次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図である。図2は、実装ヘッド40の構成の概略を示す構成図である。図3は、ノズルホルダ42の配列と第1Z軸駆動装置70および第2Z軸駆動装置75の配置を説明する説明図である。図4は、エア配管経路を説明する説明図である。図5は、圧力供給装置80の構成の概略を示す構成図である。図6は、制御装置90および管理装置100の電気的な接続関係を示す説明図である。なお、図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がX軸方向と概ね直交するY軸方向であり、上下方向がX軸方向およびY軸方向(水平面)に概ね直交するZ軸方向である。
部品実装システム1は、図1に示すように、部品実装機10と、システム全体をコントロールする管理装置100と、を備える。部品実装システム1は、実施形態では、複数台の部品実装機10を備える。
部品実装機10は、図1に示すように、筐体12と、部品供給部22と、基板搬送装置24と、XYロボット30と、実装ヘッド40と、制御装置90(図6参照)と、を備える。また、部品実装機10は、これらの他に、パーツカメラ26やマークカメラ28、ノズルステーション29なども備えている。なお、パーツカメラ26は、部品供給部22と基板搬送装置24との間に設けられ、実装ヘッド40の吸着ノズル44に吸着された部品Pの姿勢を下方から撮像するためのものである。また、マークカメラ28は、実装ヘッド
40に設けられ、基板Sに付された位置決め基準マークを上方から撮像して読み取るためのものである。ノズルステーション29は、部品供給部22と基板搬送装置24との間に設けられ、実装ヘッド40のノズルホルダ42に装着する吸着ノズル44をストックするためのものである。
部品供給部22は、図1に示すように、部品実装機10の前部に設けられ、X軸方向(左右方向)に沿って複数のテープフィーダ23が配列される。なお、テープフィーダ23は、部品Pが並ぶテープTを収容したリールを備え、リールからテープTを引き出して後方(Y軸方向)へ送り出すことにより部品Pを部品供給位置まで供給するものである。テープTは、長手方向に所定の間隔で形成された複数の凹部を有する。複数の凹部には、それぞれ同一種類の部品Pが収容されている。凹部に収容された部品Pは、テープTの表面を覆うフィルムによって保護されており、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされて露出し、部品供給位置にて吸着ノズル44により吸着される。
基板搬送装置24は、図1の前後に間隔を開けて設けられX軸方向(左右方向)に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sは、基板搬送装置24のコンベアベルトにより図中左から右へと搬送される。
XYロボット30は、実装ヘッド40をXY軸方向(前後左右の方向)に移動させるものであり、図1に示すように、X軸スライダ32と、Y軸スライダ34と、を備える。X軸スライダ32は、Y軸スライダ34の前面にX軸方向(左右方向)に延在するように設けられた上下一対のX軸ガイドレール31に支持され、X軸モータ36(図6参照)の駆動によってX軸方向に移動可能である。Y軸スライダ34は、筐体12の上段部にY軸方向(前後方向)に延在するように設けられた左右一対のY軸ガイドレール33に支持され、Y軸モータ38(図6参照)の駆動によってY軸方向に移動可能である。なお、X軸スライダ32は、X軸位置センサ37(図6参照)によりX軸方向の位置が検知され、Y軸スライダ34は、Y軸位置センサ39(図6参照)によりY軸方向の位置が検知される。X軸スライダ32には実装ヘッド40が取り付けられている。このため、実装ヘッド40は、XYロボット30(X軸モータ36およびY軸モータ38)を駆動制御することにより、XY平面(水平面)上の任意の位置に移動可能である。
実装ヘッド40は、図2に示すように、ヘッド本体41と、複数(実施形態では、8個)のノズルホルダ42と、複数(実施形態では、8個)の吸着ノズル44と、R軸駆動装置50と、Q軸駆動装置60と、第1Z軸駆動装置70と、第2Z軸駆動装置75と、側面カメラ47,48とを備える。実装ヘッド40は、X軸スライダ32に対して着脱可能であり、適宜交換することができる。
ヘッド本体41は、R軸駆動装置50によって回転可能な回転体である。ノズルホルダ42は、ヘッド本体41に対して円周方向に所定角度間隔(実施形態では、45度間隔)で配列され、且つ、ヘッド本体41に昇降自在に支持されている。ノズルホルダ42の先端部には、吸着ノズル44が装着される。吸着ノズル44は、ノズルホルダ42に対して着脱可能であり、吸着する部品Pの種類に応じてその吸着に適したものに交換される。
