JP2023041592A - ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents

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隆裕 岡松
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Abstract

【課題】耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物、及び、その製造方法を提供する。【解決手段】ジエン系ゴム100質量部と、フェニレンジアミン系老化防止剤0.5~5質量部と、XlogPが0.5~5であるチオール0.1~5質量部とを含有する、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びその製造方法に関する。
従来、老化防止剤としてフェニレンジアミン系老化防止剤を含有するゴム組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2021-046554号公報
昨今、求められる安全レベルの向上に伴い、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性のさらなる向上が求められている。
本発明者らが特許文献1に記載のゴム組成物について検討したところ、今後さらに高まるであろう要求を考慮するとさらなる改善が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、フェニレンジアミン系老化防止剤とXlogPが特定の範囲であるチオールとを特定の量で併用することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ジエン系ゴム100質量部と、フェニレンジアミン系老化防止剤0.5~5質量部と、XlogPが0.5~5であるチオール0.1~5質量部とを含有する、ゴム組成物。
(2) 上記フェニレンジアミン系老化防止剤に対する上記チオールのモル比が、0.5~2である、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記チオールが、メルカプト基を1つのみ有することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のゴム組成物。
(4) さらに、過酸化物分解型老化防止剤0.1~5質量部を含有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載のゴム組成物。
(5) 上記過酸化物分解型老化防止剤が、イオウ系老化防止剤又はリン系老化防止剤である、上記(4)に記載のゴム組成物
(6) さらに、カーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を10~150質量部含有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物。
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載のゴム組成物を得る、ゴム組成物の製造方法であって、
上記ゴム組成物が、さらに、加硫剤を含有し、
上記チオールと上記加硫剤とを同時に混合することを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物、及び、その製造方法を提供することができる。
以下に、本発明のゴム組成物、及び、本発明のゴム組成物の製造方法について説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
本発明のゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、
ジエン系ゴム100質量部と、フェニレンジアミン系老化防止剤0.5~5質量部と、XlogPが0.5~5であるチオール(以下、「特定チオール」とも言う)0.1~5質量部とを含有する、ゴム組成物である。
一般に、ジエン系ゴム等のポリマーはラジカルによって劣化することが知られている。
ここで、本発明の組成物中にラジカルが発生した場合、組成物中に含まれるフェニレンジアミン系老化防止剤がラジカルと反応し、ラジカルを失活させ、ジエン系ゴムの劣化が抑えられるものと考えられる。一方、フェニレンジアミン系老化防止剤がラジカルと反応した場合、酸化によってジイミンとなり、それ以上ラジカルと反応することはできなくなる。この場合、ラジカルの発生量が多い場合等にはジエン系ゴムの劣化抑制が不十分となる場合がある。
これに対して本発明の組成物の場合、フェニレンジアミン系老化防止剤に加えて特定チオールを含有するため、ジイミンとなったフェニレンジアミン系老化防止剤に特定チオールが反応することで、ジイミンの窒素原子に水素原子が再生され、耐熱老化性が再生されるものと考えらえる。結果として、本発明のゴム組成物は極めて優れた耐熱老化性及び耐亀裂進展性を示すものと考えられる。さらに、特定チオールは、XlogPが特定の範囲であるため、ジエン系ゴムとの相溶性が比較的低い。そのため、一部が表面に析出して薄膜を形成するため、耐オゾン性にも優れるものと考えられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
[ジエン系ゴム]
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは特に限定されない。
本発明の組成物は1種のジエン系ゴムを含有するのでも2種以上のジエン系ゴムを含有するのでもよい。
〔具体例〕
上記ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合ゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。
〔分子量〕
上記ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100,000~5,000,000であることが好ましく、200,000~3,000,000であることがより好ましく、300,000~2,000,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値である。
