JP2023043464A - 天然の木目模様の装飾シート - Google Patents
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Abstract
【課題】シートの両面において各々の突板の質感を活かしつつ、裁断に耐えうる強度を向上した天然の木目模様の装飾シートを提供することにある。【解決手段】両面を天然の木目模様としてなる装飾シート100であって、可撓性のベースシート20の両面に、天然木材をスライスしてなる突板10が接合されて、両面を異なる天然木目模様としてなる積層シート1であって、積層シート1が、ベースシート20とその両面に積層してなる突板10の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断されて、両面に貫通してなる複数の裁断開口5を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、表面を天然の木目模様木とする装飾シートに関する。
天然の木目模様とする突板は、天然木材に特有の同一性のない独特の審美性があることから種々の用途に使用される。しかしながら、突板は天然木材を薄くスライスして製造されるため、割れ、欠け、ヒビ、傷など損傷が木目に沿って生じ易く、また、反りや浮きが生じ易く、突板や突板を使用したシートの商品価値を大きく低下させる欠点がある。この欠点を解消するために、繊維質シートに突板を接着した突板シートが開発されている(特許文献1)。
従来の突板シートは、繊維質シートの片側に突板が接着されるため、両側から視認される製品に使用できない。また、突板に裁断開口が設けることを前提としておらず、突板の商品価値を大きく低下させる突板の割れなどは突板を切断、裁断する際や曲げ加工する際に生じ易く、反りや浮きなどは切断、裁断時の割れなどの原因になる。とくに、裁断開口を設ける突板においては、裁断開口を切断する線である切断線が交わる角部や装飾模様の幅の狭い部分、幅が変化する部分などにおいて、割れなどが生じ易い欠点がある。そこで、これらの欠点を解消し、両面において突板の天然木目模様を活かす用途に使用でき、かつ、突板に裁断開口を設けて様々なデザイン装飾模様を施した付加価値の高い突板加工製品である装飾シートが要望された。
本発明は、さらに以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の一目的は、装飾シートの両面において各々の突板の質感を活かしつつ、裁断に耐えうる強度を向上した天然の木目模様の装飾シートを提供することにある。
本発明の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、両面を天然の木目模様としてなる装飾シートであって、可撓性のベースシートの両面に、天然木材をスライスしてなる突板が接合されて、両面を異なる天然木目模様としてなる積層シートであって、積層シートが、ベースシートとその両面に積層してなる突板の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断されて、両面に貫通してなる複数の裁断開口を有する。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、裁断開口の角部を、突板の厚さよりも小さい曲率半径にできる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、裁断開口の角部を鋭角にできる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、積層シートが、裁断開口の内縁から角部の内側に伸びる切込線があり、切込線が、ベースシートとその両面に積層してなる両方の突板が同一位置で同一形状に裁断されてなる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、積層シートが、裁断開口の内縁から角部の内側に伸びる切込線が2本あり、2本の切込線が交わるように配置できる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、ベースシートが、微細繊維を立体的に方向性なくシート状に集合してなる繊維シートで、ベースシートと突板が接着剤を介して接合されてなる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、ベースシートの繊維シートを、紙と不織布のいずれかにできる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、ベースシートを和紙にできる。