R軸駆動装置50は、複数のノズルホルダ42(複数の吸着ノズル44)をヘッド本体41の中心軸回りに円周方向に旋回(公転)させるものである。R軸駆動装置50は、図2に示すように、R軸モータ51と、ヘッド本体41の中心軸から軸方向に延出されたR軸52と、R軸モータ51の回転をR軸52に伝達する伝達ギヤ53と、を備える。R軸駆動装置50は、R軸モータ51により伝達ギヤ53を介してR軸52を回転駆動することにより、ヘッド本体41を回転させる。各ノズルホルダ42は、ヘッド本体41の回転によって、吸着ノズル44と一体となって円周方向に旋回(公転)する。また、R軸駆動装置50は、この他に、R軸52の回転位置、即ち各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)の旋回位置を検知するためのR軸位置センサ55(図6参照)も備える。
Q軸駆動装置60は、各ノズルホルダ42(各吸着ノズル44)をその中心軸回りに回転(自転)させるものである。Q軸駆動装置60は、図2に示すように、Q軸モータ61と、円筒ギヤ62と、伝達ギヤ63と、Q軸ギヤ64と、を備える。円筒ギヤ62は、その内部にR軸52が同軸かつ相対回転可能に挿通され、外周面に平歯の外歯62aが形成されている。伝達ギヤ63は、Q軸モータ61の回転を円筒ギヤ62に伝達するものである。Q軸ギヤ64は、各ノズルホルダ42の上部に設けられ、円筒ギヤ62の外歯62aとZ軸方向(上下方向)にスライド可能に噛み合うものである。Q軸駆動装置60は、Q軸モータ61により伝達ギヤ63を介して円筒ギヤ62を回転駆動することにより、円筒ギヤ62の外歯62aと噛み合う各Q軸ギヤ64を纏めて同方向に回転させることができる。各ノズルホルダ42は、Q軸ギヤ64の回転によって、吸着ノズル44と一体となってその中心軸回りに回転(自転)する。また、Q軸駆動装置60は、この他に、Q軸ギヤ64の回転位置、即ち各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)の回転位置を検知するためのQ軸位置センサ65(図6参照)も備える。
第1および第2Z軸駆動装置70,75は、ノズルホルダ42の旋回(公転)軌道上の2箇所においてノズルホルダ42を個別に昇降可能に構成されている。実施形態では、図3に示すように、第1Z軸駆動装置70は、ヘッド本体41に支持されるノズルホルダ42のうち0度の位置(以下、Z1ともいう)にあるノズルホルダ42を昇降可能である。また、第2Z軸駆動装置75は、ヘッド本体41に支持されるノズルホルダ42のうち180度の位置(以下、Z2ともいう)にあるノズルホルダ42を昇降可能である。なお、0度の位置とは、ヘッド本体41の中心軸を通りX軸方向(基板搬送方向)に平行な線上にある2点のうち基板搬送方向上流側の位置であり(図3中、A)、180度の位置は、上記2点のうち基板搬送方向下流側の位置である(図3中、E)。
第1および第2Z軸駆動装置70,75は、何れも、図2に示すように、Z軸スライダ72,77と、対応するZ軸スライダ72,77を昇降させるZ軸モータ71,76と、を備える。第1および第2Z軸駆動装置70,75は、それぞれZ軸モータ71,76を駆動して対応するZ軸スライダ72,77を昇降させることにより、Z軸スライダ72,77の下方にあるノズルホルダ42と当接して、当該ノズルホルダ42を吸着ノズル44と一体的に昇降させる。なお、第1および第2Z軸駆動装置70,75は、Z軸モータ71,76としてリニアモータを用いてZ軸スライダ72,77を昇降させるものとしてもよいし、回転モータと送りねじ機構とを用いてZ軸スライダ72,77を昇降させるものとしてもよい。また、第1および第2Z軸駆動装置70,75は、Z軸モータ71,76に代えてエアシリンダなどのアクチュエータを用いてZ軸スライダ72,77を昇降させるものとしてもよい。このように、実施形態の実装ヘッド40は、それぞれノズルホルダ42(吸着ノズル44)を個別に昇降可能な2つのZ軸駆動装置70,75を備え、Z軸駆動装置70,75を用いて吸着ノズル44による部品Pの吸着動作を個別に行なうことができる。このため、実装ヘッド40は、2つのZ軸駆動装置70,75によって昇降可能な2つの吸着ノズル44と同じ間隔でX軸方向(左右方向)に並ぶように2つの部品Pを対応するテープフィーダ23から供給することにより、2つの吸着ノズル44を同時に下降させて当該2つの部品Pを同時に吸着させることができる。また、第1および第2Z軸駆動装置70,75は、この他に、対応するZ軸スライダ72,77の昇降位置、即ち対応するノズルホルダ42(吸着ノズル44)の昇降位置を検知するためのZ軸位置センサ73,78(図6参照)も備える。
吸着ノズル44は、圧力供給装置80によって供給される圧力(負圧,正圧)により部品Pの吸着や吸着した部品Pの基板Sへの実装が可能である。圧力供給装置80は、図5に示すように、負圧源(負圧ポンプ)81と、正圧源(工場エア)82と、各吸着ノズル44の吸着口に供給する圧力を負圧と正圧と大気圧とのいずれかに切り替え可能な切替弁86と、を備える。切替弁86は、負圧源81と連通する負圧流路83と、正圧源82と連通する正圧流路84と、大気と連通する大気圧流路85と、吸着ノズル44の吸着口と連通するノズルホルダ42内部に形成されたホルダ流路42aとが接続された4ポート3位置弁である。切替弁86は、弁位置をホルダ流路42aが負圧流路83と連通すると共に他の流路から遮断する位置(負圧供給位置)に切り替えることにより、吸着ノズル44の吸着口に負圧を供給することができる。また、切替弁86は、弁位置をホルダ流路42aが大気圧流路85と連通すると共に他の流路から遮断する位置(大気圧供給位置)に切り替えることにより、吸着ノズル44の吸着口に大気圧を供給することができる。さらに、切替弁86は、弁位置をホルダ流路42aが正圧流路84と連通すると共に他の流路から遮断する位置(正圧供給位置)に切り替えることにより、吸着ノズル44の吸着口に正圧を供給することができる。切替弁86は、図4に示すように、各ノズルホルダ42(ホルダ流路42a)にそれぞれ対応して設けられ、ヘッド本体41の軸中心から放射状に延びる放射状流路41aを介して負圧流路83に接続されると共に同様に延びる放射状流路(図示せず)を介して正圧流路84に接続されている。また、負圧流路83には、その内部の圧力(負圧)を検出するための圧力センサ88が設けられている。