[フェニレンジアミン系老化防止剤]
本発明の組成物に含有されるフェニレンジアミン系老化防止剤は、2級アミンを置換基として2つ有する芳香族環を分子構造に持つ老化防止剤をいう。
〔具体例〕
フェニレンジアミン系老化防止剤の具体例としては、N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)、N-フェニル-N′-(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N′-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)が好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、フェニレンジアミン系老化防止剤の含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、0.5~5質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1~4質量部であることが好ましい。
[特定チオール]
本発明の組成物に含有される特定チオールは、XlogPが0.5~5であるチオールである。ここで、チオールとは、メルカプト基(-SHで表される基)を有する化合物である。
特定チオールは、本発明の効果がより優れる理由から、メルカプト基を1つのみ有するのが好ましい。
〔XlogP〕
特定チオールのXlogPは0.5~5である。
特定チオールのXlogPは、本発明の効果がより優れる理由から、0.5~2であることが好ましい。
XlogPについては以下のとおりである。
まず、logPとは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化合物が油(ここではn-オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、数字が大きいほど疎水性の化合物であることを示し、数字が小さいほど親水性の化合物であることを示すため、化合物の親疎水性を表す指標として用いることができる。
logP=log(Coil/Cwater)
Coil=油相中のモル濃度
Cwater=水相中のモル濃度
一般に、logPは、n-オクタノールと水を用いて実測により求めることもできるが、本明細書においては、原子ベースのアプローチであるXlogPを用いる。XlogPは、ソフトウェア「XLogP」(Shanghai Institute of Organic Chemistry,Chinese Academy of Sciences,http://WWW.sio-ccbg.ac.cn/software/xlogp3/から入手できる)で計算することができる。計算結果は、PubChem(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/#)のデータベースに掲載されている。
〔好適な態様〕
<特定基>
特定チオールは、本発明の効果がより優れる理由から、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の基(以下、「特定基」とも言う)を含有するのが好ましい。
ここで、エステル基とは、-C(=O)O-で表される基である。
また、エーテル基とは、-O-で表される基である。ここで、エーテル基の酸素原子には2つの炭化水素基が結合する。そのため、エーテル基はエステル基と区別されるものである。
特定チオールは、本発明の効果がより優れる理由から、特定基としてエステル基を有するのが好ましく、特定基としてエステル基及びエーテル基の両方を有するのがより好ましい。
<特定脂肪族チオール>
特定チオールは、本発明の効果がより優れる理由から、特定基を含有する脂肪族チオール(以下、「特定脂肪族チオール」とも言う)であることが好ましい。ここで、脂肪族チオールとは、メルカプト基を有する脂肪族炭化水素である。特定脂肪族チオールは、特定基とメルカプト基と脂肪族炭化水素基とからなる化合物である。例えば、後述する特定チオール1(メルカプトプロピオン酸メトキシブチル)は、特定基(-C(=O)O-、-O-)とメルカプト基(-SH)と脂肪族炭化水素基(-C-、-CCH(CH)-、CH)とからなる化合物であり、特定脂肪族チオールに該当する。
(脂肪族炭化水素基)
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれであってもよいが、本発明の効果がより優れる理由から、飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~30であることが好ましい。
〔分子量〕
特定チオールの分子量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、80~1000であることが好ましく、100~500であることがより好ましく、120~300であることがさらに好ましく、160~200であることが特に好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、特定チオールの含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、0.1~5質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1~3質量部であることが好ましい。
上述したフェニレンジアミン系老化防止剤に対する特定チオールのモル比(特定チオール/フェニレンジアミン系老化防止剤)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.5~2であることが好ましく、0.8~1.2であることがより好ましい。
[任意成分]
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、充填剤(例えば、シリカ、カーボンブラック)、シランカップリング剤、テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、上述したフェニレンジアミン系老化防止剤以外の老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