本発明の他の実施態様の天然の木目模様の装飾シートは、ベースシートを熱可塑性のプラスチックシートにできる。
以上の天然の木目模様の装飾シートは、装飾シートの両面において各々の突板の質感を活かすことができる特長がある。装飾シートは、ベースシートの両面に天然木材の突板が接合されて、各々の突板が天然木材に特有の温もりと質感を有し、同一性のない独特の審美性を有しているからである。
以上の天然の木目模様の装飾シートは、裁断に耐えうるよう強度を向上できる特長がある。まず、装飾シートは、突板がベースシートに接合され、しかもベースシートを挟むようにベースシートの両側に突板が接合されているからである。また、突板の割れ、折れ、欠けや傷など損傷は木目に沿って生じ易いが、装飾シートは、ベースシートの両面を異なる天然木目模様の突板として両面の突板の木目の模様や方向を同じにしないことで、両面の突板が互いに補強でき、裁断による割れなどが生じることを抑制して、突板の天然木目模様が阻害されない強度にできるからである。またさらに、突板をベースシートに接合することで、突板に反りや浮きが生じることを抑制でき、これを原因とする切断裁断の際の割れなどを防止できるからである。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
[実施形態1]
(装飾シート100)
[実施形態1]
(装飾シート100)
本発明の実施形態1にかかる天然の木目模様の装飾シート100を図1~図4に示す。図1は実施形態1に係る装飾シート100の概略斜視図、図2は装飾シート100の概略断面図、図3は装飾模様2の角部8を示す概略要部拡大斜視図、図4は装飾模様2の概略拡大平面図、をそれぞれ示す。
これらの図に示す天然の木目模様の装飾シート100は、両面を天然の木目模様としてなる装飾シートであって、可撓性のベースシート20の両面に、天然木材をスライスしてなる突板10が接合されて、両面を異なる天然木目模様としてなる積層シート1である。図1及び図2に示すように、木目模様の装飾シート100は、積層シート1が、ベースシート20とその両面に積層してなる突板10の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断されて、両面に貫通してなる複数の裁断開口5を有する。
(積層シート1)
(積層シート1)
図2に示すように、積層シート1は、ベースシート20と、ベースシート20の両面に接合された突板10が積層されてなる。従来から様々な物品の表面、例えば、建築物の壁面、床面、家具などに突板仕上げが施されているが、これらは一方向(外表面側)からのみ突板が視認されるため、ベースシート(裏打ちシート)と、その片面に接合された突板が積層されたシートが用いられる。しかし、ベースシートの片面に突板が接合されたシートは、補強の程度が十分ではなく、積層シートが切断貫通されて、複数の装飾開口を設ける際に、突板に割れや損傷が生じ、商品価値が大きく低下する問題があった。また、ベースシートの片側に接合されたシートは、そもそもシートの両側から視認される製品に使用できない問題点もあった。木目が印刷されたシートは、自然木の質感、温かみ、味わいを再現できない。そこで、本発明の装飾シート100は、ベースシート20と、ベースシート20の両面に接合された突板10が積層された積層シート1とする。
図示しないが、積層シートは、突板の外側に、表面処理や加工を施すことができる。例えば、突板表面を保護するため、防水、防湿、防埃などのため、透明または有色の保護シート、フィルムを設けたり、ニス、オイル、ウレタン、硬化剤など仕上げ処理、塗装、印刷などを施すこともできる。
(突板10)
(突板10)
突板10は、天然木材をスライスして成形され、薄突、厚突きを含むものとする。突板10の厚み(d)は、例えば、好ましくは、約0.03mm~2mmとする。突板の厚みを薄くすることで低コスト化に繋がり、また、厚みのある突板に比べ曲げ加工による割れなどを抑制できる。突板10の幅は、例えば約10cm~60cmであり、目安として、柾目の場合は約10cm~20cm程度、板目の約20cm~30cm程度が多く、これらをベースシート20上に複数幅方向に貼り合わせることで、幅広の積層シート1とする。例えば、突板の長さと幅を下地のベースシートのサイズに合わせて裁断し、接着剤を塗布し、突板をベースシート上に幅方向に並べて貼り付け、加熱プレス加工して、表面を平滑し、また汚れをとるため粗研磨して、仕上げ研磨をすることで、木目の美しい突板がベースシートに接合された積層シートにできる。