また、切替弁86は、自動復帰機能を有しておらず、弁操作レバー87の操作によって弁位置が負圧供給位置と大気圧供給位置と正圧供給位置とに切り替えられるようになっている。弁操作レバー87は、図2に示すように、第1および第2弁駆動装置45,46の何れかによって操作される。第1弁駆動装置45は、第1Z軸駆動装置70により昇降可能な位置(Z1)にあるノズルホルダ42に対応する切替弁86の弁操作レバー87を駆動することができる。第2弁駆動装置46は、第2Z軸駆動装置75により昇降可能な位置(Z2)にあるノズルホルダ42に対応する切替弁86の弁操作レバー87を駆動することができる。なお、第1および第2弁駆動装置45,46は、例えば、モータと、モータの回転運動をストローク運動に変換する変換機構(カム機構やリンク機構など)とを用いて構成することができる。
側面カメラ47,48は、吸着ノズル44による吸着動作の実行後に当該吸着ノズル44の部品吸着有無や部品吸着姿勢を判定するために、当該吸着ノズル44の先端部付近を側方から撮像するものである。実施形態では、側面カメラ47は、第1Z軸駆動装置70により吸着ノズル44を下降させて吸着動作を実行した後、当該吸着ノズル44がR軸駆動装置50により1つ先に旋回されたときに当該吸着ノズル44を撮像可能である。また、側面カメラ48は、第2Z軸駆動装置75により吸着ノズル44を下降させて吸着動作を実行した後、当該吸着ノズル44がR軸駆動装置50により1つ先に旋回されたときに当該吸着ノズル44を撮像可能である。
制御装置90は、図6に示すように、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU91の他に、ROM92やHDD93、RAM94、入出力インタフェース95などを備える。これらはバス96を介して接続されている。制御装置90には、X軸位置センサ37やY軸位置センサ39、R軸位置センサ55、Q軸位置センサ65、Z軸位置センサ73,78、圧力センサ88などからの各種検知信号が入力されている。また、制御装置90には、パーツカメラ26やマークカメラ28、側面カメラ47,48からの画像信号なども入出力インタフェース95を介して入力されている。一方、制御装置90からは、テープフィーダ23や基板搬送装置24、X軸モータ36、Y軸モータ38、R軸モータ51、Q軸モータ61、Z軸モータ71,76、第1および第2弁駆動装置45,46、パーツカメラ26、マークカメラ28、側面カメラ47,48などへの各種制御信号が出力されている。
管理装置100は、例えば、汎用のコンピュータであり、図6に示すように、CPU101やROM102、HDD103、RAM104、入出力インタフェース105等により構成される。管理装置100には、入力デバイス107からの入力信号が入出力インタフェース105を介して入力されている。管理装置100からは、ディスプレイ108への表示信号が入出力インタフェース105を介して出力されている。HDD103には、基板Sの生産プログラムやその他の生産情報を含むジョブ情報が記憶されている。ここで、生産プログラムは、部品実装機10において、どの基板Sにどの部品Pをどの順番で実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかを定めたプログラムをいう。また、生産情報には、基板Sに実装すべき部品Pに関する部品情報(部品Pの種類やその部品供給位置)や使用する吸着ノズル44に関するノズル情報、部品Pの目標実装位置(XY座標)等が含まれる。管理装置100は、部品実装機10の制御装置90と通信可能に接続され、各種情報や制御信号のやり取りを行なう。
こうして構成された実施形態の部品実装機10は、管理装置100によりジョブ情報を受信したときに、吸着動作と撮像動作と実装動作とを1サイクルとして実行する。吸着動作は、実装ヘッド40を部品供給位置の上方へ移動させ、部品供給位置において吸着ノズル44の吸着口に部品Pが当接するように各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)を旋回させつつ対応するノズルホルダ42を下降させると共に、対応する吸着ノズル44の吸着口に負圧を供給する動作である。撮像動作は、吸着動作で吸着ノズル44に吸着させた部品Pをパーツカメラ26で撮像し、得られた撮像画像を処理することにより吸着ずれを検出して部品Pの目標実装位置を補正する動作である。なお、撮像動作は、実施形態では、吸着ノズル44に吸着させた部品Pと共に実装ヘッド40に付されたヘッドマークMをパーツカメラ26で撮像することにより、ヘッドマークMを基準とした部品Pの吸着位置を認識することにより行なわれる。実装動作は、実装ヘッド40を基板Sにおける目標実装位置の上方へ移動させ、吸着ノズル44に吸着させた部品Pが目標実装位置に当接するように各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)を旋回させつつ対応するノズルホルダ42を下降させ、対応する吸着ノズル44の吸着口に正圧を供給する動作である。