〔過酸化物分解型老化防止剤〕
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、さらに過酸化物分解型老化防止剤を含有するのが好ましい。過酸化物分解型老化防止剤は、過酸化物を分解し、その後の自動酸化のサイクルを停止する機能を有する。
過酸化物分解型老化防止剤は、本発明の効果がより優れる理由から、イオウ系老化防止剤又はリン系老化防止剤であることが好ましく、イオウ系老化防止剤であることがより好ましい。
リン系老化防止剤の具体例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(例えば、大内新興化学工業社製ノクラックTNP)、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]などのホスファイト系老化防止剤が挙げられる。
また、イオウ系老化防止剤の具体例としては、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオプロピオネート)、ビス[2-メチル-4-{3-n-アルキルチオプロピオニロキシ}-5-t-ブチルフェニル]サルファイド、ジラウリル-3,3′-チオジプロピオネート(例えば、大内新興化学工業社製ノクラック400)、ジミリスティル-3,3′-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3′-チオジプロピオネートなどのチオエーテル系老化防止剤が挙げられる。
<含有量>
上記過酸化物分解型老化防止剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~1質量部であることがさらに好ましい。
上記過酸化物分解型老化防止剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したフェニレンジアミン系老化防止剤の含有量に対して、1~50質量%であることが好ましく、5~40質量%であることがより好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましい。
上記過酸化物分解型老化防止剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述した特定チオールの含有量に対して、10~60質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましく、30~40質量%であることがさらに好ましい。
〔充填剤〕
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有するのが好ましい。
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、充填剤としてカーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200m/gであることが好ましく、70~150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
(含有量)
上記カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して1~100質量部であることが好ましく、30~60質量部であることがより好ましい。
<シリカ>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、充填剤としてシリカを含有するのが好ましい。
上記シリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100~300m/gであることが好ましく、150~200m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
(含有量)
本発明の組成物において、シリカの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、10~150質量部であることが好ましく、20~100質量部であることがより好ましい。
[含有量]
本発明の組成物において、上記充填剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、10~150質量部であることが好ましく、20~100質量部であることがより好ましい。
なお、本発明の組成物がカーボンブラック及びシリカの両方を含有する場合、充填剤の含有量は合計の含有量を意味する。
[製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に制限されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤を含有する場合は、得られるゴム組成物について本発明の効果がより優れる理由から、上述した特定チオール、加硫剤、加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100~155℃)で混合し、冷却してから、特定チオール、加硫剤、加硫促進剤を混合するのが好ましい。
本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
[用途]
本発明の組成物はゴム材料として好適に用いられる。例えば、タイヤ(特に、空気入りタイヤ)、コンベアベルト、ホース、防振材、ゴムロール、鉄道車両の外幌等に好適に用いられる。なかでも、タイヤ(特にトレッド)に好適に用いられる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例A]
〔ゴム組成物の製造〕
下記表1の各成分を同表に示す組成(質量部)で混合した。
具体的には、まず、特定チオール1~7、比較チオール1~2、反応物、硫黄及び加硫促進剤以外の成分を1.8Lの密閉型混合機で130℃の条件下で5分間混合し、マスターバッチを放出した。その後、上記マスターバッチに特定チオール1~7、比較チオール1~2、反応物、硫黄及び加硫促進剤を加えてオープンロールを用いて80℃の条件下で混合して、各ゴム組成物を製造した。
〔評価〕
得られた各ゴム組成物(未加硫)について以下の評価を行った。
<耐熱老化性>