突板10は、無垢より安価、軽量で取扱いが容易である。突板は、天然木を薄くスライスして成形されるため、印刷されたプリントシートとは異なる天然木本来の良さがあり、同じ木から採取された突板でも1枚1枚微妙に表情が異なる天然木目模様を有する。突板を並べて貼り合わせることで、木目模様の微妙な違い、移り変わり、コントラストなどを楽しむことができる。突板の貼り合わせ方法は、例えば、同じ木目の突板を同じ方向に並べて貼るストレート貼りのほか、ブックマッチ貼り、縦ブックマッチ貼り、横貼り、斜め貼りなどにできる。突板は、木本来の風合い、温もり、手触りなどを有し、癒やし効果、リラックス効果を生じさせ、また、時間の経過により色が淡くなったり濃くなったり、木の種類によっては手入れを重ねて個性が強く出るなど経年劣化を楽しむことができるものもある。ベースシートの両面に突板が接合された積層シートは、突板自体の天然木の木目、材種、貼り合わせなどにより、様々な模様、表情、色合い、味わい、温かみ、変化、コントラストなどを表現することができる。
(ベースシート20)
(ベースシート20)
ベースシート20は、突板10が接合される下地である。ベースシート20は、下地として複数の突板10を幅方向に並べて貼り合わせることができる。ベースシート20という下地に突板10が接合されることで、突板10を幅方向に貼り合わせて所定の幅の積層シート1にでき、突板同士を接合するよりも接合が容易、かつ確実にでき、また突板10の反りや浮きを抑制できる。さらに、ベースシート20は、突板10を補強して裁断に耐えうる強度の積層シート1とするための補強部材である。図2に示すように、ベースシート20を挟むようにベースシート20の両面に突板10が接合されて積層シート1が成形される。突板10自体、天然木材を薄くスライスして成形されるため、裁断で割れなど天然の木目模様の損傷が生じ商品価値が著しく低下する。ベースシート20に突板10が接合されることで、突板10の強度を補強し、裁断の際の突板10に割れなど商品価値の低下を防止できる。ベースシート20の厚みは、例えば、好ましくは、約0.01mm~5mm、より好ましくは、約0.1mm~2mmとする。
ベースシート20は、可撓性のシートとする。可撓性のベースシートは、ベースシート20とその両面に接合された突板10からなる積層シート1を切断、裁断する際に突板の割れなどが生じにくい弾力性を持たせることができ、また、装飾シート100の曲げ加工に対応できる。
ベースシート20は、微細繊維を立体的に方向性なくシート状に集合してなる繊維シートにできる。ベースシート20の繊維シートは、紙と不織布のいずれかにできる。ベースシート20を紙とする場合、和紙を使用できる。紙や不織布のベースシートは防湿性に優れる。和紙や不織布のベースシートは、突板に接合されやすい特長がある。和紙や不織布の表面上の繊維質、凹凸、隙間、孔に接着剤などが浸透し、入り込み易く、接合面積が増し、接着剤が硬化して接着によるアンカー効果が得られるからである。アンカー効果は、接着強度を向上し、接着層の横すべり強度を向上し、接着不良を抑制して、突板10の反りや浮きを抑制でき、補強部材としての強度を発揮できる。
また、ベースシート20は、熱可塑性のプラスチックシートにできる。プラスチックシートは安価に、所定の厚みに製造できる特長がある。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エアラストマーなどオレフィン樹脂を使用できる。プラスチックシートの表面に凹凸を設けるなどにより一定のアンカー効果を得ることもできる。
ベースシート20は1枚のシートで構成できる他、図示しないが、2枚以上のシートで構成することもできる。同じ材質のシートを複数積層でき、また異なる材質のシートを積層することもできる。異なる材質のシートを積層することで、強度、曲げ、防湿性、厚み、突板との相性、接着性、接着剤の浸透性、透光性など各々のシートの特長を活かすことができる。
ベースシート20を挟むように、ベースシート20の両面に突板10が接合される。突板10の接合方法は、限定されない。所定の接着剤で接合できる他、例えば、両面テープなどで接合することもできる。突板10をベースシート20に接合することで、突板10の反り、浮きなどを抑制できる。ベースシート20の両面に突板10を接合した後に、積層シート1に加圧して接着させることもできる。例えば、プレス機により平面的に、またローラーなどにより線的に加圧接着できる。接着剤は、突板とベースシートとの相性、突板の色合い、木目を阻害しないものが好ましい。積層シートを加熱して加圧接着(ホットプレス)することもできる。突板は、加熱により伸縮するため、突板の種類及び特徴、厚み、ベースシートの種類、突板とベースシートの相性などに応じ、また湿度、温度に合わせて、加熱温度、加圧時間、圧力、接着剤の種類、塗布量などを調整する必要がある。