次に、実装ヘッド40が交換された場合における部品実装機10の動作について説明する。図7は、制御装置90のCPU91により実行されるヘッド装着時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、新たな実装ヘッド40がX軸スライダ32に装着されたときに実行される。ヘッド装着時処理ルーチンが実行されると、制御装置90のCPU91は、まず、静的動作のキャリブレーションを実行する(S100)。ここで、静的動作のキャリブレーションは、パーツカメラ26,マークカメラ28およびヘッドマークMの位置や、ヘッドマークMに対する各ノズルホルダ42の上昇時の位置、各ノズルホルダ42の下降時の傾き位置、吸着ノズル44の曲がりの有無、吸着ノズル44の位置を測定して、これらの位置を調整するための処理である。なお、パーツカメラ26の位置の測定は、マークカメラ28を用いて行なうことができ、その他の位置等の測定は、パーツカメラ26を用いて行なうことができる。
続いて、CPU91は、動的動作のキャリブレーションを実行する(S110)。動的動作のキャリブレーションは、後述する単吸着動作を想定した各ノズルホルダ42の動作と後述する同時吸着動作を想定した各ノズルホルダ42の動作とを測定して、これらの動作を調整するための処理である。単吸着動作を想定した動作の測定は、XYロボット30により実装ヘッド40をパーツカメラ26の上方へ移動させ、R軸駆動装置50により各ノズルホルダ42を旋回させつつ、第1および第2Z軸駆動装置70,75の何れかにより対応するノズルホルダ42を下降させ、そのノズルホルダ42の停止位置をパーツカメラ26で撮像することにより行なわれる。また、同時吸着動作を想定した動作の測定は、XYロボット30により実装ヘッド40をパーツカメラ26の上方へ移動させ、R軸駆動装置50により各ノズルホルダ42を旋回させつつ、第1および第2Z軸駆動装置70,75の両方により対応する対応する2つのノズルホルダ42を同時に下降させ、その2つのノズルホルダ42の停止位置をパーツカメラ26で測定することにより行なわれる。なお、これらの動作の測定は、ノズルホルダ42ごとに行なわれる。
そして、CPU91は、同時吸着動作の可否を示す同時吸着許可フラグFに値0を設定して(S120)、ヘッド装着時処理ルーチンを終了する。ここで、同時吸着許可フラグFは、同時吸着動作の実行可否を示すフラグである。同時吸着フラグFは、値0の場合には同時吸着動作が禁止されていることを示し、値1の場合には同時吸着動作が許可されていることを示す。実施形態では、実装ヘッド40が交換されると、CPU91は、吸着ノズル44の下降位置精度が十分でない可能性があると判断し、同時吸着フラグFが値0に設定し、同時吸着動作を一旦禁止する。
次に、単吸着動作または同時吸着動作を用いて部品Pを吸着して基板Sに実装する場合における部品実装機10の動作について説明する。図8は、制御装置90のCPU91により実行される実装制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、管理装置100からジョブ情報を受信したときに実行される。なお、実装制御ルーチンは、実施形態では、同一種類の部品Pを吸着して基板Sに実装する動作を繰り返し実行する場合に適用される。実装制御ルーチンが実行されると、制御装置90のCPU91は、まず、同時吸着許可フラグFが値0であるか否かを判定する(S200)。CPU91は、同時吸着許可フラグが値0であると判定すると、同時吸着動作が禁止されていると判断し、1つの吸着対象ノズルに部品Pを吸着させる単吸着動作を実行する(S210)。単吸着動作は、図9に例示する単吸着処理ルーチンを実行することにより行なわれる。なお、単吸着処理ルーチンの説明は後述する。一方、CPU91は、同時吸着許可フラグが値1であると判定すると、同時吸着動作が許可されていると判断し、2つの吸着対象ノズルにそれぞれ部品Pを同時に吸着させる同時吸着動作を実行する(S220)。同時吸着動作は、図10に例示する同時吸着処理ルーチンを実行することにより行なわれる。なお、同時吸着処理ルーチンの説明は後述する。CPU91、単吸着動作または同時吸着動作を実行すると、実装ヘッド40の複数の吸着ノズル44に予定数の部品Pが吸着されたか否かを判定する(S230)。CPU91は、複数の吸着ノズル44に所定数の部品Pが吸着されていないと判定すると、次の吸着対象ノズルがZ1またはZ2(第1Z軸駆動装置70または第2Z軸駆動装置75により昇降可能な位置)に来るようR軸駆動装置50(R軸モータ51)を制御しつつ(S240)、S200に戻ってS200~S240の処理(単吸着動作または同時吸着動作)を繰り返す。