得られた各ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、150℃で30分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。次いで、得られた加硫ゴムシートを80℃の環境下に168時間(1週間)放置した。その後、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で破断伸びを評価した。
結果を表1に示す。結果は比較例2を100とする指数で表した。指数が大きい程、耐熱老化性に優れることを表す。
<耐亀裂進展性>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6260に準拠して、屈曲回数10万回後の亀裂成長長さ(亀裂進展)を測定した。
亀裂成長の逆数を表1に示す。結果は比較例2の逆数を100とする指数で表した。指数が大きい程、耐亀裂進展性に優れることを表す。なお、比較例1及び比較例4~5は試験中に破断したため、亀裂成長を測定することができなかった。
<耐オゾン性>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートをオゾン槽(50℃、100pphm)に入れ、40%伸張の状態で48時間静置した。その後、加硫ゴムシートを観察し、以下の基準により評価した。
結果を表1に示す。耐オゾン性の観点から、1であることが好ましい。
1:肉眼では亀裂が確認されなかったが、10倍拡大鏡で亀裂が確認された。
2:肉眼で小さな亀裂(1mm未満)が確認された。
3:肉眼で比較的大きな亀裂(1mm程度)が確認された。
4:肉眼で深く大きな亀裂(1~3mm)が確認された。
Figure 2023041592000001
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・天然ゴム:天然ゴム
・フェニレンジアミン系老化防止剤:N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)
・特定チオール1:メルカプトプロピオン酸メトキシブチル(以下構造)(XlogP:1.6)
Figure 2023041592000002
・特定チオール2:メルカプトプロピオン酸メチル(以下構造)(XlogP:0.8)
Figure 2023041592000003
・特定チオール3:チオグリコール酸メトキシブチル(以下構造)(XlogP:1.1)
Figure 2023041592000004
・特定チオール4:メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル(以下構造)(XlogP:3.5)
Figure 2023041592000005
・特定チオール5:2-(2-エトキシエトキシ)エタンチオール(以下構造)(XlogP:0.6)
Figure 2023041592000006
・特定チオール6:フェノキシエタンチオール(以下構造)(XlogP:2.1)
Figure 2023041592000007
・特定チオール7:ベンジルチオール(以下構造)(XlogP:2.4)
Figure 2023041592000008
・比較チオール1:メルカプトピリジン(以下構造)(XlogP:-0.1)
Figure 2023041592000009
・比較チオール2:デカンチオール(以下構造)(XlogP:5.5)
Figure 2023041592000010
・比較チオール3:メルカプトプロピオン酸(以下構造)(XlogP:0.4)
Figure 2023041592000011
・反応物:上述した特定チオール2(メルカプトプロピオン酸メチル)と上述したフェニレンジアミン系老化防止剤(6PPD)との反応物(以下構造)
Figure 2023041592000012
・カーボンブラック:ショウブラックN234(昭和キャボット社製)
・酸化亜鉛:亜鉛華3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR(日本油脂社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精錬所社製)
・加硫促進剤:サンセラーNS-G(三新化学工業社製)
なお、表1中、XlogPの欄は、各例で使用されている特定チオール1~7又は比較チオール1~3のXlogPを表す。
表1から分かるように、フェニレンジアミン系老化防止剤及び特定チオールのいずれも含有しない比較例1、フェニレンジアミン系老化防止剤を含有するが特定チオールを含有しない比較例2~3、並びに、フェニレンジアミン系老化防止剤を含有するが特定チオールを含有しない(特定チオール以外のチオールを含有する)比較例4~6と比較して、フェニレンジアミン系老化防止剤と特定チオールとを特定の量で併用する実施例1~7は、優れた、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性を示した。
なかでも、特定チオールのXlogPが0.5~2である実施例1~3及び実施例5~7は、より優れた耐亀裂進展性を示した。そのなかでも、特定チオールがエステル基を有する実施例1~3は、さらに優れた耐亀裂進展性を示した。そのなかでも、特定チオールのXlogPが1.2~2.0である実施例1は、さらに優れた耐熱老化性及び耐亀裂進展性を示した。
[実施例B]
〔ゴム組成物の製造〕
下記表2の各成分を同表に示す組成(質量部)で混合した。
具体的には、まず、表2中の特定チオール以外の成分とシランカップリング剤と酸化亜鉛とステアリン酸とを1.8Lの密閉型混合機で130℃の条件下で5分間混合し、マスターバッチを放出した。その後、上記マスターバッチに特定チオール、硫黄、加硫促進剤CBBS(ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製)及び加硫促進剤DPB(ノクセラーDPG、大内新興化学工業社製)を加えてオープンロールを用いて80℃の条件下で混合して、各ゴム組成物を製造した。
〔評価〕
得られた各ゴム組成物(未加硫)について以下の評価を行った。
<破断強度、破断伸び>