(裁断開口5)
(裁断開口5)
図1、図3、図4に示すように、木目模様の装飾シート100は、積層シート1が局所的に切断裁断されて裁断部が取り外されて裁断開口5が設けられてなる。積層シート1が局所的に裁断開口5の形状に裁断され、裁断部が取り外されて、複数の裁断開口5によって様々な装飾模様2が施された装飾シート100となる。装飾シート100の裁断開口5は、積層シート1が、ベースシート20とその両面に積層してなる突板10の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断されて、両面に貫通してなる。装飾シート100の装飾模様2は、裁断された複数の裁断開口5の各々の形状により定まる。例えば、装飾模様2は、切断線6で線状の幅を持って両側が切断された線部と、それ以外の部分である線部の集合部や面部などを設けることができる。例えば、線部は、直線または曲線、もしくは直線と曲線の組み合わせにでき、また線部は、同じ幅または異なる幅にできる。線部の幅を徐々に逓増または逓減させたり、線部の両側の切断線6を平行または非平行にでき、線部を全体的または部分的に異なる幅できる。線部が集合部や面部で接合する形状の他、線部と線部が接合したり、線部の端部を集合部、面部、他の線部と接合することない形状にもできる。装飾模様2は特定の模様に限定されることなく、直線または曲線の切断線6の組み合わせたり、同じまたは異なる幅の線部を設けたり、上下左右などが対称または非対称として、これらを組み合わせたり、また所定の範囲の装飾模様2を繰り返したり、並べたり、反転させたりすることで、例えば幾何学模様など、変化にとんだ、デザイン性のある、また複雑な模様にできる。図の装飾シート100は、裁断部が裁断され取り除かれた残りの部分を装飾模様2とする。ただし、図示しないが、裁断部が裁断される裁断開口の側を装飾模様にすることもできる。
裁断開口5の形状は、裁断される裁断部の形状、つまり、積層シート1が切断される切断線6と、切断線6が接する、または交わる角部8の配置により定まる。切断線6は、直線、または曲線にでき、直線と曲線を組み合わせることもできる。裁断開口5の形状は、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形にでき、また整形のみならず不整形にでき、さらにまた直線のみならず曲線としたり、曲線を組み合わせることで、様々な形状、模様にできる。積層シート1は、裁断された部分が取り外されて、複数の裁断開口5が設けられた様々な装飾模様2の装飾シートが成形される。図示しないが、裁断開口は、幾何学模様、和柄から洋柄に至るまで様々なデザインの装飾模様の他、文字、図形、ロゴなどを表現でき、これらを部分的に含めることもできる。
図3A、図3B及び図4で示すように、裁断開口5の角部8において、直線の切断線6と直線の切断線6が接する、または交わるようにできる。切断線6を直線と曲線、曲線と曲線にした場合も同様である。図3A、図3B及び図4に示すように、裁断開口5の角部8の角度(α)を鋭角にできる。裁断開口5の角部8を鈍角だけでなく、直角、鋭角とすることで、また様々な角度の角部8を組み合わせることで、装飾シート100の装飾模様2のバリエーションを広げることができる。ベースシート20の両面に突板10を接合した強度を向上した積層シート1によって、鋭角の角部8で切断線6が接し、交わる部分において生じ易い突板の割れなどが生ずることを抑止できる。
また、図3Aに示すように、裁断開口5の角部8において、直線同士の切断線6にできるほか、図3Bに示すように、裁断開口5の角部8を曲線の切断線6にできる。裁断開口5の角部8を曲線とする場合、突板10の厚さ(d)よりも小さい曲率半径(r)の角部8にできる。ベースシート20の両面に突板10を接合した強度を向上した積層シート1によって、突板10の厚さ(d)よりも小さい曲率半径(r)の角部8において生じ易い突板の割れなどが生ずることを抑止できる。
積層シート1の裁断開口5の切断、裁断は特定の方法に限定されない。裁断開口5の裁断は、裁断開口5の形状に配置された刃物で打ち抜く他、例えば、裁断開口5の切断線6に合わせて複数回に分けて切断でき、切断線に沿って刃物を押しつける、移動させるなど、機械的に制御された方法で、全部または一部を手動により裁断開口5の形状に切断、裁断できる方法を用いることができる。また、部分的に異なる切断、裁断方法を用いたり、形状に合わせて異なる切断、裁断方法を用いることもできる。切断を複数回に分ける方法は、裁断開口の角部8を鋭角とすること生じ易い、角部8の刃物の間に突板10が挟まって角部8に切り残しができる問題を解消できる。