CPU91は、S230で複数の吸着ノズル44に予定数の部品Pが吸着されたと判定すると、実装ヘッド40がパーツカメラ26の上方に来るようにXYロボット30を制御する(S260)。続いて、CPU91は、複数の吸着ノズル44に吸着された部品Pをパーツカメラ26により撮像する(S270)。そして、CPU91は、得られた撮像画像から部品Pを識認し、複数の吸着ノズル44の何れかに吸着すべき部品Pが吸着されていない吸着エラーが発生しているか否かを判定する(S270)。CPU91は、複数の吸着ノズル44の何れかに吸着エラーが発生していると判定すると、同時吸着許可フラグFに値0を設定する(S370)。そして、CPU91は、吸着エラーが発生した吸着ノズル44を装着するノズルホルダ42がZ1またはZ2に来るようR軸駆動装置50を制御し(S380)、S200に戻って、吸着エラーが発生している吸着ノズル44に部品Pを再度、吸着させる。一方、CPU91は、何れの吸着ノズル44にも吸着エラーが発生していないと判定すると、撮像画像から部品PとヘッドマークMとを認識して各吸着ノズル44に吸着された部品Pの吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)を測定する(S280)。吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)は、吸着ノズル44の中心と部品Pの中心とのXY軸方向のずれ量であり、吸着ノズル44ごとに測定される。
次に、CPU91は、同時吸着許可フラグFが値0であるか否かを判定する(S290)。CPU91は、同時吸着許可フラグFが値0でなく値1であると判定すると、S350に進む。一方、CPU91は、同時吸着許可フラグFが値0であると判定すると、Z1で下降された吸着ノズル44に吸着された部品Pの吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)に基づいて、次回にZ1で吸着ノズル44を下降させて部品Pを吸着する際の実装ヘッド40のヘッド位置補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)を学習する(S300)。ヘッド位置補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)の学習は、吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)に係数kを乗じたものを、現在のヘッド位置補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)から減じることにより行なわれる。係数kは、吸着ずれ量をヘッド位置補正値に反映させる際の反映率であり、値0よりも大きく値1よりも小さい値に定められる。係数kは、固定値であってもよいし、例えば、最初は大きな値(例えば0.5)に設定し、その後、小さな値(例えば0.3や0.2)を設定するなどのように、学習の進行に合わせて小さくしてもよい。また、CPU91は、Z2で下降された吸着ノズル44に吸着された部品Pの吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)に基づいて、次回にZ2で吸着ノズル44を下降させて部品Pを吸着する際の実装ヘッド40のヘッド位置補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)を学習する(S310)。ヘッド位置補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)の学習は、吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)に上記係数kを乗じたものを、現在のヘッド位置補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)から減じることにより行なわれる。そして、CPU91は、XY軸方向における吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)の平均値および3σを計算し(S320)、計算値が所定範囲内にあるか否かを判定する(S330)。所定範囲は、ヘッド移動補正値の学習により吸着ノズル44による部品Pの吸着位置精度が安定したか否かを判定するためのものであり、適宜定めることができる。なお、実施形態では、CPU91は、吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)のばらつきを示す3σを用いて吸着位置精度を評価したが、σや2σを用いてもよい。CPU91は、計算値が所定範囲内にあると判定すると、同時吸着許可フラグFを値1に設定して(S340)、S350に進み、計算値が所定範囲内にないと判定すると、S340をスキップして、S350に進む。このように、実施形態では、CPU91は、最初は単吸着動作により部品Pを吸着し、ヘッド移動補正値の学習が進んで吸着位置精度が安定した段階で、同時吸着動作に移行するのである。これにより、同時吸着動作の実行によって吸着エラーが頻発するのを抑制することができる。