得られた各ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、150℃で30分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。その後、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で破断強度及び破断伸びを評価した。
結果を表2に示す。結果は比較例12を100とする指数で表した。
<耐熱老化性>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。次いで、得られた加硫ゴムシートを80℃の環境下に168時間(1週間)放置した(耐熱老化試験)。その後、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で破断伸びを評価した。そして、下記のとおり耐熱老化試験による破断伸びの変化率を求めた。
耐熱老化試験による破断伸びの変化率=(耐熱老化試験後の破断伸び-耐熱老化試験前の破断伸び)/耐熱老化試験前の破断伸び(%)
結果を表2に示す。指数が大きい程(ゼロに近い程)、耐熱老化性に優れることを表す。耐熱老化性の観点から、-10より大きいことが好ましい。
<耐亀裂進展性>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6260に準拠して、屈曲回数10万回後の亀裂成長長さ(亀裂進展)を測定した。
亀裂成長の逆数を表2に示す。結果は比較例12の逆数を100とする指数で表した。指数が大きい程、耐亀裂進展性に優れることを表す。なお、比較例11、比較例13及び比較例14~15は試験中に破断したため、亀裂成長を測定することができなかった。
<耐オゾン性>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートをオゾン槽(50℃、100pphm)に入れ、40%伸張の状態で48時間静置した。その後、加硫ゴムシートを観察し、以下の基準により評価した。
結果を表2に示す。耐オゾン性の観点から、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
0:10倍拡大鏡でも亀裂が確認されなかった。
1:肉眼では亀裂が確認されなかったが、10倍拡大鏡で亀裂が確認された。
2:肉眼で小さな亀裂(1mm未満)が確認された。
3:肉眼で比較的大きな亀裂(1mm程度)が確認された。
4:肉眼で深く大きな亀裂(1~3mm)が確認された。
Figure 2023041592000013
表2中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:スチレンブタジエンゴム(Nipol 1502、日本ゼオン製社製)
・フェニレンジアミン系老化防止剤:N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)
・特定チオール1:上述した特定チオール1
・特定チオール4:上述した特定チオール4
・シリカ:シリカ(Zeosil 1165MP、CTAB吸着比表面積:152m/g、Rhodia社製)
・リン系老化防止剤:ノクラックTNP(以下構造)
Figure 2023041592000014
・イオウ系老化防止剤:ノクラック400(以下構造)
Figure 2023041592000015
なお、表2中、XlogPの欄は、各例で使用されている特定チオールのXlogPを表す。
表2から分かるように、フェニレンジアミン系老化防止剤と特定チオールとを特定の量で併用する実施例11~15は、優れた、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性を示した。なかでも、さらに過酸化物分解型老化防止剤を含有する実施例13~15は、より優れた耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性を示した。そのなかでも、過酸化物分解型老化防止剤がイオウ系老化防止剤である実施例14~15は、さらに優れた耐熱老化性を示した。
実施例11~12の対比(特定チオールの種類のみが異なる態様同士の対比)から、特定チオールのXlogPが0.5~2である実施例11は、より優れた耐亀裂進展性を示した。同様に、実施例14~15(特定チオールの種類のみが異なる態様同士の対比)から、特定チオールのXlogPが0.5~2である実施例14は、より優れた耐亀裂進展性を示した。
一方、フェニレンジアミン系老化防止剤及び特定チオールのいずれも含有しない比較例11、並びに、フェニレンジアミン系老化防止剤を含有するが特定チオールを含有しない比較例12~15は、耐熱老化性、耐亀裂進展性及び耐オゾン性のうち少なくとも1つが不十分であった。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴム100質量部と、フェニレンジアミン系老化防止剤0.5~5質量部と、XlogPが0.5~5であるチオール0.1~5質量部とを含有する、ゴム組成物。
  2. 前記フェニレンジアミン系老化防止剤に対する前記チオールのモル比が、0.5~2である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記チオールが、メルカプト基を1つのみ有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. さらに、過酸化物分解型老化防止剤0.1~5質量部を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記過酸化物分解型老化防止剤が、イオウ系老化防止剤又はリン系老化防止剤である、請求項4に記載のゴム組成物
  6. さらに、カーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を10~150質量部含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物を得る、ゴム組成物の製造方法であって、
    前記ゴム組成物が、さらに、加硫剤を含有し、
    前記チオールと前記加硫剤とを同時に混合することを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
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