図4に示すように、裁断開口5の角部8において切込線7が入るように、切断、裁断することができる。切込線7は、裁断開口5の切断線7が角部8を超えて、裁断模様2の角部8の内側に切込みが入った線である。積層シート1は、裁断開口の内縁から角部の内側に伸びる切込線7があり、切込線7が、ベースシート20とその両面に積層してなる両方の突板10が同一位置で同一形状に裁断されることができる。裁断開口5の切断線6が接する角部8において、切込線7が入るように切断することで、裁断開口5の角部8で切り残しが生じることを防止し、裁断部を積層シート1から切り離すことができる。これにより、角部8の切り残しを切断して裁断部の取り外す二度手間が不要となり、また、切り残しを外す、切断する際に生じ得る突板の割れなどを防止できる。切込線7の長さは、突板10の材質、厚みなどに応じて、裁断開口5の角部8において切り残しが生じないように適切な範囲とする。例えば、突板10の厚みが0.2mmの場合、切込線7の長さは、約0.1mm~5mmが好ましい。
積層シート1は、裁断開口5の内縁から角部8の内側に伸びる2本の切込線7が交わるように配置されるように、ベースシート20とその両面に積層してなる両方の突板10が同一位置で同一形状に裁断できる。2本の切込線7が交わるように配置されることで、裁断開口5の角部8で切り残しを生じさせることなく、裁断部を確実に積層シート1から切り離すことができる。これにより、裁断部の取り外し手間が不要で、突板の割れなどを防止できることは上記と同様である。
切断、裁断方法は限定されない。例えば、カッター、トムソン刃など刃物のほか、NC加工、レーザーで突板を切断することもできる。電動のみならず、手動で切断、裁断することもできる。部分的に異なる方法で切断、裁断することもできる。
切込線7は、積層シート1の厚み方向に平行に切り込みが入る場合に限らず、切断裁断方法や刃物の形状などにより、部分的に厚み方向に対して斜めに入る場合がある。切込線7が厚み方向に対して斜めに入った場合でも、角部8で切り残しを生じさせることなく、裁断部を確実に積層シート1から切り離すことで、この際に突板10に割れなどが生ずることを防止して、ベースシート20とその両面に積層してなる突板10の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断された、両面に貫通してなる裁断開口5にできる。ベースシート20の両側に突板10が接合されることで、切込線7を入れて裁断部を切り離し、かつ、裁断の際に突板10に割れなどが生じることを防止できる。
[装飾シートの使用例]
[装飾シートの使用例]
以上の装飾シート100の特長として、その両面に突板10の天然木目が視認でき、複数の裁断開口5による様々な装飾模様2を施せること、さらに、薄く加工が容易であり、曲げ加工に対応でき、一定の透光性を持たせることもできるなど、木本来の美しさ、温かみ、味わいを活かしつつ、デザイン性、加工性を付加できる点が挙げられる。装飾シート100の使用例として、例えば、装飾シート100の両面に突板10の天然木目が視認されることを利用して、アクリル樹脂やガラス板などの透明の板材で挟んだり、装飾シート100の片面または両面をアクリル樹脂やガラス板などに貼り付けたりでき、天然木目の模様装飾付きパーテーションなどとしても使用できる。この他にも、例えば、ドア材としたり、壁面、天井、床面などの建具の模様にできる。さらに、椅子やテーブルの家具に部分的に使用したり、携帯ケースなど小物用のアクセントとしても使用できる。また例えば、照明カバーとして装飾シートの薄さ、透光性、曲げ加工を活かしたりできる。これらの製品に、装飾シート100を使用することで、天然木目の美しさ、温かさと、装飾模様2のデザイン性で、高級感を付与できる。また例えば、和室においては、障子、襖、欄間、窓、戸など神社仏閣から、一般木造住宅、高級旅館、ホテルまで、日本建築の美しさを体現できる建具から和柄、組子細工、和風の工芸品まで、彫刻士や宮大工、芸術家の作品やレプリカ、展示品として、また、天然木の温かみ、味わいを活かした地方のお土産品や林業のオリジナル商品として利用できる。またさらに、高級ホテルからロッジ、教会にいたるまで木造西洋建築物の建具や飾りなどに使用できる。またさらに、例えば、扉全面などの大きなサイズから、小物ケースや部分的にデザイン的なアクセントとして入れるなど小さなサイズまで、サイズを問わず使用できる。装飾シート100は、それ自体が付加価値の高い製品となり、また他の製品に高級感を与え、付加価値を向上できる。