そして、CPU91は、S280で測定した吸着ずれ量(ΔXd,ΔYd)に基づいて実装する部品Pの目標実装位置を補正し(S350)、補正した目標実装位置に当該部品Pを実装させる実装動作を実行して(S360)、実装制御ルーチンを終了する。
次に、図9の単吸着処理ルーチンについて説明する。単吸着処理ルーチンでは、CPU91は、まず、今回の単吸着動作をZ1で実行するか否かを判定する(S400)。実施形態では、Z1の単吸着動作とZ2の単吸着動作とが交互に実行されるように、実行順序が定められている。CPU91は、今回の単吸着動作をZ1で実行すると判定すると、Z1で下降される吸着ノズル44で吸着されるべき吸着対象部品が目標送り量Fz1だけ送られて部品供給位置へ供給されるよう対応するテープフィーダ23に制御信号を出力する(S410)。続いて、CPU91は、上述した実装制御ルーチンのS300で設定されるヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)が存在するかを判定する(S420)。実装ヘッド40が交換されて最初に単吸着動作を実行する場合、ヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)は、未だ設定されていない。CPU91は、ヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)が存在しないと判定すると、S440に進む。一方、CPU91は、ヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)が存在すると判定すると、現在の目標ヘッド位置(Xh,Yh)にヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)を加えることにより目標ヘッド位置(Xh,Yh)を補正して(S430)、S440に進む。なお、目標ヘッド位置の補正は、現在の目標ヘッド位置にヘッド移動補正値の一部(当該ヘッド移動補正値に値0よりも大きく値1よりも小さい係数を乗じたもの)を加えることによって行なわれてもよい。次に、CPU91は、実装ヘッド40が目標ヘッド位置(Xh,Yh)に来るようにXYロボット30を制御する(S440)。そして、CPU91は、吸着対象ノズルが下降するよう第1Z軸駆動装置70を制御(Z1ホルダ下降)すると共に当該吸着対象ノズルの吸着口に負圧が供給されるよう第1弁駆動装置45を制御(Z1バルブ開)して(S450)、単吸着処理ルーチンを終了する。
CPU91は、S400において、今回の単吸着動作をZ1でなくZ2で実行すると判定すると、Z2で下降される吸着ノズル44で吸着されるべき吸着対象部品が目標送り量Fz2だけ送られて部品供給位置へ供給されるよう対応するテープフィーダ23に制御信号を出力する(S460)。続いて、CPU91は、上述した実装制御ルーチンのS310で設定されるヘッド移動補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)が存在するかを判定する(S470)。実装ヘッド40が交換されて最初に単吸着動作を実行する場合、ヘッド移動補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)は、未だ設定されていない。CPU91は、ヘッド移動補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)が存在しないと判定すると、S490に進む。一方、CPU91は、ヘッド移動補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)が存在すると判定すると、現在の目標ヘッド位置(Xh,Yh)にヘッド移動補正値(ΔXhz2,ΔYhz2)を加えることにより目標ヘッド位置(Xh,Yh)を補正して(S430)、S490に進む。なお、目標ヘッド位置の補正は、現在の目標ヘッド位置にヘッド移動補正値の一部(当該ヘッド移動補正値に値0よりも大きく値1よりも小さい係数を乗じたもの)を加えることによって行なわれてもよい。次に、CPU91は、実装ヘッド40が目標ヘッド位置(Xh,Yh)に来るようにXYロボット30を制御する(S490)。そして、CPU91は、吸着対象ノズルが下降するよう第2Z軸駆動装置75を制御(Z2ホルダ下降)すると共に当該吸着対象ノズルの吸着口に負圧が供給されるよう第2弁駆動装置46を制御(Z2バルブ開)して(S500)、単吸着処理ルーチンを終了する。
