する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の加飾部材。
  19. 前記暗色層は、前記加飾積層体の表面をなしており、
    前記暗色層は、粘着性を有する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の加飾部材。
  20. 前記加飾積層体に積層された光学機能層をさらに備え、
    前記光学機能層は、前記加飾部材の表面をなす、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の加飾部材。
  21. 前記加飾積層体に積層された透明成形体をさらに備える、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の加飾部材。
  22. 表示面を有する表示装置と、
    赤外線を発信及び/又は受信する赤外線装置と、
    前記表示面及び前記赤外線装置に対面して設けられた請求項1乃至21のいずれか一項に記載の加飾部材と、を備える、加飾部材付き表示装置。
  23. 前記表示装置は、光源と、前記光源からの光の一部を遮光することで画像を形成する遮光物と、を含む、請求項22に記載の加飾部材付き表示装置。
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