以上の天然の木目模様の装飾シートは、シートの両面において各々の突板の質感を活かしつつ、裁断に耐えうる強度を向上した天然の木目模様の装飾シートとして好適に使用できる。
100…装飾シート
1…積層シート
2…装飾模様
5…裁断開口
6…切断線
7…切込線
8…角部
10…突板
20…ベースシート
1…積層シート
2…装飾模様
5…裁断開口
6…切断線
7…切込線
8…角部
10…突板
20…ベースシート
Claims (9)
- 両面を天然の木目模様としてなる装飾シートであって、
可撓性のベースシートの両面に、
天然木材をスライスしてなる突板が接合されて、両面を異なる天然木目模様としてなる積層シートであって、
前記積層シートが、
前記ベースシートとその両面に積層してなる前記突板の両方が、局所的に同一位置で同一形状に裁断されて、
両面に貫通してなる複数の裁断開口を有する木目模様の装飾シート。 - 請求項1に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記裁断開口が、
前記突板の厚さよりも小さい曲率半径の角部を有する木目模様の装飾シート。 - 請求項1又は2に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記裁断開口の角部が鋭角である木目模様の装飾シート。 - 請求項2又は3に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記積層シートが、
前記裁断開口の内縁から角部の内側に伸びる切込線があり、
前記切込線が、
前記ベースシートとその両面に積層してなる両方の前記突板が同一位置で同一形状に裁断されてなる木目模様の装飾シート。 - 請求項4に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記積層シートが、
前記裁断開口の内縁から角部の内側に伸びる前記切込線が2本あり、
2本の前記切込線が交わるように配置されてなる天然の木目模様の装飾シート。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記ベースシートが、
微細繊維を立体的に方向性なくシート状に集合してなる繊維シートで、
前記ベースシートと前記突板が接着剤を介して接合されてなる天然の木目模様の装飾シート。 - 請求項6に記載の天然の木目模様の装飾シートであって、
前記ベースシートの繊維シートが、
紙と不織布のいずれかである天然の木目模様の装飾シート。 - 請求項7に記載する天然の木目模様の装飾シートであって、
前記ベースシートが和紙である天然の木目模様の装飾シート。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載する天然の木目模様の装飾シートであって、
前記ベースシートが熱可塑性のプラスチックシートである天然の木目模様の装飾シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021151120A JP2023043464A (ja) | 2021-09-16 | 2021-09-16 | 天然の木目模様の装飾シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021151120A JP2023043464A (ja) | 2021-09-16 | 2021-09-16 | 天然の木目模様の装飾シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023043464A true JP2023043464A (ja) | 2023-03-29 |
Family
ID=85725426
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021151120A Pending JP2023043464A (ja) | 2021-09-16 | 2021-09-16 | 天然の木目模様の装飾シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023043464A (ja) |
-
2021
- 2021-09-16 JP JP2021151120A patent/JP2023043464A/ja active Pending
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