次に、同時吸着処理ルーチンについて説明する。同時吸着処理ルーチンでは、CPU91は、まず、Z1,Z2でそれぞれ同時に下降される2つの吸着対象ノズルに吸着されるべき2つの吸着対象部品の目標送り量Fz1,Fz2を補正する(S550)。目標送り量Fz1の補正は、現在の目標送り量Fz1に、実装制御ルーチンのS300で設定したY軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz1を加えることにより行なわれる。また、目標送り量Fz2の補正は、現在の目標送り量Fz2に、実装制御ルーチンのS310で設定したY軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz2を加えることにより行なわれる。なお、目標送り量の補正は、現在の目標送り量にY軸方向のヘッド移動補正値の一部(当該ヘッド移動補正値に値0よりも大きく値1よりも小さい係数を乗じたもの)を加えることによって行なわれてもよい。続いて、CPU91は、補正した目標送り量Fz1,Fz2でそれぞれの吸着対象部品が供給されるよう対応するテープフィーダ23に制御信号を出力する(S560)。次に、CPU91は、X軸方向の目標ヘッド位置Xhを補正する(S570)。X軸方向の目標ヘッド位置Xhの補正は、現在のX軸方向の目標ヘッド位置Xhに、実装制御ルーチンのS300で設定したX軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz1とS310で設定したX軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz2との和を値2で除したものを加えることにより行なわれる。なお、X軸方向の目標ヘッド位置の補正は、現在のX軸方向の目標ヘッド位置にX軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz1,ΔZhz2の和を値2で除した計算値の一部(当該計算値に値0よりも大きく値1よりも小さい係数を乗じたもの)を加えることによって行なわれてもよい。なお、Y軸方向の目標ヘッド位置Yhは補正されない。続いて、CPU91は、実装ヘッド40が目標ヘッド位置(Xh,Yh)に来るようにXYロボット30を制御する(S580)。そして、CPU91は、Z1にある吸着対象ノズルとZ2にある吸着対象ノズルとが同時に下降するよう第1Z軸駆動装置70と第2Z軸駆動装置75とを制御すると共に2つの吸着対象ノズルの吸着口に負圧が供給されるよう第1弁駆動装置45と第2弁駆動装置46とを制御して(S590)、同時吸着処理ルーチンを終了する。
ここで、Z1,Z2で2つの吸着対象ノズルを同時に下降させて2つの吸着対象部品を同時に吸着させる場合、2つの吸着対象ノズル間のピッチ(X軸方向のピッチ)が固定されているため、各部の公差などの影響により、2つの吸着対象ノズルは、2つの吸着対象部品の中心を狙って同時に吸着することができない。このため、部品実装機10は、例えば、0.4mm×0.2mmのチップ部品などのように、吸着する部品Pのサイズが小さくなるほど、同時吸着動作の実行が困難となる。これに対して、実施形態の部品実装機10では、最初は単吸着動作を行ないつつ実装ヘッド40のヘッド移動補正値(ΔXhz1,ΔYhz1)および(ΔXhz2,ΔYhz2)を学習し、吸着対象ノズルの吸着位置精度が安定すると、同時吸着動作に移行する。実施形態の部品実装機10は、学習したヘッド移動補正値を用いて同時吸着動作を実行することにより、同時吸着動作においても吸着位置精度を十分に確保することができ、サイズの小さな部品Pの吸着に際しても吸着エラーの発生を抑制することができる。また、実施形態の部品実装機10は、同時吸着動作において、X軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz1,ΔXhz2を用いて実装ヘッド40のX軸方向の目標ヘッド位置Xhを補正し、Y軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz1,ΔYhz2を用いて2つの吸着対象部品を供給する2つのテープフィーダ23の目標送り量Fz1,Fz2を補正する。これにより、部品実装機10は、同時吸着動作において、Y軸方向の吸着ずれを、Z1とZ2とで個別に補正することができるため、Y軸方向の吸着位置精度をより高めることができる。なお、部品Pのサイズが小さいほど同時吸着動作が困難になるのであるから、部品実装機10は、吸着する部品Pのサイズが所定サイズ以上の場合には最初から同時吸着動作を実行してもよいことは勿論である。
ここで、実施形態の構成要素と請求の範囲に記載の本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。実施形態の部品供給部22が本開示の部品供給部に相当し、テープフィーダ23がパーツフィーダに相当し、部品実装機10が部品実装機に相当し、吸着ノズル44がノズルに相当し、実装ヘッド40がヘッドに相当し、第1および第2Z軸駆動装置70,75が昇降装置に相当し、XYロボット30が移動装置に相当し、制御装置90が制御装置に相当する。また、実装ヘッド40がロータリヘッドに相当し、ノズルホルダ42がノズルホルダに相当し、第1Z軸駆動装置70が第1昇降装置に相当し、第2Z軸駆動装置75が第2昇降装置に相当する。
以上説明した実施形態の部品実装機10は、吸着動作として、一つのノズルを下降させると共に当該一つのノズルの吸着口に負圧を供給して一つのノズルに部品を吸着させる第1吸着動作(単吸着動作)と、複数のノズルを同時的に下降させると共に当該複数のノズルの吸着口に負圧を供給して複数のノズルに部品を同時的に吸着させる第2吸着動作(同時吸着動作)とを実行可能な制御装置90を備える。制御装置90は、同一種類の部品に対する吸着動作と実装動作とを繰り返し実行する場合、最初は複数の吸着ノズル44のそれぞれで第1吸着動作を実行すると共に第1吸着動作において複数の吸着ノズル44のそれぞれで吸着された部品Pの吸着位置のずれを補正するための補正値を学習し、所定条件が成立した以降は学習した補正値を用いて第2吸着動作を実行する。このように、本開示の部品実装機10は、同一種類の部品に対する吸着動作と実装動作とを繰り返す場合、複数の吸着ノズル44のそれぞれで第1吸着動作を実行して補正値を学習してから第2吸着動作へ移行する。これにより、本開示の部品実装機10は、複数の吸着ノズル44に複数の部品を同時的に吸着させる同時吸着動作を精度良く行なうことができる。
また、実施形態の部品実装機10は、第1吸着動作(単吸着動作)において吸着ノズル44に吸着された部品Pの吸着位置のばらつき(吸着ずれ量の平均値および3σ)を測定し、そのばらつきが所定範囲内に収束した以降に第2吸着動作(同時吸着動作)を実行する。こうすれば、部品実装機10は、第1吸着動作において学習した補正値に基づいて第2吸着動作を実行することで、第2吸着動作の精度をより高めることができ、例えば、0.4mm×0.2mmのチップ部品などの極小部品の同時吸着を実現することができる。
さらに、実施形態の部品実装機10は、第2吸着動作(同時吸着動作)において、X軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz1,ΔXhz2を用いて実装ヘッド40のX軸方向の目標ヘッド位置Xhを補正し、Y軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz1,ΔYhz2を用いて対応する2つのテープフィーダ23の目標送り量Fz1,Fz2を補正する。こうすれば、部品実装機10は、第2吸着動作において、Y軸方向の吸着ずれを、Z1とZ2とで個別に補正することができるため、Y軸方向の吸着位置精度をより高めることができる。
また、実施形態の部品実装機10は、実装ヘッド40が交換されたり、同時吸着動作において吸着エラーが発生すると、同時吸着許可フラグFに値0を設定して同時吸着動作を禁止する。これにより、吸着位置精度が低下している状況下において同時吸着動作が実行されるのを回避し、吸着エラーの頻発を抑制することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、部品実装機10は、ヘッド本体41に対して複数のノズルホルダ42が周方向に配列されたロータリ型の実装ヘッド40を備えるものとした。しかし、部品実装機10は、パーツフィーダ(テープフィーダ23)の配列方向に沿って当該パーツフィーダと同ピッチで配列され且つそれぞれ独立して昇降可能なノズルホルダ(吸着ノズル)を有する並列型の実装ヘッドを備えるものとしてもよい。
上述した実施形態では、実装ヘッド40は、所定位置にある2つのノズルホルダ42(吸着ノズル44)をそれぞれ個別に昇降させる2つのZ軸駆動装置70,75を備えるものとした。しかし、実装ヘッド40は、Z軸駆動装置を3つ以上備えてもよく、3つ以上のZ軸駆動装置により3つ以上の吸着ノズルを同時的に下降させ、各吸着ノズルに3つ以上の部品Pを同時的に吸着するものとしてもよい。
上述した実施形態では、CPU91は、同時吸着動作において、Y軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz1,ΔYhz2を用いて2つの吸着対象部品を供給する2つのテープフィーダ23の目標送り量Fz1,Fz2を補正した。また、CPU91は、X軸方向のヘッド移動補正値ΔXhz1,ΔXhz2を用いて実装ヘッド40のX軸方向の目標ヘッド位置Xhを補正し、実装ヘッド40のY軸方向の目標ヘッド位置Yhを補正しないものとした。しかし、CPU91は、目標送り量Fz1,Fz2の補正に代えて、Y軸方向のヘッド移動補正値ΔYhz1,ΔYhz2を用いて実装ヘッド40のY軸方向の目標ヘッド位置Yhを補正してもよい。この場合、CPU91は、現在のY軸方向の目標ヘッド位置Yhに、ヘッド移動補正値ΔYhz1とヘッド移動補正値ΔYhz2との和を値2で除したものを加えることにより、目標ヘッド位置Yhを補正すればよい。
上述した実施形態では、CPU91は、単吸着動作において吸着ノズル44の吸着位置精度(吸着ずれ量の平均値および3σ)が所定範囲内に収束した以降に同時吸着動作に移行した。しかし、CPU91は、単吸着動作においてヘッド移動補正値の学習の進捗状況が所定程度まで達したとき(例えば、学習回数が所定回数に達したとき)に、同時吸着動作に移行してもよい。
上述した実施形態では、CPU91は、実装ヘッド40が交換された場合と、同時吸着動作において吸着エラーが発生した場合とに同時吸着許可フラグFに値0を設定して同時吸着動作を禁止するものとした。しかし、これに限定されるものではなく、CPU91は、テープフィーダ23が交換された場合に同時吸着許可フラグFに値0を設定してもよい。
上述した実施形態では、XYロボット30は、実装ヘッド40をXY軸方向に移動させるものとしたが、基板BをXY軸方向に移動させてもよい。
上述した実施形態では、部品実装機10は、各軸(X軸、Y軸、R軸、Q軸およびZ軸)の位置を検出する位置センサ37,39,55,65,73,78を備えたが、「位置センサ」には、エンコーダやリニアスケールが含まれてもよい。